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2013年7月27日土曜日

【HAM】 A New life for FT-101ZD Part 3

【FT-101ZDにニューライフを:第3回】

FT-101ZDのWARCバンド対応
 『FT-101ZDでWARC Bandにオンエアしよう!』の3回目である。 Part 2(←リンク)では手始めに汚れの酷い内部の清掃から始めた。これから行なう改造や再調整の下準備であった。

 いよいよ、ここからが本来の目的であるWARC Bandの改造である。 FT-101ZDではPart 1で書いたように、後期型であるMark ⅢからWARC Band対応になった。 それ以前のモデルも改造でWARC Bandにオンエアは可能だが、追加バンド用の水晶発振子ほかコイルなど多数の部品が必要である。 ここではMark Ⅲに絞って話しを進める。他についてはまた機会があればと言うことで。(WARC:ワークと読む)

 FT-101ZD Mark Ⅲは、写真のようにもともとWARC Band対応になっている。全バンドともに受信だけは最初から可能だ。 但しMark Ⅲであっても当初発売のモデルにあっては30、17、12mの3つのBandは送信できないようになっていた。 途中で30m Band(10MHz)が許可されるとそこは送信可能になったようだが、相変わらず17、12mの2つのBandは送信できなかった。(注:30m Bamdの許可は1982年4月1日である。FT-101ZDの製造終了時期にあたるから30mが送信可能なモデルはなかった可能性もある)
 Part 1にも書いたように、17mと12mの二つが許可されたのは30m Bandの許可から遅れること7年後の1989年であった。すでにその頃にはFT-101ZDなど製造も販売もされていなかった。 結局のところ全てのバンドが送信可能なFT-101Z/ZDは国内出荷されなかったことになる。 途中でユーザーによって改造されていれば別だが、そうでなければWARCバンドにオンエアしたいなら以下の改造は必須なようだ。(たぶん、FT-901シリーズも事情は同じ)

(参考)FT-101ZDの製造時期について:デジタル表示無しのFT-101Zの発売は1978年12月ころ、デジタル周波数表示付きのFT-101ZDは3ヶ月後の1979年2月だったようだ。生産終了時期は良くわからないが後継機のFT-102が発売されたは1982年4月ころだから、その頃までには終了していただろう。製造番号によれば、この機体は1982年3月の生産らしいから最終生産に近いのかも知れない。在庫品が残っていたとすればディスカウントされてその後も暫く売られていたはずだ。(あとで調べたら1982年いっぱいは販売されていた模様)

 以下では、上記の3バンド送信禁止、2バンド送信禁止のいずれの状態にも適用可能な内容になっている。

注・1:毎度のことであるが、作業はコンセントからACコードを引き抜いてから行なうこと。 生命に危険が及ぶ高電圧が内在することを常に念頭において安全優先で作業を。

注・2:以下を参照した結果、万一事故の発生や機器の破損などが起こっても責任を負わない。作業は各人の技量に基づき自身の責任に於いて実施を。 もし自信がないなら工賃を支払ってでもメーカーあるいは必要な技術を持つハムショップなどに依頼することをお薦めする。

シールドカバーの除去
 キャビネットの上下を外したら、作業台の上に裏返しにする。 終段管のある方を手前に、即ち正面パネルが右手に来るように配置する。

 写真の様に、左のパンチング・メタルのカバーと、右に何個か丸穴の開いているシールド板が目に入るだろう。

WARC Bandの送信禁止を解除するには、右側の何個か穴の開いている方のシールド板を外す必要がある。 なお、暫く使った機械ではシールド内部の清掃も行なう必要があるので、左のパンチング・メタルの方も外しておく。

ネジはスポンジの下に
 シールド板を止めるネジは、数条貼ってあるスポンジテープの下に隠れている。 上から触ってネジの感触が認められる部分を探し出し、このように掘り出す必要がある。私が掘り出すまでネジはスポンジに埋まっていたのでメーカー出荷以来、ここを開けたのは初めてだったようだ。

