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2009年6月27日土曜日

【測定】古城の主

Tektronix 2440と言う【古城】の主(あるじ)になった。

その昔、仕事に使ったことがあるオシロだ。普通の波形観測に常用できるデジタル・オシロスコープとしては初期のものだと思う。 それ以前にもデジタルストレージ機能も合わせ持ったオシロスコープはあったが、サンプリングが低速なのでもっぱら低速の単発現象の観測用であった。従ってたいていは従来のアナログオシロとの複合機であった。扱いが難しい蓄積管式ストレージ・オシロスコープの代用だったのである。Tek 2440はストレージ機能を追加したものではない。常にデジタルモードで使うオシロスコープである。(いまのデジオシのご先祖)

 こんな古くさいデジオシなど如何なものかと思う。懐かしさ半分で手に入れたのであってお薦めするようなものではない。ただ、古臭いとは言っても当時(1989年ころ)、225万円もしたので、それなりに高機能・高性能である。サンプルレートやメモリ長では今の物に太刀打ちできないが、トリガの安定性など本来オシロスコープが持つべき性能は十分なものだと思う。20〜30万円のデジオシとは違うクオリティを感じる部分は多い。まあ、それだけコストが掛かっているのだから当たり前だ。500MS/Sで200MHzまで。繰り返し波形に限られるが等価サンプリングで300MHzの帯域幅を持っている。メモリ長は1024ポイントである。

オシロとして普通に使える:

初めてだと管面に波形を出すだけで戸惑うかもしれない。アナログな昔のオシロしか知らぬとそんなものである。 実際、初めての時は何をどうしたら良いのか・・・だったように思う。パネル面にレンジの表示など一切無いからだ。 まあ、そんな時は『AUTO』ボタンである。取りあえず何らかの波形を表示してくれるはずだ。

 当時の感想であるが、使ってすぐにデジタル・ストレージ・オシロスコープ(以下デジオシと略)の欠点を感じた。多機能だが整理されておらず旧来のオシロに馴染んだ直感では操作できなかった。おまけにトレースもあまり美しく感じられない。暫くアナログ機から転向できなかったのである。『高級で高機能だから煩雑な操作なのだ・・・』ではツールとして如何なものかと思ったものだ。年月を経て今のデジオシは常用機能を前面に出してずいぶん使い易くなっている。ツールとしては当たり前の進化だろう。

 Tek 2440は扱い難かったからフタを閉められ棚に鎮座していることが多かった。当時のリベンジの気持ちを込めてその【古城】の主になってみたようなものだ。 人気がない難物は同時代に半値もしなかったアナログ機より安価なほどだ。わかって使えば優れモノでも無手勝流ではとても使いこなせない。要するに簡単ではないのだ。まあ、オシロの顔はしていてもこいつはA/D変換してデータ処理して表示する別物だと思うべきだろうか?(笑)

AM変調波を見る:

これは変調度40%のAM波だがデジオシで見る方法を知らないとこう見えない。 エンベロープ・モードを使う。そうすればそれらしく見ることができる。 もちろんSSBの2-Tone波形も同様である。デジオシ全盛だから既に常識の範囲であろう。今のデジオシにももちろん機能は備わっている。

 しかし、アナログオシロのように奇麗に見えないのがちょっと不満だ。 変調歪みの判定が難しい感じだ。 改善されているが未だにアナログオシロを凌駕できていない部分だと思う。 こうした観測にデジオシは向いていないのである。 だからHAMにはCRT式のアナログ・オシロスコープが向いているなんて言うと、時代遅れと言われるだろうか? 拙宅には未だにアナログの古城がある理由なのだが・・・。

状態を表示するHELP画面:

HELPボタンを押すと表示される。ロータリ・スイッチ式のレンジ切換えをやめたから此れが必要なのだろう。垂直軸感度も時間軸の刻みもすべてロータリ・エンコーダ式だ。ツマミに現在ポジションの表示は無い。
 他の機能も同様でパネルを見ても現在の設定がどうなっているのかわからない。 管面周辺に垂直感度や掃引時間のような主要パラメータは常時表示される。しかしそれだけでは細かく表示しきれるものではない。HELPボタンを押すと現在の状態がこのように表示される。今のデジオシはもっと親切(?)で日本語表示のヘルプも選べるから良くわかったような気分になれる。

 このオシロに限らず、マイコンを使いプッシュ・スイッチやロータリ・エンコーダで機能を設定する装置は再起動のとき困ることがある。毎回初期状態で立ち上がるのでは面倒だ。 旧来のロータリ・スイッチ式なら今朝の観測を夕べの状態から始められる。 こんなことは当たり前だと思うに違いない。 それでTek 2440は設定状態をメモリに保持し再投入で昨日と同じ所から立ち上がるようになっている。まあ設計者なら誰でもそうするだろう。(ただ、それが困ることもある。膠着状態に陥っても電源オフで強制リセットしないからだ。だからAUTOボタンがある訳なのだが)

計測機能はデジタルならでは:

