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2017年3月28日火曜日

【回路】An OP-Amp Keyer , another one.

【回路:もう一つのOP-Ampを使ったキーヤー】

 【他にもあったOP-Ampキーヤー
 少し前のBlogで長年気になっていたキーヤーの一つとしてOP-Ampを使ったもの(←リンク)があって「この際実験したみました」・・と言うように書きました。

 気になった切っ掛けはCQ hanradio誌の「技術展望」と言うページにありました。 外誌ほかから技術的にめぼしい情報を見付けて簡単に紹介するページでした。 そこに「OP-Ampを使ったキーヤー」として紹介が掲載されたのです。 面白いと思って切り取ってスクラップ・ブックに挟んでおいたのですが、すっかり行方不明でした。

 元の記事が掲載されていたはずのQST誌からそれらしい記事を探し出して実験したのが前回のBlogだった訳です。 ところが、そのQSTの記事は私がCQ hamdadio誌の「技術展望」で見たものとは別の記事だったことがわかりました。 ずっと探していたCQ誌の保存記事が見つかったからです。

                   ☆

 前置きが長くなりました。私がCQ hamradio誌の技術展望で見掛けたのは1971年11月号(左図)のQST誌に掲載されたものです。「An Integrated-Circuit QRP Keyer」と言うのが記事のタイトルです。 「技術展望」は要約であって翻訳記事ではないため筆者の製作動機や経緯のようなことは省かれています。しかし読み返してみると回路の動作はきちんと説明されていました。 さらに元記事の主旨も書かれており移動運用に適した省エネなキーヤーだと明記されています。

 切り抜き記事が発見されたことで元の記事がこれであることがわかりました。 原典の記事は回路図を含めたった2ページの簡単なものでした。 これはGimmicks and Gadgetsと言うコーナーの記事だからでしょうね。 使用デバイスは何でも良かった筈で、もちろん「OP-Ampで作る」のが目的ではありません。(笑)

 当時のロジックICはDTLやTTLですから消費電流が大きかったので、それを使ったキーヤーは移動運用向きではなかったのでしょう。 ディスクリートで省エネに作ると言う手はありましたが、簡単ではありません。 そこでOP-ampを工夫してみたら消費電流の少ないキーヤーが旨くできあがったと言うのが記事のポイントのようです。

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 今ではC-MOS ICの発展やローパワーマイコンの登場で意味は薄れたかも知れません。 あえてお薦めするつもりはありませんが、旨くチューニングするとエレクトロニック・キーヤーでありながら個性をもったキーイングができそうです。 自身の好みを符号に反映できる訳です。(笑) そのあたりも試してみたら意外に面白かったので興味が湧いてきたらこの先もご覧下さい。近代化した上で製作に必要な情報は網羅されています。

 【オリジナルの回路図
 2017年の今から数えて46年も前の1971年11月号の記事です。 使用しているOP-Ampはキャン・パッケージのμA741型です。もちろん当時は登場から間のない先進のOP-Ampだった筈です。

 そのμA741を2つ使って短点、長点、スペースをコンデンサと抵抗器:CRの値を使った時定数で実現しています。 μA741はいすれもコンパレータ(電圧比較器)として動作しています。増幅の目的ではありません。

 但し、スピード調整をCRの値を変える方法にすればスピード変更のたびにそれぞれの比率について再調整を要するかも知れません。 それを防ぐため、スピード調整は電圧を変えて行ないます。 各タイミングを作るコンデンサ:Cへ電荷をチャージするための電圧を任意に変えることで可変スピードを実現しています。

 さらに長点は短点の三倍の長さになるよう時定数がおおよそ三倍になるように切換えます。 スペースは短点と同じ長さになるよう時定数を揃えてあります。 Cが充電されて閾値に達するまでの時間は電圧で変えられます。 このような方法なら短点、長点、スペースの時間比率は原理上一定に保たれる筈です。

 なお、厳密に言うと必ずしも考えた通りにはならない要因が含まれます。私の試作ではその対策も考えてみました。確かに効果は認められたのですが、あえて対策をとらなくても十分使えそうでした。(条件次第ですが・・・)

 前回のBlogで紹介したOP-Ampを使ったキーヤーでは、始めに短点とスペースが1:1になるように発生させたあと、OP-Ampを使ったFlip-Flop回路を使って2分周してからダイオードによるORゲートで合成して長点を得る方式でした。これはロジックICで作るキーヤーとまったく同じ考え方です。