 このスポンジの役目は止めネジの弛み止めのほか、ファンモーターの振動やトランスの唸りが伝わって異音を発しないように対策した物と思われる。

 スポンジの劣化が激しいようなら全部除去しても支障はないと思うが、あとから隙間テープのような物を要所に貼っておく方が良さそうだ。

WARC Band送信禁止部分
 中央付近の青い線が盛り上がった部分が該当箇所だ。 青い配線は隙間に畳み込まれていたが、作業を行う関係ですべて手前に引き出してある。

 バンドスイッチのウエファ(ベークの接点板)で、パネル側から数えて4枚目のウエファDと5枚目のウエファEの部分が該当箇所だ。 現物と対比しながら十分な確認を。

 なお、先に書いた様に送信禁止には2つのバージョンが存在する。 この写真例は全てのWARC Band、即ち3バンドともに送信禁止されているバージョンのものである。

図で見るWARC Band 送信禁止解除方法
 送信禁止方法の理屈は次項をご覧頂くとして、ともかく解除するには左図のような配線替えを行なえば良いことがわかった。

 30mバンドの送信が可能なバージョンでは1本だけ配線が少ない筈だ。 いずれも図の一番右側の絵と同じになるよう一部配線の撤去と配線変更を行なえば良い。

 私が参照した資料は1989年7月号のモービルハム誌である。この号は18MHz(17m Band)と24MHz(12m Band)が追加で許可になった際の特集号であった。 そのため改造は既に10MHz(30m Band)が送信できるモデルを前提にしていた。

 手持ちの実機ではそれ以前のバージョンであって、全WARC Bandともに送信禁止されたモデルだったから少々迷いが生じた。 しかし理屈がわかれば何のことはない。上図の中央のようになっていたものを一番右側の様にすれば良い訳だ。

FT-101ZDのWARC Band送信禁止方法
 後世のマイコン搭載機なら、ソフトウエア的な対処で特定バンドの送信禁止ができる。 しかし、マイコン非搭載のFT-101ZDではそうした方法はとれない。(このあたりは、FT-901でも同じ)

 WARC Bandの送信禁止は、ドライバ段のプレート同調回路の共振周波数を大きくずらすことで行なっていた。 即ち、左図のように30、17、12m Bandのポジションにスイッチされると、ドライバ段の同調コンデンサは40m Band(7MHz)のものが選択されるように配線されていた。

 そうなっては、各WARC Bandともに終段管は殆どドライブされない、もしパワーが出たとしても微々たる物に過ぎない筈だ。 これで実質的に送信禁止できることになる。 関係するスイッチはウエファDだけの筈だが、配線を中継する為にウエファEの遊び端子を利用している。 電気的にはウエファEはまったく関係ない。

WARC Band送信禁止解除後の回路
 取説に添付の回路図は左図のようになっているだろう。 これは各WARC Bandを含め、すべてのバンドで送信可能な状態に書いてあるものだ。 確かに最終形はこうなるのだが・・・。

 しかしこの回路図をいくら眺めていてもどんな方法で送信禁止しているのかは想像すらできなかった。それがわからなくては禁止解除もできまい。 よもやWARC Bandのドライバ段の同調をずらすなど思いもよらなかった方法だ。hi hi

 まったく旨い方法を考えたものである。 送信部が完全に死んだ訳ではないが実質的に送信できないようになっている。そうするために追加した部品はわずかな配線材だけなのだ。 部品費用の掛からない実利的な旨い方法だと感じた。設計担当者の工夫が感じられる。

 なお、配線の状態を見るとJA向けモデルに限って実施していた措置のようだ。 生産ラインでは全バンド送信を含めて完全な状態で製造し、JA向けにはあとから禁止措置が追加さたように見える。 こうしないと保証認定機種にしてもらえなかったのだろうか?

