2010年11月14日日曜日

【部品】Dome Tweeter 25HP03

【ドーム・ツゥイータ:25HP03】
 スピーカ修理の話しである。 写真はART Audioと言う聞いたことのないブランドのチープなDome型Tweeterである。Tweeterが高音域用スピーカなのはオーディオをやらなくても知っているだろう。

 後ほど登場するが、2-Wayスピーカの高音域を受け持つTweeterが片側断線してしまった。音域を広くするためかデリケートなユニットらしい。過大な入力とかではなくても(経年変化で?)故障するようだ。 しかも古いものなのでメーカーも面倒は見てくれない。やむをえないので市販ユニットに交換して修理を試みることにした。

 このTweeterはφ25mmのドーム型である。断線したのはもう少し大きなφ30mmである。どちらもソフト・ドームなので音色は類似しているはずだ。またクロスオーバー周波数も3kHz(12dB/oct)と高めにとってあるから再生域に心配はない。φ25mmのドーム型ツゥイータの再生下限は2kHzあたりにあるからクロスオーバーとの関係も丁度良い。(実は、この安物ツゥイータには何にも仕様書が付いていないのだ・笑)

 音色のほか気になるのはインピーダンスと音響効率であろう。 インピーダンスは公称6Ωだが周波数によって変化するものだ。従って公称値がほぼ同等なら支障はない。 むしろ音響効率の方が重要だ。低域側スピーカと違い過ぎるとクロスオーバー周波数でうまく繋がってくれない。効率は振動系の質量や磁気回路の性能でかなり違って来る。 Tweeterの方が高効率ならアッテネータで合わせる事は可能だ。それが逆だと厄介であるが普通はあるまい。

【25HP03のマグネット】
 フェライト・マグネットが使ってある。ネオジム・マグネットだそうだが、見た目は普通のフェライトなのでどうもウソっぽい。(笑) 通販品が届いたとき、余りにも軽いので心配になった。 φ25mmの高音用なので大きなマグネットは必要ないと言えばそれまでだろう。しかしスピーカの磁気回路は強力な方が効率が良いのも確か。

 これが振動系の質量が大きな低域用スピーカならダンピングにも関係するのでマグネットは大きい方が明らかに有利だ。コーン紙の口径ばかり大きくても、マグネットが貧弱ならそのスピーカは安物だろう。

 秋葉原で見かける無名スピーカ・ユニットにも時々良いものがある。コーン型SPならエッジ部分とマグネットに着目する。それでそのスピーカの性格(用途)がわかるくらいだ。 無線機に良いスピーカは不要と言う人がいるが、正しく音質レポートを返すためにもクセのない良いものが欲しい。 逆にCW専門なら妙な共振さえなければフィルタ的な周波数特性が良いのかもしれないが。 なお、これから修理するのは無線機用ではなくて一応はHi-Fi用だ。(笑)

 秋葉原に出掛ける暇がなかったのでコイズミ無線の通販を利用した。どんなTweeterなのか現物を見るまでは心配だったが単体テストしてみたら思ったよりも良さそうだ。表から見た感じも悪くない。(@¥1,450-) 交換したらあらためてレポートしてみたい。 de JA9TTT/1 

つづく)←続きへリンク


2010年11月9日火曜日

【書籍】The ARRL Handbook 88th ED

【ARRL Handbook 2011】
 2011年版ARRLハンドブックが届いた。先日Amazon.co.jpに注文しておいたものだ。円高の恩恵を受け、¥3,837(税込み)であった。ここで言う税金とは消費税のことである。送料は無料だ。

 現在、米ARRLのWebではボーナス・プライスの$49.95-でハードカバー版(通常$59.95-)が購入できる。もしハードカバーが欲しいなら直輸入も良いだろう。しかしソフトカバーで良いなら、送料いらずのAmazon.co.jpからの購入がお得だ。

 肝心の中身だが、前のHandbookを買ってから10年以上経過しているなら非常に目新しく感じるはずだ。 しかし昨年購入したのなら代わり映えしないのでガッカリするかもしれない。ARRL Handbookは2010年版から編集方針が大きく変化した。2011年版はその方針を継承している。おもに情報を追加したマイナーチェンジ版のイメージである。分厚い電話帳のようなボリュームの1,416ページだ。

 現在のアマハンは各章ごとにハンドブック(=便覧)らしくまとめられている。以前のような『製作記事』は少しになり『無線機製作読本』の性格は薄くなっている。(もちろん、非常に面白い製作記事も依然残ってはいるのだが・・・)


【Do-It-Yourself:Wireless Technology】
 Handbookとして力を入れている部分はどこか? 要するに便覧(ハンドブック)らしく自作や HAM局の運用に必要な幅広い情報が掲載されている部分だろう。 あたかもハンドブックを見ればHAMの大抵の事がわかることを目指しているような総合的な解説書の色合いが強くなった。

 回路理論の解説は勿論だし電子デバイスの基礎も網羅している。 そして新しい所では表面実装部品の扱い方も詳しい。それに合わせた基板ランドパターンの例なども載っている。温故知新な記事もない訳ではないが、新しい情報にも結構敏感なのだ。

 もちろん昔ながらの同軸コネクタの結線方法も健在だ。どこぞの国のようにM型コネクタさえマトモに組立てられないHAMの大量発生を防ぐ配慮であろうか。(笑)

 裏表紙:Do-It-Yourselfのフレーズはアマチュア無線を的確に表現していると思う。 電気通信が進歩した現代において、単に機器を入手し通信するだけならスマートフォンやi-Padの方が気が利いている。 では何がアマチュア無線の面白味かと言えばD-I-Yにある。たとえ無線機は購入したとしても、より良く通信するにはアンテナと言った部分にD-I-Yは不可欠だ。

 免許や法令の範囲内とは言え、電波形式、周波数、電力・・・そしてアンテナの素材・構造や通信機器の内部に至るまで、自身で幅広くチョイスできるのはアマチュア無線:Ham Radioだけである。 D-I-Yした無線機でオンエアなんてプロの通信士にも認められていない。 その部分を捨ててしまったのでは面白さも一緒に捨てたに等しいと言うことなのだろう。 de JA9TTT/1

(おわり)