2018年3月2日金曜日

【回路】10V Reference and Voltage Generator

【回路:10V電圧基準と電圧発生器】
真空管時代の電圧基準は
 シャックの周波数基準はかつてのJJY/WWVの時代から、GPSやRb-OSC周波数基準器の発展で飛躍的に進歩しています。 「では電圧の基準は?」どうなのかというテーマも時々議論されますが、未だこれぞと言った解決策はないようです。

 真空管時代は遠い昔のことになりましたが、その時代に基準電圧の発生に使われたのが「電圧標準管」 でした。定電圧放電管の一種ですが電圧の再現性がよく長時間にわたり放電電圧が安定しているのが特徴です。 電圧標準管を単独で使うことは稀で電圧発生装置(ある種の電源装置)の基準として使われたようです。

 写真は代表的な「電圧標準管」で、5651と85A2です。5651は米国系、85A2は欧州系でしょう。国産品もあって写真の5651はNEC日本電気製、85A2は東芝製です。 いずれも約84〜86Vの電圧を発生します。 標準菅とは言っても何かバチっと決まった電圧が発生できる訳ではありません。電圧そのものは数Vの範囲でバラつきます。ただしその得られた電圧は安定しているのが特徴です。従って、絶対値は何らかの手段を使って知る必要があります。

 使い方は一般的な定電圧放電管と同じですが一定電流(標準2.5mA)を流して使うのが基本であり電流は取り出さないのが正しい使い方です。要するに放電管に流れる電流を常に一定した値に保つわけです。 0A2/VR-150MTや0B2/VR-105MTなどとはその点が違います。 短い時間で見ると±20mV程度の安定性があるようです。また使用寿命(数千時間)までの電圧変動は0.2%とのことです。

                   ☆

 回路実験では可変できてなおかつ安定した電圧が発生できる「電圧発生装置」が欲しいことがあります。 そうした装置を持っていたのですが、大きくて重いうえメンテナンスが必要になったので手放してしまいました。 いまではあまり大掛かりでなく手軽に使える発生装置が欲しいと思っています。 コンパクトなメーカ製中古品も出回っています。製作はそれなりに面倒なので購入してしまうのも手かもしれません。

 出費の抑制もありますが既製品の装置類をあまり増やしたくないので我慢できる範囲で簡略化して自作することを考えています。あまり『高精度病』にならない程度に楽しみながら手作りするためのメモです。例によって手持ちパーツの有効活用も目的の一つです。従って最適な部品選択にはなっていないかも知れません。 以下、製作へ向けて検討や実験を扱います。対象は高周波ではなくて直流(DC)です。RF回路に造詣の深いお方が多いようなので、ご興味とはちょっと違うかもしれません。まあ、お暇があればお付き合いでも。 DC回路だってそれなりに興味深いものがあります。

5651を使った安定化電源
 電圧標準管を登場させた手前、実用例を紹介しておく必要がありそうです。 RCAのデータシートに載っていた5651を使った安定化電源の例を左図に示します。

 ほぼ固定した250V前後の電圧を取り出すための真空管式安定化電源です。直列制御管が6080ですから結構大電流が取り出せます。 ただしあまり大幅に電圧を可変できないので趣旨とは少し違う電源装置ではありますが、電圧標準管はこのような回路で使うことが多かったと思います。 実際、こうした電源回路は発振が起きやすく思った以上にノウハウが必要だそうです。もし手を出すなら位相補償の方法など良く研究する必要があるでしょう。

 単純に安定した電圧だけが欲しいニーズ(電流いらない)では、前段に普通の定電圧放電管:例えば0A2/VR-150MTなどを使い、一旦安定した電圧を得てから5651や85A2に与えると言った2段階の回路構成にします。 そのようにして得られた電圧を既知の値と比較校正し基準電圧として使ったのでしょう。 標準電池や電位差計そしてガルバノメータが登場しそうな世界です。 分圧抵抗に流す電流は一定と考えて放電管に一定電流が流れるよう調整しておけば使い物になるかもしれません。

