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2013年1月14日月曜日

【測定】DE-5000 Test Report.


LCRメーター:DE-5000のテストレポート
(末尾にCR直列素子の測定に関する追記・1と、高抵抗測定に関する追記・2を加えた.2013.01.14)

 LCRメーターとはコイルのインダクタンス:L(単位はH:ヘンリー)、コンデンサの容量:C(単位はF:ファラッド)、そして抵抗値:R(単位はΩ:オーム)を測る測定器だ。 主に電子部品の測定・評価に活躍する計測器である。 ここをご覧になるようなお方には、あえて説明の必要もないだろう。

 一般的なテスターは、電圧、電流、そして直流抵抗を測定するものである。おもに回路の動作状態を確かめるのに使う。 一方、LCRメーターでは交流信号を部品に印加し(交流)抵抗の値(リアクタンス)を測定しており、その結果からLCRの値を求めて表示する。2端子電子部品の評価が主な用途だ。 最近の一般的なテスタにはオマケ機能として容量測定機能が付いていることも多いが、同じ容量測定でもそれと測定原理は異なっており精度もちがう。

 一般的なテスターと比べて、LCRメーターの仕組みは複雑なので従来はかなり高価な測定器であった。 しかし、最近になって「高精度で本格的」と言う宣伝のLCRメーターが登場したので購入してみた。 マイコンとFPGAなどを使って実現しているらしい。*1 こうした測定器が安価で手に入るのなら、我々の自作回路もずいぶんグレードアップするに違いない。 能書き通りの性能や機能が得られているのか簡単にテストしてみた。 価格相応のチープなものか・・・と言う興味もある(*1:LCRメータ専用のチップセットがあってそれを使っているようだ・注記2014.03.22)

 なお、現在の価格は写真左の本体が4,700円、右の面実装パーツ用のプローブが950円であった。秋葉原は秋月電子通商で手に入る。 AgilentやFlukeと言った一流測定器がお馴染みのベテランエンジニアのお方がお値段を見たら、「チープで怪しげな測定器かも?」と思うに違いない。ではどうなのだろうか??

参考:2015年5月現在、円安の影響で大幅に値上げされており、税込み販売価格は7,800円になっている。 合わせてアクセサリ類も値上げになっており、以前ほどのコストパフォーマンスは無くなって来ている。 一般にこうした測定器はデジタルマルチメータ(DMM)と比べて使用頻度は極端に低い。 自身の活動の中でどの程度必要なのかを良く考えて購入したい。なければないで済むことの方が多いはずだ。 コンデンサの種類も適切な使い方もわからぬような初心者にはそれこそ「猫に小判」だろう。おまけに付属説明書だけで理解できず、他人に使い方を乞うようでは恥も上塗りだ。 それでも「1万円以下で購入できる測定器としては」優秀な方だと思う。なお、お財布に余裕のある向きは別機種の検討もお薦めしたい。

 【DE-5000型LCRメータ
 台湾メーカーとタイアップして、日本語取説を付属させた形で手軽な価格を実現したと言う。 高級計器からみたら安っぽい部分もあるが、意外にしっかりしていると言う印象を持った。

 電池は006P型9Vを使う。 どの程度の電池寿命があるのか、取扱説明書にはないが裏蓋はネジ止めなので比較的長時間使えるのではないかと思う。 なお、側面に9VのACアダプタを接続するためのコネクタが付いている。 良く電圧を確認して、奇麗な直流が供給できるアダプタを使うべきだろう。 これは精度が問題になる測定器だから。

 赤のボタンを押すと起動する。 約5分間なにも操作しないとオートパワーオフすると言うが、測定が済んだらこまめに切った方が良いだろう。

 【SMD部品用チッププローブ
 このプローブがあったので購入したようなものである。 ピンセットの先端少し前で、ケルビンコンタクトになっている。 しかも、オープンとショートキャリブレーション機能があって、プローブやテストリードの影響を排除できるようになっているのが素晴らしい。

 あとで実際に測定してみるが、わずか2〜5pFと言う水晶振動子の並列容量:Cpが高精度で測定できるからだ。 もちろん、小さなインダクタンスのコイルを計測する時にも効果的な筈だ。