 それに対して、こちらのキーヤーは短点、長点、スペースの全てをCRの時定数で各々個別に得ている「純アナログ方式」です。

 741型OP-Ampを使いながら、片電源で済ませるためにツェナー・ダイオードを使ったレベルシフト回路が使われています。 設計された当時、まだ片電源動作に適したOP-Ampは登場していなかったのでやむを得なかったのでしょう。 その後、片電源に適したOP-Ampが登場したので今から作るなら幾らか回路の簡略化が図れそうです。

 【私の試作品
 写真は私が試作したものです。 オリジナルの考え方を踏襲しつつ、741型OP-Ampの時代よりも進歩した部品を使うことで回路を簡略化してみました。

 何だか部品数が多くなったように見えるかも知れませんが:
(1)フォトカプラを使ってアイソレーション(絶縁分離)されたキーイング回路
(2)サイドトーンモニタ回路と発音体
・・・などを追加してあります。それらを除けば部品はだいぶ減っています。

 これは、今では4回路入りのOP-Ampがたいへん廉価で販売されておりそれを活かした設計が合理的だからです。 4回路あることでキーヤーとして必要な機能のすべてを含めることができました。 電源電圧の範囲が広くなるなど、性能も改善されています。 消費電流も741型OP-Ampを2個使うよりもだいぶ少なくなっています。 詳細は次項の回路図をご覧下さい。

 一見して部品数が多くて作りにくいように見えますが、ブレッドボードを使った試作なので面積を必要としているためです。 OP-Ampは4回路入りですし他の部品数も僅かなので、ユニバーサル基板に載せるとたいへんコンパクトに製作できます。

 上方の黒くて丸い物は「圧電サウンダー」(←秋月にリンク)と言うものでです。低周波の電圧を与えると「音」が出ます。 ある種のスピーカのような物でモニター音を鳴らすために使っています。 普通のスピーカと違いインピーダンスが高いためトランスなどを介さず直結できて便利です。(ただし、音声や音楽の再生には向きません。あくまでも発音体であって一般的なスピーカとは違います)

 【改良版回路図
 短点、長点、スペースを発生させる回路部分はオリジナルの考え方を踏襲しています。 但し、使用した324型OP-Ampは741型OP-Ampと違ってマイナス電源(GND)側に「残り電圧」が殆ど生じません。 そこでオリジナルの回路にあったようなツェナー・ダイオードを使ったレベルシフト回路は必要としません。 4回路入りのOP-Ampは配線しにくいと感じるなら、2回路入りのLM358Nを二つ使うと良いでしょう。回路定数の変更は不要です。

 また、トランジスタとベース抵抗が集積さている通称「デジトラ」という複合部品を使ったので、見かけの上で抵抗器が6本削減できました。 このあたりがオリジナルが設計された当時よりも便利になったところです。 記事の当時と同じ部品もまだ手に入るので、そのままそっくり作ることもできますが、省部品で作りやすくする方が良いでしょう。(:デジトラと言うのはデジタル回路で便利なトランジスタの意味でしょうね)

 デジトラはROHM社のDTC144ESAと言うものを使っていますが、これも手持ちの都合です。 少し消費電流は増えますがこのような類似品(←秋月へリンク)でも大丈夫です。 小信号用のデジトラはいずれも安価です。部品屋さんに置いてあれば単価10円程度のものです。 わざわざ買いたくなければ2SC1815GR(2SC2458GRでも良い)と47kΩの抵抗器を2本(等価回路のRaとRbに使う)で代替できます。性能は変わりません。

 長点、短点、スペースの比率を決めるのはコンデンサや抵抗器の値です。従って、幾つかの部品は精度が必要です。 抵抗器は±5%以内の精度が普通なので問題ない筈です。 コンデンサのうち、C1、C2、C3はできればタンタル・コンデンサにします。容量誤差は±10%以内が望まれます。LCRメータで実測して値を揃えれば完璧でしょうね。

 実際には容量の値そのものではなくて比率が重要なので、C1=C2、C3=[C1の2倍]になるようすればOKです。逆に考えればこれらの比率を少しいじってやれば「短かめの短点」とかが実現できる訳です。面白がって色々やってみたら収拾がつかなくなりました。本来の比率をあまり逸脱しない範囲が良さそうです。(笑)

 なお、漏れ電流さえ少なければアルミ電解コンデンサ(普通のケミコン)でも十分使い物になります。テスタで測って抵抗値が500kΩ以上に落ち着くものなら大丈夫です。

 オリジナルにはないサイドトーン発振器を追加しています。 市販の「圧電ブザー」はどれも音程が高すぎるように思います。 好みの音に変えられるよう「低周波発振器」を組み込みました。 弛張発振回路を使った簡単な矩形波発振器です。 発振回路の抵抗器:R11(4.7kΩ)の値を大きくすると低い音になります。 発振波形は矩形波ですから少々ブザーっぽい音がします。w

