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2015年4月18日土曜日

【部品】Japanese Vintage transistors

【電子部品:日本の古いトランジスタ】
 【日立:HJ22D
 日立がトランジスタの量産を始めた頃のトランジスタである。 リード線が短いのは新品ではないからだ。 たぶん、修理に値しないような古いラジオから調達したように思う。昔々のお話しだ。

 部品箱の電子部品にもそれぞれに物語はあると思う。 でもゲルトラはやはり懐かしすぎるだろうねえ。 「私の・・」からお声も来ないな・・・と選んだ訳でもないのだが。(笑)

                    ・・・

 前が何時だったか思い出せないほど久しぶりにゲルマニウム・トランジスタで6石スーパ(←参考図あり)を作った。そう言えばもっと古い石もあったなあ・・・と思い出す。 ブレッドボード製作だから「取っ替え引っ替え」はお手の物だ。 貴重品かもしれないが、足が短い中古の石ではたいした価値はないだろう。早速これで遊んでみることに。

 あとで対照表が出てくるが、後世の2SA12と言うトランジスタのご先祖にあたる。型番が2SAXX形式になったのは1960年だから50年はゆうに経過しているはずだ。いや還暦近いかも知れない。 だいぶ足のメッキが酸化していたので少々磨いてやった。 これ今でも働くんだろうか?

 【HJ22Dに通電する
 いきなり通電されたら石もビックリするだろうから、テスター(指針式)のΩレンジで各PN接合の様子を見てからにする。(注:×1Ωレンジは使ってはいけない。過大電流で壊すこと有り) 長く寝かせた球とちがって寝覚めが悪いなんて言う半導体はないだろう。 ICBOは大きくなっていないから気密漏れや汚染は大丈夫そう。hFEもそこそこあるようだ。

 HJ22Dはアロイ型のPNPトランジスタだ。アロイ型は「ジャンクション型トランジスタ」としては初期のもの。不安定なポイント・コンタクト型を卒業しやっと安定した構造になったのである。 ハンダ封止という古典的な組み立て方法でパッケージングされている。 封止のあとで黒く塗装し手で型番を捺印したような手作り感いっぱいのトランジスタだ。

 量産された接合型トランジスタとしては最初期のものだろう。 電流利得=1となるトランジション周波数:fTは僅かに8MHzしかない。 それでも低周波用ではなくて高周波用のひとつ、中間周波増幅用だ。ここで言う中間周波とは455kHzだが。

 それで、働いたかって? 何の問題もなくちゃんと働きましたよ。 ゲインも新しいトランジスタと違わない感じで。 トランジスタの寿命は半永久なんて今じゃだれも信じないが、50年以上経ってもこのトランジスタは立派に生きていた。

 【日立:2SA12
 なぜか2SA11と言うのは登録がなかったらしい? 2S11と言うのが日本電信電話公社専用にあったらしいのでその関係かも知れない。 従って日本のトランジスタ規格表で最初に登場するのは2SA12だ。 2SB11もなくて、2SC11と2SD11があるのも面白い。

 2SA12はHJ22Dと同じ電気的特性だが、形状はまったく違う。 組み立て方法が変わったからだ。 ステム(台座)とキャップの部分を電気溶接で組み立てるようになった。ハンダ付けより生産性が向上し信頼性も高くなった。HJ22Dはやはりかなりの旧式なのである。

 こちらはTO-1と言うパッケージ形状である。統一された形状としては最初の物だ。ちなみに、2SC1815はTO-92型パッケージだ。 既知かも知れないが、今も見かけるTO-XX型の「TO」と言うのは、「Transistor outline」・・・即ち「トランジスタの外形」と言う意味そのものだ。(参考:半導体技術協会JEDECのTOアーカイブ:TO-archive

 #このちょっとメッキが錆びて来た2SA12も立派に動作した。

 【東芝:2SA53
 2SA12の同等品と言えば東芝の2SA53だろう。これにも旧型番があって2S53だ。 同じようにゲルマニウム時代の6石スーパーでは定番トランジスタだった。