入力波形を表示するだけでなく、このように周波数やP-P波高値を数字表示する機能がある。 波形を解析して数字で表示する機能であって、これは既存のアナログオシロではなかなか困難であろう。 パルスの立ち上がり時間計測や、オーバーシュートなど数値的に捉えて表示する機能がたくさんある。これだけ様々な機能をモトローラの8bitのマイコン:MC68B09でこなしているとは驚いた。

 トリガ機能やメモリ機能などの関係で時々旨くない状態に設定して波形が更新表示されない状態に迷い込んでしまうことがある。そんな状態から取りあえず抜けるにはAUTOボタンだ。 良く解ったつもりで使っていても、無意識に膠着状態に陥ってしまうこともある。『AUTO』なんて初心者用だと馬鹿にしてはいけなかったようだ。(笑)

 まだ道具に使われている感じがして良く手に馴染んだとは言い難いが、難物も使いこなせるようになってきた。初めて接した昔とは雲泥の差だ。『なるほど、これは便利だ!』などと今ごろ気付いても時既に遅過ぎだろうか。

 改めて、普通は今風のLCD式デジオシを買うべきだろう。 小型・軽量でサンプリングも高速でメモリ長もはるかに長い。何よりも扱い易いのが良い。デジタル物は進歩が早く性能対価格比では雲泥なので中古品なんかより、ちょっと頑張って新製品にするのがベストだ。

扱い難い道具を使いこなすのは嫌いじゃないし、この古城もメインとして十分いけそうなので、入れ替えてみようと思う。

またまたレトロな機器の話で失礼した。(^^)

後日談:「古城は住み難い?」は・・・・こちらから。

2009年6月20日土曜日

【HAM】らしさは?

写真は八重洲無線のFT-901Dだ。

 パネルを埋める整然と並んだ押しボタンが現代的無線機の象徴だろうか。たくさんあるボタンやツマミのいったい幾つを常用するのだろう?

 たった数%のニーズしか想定できなくとも他社が搭載すれば対抗上機能を加えなくてはならない。 ユーザーも自己の運用スタイルを描き切れているかと言えば必ずしもYes!ではないだろう。新しい無線機に新たな境地を期待しているはずだ。だからこそ機能満載の製品を選ぶだろう。

 こうしておびただしいボタンとツマミ、そして階層メニュー式画面が搭載されることになる。 便利は良いことだ。何時か使うかも知れないから豊富な機能を否定するものではない。 もちろん満載の機能の前提には高い『基本性能』があるのは言うまでもあるまい。

 さて、その上で「無線機らしさは?」と問えば何だろうか。 嗜好も大いに関係するがこんな「いかついデザイン」にちょっと目が止まった。 古くさいけど必要機能はあるしCW/SSBには十分だ。運用モードが変わらぬ限り通用する。拡張された7MHzにも対応する。では今の無線機の「らしさ」は何処に感じるべきなのか? まさかボタンの数ではあるまい。(笑)

デジタルなモードでオンエアするなら近代機に限るんだが・・・

参考:FT-101ZDをレストアするBlogあり→こちら

(Blogger新仕様対応済み。2017.03.30)

2009年6月14日日曜日

【測定】DELICA M1A mini Bridge

DELICA Mini Bridge:M1A
 写真は三田無線研究所/DELICAのM1A型ミニブリッジです。

 ミニブリッジは商品名で『インピーダンス・ブリッジ』の一種です。 電気関係なら必ず授業で習う『交流ブリッジ』の原理に基づく測定器です。
 抵抗:R、キャパシタ:C、インダクタ:Lを測定することができます。 直流のブリッジでは測定できないLやCの値が測定できるのが特徴です。従ってLCRブリッジと呼ばれることがあります。

 ラジオに興味をもったらまずはテスター(回路計)を手に入れるでしょう。 そのうちCやLを測定したくなりますが、それにはインピーダンス・ブリッジが最適でした。 最近のテスタにはオマケの機能でC測定が付いていますが、測定原理からブリッジほど精度の良い測定ができるわけではないようです。

 テスタのあとは無線家ならグリッド・ディップ・メータ/GDM/GDOが欲しくなります。めでたく開局すれば次はSWR計でしょうか? 電子回路に興味をもった私はGDMの次はデリカのミニブリッジを購入しました。1975年のことでした。SWR計の方は自作しました。

注:アンテナ・インピーダンス・ブリッジも同様に交流ブリッジの原理に基づく測定器です。但し、高周波での測定に適するよう部品定数や構造が工夫されています。一般に測定範囲は狭くて、測定値で数100Ωまで、周波数範囲では上限50MHzあたりまでが多いようです。高級なものではR+jXの複素インピーダンスが求められます。機会があれば改めて扱いたいと思います。(2010.8.8)

オリジナルの箱
 最近は何でもデジタル・リードアウトになりました。シャックのLCR測定器もデジタル式に移行したので半ば遊休化しています。 それに暫く前に使ったとき少々不調だったのでそのままになっていました。

