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2016年11月14日月曜日

【部品】Over Driving an AD9834 DDS-IC , Part 3

【部品:AD9834 DDS-ICのオーバードライブ・第3部】
 【AD9834はどこまで使えるのか?・追試
  AD9834に与えるクロックの上限周波数はどこなのか?・・・と言う実験の追試です。

 前回のテスト(←リンク)では約110MHzと言う取りあえずの結果が得られました。 しかし、GNDと電源系に幾つかの対策を行なうことで更に延ばせるのではないかと言うご意見を頂いたのです。

 そこで、DDS-ICのGNDピンを最短距離でGNDラインに接続し、Digtal系とAnalog系の電源端子をGNDラインに向かって最短距離でバイパスするなどの対策を行なってみました。

 テスト方法は前回と同じなので、詳しくはリンクを戻って確認して下さい。 簡単に説明すると、Clockは外部の信号発生器(SSG)から与えています。 与えるClock信号はレベルを変えて最適化します。 その状態でDDS-ICから得られた出力信号の波形とスペクトラムを確認して正常な動作が可能な上限クロック周波数を探ろうとするものです。

結論を先送りする意味も無いので先に書いてしまいますが、AD9834のクロック周波数上限は、やはり110MHzです。但し、これは私なりの結果と言うことです。以下、簡単ですがそれに至る過程です。

                   ☆

 Analog Devices 社のDDS-IC:AD9834の活用範囲を拡大する目的でテストをしています。このBlogは自身で参照するための記録として書いています。 従って貴方の知りたい事のすべてが書かれている訳ではありません。 このDDS-ICの活用を目論むなら役立つ可能性もありますが、それ以外のお方には時間の浪費でしょう。 漠然と眺めていても何も意味は無いので早々のお帰りをお奨めします。

GNDとバイパスコンデンサを最適化
 AD9834 DDS-ICをピッチ変換基板に載せ、更にブレッドボードで実験しています。 そのため、どうしてもGNDラインが長くなります。 また、各電源端子のバイパスコンデンサも最短距離でGNDラインに落とすのは困難でした。

  そこで、変換基板上に銅箔テープで大きめのGNDを設けました。 Digitalおよびanalogの各GNDピンはそのGNDに向かって短く配線します。 また、電源系のバイパスコンデンサもそのGNDに向かって最短配線します。

 50〜100MHzと言った周波数ですから、まだまだ波長も長く写真の程度にGND配線してあればほとんど問題になることはないでしょう。 不要なGNDループなどできないので概ね専用のプリントパターンを書いたのと類似の効果が得られる筈です。 ピッチ変換基板自体が狭小なため加工は厄介でしたが実験が可能な状態が作れたと思っています。

 【クロック120MHzの出力波形
 信号発生器から120MHzのクロックを与え、DDS-ICから約11.2MHzを取出している状態です。 なお、クロックから折り返して出力されるスプリアスは簡単に除去してあります。

 写真のように奇麗な正弦波が得られました。 クロックの周波数を更にアップして行くと、サイン波の出力に必要なクロック振幅は大きくなって行きますが150MHz以上でも動作するようでした。 このあたりは、前回のテスト(= 第2部)でも同様でした。

 GND系を強化し、バイパスコンデンサも最適化したことでクロック周波数の延びが期待されます。  正弦波は奇麗そうですが肝心のスペクトラムはどうでしょうか?

 【出力スペクトラム:Clock=120MHz
 上記の状態、即ちクロックを120MHzとして、DDS-ICの出力を11.2MHzとした状態でスペクトラムを観測してみました。

 残念ですが改善されなかったようです。 クロック信号の振幅を加減しつつ、最適なポイントを探ってみたのですがどうやっても奇麗なスペクトラムは得られません。 クロック周波数に依存性があるのかと思い、上下の周波数へ2〜3MHzくらい変えてみても状況は何ら変わりませんでした。

 オシロスコープの波形観測でわからないのはスプリアスの混入が-20〜-30dB(1〜0.1%)程度だからです。振幅成分および異った周波数の混入が1%程度では意外に奇麗な正弦波に見えるのです。しかし目的次第とは言え、-20dBでは大半の用途で使い物にはなりません。 例えば、受信機の局発なら-80dBくらいでないと不要信号の受信として感じられてしまいます。送信機ならローカル局には少なからず貴方の不要輻射が感じられるでしょう。 実験的に使うような信号源ならいざ知らず、きちんとした発振器としては通用しないのです。

 正常と見られる動作に落ち着く周波数はどの辺りなのか、改めて確認してみたのですが前回のテスト結果とほぼ同じでした。 従って、AD9834CRUZは110MHzが正常動作の上限であると考えて良いと思います。 カタログスペックが50MHzのAD9834BRUZについては実施しませんでしたが、CRUZを大幅に上回るような好結果は期待できないでしょう。

出力スペクトラム:Clock=110MHz
 改めて正常動作が可能な110MHzのクロックを与えて、出力のスペクトラムを確認してみました。

 写真のように奇麗なスペクトラムが得られました。 GNDとバイパスコンデンサを強化対策してもクロック周波数の上限を延ばす効果はほとんど無かったようです。また、従来の試作検討方法でも特に問題は無かったと言うことになります。