WARC Bandも送信可能に
 濃い青色の線が30mと20m Bandのポジションを結ぶ配線で、ループ状になった空色の線は17m と15m Bandのポジションを結ぶ配線だ。外して余った配線を再利用するのも良い。

 ほかに、12m Bandを送信禁止にする濃い青色の配線があると思う。 それはハンダ付けを外して撤去するか、スイッチの端子の根元でカットしてしまえば良い。

入念な目視確認を行ない、他の配線や部品にダメージを与えていないかチェックしておく。 作業中は余計な場所にハンダを垂らさぬよう注意が必要だ。

トリマコンデンサ・ボード
 説明が後先になるが、トリマコンデンサ・ボードは一旦外しておくと作業しやすい。 スイッチ回りに手をつける前に外しておく方が良かった。

 ホードは裏面に配線が付いているので無理に引張らない様にし、シャシの隅の方へ一時退避しておく。 調整済みのトリマコンデンサなのでなるべく手を触れない方が良い。



これで完成!
 作業中に外しておいたトリマコンデンサ・ボードを元に戻したら作業は終了だ。

 あとは良く目視確認を行なってから、シールド板を元に戻して完了である。 必要があればネジ部には新しい隙間テープでも貼っておこう。

 それほど難しい作業ではないから理屈を理解して作業すべき場所を間違えなければ1時間ほどで完了できる。 これでWARC Bandを含め全バンドの送受信が可能になった筈だ。 故障していない限り特別な調整は必要なく、あとは通電して動作確認を行なえば良い。

 もちろん、改造してオンエアする為にはライセンスの問題はクリヤしておかねばならない。WARCバンドのうち10MHzは2アマ以上、18MHzは3アマ以上のライセンスで運用できる。24MHz帯は全資格がオンエアできる。ステーション・ライセンスも該当バンドの運用許可が必要だ。 FT-101Zを対象に変更に関する電子申請とTSSの保証認定取得に関してはJF1DIR・広瀬さんのBlog記事が参考になるでしょう。

                ☆ ☆ ☆ ☆

 全半導体機に傾いていたこともあるが、当時は仕事が忙しかったこともあって、この時代のRigはあまり詳しくなかった。縁あってお譲り頂いたものの、手付かずのまま放っておいたのもさして興味がなかったからだ。 WARC Bandのこうした送信禁止はごく当たり前の手法だったのかもしれない。おなじ八重洲無線のFT-901もWARC Band付きモデルに共通の方法のようだ。 理屈がわかってしまえば対処方法もあるはず。まったく同じではないとは思うが、あとはFT-901オーナー自身でご研究を。

 Kenwoodの当時の機械では、該当バンドのコイル類が基板に搭載されていなかった。そのためFT-101ZDやFT-901のように簡単にWARC Bandも・・・と言う訳にも行かないことがある。 八重洲のこのシリーズは、同調回路がミュー同調なのでそもそも広帯域だった。それが禍いして送信禁止をするには工夫を要した感じだが、のちのちWARC Bandを活かすには八重洲無線の方法が断然有利なようだ。

 WARC Band対応だけでずいぶん長くなってしまった。次回はCWフィルタを装着し、電源を再投入するまでの過程を追うつもりだ。de JA9TTT/1

つづく)←リンク・Part 4へ

2013年7月20日土曜日

【HAM】 A New life for FT-101ZD Part 2

FT-101ZDにニューライフを:第2回

FT-101ZD
 写真は、レストアの済んだFT-101ZDだ。Part 2からは、こうなるまでの過程をご一緒に楽しんで頂きたいと思う。出来上がりは単なるシャックの「飾り」ではなく、良く整備すれば実用性能が得られる。

 同時に、自身の作業メモを兼ねているので、その所々で気付いたポイントも書き留めて行く。

 今から30年前の無線機とはどんな物だったのか、初めてなら目新しいしかもしれない。あるいはあらためて振り返り懐かしく思うお方もあるだろう。 高度成長からバブル経済へと向かう古き良き時代の無線機復活物語だ。 さあFT-101ZDでWARC Bandにオンエアしよう!