 キーイング回路には手持ちのフォトカプラ:TLP-521-1(GBランク)を使ってみました。これはごく一般的な物ですが同等品は数10円で手に入ります。 新規に買うなら秋月電子通商にて単価20円で売っている東芝のTLP-785GB(←リンク)が良さそうです。 TLP-521-1の耐圧は50Vなのでブロッキング・バイアス・キーイングにはやや耐圧不足のようです。 しかし幾らかマージンはある筈なので概ね支障無く使えるでしょう。 TLP-785の方なら規格上の耐圧は80Vありますから少し有利です。

 それでも気になるようなら出力トランジスタの耐電圧が100V以上あるフォトカプラあるいは、フォト・モス・リレーに交換します。 または前に扱ったDTL-Keyer(←リンク)のようにリードリレーと言う手もあります。一般的なフォトカプラで間に合わせればフォト・モス・リレーを使うより大幅にコストダウンできます。 但しリグと接続する時には極性に気を付ける必要があります。 

 オリジナルに存在したPNPトランジスタを使った負電圧のキーイング回路・・・ブロッキング・バイアス・キーイング用の回路・・・は省略しました。 フォトカプラならどちらの端子をGND側にしても構いません。極性に合わせた配線さえすれば良く、リグのキーイング回路の極性は問わないからです。あえて負電圧のキーイング回路を設ける意味はありません。

 非常に古い送信機や自作送信機で終段真空管のカソードキーイングをするにはドレイン耐圧が1,000V程度あるパワーMOS-FETが適しています。 回路図のU1bの7番ピンからMOS-FETのゲートをドライブすればOKです。ゲート回りには過電圧保護を付けておきます。 MOS-FETのドレイン・ソース間で終段管のカソードを直接キーイングできます。くれぐれも感電には気をつけましょう。 文章では旨く伝わらなければお問い合わせでもどうぞ。

                   ☆

 作る人は稀かも知れませんが、消費電流も少なく電源電圧の範囲も広いので「実用品」になります。 電源電圧は9Vが標準ですが、図のままで6V程度まで下がっても正常に動作します。 消費電流はパドルを操作しない「待機状態」で2mA以下、「キーイングしている時」が5mA程度です。 消費電流が少ないのであえてAC電源を内蔵するよりも乾電池もしくは充電池でコードレスに使う方法が良さそうです。移動運用のお供にするならもちろん乾電池でしょうね。 自宅のシャックで使うなら小型のACアダプタも良いかも知れません。 もともと低速のデバイスなのでRFの回り込みには強いと思われます。

324型OP-Amp
 改良版を作るために活用したのが324型OP-Ampです。今ではこれよりも進歩したOP-Ampがたくさんあって選択に困るほどです。

 324型も十分古くさいOP-Ampなのですが廃れた訳ではありません。 十分な性能を持っていますし、何と言っても安価なのが有難い汎用パーツです。

 秋月電子通商では何と4個150円でLM324N(←リンク)が売られています。一つ40円もしませんがこのキーヤーには十分すぎる性能です。 各社からセカンドソースがたくさん登場しておりどれでも同じように使えます。 自作好きなら既にパーツボックスに一つや二つ入っていることでしょう。単品買いでも100円くらいで手に入る筈です。

 上記の試作例ではNEC製のμPC451C(通信工業用)を使っていますが、たまたま手持ちがあったまでの話しで一般的なナショセミ(TI社)製のLM324Nで支障ありません。この写真のものと交換してみましたが何も違いません。 仕様書上の動作温度範囲が違うだけで、他はまったく同等です。 真夏の砂漠や冬期の山岳地帯でオンエアする予定ならμPC451Cの方が良いかも知れませんけれど・・・。(笑)

 このOP-Ampに限らず、使ったいずれのパーツも安価なので収納ケースやツマミのような外装部品を上手に調達すれば500円くらいの材料費で十分行けそうです。 ワンコインで作れるキーヤーですね。実用的なキーヤーがいくらで作れるかチャレンジしてみるのも面白いかも知れません。(笑)

                   ☆

OP-Amp. Keyer Type-2のテストムービー
注意:再生すると音が流れます)

video

 キーヤー恒例(?)のテストムービーです。 このキーヤーはサイドトーンモニタ発振器、フォトカプラを使ったキーイング回路など全てを内蔵しています。 従って、これだけの回路で完結できます。 BL-006P型の9V積層乾電池とスイッチ、スピード調整用の可変抵抗器を小箱に組み込めば完成です。 ムービーではリグのキーイングではなくボード上のLEDをキーイングでチカチカさせています。

