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2015年6月17日水曜日

【回路】Diode Balanced Modulator

【回路:ダイオードを使ったバランスド・モジュレータ】
 【ダイオードを使ったバラモジ
 ゲルマニウム・ダイオード:1N34Aを4つ使ったリングモジュレータである。 真空管の時代から愛用されて来たバラモジ回路だ。 十分研究し尽くされていて性能は安定しており、IC-DBM全盛の時代にあっても有用な回路である。 これを避けて通る訳には行かない。もちろん過去に実験済みであるがBlogで改めて採り上げることにした。

 ここで使うダイオードはゲルマニウムのポイント・コンタクト型(←リンク)に限らない。ショットキー・バリア・ダイオード(SBD)あるいは高速スイッチング用Siダイオードでも良い。 ゲルマニウムが有利なのは注入キャリヤのレベルが小さめで良いことくらいだ。但し内部抵抗の小さい他のダイオードの方が信号損失は少なくなる。

 HAM用の無線機では、八重洲無線は1S1007(JRC製)をTRIO/Kenwoodは1N60(東芝)を好んで使っていた。 1S1007はゲルマニウム・ダイオードであるが、ゴールド・ボンド型と言うものだ。 ポイント・コンタクト型の1N60を使うよりも幾分損失は少ないようだが大差はないのでどちらでも同じようなものだと思って良い。(もちろん混ぜて使うのはNGだが)
 ここでは1N34A(日立)を使っている。無理に同じものを探す必要はなくて1N60や1K60でも良い。海外製では1N270が代表的Ge-Diだ。 あるいは1SS86や1SS97のようなRF用ショットキー・ダイオードでもまったく同じように使える。(注:電源整流用のショットキー・ダイオードは接合容量が過大で高周波には不適当)

 以下、オーソドックスな回路も扱う意味でテストしている。 一般的過ぎる回路には興味をそそられないかもしれない。 確かにその通りであって、特別なことは何も書いていないから妙なご期待をされているようなお方は早々にお帰りがお勧めだ。 わかりきったことに貴重な時間を浪費する意味はないだろう。さあさ、帰った帰った。

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SSBジェネレータの形に纏める
 ダイオード・バラモジを扱っただけでは面白くもないので、SSBジェネレータの形でテストしている。 キャリヤ発振器との繋ぎ方や、マイク・アンプから信号の加え方のような「回路の扱い」の部分も明確にしておく方が後々の活用で意味があるだろう。

 前回のFETを使ったSSBジェネレータ(←リンク)を改造して使っている。 同じく7.8MHzのクリスタル・フィルタを使うので、キャリヤ発振回路は基本的に同じものを使う。 但しダイオード・バラモジの特性に合わせて小変更している。 キャリヤ・レベルは小さめで良いが、インピーダンスが低いのでそれに合うよう部分的に変更している。

 マイク・アンプも逆相出力は必要なく単純なアンプで済むから簡略化した。 そのため、FETを使った前例よりも部品数は少なく済んでいる。空白面積が増えたのが写真からもわかるだろう。

 【7.8MHz SSBジェネレータ:全回路
 バラモジ(Balanced Modulator)の部分と、マイク・アンプを大幅に変更している。 キャリヤ発振回路は概ね同じだが出力部分を小変更した。

 キャリヤ発振回路はUSB発生用に7797.5kHz、LSB発生用に7802.5kHzを発生する。 USB/LSBの周波数切換えはトランジスタ・スイッチで行なっている。回路の詳細は前回の記事(←リンク)を参照してもらいたい。 ここで変更したのは2SK544Eを使ったバッファ・アンプ部分である。インピーダンスの低いダイオード・バラモジに対応するため、出力部の7.8MHzトランス:T1を作り替えている。Q4:2SK544Eのドレインもトランスの中点タップに接続している。バラモジへは約2Vrmsを与えている。 なお、2SK544を2カ所で使っているが、これらは2SK241あるいは2SK439でも良い。代替は2SK544E=2SK241Y=2SK439E、2SK544F=2SK241GR=2SK439FでOK。2SK439は足の並び方が逆順なので十分な注意を。上記の回路では2SK192Aでの代替はできない。 そのほか2SC372Yは2SC1815Yで代替できる。

 バラモジはオーソドックスな、所謂「コリンズ型」と称するものである。 他の形式を試したこともあるが、この回路が性能的に最も安定していて確実だと思う。 キャリヤのバランス・ポイントが明確にわかり、バランス調整も容易である。 振幅と位相の両方を調整できるので良好なキャリヤ・サプレッションが得られる。 なるべくシンメトリーに部品を並べて作るのは常識だが、少々アンバランスなレイアウトでもそれなりにバランスしてくれる。調整範囲が広いのだ。 ダイオードに1N34Aを使ったのは手持ちの関係なので、1N60でも1K60でも何でも良い。今どきゲルマニウム・ダイオードの時代でもないから、RF用のショットキー・ダイオードでも良かろう。 ゲルマDiの場合、テスタで順方向抵抗と逆方向抵抗を実測して揃えてやると気休め以上の効果がある。 但しそれほどシビアではないのでダイオードの選別は程々でも十分だ。測ることで不良品のリジェクトに意味があるくらいだ。 部品レイアウトや調整の方がむしろ影響度は大きい。