 安価なプローブであるが、思ったよりもしっかりできている印象があるので、乱暴に扱わなければ簡単に壊れることもないだろう。
 
 【チップコンデンサの測定
 最近の電子回路は表面実装で作られていて、積層セラミックコンデンサが一番ポピュラーだ。 しかし、容量値が表示されていないので、一旦混じってしまうとお手上げである。

 耐電圧や温度特性などは明確に判別できなくても、容量がわかれば最低限の判断が可能になる。 写真で測定しているコンデンサは、主にバイパス用に使う0.1μFの積層セラミック型だ。 もともと誤差が大きいので0.090μFあたりだと言うことがわかる。(注:あまり馴染みはないかもしれないが、1nF=1ナノ・ファラッドは1000pFあるいは、0.001μFのこと。1nF=1×10^-9F)

 なお、10pF〜1000μFまでのコンデンサを測定して見たが、精度は悪いところても誤差1%以内であった。 だいたい、1μF以下なら、0.3%以内と言った感じである。 1%以下の精度があるなら高精度なアクティブ・フィルタやAF-PSNの製作にもかなり役立つだろう。

 【チップインダクタの測定
 面実装型のインダクタ(コイル)も一般的になっているので、こうした部品も旨く測れないと困る。

 写真では、22μHのチョークコイルを測定している。 こうしたコイルは、測定周波数によってインダクタンスや損失係数:Dが大きく変わるものがある。

 このLCRメーターの標準測定周波数は、1kHzのように思うが、100Hz、120Hz、1kHz、10kHzそして100kHzに切換えできる。 インダクタンスの小さな、RF用コイルは100kHzあたりで評価する方が良いと思う。 逆に、オーディオで使うトランスや、AFチョークコイルなら1kHzあるいは100Hzなどが良いだろう。 なお、120Hzと言うのは、主に電解コンデンサの評価に使う標準周波数だ。

 【怪しいコイル?
 この項、読者のお方からご指摘があったので内容を改訂しておく。 105と書いてあるコイルだが、これは1mHのインダクタなのである。 10×10^5μHすなわち、1Hかと思ったら、さにあらず。 色々調べてみたら、これは面実装型インダクタに多くなった表示方法で、単位はnH(ナノ・ヘンリー)なのだ。 従って、10×10^5(nH)=1mHと言う訳である。 すなわち、怪しいどころか旨く測定できている訳である。(笑)

 従来、マイクロ・インダクタではμH単位の表示が普通であった。 例えば、101と書いてあれば、10×10^1(μH)すなわち、100μHのことである。102とあれば、1mHであった。 しかし、現実にはμH表示なのかnH表示なのかは単純に区別が付かなくなっている。 そうなると、こうした測定器で実測してみると確実と言うことにもなりそうだ。(改訂:2013.01.15)

 自動でLCRの区別を判別して測定するそうなので、正体不明な2端子部品の判定にも役立ちそうだ。先入観なしで色々試してみたが、特殊な部品を除けば間違えることはないようだった。(笑) なお、DCバイアスを掛けて測定できないのが残念な所だが、安価な測定器にそれを求めても気の毒だろう。

 【リード付きインダクタの測定・1
 リード線付きの部品は、SMDチッププローブを使わずに測定できる。 スリット状の端子部分にリード線を差し込めば良い。

 あまりリード線の太い部品は挿入できないので、その時は同じく別売のミノムシクリップ付きのテストリードを購入した方が良いだろう。 私が購入した時点では品切れだった。 通販の送料も馬鹿にならないので、在庫があるなら同時に注文しておく方が良いと思う。 いずれ欲しくなるに違いないからだ。

 【リード付きインダクタの測定・2
 上記インダクタの測定結果だ。 公称値は56μHのマイクロインダクターである。 このように、測定結果は4桁表示されるが、全部の数字を信用してはいけない。 相対測定の場合は数字の大小で、容量の大小が比較できる。

 しかし、絶対値の精度はせいぜい有効数字で2桁と思う必要がある。 要するに、1%以内の精度と言うのはその程度のものと言う意味だ。 従って、測定値を記録する場合、参考程度に3桁目まで書いておくのは良いが、その3桁目には必ず誤差が含まれると思わなくてはならない。 この測定器を使って、学生実験のレポートに表示された4桁のナマの数字を全部書いておくと指導教官に馬鹿にされること間違いなしだ。 それに気付かぬ指導教官がいたらもっとお馬鹿だ。(笑)

