2013年12月15日日曜日

【部品】Solderless Breadboard (1)

ハンダ付けのいらないブレッドボード

ブレッドボードを新調
 簡単な回路の場合、最近ではブレッドボードで試作することが多くなった。

 元々のブレッドボードは昔風に言えば「まな板セット」のことである。平らな木板上に部品にソケットや端子などをネジ止めし、立体的な配線で組立てた回路のことであった。米国ではブレッドボード・セットと言っていた。要するにパン切り用のまな板(のような木板)を土台にした電子機器・回路のことだ。

 ここで言うブレッドボードはソルダーレス・ブレッドボードと言うものだ。昔の「まな板セット」とは大きな隔たりがある。 基本的にハンダ付けはせずに、ピン挿入式の端子板に回路を構築して行くものを言う。 その用途は実際に作って試作回路の様子を確かめてみたい、しかし恒久的に使う予定はない・・・と言った目的の製作に向いている。 その時の「土台」になるボードがここで言うブレッドボードだ。 広く使われており既にお馴染みだろうと思うので説明は無用だったかも知れない。

 もちろん高周波回路のように僅かのストレー容量が問題になったり、配線どうしの結合が問題になるような製作には向いていない。 ハイ・インピーダンスでローノイズを要求されるような試作も、静電誘導の可能性が高いのでブレッドボードでは難しいと思う。

 しかし、ごく一般的な低周波回路や高性能(高感度やハイゲインなど)を目的としない中波帯あたりまでの高周波回路も製作の範疇に入るのではないかと思っている。

大きなブレッドボード
 大きめのブレッドボードを購入してみた。 従来の約3倍くらいの回路規模まで搭載できるものである。実際には搭載効率も上がるので5倍くらい可能だと思う。

 そもそも余り規模の大きな試作には向いていないと思うのだが、アナデジ混在回路の試作では意外に場所を取るケースがあって旨く載せるのに四苦八苦するケースも多くなっていた。

 また、回路ブロックごとに分けておき、最後に各部を結合して纏めると言った使い方も可能だろうと思い大きなものを購入してみた。 敷地が広い方が土地の形状・寸法に縛られずに自在なデザインの建物を建設できると言った感覚であろうか。(笑)

愛用のブレッドボード
 これは従来使っていたもので、頂き物だったと思う。 その前に単独のボード部分だけを購入して持っていた。しかし何となく使い難くて活用する機会はごく少なかった。

 このような台座に載っていて電源端子やゴム足と言った付属物が付いたブレッドボードに使い勝手の良さを感じるようになってから徐々に使うようになった。

このブレッドボードには既製のジャンパー線一式がセットになっていたのも便利さを高めてくれたように思う。(次項参照)

ジャンパ−線セット
 ブレッドボードを使い始めるとすぐにわかるが、こうした接続用のジャンパー線のセットは必需品と感じるだろう。

 φ0.6mm程度の錫メッキ線(被覆線が良い)を適宜カットしながら配線を進めると言う方法も有る。 しかしあらかじめピッチに合わせてカットされたジャンパー線のセットがあると組立て効率は非常にアップする。

 写真のものは単芯の被覆電線の両端を曲げて作られた形式のジャンーパー線である。ほかに柔らかな撚り線の両端に挿入端子を付けた形式の物も配線に良く使う。 それぞれある程度の手持ちを用意しておきたい。

参考書
 既に使っている人は自己流で使いこなしていると思うので参考書など不要かも知れない。

 写真の書籍は2007年頃に発売されたものだ。 今ではほかにもたくさんのブレッドボード本が登場している。 これをお勧めするのはある程度の高周波回路までブレッドボードの範疇として工夫して取込んでいるのがHAM向きだと思ったからだ。もっとも、中身はラジオの製作が殆どなので他の電子工作を期待するなら別の本が良い。ラジオ好きには持って来いで、昔のラジオ少年が若かりし頃に思いをはせつつ、ラジオ再入門するには最適かも知れないね。(無線機の製作は無いけど・笑)

 一般的な(常識的な)使い方は、秋月電子通商のサイトにある「ブレッドボードの達人」と言う、使い方のポイントを簡潔に纏めたパンフが良くできている。ブレッドボードを使い始めたらまず最初に参考にすると良いだろう。(直リンク→ここ


参考書の中身
 写真のようなごく小規模のブレッドボードで遊べる範囲の製作を扱っている。これから電子回路に挑んでみようと言う初心者にも難しくないと思う。

 回路図とブレッドボード上の部品レイアウト、そしてジャンパー配線の入れ方まで図で示してあるので、教材にも向いているようだ。ブレッドボードの扱いも習熟できる。(最初から教育分野も出版意図にあるのかも知れない)