:整備開始は電源ケーブルをコンセントから抜いてから!(これが基本のキ)

電源部分の清掃
 Part 1(←リンク)にも登場した写真だが、このように埃の堆積でかなり汚れていた。 写真の電源部分は、正面パネルから向かって左奥に位置している。

 大きな電解コンデンサは終段用800Vを平滑する為のコンデンサだ。容量は各々200μF/500WVである。 800Vはトランスの320V巻線を両波倍電圧整流して得ている。 なお、受信時などほぼ無負荷状態では900V以上に上昇する。 高圧で尚かつ容量もある電源部なので内部をいじる際には危険を伴う。

 この部分は発熱するので風通しが良いようになっている。キャビネットの通風穴の為に上からの埃が堆積し易い構造だ。 基板上に見える半固定抵抗器はファイナルのバイアス電圧調整(アイドリング電流調整)なので、ときどき点検・再調整を行ない同時に清掃もしておくと良い部分だ。

高圧集塵
 このセラコンには高電圧が掛かっている。 この場所に限らず高電圧が掛かった部分には埃が付き易いものだ。 電気集塵器とおなじ原理であって、高電圧の掛かった場所には特にこのような黒いスス状の埃が付着している。

 よほど酷くなければそれほど危険はないが、それも程度問題だろう。 昔の真空管式TVでは埃が原因で火災が起こったくらいなのでスス状の埃もたくさん溜まれば漏電の危険もありそうだ。このホコリは触れると周辺が真っ黒になるので、いじらずに掃除機で吸取ってしまうのが良い。


空気の通路のホコリ
 終段管の冷却エアーが通る場所にはこのような綿ボコリが付着している。 空冷機構のある機械は内部が汚れ易いので定期的な清掃は必須と思って良い。

 接点がむき出しのスイッチでは、甚だしいと接触不良の原因にもなる。 同じく掃除機で丁寧に吸取っておこう。 合わせて接点の状態を目視点検する。

 こうした多段のロータリー・スイッチでバンド切換えする形式のリグでは、ここが原因の不具合が良く発生する。 特定のバンドで受信感度が落ちたり送信パワーが出ない事があって、スイッチの汚れによる接触不良が最たる原因だ。

ファイナル・ボックス
 奥まった部分なので開けるのが億劫になる場所だ。 終段管(ファイナル・チューブ)は送信時に数10Wの発熱があるから強制通風されている。 ホコリを含んだ空気がたくさん流れてくる関係でこのように酷い状態になっている。

 こうなってしまうと、輻射による放熱も空冷の効果も悪くなるからファイナル・チューブには甚だ居心地が悪かろう。

 バリコンの羽根の間にも埃の堆積が見られるので掃除機で吸い取るだけではなく、エアー・ダスターなどのスプレーを使うのも良い。 但し、間違っても(熱くなっている)ファイナル・チューブに掛けたりしないように!(割れる)

注意終段管の部分には高電圧が掛かっている。電源OFFしても200μFと言う大容量のコンデンサには電荷が暫く残っている。 電源OFFしたあと十分な時間を置かずに触れば間違いなく強い電撃を受けることになる。 テスターで電圧を確認し、電荷が残っていたら十分放電するなどの感電防止対策は必須である。不用意に電源が入らぬよう、ACコードをコンセントから抜いてから作業するのは基本の「キ」である。 命に関わるので安全作業に自信のない人はやってはいけない。その意味からも真空管機は経験のない人には向いてない。

6146B
 真空管は取り外さないと奇麗にできない。 外す時には、金属製のハカマの部分を持って、左右にゆっくり揺すりながら丁寧に持ち上げる。 あまり角度を付けて揺すると、真空管ベースの中央部にある「キー」の部分が折れてしまうことがあるので十分な注意を!