                     ☆

 【キャリブレーション:オープン・1
 右の上から2段目のCALボタンは重要である。 浮遊容量や測定リードの残留インダクタンス分などの影響を差し引いてくれる機能だ。 高精度測定をしたいのなら、まず最初に行なうべきだろう。きちんとキャリブレーションしないと抵抗やコンデンサの値がマイナスになると言った現象が起こるので要注意だ。 優れた機能もユーザーが「低級」では真価を発揮しないのである。 良く理解してきちんと行なおう。

 また、プローブを付け替えたら必ず行なう。 特に、数pFや数μHという小さな値が問題になるような測定では必ず行なわないと精度が悪くてお話しにならない。

まず、端子に何も接続しない状態、あるいはプローブを使うならプローブの先端には何も接続しない状態で、CALボタンを長押しする。 「ーーー」表示が出るので、もう一度オープン状態なのを確認したら、もう一度ボタンを押すと30秒間のオープン校正が始まる。
 
 【キャリブレーション:オープン・2
 写真のようにPASSと表示されればOKだ。 ショート校正がセットになっているので、からなず続いて行なう。







ショートプラグ
 必ずしもこれである必要は無い。 なにか接触が良さそうな短いリード線でも良いので、測定端子間をショート(短絡)できるものを用意しておこう。

 ここでは、水晶を測定する時を考えて作ってあったショートプラグを流用している。 なお、リード線間をショートしてしまうのだから、中身の水晶は何でも良い。

 【キャリブレーション:ショート・1
 上記のキャリブレーション:オープンが終わったら、続けてキャリブレーション:ショートをおこなう。

 かならず、端子間をショートしておかないとエラーになるので注意を。 エラーになった場合は、CALオープンからもう一度行なえば良い。 短絡片(ショート・リード、ショート・プラグ)は一般的になるべく最短でショートできるものが良い。 ミノムシクリップ式のプローブの場合はクップ先端同士を挟んでショートしておけば良い。

 【キャリブレーション:ショート・2

 写真のようにPASSと表示されればOKだ。 これで、オープンとショートの校正が終わったので、精度良く測定が可能になる。

 測定器としてみたら、標準抵抗器、標準容量、標準インダクタンスなどを使ったフルスケール校正ができたらベストだが、ユーザーには難しいだろう。 おそらく、内部にはそうした初期校正の機能がある筈だ。 有名メーカーの測定器なら、定期的な校正を依頼すれば良いが、こうしたチープな測定器にそれを求めるのは難しいだろう。

 従って、購入したらなるべく早いうちに信頼のおける部品を用意して、それを実測したあとはメモと一緒に大切に保管しておこう。ときどきそれをチェックするのが良い精度確認になる。 もし、無視し得ないほど値が違って来たなら、校正ずれと思ってLCRメータそのものを買い替えるのが良い。(ディップド・マイカ・コンデンサ、スチロール・コンデンサ、精密金属皮膜抵抗器などが良い。メモと一緒に乾燥剤を入れた密封袋に保存する)

 絶対値の校正ができない以上、ずれて来たら捨てるしかない訳だ。 勿体ないように思うかもしれないが、精度の悪い測定器で得られた結果はまったく信用できない。もっともらしい数字を表示したとしても使ってはダメだ。既に「無い方がマシ」のインチキ測定器に成り下がっている。

 お値段が2桁以上高い測定器なら再校正に出す意味もあると思う。しかしこのLCRメータの購入価格はたったの4,700円だ。 高級測定器の校正費用にも及ばないお値段で新しい物が手に入ると思えば納得できるだろう。精度が悪くなったら買い替えるのをお薦めする。

                   ☆


 【クリスタルの並列容量・1
  ダラー型クリスタルフィルタの設計のためには、クリスタルの並列容量:Cpを精度よく測定する必要があった。 数pFと言った、小さなキャパシタンスを0.1pF単位まで精度よく測定する必要がある。 しかし0.1pFまでと言うのは意外に難しくて、従来は専用の「小容量計」を用意して測定していた。

 このLCRメータでそこまで旨く測定できるのだろうか?