 意外に実用性がありそうなので、ロジックICやマイコンを使ったキーヤーに飽きた人には面白いかも知れません。 長短点メモリはありませんので超高速キーイングには向きませんがムービーの程度なら支障もなくキーイングを続けられます。

 回路構成上、スクイーズ・キーイングはできませんので写真のようなシングルレバーのパドルに最適です。 なかなか良い感じにキーイングできました。

                 ☆ ☆ ☆

 新しいキーヤーを作ってもっとアクティブにオンエアを楽しもう・・・と言うほどCWでの交信はしていません。 話しの流れとして、ずっと気になってきたキーヤーを次々に試してきただけです。 これまで扱った他にもカーチス社のキーヤー専用チップ:8044とか彼の有名なWB4VVFのAccu-Keyerなどもありますが、いずれチャンスがあったらと言う事にしましょう。電信やそれにまつわる機器には奥深い趣味の世界が広がっています。それだけで一冊の書物になるほどです。深入りしていたらいつまで経っても終わりは見えてきません。

 キーヤーにOP-Ampを使う必然性などないと思っていました。しかし、よく回路を見れば意外にオーソドックスでした。しかも実現される性能は思った以上に実用的です。 これを本格的に使うことはないかも知れませんが世の中にはこう言う物もあると言う楽しい経験ができたと思います。 三月も終われば新年度が始まります。ちょうど良い区切りですから、色々試してきたエレクトロニック・キーヤーの話題はこのあたりでおしまいにしましょう。 まずは目出たく卒業と言う訳ですね。 ではまた。 de JA9TTT/1

(おわり)nm

2017年3月12日日曜日

【部品】AD8307A Log Power-Meter Chip

AD8307Aを使った対数圧縮型パワーメータ
 【QRP-Power Meter
 暫く前からAD8307Aと言うICが売られています。 入力信号の大きさに対して出力の大きさは対数的に変化する、一種のLogアンプのICです。 入力信号は高周波(RF)電圧が想定されています。直流の電流や電圧が対象ではありません。 従って昔からあるようなトランジスタのベース電流:Ibとベース・エミッタ間電圧:Vbeの指数特性を利用した対数アンプとは異なるものです。

 出力は入力されたRF電圧の大きさに対数で(Logで)比例した直流電圧として得られます。 簡単に言えば、出力端子には入力された高周波電圧に従った直流電圧が得られる訳です。その直流電圧は、RF電圧の大きさに比例するのではなく、対数で比例します。

 活用法の一例としてAD8307Aを上手に使ってパワー計を作ると:(1)ごく小さなパワーが高感度で測定できる。(2)大きなパワーでも振り切れにくい。・・・と言った特徴を持ったRF電力の測定器が作れます。

 写真の左側は私がAD8307ANを使って製作したパワーメータです。80dBフルスケールのほか10dB、25dB、50dBフルスケールで測定できるほか、任意の電力レベルでオフセットが掛けられその部分を細かく読めるようになっています。
 また、右のコンパクトなものはJR1ING菊川さん(2008年6月 Silent Key)がAD8307ARを使って製作されたものです。 コンパクトなワンレンジで製作され小型ながら拘りを持った作品です。これは故人の形見として頂いた宝物です。

                   ☆

 AD8307Aを使った製作は一時期かなり流行りましたが最近は見ないようです。ICチップが比較的高価なのと、製作したRFパワー計なりRF電圧計がLog目盛り(デジベル単位)では直感的ではなくて使いにくいからではないでしょうか? しかし、RFや電子回路のベテランでしたらdBの扱いには精通しているでしょうから、直接dBで数値が得られるのはかえってFBだとも言えます。

 最近になって大陸方面から面実装タイプのAD8307A(R)が安価に手に入ったとのことで、テストのご要望がありました。 そこで以前製作した自作品に装着して試してみました。 結論から言いますと「正常に使える」ようです。 かなり安価だったそうですが、FBではないでしょうか。用途は限定されそうですが有効活用されることを期待しています。

 【自作品の中身
 自作測定器の基板を見たからと言ってさして役立つとは思えませんが、このようになっています。(笑) 基板外にレンジスイッチやオフセットのポテンショメータ、指示メータなどが付いています。

