2009年4月13日月曜日

【HAM】136kHz送信機(?)

長波帯送信機の終段部分だ。

左下に終段のトランジスタが見える。その右がタンク回路、さらにその右がフィルタになっている。周波数が低いので、同調コイルはバンク巻になっており、共振回路のコンデンサも大容量のマイカコンデンサである。 これで10W(PEP)くらい出る。なお、SSB用の設計なのでバイアスの掛かったリニヤ・アンプ形式になっている。



ミキサー、ドライバ、局発部である。

この送信機は1500kHzでSSBを発生させ、それを長波帯に周波数変換している。 写真にはないが、上の方にSSBジェネレータ部があって、1500kHzのSSB用クリスタルフィルタも載っている。

フィルタを出た1500kHz/SSBはDual Gate MOS FET/3SK35で長波帯に周波数変換され、ドライバの2SC503で増幅される。 なにしろ周波数が低いので、ゲインは十分得られる。必要以上に段数を重ね過剰なゲインになるのは危険だから最小限のステージ数で済ませている。
 信号レベルがまだ低い部分の同調回路にはフェライトのツボ型コア・ボビンに巻いたトランスが使われている。 このようなボビンを使わないと巻数が多くて巻ききれないだろう。HF帯の送信機のセンスがそのまま通じない部分だ。むしろ、低周波の同調形式のアンプを作るつもりの方が旨く行く。

ドライバー段(2SC503):

卑しくもシリコン・トランジスタなら135kHz帯に使えないようなものは稀だろう。むしろ、高価な送信機用など使わず、オーディオ用やスイッチング用から選ぶ方が、HF帯のパラスチック・オシレーションを起こし難いはずだ。
 バイパス・コンデンサには容量の大きなものが必要である。もちろんセラミック・コンデンサでも良いが1μFとか0.47μFくらいは必要だからマイラー・コンデンサ等でも良い。 低周波域のゲインが上がりすぎぬよう注意が必要で、過剰に大きなバイパス・コンデンサを使うと、超低周波の発振を伴う可能性があるので注意したい。このあたり、デカップリングの技(わざ)は無線屋よりもオーディオ屋さんの方が良く心得ているような気がする。(笑)

終段電力増幅部(2SC521A):

この送信機はSSB用なので、全段リニヤアンプになっているが我々の136kHz送信機はCW専用で良い。従って、デバイスもSW電源用のPower-MOS FETあたりを使うのが今風で良いだろう。

2SC521Aは東芝の汎用パワートランジスタで、一時期はパワーTrの定番のようになっていた。悪くない石なのだが、今どきこれを探す意味も無いと思う。ただし、シリコンのパワートランジスタでも、『丈夫さ』を最優先にした物のなかには、100kHzでさえもゲイン低下する物があるので、一応確認した方が良いだろう。どこかのメーカーの2N3055は駄目だったように思う。

 なお、スイッチング用のPower-MOS FETなら周波数特性の心配はいらないし、安価で丈夫なのでお薦めできる。 ゲインが上がりすぎないようハイ・インピーダンスのデバイスとは言え、極力低インピーダンスでドライブするよう設計するのが重要なノウハウである。
 EIRP=1Wを目指すには、送信機の出口では少なくとも50〜100Wは必要そうなので、2SC521Aシングルでは無理である。アンテナ次第ではあるが下手をすれば500〜1kWも欲しくなるかも知れない。従って、このままではQRP送信機の域を出ないものと思われる。(笑)

『135kHz帯の送信機も何とかしなくては』と思っていて、ジャンクの長波帯送信機ユニットがあったのを思い出した。 さっそく見つけ出して調べたら周波数は少々高くて200kHz辺りのようであった。 改造で下げられるか微妙なところだがGWにでも試してみよう。このBlogはその下調べのようなものだ。 おそらくファイナル部が同調形式の送信機を作ると、部品など良く似た感じになるのではないだろうか。

 実はこれとセットになったスポット周波数の受信部もあるのだが、流石に使う気にならず。受信はパソコン解析方式が本命だが、せめて汎用受信機を使うか専用のコンパクトなDC受信機でも自作したいと思っている。 一番厄介なのは、もちろんこうした送信機なんかではなくてアンテナである。それはまた考えることにしよう。

12 件のコメント:

T.Takahashi JE6LVE/JP3AEL さんのコメント...

おはようございます。

もう136Khz用送信機を作られたのかと思いました。Hi

私もAVRマイコンで発振やレールtoレールのオペアンプを使うなど色々妄想しています。HiHi
発振部分はともかく、増幅するには低い周波数ならではの難しさがあるのですね。

移動局ですと50Wしか許可されないそうですのでEIRP1W出すのは大変そうです。

TTT/hiro さんのコメント...

JE6LVE 高橋さん、こんばんは。

コメントどうも有難うございます。
> もう136Khz用送信機を作られたのかと・・・
バラックの実験回路なら簡単そうですが板金加工を伴う製作になるとそう簡単には行きそうにありません。(笑)

> 色々妄想しています
バンド幅も狭いし、周波数もたいへん低いので発生する方法は色々あるだろうと思います。 クリスタルだと、大きなHC-13/Uになると思いますが、今どき磨いてくれる所はあるのでしょうか? アマチュア相手の所なら製作してくれるかも・・・。 狭いバンドとは言え、一波では寂しいので2〜3波の水晶を作ってもらうと言うのが一番簡単かも知れません。 もっとも、秋月のDDSの方がずっと安価でしょうけれど。(笑)

> 移動局ですと50Wしか許可されないそうです・・・
固定でハイパワー送信機+大きなアンテナと言うスタイルが普通だと思いますがアパマンハムには移動運用も魅力でしょうね。 ただ、移動局だとアンテナがどうなるか・・・受信は良いとしても、送信機がPo=50Wに抑えられると、EIRP=1Wはかなり苦労しそうです。(笑)

cosy さんのコメント...

hiroさん,LVEさん,こんばんは

f特のいいオーディオプリメインアンプをそのまま使うってのもありかと(笑)
#何か間違っているような気も...(^^;

JJ3CMV 酒井 さんのコメント...

