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2011年1月9日日曜日

【回路】V-I Converter

電圧・電流変換回路:V-I Converter
 V-Iコンバータは入力された電圧を電流に変換して出力する回路だ。例えば、1V→1mA、2V→2mA、3Vなら3mAと言うように出力電流は入力電圧に比例する。(・・ように設計してある)

 写真は回路の動作を実験的に確認している様子だ。まずはラフな回路で動作の仕組みを確認しており、取りあえず高精度は求めない。従って抵抗器の誤差やOP-Ampのオフセット電圧がV-I変換の誤差となるのは織り込み済みだ。それがどの程度影響するのかも観測対象である。

 この状態で変換誤差は〜2%程度、オフセットは入力電圧換算で数mV相当であった。 例によってOP-AmpにはJ-FET InputのTL074CNを使った。従って電流検出抵抗及び負荷抵抗は数100kΩあたりまでならバイアス電流は無視できる範囲にある。 汎用のJ-FET-Input OP-Amp.で問題になるのはやはり電圧オフセットにありそうだ。

I-Vコンバータの回路例
 V-Iコンバータの回路は幾つもあって左図はその一例だ。 以前のBlog『YIG Oscillators』で、YTOの主コイルのドライブに使ったのもV-Iコンバータであった。 但し、片方向の磁界のみ与えれば良かったので、電流も一方向であり少し異なった回路を使っていた。

 V-Iコンバータの特徴は何であろうか。 ここに電圧源があって抵抗器を繋げば抵抗器には電圧に比例した電流が流れる。これはV-I変換になる。いま1Vに1kΩなら1mAが流れる。

 しかしV-Iコンバータはその抵抗器が幾らであろうとも入力電圧で決まる電流を流そうとする。 1Vで1mAの関係なら負荷が1kΩでも2kΩでも1mAを流そうとする。従って2kΩなら両端の電圧は2Vになっている。 もちろん出力を短絡(ショート)しても流れるのは1mAだけだ。

 では負荷抵抗が1MΩでも正しく動作するのかと言えばそれはNOだ。1MΩに1mA流すには1,000V必要になるが、OP-Amp回路からそんな電圧は発生できない。 普通は±15V程度の電源電圧で動作させるから出力は±10V少々までと考えるべきだろう。 回路の電源電圧が決まれば動作範囲も自ずと決まってくるのだ。この出し得る上限電圧を電流源の「コンプライアンス電圧」とも言う。(もちろん電源電圧が±1,500VのOP-Amp回路だって困難はあっても不可能ではない・・・が、それでも負荷が10MΩになった途端に破綻する・笑)

「真のV-Iコンバータはもし負荷がオープンになったなら端子間で放電してでも一定電流を流そうとする恐ろしい回路だ」(^ ^;;

 このV-Iコンバータは両方向型である。 入力電圧が正のときには電流を出力し、入力が負電圧なら出力端子は電流を吸い込むように動作する。 即ち「負の電流」も出力できる。 従ってGNDレベルを中心とした正弦波(電圧)を入力すれば『正弦波状の電流出力波形』が得られる。 なお、上記ブレッドボードの試作例は信号源抵抗が変換精度に影響しないよう入力にバッファ・アンプを置いている。 他の部分は回路図と同じだ。写真は実験初期のもので反転型から試したので少しだけ結線を変えている。(注:回路図は非反転型)

三角波電圧→三角波電流
 ファンクション・ジェネレータ(FG)から三角波電圧を与え、V-Iコンバータ回路を通し、その出力には抵抗器を接続する。 抵抗器の端子間電圧Vは電流値Iに比例するから,このように再び電圧に変換されて観測される。

 たとえば、長いケーブルの先に信号を送りたいとする。 ノイズを防ぐため、ケーブルの受端にある負荷抵抗は比較的低めに選ぶべきだろう。しかしケーブルには抵抗があって、しかも周囲温度で変動する。 そのような時はV-Iコンバータで電圧信号を電流信号に変換して送れば良い。 振幅1Vの電圧信号→振幅10mAの電流信号に変換して送れば、負荷抵抗:100Ωの両端で再び振幅1Vの信号として取り出すことができる。もちろんケーブルの抵抗値が変動したとしても誤差にはならない。

 ほかにも電流信号に変換すると扱い易くなる例も多く、V-Iコンバータは有用なものだ。もう少し大きめの電流が取り出せるようにすればYTOのFMコイルをドライブするにも良さそうだ。

負荷はダイオード:1S1588
 負荷にダイオードを付けてみる。 ダイオードのV-I特性が観測される。 ダイオードの順方向電流対端子電圧は直線ではない。 写真の様になる。(注:三角波に+オフセットを掛けてほぼゼロV、即ち0mAの所からスタートするようにしてある)

 このように電圧・電流特性が直線的ではないデバイスのI-V特性を観測するにも役立つ。  三角波は時間対電圧が比例関係だから、電圧対電流特性を管面で観測していることになる。
 なお、オシロスコープをX-Yモードにし、X軸を入力三角波で振らせY軸をダイオードの両端電圧で振らせればより直接的にダイオードのI-V特性を描ける。

              * * * * *

 回路要素の実験は詰まらないだろう。その詰まらそうな回路も幾つか集まると面白そうな物が出来上がる。 これは年末に考えていて気になったテーマだった。まずは実験としてブレッドボードで荒削りに試してみた。 この先ではもっと大きなダイナミックレンジが必要とされるはずだ。 うまくOP-Amp.を選び各抵抗器の相対誤差を小さくすれば概ね行けそうに思う。アナログ回路ではこの「行けそう」と言う感触を得るのがとても重要だ。(笑) de JA9TTT/1

(おわり)

6 件のコメント:

JG6DFK さんのコメント...

