EX

2011年2月11日金曜日

【AVR】more AVR Keyer

AVR Electric Keyer
 プログラムのバージョンアップはマイコン工作の常であろう。配線変更や部品追加を伴わずに機能の追加・改良が簡単にできることも多い。 このAVRエレキーもご多分に漏れない。 さっそくプログラムのバージョンアップだ。 但し、機能を活かす為にすこし配線の変更も必要になった。これは前のBlogの続きである。

 追加したいと思っていたものに「オートパワーオフ機能」があった。 スイッチの切り忘れには効果的だ。 言うまでもなく乾電池を電源にした機器にはあった方が良い。

 AVRマイコン自身に省エネ機能があってBASCOM-AVRからも利用できる。 さっそく盛り込むことにした。 前のBlogでAVRキーヤーを扱ってからJN3XBY岩永さんのBlogでも改造があって改良にあたってはそれも参考にさせて頂いている。

 私はオートスリープ機能だけ盛り込んだ。 なるべく元のプログラムをいじらぬ方針で臨んだので岩永さんのバージョンとはだいぶ違う感じになった。(笑) 貴方がメッセージメモリも必要なら岩永さんの所を参照されたい。 私はいらないので機能追加しないと思う。

 プログラムはコンパイル済みのHEXファイルで供給するが、前のBlogのようなTEXTエディタにコピペする方式はやめた。Dropboxと言うクラウド・スペースに保管する方法にしたので、以下のリンクから直接ダウンロードできる。(このクラウドに危険はない・笑) このファイルは専ら作った人自身が使う趣味の製作用である。それ以外の目的で利用したいなら連絡と承認が必要だ。

Tiny26L_Keyer_V320.hexのダウンロードは==>こちらから。

参考:ATtiny26Lは、ATtiny26の低電圧バージョン。上記のHEXファイルは、ATtiny26でも使える。 但し、電源電圧の下限は26Lの2.7Vに対してLナシは4.5Vなので注意を。

AVR Electric Keyer Ver.1.1.1】シンプルバージョン
 前のBlog:AVR Keyer Part.1にあった回路に相当するものだ。キーイング・デバイスにはデジタル・トランジスタを使うバージョンである。回路図の青線で示した配線はプログラムの書込み用なので頒布品で製作する時は不必要。CN1:ISP-SIP7Pinコネクタも必要ない。

 回路の変更は以下の通り。
(1)可変抵抗器(VR)の接続変更。
オートパワーオフ(Auto Sleep )機能を追加したので、Sleep中はVRに電流が流れ続けないように対策しないと勿体ない。このため、VRのホットエンドを電源ライン(Vcc)からではなく、ポートPA2(Pin.18)から取るようにした。

 ポートの出力インピーダンスは低いから、High(=1)を出力するれば軽負荷において電源電圧近くまで振れる。従って、機能的には前と同じにできる。 Sleep状態に入ったらポート出力をOFFしてしまえば、VRに電流は行かないから無駄に電池を消費しなくなる。

(2)オートパワーオフ(Auto Sleep)の有り/無し選択を追加。
オートパワーオフの入り切り機能が付いている。

 オートパワーオフは電池電源のエレキーには必要な機能だが機器組込み用なら無闇にオートパワーオフしない方が良い。 消費電流は静止状態で4mAほどなので組込み用にはオートパワーオフはたぶん必要ない。

 ポートPA7(Pin.11)をGNDに接続しLowレベルに保てばオートパワーオフ機能はナシにできる。 逆にポートPA7(Pin.11)をオープン(=無接続)状態にすればオートパワーオフ機能付きになる。ピン(Pin.11)は内部でPull-UPしてある。