 ボードサイズが小さいのでかなり工夫しても部品の多い高級な回路は難しい。ノウハウを身につけたらもっと大規模なものに挑むのが良いと思う。 ただ、そうなるとその「作品」は恒久的に残したくなるものだ。 そんな時にはブレッドボードではなく蛇の目基板にハンダ付けで作るなり、更に一歩進めてプリント基板化も考える次の進歩の段階だと思う。恒久的に安定な製作物に纏めるべき時が訪れたわけだ。

小道具が大切
 ブレッドボードを使った製作と言えば、いきなり部品の足を差し込んで行くと言ったイメージが強い。 私の製作方法もそれに近いものがある。 あくまでも仮設だからだ。

 しかし、製作物に多少なりとも安定な動作や操作の容易さを求めるなら、写真にあるような「小道具」をこしらえておくと始末が良い。
 このあたり、グッドアイディアだと思うので真似させてもらおうと思っている。 もう一歩進めたアイディアも考えてみたのでこれから取込んで行くつもりだ。 かなり小さめのブレッドボードで様々な製作をこなしているのもこうした小道具を用意しているからだ。 これは大きめのボードを使う際にも役立ってくれるだろう。

                 ☆ ☆ ☆

 ブレッドボードと言えば、ソルダーレスではなかった時代から簡易工法のイメージが強かった。 金属シャシの上に回路を構築すると言った構造が一般的になる以前のイメージもあって、まな板セットは超古臭いイメージであった。
 時代は移り変わり、半導体回路の簡易実験に電子ブロック以上に高度な製作を、而もハンダ付け無しに実現するならブレッドボードは最適だと言えるようだ。
 接触不良の危険などもあって多少難しい面もあるとは思っているが、使ってみればなるほど便利なのでちょっと試すと言った用途にはお薦めできる。 大きなブレッドボードとジャンパー線のセットは3,000円以下で手に入る。お炬燵で楽しむお正月の電子工作にもピッタリかな?

2013年も後わずか、良いお年をお迎え下さい。御愛読感謝。de JA9TTT/1

(おわり)

10 件のコメント:

JG6DFK さんのコメント...

こんばんは。

いきなり余談ですが、昨日はたぶん今年最後になるであろう可視光通信の合同実験で千葉に行っていました。大久保さんが写真を撮りまくっていたので、その様子は近々CirQに掲載されると思います。

来年には知る人ぞ知る信州大学の可視光通信衛星「ぎんれい」が打ち上がる予定で、そこからの信号を捉えるべく有志が日夜腕を磨いています。

ここ最近はプリント基板を手作りしたり、万能基板で組み立てる気力がなくなってきたので、RF回路の検討は生基板に空中配線で、それ以外はブレッドボードでやることが多くなりました。それである程度目星を付けたら、必要なものは専用基板を業者に作ってもらいます。2層化やSMD化のニーズが増えてきたという事情もあります。

特に半導体部品は表面実装化が顕著になってきたので、ブレッドボードがこの先いつまで通用するかはわかりませんが、ピッチ変換基板などに助けられ、案外長生きするのかもしれません。秋月電子さん、今後ともサポートをどうぞよろしく。Hi.

TTT/hiro さんのコメント...

JG6DFK 児玉さん、こんばんは。 冬らしく寒くなってきました。(田舎は・笑)

早速のコメント有難うございます。
> その様子は近々CirQに掲載されると・・
購読会員ではないので、では立ち読みでもしましょう。ww

> 有志が日夜腕を磨いています。
多分、デジタルのコードを送ってくるのでしょうね。地上で受けてデコードする訳ですね。面白そうです。その可視光通信衛星計画に児玉さんも一口乗っているのでしょうか?

> それ以外はブレッドボードで・・・
シビアな回路は無理そうですが、結構なRF回路も旨くレイアウトすると動きそうです。不安定そうですけれど。ナマ基板に立体配線の方が安定に動くでしょう。(笑)

> ブレッドボードがこの先いつまで・・
変換基板などたくさん出ていますので暫く続くのではないかと思います。むしろ、試作の標準的な手段になるかもしれません。 ブレッドボードパターンのユニバーサル基板が出ているので笑ってしまいました。(←秋月)

年内はお会いできませんが、良いお年をお迎え下さい。また来年も宜しく。

JG6DFK さんのコメント...

加藤さん、改めてこんばんは。当地も寒くなってかないませんが、千葉の印旛沼周辺は寒さと強風で大変でした。当日は予定していた実験の一部をやめて早々に退散しました(爆)。

> 立ち読みでもしましょう。ww

完全無料ですので是非。Hi.