おはようございます。

オーディオ用D/Aコンバータには電流出力のものが結構あり、I-Vコンバータ(といってもほとんど普通のアンプですが)のお世話になる機会は多いのですが、V-Iコンバータのお世話になることは今までにありませんでした。確かに、YTOのドライブには有効そうですね。

YTOのドライブにはかなりの電流が必要なようですが、今はパワーオペアンプが簡単に入手できるので、それを使えばほぼ同じような回路でいけるでしょうか。そうなると、Ni-MHなどの定電流充電にも応用できるかもしれません。もっとも、そういう用途なら317あたりが適任で、しかもローコストかもしれませんが…

蛇足ですが、先日アナログ回路の知識も豊富そうな若い人と少しだけ話す機会がありました。少々意地悪な言い方かもしれませんが、その人がその知識をどれだけ実戦に生かせるか、大いに関心があるところです。

TTT/hiro さんのコメント...

JG6DFK/1 児玉さん、おはようございます。

さっそくのコメント有難うございます。
> D/Aコンバータには電流出力のものが結構あり・・・
むしろI-V変換を内蔵しているDACの方が少ないくらいですね。簡単に電圧変換できますし、設計の自由度が大きいので電流出力型で製品化しているのでしょう。

> そういう用途なら317あたりが適任で・・・
片方向だけで良くて、非常に小さな電圧・電流のところまで直線性保持する必要がなければこの回路の意味はないかも知れません。OP-Ampの後ろにPNP-NPNのブースタを付けてやればPower OP-Amp.は使わなくても大電流化はできますね。精密に総流入電荷量が問題になるような化学的な反応や実験には有用かも知れません。電池の充電も化学反応でしたね。hi hi

> その知識をどれだけ実戦に生かせるか・・・
料理と同じで素材をいっぱい持っていてもおいしい料理になるかどうかはその人のセンスですから・・・。お客を唸らせるような旨い料理を期待しましょう。(笑)

JG1EAD 仙波 さんのコメント...

加藤さん、皆さん、こんばんは。
これはYTOのFMコイル用の回路の検討を兼ねての実験でしょうか。以前、加藤さんの実験に刺激されてAvantekのYTOを入手して、しばらく放置したのち昨年秋頃にアプリケーションノートを見て高精度オペアンプ等の部品を集めたところでまたストップしていますが、今度トランスを買いに行ってきます。

TTT/hiro さんのコメント...

JG1EAD 仙波さん、こんばんは。

厄介なBlogネタにコメント頂き有難うございます。hi
> FMコイル用の回路の検討を兼ねての実験・・・
FMコイルの電流はOP-Amp直接では無理があるのですが同じ回路で行けそうだと思っています。

 YTOで作ったPLLのC/Nを良くするのには主コイルをマイコン経由のDACでおおよそドライブし、PLLの方はFMコイルでやる方法が有利だと思っています。 全部の可変範囲を直接PLLでやるとVCOが非常に高感度になってしまい制御信号のホワイトノイズまでジッターになって見えてしまいそうです。hi hi

> ストップしていますが、今度トランスを・・・
FBなSSGを購入されましたので、YTOは機器組込み用にお使いになるのでしょうね。 低ノイズな性能が活かせるように製作されて下さい。温度係数が小さな低抵抗も見つけておくとFBです。

JE6LVE/Takahashi さんのコメント...

こんばんは~

土日と淡路島の洲本温泉に一泊して、今日は四国の高松まで足を伸ばして讃岐うどんを食べてきました。

V/Fは良く聞きますが、V/Iというのは始めて知りました。
YIGの制御などに使用されているのですね。

OP-Ampの1Mオームで1000Vというのは、
回路シミュレーションで時々やってしまいます。Hi

>アナログ回路ではこの「行けそう」と言う感触を得るのが・・
「行けそう」と思ってもうまくいかないアナログ回路・・
実経験とノウハウが必要です・・(笑)

TTT/hiro さんのコメント...

JE6LVE/3 高橋さん、こんばんは。

地味なBlogにコメント有難うございます。hi hi
> V/Iというのは始めて知りました。
電流制限もその一種ですが、電流との関係が重要な用途では使われることが多いです。化学反応とか磁気回路のような・・・。ただ両極性型はあまり使われませんね。

> 回路シミュレーションで時々やってしまいます。Hi
はいはい、シミュレーションだと何千Aとかウン万Vとか感電の危険もなくできちゃいますからね。hi hi

> ・・と思ってもうまくいかないアナログ回路・・
逆に旨く行かなそうに見えて立派に働くと言うのも稀にはありますね。 当たり前ですがアナログな動作なのでデジタルにはないアヤシい挙動があったりして・・。

休日1,000円高速を利用されて、ご家庭サービスでしょうか? 私も讃岐うどん大好きですよ。四国が近くて羨ましいです。(爆)