 しかし85Vでは半導体時代にはそぐわない電圧ですし、電圧標準管と言っても300ppmくらい変動するようなので半導体を使う方法には及びません。特にメリットもないのでこれ以上の深入りはやめておきます。 でも図のような大掛かりではなく、機会があれば簡単なものを5651で作ってみたいと思っています。

 【温度補償型ツェナ・ダイオード
 半導体時代の電圧基準と言えば温度補償型のツェナ・ダイオードでしょう。 手持ちにあったものをいくつか並べてみました。 手前のRD6.2EB2はごく普通のツェナ・ダイオードで比較用の見本です。

 金色のM322-1というのは、いまの秋月電子通商が「信越電機商会」だったころしばらく売られていたものです。 買った覚えのある人も多いでしょう。モトローラ製ですがどこかのハウスナンバー(特定顧客向け品番)のようです。 安価な(@100円だった)わりに安定していたので安定化電源の基準用に使ったことがあります。

 こうしたダイオードは規定の電流をきっちり流して使う必要があります。 写真のM322-1や1S552は10mAちょうど流します。 1SZ47では1mAです。 したがって不安定な電圧のところから単純に抵抗器を経由して流したのでは性能を発揮できません。 ある程度安定化してある電圧のところから流します。あるいは定電流回路を併用します。 得られるツェナ電圧(端子間電圧)はある範囲でバラツキます。ただし、その電圧はたいへん安定しているのがこうしたツェナ・ダイオードの特徴です。 このあたりは電圧標準菅と同じですね。

後ほど温度補償型ツェナ・ダイオードを使って10.000Vを発生させる回路例があります。

 【温度係数は加減できるか?
 電流をきっちり流すとは言っても規定値の前後で少し振ってやると温度係数が加減できそうです。 温度補償型ツェナの温度係数は流す電流の関数になっているようなのです。 従って電流値を加減してやれば温度係数がほぼゼロの動作状態に追い込むことができるのではないでしょうか。

 もちろん、どのように評価するのかと言うのが最も難しいと思います。 数Vのところで1ppm以下の変動がわかるような評価手段は限られるからです。温度再現性の良い恒温槽も必要になるでしょうね。

 図は1SZ47の例ですが、規定の1mA前後でわずかに振ってやれば最小の温度係数のポイントにチューニングできるかもしれません。 少々オキテ破りな方法ですけど、エンジニアならチャレンジしてみるものです。(爆)

温度補償ツェナで10.000Vを作る
 発生電圧が10.000Vでその温度係数として±20ppm/℃くらいを狙った基準電圧源を考えてみました。 いずれも温度補償型ツェナ・ダイオードを使っています。

 いきなり10.000Vが得られる電圧基準用のツェナ・ダイオードはないので、OP-Ampを使って10.000Vになるよう増幅してやる必要があります。(注:10.000Vを発生する調整済みのモジュールなら既製品が存在します。後述)

 これら回路のポイントは増幅度を決める抵抗器にあります。 OP-Ampにドリフトの小さなものを使うのはもちろんですが、それ以上に重要なのは抵抗器です。温度係数の小さな抵抗器を使わないと意味がありません。抵抗器の性能で温度特性のほとんどが決まってしまいます。 Fig.1、Fig.2のいずれも作ったことがありますが、どちらかと言うとFig.1の方が好みです。性能もいくらか良いと思います。

 この回路に使ったOP-AmpのOP-07は大して高価なものでなく簡単に手に入ります。(単品で購入しても100円前後です) それに比べて抵抗器の方が大問題です。 できれば±数ppm/℃といった温度係数の小さな抵抗器が欲しわけですが入手は難しいのです。 パーツショップで普通に売られている金属皮膜抵抗器では不十分です。ものにもよりますが100ppm/℃くらいの温度係数があります。さらに10倍くらいの温度係数を持つカーボン抵抗器などは論外でしょう。