 何時か様子を見てやりたいと思い、気になっていたのでした。それで思い出すように取り出してみた訳です。 流石に34年も前の購入なので段ボール箱も焼けています。それでも箱があれば中身を保護してくれています。 DELICAの測定器は他にGDMとSSGがあってどちらも元箱に入れてあるので未だに中身は奇麗です。(笑)

取り扱い説明書
 測定器にとって取扱説明書は重要です。 どのような意図で設計され、どんな機能があってどのように操作するのかは取扱説明書で確認すべきです。 そのうえで応用測定ができれば使いこなしていることになるでしょう。
 新品で購入したので簡単な冊子ですが取扱説明書も付いています。 単純なLCRの測定のほかトランスの対比や二次側に定格の負荷を付けた状態における一次側から見たインピーダンスの測定など、応用にも触れられています。
 当時のこの製品の宣伝広告には、購入したら「まずはジャンク部品の測定で操作を習得し同時に怪しい部品を片付けよう」と書いてありました。 確かにこうした測定器なしに評価できない電子部品も多て、ジャンク活用の為にも役立ったわけです。 RF用小容量コンデンサの容量抜けなどテスターでは発見困難でしたから。

リペア開始
 電源スイッチ系統に接触不良が見られるようでした。使おうと思った時に電源が入らず役立たなかったことがあります。 だんだん頻繁に発生するようになったので原因を探査する必要に迫られていました。

 実は三田無線/DELICAの測定器はほぼ永久的に修理してもらえます。もちろん、故障・破損の程度によるし補修部品の有無にも関係します。しかし可能ならたとえ戦前の測定器でさえも修理してもらえるそうです。もちろん初期精度が保たれるように校正もしてくれます。何とも心強いものがあります。(文末・追記参照のこと)
 もちろん、それなりの費用は掛かりますが、初期価格はKeysight(旧hp,Agilent)やTektronixとは桁が違います。当然請求額も相応です。 なんとなく高級なプロ用測定器に憧れを抱くかも知れませんが、壊れたら費用の捻出は厄介でしょう。 ですから永く楽しむ自作アマチュアにとってDELICAの測定器は良い道具だと思います。いつか壊れそうなジャン測よりずっと安心です。
 従って三田無線に校正込みの修理に出すのが良さそうです。 だが間欠的な不調だから様子を見てからにしようと思っています。 それに今はこれを校正できるだけの設備・手段もあるから安心して(?)開けられます。 常識的には素人が精密な測定器を無闇に開けるものではありません。開けたら精度の保証はなくなります。確認手段を持たない限りやめた方が良いです。

不調になったら迷わずDELICAに・・・と言うのがDELICAオーナーへのお薦めです。hi

内部の観察(1):基準コンデンサ
 折角だから観察ツアーをしましょう。 交流ブリッジの測定基準はこの1μFのコンデンサです。 取扱説明書によれば、MPコンデンサとありましたが、改良されMFコンデンサのようです。 良くはわかりませんがポリカーボネート型かも知れませんね。

 このコンデンサの長期的な安定性と温度特性が測定確度を決めます。 ダイヤル目盛からアナログ的に読取る測定器だからこれで十分なのでしょう。 実際、hp 4440B DECADE CAPACITORを使って比較測定したら十分な初期精度が保たれていました。安価ではあっても要所を押さえた設計と部品選定がなされています。

内部の観察(2):主可変抵抗器
 ダイヤル目盛板が直結されている可変抵抗器(1.1kΩ)です。大型で寿命の永いしっかりしたものが使ってあるようです。 可変抵抗器には機体番号が書かれていて、刻印された目盛板と対で使われるようになっています。なおDQダイヤルのVR(2kΩ)と2軸構造になっています。特注のVRなので、本機の心臓部の一つでしょう。

 測定の都度回されるのでこの可変抵抗器は抵抗値の再現性が重要です。このブリッジを購入する前、自作のキャパシタンス・ブリッジを使っていました。 初期性能はまずまずだったのですが、暫く使うと可変抵抗器が不安定になりました。 いわゆる『ガリオーム』の発生です。 測定器として永く使うには摩耗しにくく安定した部品を使う必要があることがわかります。

内部の観察(3):レンジ抵抗器
 ブリッジ回路の対辺に使う測定レンジを決める抵抗器も安定したものが必要です。 0.1Ωと言った高精度な低抵抗はマンガニン線を巻いた巻線抵抗器(写真)が使われていました。マンガニン線は、銅・マンガン・ニッケルの合金で抵抗の温度係数はほぼゼロです。

 こうした市販品で得難い部品を内製することによって、DELICAは古くから実用的で手頃な測定器を送り出していたのでしょう。 今は40年前より部品事情も良くなったので市販品でもそこそこの物が作れるかも知れません。 測定器の自作も奨励されますが、良く部品を吟味し要所を押さえておく必要があります。 

内部の観察(4):交流信号源とメーターアンプ
 約1kHzの発振器を内蔵しています。その出力をブリッジに加えて測定します。 また、ブリッジの平衡検出はメーターで行なうため、ハイゲインのアンプが必要です。