 2SA52の自励コンバータのあと2SA53のIFアンプが2段、1N60で検波、そして2SB54の低周波アンプのあとは2SB56ppでパワーアンプと言うラインナップだった。(参考:2SA53の一方を2SA49とするものもある)

 ちなみに日立の方なら、2SA15-2SA12-2SA12-1N34A-2SB75-2SB77ppとなる。

 性能は2SA12と違わない。まったく同じように動作する。 中和容量も同じで大丈夫だ。 カタログ性能を見ても殆ど違いがないくらいの互換品である。 もちろん、この2SA53もちゃんと使えた。 写真の2SA53は捺印文字が緑色なので通信工業用のグリーン・シリーズのようだ。 確か頂き物だったはず。TKS JL1KRA !

                    ☆

ゲルトラのラジオで
 All Ge-Trで6石ラジオを試作し日立のラインナップと東芝、日電のそれぞれで試みた。いずれも後期の高性能なゲルトラではなくて、ごく初期の石ばかりを集めたものだ。
 全部シリコンの近代的な石・・例えば2SC1815,etc・・で作ったものと比べても遜色ない性能が得られる。もちろん各々に最適化はしてあるし、設計利得は同じになるよう計算している。違いがなくても当然なのだが。
 VHF帯ともなると、性能差が歴然としてくるかも知れないが少なくともHF帯なら違いは感じないだろう。或はGe-Mesa型でも使えば50MHzくらいゲルトラでも楽勝だろう。
 周囲温度の上昇のように環境が悪くなるとゲルマは不利だ。しかし日常の生活環境ならまずまず使えそうな「受信機」が作れる。 ならば作るのかと問われれば・・・答えはやや否定的ではあるのだが。 単に珍しい物を使ったと言うだけではどうも意義が・・・(笑)

旧型トランジスタの型番対照表
 神戸工業、日立、松下、日電、ソニー、東芝の旧型トランジスタと2SA・・・形式になってからの対照表である。 旧型番は各社が思い思いに命名していた様子がうかがえて面白い。

 非常に古いトランジスタ・ラジオの修理の時にでも資料にされたい。 そうは言っても代替品の方も手に入らないかも知れないけれど。(笑)

 そんなときはバイアス関係を少し定数変更してやればシリコンのPNPで代替が出来る。機能優先で復活させたいなら工夫してみると良い。場合により高性能化されることもある。
 標準的な6石スーパの動作として、コンバータ段がIc=500μAくらい、IF初段も500μA、IF2段目が1mA、低周波ドライバ段が1.5mAくらいになるようバイアス抵抗を加減すれば良い。低周波パワーアンプは各々1.5mAくらいで良いだろう。いずれも無信号時のコレクタ電流値だ。(エミッタで測っても概ね同じである)

 なお、電気的な特性は同じではあってもHJ22Dと2SA12のように外観形状までまったく同じと言う訳ではない。

 この表以外に、三菱もTJ○○と言う旧型トランジスタを作っていた。 三洋電機は2SA・・・の時代になってからの生産開始でシャープはトランジスタを作っていなかった。 他の家電品メーカーは日立やSONYと言った逸早く量産に成功したメーカーからトランジスタを購入してラジオを量産していた。 トランジスタ・ラジオが輸出家電製品の花形だったのは'60年代初めのころだ。

                    ☆

 デバイスも集めて眺めるだけでは大して面白くもない。 ぜひ何か作って働かせたいものである。 既にラジオは身の回りに溢れているし、ICとかDSPとか近代的なものが登場している。 だから作るのは恒久的な「作品」でなくても良いだろう。作って遊べる程度で十分だ。 ラジオ用のトランジスタはやっぱりラジオで試すのが一番だろうか? 50年の歳月を超えたトランジスタから聞こえてくるAMラジオ放送は何となく神秘的に囁くように聞こえた。de JA9TTT/1


(おわり)

8 件のコメント:

本田/JK1LSE さんのコメント...