 ゲインは抵抗比で決まるので相対値の方を押さえれば良いためワンパッケージになった上質な集合抵抗をうまく使って温度係数を相殺するなどの工夫が有効そうです。もちろん調整用の可変抵抗器も問題になるのでなるべく調整範囲を狭く設計します。 回路は簡単ですが素材を選ぶので作るのが難しい回路といえます。

 【バンドギャップ電圧基準IC
 最近ではツェナ・ダイオードは時代遅れかも知れませんね。 写真はバンドギャップ・リファレンス(←リンク)を使った基準電圧発生用の素子です。

 右の金属パッケージはバンドギャップ・リファレンスそのものが入っており、発生電圧は1.23Vです。外付け回路で必要な電圧になるよう加工して使います。  真ん中のμPC1060Cはバンドギャップを基準にして出力電圧がちょうど2.5V(±1%)になるような回路が組み込まれたICです。温度係数は40ppm以下です。10〜12bitのA/DやD/Aコンバータの基準用として作られたものでしょう。

 左のTL431Cは外付け抵抗器を変えることで広範囲な定電圧が得られるように工夫された3端子のICです。 基準電圧発生(標準2.495V)にも使えますがどちらかと言えば一般的なツェナ・ダイオードの置き換えを目的にしたデバイスです。 それでも常温付近なら±50ppm/℃くらいの安定性はありそうですから普通のツェナ・ダイオードよりもずっと優秀です。 ツェナ・ダイオードを電圧ごとに多品種揃えておくよりも合理的な素子です。外付け抵抗器が2本必要ですがこれ一つで約2.5v〜30Vのツェナダイオードを置き換えできます。

 バンドギャップ・リファレンスの欠点はノイジーなところにあると思っています。2つのPNジャンクションに電流差を持たせると順方向電圧の温度係数を相殺できる電位差が発生できるポイントがあると言う原理に基づいています。 電圧発生にPNジャンクションの順方向電圧の特性を使うわけです。 発生できる電位差はごく小さいので結果として必要な電圧を得るためにはたくさん増幅することになります。
 PNジャンクションに順方向電流を流すとショットノイズが現れまずが、結果としてそのノイズもたくさん増幅することになります。 出てくるのはノイジーな電圧になるわけです。 このあたりを回路的に工夫してノイズを減らすように考えなくてはなりません。 ただし超低周波の揺らぎ(フリッカノイズ)はなかなか取り切れるものではありません。

 【力ずくだがこれがベストか?
 LM399HとLM3999Zは普通に市販品が購入できる電子部品としては究極の電圧基準ツェナ・ダイオードかも知れません。

 ツェナダイオードを温度補償型に作ってもわずかに温度係数が残ってしまいます。周囲温度が変化すれば電圧が変わるのは当たり前だ・・と言うのを、それならダイオードの温度を一定にしてしまえば良いと発想したわけです。 基準電圧ツェナ・ダイオードを恒温槽に入れてしまいました。一つのICチップ上に恒温槽も作り込むと言う力わざですが、効果的な改善策と言えるでしょう。 左のLM399Hは熱的に遮蔽されたパッケージに入っています。 安価な LM3999Zの方は普通のパッケージ構造なので使用時に熱遮蔽の工夫を要します。

 恒温槽のための余分な電力が必要ですが周囲温度の影響は非常に軽減されます。 安価な方のLM3999Zでさえ標準で±2ppm/℃の温度係数です。 LM399Hの方は標準で±0.3ppm/℃と言う素晴らしさです。ワーストケースでも±2ppmですから流石ですね。少なくとも10倍以上良くなっています。 恒温槽が定温に達するまでウオームアップタイムが必要ですが、出力電圧がほぼ安定したと言えるまでに30秒も掛かりません。