 ホームページにあったDELICAの製品開発史を見ていたらトランジスタの実用性を見て小型インピーダンス・ブリッジ/ミニ・ブリッジM1の開発を始めたとありました。  それ以前からインピーダンス・ブリッジはあって原理はまったく同じです。 但し発振器もメーターアンプもすべて真空管式なので、とても『ミニ』なサイズにはできなかったのでした。 測定器にこそ半導体が相応しいと言う好例でしょう。 乾電池で動作し手軽に持ち運べるミニブリッジは実際に便利な測定器です。
 回路はベークの穴開きボード(裏面に銅泊パターンはない)の上に作られています。 昭和30年代の少量生産品のスタイルです。 おそらくその当初の設計を踏襲して継続生産していたのでしょう。 配線は基板の裏面でメッキ線を使って行なわれています。

内部の観察(5):トランジスタは2SB56が主役
 取扱説明書の回路図では2SB113(ゲルマニウム・トランジスタ)もしくは同等品となっています。 ゲルマニウムトランジスタで設計した回路を単純にシリコンPNPに置き換える訳には行きません。
 購入した1975年ころと言えば、もうゲルマニウム・トランジスタも終焉するころでしたから、まだ入手できた東芝製を使ったのでしょう。 日本電気は早々にゲルマに見切りを付けたようです。2SB113は既に消えていたのでした。

 ゲルマニウム・トランジスタはあらゆる性能でシリコン・トランジスタには敵いません。しかし、その回路が必要とする性能が得られるなら何も支障はないのです。 無闇に設計変更せず継続して生産したのでしょうね。 たぶん補修用のパーツもそれなりに用意している筈なので三田無線が存続する限り修理に困らないでしょう。 保管さえしっかりしていればゲルマニウム・トランジスタが永く生き残る確率は高いと思います。(保存が悪いと劣化します・笑)
追記:最近修理に出したお方の事例によれば、シリコン・トランジスタを使って補修をするそうです。測定器としての機能を維持するのが優先ですからそうするのが合理的だと思います。実用品の修理であって、古美術品の修復ではないからです。(6月21日)

ミニブリッジM1Aの回路図
 この測定器は回路がすべてではありません。 良い部品の選定と十分な校正があってこそ実現できるものです。 だから回路図があって、単に真似ても似て非なる物にしかならないでしょう。(笑)

 しかし、どんな回路になっているかは興味の対象でしょう。 このBlogでは以前ヘテロダイン周波計を扱ったことがありました。 回路は同じように簡単でしたが、使ってある部品や校正こそ命であることを再認識した覚えがあります。このミニ・ブリッジM1Aにも通ずるものがあると思います。

 今ならICを使い低い電源電圧で、電池寿命も延ばせる低消費電流の設計も可能です。40年前の回路設計を感じさせますが測定原理は少しも揺らいでいません。

ダイヤル目盛
 測定値は刻印されたダイヤル目盛を読取ることで得ます。目盛はややマイナスの領域からゼロになり、最大は「11」までふられています。 いまレンジ・スイッチ(下記で説明)が100pFとあれば、そのレンジでは11倍の最大1,100pFまで読取ることができます。

 ミニブリッジは部品に加えるAC電圧が低いので、極性のある電解コンデンサも問題なく測定できます。 但しJISでは電解コンデンサの値は120Hzで規定しているので、1,000Hzのミニ・ブリッジでは異なる測定条件になります。 しかし実際上は殆ど問題はなくて別の測定器と比較しても顕著な誤差は感じません。 周波数の違いはあまり気にしなくても良いでしょう。 大容量の電解コンデンサと言えば容量はアバウトです。高精度を求めるケースなどまずありません。 普通は容量抜けがわかれば良いくらいです。 そうは言ってもこのミニブリッジの測定精度は大容量でも十分高いから安心できます。11,000μFまでが測定範囲です。

ダイヤル目盛:(操作部)
 上記のダイヤルは筐体下部に目盛板が覗いていて、そこを指で操作します。 ブリッジがバランスしてメーターの振れが最小になるポイントを見つけます。 だからBALANCEと書いてあります。





D Qダイヤル
 損失が僅かなコンデンサや抵抗の小さいコイルなら対辺の基準コンデンサだけでブリッジはバランスします。 しかし実際の部品には本来あるべき部品の成分・・・例えばコンデンサならキャパシタンス、コイルならインダクタンス・・・以外の損失成分が含まれています。

 そうした成分も含めたブリッジのバランスをとるために、対辺に小抵抗(可変抵抗)が入れてあり、そのツマミがこれです。 損失のある部品はこのツマミも併用してブリッジの完全なバランスを得て、ダイヤル目盛板から測定値、そしてこのツマミから損失分を読取ります。

 多くの場合、1μF程度までのコンデンサの損失抵抗はごく僅かなので、D Qダイヤルはゼロかその近傍でバランスするのが普通です。 もしそうでないなら、そのコンデンサは特殊なものか不良品でしょう。そうした判定にも役立ちます。 なお、電解コンデンサなどの大容量コンデンサではそれなりの損失抵抗があるのが普通です。 このツマミを積極的に使ってバランスをとる必要があります。 また、コイルは原理上このツマミがゼロでは旨くバランスしない筈です。 必ず少し回した位置から測定を始めなくてはなりません。 鉄芯入りインダクタの測定はなかなか難しくて高精度を得るのは難しいと思います。 逆にQが高い(=損失が少ない)フェライトの壷型コイルなどの測定は容易です。