こんにちは。
きょうは久しぶりにいい天気ですね。所要があり、新宿に行くついでに秋葉原でも寄ってこようかと思っています。特に目当てはないのですが。

2SAxxとかホンの少し持っていますが、HJ22とかを拝見するのは初めてです。当時は結構高かったのでしょうね。2SB54、2SB56、2SB75、2SB77、2SD77とかを買った記憶があります。(型番が違っているかも?)
ラジオを作るために2SAxxも買ったと思うのですが、型番の記憶がありません。

電球を駆動するために、2SB222を買ったのですが、実は電球を駆動するには非力だったり。外観はちょっと大型で力強いのですが。中学生が大枚をはたいて買いました。ずいぶん大事にしていたのですが、どこかへ行ってしまいました。

ゲルマトランジスターを使った2石?ラジオで驚いたのはベースバイアスの回路が無いのがありました。間違いだと思ったら、Icboを使ってバイアスしてたんですね。ちゃんと動いていました。シリコンに置き換えてしまうと動かないですね。

TTT/hiro さんのコメント...

JK1LSE 本田さん、おはようございます。 今日はよいお天気ですね! この後で掛けます。hi hi

早速のコメント有り難うございます。
> 特に目当てはないのですが。
定番のお店を回ってくるとFBな物を発見できるかもしれませんよ。hi

> 当時は結構高かったのでしょうね。
1958年の雑誌広告を見たら500円〜1000円くらいでした。大卒初任給は1万4千円だったそうです。

> ラジオを作るために2SAxxも買った・・・
ラジオ雑誌でポピュラーだったのは2SA156(NEC)と2SA101(松下)ではなかったかと思いますが・・・。

> 2SB222を買ったのですが・・・
TO-5パッケージなのでリッパにに見えましたよね。 B222は珍しくケースがベース電極になってました。

> Icboを使ってバイアスしてたんですね。
そうなんです。 なにがしかIcboが流れますから自然にバイアスが掛かって・・・。 シリコンに慣れた目で見たら回路ミスと思いますよね。

ゲルトラのお手持ちがあるようでしたら発掘されてお試しください。hi

jn3xby@岩永 さんのコメント...

加藤さん、こんにちは。
HJ22Dは当局も初めて見ました。写真を見た時は、今回はXTAL関連かと思ってしまいました(^_^;
使ったことがある二桁TRは2SB54,56、2SC32くらいですね。まだ雑誌の回路図をそのまま作るのが精一杯でした。田舎でしたので、入手するのも難しかったです。
50年も前のことです。
最近では、足つきの半導体を入手するのが難しくなっていますが(笑)
あと50年たったら回路は全てシート状になっていて部品概念がなくなっているかもしれませんね!

TTT/hiro さんのコメント...

JN3XBY/1 岩永さん、こんにちは。 埼玉東部をぐるっと回って帰ってきました。(家内の付き合いです・笑)

コメント有り難うございます。
> 今回はXTAL関連かと思ってしまいました(^_^;
いわゆる、「飯ごう型」などと言われているパッケージで、旧式な形状です。 似ているのは水晶のパッケージを改造して使ったからでしょうか。hi

> 田舎でしたので、入手するのも難しかったです。
私もそうでしたよ。 初期のシリコントランジスタは高くて手が出なかったです。ゲルトラは100円台でしたが2SC372など出始めは1,000円もしたのでした。やむなくジャンク基板から外して使いました。

> 回路は全てシート状になっていて・・・
回路を自作すると言う概念は無くなっているかもしれませんね。 大昔の「ディスクリート部品」が懐かしいと言ってもてはやされているかも。 子孫の為に買い溜めしときましょうか。球のように値打ちが出るかも知れませんから。(爆)

> 部品概念がなくなっているかもしれませんね!
ハードウエアは数種の標準モジュールになっていて、あとはシミュレータとか使い機能はソフトウエア的に実現するようになっているかも知れませんね。プログラムも自然言語で対話形式で記述されるとか・・・。 その頃まで生きていたいものですが無理ですね。(残念)

T.Takahashi JE6LVE/JP3AEL さんのコメント...