 マイク・アンプはOPアンプを使っている。現在ではオーディオ・プリアンプ用のIC(例えばTA7063P)よりも入手は容易だ。性能も十分だからOPアンプの採用がお奨めだ。 ここではNECの通信工業用:μPC151Cを使っている。 但しμPC151Cの中身は一般的な「741型」と等価なのでそれで代替すれば良い。 今さら741タイプなんて古典的だと思うならもっと近代的なOPアンプを使っても良い。ごく一般的なOPアンプならたいてい使えると思って良いだろう。 なお、今回の回路ではハイ・インピーダンス型ダイナミック・マイクロフォンに適するように回路設計してある。ロー・インピーダンス型のマイクロフォンを使いたいなら前回Blogの参照を。 #まあ、ミスマッチにはなるがそのままでも十分使えるのであんまり神経質にならなくても良いのかも。

 ポストアンプとフィルタ部分は前回Blogとまったく同じである。

 見直してみて、マイク・アンプ部分もバラモジ部分も昔懐かし「熊本シティ・スタンダード」SSBジェネレータのようになってしまった。意識した訳でもないのだが、まあオーソドックスとはそう言うものなんだろう。熊本C-STDは地方で入手容易なパーツを主体に実現していたものだ。RF用パーツが乏しくなってきた現状はそれと似た状況になって来た。結局作り易さを追求すると行き着く先は同じようになってしまう。もちろん秋月の10Kボビンなど望めないからトロイダル・コアにコイル巻きで現代風にアレンジしている。(笑)

 IFアンプに検波回路と低周波アンプを追加して要所をダイオード・スイッチで切り替えてやれば熊本C-STD同様の送受ユニットにもなり得るので、あとは各自で自由研究されたい。w

 全電流は約23mA(@Vcc=12V)となり、FETをバラモジに使ったものよりも幾分少なくなった。これはパッシブなデバイスのバラモジなのとOPアンプが1回路で済んでいるからだ。 SSBジェネレータ出力は約400mVppが得られている。これは歪みに対して多少マージンを見た値である。後続のミキサーには適当な大きさだろう。

 【バラモジとマイク・アンプ部分
 ブレッドボードにダイオード・リング形式のバラモジは載せにくかった。 未だ最適レイアウトではないと思っている。(笑) 実用品の製作時にはプリント基板上にハンダ付けで作ることになる。従って此処での多少のまずさは支障ないので妥協してしまった。 それでもキャリヤ・バランスは奇麗にとれているのでまずまずであろう。

 バラモジ部分に使ったバイファイラ巻きのトランス:T2はコモンモード・チョークとして製作された既製部品である。 フェライトコアにバイファイラ巻きになっており巻き線のバランスが良く周波数特性も十分だったので使っている。 自作するなら例によってコアにはフェライトビーズ:FB-801-#43を使い、φ=0.2mmのポリウレタン電線を2本良くよじったものを6回巻きすれば良い。まったく同じように使える。なお、T2を省いてT3のみでバラモジ回路を作ることも可能だ。 キャリヤの注入レベルなど多少検討を要するかもしれないが概ね同じような性能が得られる筈だ。

 マイク・アンプに対して、バラモジの入力インピーダンスは低すぎるので過負荷にならぬよう直列抵抗で対応している。 バラモジが必要とするオーディオ信号のレベルは数100mVppで十分だから直列抵抗による対策で支障ない。 直列抵抗はOPアンプが直接容量性負荷にならないようにする意味もある。 マイク・アンプの入力部分でRFの回り込み対策を行なっている。 

 キャリヤ・バランスは可変抵抗器:VR2とトリマ・コンデンサ:C24を交互に調整して漏れが最少になるように追い込む。 VR2は単独のVRでは調整がクリチカルなので、100ΩのVRを使い両端に470Ωを入れると言った回路形式にした方が良いようだ。 部品に問題がなくレイアウトが悪くなければ、VRのほぼ中央で奇麗にバランスが取れる。

 【7.8MHzトランスの巻き方
 このSSBジェネレータでは7.8MHzのトランスを2つ使っている。 FCZコイル:10S9(9MHz用)などを使っても良いのだが、Qの高いコイルが作れるのと、2次側リンクコイルの巻き数を自在にできることからトロイダルコアに巻いている。安価に高性能で最適なコイルが得られる。

 写真はキャリヤ発振回路の出力部分にあるT1の製作例である。 最初に15回+15回の同調側(1次側)を巻く。 写真ように15回巻きの部分から中点タップを引き出しておく。 2次側はT1の製作例では4回巻きである。 ポストアンプの入力部にあるT3も1次側は同じように15+15回巻くが、2次側は8回巻きにする。 トロイダルコア:T-25は外径6.35mmの小さなサイズなので最初は巻きにくいかもしれないがちょっと慣れれば簡単だ。 巻き線は余り太いと巻きにくいのでφ0.2mm程度(AWG32相当)が適当だ。作業性を考えてポリウレタン電線(記号:UEW)を使うのは常識だろう。 外付けのコンデンサ:68pFとmax50pFのトリマコンデンサで7.8MHzに同調させる。 だいたい7.5〜10MHzあたりまで可変できる。参考リンク→トロイダルコアでFCZコイルを代替