 このGE製6146Bの印刷は消え易いようで、水拭きしたら右の球のように文字が流れてしまった。 文字消えしないように注意深く清掃した方が良い。 水を含ませ固く絞った布でそっと拭けば奇麗になる。 左のようになればOKだ。 取り出した6146Bは少々ゲッターが焼けた感じも見えるがテストしたら十分なエミッションがあったので交換不要だった。

奇麗になったファイナル・ボックス
 真空管を外してから内部を奇麗に掃除した。 バリコンなど周辺の部品を目視チェックしてから真空管を元に戻しておく。

 RFCからパラ止めを通ってプレートキャプに行く配線はあまりゆとりが無い。真空管に無理の掛からないように取り回しておくこと。 無用な力がかかると送信時の膨張でクラックが入ってしまう危険がある。

ボックスのシールドカバーが高圧部分に当たらないことを良く確認してから確実にネジ止めしておく。

ファンモーター
 風を作る大元のファンモーターはたぶん汚れが酷いはず。 本体リアパネルから外して清掃しよう。

 外してみたら、このような有様だった。 掃除機で奇麗に吸取ってから必要があればハウジングからモーターも取り出して羽根の部分も拭き掃除しておく。(今回はそこまでしなかった)

 潤滑の為に注油するとかえってホコリが付き易くなる。 モーターのゴロが出ている場合は、丁寧に分解したあとで軸受け部分を洗浄すると良い。その際に少量の潤滑を行なう程度にとどめるべきだ。 間違ってもCRC556のような潤滑剤を直接噴射してはいけない。 当座は良くなったように見えても、ホコリの固着で次に不調になった時にはもはや復旧は困難だ。

ドライバ段とRF部
 FT-101ZDのファンモーターは吸い出し式である。 そのため、ファイナル・ボックスの回りの部分にも空気は流れている。 ドライバ段の真空管:12BY7Aの部分にも通風があるよう考慮されており、それなりに汚れていた。(写真は清掃済みのもの)

 球の周辺を清掃し12BY7Aも奇麗に拭いておく。この12BY7AはNECのロゴ入りだが、どこか他メーカーからのOEM品かもしれない。特に劣化は見られない。他のSSB機も含めドライバ管の12BY7Aが劣化するケースには未だに遭遇したことはない。無闇な交換は不要だ。周辺部品の故障でもない限り12BY7Aが劣化する可能性は殆ど考えられない。

 真空管を見ると何でも交換してみたがるのは素人修理の典型だ。私も予備の球は持っているが12BY7Aの交換が必要性だった事はない。アマ無線機で送信状態が何万時間にも及ぶことは無いから普通は壊れないのだろう。 12BY7Aは家庭用のTV受像機では必ずと言って良いほど使われていた球だ。毎日6時間以上受像し約5年で約1万時間を超えるが、それで交換が必要なことなどなかった。 送信時にしかプレート電流が流れないSSBトランシーバのドライバ管:12BY7Aが消耗劣化することなど考えられないのである。もちろん、事故でもあれば別だがそれさえも稀だ。

 なお、写真に見えるミュー同調部分ほかRF部分の基板部分へのホコリ付着は少ないだろう。 この部分を被うキャビネットには通気穴がないので上からの埃の堆積は少ないのだ。 それでも使用年月の経過で幾許かのホコリの浸入はあるので清掃はしておこう。柔かくて毛足の長い刷毛などを使いながら、掃除機で丁寧に吸い取っておく。

                 ☆ ☆ ☆

 まずは内部の清掃から始めた。 このあとはWARC Band改造やCWフィルタの取り付けが待っている。まずは清掃にしておかないと作業中に手指や衣服が汚れてしまうし、コネクタなどの接触面を汚す可能性がある。 ツマミや外装の清掃は勿論必要だがそれらに先立って内部から奇麗にしておく必要がある。整備の第一歩だと思う。