加藤さん、こんにちは。
部屋の移動に伴う作業に追われてます^^;

さすがにクリスタルのような形状のトランジスタは見た記憶がありません。Hi

2SA12は小中学生の頃に多用した2SA100や101、2SB56などの見慣れた外観ですね。^^

しかし「TO」が「Transistor outline」の略だったとは初めて知りました。
というより何の略なのか考えたことも無かったです。^^;

TTT/hiro さんのコメント...

JE6LVE/JP3AEL 高橋さん、こんばんは。 ずいぶん日が長くなりましたねえ。 今日はFBなお天気でしたよ。 お部屋の片付けお疲れさまです。 一気に大変でしたね。

コメント有り難うございます。
> クリスタルのような形状のトランジスタは見た・・・
日立だけでなく、NECやSONYも類似形状のTrを作っていましたが、やがて丸缶型に移行しました。 お生まれになる遥かに前の形ですから見たことがないのも・・・。(笑)

> 2SA12は・・・見慣れた外観ですね。^^
2石のレフレックスとか、ラジオ雑誌で見なれた形状でした。 シリコンでも最初は同じ形でしたがコストが掛かるのでプラスチック・モールドになりました。 ゲルトラが高かったのはパッケージが高いのも理由だったんでしょうね。hi hi

ナショナル・松下はミニ試験管のようなガラス容器に入ったトランジスタを作っていたのを思い出しました。hi hi

> 「Transistor outline」の略だったとは・・・
社会人になった頃、とても物知りな先輩エンジニアのAさんに教えてもらったんですよ。 私も何の略かなんて考えもしなかったのでした。(笑)

最初の頃は金属でもガラスでもないプラスチックパッケージのトランジスタには不安を覚えたものでした。(笑)

JR2WZQ 河野 さんのコメント...

加藤さん、こんばんは。こういう昔のネタは大好きです。

私が電子工作の世界に入ったときは、既にシリコントランジスタの2SC372が幅を利かせていた時代でしたが、まだ真空管やゲルマニウムトランジスタも現役だったと思います。当時の「ラジオの製作」の製作記事でも真空管やゲルマニウムトランジスタがよく使われていました。シリコントランジスタがまだそれほど安価ではなかった(ゲルマニウムトランジスタの方がやや安価だった)という事情もあったかと思います。

当時我が家にあった2バンドのトランジスタラジオに使われていたトランジスタが、2SA60-2SA49-2SA53-1N60-2SB54-2SB54-2SB56×2の東芝のラインナップだったのを今でも覚えています。
6年ぐらい前のことですが、チェリーの8石スーパーラジオのキットを利用して、極性を逆にしてトランジスタをリード線に錆がきているハズシ物のゲルマニウムトランジスタに交換して組み立てたところ、特にバイアスを調整しなくても普通に動作したので妙に感心しました。このときのトランジスタは2SA15×2-2SA12-2SA12-1N60-2SB75-2SB75-2SB77×2でした。

確か1990年頃、岩手県のハムの集いか何かのとき手に入れたのですが、ソニーの2T64とか2T65とかが我が家にあります。何かに使ってやりたいと思っていますが、何に使ったら良いのかアイデアが出てきません。

TTT/hiro さんのコメント...

JR2WZQ 河野さん、こんばんは。 こちらではお久しぶりです。hi

コメント有り難うございます。
> まだ真空管やゲルマニウムトランジスタも現役・・・
1960年代の終わりから70年代の中頃までは混在していた時期でした。 ゲルトラもまだかなり残っていたし、Audioや無線では真空管も現役でしたね。 家電品も古い設計のまま継続生産が残っていましたからゲルトラのニーズもあったようです。

> 特にバイアスを調整しなくても普通に動作した・・
乾電池式のラジオでは、電圧低下を考えたバイアス回路になっているものが多くて、SiでもGeでもそこそこ動作する条件になるようです。 そのままGeに換えると消費電流が多くなっている可能性があるので電池が勿体ないので調整する方が良いでしょう。hi

> ソニーの2T64とか2T65とかが・・・
2SD64と65相当ですが、PNPで言えば2SB54とB56あるいは、2SB75とB77のようなラジオの低周波アンプ用トランジスタです。そのような用途に使えると思いますが、もし未使用品でしたら足は切らずにソケットに刺して試しましょう。(笑)