 この機能はわざわざスイッチを設ける必要はなくてどちらにするか決めて作れば良い。或は基板上にジャンパー・ピンでも設けておけば十分だろう。

☆☆ 約5分間パドルの操作をしないとSleep状態になって電池を節約する。Sleep状態からは、パドルの長点(Dash)で抜け出せる。

 Sleep状態とは言っても電源電流は完全なゼロではなく、僅かに漏れるので電源SWは省略すべきでない。 オートパワーオフ機能は電源SWの切り忘れ対策用である。 切り忘れても電池はずいぶん長く持つとは思うが、使わない時にはスイッチのオフを。


               ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ATtiny861A
 AVR Keyerの開発はATtiny26Lで行なった。 これは手持ちがあったからだ。 以前はATtiny26LもポピュラーなAVRマイコンの一つだった。 しかしメーカーが生産をやめてから秋月電子通商では販売されなくなった。 旧型が不良在庫になっても困るからだろう。

 AVRマイコンのメーカー:ATMEL社によれば、代替品はATtiny261A、ATtiny461A、ATtiny861Aだという。 機能追加された部分を除けばピン配置を含めて上位コンパチ品のようだ。 ただし、あくまでも新チップなのでまったく同じプログラムがそのまま動く訳ではない。

 秋月電子通商ではこのシリーズのうち、メモリー容量の大きなATtiny861A(プログラム用Flashメモリは8kB)だけを扱っている。 2011年2月現在の単価は¥200-で数量割引が無いのは残念だ。皆が使うようになれば安くなる可能性もあるだろう。

 今は大丈夫でも旧型になりつつあるATtiny26Lはいずれ入手できなくなる。 このATtiny861Aで「乗換え」の確認をしておくことにした。

エレキーのようにHAMシャックの基本的な装備品は長い期間作れるようにしておきたいものである。

ATtiny861A Electric Keyer
 乗換えにあたりソースプログラムの再コンパイルは必要である。 もちろん、その前にBASCOM-AVRの初期設定を変更しChip定義ファイルはattiny861.datを選んでおく。クロックも1MHz(=1000000)であることを確認しておく。 ヒューズビットの操作は必要ない。

 それさえしておけば同じソースプログラムで同じように動くことが確認できた。 流石にBASCOM-AVR、このあたりが高級言語コンパイラの威力である。(笑)

 再コンパイルで出来上がるオブジェクト(実際に書込まれる機械語プログラム)は異なるので、前のATtiny26L用HEXファイルは通用しない。 従って、HEXファイルから作るなら、以下のリンクから861A用を別途ダウンロードする必要がある。

 プログラムは同じくHEXファイルで供給するが、同様にクラウド・スペースに保管する方法にしたので、以下のリンクから直接ファイルをダウンロードできる。 このファイルは専ら作った人自身が使う趣味の製作用である。それ以外の目的で利用したいなら連絡と承認が必要だ。

Tiny861A_Keyer_V320.hexのダウンロードは==>こちらから。

Piezo Speaker】圧電スピーカ(圧電発音体)
 回路図の記号を見たOMさんから『クリスタルスピーカは入手できないが・・・』と言うメールを頂いた。 回路記号は同じだが『圧電スピーカ』のことである。 スピーカーとは言ってもブザーやアラームのような「発音」専用だ。 音声や音楽の再生にはまったく不適当だ。(スピーカとは言わず「圧電サウンダ」とも言うくらいなので) しかし、エレキーのサイドトーンモニタくらいには十分使える。

 写真は秋月電子通商で購入したもの。 右下の音圧周波数特性図のように鋭いピークが並ぶ「ひどい」特性なのでクセのある音がする。 こんな特性だが、マイコンのポートから矩形波でドライブするにはむしろ好都合なようだ。 正弦波では共振周波数にぴったり合わせないと音が小さい。 しかし高調波をタップリ含む矩形波なら、周波数はアバウトでもそれなりに音が出てくれる。何らかの音が出れば済む用途には便利だと思う。

 マイコンで音を出すには便利だと思い数個購入しておいた。写真はφ22mmの比較的大きなもの。村田製作所製のマークがあって、これは@50円だった。 書いてないが、Made in Japanではないだろう。

hidspx-GUI】ATtiny861Aを扱う。
 あたらしいチップのように思ったのだが開発されたのはしばらく前らしい。 秋月電子通商で扱うようになるまでポピュラーではなかったと思う。 『手に入らないチップ=絵に描いた餅』だった訳だ。