 【ブレッドボード対応
 ブレッドボードで試作するために小さな基板に載せておく。 写真の4×4=16穴の小基板は秋月電子通商で売っているものを使った。 細ピン・ピンヘッダをカットしたものを足ピンにしている。

 トロイダル・コアに巻いたコイルは磁束漏れが少ないので隣接したコイルと結合しにくいためシールドケースは不要である。 コイル同士を密着でもさせない限りまず問題にはならない。

 ブレッドボードでの製作ではFCZコイルのような10Kボビンは扱いにくい。この例のように小基板に実装しておけばトロイダル・コアに巻いたコイルも便利だ。 大きなコアに巻くと巨大化するので、小さなT-25くらいのサイズが良いと思う。 送信機のようなパワーを取り出すアンプ回路を除けばこのような小型コアで十分である。

 【バラモジの出力波形
 2kHzのシングルトーンで変調している。 2kHz変調波はバラモジの手前、RFチョーク:L2の部分で470mVppである。 写真のバラモジ出力はDSB信号であり、4kHz離れた2トーン信号の状態である。 このようなエンベロープが2kHzの正弦波と相似の波形が観測される。

 バラモジ入口部分のインピーダンスは約400Ωでありかなり低めである。(測定は置換法による) VR2(1kΩ)の値やキャリヤ信号の注入レベルによって変化するが、数100Ωと言った低めのインピーダンスであることに注意を要する。 出力インピーダンスの高いマイク・アンプ回路では歪みなくドライブできていない場合がある。 ここではOPアンプの負荷ドライブ能力の関係から直列抵抗:R7(1kΩ)を入れて対処している。 以前の実験でバラモジを強力にドライブできるようLM386で作ったマイクアンプを使ってみたことがあった。 モトが悪かったのか交換によって延びのある変調が掛かるようになった覚えがある。  この回路例のような方法でも特に支障はない。オーディオ帯全般で概ねフラットなインピーダンス特性だからだ。

 非同調なトランスを使った形式なので、バラモジの出力にはスイッチングによって発生する高調波等が見られる。写真のような波形として観測された。 高調波など不要波はポストアンプのLC同調回路:T3であらかた除去されるほか、クリスタル・フィルタで濾波されるので外には出てこない。 もちろん、リニヤリティの良くない増幅回路に多信号を加えたら旨くないので,ポストアンプはできるだけリニアな動作範囲で使うことが肝心だ。

シングルトーン
 上記のDSBをポスト・アンプで増幅し、クリスタル・フィルタを通ったあとの信号である。 反対側のサイドバンド・・・この例ではLSB側が除去されたシングルトーンとして観測される。

 ここでキャリヤ漏れや逆サイドの漏れが大きいと、このような奇麗な帯状の波形として観測されない。 帯の幅が凸凹した波形になるのでバラモジ〜フィルタまでの善し悪しはオシロで見ただけでも良くわかる。 マイク端子に加えている低周波発振器の周波数を変えても、写真のように奇麗な帯状の波形が観測されれば良好なSSB波が得られている。

スペクトラム観測
 上記のシングルトーンをスペクトラム分析してみた。 低周波信号:2kHzの高調波が見られるが、キャリヤ漏れや逆サイドの漏れはたいへん小さい。

 キャリヤ・サプレッションは68dBなので、そのまま送信機にしても十分な数字である。 ブレッドボードの試作ではあっても、振幅と位相を入念に調整してバランスできたため、良い値が得られている。 実際に基板等に製作してもこの程度は容易に得られる。 逆サイドの漏れ(=-71dB)は主にフィルタの帯域外減衰特性によるものである。 フィルタ単体で測定した値がそのまま現れている。

 この程度の漏れであれば、ハイパワー局のスーパーローカルでもなければ、まずわからない。 -70dBと言う数字は、極端かもしれないが、もしも10kWでオンエアしたとして逆サイドのパワーはたったの1mWである。 同様にキャリヤの漏れの-68dBの方も1.6mWに過ぎないので少し離れた局なら何も感じられないであろう。 流石にフィルタ・タイプのSSBジェネレータである。安直に作ってもなかなか良い性能が得られる。

 そうなると、スペクトラムに見える2kHzの2次高調波(=4kHz)が気になって仕方が無いかもしれない。 これも歪み率で言えばわずかに0.22%である。 ダイオード・バラモジと言う非線形なスイッチング回路でSSB(DSB)を得ている関係で高調波の発生はある程度やむを得ない。 IC-DBMでも大同小異だから気にするまでもあるまい。 マイクアンプが悪くてもっと高調波が出ているRigもあるくらいだ。自局の帯域内に落ちる信号であって、IMDによるスプラッタではないから程々に拘れば十分だろう。 実際に受信機を通して耳で聞いた感じも良く澄んだ奇麗なトーンだった。