LM399Hで10.000Vを発生
 LM399Hの使い方は一般的な温度補償型ツェナ・ダイオードと同じです。(もちろん恒温槽機能のヒータ加熱部分は違いますが) 上記の10.000V発生回路で行けます。写真ではFig.1の回路で作りましたが、帰還抵抗の値などの関係で調整方法は変更しています。OP-AmpにはOP-07CZを使いました。OP-07CZのオフセット電圧ドリフトはmax1.8μV/℃(typ0.5μV/℃)ですからほとんど問題になりません。微小電圧ではなく、10Vを扱うこのような用途には十分な性能です。

 OP-Amp部分のゲインを決める帰還抵抗にはアルファエレクトロニクスの金属箔抵抗器があったので使ってみました。手持ちにあった物を使ったので抵抗値は理想的とは言えませんがまずまずな結果が得られています。 電圧微調整部分には普通の金属皮膜抵抗器を使っていますが、可変範囲はごく狭いので温度係数に及ぼす影響は数ppm/℃以下が見込めるようです。 ブレッドボードの簡易実験ではありますが金属箔抵抗器の性能が優れているらしくたいへん安定した10Vが得られました。得られた10.000Vは10ppm/℃を切る温度係数におさまっているようです。 きちんと作って十分なエージングも実施すればアマチュアレベルとしてはかなり優秀な基準電圧源になるでしょう。

 期待どおりLM399Hは安定で温度補償型ツェナ・ダイオードと比べて一桁くらい性能アップする感じです。 ほかの温度補償型ツェナ・ダイオードと違ってツェナ電流と温度係数の関係は顕著ではないため幅広く選べますがここでは1mA少々流しています。 LM399Hに内蔵されているツェナ・ダイオードは表面下ブレークダウン型と言う構造で長期安定度とノイズ特性に優れたものです。揺らぎもあまり感じませんでした。

 これだけ高安定度なのはたいへん素晴らしいのですが、LM399Hで発生できる電圧は標準で6.95Vです。さらに6.95Vにはバラツキがあります。お気付きのように重要なのは必要とする10.000Vに校正する手段をどうするのかと言うところでしょうね。 せめて0.0001V(100μVの桁)まで合わせたいところですけれど10Vレンジが±10ppmの絶対精度で保証できる電圧計なんてそうそうありませんから・・・。

 【既成の10.000V基準を評価してみる
 まずは安定している基準となる電圧を作ってそれをもとに分圧するなどの方法で必要な電圧を作って行けば良いわけです。

 検討してきたいずれかの方法で10.000Vを得て、あとは分圧して行こうと思います。

 たまたまパーツボックスを探していたら既製品の10.000V発生用ICが出てきました。 試してみたら流石にメーカ製だけあって良くできています。ほぼ無調整で10.000Vが得られるのですから・・・。

 特にバーブラウン(現TI社)のREF-10KMは初期精度も良く温度係数も標準で±1ppmだそうです。一般的に入手可能なデバイスとしては非常に優秀です。 それなりに高価な部品ですが部品集めや回路を組んでから校正で苦労するよりも良いかもしれません。 (REF-10KMはディスコンです。代替としてREF-102などがあります) AD584KHだって常温付近なら±3ppm/℃くらいですから結構な高性能です。 AD584KHは現行品です。 データシートによれば、REF-10KMはツェナ・ダイオードを基準にしておりAD584KHはバンドギャップ・リファレンスが基準です。

 実際に回路を組んで様子をみましたが非常に安定していると感じました。 観察するとREF-10KMの方がフラつきが少ないようです。 Specを見ると多少劣るようですがAD584KHの方だって十分安定していると感じました。なお、AD584KHは10Vのほかに、2.5V、5V、7.5Vが発生できるのは便利です。 いずれにしても出力電圧の微調整を設けると今度は校正が問題になってしまいますけれど・・・。 外付け回路で不安定さを持ち込まないように注意が必要でしょう。 上記のほか類似デバイスとしてはリニアテクノロジ社のLTC1236ACN、MAXIM社のMAX6176AAなどがあります。