 【クリスタルの並列容量・2
 比較的端子容量の小さいHC-49/US型11MHz帯のクリスタルの並列容量がこのように測定できた。 他の手段でもCp=2.1pFくらいだったので、十分良い精度が得られていると思う。

 これでラダー型フィルタの製作に使えることが確認できた。 これもこのLCRメーターを評価する目的の一つだった。 小さな容量の測定が旨くできることがわかって良かった。

 ラダー型クリスタル・フィルタを自作したいHAMにもお薦めできる測定器のようだ。


 【セラミック振動子の並列容量・1
 愛称:世羅多フィルタの設計にもセラミック振動子の端子間容量:Cpの測定が必要だ。 上記のクリスタルと同じように測定してみよう。

写真は472kHzのセラミック振動子(セラロック)だ。




セラミック振動子の並列容量・2
 このように旨く測定できる。 セラミック振動子の端子間容量:Cpはクリスタルのそれとは桁違いに大きい。
  また、バラツキも大きいことが多い。 このあたり、実測して良く振動子を選別して揃えておくとフィルタ製作の再現性も良くなる。 これは『世羅多フィルタ』ファンのお方にもお薦めできる測定器だろう。(笑)



                ☆ ☆ ☆

 お正月のお年玉気分で、安価なLCRメータを自分用に購入してみた。測定器としては、破格の安さだとは言ってもそれなりのお値段である。 あまりにも精度が悪かったらどうしようかと心配だったのだが、意外にもなかなかの精度であった。 初期精度で誤差1%以内に入っているなら、この手の測定器としてはまずまずなものだ。 高級なLCRメータと比べて些細なことでこき下ろす輩もいるようだが、まずはお値段を考えるべきだろう。価格対性能比で言えば、間違いなくこのLCRメーターは優れている。高価なジャン測を買ったお方はお気の毒なくらいだ。 拙宅にもこれ以前に既設品があるのだが、大きくて重くて、おまけに高いジャン測に手を出すよりも趣味のアマチュアにはこうした測定器の方が手軽だし安心できると感じた次第。HAMやオーディオの自作やキット作りにも役立つ測定器だと思う。CやLの値に不安があったらまずは測ってみるのが良い。LCRなら何でもかんでも精度よく測れる訳では無いけれど、手元に置いて上手に使えば威力を発揮するのは間違いない。  de JA9TTT/1

(おわり)

                 −・・・−

追記・1CR直列素子の測定について。
(JG1EAD仙波さんのご質問にお答えして)

【330pFと1kΩの直列素子・1】
 LCRメータの測定対象は、基本的に純粋のCやLだと思う方が良いが、写真のような直列素子ではどうなのかと言う疑問が出て来て当然だろう。

 1kΩのカーボン抵抗器と、330pFのセラミックコンデンサを直列にした素子を作ってみた。


【330pFと1kΩの直列素子・2】
 DE-5000ではこのように測定されたが、少し注意が必要である。

 基本的に、コンデンサのリアクタンス値と直列になる抵抗の値がかけ離れていると旨く測定できない。 この例では、写真の様に100kHzで測定している。 1kHzにおける330pFのリアクタンスは、約480kΩである。 そのように大きなリアクタンスとの組み合わせでは旨く測定できないようだ。 測定電圧と電流値、そしてその位相角で計算するのではないかと思うが、位相角が小さ過ぎると分解能の関係で旨く計算できないのだろう。 なお、Cの値は単独で測ると丁度300pFくらいだったので良い精度に測定できている。 表示上段の抵抗値(ESR)には330pF単体のESR(約10Ω)が加わった値が表示されているが、これもまずまずの精度だと思う。

:ESR=Equivalent Series Resistance:等価直列抵抗のこと。電子部品に内在する損失抵抗成分を言う。一般にこの値は小さいほど「良い部品」である。