 肝心のAD8307Aは基板の左端に実装しています。 500MHzまで性能を発揮させるのでしたら、ICソケットなど使わず直接最短距離で入力コネクタに直結すべきです。 ここではそこまでの周波数特性は追求せず100MHzあたりが目標です。 金メッキされた小型コネクタの裏面にチップ型の終端用抵抗器などが最短距離で実装され周波数特性の劣化を最小限に抑えるようにしています。 AD8307Aを出た信号は単なるDC電圧ですから高周波の配慮は必要ありません。

参考回路図
 まったく回路図がないと寂しいので、便宜的に載せましたが詳細は掲載誌の記事をご覧になって下さい。
 部品定数はもちろんですが、調整方法についても順を追って説明されています。回路図だけがあっても作れるものではないので部品定数は省いています。

 但しこれ単独で製作をお奨めするようなものではありません。 もともと、RF発振器とセットで使い水晶振動子の精密な周波数特性や、(自作)クリスタル・フィルタの特性を観察するために製作したものです。

 スイープ・オシレータやオシロスコープなどとセットで使いますと、縦軸dB目盛りで管面に周波数特性を描かせることができます。 詳細は雑誌記事でご参照下さい。 雑誌のバックナンバーは、古書、図書館、JARL資料室、出版社のコピーサービスを使うなどの購読方法があります。(掲載誌:CQ Hamradio 2006年4月号pp124〜129)

AD8307AN
 AD8307ANの部分を拡大してみました。 拡大して見たからと言って特に意味はありませんが、次の写真を説明する都合で掲載しています。

 AD8307Aは周波数の上昇とともに感度誤差が大きくなって行きますが、カタログスペックによればおおよそ500MHzまで実用になります。

 本格的に性能を発揮させるためには、ICソケットなど使用せず専用基板を起こして50Ωに設計されたストリップラインのパターンに50Ωの終端抵抗とともに直付けすべきでしょう。 そのようにして初めてカタログの性能が実現できます。

AD8307AR
 写真はテストを依頼されたAD8307ARです。これは表面実装タイプです。

 通販で中国から安価に手に入ったのだそうです。 最近はそのようにして電子部品を調達するお方が増えてきました。 しかし、まがい物(フェイク)も多いらしく、高周波用のパワートランジスタではほぼ全滅だったと言うようなお話も聞きました。

 このAD8307Aもかなり安価だったそうです。それだけに「印刷だけの偽物」の可能性も否定できません。 誰かテストして欲しいと言うご要望はごもっともでしょう。

 ここでは、容易に比較テストを行なう目的で変換基板に載せています。 対象物の中身が間違いなくAD8307Aであることを確認できれば良いのでこのようにしました。 10MHzあたりで比較テストを行なうつもりですが、その周波数なら変換基板に実装してもまず問題はないと思います。ICチップの真偽くらいなら正しく判定できるでしょう。

10MHz・0dBmでテスト
 自作のLog Power-MeterにRF信号発生器・レベルジェネレータから0dBm(50Ω)の高周波電力を加えてみました。 周波数は取りあえず10MHzです。 周波数特性を追求しても変換基板への実装ではあまり好結果は望めません。従って周波数特性の追求は程々にしておきます。

 ソケットからAD8307ANを取外し、AD8307AR(被検査品)に載せ換えてメータを読んでみました。 写真のように少しのズレもなく0dBmピッタリを示しました。

 これだけでは不安なので、10dB刻みに信号を変化させてメーターの読みを確認しました。 ローレベルの領域で正しく測定するためには、チップ個々のバラツキを補正するためのオフセット調整が必要です。 従って単純に交換しただけの未調整のままでは誤差が大きくなりました。 しかし、-50dBmくらいまでなら目盛りと良く一致していましたので評価対象のチップは正常に動作していると思って良いでしょう。 それ以下のローレベルでは個別チップごとに調整が必要なので、精度が悪くなっても異常ではありません。

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 QRPPerでもせいぜい1mWまででしょうから、このパワー計の単独では高感度すぎます。 QRPerが精密にLow-Powerを測定するには悪くないパワー計かも知れません。但し、そのためには10dBの固定減衰器(アッテネータ)を何個か用意しておく必要があると思います。他に-20dBカプラもあったら便利です。-20dBカプラは容易に自作できます。 校正次第ではありますが、良いアッテネータを手に入れておけば良い精度でQRPppなパワーでオンエアする際の助けになるでしょう。 他にはIF-Ampの出力部に置き、AD8307Aの出力をAGC電圧として取出しIF-Ampの出力がLogで比例するように制御を行なう・・などの考えもありそうです。 まあ、そんな所が思いつく用途ではないかと思います。ではまた。 de JA9TTT/1

(おわり)fm