バランス・メータ
 ブリッジのバランス検出用のメーターです。 零点がやや右にオフセットした特殊な物が使ってあります。 特注したメータでしよう。

 測定中には頻繁に振り切ると思いますが大丈夫です。 なるべくメーターアンプの感度を高くし、ブリッジのバランス点がわかり易いように使うのが高精度測定の秘訣です。 微妙なバランスがわかるよう、シビアにバランス点を探る必要があります。

モードとレンジスイッチ
 コンデンサ:C、抵抗:R、コイル:Lの測定ができます。 測定範囲はレンジ・スイッチで表示されたようにかなり広範囲です。 コンデンサの例で言えば、数pFから11,000μFまでカバーします。 もちろん工夫すれば更に大きな容量も測定できますがそれは応用の範囲でしょう。(笑)

 測定レンジ内にあっても計るのが難しいのが小さなインダクタンスのコイルです。 マイクロ・ヘンリー(μH)オーダーのコイルは、別の原理の測定器を使うべきだと思います。

 そうしたコイルは一般に高周波用なので、1,000Hzで測定するより実際の使用周波数に近いところで測定すべきです。 そうした意味でミニ・ブリッジも万能ではなく、QメータやGDM+標準コンデンサの助けを借りたコイルの測定も考える必要があります。

 100pF以下のコンデンサも以前Web記事で紹介したような小容量計の方が扱い易いし高精度です。 ラダー型フィルタの設計に必要な数pFの容量を0.1pF以下の分解能で測るのにはミニ・ブリッジでは不十分でしょう。 なんでもそうですが適材適所です。

【電池ボックス】
 立派な電池ボックスです。(笑) 電池は006P/9Vを使います。消費電流は10mA以下なので、そこそこ長時間動作しますが、それでも多量の部品を検査するには不向きです。
 電池電圧の低下は直接測定精度に影響しませんが、メータアンプのゲインが下がってバランス点がわかり難くなります。 そう感じたら電池交換すべきです。 極端に電圧低下すれば1kHzの発振も止まってまったく測定できなくなります。

 ところで、接触不良の原因は調査の結果この部分にある事がわかりました。 006P乾電池用・電池スナップが緩くなって接触が怪しくなっていたのです。 開ける必要など無かったのだったのでした。やれやれ。(笑)

ACブリッジとDCブリッジ
 M1AはDCブリッジ・・・ホイートストン・ブリッジの機能も持っています。 ブリッジに直流を加え、直流的なバランスを求めて抵抗値を測定する機能です。

 但し、乾電池に対する負荷は大きくなりがちなので、もしこの機能を使うなら、ACアダプタで外部から電源を供給した方が安心です。

 滅多に使う機会はないから、この機能はなくても良かったと思っています。 ホイートストン・ブリッジはYEWなどの古典的な中古品が廉価にあるからそちらを買うべきでしょう。ガルバノメータが付いた黒いベークライトのアレです。

持ち運ぶ
 こんな手提げが付いています。 持ち運びを意識した設計で、この状態で置けるよう底部にゴム足も付いています。 デジタル万能な時代なので、インピーダンス・ブリッジは今どきの新入社員には操作できないかも知れません。オジサンの測定器なのである。

だから私は好きだ。(笑)

(陰の声:そんなに難しい測定器ではありません)

 このBlog、リペアの参考にはならないし操作インストラクションでもありません。 特定の会社の一製品を扱うことは滅多にしませんが、既にこのM1Aは生産されていません。 良い測定器だと思うので残念ですが、アナログな計器は今どき流行らないのでしょう。 書いてみて結局のところ読み物風と言う事で暇つぶしにでもなれば目出たしと言うところです。 de JA9TTT/1

(おわり)

追記:(DELICAの廃業について)
DELICA 三田無線研究所が創業したのは1924年だそうです。 1924年と言えば大正13年です。社団法人:東京放送局(後の日本放送協会・NHK)が設立された年にあたります。 Radioと共に歩んだ同社の歴史が伺い知れますね。そのDELICAは今年2009年になって販売を中止し廃業するとアナウンスしました。80年以上の歴史がある会社が幕を閉じるのは寂しい限りです。これからもアマチュアの心を捉えた製品を送り続けてくれると信じていただけにとても残念です。当面は保守サービスに応じるそうですから、長く愛用する気持ちがあるならお手持ちを整備に出しておいたら如何でしょうか。(2009年12月20日)

(Blogger新仕様対応済み。2017.03.30)

2009年6月7日日曜日

【回路】YIG Oscillators

YIG Oscillator/YIG発振器とは何であろうか?

