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2015年10月27日火曜日

【測定】GPS-RX NEO-6M

GPS受信モジュール:u-blox NEO-6M
NEO-6Mをテスト
 あらゆる製品やサービスがinternet接続される時代にあって、その対象になるモノの正確な位置情報を知る必要があるのだろう。 様々なGPS受信モジュールが登場している。(SNSに何でもかんでも情報アップしてると貴方の行動は筒抜けである・笑)

 写真もそのGPS受信モジュールの一つである。 u-blox社製のモジュール:NEO-6Mを基板に実装しアンテナを付属したセットが販売されている。 ホビーストの実験・研究用を狙ったものと思われる。(→コレ

 GPS受信モジュールのみでは扱いにくいが、基板実装済みなので使い易い。 付属のアンテナはオマケ程度のものとも言えるが、この状態で手軽にテストができるのは便利だ。

 このモジュールの特徴は「高感度」と、ある程度任意に設定できる「パルス出力」にあると思う。(参考:無改造ではパルスで緑LEDが点滅するのみ)

 インターフェースはシリアルで、TTLレベルである。  レベル変換を行えば、RS-232Cインターフェースで接続することもできる。 この写真では、左のケーブルの先にUSB-シリアル変換基板があって、パソコンとはUSBで接続している。 電源はUSB経由で供給可能だ。

 蛇足であろうが、USB-シリアル変換器にはTTLレベルのシリアル出力をもったモジュールが必要だ。そう言うものは例のarduino 等で使うためだろうか安価に多数登場している。(→コレとか) かつてのようにMAX-232等を使ってRS-232Cレベルに信号変換する必要も無くなっている。 それに、RS-232Cのようなレトロなインターフェースを持ったパソコンなどシーラカンスのようなものだ。 なお、TXDとRXDはクロス接続すること。

専用アプリがある
 従来は汎用のアプリを使ってGPSの受信状態を把握していた。 取りあえずそれでも十分役立つのであるが、このモジュールには専用のアプリが用意されている。「u-center」というアプリ。
 上記リンクで直接ページが開かない場合は:「評価キット・ツール」→「サポート」→「評価ソフト」の順にページを辿るとダウンロードが見つかる。あるいは、米ダウンロードサイトのURL(←直接リンク)

 その専用アプリを通して、モジュールの機能を再設定することができる。 例えば、パルス出力は購入初期のデフォルト状態では1pps(=1Hz)であるが、異なった周期に変更することが可能だ。 もちろん、このパルス出力はGPSからの1ppsに同期しているから、平均化処理などを行なって電波伝搬に起因する揺らぎの除去を徹底的に行なえばGPS衛星搭載のRb-OSC(ルビジウム原子時計)と同等の周期精度(周波数精度)を得ることも不可能ではない。GPS周波数基準器の製作については「トランジスタ技術誌2016年2月号」P99〜P125の参照を。(2016.1.10)

参考:NEO-6MとGPS周波数基準器のBlog内関連情報はこちら(←リンク)から。

                    ☆

 かつて、ロックウエル製のTU30-D140と言うGPS受信基板が流行ったことがあった。元々が何かの機器からの「外しジャンク品」だったらしく、やがて枯渇とともに忘れ去られた。
 このu-blox製NEO-6Mを載せた基板はジャンク品ではない。 ごく普通に販売されている商品だ。 ヤフオク出品物のような価格不定品ではない。 機能を考えた価格もリーズナブルな範囲と言える。 活用はユーザにゆだねられてはいるが、面白い応用も可能だと思っている。

 何よりも進歩していると感じるのはその「受信感度」であろう。 最初の写真のように窓際に置いただけで、この画面コピーのように全天の沢山の衛星を簡単に捉えてくれる。だから連続動作中に衛星をLostする心配もなくなる。 de JA9TTT/1

(おわり)

2015年10月13日火曜日

【回路】Simple HAM Band Receiver 1968

【簡単なHAMバンド用受信機:1968スタイル】
1968年式シンプル受信機
 ちょっとネタ切れなので、JARLアマチュア無線ハンドブックの第2版:1970年版から簡単な受信機回路をピックアップして題材にする。1970年版だが実際には1968年2月の印刷物である。1968年式と言った方が適切か?

 この受信機は米国はARRLハンドブックに毎年掲載される球数のごく少ないシンプルな受信機をお手本にしたものであるが、日本人らしく細部で高性能化が試みられている。 日本のHAMは大半が高級指向であり、そのニーズに応えたと言えるだろう。 しかし、そもそもの良さである「シンプルさ」がかなり損なわれたように感じる。 高性能を目指すのであれば、無理に球数を絞らず高1中2形式に土台を置いた方が総合性能は良くなったのではあるまいか。製作に要する費用も手間もさして違うまい。いや、むしろ複合管の多用は配線が難しくなるだけではないだろうか。各段を別個の球に分けて最適な配置にした方が製作は容易になるはずだ。図の回路は見かけの球数が少なくても製作はかなり難しくなっている。真似て作るならそのあたりを考慮した方が良い。