#こうした精密と言える基準電圧発生用のICが使えるなら楽かも知れません。しかし、あまり追求すると『高精度病』の再発になってしまいますね。(笑)

 【簡易な電圧発生器を作る
 大掛かりにならない装置が製作目標です。従って少々Poorなところは我慢するとして図のようなものを考えてみました。10.000V基準電圧の部分は既出の発生回路のどれを使ってもOKです。

 残念なことに分圧に使うポテンショメータのリニヤリティに依存するため、せっかく高精度な基準電圧が活かしきれません。LM399Hを使った電圧基準を使ったのでは勿体ないでしょう。 この程度の物でも私の実験目的には十分使えそうだと思っています。

 だいたい1%以内のところに電圧設定できれば良いので何とか使えるでしょう。 小さな電圧に絞った時に精度が劣化すると思います。 しかし大半の用途では問題にならないはずです。 設定精度も大切ですが安定していることの方がもっとも重要だからです。

 【ヘリポットがポイント
 10.000Vはそれなりに合わせるとして、それ以下の電圧は分圧するポテンショメータ(写真)の特性が全体の性能を支配します。

 写真のものはヘリポット(←参考リンク)と呼ばれる精密な可変抵抗器でCOPAL製の10回転型です。リニヤリティは0.2%とのことです。 10Vの0.2%は20mVなのでそれほど優秀とは言えないかも知れません。 それでも一般的な可変抵抗器に比べれば雲泥の差です。 どうしてもそれ以上の精度が必要なときは電圧の実測で合わせこめば良いと思います。 なお、ヘリポットの多くは巻線構造のため微細にみると電圧はステップ状に変化します。分解能は有限ということになります。

 ポテンショメータの後のバッファアンプはここでもOP-07を使うつもりです。 オフセット電圧ドリフトなど考えても概ね十分な安定度だと思います。 μA741クラスでは少々心もとないかもしれません。 もしOP-07で不十分ならチョッパ安定型を使うことになりますがそこまでは必要ないでしょう。 何しろポテンショメータが0.2%精度ですので。

 【中華製もあるが・・
 きちんと性能が保証されているポテンショメータはそれなりのお値段です。 上記のCOPALのものはダイヤル込みで¥3kくらいだったと思います。

 少々怪しいとは思いますが中華製(←リンク)なら200円で買えます。 激安なので性能はそれなりとは思いますが普通の可変抵抗器よりもずっとマシでしょう。 簡易な用途でしたら支障なく使えるのではないでしょうか。 なお、リニヤリティは±0.3%だそうですがなんとなく怪しそうに思えます。(笑)

 専用のカウンタ・ダイヤルも売っていたように思います。シャフトはφ4mmなので注意が必要です。 写真のものはお試しにaitendoで購入しました。 過度な期待をせず手軽に使うには安くて良いと思います。 もう少しお小遣いが許せばBournsの製品(←リンク)も買えるようです。安心を取るならそちらの方が良いかも知れません。ダイヤルと合わせて1,500円で買えます。(秋月電子通商にて。2018年3月現在)

注意:こうしたヘリポットの多くは巻線構造なので何がしかのインダクタンスを持っています。インダクタンスがあっても直流回路(DC回路)では支障ありませんが、オーディオ機器など交流回路(AC回路)には適当ではありません。 もちろん、高周波回路(RF回路)には使えません。 ごく低周波なら大丈夫そうですが、変な周波数特性が現れても困るのでもし使うとしても数100Hz以下が無難なところだと思っています。