YIG共振器を使った発振器のことで、YTO(YIG Tuned Oscillator)とも言う。一般には可変周波数型の発振器であってPLL周波数シンセサイザのVCOなどの用途で使われる。 その特徴はGHz帯で広い周波数可変範囲が得られることにある。位相雑音が少なく、奇麗な発振出力が得られるのも好まれる理由だ。

YIGとはYttrium Iron Garnet/Y3Fe2(FeO4)3の略で一種の磁性フェライト材である。(Yttrium:イットリウム) YIGの単結晶フェライトで作った真球(Sphere)は磁界の中に置かれると高い周波数で鋭い共振特性を示す。要するにHigh-Qな共振器なわけだ。その共振特性を利用して発振回路を構成する事ができる。それだけでは水晶発振器と違いはないように感じるかもしれない。そのYIG球だが、共振周波数が磁界の強さによって変化するのが大きな特徴である。球の近傍に置いた電磁石に流す電流によって球に加わる磁界Hを変えてやれば、共振周波数を可変できる訳だ。

写真はYIG発振器の心臓部である。黒光りする球体がYIG球で、直径0.2〜0.8mm程度のものが使われている。球は熱伝導性のセラミック・ロッド(一般に酸化ベリリウム磁器)の先に接着してある。これは、YIG球が温度の影響も受けるからで、ロッド根元のヒーターで球の温度が一定になるよう制御する。(注:ロッドは回転させて共振する向きに球を調整する役割も重要)

 YIG球を取り囲むような薄板の帯(オビ)は、発振回路と結合するためのワンターン・ループコイルである。左側のセラミック基板上に発振回路が構成されている。GHz帯なので極小の部品が使ってある。発振回路はトランジスタ式とFET式がある。位相雑音はトランジスタ(BJT)の方が優れるものの高い周波数のものが作れないとのことだ。最近の製品ではSiGeへテロジャンクション・トランジスタの登場により一段と性能を向上させている。

YIGオシレータは発振回路、可変磁界を作るコイル、YIG球の温度制御器を一体化したモジュールで供給される。 コイルに規定の電流を流しYIG球に磁界を与えた状態で発振回路に電源を加えれば出力端子に信号が出てくる。YIG球から発振器を自作する訳ではなく、完成したモジュールを使うに過ぎないから何も難しくはない。(・・と思う)

予備テストその1:(MEP-150)
 拙宅にあったYIGオシレータである。 測定器のメーカー、ADVANTEST社の旧社名であるタケダ理研と書かれているものだ。だいぶ古そうである。 ハムフェアのジャンク市で入手したものと思う。 端子接続はこの手のモジュールの標準的なものである。書いてある端子名を頼りに接続すれば良い筈だが、ドライバ回路の設計に必要な数値的な情報を得るために予備実験によって実測することにした。

もっとも重要なのは主同調用コイル(Tuning Coil/T-Coil)に流すDC電流と発振周波数の関係である。 コイル電流を可変しながら電流と発振周波数の関係を調べた。 その結果このモジュールはT-Coilの電流を約60mA〜180mA可変すると約1.6〜4.4GHzをカバーすることがわかった。その範囲を外れると発振は停止する。出力パワーは周波数によって多少変動するが、約15dBmくらいあるようだ。 だいぶ古そうな中古品だが性能は問題なさそうで、十分使えると思う。 他に発振部の所用電流なども合わせて測定しておいた。

もっと高いかと思ったが低い周波数のものであった。必要なのはもっと高い周波数なので今回は使わないが、何時か使う時の為の情報を集めておいた。このYIGオシレータはS-Band用という訳だ。いずれ2.4GHz帯のトランスバータでも作る時に使いたいと思う。

予備テストその2:(TOP1245)
 上記よりもう少し新しそうなモジュールである。こちらは貼ってあるラベルに周波数範囲が書いてある。 従って下限と上限の周波数になるときのT-Coilの電流がわかれば良い。

各電源の電流など、設計に必要な情報を得て予備調査を終えた。その結果、可変範囲には多少マージンがとってあってコイル電流:180mA〜420mAで3.6〜8.2GHzをカバーできるようだ。 発振出力は上記と同じように15dBm以上(30mW以上)あるので直接信号を分配できるのでなかなか使い易そうだ。このYIGオシレータはC-Band用という訳だ。

ADVANTEST社のYIGオシレータは自社の測定器用(スペアナなど)らしく、モジュール単体での外販はしなかったようだ。 現在もアクテブなYIGオシレータのメーカーとしては、Micro Lambda Wireless社などがある。

使い方の一例:Driver回路の製作
もっとも簡単なYIGオシレータの使い方と言えば、可変電流源でT-Coilの電流を変えれば良い。あとは発振部に電源を与えてやるだけで所定の発振出力が得られる。 コイルの直流的な巻線抵抗は温度により変動する。抵抗値が変化してもコイルの電流が設定した値に保たれるよう『定電流回路』を使うのである。なお、定電圧源ではコイル抵抗が変動すると電流が変わってしまうから駄目である。これだけでGHz帯の可変周波発振器になる。