                  ☆

 オーソドックスな回路は面白くないかもしれない。 しかし、オーソドックスと呼ばれるだけの理由がある。作り易くて良い性能が得られるからこそ「定番」の地位にあるのだ。 ダイオードを使ったリング変調器はSSBの黎明期からあった。それ以来様々な機器に使われて来ただけの訳がある。

 ICを使ったDBMの方がモダンで良さそうに感じるかもしれないが、ギルバートセル型DBMは電源電圧を上下の差動回路で分け合う構造から、ダイナミックレンジの点では不利である。 少しでも過大な入力を加えると酷い歪みを見ることになる。 ダイオード・バラモジも過大入力で飽和することに違いはないが、IC-DBMのように電源電圧で制限される訳ではないから歪み方はずっと緩やかである。 そのような利点があるので今でも使われているのであろう。

 この回路例に見るように各入出力ポートを明確に終端しなくても大丈夫である。50Ωと言ったインピーダンスに固定化されている訳ではない。思ったよりも使い易い回路だ。 バラモジ回路そのものはかなり前に実験済みだったが、改めて製作して確実性の高さを再確認している。 回路の見直しで重要なポイントの存在もわかって意義深かった。 珍しいだけの妙な回路を試す以前に「スタンダード」から始めてみたらどうだろうか。きっと良い結果が得られる。

 バイポーラ・トランジスタ(BJT)、FET、そしてダイオードを使ったバラモジと続けて3種類を扱った。 では、どれが一番のお奨めなのかと問われれば、総合的に見てダイオード・バラモジが良いのではないだろうか。 それではつまらないお方はBJTなりFETなりで試されたら良かろう。 いずれにしてもIC-DBMに劣るものではない。 要するに品薄のIC-DBMを頼ることなく十分な性能を持ったSSB送信機は作れるのだ。 de JA9TTT/1

注意:同じように作ってみたが、「旨く動かない」等のご相談には対応できないのでそのおつもりで。 同じように作ったと言いつつ、ご自身の判断で色々代替し、その挙げ句ぜんぜん同じじゃない・・・など、良くあって凡人の私ではとても面倒を見切れない。 ましてメールでの対応は困難だ。 もしご近所なら拝見させて頂いてご一緒に悩みたいと思う。お気軽にご持参を。

(おわり)

2015年6月3日水曜日

【回路】Transistor Balanced Modulator, Part 2

回路:トランジスタを使ったバランスド・モジュレータ・FET編
SSBジェネレータに仕上げる
  このBlogでは電子回路の部分要素を扱うことが多い。大規模な回路も要素の集まりであるが、ポイントとなる回路は案外限られている。そのポイントを十分理解しておくことが全体の理解にも繋がると思っている。 しかし、回路の一部分ばかり弄っていたのでは目的物の完成にはほど遠いと感じるだろう。

 今回もIC-DBMではなくて再びトランジスタを使ったバランスド・モジュレータを扱うが、部分回路に留まらず「SSBジェネレータ」の形にするまでを扱うことにした。SSBジェネレータとして実用性能を目標にしたのでそのままSSB送信機用にできるものだ。

 写真は最終的な回路構成をブレッドボードで検証中の様子だ。 入手が容易なトランジスタを使ったバラモジの一環として検討しているので、入手しにくい半導体は使っていない。 IC-DBMを使うよりも継続して作れるだろうと思っている。 以下、部分的な回路を扱うだけでは済まないため少々長くなったが興味があれば順を追って頂ければと思う。 もちろん、何時ものように主な目的は自家用の備忘録であり、同じ情報が役立つ可能性があるのは何がしか自分の手で作ろうとする人だけである。

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クリスタル・フィルタとキャリヤ発生用水晶
 フィルタ・タイプのSSBジェネレータを作るには「SSBフィルタ」が必要だ。 同時に、フィルタ特性に合わせたキャリヤ発生用の水晶発振子も必要になる。

 最初は自作のラダー型フィルタで行く予定だったが時間がなかったので既製品を使うことにした。 一般的なSSBジェネレータは8〜12MHzあたりで作るのが適当である。 昔のようにダブル・コンバージョン(2回周波数変換)で目的周波数を得るのなら、もっと低い周波数も良い。 しかし簡略化のためにシングル・コンバージョンで目的周波数を得るには8〜12MHzくらいが適当だ。 それ以上高いと良い特性のフィルタが得にくくなってくる。
 9MHzのフィルタもあったがキャリヤ発振用の水晶発振子が見つからなかったので7.8MHzのフィルタを使うことにした。 1970年代の中頃、車載用CBトランシーバの輸出ブームがあって、そのために使われたクリスタル・フィルタである。ブームの終息後にたくさん放出されたので今でも持っている人は多いと思う。

 SSB用フィルタは手に入ってもキャリヤ発振用のクリスタル(水晶発振子)が揃わないことも多い。そのときはDDSオシレータ(←リンク)を使って発生させる手もある。(注・1) ここでは7.8MHzのフィルタに適した水晶発振子が見つかったのでそれを使うことにした。 但し、CBトランシーバのキャリヤ発振は特有の工夫がしてあるので予め検討が必要である。