> 多分、デジタルのコードを送ってくるのでしょうね。

衛星のステータスをFSKで送ってくるのがメインになると思います。たぶん我々にはチンプンカンプンの内容です。Hi. アマチュア向けのサービスもやりたいようなことを言っていましたが、最終的にどうするのかは把握していません。

昨日の感触によると、受信自体は問題なくできそうですが、移動する相手をどのように追従するかで頭を抱えることになりそうです。

> 児玉さんも一口乗っているのでしょうか?

「黒子」ですが少しだけ首を突っ込み、関係者限定の記念グッズを実費頒布してくれるというので申し込んであります。詳しい話はアイボールのときにでも。

> 結構なRF回路も旨くレイアウトすると動きそうです。

確か、ESM/Cozyさんが7MHzのTRXをブレッドボードで製作されたはずなので、少なくともそのくらいまでならどうにかいけるのかもしれません。ハンダ付けは大変なので、ブレッドボードの応用範囲は広げられるに越したことはありません。

> ナマ基板に立体配線

これが「最強」なのは間違いありません。Hi.

> ブレッドボードパターンのユニバーサル基板

本当に瓜二つですね。ちなみに、今はどうかわかりませんが、私がラジオ少年だった頃はサンハヤトからも似たような基板が出ていました。2.54mmピッチで、同様に5つのランドがつながったパターンになっていました。

今年もお世話になりました。少し早いですが、来年もよろしくお願いします。

TTT/hiro さんのコメント...

JG6DFK/1 児玉さん、おはようございます。 今朝も寒いですねえ。

引き続きコメント有難うございます。
> 完全無料ですので是非。Hi
では、拝見させてもらいます。hi hi

> 衛星のステータスをFSKで送ってくる・・・
可視光通信そのものも衛星の目的の一つでしょうが、他にも観測機器を積んでいるのでしょうから様々なデータが送られて来るのでしょうね。

> どのように追従するかで頭を抱えることに・・・
精密な軌道から計算で求めて追尾・・・と言うような方法が可能なのでは無いかと思いますが高倍率望遠鏡で見ていると厳しいのでしょうね。

> 少しだけ首を突っ込み、関係者限定の・・・
それは素晴らしい! 作品が宇宙を飛んだのですか。

> ブレッドボードの応用範囲は広げられる・・・
ストレー容量が問題ですが、HF帯なら結構行けるように感じます。不要な列は浮かせたままにせず積極的にGNDに落とすとか工夫すれば良さそうです。

> サンハヤトからも似たような基板が・・・
そう言えばサンハヤトのサイトを見て驚いたのですが、積極的にブレッドボード製作を推進しているようで、様々なグッズが商品化されていました。良さそうなのですが秋月よりかなり高いのが痛いですね。

こちらこそ来年も宜しくです。

T.Takahashi JE6LVE/JP3AEL さんのコメント...

加藤さん、こんばんは。

ブレッドボード愛用しています。
愛用しすぎてブレッドボードで動いたらそれっきりってのも多いですが(爆)

40MHzのVCOをブレッドボードで組んだことありますが、特に問題なかったので結構応用範囲広いかなあと思ったりしています。Hi

内部に単線を使ったLANケーブルをばらして取り出した線がブレッドボードにぴったりで結構使いやすいですが、最近はデジットで購入した専用ジャンパー線を使ってます。

これと同じようなケーブルです
http://ja.aliexpress.com/item/Free-Shipping-2-Bundle-130pcs-Solderless-Flexible-Breadboard-Jumper-Wires-Cable-Male-to-Male/810014121.html


JG6DFK さんのコメント...

こんばんは。明日は一段と寒くなりそうで、夜には雪になるところもあるようですからご自愛ください。

> 他にも観測機器を積んでいる

詳細は信州大学の特設サイトに掲載されていますが、「光り物」と通信・制御機器くらいしか搭載されていません。単に「地球を回る発光体」です。Hi.

> 精密な軌道から計算で求めて追尾

その前に管理者が衛星を見失う可能性も高そうです。ただでさえ大きさが40cm四方の小型衛星ですから… また、NASAに言わせれば低軌道衛星は「ゴミ扱い」だそうで、放出後、他に危害を加えるおそれがないとわかった時点で「我関せず」になるようです。

> 作品が宇宙を飛んだのですか

衛星の要求仕様を満たせるアナログ回路部分の設計屋がいないということで引きずり込まれました。Hi. 打ち上げはこれからなので予断は許しません。私の名前はどこにも残りませんが、アイソン彗星のように「崩壊」しないで欲しいものです。

うまくいけば、夜空にモールス符号の軌跡を残すような芸当もやってくれるのではないかと期待しています。Hi Hi.