 以上数回に渡る実験の結果から、AD9834CRUZおよびAD9834BRUZ共に奇麗な出力信号を得るためのクロック周波数の上限は110MHzだと考えれば良いでしょう。  自身のアプリケーションでは、標準75MHz、特に高い周波数が必要な時に100MHzを実用の上限に考えたいと思います。

                 ☆ ☆ ☆

 AD9834のクロック上限周波数への期待は大きかったので、もう少し延びて欲しかったと思います。 理想を言えば67.108864MHzの2倍である134.217728MHzまで延びてくれたら最高でした。 そうすれば最小ステップ0.5Hzで信号発生ができたからです。 実験してみると確かにそのクロック周波数でも正弦波らしい波形は得られたのです。しかしスペクトラムを観察するとかなり酷いので用途は限定されそうでした。 残念ながら諦めた方が良さそうですね。 たとえ幾ばくか上限周波数が延ばせるとしても余りにも高級な手段を必要とするようでは実用性は損なわれてしまいます。 比較的簡単に可能なここ迄にしておきましょう。もともと50MHzあるいは75MHzが上限周波数のチップが100MHzあたりまで使えたのですから十分に満足できる結果です。

 AD9834はアキュムレータ長が28ビットなのでクロック周波数を高くすると出力信号の周波数ステップが粗くなってしまいます。 100MHzでは計算上:0.3725290298Hz刻みになっており、DDSで得る信号としてはかなり粗い刻みでしょう。 AD9850/51のように32ビット長なら良いのですが、28ビット長なのですから仕方ありません。 従って、75〜100MHzあたりを上限と考えて使う方が信号ステップの刻みから言っても適当だろうと思っています。 実際、約0.37Hz刻みでは精密な用途なら周波数設定の粗さが見えてきてしまうでしょう。 もちろん一般的な送受信機であれば未だ十分な周波数設定の細かさと言えるので75〜100MHzのクロックで使うのなら実用上の支障はまずありません。 では、また。 de JA9TTT/1

(おわり)fm

4 件のコメント:

T.Takahashi JE6LVE/JP3AEL さんのコメント...

加藤さん、おはようございます

クロックの上限検証、お疲れ様でした。
やはりAD9834のクロック上限は110MHzだったのですね。
でも規格上75MHzが上限で1.5倍ものクロックで動くのでしたら十分ですね。

TTT/hiro さんのコメント...

JE6LVE/JP3AEL 高橋さん、おはようございます。 今朝は曇天です。 Super Moon は見えないかも知れません。

さっそくのコメント有り難うございます。
> クロック上限は110MHzだったのですね。
多少は延ばせるかと期待していたのですが、殆ど違いは感じられませんでしたので110MHzが限度のようですね。 以前からのウワサ通り100MHzで動くと言うのはウソではなかったようです。(笑)

> 上限で1.5倍ものクロックで動くのでしたら十分ですね。
BEUZなんか規格上の上限周波数は50MHzですから実力は2倍以上です。 十分満足できる結果だと思っています。

これで、どうしてもAD9850/51が必要なケースは限定されることになりますね。

jn3xby@岩永 さんのコメント...

TTT 加藤さん、こんばんは。
今日は久しぶりに暖かかったですね!この時間は北風が強くなってきました。
オーバークロックの更なる拡大への挑戦でしたが、残念でしたね。
確かにアース周りが安定すればもう少し正しいロジック動作が期待されましたが、110MHzが上限であることの再確認となってしまったようで。
逆に言えば、100MHzまではBでもCでも動作することを確認していただいたことになります。
125MHzとか67MHzの2倍の134MHzまで動いてくれれば、9834の用途が格段に広がったのですが残念です。
HF帯の用途では何とか使えそうで、これからは9834がメジャーになりそうです。
次は、中華性9850基板との互換基板化でしょうか?!

TTT/hiro さんのコメント...

JN3XBY/1 岩永さん、こんばんは。夜になって風が出てきて寒くなってきました。でもスーパー十六夜で大きな月が見えています。(笑)

いつもコメント有り難うございます。
> 更なる拡大への挑戦でしたが、残念でしたね。
そうですねえ・・・。 せっかくのテストでしたが、ちょっと残念な結果です。

> 110MHzが上限であることの再確認となってしまったようで。
結果として手間の掛かるGNDの処理や電源のバイパスをしなくても良いことがわかりました。テストは無意味ではなかったです。

> 100MHzまではBでもCでも動作する・・・
安価なBRUZでも十分だと言うこともわかりました。これはかなり有難いですね。hi

> これからは9834がメジャーになりそうです。
私もそうしようと思っているところです。 やはり消費電流が小さいチップは使い勝手が良いです。 AD9850が登場する機会は少なくなってしまいますね。

> 中華性9850基板との互換基板化でしょうか?!
これも検討中でです。プログラムが絡むので希望者はあまり無いでしょう。しかし作る時は岩永さんと高橋さんの分も確保しておきます。

今のところクロック発振器の部分は水晶のオーバートーンになると思います。 秋月で75MHzや100MHzが登場すれば別ですけど。hi