 10回転の可変抵抗器で3.6〜8.2GHzを可変するよう設計した。安定した10Vを作りそれを分圧して得た電圧で、電圧・電流変換回路(定電流回路)を駆動する。 そのほか発振回路に必要な電源を用意している。 GHz帯の製作とは言っても、ここまではDC電源の製作であって特に難しいものではない。

 なお、YIGオシレータはどれでも同じような使い方をするので、他のモジュールでも同じ回路が使えると思う。もちろんT-Coilの電流はそれぞれ異なるので使う物に合わせた変更が必要である。 最近のモジュールはマイナス5V電源が不要なものが多いようだ。

:参照あるいは追試して頂くことは意図していないため上記回路図は良く読めないようになっています。回路図や資料のリクエストなどのお問合せはご遠慮下さい。なお、この図面には後から追加した重要部品が数点抜けているため、そのままではYIGオシレータの破損等が考えられます。ご注意を。 ドライバ回路はYIGオシレータのメーカーであるMicro Lambda Wireless社のサイトなどに具体例があるのでそちらを参照するよう願います。

試作試験中:
 このような感じに組み立ててみた。 いずれ箱に入れたいと思っている。 その際は電源部もすべて内蔵した方が便利だろう。 

 なお、ごく短時間の実験的な動作ならそのままでも大丈夫そうだが、連続運転を行なうにはYIGオシレータ本体も十分な放熱をする必要がある。 より高い周波数のオシレータでは磁界を強く掛ける関係で、T-Coil電流も多く、DC抵抗分による発熱が無視できないので必ず放熱が必要である。逆に2〜4GHz程度のものは楽なようだ。高価なYIGオシレータを過熱させて壊さないよう注意されたい。最近のYTOでは永久磁石を併用するものがあって、低消費電力・低発熱に寄与しているようだ。

本回路であるが、旨く動作してもちろん設計通りの周波数可変範囲が得られた。


制御回路:
 DC+10Vの高精度基準電源と電圧可変型の定電流電源回路である。 モジュールが要求する各種電源は3端子レギュレータで間に合わせている。 +15V電源は電流が多いので十分な放熱が必要である。-5V電源は小電流なので、簡単なフィンを付ける程度でも良さそうだった。

電圧可変型定電流電源の制御トランジスタも結構発熱するので、十分な放熱を行なっている。 回路基板を放熱器に一体化する構造で製作したが、十分なサイズの筐体に入れるのであれば、シャシに放熱しても大丈夫そうであった。

すこし改善が?
 YIGオシレータモジュールの周波数安定度は思った以上に良好であった。 お陰で、使った部品のアラが目立つ結果となってしまったようだ。(笑)

 茶色の大きな抵抗器は4Ωと6Ωのもので、直列にして10Ωを得ている。 もちろん単体で10Ωの抵抗器でも良い。 かなり発熱するので、許容電力はもちろんだが温度特性の良い抵抗器が良いのはもちろんだ。 一応、金属皮膜抵抗器なのだが、思ったよりも温度係数(正)が大きいようである。 コイル電流を変えると自己発熱量が変わって抵抗値が変わってしまうのだ。その結果コイル電流が変化し、揚句は発振周波数が変動することになる。電流を変えると周波数が落ち着くまで少し時間が掛かる。

 サーミスタでもあるまい、抵抗値がべらぼうに変わるわけではないから周波数の変化はごく僅かなのでPLLなど周波数制御してしまえば全く気にならないだろう。 それでも、なるべくなら温度係数が保証された安定な抵抗器を使うべきだと思う。

 これは無制御のままで使う可変周波発振器(一種の自励発振器)なので回路部品の性能がもろに見えてしまった訳だ。目的・用途によっては気にする必要はない程度かもしれないがもう少し良い抵抗器に交換したいものだ。 現状の周波数安定度はYIGオシレータによるものではなくて、ドライブする回路側の性能が支配している。 それだけYIGオシレータ固有の周波数安定度は良好だと言うことだ。

                   ⭐︎

 最近はハムフェアのジャンク市にも登場するから、高い周波数に興味があるなら手に入れて置くと良いかもしれない。 これも使い道が良くわからんようでは『猫に何とか・・』と言われかねない少々高級なジャンクである。(笑)

2009年6月1日月曜日

【HAM】136kHz帯のVXO(3)

セラロックを使ったVXOの続き、第三回である。目的は長波の新HAMバンド:136kHz帯の送信機用だ。

結局、実際にVXOを作ってみることにした。セラロックのVXOで必要な周波数範囲を楽々カバーできそうに思えてきたのだ。
(VXO:Variable X-tal Oscillator=可変周波水晶発振器のこと。但しここでは水晶発振子ではなくセラミック発振子を使っている)

結果は上々、十分使えそうなものになった。

 C-MOSのInverterを使った発振器で矩形波を得て後段の分周器に直結する目論見だ。 予定通り奇麗な矩形波が得られている。 VXOの要(かなめ)はVXOコイルだが既製品に最適なものはない。自分で巻くか既製コイルを改造するのが普通だ。 ここでは手持ちの中から改造しやすそうな20mHの可変インダクタを使った。大幅に巻き戻して適当なインダクタンスまで減じている。写真中央の赤い巻線のコイルがソレだ。新宿の喫茶店『談話室:滝沢』で『QRP懇親会』をやっていたころ、その席でSさんに頂いたものだったと思う。何年も掛かってやっと日の目を見た。(笑)