 このFT-101ZDは様子から見て、購入後に一度も清掃していなかったようだ。外観も含め内部もだいぶ汚い状態だった。 それが年式以上に古ぼけて見えた原因だった。 おなじFT-101ZDなのにやや年式の新しいこの機体の方がずっと古びて見え程度も悪そうに感じたのもそのせいだったようだ。 WARC Bandの送信禁止解除とCWフィルタの装着まで話しを進めたかったが、お掃除だけで少々長くなってしまったので次回にしよう。de JA9TTT/1

つづく)←リンク・Part 3へ

2013年7月13日土曜日

【HAM】 A New life for FT-101ZD Part 1

FT-101ZDにニューライフを
 写真は八重洲無線のFT-101ZD型トランシーバだ。 FT-101を名乗ってはいても、FT-101初代無印、FT-101B、FT-101Eの系列とは非なるものだ。 それらは、2回周波数変換のCollins Type受信部と、それを逆に辿る送信部で構成されていた。

 FT-101Zはどちらかと言えば、同じ八重洲無線ならFT-200に近いかも知れない。 バンド・ワイズ機能(可変帯域幅機能)のための追加2回の周波数変換を除けばたった1回だけの周波数変換である。要するにシングルスーパー構成の受信部だ。送信部もその逆を辿る。ミキサー段の多さ=性能が劣化・・・に目覚め始めた時代のリグである。

 詳しことはこの先々明らかになると思うが、まずは年代物トランシーバを登場させたのかを書かねばなるまい。

FT-101ZD MKⅢ
 FT-101ZDには大きく分けて3つの世代があった。 その最終世代は俗にMark Ⅲと呼ばれている。 Mark Ⅲは何が違うのかと言えばWARCバンドが含まれることだろう。 もちろん八重洲無線のリグの常で、同じ型番でも機能や性能・・・もちろん回路やデバイスも異なるもの多岐にわたるが、Mark Ⅲではバンドが増えているのが最大の特徴だ。ツマミの銀色の飾りでも簡単に区別できる。

 WARCバンド(ワーク・バンド)は、JAではまず10MHzバンドから許可された。(1982年4月1日) その後7年3ヶ月も経過した1989年7月1日に18MHzと24MHzの二つが追加許可になった。 私がオンエアしたのは10MHzからであったが、その頃のシャックは全半導体機になっていた。だから真空管を使ったリグでWARCバンドにオンエアしたことはなかった。

 最近になって、ファイナルとドライバだけではあっても真空管を使ったリグでWARCバンドにオンエアしてみたくなった。 拙宅には真空管ファイナルで全WARC Bandに対応するのはこのFT-101ZDしかない。 但しWARCバンドは送信禁止措置がなされていて、それを解除しなくてはならない。しかも一本のジャンパー線やダイオードのカットと言った簡単な方法では解除できない模様だ。 

(もう少し新しいFT-102やTS-830、TS-530などがあったら良かったのだが・・・笑)

XF-8.9HC CWフィルタ
 このCW用クリスタル・フィルタは、さる大OMに頂いたものだ。数年前に他界されたのでもはや遺品である。生前に頂いたとき「ぜひ活用して下さい」とのコメントが付いていた。 だから何とか活かしたい。

 この周波数のクリスタル・フィルタを使うリグは限られている。拙宅で他に使うとすればFT-901あたりだが、そちらには既にCWフィルタは付いている。生憎それはWARCバンドなしのモデルだ。復活させてやりたいFT-101ZDには付いていないから、こちらで活用するのがベストだ。

 以前、可変帯域の機能を使っでCWにオンエアしたこともあったが、無いよりマシではあっても代用品には限界があると感じた。ぜひともちゃんとしたCWフィルタが欲しいものだ。黒点サイクル24のピークでコンディション良好になっている18MHz/CWにオンエアの予定だ。EuとやるにはCWフィルタ無しでは手前のU-Zoneの混信がだいぶたいへんだ。hi