こんばんは。

>この送信機は1500kHzでSSBを発生させ、それを長波帯に周波数変換している。

これって、潜水艦の送信機ですか? (笑)

私の場合、FBな移動地を見つけ、そこに大きなアンテナを展開する方法があっているかもしれません。VLFはとても楽しいテーマですね。

 地震が近づくと、DXQSOができたりして・・・

TTT/hiro さんのコメント...

JH5ESM 武藤さん、こんばんは。

コメント有難うございます。
> f特のいいオーディオプリメインアンプを・・・・
まったくそのままではないようでしたが、多少改造して使う例を見た事があります。 今どきのAudio Ampはf特が良いですからねえ。位相補償を控え目にすれば楽勝でしょう。(笑)

DDSの出力をメインアンプでも良いのかも。hi hi

TTT/hiro さんのコメント...

JJ3CMV 酒井さん、こんばんは。

コメント有難うございます。
> これって、潜水艦の送信機ですか? (笑)
潜水艦用ではなくて、送電線に電話を載せる搬送用の装置だと思います。 送受で大きく周波数を違えてあり同時通話ができるよう(電話用)に出来ています。 潜水艦用ではないようですね。(笑)

> 移動地を見つけ、そこに大きなアンテナを・・
友人と飲んでいて、可能性があるFBな運用方法ではないかと言う話しになりました。 移動運用が可能なように作っておくと面白いかも知れませんね。 そうなると、送信機は50Wになります。 バッテリーが電源なら、50Wは程良いパワーだと感じます。

> 地震が近づくと、DXQSOができたりして・・・
地震発生前に地下の岩盤が割れるノイズが聞こえると言う話しを聞いたことがありますが・・・。 強いノイズが聞こえたら、すぐに逃げないと。 いきなりOSO通信では洒落になりません。(爆)

T.Takahashi JE6LVE/JP3AEL さんのコメント...

Euでは大出力のギターアンプを改造して使っている局もいると聞いたことがあります。

ステレオである必要はないのでちょうど良いかもしれませんね。^^

TTT/hiro さんのコメント...

JE6LVE 高橋さん、再度こんばんは。

> Euでは大出力のギターアンプを改造して・・・
ギターアンプはタフに出来てますから、良いかも知れませんね。 球のギターアンプを想像してしまいましたが、トランス結合の6L6GCppではf特がそこまで伸びていない感じ。やっぱりTrアンプでしょうね。(笑)

> ステレオである必要はないので・・・
TOPに位相反転を入れてやり、BTL接続にすると言う手があります。そうすれば両チャネルが使えますけれど、オーディオアンプは正弦波のフルパワー連続には耐えられないようです。 放熱器がミュージックパワー用に出来ているので仕方ありませんせんね。

JA9MCH_tanutanu さんのコメント...

こんばんは。送電線のパワーラインキャリアが400kHzぐらいでFSKを使っていますから、それより低い135kHzはアンテナがたぁーいへん。パワーラインキャリアは、送電線で送信機と受信機の間がメタルでつながっているので、そんなに出力は大きくないと言う記憶があります。それより両端のブロッキングコイルとカップリングコンデンサの保守がたいへんで、最近は光ケーブルに置き換えられています。

TTT/hiro さんのコメント...

ex MCH 和田さん、こんばんは。

コメント有難うございます。
> 最近は光ケーブルに置き換えられています。
おそらく、そうした置き換えで発生したジャンクなのだと思います。 ずいぶん前のHAMフェアで入手したと思いますが付いていたSSB用のクリスタルフィルタだけに興味があって、他の部分は捨ててしまったと思ったのですが・・・残っていたんですよ。(笑)

受信部の入力部には立派な箱入りのLCフィルタが付いています。不要なノイズを拾わぬよう対策しているようです。見た感じで送信パワーはピークで数〜10Wかも知れませんね。よく調べたら周波数は240kHzのようです。だいぶ高いので旨く改造できるか・・・。上げるのは簡単ですが、下げる方は厄介です。

JA8JPO/yamada さんのコメント...

おはようございます。
実は136kHz製作中です!
しばらく前に2SC897(sony)のドライバまで組んだのですが出力が小さかったりしてうまくいきませんでした。
現在別回路で挑戦中です。

TTT/hiro さんのコメント...

JA8JPO 山田さん、こんにちは。

コメント有難うございます。
> 実は136kHz製作中です!
現在製作中のお方も沢山おられるようですね。がんばってください。いつか長波でQSOできたらFBですね。

> 2SC897(sony)のドライバまで・・・
C897は日立のようなので、型番違いでしょうか? 周波数は低周波並みの低さですから十分なゲインがあるだろうと思います。低めのインピーダンスで、十分ドライブするのがコツだと思います。

FBな送信機を製作されて下さい。