参考;表示が青いのはバックライトを点灯させたからである。右上のボタンがそれ。



【0.047μFと1kΩの直列素子・1】
 続いて0.047μ Fと1kΩの直列素子を測定してみる。

 上記の理屈から言えば、こんどはもっと低い測定周波数でも測定できる筈だ。 0.047μFのリアクタンスは、1kHzにおいて約3.4kΩである。

 従って,コンデンサのリアクタンスは直列抵抗と同じ程度の値になっている。電圧と電流のなす位相角も測定し易い所に来る筈なので、良い精度で測定できるだろう。


【0.047μFと1kΩの直列素子・2】

DE-5000ではこのように測定された。

 測定周波数は、1kHzだが旨く測定できていると思う。 コンデンサのリアクタンスと抵抗値の組み合わせが旨い範囲になるので、精度よく測定できているようだ。

 0.047μFのマイラコンデンサ自身のESRは小さく、1kHzにおいては数Ω程度であった。 従って、ESRとして測定される1kΩとの合計の値は、上の330pFとの直列の時の測定値よりも小さくなる。

 ここでは直列のCRでやってみたが、CRの並列でも理屈は一緒である。 LやCのリアクタンスがRの1/10〜10倍くらいの範囲にあるなら意外に精度よく測定できるようだ。あとは色々な組み合わせでお試しあれ。

 このように、純コンデンサ、或は純コイルの測定のような理想状態から外れると、うまく測定できる時と旨くない組み合わせが出てくる。 これはこの測定器が安価だからと言う訳ではなくて、かなり高級なメーカー製でも同じような制限があるのが普通だ。

 測定周波数を変えるとか、測定モードを直列あるいは並列に切り替えるなど上手に使いこなしたいものだ。 工夫して使うには電気の知識も多少必要とされるようだが、ここまで測定できるのはなかなか立派なものと言えるだろう。(追記:2013.01.14)  de JA9TTT/1

(追記・1のおしまい)

             −・・・−


追記・2高抵抗の測定について。
(JE6LVE/3高橋さんのご質問にお答えして)

【100MΩの抵抗器】
 100MΩと言うのは、100,000,000Ωと言うことで、普通は絶縁体と言えるような抵抗値だ。 抵抗器の両端に100Vを加えても電流はたったの1μAしか流れない。 表示のように精度記号はFなので、誤差は1%以内だ。

 こうした抵抗器はかなり特殊な部品である。しかし、微小電流の測定などニーズがあるので何種類か持っている。 ちなみに拙宅で一番の高抵抗は5,000MΩだった。

 200MΩの抵抗器もあったが、こちらの方の精度が良さそうなので100MΩでやってみたいと思う。 これがうまく精度よく測れれば200MΩの測定が破綻することも無いだろうと思う。


【100MΩの扱いは難しい】
 まず、素手で触ってはいけない。 人間の手指は汗腺があって汗で汚れており、ナトリウムとか様々な導電イオンが付着している。洗った所ですぐに汚れる。 素手で抵抗器の表面を触れば数M〜数100MΩくらいの並列抵抗が入ったことと同じになるかもしれない。

 しかも、そうしたイオンは不安定なので抵抗値は安定しなくなる。 溶剤とか洗剤で奇麗に洗うしか無いが、もとの精度に戻る保証も無い。 従って扱いは十分慎重であるべきだ。 奇麗な手袋とピンセットを使って挿入した。 手袋はしていても、なるべく抵抗の本体には触らない方が良い。 なにしろ、1000MΩが並列に入っただけで、誤差は約-10%にもなってしまうのだから。
 
【DE-5000の高抵抗測定】
 なかなか優秀である。 0.1%まで精度があるかどうかは別としても、測定結果は非常に安定していた。 旨く測定できていると思って良いだろう。

 なお、測定周波数が120Hzになっているのは、関東ではAC電源の周波数が50Hzだから100Hzで測定するとACの誘導が干渉して測定値がばらついてしまう。 測定点のインピーダンスが100MΩなのだから、簡単に静電誘導してしまう。 ACが60Hzの関西なら100Hzで測定すれば良いだろう。

 位相角:θがマイナス1.4度になっている。マイナスと言うことは抵抗器と並列に僅かなキャパシタンスが存在していることを示している。電流ベクトルを思い浮かべてもらえばわかるだろう。

 以上、DE-5000には200MΩまで測定可能なレンジがあるが、その精度はどうなのかと言うご質問があったのでテストしてみた。 基準器がある訳ではないので、精度保証できる訳ではないが、悪くない精度だと思って良さそうだ。