                    ☆

 1968年と言えば、もうすぐ50年になるが著作権は残っているので残念ながら記事の全文は紹介できない。しかし、ざっと説明はするのでわかる人には十分な情報だろうと思う。

 受信周波数帯は3.5MHzと7MHzに絞っている。ダイヤル機構に扇形のダイヤル面を持ったフリクション減速型を用いるからだ。あまり減速比が取れないからジェネカバのような受信範囲にしてしまうと実用的なHAM用受信機にならない。 既成のコイル・・・例えばトリオのSシリーズコイルなど・・は使わず、エアダックスコイルを使って2バンドカバーにしている。 アンテナ同調回路はボトムカップリングのBPF形式で、イメージ比を良くすることを目的とした回路だ。同調バリコンに松下電器産業製(現パナソニック)のECV-2DX18と言う最大容量198pFの2連周波数直線型・・いわゆるF直バリコン・・・を使って短波受信機として最適化してある。 局発(同調)バリコンとは連動しないので別のツマミでプリセレクタ形式の操作となる。

 局発コイルもエアダックスである。カバー範囲が狭いので小容量の2連VC・・ECV-2RW20を使っている。これは通信機用で容量直線型max17.5pFの2連型だ。もちろん、ポリバリコンではなくて、エアーバリコンである。 バンド切換えは局発コイルのタップ切換えのみであり、アンテナ同調回路は切り替えない。 バンドを移るにはアンテナ同調のツマミを大きく回す必要がある。

 いきなり同調回路の話しに入ってしまったが、改めて回路の話しをしよう。真空管4本を使ったシングルスーパである。中間周波は定番の455kHzである。 この受信機のコンセプトは最少の球数で実用性能を持った受信機を作ることにあったはず。 整流管は使っていないから球数だけで言えば家庭用スーパと同じだ。 しかし、複合管や半導体を積極的に使って8〜9球分の高性能化を図っている。

 まずはミキサーと局発である。6GJ7と言うTVのチューナ回路用に開発されたフレーム・グリッドの高性能管を使っている。家庭用スーパでおなじみの6BE6よりゲインとS/Nを改善している。 局発回路はハートレーではなくて、周波数安定度に優れたVackar回路を採用している。 ミキサは第1グリッド注入型だ。 6GJ7のHigh-gmと相まって、低NFとハイゲインの両立を図っているフロントエンドだ。

 中間周波増幅(IF-Amp)はセミリモートカットオフ管の6EH7である。これもTV用に開発されたフレーム・グリッドの高性能管である。 ハイゲイン故に自己発振の懸念はあるが、1段増増幅なので何とかなるのであろう。 IFフィルタがロスの大きめな国際電気のメカフィルなのでゲイン不足の対策として6EH7を採用したものと思う。 なお、検波回路との関係もあってAGCは掛かっていない。カソード抵抗を可変する手動ゲイン調整が付いている。 受信中は結構頻繁に操作する必要がある筈だ。

 検波回路は6BL8の5極管部分を使ったグリッド検波型である。SSB/CWの受信時には同じ6BL8の3極部でBFOを発振させて注入する。 但し、管内容量によるBFO注入のようで意図的な注入はしていない。 ここにゲインのあるグリッド検波を使ったのは、ステージ数が少ないことによるゲイン不足を補うためだ。ダイオード検波だとゲインはマイナスになるが、グリッド検波ならプラスのゲインが稼げる。 BFOは安定度の良いプレート同調型発振回路を採用している。

 低周波増幅は6AB8の3極部と5極部の2段構成である。低周波ゲインのボリウムのあとすぐにダイオードを使ったクリッパ回路が入っているのはAGCが無いための対策である。 プレート電圧が低いこともあって1.4Wとあまりパワーは出ないが、受信音をスピーカの近傍で聞くHAM局には十分な電力だ。入力部のクリッパが無いと突然強い局が出て来たとき耳をつんざく大音響の危険がある。

 なお、カソードが共通になっていて使いにくい6AB8を使うメリットは少なさそうに思う。6AW8のような球にした方が良いのではないだろうか。パワートランスのヒータ電流に余裕が無いことによる窮余の策なのかもしれない。
 電源回路はシリコンダイオード2個を使った両波整流である。 大食いの低周波出力管をケチったので僅か50mAの容量で間に合わせている。 電源部が小さいと発熱も少なくなるので悪くない手法だと思うが、外付けのアクセサリ類に供給する余力がないのが気になる。

 感度としてS/N=10dBで0dBμ(=1μV)の感度があると言うから、家庭用の5球スーパとは一線を画す性能が得られている。 3.5MHzや7MHzと言ったローバンドには十分な受信感度である。 ハイバンドにはクリスタルコンバータ(クリコン)の付加で対応すれば良い。

 非常な拘りを持って設計製作された受信機だが、やはりAGCが無いのは欠陥だと思うので、ぜひとも付加すべきだ。そうすればAGC電圧を読む形式で、Sメータも付加することができるので一段と通信型受信機の体裁が整う。AGCは研究課題である。