                   ☆

 10.000Vの基準電圧を作る部分を集中的に扱ったようになってしまいました。 アナログ的にやるなら後は適切に分圧して行けば良いと思うからです。 精密に数値設定することは難しいのですが、概ね正しい電圧で安定していてくれたら十分だと考えればアナログ的な方法も悪くないと思います。 まずは簡単なポテンショメータ式でやってみようかと思い始めています。

 【やっぱりデジタルでしょ
 ステップ式に・・・デジタル的に数値で出力電圧を切り替えられたら便利なことがあります。 一つの方法として高精度なD/Aコンバータを使うのも手です。

 写真の黒い箱は長いあいだ死蔵してきたDAC-169-16Dという16bitのD/Aコンバータです。これは9.999Vフルスケール、1mV分解能です。 一般的な16bitのD/Aコンバータはバイナリ(2進)で設定しますが、このD/AコンバータはBCDで4桁の入力になっています。従って後述するデジスイッチで直接出力電圧を設定できます。(ディスコンの製品です)

 今の時代ですから高分解能なD/Aコンバータとマイコン+ロータリエンコーダを使えば同じような機能が簡単に実現できます。設定はバイナリで行ない電圧はLCD表示器に10進で(真値で)行なえば良いでしょう。 安価で高分解能なD/Aコンバータはほとんどがオーディオ用です。そのためDC的な安定性を保証するものは稀なようですが実験してみる価値はありそうです。 写真のようなモジュールは入手困難ですからそうした手段で実現するのが現実的です。

 【BCD-DACをテストしてみる
 DAC-169-16Dはもともとがジャンクだったように思います。 壊れているのでジャンクになったのかもしれません。 まずは生きているのか簡単なチェックが必要でしょう。 ブレッドボードにテスト回路を作ってみました。

  左側にずらりと並んだスイッチ部分にデジスイッチを使うわけです。 D/Aコンバータはトリミングされているのでそれなりの初期精度になっていますがゼロ点とフルスケールの調整は欠かせません。 結局のところこの場合でも高精度な測定手段が必要ということになってしまいますね。

 【安定度を評価しょう
 9000を数値セットして精度と安定性を見ています。 簡単にオフセット調整とフルスケールを調整してあります。 調整用の可変抵抗器(VR)は多回転型を使うべきでした。 普通の半固定抵抗器ではうまく調整しきれません。220μVくらいのオフセット電圧が残ってしまいました。

 テストなので少々不完全な調整ですが、とりあえずここまでとして安定性や再現性を評価しました。 内部の回路が複雑なためでしょうか、いくらかノイジーな印象があります。また10μVの桁あたりで漂動も見られますが使い物にはなりそうです。 もっとも評価手段の方もそれなりの問題があると思っています。 ラフなテスト方法ですからノイズの混入などで漂動するのはある程度やむを得ないでしょう。 きちんとやらないと本当の性能はわかりませんね。

#まずは長期在庫品のD/Aコンバータも使えそうということで選択肢に入れておきます。

デジスイッチで簡単に
 マイコンと16bitのI/Oポートを使った方が良いのかもしれませんが、このスイッチも長期在庫部品です。 いま使わないと将来も使う機会はないでしょう。 ということでこの際使ってしまおうと思います。

 D/Aコンバータの入力仕様がTTLレベルなので、スイッチとの間にHC-MOSをバッファとして挟んで使う方が良さそうでした。 そうでないとプルアップやプルダウンの抵抗値をかなり小さくしないと旨くありません。

 こうしたシャフトタイプのデジスイッチは珍しいと思いますが、サムホイールスイッチに適当なものがあって代替できます。 マイコン時代なのでサムホイールスイッチもあまり見かけなくなった気もしますが、まだ手に入るでしょう。 それと機械的なスイッチは意外に高いのでマイコンとロータリエンコーダで構成した方が安く上がるはずです。