> 不要な列は浮かせたままにせず積極的にGNDに落とす

RFのみならず、ブレッドボード上にアナログ回路を組む際の留意点はおっしゃるとおりだと思います。私はやりましたが、場合によってはノイズ対策としてベースの金属板もGNDに落とす必要が出てくるかもしれません。

> 秋月よりかなり高い

ブレッドボードに傾倒しているのはプリント基板を自作する人が減っているからでしょうね。秋月が安売りしすぎているという考え方もあるのでしょうが、私自身サンハヤトの製品は全般的に割高な印象を受けます。逆に中華製品の安さには絶句させられます。同じものを作ろうにも、あの値段では部品代にもなりません。Hi.

景気が回復傾向にあるという話もあるようですから、その恩恵を受けた方々にはケチケチせずに国産高級品をたくさん買っていただいて、日本経済のさらなる活性化に是非貢献していただきたいと思います。Hi Hi.

度重なる脱線大変失礼しました。m(--)m

TTT/hiro さんのコメント...

JE6LVE/3 JP3AEL 高橋さん、こんばんは。 関西からお天気が崩れるそうですね。明日の北関東は夜から雪になる予報です。

コメント有難うございます。
> ブレッドボードで動いたらそれっきり・・・
半分確認が目的だとそうなっちゃいますね。 そんなお方にこんなのが有るので、私も買っておこうと思います。(笑) http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-04303/

> 40MHzのVCOをブレッドボードで・・・
検索するとFMラジオとVHF帯も有りますのでHF帯なら十分何とかなるようですね。

> LANケーブルをばらして取り出した線が・・・
不要なLANケーブルは捨ててしまいがちですが今度リサイクルしたいと思います。hi

> これと同じようなケーブルです
安くて良さそうなのでこれを買ってみましょう。不足気味ですので。 秋月にしろデジットにしろ原産国はたぶん中国ですからね。(笑)

ブレッドボードで試作するどころか道具を揃えて満足してしまいそうです。(笑)

TTT/hiro さんのコメント...

JG6DFK 児玉さん、こんばんは。 12月から雪は迷惑ですよね。 まだ心の準備ができてません。(笑)

コメント有難うございます。
> 単に「地球を回る発光体」です。Hi.
なるほど。40cm角ですから仕方ないでしょうね。 主に機内各部の温度とか、電池電圧などの情報を送って来るのでしょうね。

> 「我関せず」になるようです。
低高度衛星はいずれ流れ星になって燃え尽きてしまうでしょうから危険はないと言う判断なのですね。hi

> 「崩壊」しないで欲しいものです。
Gの試験とか実施してあるのでしょうから、打ち上げ成功さえすれば大丈夫でしょう。肉眼で見えるのを期待していますよ。

> ベースの金属板もGNDに落とす必要が・・・
RFではボディーエフェクトを軽減するためにベース板の接地は必須でした。

> 全般的に割高な印象を受けます。
私もそう思いますが、日本人に給料を出すためにはそうなってしまうのでしょう。少し高くても良いので品質で勝負してもらいましょう。

> 国産高級品をたくさん買っていただいて・・・
電気製品の場合、国産品が欲しくてももう作っていないのが問題かと思われます。もう工場が有りません・・・。

国産品は工芸品くらいしか残らないようですね。国産銘入り至極のアナログ回路とか、ダメですかね。(爆)

JI1ANI/福井 さんのコメント...

こんにちは。
大きめのブレットボードは使いやすいですね。最初に部品配置とか考えずに作ることができますが、小さい回路だと回りがガランとして、なんか寂しいです。

秋月のブレットボードパターンの基板は売れているそうです。
私も数枚持っていますが、まだ使っていません。来年はこの基板でマイクアンプでも使ってみようと思っています。
いつも楽しい記事をありがとうございます。よいお年をお迎えください。

TTT/hiro さんのコメント...

JI1ANI 福井さん、こんにちは。 大晦日ですね。 年越しの準備も概ね終わったところです。

コメント有難うございます。
> 小さい回路だと回りがガランとして・・・
そうですねえ。実験回路は簡単なことが多いですから小型ボードの方が出番は多いかも知れません。hi hi

いま大きなBBにSSBジェネレータを載せているのですが、ヘテロダインの部分まで十分載りそうです。

> ブレットボードパターンの基板は売れている・・
私もさっそく買ってみました。 BBで旨く動いたそのままの部品レイアウトでそっくり載せ換えできて安心だからでしょうね。 あとはハンダ付けさえ間違いなければ回路の恒久化が容易そうです。hi hi

こちらこそ拙いBlogをご覧いただき有難うございます。 お目にとまった記事でもあればまたお気軽にコメントをお願いします。 どうぞ良いお年をお迎え下さい。2014年も宜しく!