 それで書込みツールの対応状況を心配をしたが問題は無かった。 もちろん、BASCOM-AVRのGUI環境からUSBaspなどのUSBライタを使って書込んでも良い。

 さきほどダウンロードした.hexファイルをこの画面から書込んでやる。 なお、この例ではHIDaspxライタが接続してある。 このエレキー製作ではヒューズビットの操作は不要なのでプログラムだけ書込めばオシマイだ。

AVR Electric Keyer Ver.3.1.1】低電源電圧用
 この回路はATtiny861A向きだ。 ATtiny26Lでも動作するが,その場合は乾電池を3本にして4.5Vで使うのが良い。 ATtiny861Aは電源電圧1.5Vまで働くので乾電池は2本で行ける。 但し、Photo-MOS Relayのドライブには電圧が低くなり過ぎるので旨くない。

 この回路は最近のリグ向きと割り切ってしまい、トランジスタでキーイングすることにした。 なるべく低い電圧まで動作し消費電流も少なくなるようにHfeが特別大きな、俗に言う「スーパーβトランジスタ」を使っている。(Vbeが大きくなるので低電圧回路にダーリントン接続は不向きだ)

 2SC3112の入手は容易だがメーカのサイトによれば新規採用非推奨品になっている。2SC3112と2SC3113はパッケージ違いの同等品なのでどちらでも良い。Hfeランク「B」を使った。 2SC1815ならBLランクで代用できるがわざわざ購入するほどのものではない。R7を4.7kΩくらいにしてやれば2SC1815GRで済むし、前と同じようにデジトラでも良いと思う。

 なお、回路図の青線で示した配線はプログラムの書込み用なので頒布品で製作する時は不必要。CN1:ISP-SIP7Pinコネクタも必要ない。

AVR Electric Keyer Ver.3.2.1】標準回路
 この回路はATtiny26LとATtiny861Aのどちらでも快適に動作する。乾電池を3本にして4.5Vで使っている。 ATtiny861Aは電源電圧1.5Vまで働くが、Photo-MOS Relayのドライブには電圧が(結局はLEDの電流が)必要なので、1.5Vまで下がっては旨くない。電源電圧は2.7Vくらいを下限と考えた設計だ。(一般に、乾電池の終止電圧は0.9V/Cellとして機器設計する)

 機器組込み用なら最初の簡略な回路でも良いが、こちらは独立した筐体に組立てる本格的な「エレクトリック・キーヤー」を作りたい時に適当だろう。 使っているPhoto-MOS Relayやサージアブソーバーなど詳細については、前のBlogに詳しいのでそちらの参照を。

 同じく、回路図の青線で示した配線はプログラムの書込み用なので頒布品で製作する時は不必要。CN1:ISP-SIP7Pinコネクタも必要ない。

AVRエレキー頒布について
 自分で書込むのが面倒なお方に、書込み済みAVRマイコンを用意している。 頒布は、前のBlog(←リンク)と同じ要領で行なうので、ご希望ならそちらの参照を。
 機能は互換性があるので今後すべてSleep機能付きになる。 まずはATtiny26Lで頒布を再開するが手持ちが無くなればいずれATtiny861Aに移行するつもり。
 今のところATtiny861Aは移行確認用しか手持ちにない。tiny861Aを希望するお方には都合をつけるが、すぐに無くなるのでその時は暫くお待ち頂くことになると思う。


 繰り返しになるが、頒布はATtiny26L-8PU(プログラムはVer.3)+20pin ICソケット+Photo-MOS Relay(Panasonic製:AQV224N)がセットだ。 他の部品は手持ちがありそうだし秋葉原や通販で入手容易なものばかりだ。なお、AQV224Nは手持ちがあるうち含めるが、無くなったら自己調達を。HSR312と概ねおなじだ。