 写真の水晶発振子を使う前提で真っ先にキャリヤ発振回路から検討することにした。 旨く行くようならこれらの水晶を使う。 写真左の2個の水晶発振子(HC-25/U)は本来のキャリヤ発振用で、右の2個(HC-18/U)は不良になったフィルタ(7.8MHzの)を解体して得たものである。 最終的な話しになるが、どちらも旨く使えることを確認した。なおHC-25/Uはブレッドボードに刺せないので専用ソケットを併用すること。

注・1:キャリヤ発振に使う水晶発振子がないなら率先してDDSモジュールを使うべきではないかとのご意見はごもっとも。他に解決手段がなければ勿論それが選択肢だ。しかし、DDSモジュールの問題は消費電力が大きいことにある。わずか数mAでは働かない。

クリスタル・フィルタの特性
 CB用クリスタル・フィルタは帯域幅が広いことが知られている。あらためて評価してみた。-3dB帯域幅で見て4kHz以上あるのがわかる。 従って、正しく使うためにはマイクアンプにローパスフィルタ:LPFを入れて3kHz以上の音声をカットする必要がある。実際にCBトランシーバでも簡単なLPFが入っていた。 まあ男声なら素のままでも大丈夫そうなのだが・・・。

 実測したのは正しいキャリヤ・ポイントを知るためと特性の変化が見られないか確認するためだ。 なにしろ作られてから10年どころではない年月が経過しているので、新品のように見えても劣化していて何ら不思議では無い。 メーカーが保証する水晶振動子の寿命はせいぜい10年だそうである。 水晶振動子の固まりであるクリスタル・フィルタの寿命も同じようなものだろう。(実際はもっと持つようだが徐々に故障率は高くなる)ちなみに、このフィルタはハーフラティス3段の構成で、水晶振動子を6個使っている。

 写真の2個のフィルタを評価してみたが、幸い大丈夫そうであった。あまり性能の良いフィルタとは言えないがSSB発生用として十分な特性である。 精密に評価してみてUSB用のキャリヤ・ポイントは7797.5kHz、LSB用は7802.5kHzで良いことがわかる。 音声は少々ローカット気味になるが、フィルタの特性なのでやむを得まい。

 SSBフィルタも自作で行くことを考えて8MHzの中華クリスタルを使ったラダー型フィルタも検討している。いずれ機会があれば扱うつもりだ。 設計に折り込み済みなので8〜9MHzのSSBフィルタならSSBジェネレータの回路はそのまま使える。(新しい設計によるラダー型フィルタの製作へリンク→ここ

キャリヤ発振回路の検討
 CBトランシーバでは、常にコストダウンが課題であった。他の部品より高価な水晶発振子を1個でも少なくするために様々な工夫が行なわれていた。 例えばLSBを作っておいてから、キャリヤを逓倍した信号と差のヘテロダインをしてサイドを反転し、USBを得るといった怪しい方法さえも見られたほどだ。(おわかりか?) チャネル用水晶発振をPLLシンセサイザ式にしたのも水晶減らしが目的であった。

 図の回路は自作ハムならすぐにわかると思うが、LSB用の水晶発振子を使ってVXO式にUSB用キャリヤも作る方法である。 1個の水晶発振子を2個分働かせる訳だ。 実際にこれと類似の方法がCBトランシーバで使われていた。 VXOコイルに相当するL1(22μH)が回路のポイントである。しかし、わずか数kHz下に動かせば良いだけなので難しくはない。もちろん、L1のインダクタンスの値は用いる水晶発振子に適した値があるので、実際に使う物で加減してみること。 但し既成品のマイクロ・インダクタを幾つか交換しながら良い値を見つける程度で済むようだ。

 なお、このようにするとLSBとUSBでは発振レベルに違いが出る。あまり極端に変わらなければ大丈夫だと思って良い。 発振レベルを揃えるためにALCを掛ける手もあって実験してみたが、複雑化する割に効果が少ないので採用しなかった。 単純明快な回路の方が優れていると思う。 発振強度はVXOコイルの品質によっても影響を受けるので、変化が大きいようなら別の物に交換してみると良い。

キャリヤ発振回路の製作例
 写真のものは、あとで出てくるSSBジェネレータの回路で試作している様子だ。 主な違いはUSB/LSBの切換えスイッチの部分にあって、機械的なスイッチではなくトランジスタ・スイッチを使っている。

 機械的なスイッチでは配線を長く延ばせないからリレーを使う必要がある。トランジスタ・スイッチに置き換えれば直流的に切り替えられるので配線を長く延ばしても大丈夫だ。

 VXO式は周波数安定度が気になるかもしれないが、実用上まったく支障のない性能が得られる。 VXOコイルのインダクタンスを無闇に大きくせず必要最低限に留めるのがポイントだ。 わずか数kHzの変化で良いのだからVFOの代わりに使うようなVXOとは違う。大きなインダクタンスは必要ないのだ。 その結果VXO形式であっても周波数安定度は良好である。