FT-101ZDのIF基板
 FT-101Z以前のFT-101シリーズや、FT-901ならCWフィルタ装着はいともたやすい。 それに対してFT-101Zのシリーズは構造がまるで違っていて、このような基板重層構造なのである。

 簡単にプラグイン式の基板を外して、ささっとフィルタを実装して・・・と言うのは通用しない。 上になった基板をまず外したら幾つかのコネクタも外し、ネジも何本か取らないと基板にアクセスできないのだ。 このIF基板さえ取り外せばフィルタの装着そのものはごく簡単そうである。 そこまで辿り着くのは面倒そうで、どうも気が重い。しかし、ここはやるしかないナ。

だいぶ汚れが・・・
 この、FT-101ZDは汚れている。 上の方のパネル面の写真も見てもらえばわかるが、お掃除なんか一切したことがないのではないか。

 以前はタバコ臭かったと思うので積もったホコリも何となくヤニっぽい感じ。 年数がたったお陰で殆ど臭わないのがせめてもの救いだ。

 ここはしっかりお掃除してやらないと活躍してもらえないだろう。丸洗いまでは必要なさそうだが、入念な清掃は要りそうに見える。(重要:たとえどんなに汚れていても、水や水性の洗剤での丸洗いは電子機器の寿命を縮めてしまうのでやるべきではない。電子部品が劣化する原因のかなりが水分の存在にある。どうしても洗いたいなら解体して大丈夫な部品だけで行なうべきだ。水分が内部に浸透してしまうトランスやコイル類は洗ってはいけない。完全乾燥はほとんど不可能だ。見かけを綺麗にしても機器の寿命を縮めては意味がない)

 なお、これとは別に惚れ惚れするくらい美しいFT-101ZDもあってそちらを積極的に使いたかった。しかしそちらは残念なことにWARCバンドの無いモデルだった。だから今回の目的には程度のあまり良くないコレを整備するしか無かったのである。

局発の水晶群
 FT-101ZDの特徴は水晶発振とVFOをプリミックスして局発を作っていることにつきるかも知れない。 写真は、各バンド用の水晶発振回路だ。 水晶発振子を切り替えるのではなく、発振回路ごとまるまる電子的に切り替える方式だ。

 それでは不経済のように見えるだろう。発振用トランジスタがバンドの数だけ必要になるし他の部品も同様にいっぱい必要なのだ。 しかしユニットとしては完成し易いので、部品のコストよりも機能実現の容易さと作り易さを優先したのであろう。 それにFT-101ZDの時代にもなればトランジスタのお値段はCR部品とさして違わなくなっていた。トランジスタが少々多くなっても機能がスッキリ整理されるなら、その方が良いと言う設計法も合理的になってきた時代なのだろう。

               ☆ ☆ ☆

 KenwoodのTS-590の登場によって再び低い第一IF周波数へ周波数変換する形式が見直されている。 確かに良い特性のフィルタに真っ先に通すことができればその後の信号処理はだいぶ楽になる。 FT-101ZDもMark ⅢともなればミキサーはDi-DBMになりIIP3もかなり改善されている。もちろん信号処理系は全てアナログだから、ごくごく弱い信号がデジタル処理に埋もれて見失うことも無さそうだ。 FT-901の廉価版として登場したFT-101ZDだが、この頃にもなると部分的にはそれを凌駕するほどになっていた。一概に大衆向け廉価モデルだと言って侮れないようだ。

 製造番号によれば、このFT-101ZDは1982年3月に製造されたらしい。すでに30年以上ゆうに経過しているから電子機器としての寿命は尽きているだろう。 しかし専用部品に致命的な故障が無ければ不具合を丹念に補修して行くことで初期状態に近づけることもできそうだ。1980年代にもなれば日本製電子部品のクオリティは非常に高くなっていたはず。昨今のチャイナクオリティとは明らかに別物だ。 真空管機で全WARCバンドにオンエア、そして遺品のCWフィルタ活用と言う目的でまずは始めてみよう。de JA9TTT/1

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