ATtiny26L-8PUが無くなったら自動的にATtiny861A-PUの頒布に移行する。 Blog公開から時間が経過していても部品が続く限りいつまででも供給するので、欲しくなったらメールで問い合わせを。(写真は頒布準備が進むAVRキーヤーチップセット.2011.2.13)

               ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

参考までに、ATtiny861Aを使ったエレキーの静止状態に於ける消費電流を示す。

測定日:2011.02.03  室温:20℃

電源電圧(V)    電流(mA)
5.0V        3.55mA
4.5         2.70
4.0        2.20
3.5         1.85
3.0        1.51
2.5        1.24
2.0        1.00
1.5        0.76

静止状態における回路電流でキーイングで増加する。
動作下限電圧は約1.4vであった。ATtiny861Aはずいぶん低い電圧まで動く。

参考:ATtiny26Lは、規格表の下限電源電圧は2.7Vであるが、おおよそ2.5Vくらいまで働く。 このエレキーに於いて消費電流は上記のATtiny861Aとあまり違わない感じ。

               ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

AVR Keyer 製作後記
 PICマイコンを利用したエレキーはたくさん登場している。たとえば愛称:TiCKやPK-2等を試したこともあった。AVRマイコンで作る人は少ない感じだが皆無ではない。
 少し前に『パドルを買ったのでエレキーチップが欲しい』という会話があった。たしかPICを使ったものなら沢山あった筈と答えて、上記を紹介したのだが・・・米国からこれだけを買うのも面倒そうだった。

 JN3XBY岩永さんがAVRで製作されていたのを思い出す。探したら丁寧な製作記が見つかった。前にも見たはずだが興味を覚えなかったのか半分忘れていた。 もっとコンパクトなチップが良いかもしれないが、20PinのATtiny26Lなら手持ちにあった。さっそくROMに書込んで実際にキーイングし、これなら行けそうだと感じた。

 そのままそっくりでは芸の無い話しなので、好みに従い少しチューニングしてみた。 それだけで満足な感じにできた。あとはオートスリープ機能でもあれば概ね完璧だろうと言う所で、結局それも実現できた。キーヤーとしてはこれでOKだろう。 昔、カーチス社から出ていた8044とか言うエレキーチップと同じようにはなってると思う。 もちろんマイコン式の可能性はより広くてウエイトの可変とかスピードメーター機能とか・・・考えれば際限もない。今はそう言う時代なのである。

 昨年のCQ Hamradio誌(2010年6月号)にエレキー基板が付録になったからか市販キットは絶滅危惧の状況だ。 それにPICにしろAVRマイコンにしてもプログラムが公開され、誰でも(?)簡単に(??)作れるとあっては、キット商売も旨く行かないだろう。無闇に高機能なエレキーも使いにくいだけで、シンプルで使い易ければそれ以上は要らない。そうなれば付加価値も付けずらいから「商売モノ」が減るのも道理だ。

 少し気の利いたリグにはエレキーが内蔵されている。独立したエレキーのニーズも少ないだろう。 それでもシンプルなQRP機や自作トランシーバにもエレキーは欲しい。 安価でコンパクトならリグ1台ごとに内蔵してしまうのも良かろう。そんな考えもよぎったので集中的に採り上げることにした。

 さて、ここまで来て思った。 マイコン式エレキーの製作は楽しいのだろうか? はっきり言って製作の面白味はあまりない。 RTLは論外としても、TTLやC-MOSロジックを並べた方が作り甲斐がある。 ただし楽しんで(苦労して?)配線しても、出来上がりの性能・機能は似たようなものだ。 結果だけが欲しい人にはマイコン式が向いているし、製作過程が楽しい人は真空管式でもディスクリート半導体式でもやって見るのが良い。こんなところが「趣味」の楽しみ方なのかもしれない。 な〜んにもしないでネットを徘徊するだけじゃ一番つまらんってこと。(笑) de JA9TTT/1

(おわり)