 なお、測定端子回りを汚すとそれだけで絶縁抵抗が下がってしまう。 高抵抗を精度よく測定するためには、測定器を汚れた手でべたべた触ったりせず、きれいに使う必要があるだろう。 測定器の精度を気にするよりも、案外そうした考慮をしたか否かの方が重要だったりする。その辺りが測定の技術とも言える。それは高抵抗の測定に限らないのだが・・。 あんまり教えちゃまずかったか。(爆)(追記:2013.01.14)de JA9TTT/1

(追記・2のおしまい)

               −・・・−

追記・3:電池の持ちについて.
電源は006P型積層乾電池である。 外部供給も可能であるが、ひも付きになる不便さがあるため電池電源のままで継続使用していた。 それほど頻繁に使う測定器でもないが、それでも月に数回以上使ってきたと思う。 使用開始から約2年少々の2015年4月にローバッテリー表示が出たので交換した。 消費電流の多そうな測定器だが、使用頻度が少なければかなり電池は持つと思って良さそうだ。 交換に使用した電池は国産有名メーカーのアルカリ乾電池にした。安価な100均乾電池は入れっぱなしにした時の液漏れが心配である。安価な測定器とは言え信頼できる乾電池の使用をお薦めしたい。(追記:2015.05.15) de JA9TTT/1

(追記・3のおしまい)

御注意:このBlogはアフィリエイトBlogではないので、特定商品をお薦めする意図はない。自身のニーズを良く考え、無駄使いのないように。使わ(使え)ないものにお金を使うのは勿体ないことだ。電気の初心者は『良いテスター』の購入がまず先決だろうと思う。LCRメータが役立つのは多分簡単ラジオの製作などを卒業してからだ。まずは電気の知識を深めると良いだろう。 以上全ての内容はこのBlogオーナー個人の感想である。

2013年1月6日日曜日

【HAM】 TRIO 59C Line

TRIO 59Cラインとは
 今のKenwood社が1961年ころに発売したHAM用送信機:TX-88A型と全波受信機:9R-59型で構成されるラインであった。他にSP-5型スピーカーとCC-6型50MHz帯用クリスタルコンバータがあった。144MHz帯用のCC-2型も後で追加されたように思う。 後継の9R-59Dラインが登場するに及び、オンエアの際、シャック紹介でわかり易くするために59Cラインなどと呼ばれたことを思い出す。59Cラインと言うのはHAM仲間のお空での愛称であったようだ。またメーカーがキット版の9R-59を区別するために社内的にそう呼んだ名称でもあるそうだ。広告等の公式では9R-59Cと言う名称は登場していない。ちなみに9R59Dの「D」と言うのはデラックスと言う意味であり、Cの次のDと言う意味ではないだろう。

写真は拙宅の書棚の上で長年眠っている「59C」ラインである。 送信機:TX-88Aと受信機:9R-59は異なった経緯で中古品を譲って頂いたのでツマミと塗色が異なっている。 いずれも無改造と言って良い。 従ってTX-88Aのファイナルは後で示す回路図どおりのUY-807のままだ。いずれ復活することを夢見ている。

 TX-88AはAMとCWの10W出力送信機である。3.5〜50MHz帯の6バンド(80m〜6mバンド)をカバーするが、807のままでは6mバンドの効率が悪い。従って 6mバンドがメインの局は取説にも書いてあるように終段管をVHF帯向きの2E26に交換していた。 そろそろ手に入り易くなって来た6146Aへの交換も多かった。 また安価なTV用水平出力管も流通して来たころなので、6G-B3A、6BQ6や6DQ5のような球に交換している局もあった。整流管5U4G(B)をやめてシリコンDiにすればプレート電圧(B+電圧)も一段と高くできる。 そうなれば10Wをかなり越えるので初級局ではオーバーパワーだ。 もちろん変調器のパワーは不足気味になるから、AM局ではあまり快適ではなかっただろう。しかしCW専門ならB+電圧アップと水平出力管への交換で、50Wくらい楽に出たのでかなり効果的だった。

59Cラインのシャック
 近ごろはネット上にOMさんたちの懐かしいシャック写真が散見されるので、こうした感じのシャックを目にすることも多い。 ただ、これほどスッキリしたシャックは珍しかったように思う。