 ポリバリコンはAM/FMラジオ用4連である。約9kHzの可変にはAM用2連の片セクションで十分だった。容量可変範囲は10〜275pFである。 その必要もないがVXOコイルのインダクタンスをもっと大きくすれば更に広く可変できる。 ただし無闇に広げると下端の周波数でトーンが濁る感じが出てくる。あまり欲張らない設計が無難なようだ。これは水晶発振子を使ったHF帯のVXOでも同じである。

発振段とBuffer段に使った余りのC-MOS Inverter(4つ)は適切に処理しておく。各入力ピンは全てアースし各出力ピンはオープンのままにする。(こんなことは常識だろうけど・・)

周波数安定度を見ている。

最終周波数136kHzの倍の272.000kHzにバリコンを合わせ評価してみた。 水晶発振子に比べ温度特性に劣るセラロックだが、室温で1時間ほど見て数Hzの漂動に留まるようだった。基板を箱に入れれば改善方向だからこれで十分な安定度だ。

セラロックVXOの可変範囲は相当広く取れることがわかったが、実用上必要な範囲に狭めている。 可変範囲の下端を270.000kHzに調整すると上端は279.040kHzになった。 これは分周して135.000〜139.520kHzとなり、HAMバンドの135.700〜137.800kHzが余裕でカバーできる。 むしろオフバンドに気を付けなくてはいけない。
 シングルキャリヤのCWでもキーイングで帯域幅を持つ信号になるからバンドエッジから300Hz以上内に入った所でオンエアする。 オンエアの監視用に周波数カウンタを付けると安心できる。これには開発済みのAVRマイコン式カウンタがうってつけだ。精度を維持する為にカウンタの基準発振器にはせめて秋月の200円TCXO()くらいを奢ってやりたい。(:残念ながら200円のTCXOは売り切れたようだ。追記:2010年4月30日=>参照リンク

このVXO、製作の再現性はどうだろう。VXO回路は第二回で紹介した書籍『発振回路の設計と応用』にあったセラロックを使ったVCOを280kHzに合わせてアレンジしている。回路は本を参照してもらえば良いが、部品構成から見て再現性も悪くない筈だ。

VXOコイルの市販品はないが、AMトランジスタ・ラジオ用の部品が活用できるだろう。 インダクタンス可変型のコイルを使えばVXO範囲の調整に便利だ。 従って一番のポイントは写真のセラロックにあるだろう。 残念ながらネットサーチではCSB280Dの通販は発見できなかった。(CSBLA540Kと言う540kHzのセラロックならDigiKeyにある。4分周で使えるかもしれない。@75円〜)

 CSB280Dは何年も前に秋葉原で買ったものだ。 少し前に店頭を覗いたらもう無いようだった。 こんなセラロックは特殊だから普通は置いてない。だから何処かに密かに気付かれずジャンク品が眠っている可能性もあると思う。そうだと良いのだが・・・。
 昨今にわかに長波ブームのようになっていて136kHzに着目するHAMも多い。だが、アンテナを含めてHAM局構築の難しさが認識されてくれば急速に冷めてしまいそうだ。 136kHz帯の送・受信機を作るHAMは僅かかも知れない。 自作に役立つセラロックが出回ってくれたら活性化に役立つと思う。 ダイレクト・コンバージョン受信機への活用も見込める。それにVXOの実験は懐かしさが感じられて楽しいものだ。(笑)

新HAMバンド・136kHz帯の送信機用VXOはこれで良しとしよう。ダイレクト・コンバージョン(DC)受信機にも良さそうだ。2,200mバンドの実験用発振器としても役立つだろう。
 定説通りセラロックVXOは広い周波数可変範囲があることがわかった。3〜5%の可変など容易いと言うことだ。 例えば455kHzのセラロックなら難なく20kHzを越えるVXOができる。従ってCSB455E/CRB455Eで作った世羅多フィルタにマッチしたBFOが同じセラロックで作れる訳だ。 そのBFOはC-MOS Inverterで発振させるのも良いが、矩形波の必要はないからFETやBJTで作れば良い。
 発振器である以上、周波数安定度も気になるが、元々のセラロック発振器なみでVXO化による変化は感じられない。要するにVXO化しても水晶発振のように違いが表面化しないわけだ。セラロックは水晶に劣るが低い周波数のものは変動の絶対値も小さいから問題になるほどでない。

注:官報やJARLのバンドプランなどを見ると『135kHz帯』となっているが、世界的には『136kHz帯』と称する例が多いようだ。(136kHz帯のIARU標準バンドプランがwikipediaにある) なお、役所に逆らうつもりはないが、ここでは一応136kHz帯としている。このHAMバンドの指定周波数は「136.75kHz」である。