 デジタルな手段だと数値設定して使うのには便利そうです。 アナログな方法で作るか、デジタル式で行くか自身の使用状況を想定しながら決めたいと思います。 例によって手持ち部品の活用も製作目的の一つですから幾らか不合理なところも生じます。  しかし電子部品は死蔵ではなくできるだけ活用してやりたいものです。

参考・1:PWM式電圧発生器
 基準となる安定した電圧が必要なのは上記の例と変わりませんが、ポテンショメータやD/Aコンバータではなくデジタル的に高精度な分圧比を得る方法があります。時分割で分圧された電圧を発生する方法です。 過渡応答は良くありませんが、抵抗器などで分圧する代わりに10VがONの時間と0VになるOFF時間の比率を変えるのです。  例えば0.9秒は10V、0.1秒が0Vという繰り返しパルスならその平均値は9Vちょうどになります。
 このような仕組みで、ON時間とOFF時間の比率をステップ的に細かく変えてやれば細かく精度の良い電圧を得ることができます。 デジタル式で可変型の基準電圧発生器を作るのでしたら、高精度D/Aコンバータや分圧抵抗器などの必要がないPWM式が最も合理的だろうと思います。 ある種のD/Aコンバータとも言えますね。 ワンチップ・マイコンのPWM機能をそのまま使ったのではあまり高精度にはなりませんが、C-MOSの標準ロジックで性能の良いものが作れます。 基準電圧の部分を除けば汎用部品で済むため費用もかからないはずです。(参考リンク:こちらにこの方式の詳しい実験レポートがあります)

参考・2:公的な機関で校正する
 公的な機関で電圧基準器を持っているところがあって時間利用ができます。そうしたところで校正してくれば十分信用できる「電圧基準器」になります。公的機関ですから利用料は大したことはありません。出力電圧を電圧計で直接測ったのでは精度が出ませんから、精度が保証された基準器と比較測定を行なって校正します。

                   ☆

 何となく10.000Vの基準電圧を作るというのがテーマのようになってしまいました。安定していてはっきりした電圧が得られればまずはそれが基準になるわけです。 残念ながら絶対値の校正手段がないので高分解能な電圧計で合わせ込んでも結局のところ「我が家基準」でしかありません。(笑) それでも測定器を総動員して比較したら0.1%くらいの絶対精度はありそうに思えます。日常的な用途にはまずまずだろうと思います。 あとは如何に分圧して必要な電圧を得るかということになります。 周波数の基準を得ることはずいぶん容易になりましたが、未だ電圧の基準は容易ではないことがわかります。

 デジタルな時代なので4桁くらいの数字が表示される測定器は普通に手に入ります。 しばらく前のことですが、社員が日常的に使っているマルチメータ(デジタルの)を集めて精度を調べたことがありました。ほとんどはハンディな3・1/2桁表示のものです。 評価にはトレーサビリティ付きの校正装置を使いました。
 もっとも基本となるDC電圧の測定レンジでさえ、アナログなテスタに劣るデジタルマルチメータが幾つも見つかって驚きました。 抵抗測定レンジや交流電圧測定ではいわんやでした。 購入直後はまずまずでも、しばらく使っていると随分ズレてくるようでした。
 あまりにも酷いものはその測定モードや測定レンジの使用を禁止したほどです。 安価なマルチメータは再校正できないので全体的にダメなものは捨ててもらうしかありませんでした。一見良さそうに見えても嘘の数字を示す測定器はないよりたちが悪いものです。hi hi

 たくさん数字が表示されてもその数値が信用できるのか、ほんとうの精度はどうなのか意識して臨みたいと思います。 何気なく使っているマルチメータも信用ならないかもしれませんから。 ではまた。 de JA9TTT/1

「つづき」があります。(→こちら

(おわり)fm

14 件のコメント:

JG6DFK さんのコメント...