 当時のHAM局は何がしかの自作品があるのが普通であった。特にVFOは写真のVFO-1の周波数安定度がイマイチだったこともあって、自作品を良く見かけた。 バーニヤダイヤル付きでコイルとバリコンがLCボックスに入っていたアレだ。 発振回路はクラップ型の人気が高かったように思う。 VFO-1のような電源自蔵は熱的に不利なので別体にしている人も多かった。(注:写真のVFO-1は試作型の模様)

 また写真は宣伝広告なので、9R-59の左に6mバンドのクリコン(クリスタル・コンバータのこと):CC-6型が並んでいるが、クリコンくらいは自作していたHAMが大半だったと思う。またスピーカーも純正のSP-5型は音が良くないから大口径の箱入りを使っていたものだった。 9R-59にしても、T-11型通信機用IFTくらいでは選択度不足であり、またBFO兼用のQマルチも何かと不都合で不安定なため、国際電気のメカフィルに置き換える改造が流行っていた。MF-455-10CKとか-15CKメカフィルを入れていた。 9R-59はあまりSSB向きではなかったのではあるが、プロダクト検波付きなど大改造を試みる人も少なくなかった。そうした改造記事は雑誌に頻繁に登場したから、暫くその話題でラグチューも盛り上がったものだった。 だからいま残っている9R-59でまったく無傷(?)の物は稀ではないだろうか。hi hi

TX-88Aの回路図
 回路図くらいないと寂しいのでTX-88Aの回路をアップしておく。 6BQ5ppの変調器を含め、電源内蔵で(当時としては)コンパクトに纏まったオールバンド送信機として一世を風靡した。3ステージのCW/AM送信機の完成形だった。

 実際、受信機と送信機ではだいぶ部品が違っていて、高耐圧のコンデンサや耐電圧の高いステアタイト絶縁のバリコンのように特殊な部品が多い。 地方のHAMにとっては町のラジオ屋さんでは手に入らない部品も多かった。 それで送信機キットの人気が高かったのだろう。部品やジャンクの通販もあったが今ほど便利なものではなかったので、秋葉原や日本橋から遠いHAMは苦労が多かったものだ。

 発振と逓倍段に5極管の6AR5を使っている。UY-807を含め当時入手し易い真空管ばかりで構成されていた。 ただ、6AR5は高い周波数の逓倍効率が幾分悪くなるので大半の人が6AQ5(有名なビーム管:6V6のmt管バージョン)に差換えていた。 TX-88Dのように12BY7Aあたりの方が良いのだが、ともかく当時はラジオ球の6AR5は入手容易で安かった。

               ☆ ☆ ☆

 メーカー製の送信機でオンエアしたのはTX-88Aが最初だった。だから思い出深い。πマッチの調整方法が未熟で良く理解できておらず、ロードバリコンを抜きすぎてIpオーバーになって807をエミ減にしたことなど様々思い出される。(笑)

 戦後すぐに再開されたOMさんにとってAM(A3)時代は長かったと思うが、私の時代は既にAMも末期であった。 本格的オンエアを始めた頃にはSSB化もだいぶ進んでいた。 しかもHAMバンドは混雑が極まっており、占有帯域幅が広くてビートの元凶になるキャリヤ付きのAMなど迷惑そのものでさえあった。バンドの利用効率を上げる為に、率先したSSB化が叫ばれていたのである。 今になってAMがリバイバルしているのは7MHz帯のバンド幅が拡張されたことと、HAM局そのものが激減しバンドが空いてきたからにほかなるまい。 一見良いことのようにも感じるが、HAMと言う趣味そのものの衰退を象徴しているのかもしれない。もはやあまり先のない、棺桶に半分足を突っ込んだ趣味と言えそうだ。hi

 いつかTX-88Aをリバイバルしてオンエアしたいと思ってきた。 但しAMでのオンエアは目指していなかった。 なかばCW専用機と化してしまい、安定度に優れたDDS-VFOと組んで実用性をアップしたいと思っていた。 しかし、昨今AMでのオンエアも聞こえるようになって来たようなので、それでもオンエアできるようにはしておこうと思う。ことしの目標にでもしておこうか。de JA9TTT/1

(おわり)