 ここでは、不良になったクリスタル・フィルタを分解して得た周波数:7801kHzくらいの水晶振動子を使ってみた。 他にキャリヤ発振用に作られた7801.5kHz水晶発振子に交換してもほぼ同等であった。 参考までに50pFのトリマコ・ンデンサを使った場合、周波数の可変範囲はUSB側が7790.35〜7802.98kHz、LSB側は7801.27〜7803.40kHzが得られた。USB側はまだ調整範囲が広すぎるように感じる。 実際にはUSB用に7797.5kHz、LSB用には7802.5kHzになるよう調整する。

参考:8000kHzの水晶を使った場合、USB側:7994.81〜8000.14kHz、LSB側:7999.12〜8000.12kHzの可変が可能であった。 同じ水晶発振子でラダー型フィルタを作った場合、通過帯域は下側に4kHzくらいずれるので、概ね使い得る可変範囲にあると考えられる。 どうやらLSB側もVXOで行かないと旨くない模様だ。

キャリヤ発振の発振波形
 Q1:2SC372Yのエミッタ波形である。 このように歪んだ波形であるが、確実な発振をさせるためには正帰還量を大きめにしなくてはならないので、この程度でやむを得ないだろう。

 実際には、このあとで同調回路を含むバッファ・アンプを置いたので心配はいらない。 手持ちの関係で発振用トランジスタには2SC372Yを使った。 代替品として2SC1815Y、2SC945等のほか、専用の高周波用であれば2SC1923Yや2SC2668Yなどが良いと思う。 周波数も8MHzあたりなので小信号用トランジスタに使えるものはたくさんある。 どうしても発振しないのはたいてい水晶発振子に原因がある。 FT-243型のような古典的な水晶発振子はアクティビティが下がっていて、幾ら頑張っても発振してくれないことがある。お爺ちゃんの遺品活用も程々に。hi hi

バラモジに与えるキャリヤ発振
 バラモジに与えるキャリヤ信号は、写真のように奇麗なものになる。 これはバッファ・アンプに同調回路を含む形式を採用したからだ。 2SK544E(2SK241Y同等品)を使っているが、入力インピーダンスが高く、帰還容量も小さいのでドレイン側同調回路の調整で周波数が引っ張られるようなこともない。 2SK241等は小信号RFアンプ用と思われているが、こうした発振回路のバッファ・アンプにも最適なデバイスだ。

 具体的な回路は次項を参照して頂くとして、このようなキャリヤでバラモジの2SK544F(2SK241GR相当)×2をドライブする。 振幅はすこし大きめだが、試作なのでこれでやってみることにした。 5Vppくらで十分だと思うが、これで概ね支障はないようである。

7.8MHz SSBジェネレータ:全回路
 このBlogのタイトルはトランジスタを使ったバラモジのPart 2なのであるが、今回はFETを使うことにして7.8MHzのSSBジェネレータの形に纏め上げることにしている。 なお、バイポーラ・トランジスタ:BJTを使ったPart 1はこちら(←リンク)

 以下、簡単に回路の説明をしておこう。

 キャリヤ発振回路は既に実験済みのVXO式を採用し、1個の水晶発振子でUSBとLSB用を発振している。 周波数調整は幾らか相互に影響する。USB/LSBを切り替えながら数回調整を繰り返して所定の周波数に合わせる。 一旦合わせた後の周波数安定度は良好なので暫く再調整は不要な筈だ。 Q2:2SK544Eのドレイン側同調:T2の部分はT2のリンク側をオシロで見ながら最大に調整すれば良い。バルボル+検波プローブでピークに合わせても良いだろう。T2はアミドンのトロイダルコア:T25-#2にφ0.2mm UEW線を1次側30回、2次側(リンク)は15回巻く。

 マイクアンプは2回路入りのOPアンプを使った。RC4558は汎用品(はんようひん)であって、たいへんポピュラーなものだ。JRC製のNJM4558でも良い。同等品は他にもあって一つ100円くらいで買える有難いパーツだ。 性能は申し分ないから対抗するつもりで下手なディスクリート回路など持ち出しても勝ち目はない。hi  但しLM358系OPアンプで代替するのは宜しくない。(まあ、実験的なら可だが・笑) マイクロフォンとしてはローインピーダンス型が適している。 ダイナミック・マイクロフォンのほかECMも使える。 通常その必要は考えにくいが、どうしてもマイクゲインが不足するようならR2(50kΩのVR)を100kΩに変更する。

 バラモジはFETを2つ使ったシングル・バランド・モジュレータ(SBM)である。 この部分が本来のBlogメインテーマだ。 FETは2SK241GR(東芝)や2SK544F(三洋・ONセミ)あるいは2SK439F(日立・ルネッサス)のいずれでも良い。(もちろん、それらの表面実装型でも良いが具体的型番は省略する) 2SK19や2SK192のようなJ-FETも使えるが、キャリヤ信号を最適な大きさに調整する必要があって面倒である。 従って上述のようなMOS型の高周波用FETが適している。
 ほかにDual-Gate MOS-FET(例えば3SK73など)のゲートG1とG2を結んだものでも代用できる。 なお、2N7000等のN-ch MOS-FETの採用も考えられるが、これらは小信号用でもRF用ではないため電極間容量が極めて大きから違った観点から検討しなおす必要がある。エンハンスメント型なのでプラス電圧のゲートバイアスを掛ける必要があるのも厄介であろう。