コイル
 アンテナコイルにはエアダックスコイル:200509を使用している。 図の左はコイルの仕様である。もし持っていればカットして作る。 200509は直径20mmで、巻線の線径は0.5mm、巻きピッチ0.9mmである。アンテナコイル(34回巻き)のインダクタンスは10.2μHである。 局発コイルの方は200816を使う。 同じく直径20mm、巻線の線径は0.8mm、巻きピッチは1.6mmである。 局発コイルのインダクタンスは3.5MHzの時(42回)が10μHで7MHz(24回)が5.3μHとなっている。
 各エアーダックスコイルの入手はかなり難しいので、今となってはアンテナコイルはトロイダルコアで作るのが良い。 

 局発コイルは周波数安定度が問題になるので良い物を使うべきだ。 ボビンに巻線して自作する方法があるので何とかするしかない。

 左図にはないL4であるが、0.1μHのインダクタを使う。この受信機が設計された当時なら、TV用パーツとして市販品がたくさんあった。 いまならμ(ミュー)の小さなトロイダルコアに巻くか、空芯コイルを巻けば良い。同調コイルとの関係で最適値が変わるので2つのコイルがクリチカル・カップリング〜ややアンダーカップリングになるようインダクタンスを調整する。インダクタンスを大きくし過ぎると双峰特性になってしまうので旨くない。少なければ選択度は良くなるが通過損失が増える。

 他のコイルであるが、選択度はメカフィルで決まってしまうので、IFTは何でも良いだろう。High-C気味のIFTの方が自己発振を回避し易い。どうしても発振する時は抵抗器をかませてQダンプするしかない。 BFOコイルはIFTの改造で何とかなりそうだ。 アウトプット・トランス、電源トランス、平滑チョークコイルは今でも市販品があるので支障はない。

製作へのヒント
 まず、真空管だが初段の6GJ7に多少問題はありそうだが、他の球は支障なく手に入るだろう。ソケットを購入するのを忘れずに。全て9ピンのノーバー管用(9Pin−mt管用)で良い。周波数から見て、ステアタイトの必要は無くベークモールド型でも十分だ。

 後で触れるがDDS化などで局発は別途用意するつもりなら、初段は6EJ7の採用をお薦めする。 低周波アンプの6AB8は6AW8Aがお奨めだ。同等管もたくさん存在する。 検波の6BL8も同等に使える類似管がたくさんあって、6GH8系や6U8系でも良いからあまり支障はないだろう。IFアンプの6EH7は6BZ6や6GM6などで代替する手があるほか、ポピュラーな6BA6でも極端な違いは無いと思う。電源整流のシリコンDiはあまた存在するのでお好みで。1N4007などが手頃だ。

 選択度を決めるメカフィルの入手に困る可能性が高い。中古品は劣化している危険性が高い。代替案として、いま手に入るCollins製にマッチングトランスを付加して使う方法がある。もっと安価に行きたいなら、5素子の世羅多フィルタでも十分良い選択度が得られる。メカフィルにひけを取らないからお薦めの一案だ。

 アンテナバリコンは指定品の周波数直線型は入手困難を極めるだろう。 しかし、ここは等容量2連型の(ポリ)バリコンでも何とかなると思うので試してみる価値は十分ある。 局発回路のバリコンは何とか類似の市販品が手に入るようなので頑張って探すしか無いだろう。指定の型番に囚われないで、FMラジオ用の2連バリコンを入手すれば代替可能だ。最大容量20〜30pFの物が多かったはず。もちろん、エアーバリコンがベストだ。

 一番厄介なのはダイヤル機構の部分だろう。 丸形のバーニヤダイヤルを工夫して代替する方法がある。 あとは糸掛けダイヤルくらいしか思いつかない。 ジャンク品やオークションの出物は運が良ければ手に入るが、確実性が無いのが難点だ。

 いっそのこと、局発は思い切って近代化を図ってしまってはどうだろうか? DDSオシレータ+ロータリエンコーダ+デジタル周波数表示にすれば、ダイヤルの読み取り、操作性、周波数安定度のすべてが一挙に解決できる。ミキサー管のグリッドに4Vpp程度の局発を与えれば良いので簡単な回路で大丈夫だ。 DDS化はシャシ上の回路レイアウトにも自由度が生まれ製作しやすくなる。 DDSを使ってはいてもれっきとした真空管受信機である。(笑)

                ☆ ☆ ☆

 FBな市販品が溢れているし、中古品の無線機でさえ紹介した回路よりもずっと高級だったりする。 受信することだけが最終目的なら購入してしまうのが一番手っ取り早い。 しかし、手作り受信機で自分だけのオリジナルな無線局を構成したいなら再び注目しても良いのかもしれない。 ダイヤルメカなど入手性に問題のある部分は近代的な技術でカバーしてしまえば、メインの部分に真空管を残したまま高性能で実用的な管球式通信型受信機を自作することは十分に可能である。 いろいろ構想を膨らませながらお昼のひと時の息抜きになったなら幸いである。de JA9TTT/1

(おわり)