 バラモジを出たあと、2SK544F(2SK241GR同等)を使ったポストアンプを通ってからクリスタル・フィルタで不要な側のサイドバンドが除去される。 電源電圧は12Vで、全体の消費電流は約30mAである。なかなか省電力にできた。 後続のヘテロダイン・ミキサの入力にちょうど良い、約400mVppのSSB波が得られる。

バラモジとマイクアンプ部分
 バラモジには2SK544Fを2つ使っている。 事前にチェックして、Idssがほぼ同じものを選んでおいた。 非常にうまくキャリヤ・バランスが取れるので、調整用VR(VR1)の可変範囲はもっと狭くても良いくらいだ。

 バラモジの出力側トランスには既製品のRFトランスを使ってみた。 ミニ・サーキット社のADT4-1WTと言うものである。 流石に巻き線のバランス状態は良好である。 自分で巻くのは手間がかかると思うなら、購入するだけの価値はあると思う。 なお、手持ちにあった物を使ったので、表面実装型を足付きに変換して試作に使っている。 最初から足付きDIP形状のRFトランスを使えば手間いらずだ。

 マイクアンプは2回路入りのOPアンプ:4558型を使っている。 オーディオ・アンプにも使える性能があるので、HAM用のSSBジェネレータには十分すぎる性能である。 トランジスタで作ると3〜5石は必要なので、ここはICを使った方が有利だ。 部品に拘るお方は"Muse"なり、音響用OPアンプが差し替え可能なので使われたら宜しい。(笑)

バラモジ出力トランスの構造研究
 ミニ・サーキット社のADT4-1WTは写真(下側)のような構造になっている。 各巻き線の結合度を上げ、なおかつ平衡度を確保するためにメガネ型のフェライトコアに巻き線している。

 写真で見ると大きそうに見えるが、米粒のようなサイズのフェライトコアである。そのため各巻き線のインダクタンスが小さいのであまり低い周波数には適さず、下限周波数は2MHzとなっている。逆に高い方の周波数特性は十分延びていて仕様書の上限周波数は775MHzである。

 なお、ブレッドボードで試作する関係で、写真のような16穴の小型ユニバーサル基板に実装し、ピンヘッダを立てて使用した。HF帯なので支障はない。 ICのように小さな部品なので、ディスクリート部品で作ったバラモジとは言えかなりコンパクトに作れる。

自作トランスでも良い
 前回のBlogのように自作のTrifiler(トリファイラ)巻きトランスでもまったく同じように動作する。 性能に違いは無かったので巻くのが面倒でなければ自作を推奨したいと思う。作り方は前回のBlog(←リンク)を参照。

 ミニ・サーキット社の小型RFトランス:ADT4-1WTは単品買いでは$15-程度、20個まとめ買いでも単価$3-くらだ。 しかし自分でフェライト・ビーズに巻けば100円も掛からずに作れる。 性能もこの例のように数MHzで使うのであればまったく同等だ。 面倒で無ければ自作するのが経済的である。実際に比較試験でも違いは見られなかったので心配はいらない。

マイクアンプの出力波形
 Push-PullになったFETのゲートに音声信号を加えて変調している。 音声信号の一方は位相反転し、両方のFETのゲートを各々逆位相の音声信号で変調する。

 一方のFETのみに音声信号を加える「片肺」でも十分に変調は掛かるのだが、歪み特性上あまり好ましくないことがわかった。

 このあたりは簡略を求めるのか、少しでも良い特性を追求するのかによって、どちらの回路を採用するか分かれる部分だ。 歪みが増えるとは言っても了解に支障があるほどではないので「片肺」の簡略型でも良いのかもしれない。

 最初は片肺でやっていたのだが、波形を見ているとどうも気になったので、途中から両方のゲートをドライブする形式に変更している。 耳で聞いた範囲では片肺でも行けそうではあったのだが・・・。(笑)

バラモジの出力波形
 1kHzのシングルトーンで変調しているので、バラモジの出力では2トーン信号のような波形になっている。 要するにまだDSBの状態だ。

 バラモジの出力に非同調の広帯域トランスを使っているので含有する高調波などで干渉した波形が見られる。 実際にはこのあと同調回路で7.8MHz付近の信号だけを取り出すので特に支障はない。

 ただ、他のデバイスを使ったバラモジよりもスプリアスは大きめな感じもする。 実用上の支障はないようだが、多少キャリヤのレベルなどを加減してみても良いのかもしれない。 波形の谷の部分がシャープなのでキャリヤ漏れは十分抑えられていることがわかる。

 変調信号を徐々に大きくして行くと、バラモジの部分で歪んでくるが、その前にポスト・アンプの方が歪んでしまう。従って、バラモジの方は常にリニヤな範囲で動作させられる。

ポストアンプとクリスタル・フィルタ
 バラモジの後にはポストアンプを置くと有利だ。 フィルタとインピーダンス・マッチングが容易になるからだ。 ポストアンプの入力部分にあるトランス:T3はアミドンのトロイダルコア:T25-#2にφ0.2mm UEW線を同調側30回(中点の15回でタップを出す)、バラモジに接続するリンク側は8回巻く。


 ここでALCを掛けられるようにしておいた。 但し、あまり強くゲインを抑さえてしまうと、アンプのダイナミックレンジが狭くなってしまう。 マイクゲインなど加減しつつ、オーバードライブにならない程度にピークを抑えると言った目的でALCを掛ける方が良い。

 写真のクリスタルフィルタはEF-Johnsonブランドだが、これはCBトランシーバの納品先が同社だったのでそのシールが貼ってあるのだ。 クリスタル・フィルタのメーカーはNDKとかHzと言ったおなじみの日本の会社である。

シングルトーン
 フィルタを出たシングルトーンである。 単純なシングルトーンでさえ、奇麗に出てこないSSBジェネレータもあるくらいなので、この程度の信号が出てくればまずまずと言ったところだろう。

 AF発振器の周波数を変えながら周波数特性を見たら、あまりフラットではない感じを受けた。 リニヤ目盛りで見ているからでdBで見たらそんなに悪くもない訳だ。 フィルタの通過帯域特性がそのまま出てくるのだから仕方が無いだろう。 耳で聞いてみるととても自然な感じの音なのでまったく支障ないどころか、良い音のジェネレータだと言っても良さそうだ。

スペクトラム観測
 ブレッドボードの限界を測定しているような感じである。 やはり完全なGNDが取りにくくて、信号が干渉し易いのである。 従って、キャリヤ・サプレッションは不十分である。

 このあたりは、きちんとハンダ付けで基板に組み立ててやれば簡単に解決するから心配はいらない。少なく見ても20dBくらい改善されるだろう。

 低周波アンプのゲインを少な目にしたので、フィルタ帯域内のノイズは少なくてS/Nの良いSSBジェネレータに仕上がっている。 音声帯域内に発生する2次高調波も十分小さい。このあと目的周波数にヘテロダインし、アンプして行くことになるが「静かな」SSBジェネレータになったと思う。

                  ☆

 このBlogには集計機能があって、どの記事がどんなキーワードでどんな頻度で参照されたのかがわかる。(誰がアクセスしかはわからない) 無線の自作なんて言う奇特なHAMも珍しいようだが、意外に「SSBジェネレータ」をキーワードに検索されるお方もあるようなのだ。 Blog内には20kHzのLCフィルタを使ったSSBジェネレータがあるが、あまりにも特殊な例だろう。 そのため、以前からHF帯の送信機なりトランシーバに使えるようなSSBジェネレータを扱う必要がありそうだと思ってきた。 それがやっと実現したような訳である。

 入手性が悪くなって来たIC-DBMは使わぬ方針でFETを使ってみることにした。バラモジにFETを使う例はJA1APT金平OMのかなり古い記事(3SK22Y×2使用)くらいで、他にあまり例を見ないないようである。どのような物か自身で確認する興味を覚えたからでもある。 SSB送信機の要(かなめ)にあたる部分なのでイージーに製作できるとは言いにくい箇所もあるが、多少電子回路の製作経験があれば難なく作れるだろう。特に難しい部分と言ったものはない。写真を見ながら感触を掴んでもらえば十分行けるはず。

 入手が難しくなって来たのは既製品のクリスタル・フィルタくらいだろう。これは自作のラダー型フィルタ(←リンク)で解決できる。 使うICはOPアンプと3端子レギュレータくらいと割り切って設計しておけばこの先10年くらいは製作可能な回路になる。もちろん、実際に使う部品は表面実装型になって行くかもしれないが。
 FETには2SK544のEとFを使っているが、2SK241や2SK439でも良く、Idssランクもどれをどこに使っても良い。但し、バラモジの部分は同じランクのものを使うこと。もし手持ちに数があって可能ならばIdssが近いものを二つ選んで使うと良い。Idssの測定法は以前のブログ(←リンク)で扱っている。上記FETには、それぞれ表面実装型の同等品が登場している。

  ごく始めの頃ARRLのアマハンなども参考にしてみたが、どう考えても旨くない所が幾つも出て来て満足な性能は得られないようであった。 そのお陰で各回路部分を数種類試すなど思っていた以上に手間と時間が掛かってしまった。 資料の能書きとは違い、実際やってみないとわからない部分などここで公開した10倍どころではないデータを採っている。 バラモジの部分に限ればIC-DBMを使う方が安直なのだが、それとは違った面白さもあった。 可能な範囲の検討は行なっておいたので製作の再現性はまずまずだと思っている。de JA9TTT/1

注意:同じように作ってみたが「旨く動かない」等のご相談には対応できないので予めそのおつもりで。 同じに作ったと言いつつ、実はぜんぜん同じじゃなかった・・・など良くあって、凡人の私ではとても面倒を見切れない。ましてメールでは無理な話しだ。 もしご近所なら拝見させて頂いてご一緒に悩みたいと思う。お気軽にご持参を。

つづく)←ダイオードDBMを使うSSBジェネレータへリンク.