おはようございます。だいぶ暖かくなってきたようです。その分、花粉はたくさん飛んでいるようですが(苦笑)。

最初だけ見て真空管の話題だと思った人は、さぞがっかりしていることでしょう(爆)。

抵抗ですが、千石あたりで普通に売っているKOAの「MF1/4CC」は温度係数が±50ppm/℃と優秀な方だと思います。皆さんが「大嫌い」なチップ抵抗はもっと進化していて、±25ppm/℃やそれ以下のものも入手しやすくなっています。私のところで常用している「RK73H」は±100ppm/℃なのでイマイチですが(笑)。

ヘリポットはいいものを選ばないと痛い目を見ます。以前、可変型定電圧電源に使っているヘリポットが接触不良を起こし、出力電圧が急上昇してトラの子を吹っ飛ばしたことがあります。これは笑えません。

バンドギャップは嫌われているようですが、ツェナーダイオードも結構ノイジーだと思います。それを嫌って、オーディオメーカーはLEDを基準電圧源にすることがよくあります。中でピカピカ光っているLEDは飾りじゃないんです(笑)。

日頃、高精度な基準電圧源はあまり必要としていませんが、私ならもしそれが必要なとき、市販品があれば買ってしまうかもしれません。TL/LM431はたまに使います。いずれにせよ、テスターの健康診断用に基準電圧源を用意しておくのはいいかもしれません。

岩崎 / JR1KDA さんのコメント...

322-1ですけど、私も持っています。
で、当時の広告もたまたま残っていて、それを見ると
Honey Well 322-1(合衆国モトローラ製)
ツェナ電圧9V +5%-0%
ツェナ電流10mA一定
ドリフト50PPM/℃
損失1000mW、国産IS213(東芝)・IS551(NEC)相当品
とあります。
画像はここに。
http://sdr-de-bcl.c.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_707/sdr-de-bcl/m_4.jpg

TTT/hiro さんのコメント...

JG6DFK/1 児玉さん、おはようございます。 日差しは暖かくなりましたが、今朝は強風が吹いています。 花粉の飛散も多くなっているようでせっかくの春も憂鬱な季節です。

早速のコメントありがとうございます。
> 真空管の話題だと思った人は、さぞがっかりして・・・・
性能が良ければ真空管の方向もありえたのですが、調べてみるとあまり良くありませんでした。真空管ファンはちょっと残念ですね。(笑) ほかに放電管特有のノイズも出ます。

> ±25ppm/℃やそれ以下のものも入手しやすく・・・
せめてこれくらいの温度係数の抵抗器を使いたいところですね。 チップ抵抗器はリード線付きよりも安価なので有利だろうと思います。 積極的に使ってゆきたい電子部品です。

> ヘリポットは・・・出力電圧が急上昇してトラの子を・・・
中華製ヘリポットなどそういう危険がないとも言えませんね。hi hi 摺動寿命もあるので劣化してきたと感じたら交換する必要がありそうです。でも普通のボリウムよりも接触はずっと安定していると思うので良いものを使えば大丈夫です。

> ツェナーダイオードも結構ノイジーだと思います。
そう思っていたのですが、昨今のツェナーダイオードでノイズジェネレータを作っても思ったようにノイズが出てくれないのですよ。 大昔のツェナーはよくノイズが出たと思うのですが・・・。今のものはバンドギャップよりもローノイズだと思っています。

> テスターの健康診断用に基準電圧源を・・・
10.000Vの基準があるだけでも役には立つのですが、それを作るのがなかなか難しいというのがこのBlogの「お題」のようなものです。(爆)

TTT/hiro さんのコメント...

JR1KDA 岩崎さん、おはようございます。 晴天で清々しいのですが・・・花粉でくしゃみが。

いつもコメントありがとうございます。
> 322-1ですけど、私も持っています。
ずいぶん長いこと売っていたと思うので、よほど大量の在庫を持っていたんでしょうね。でも普通のツェナーよりも安定していたので重宝しました。いくらFBな部品でも手に入らなくては意味がありませんからね。信越で売ってくれたのは有難かったです。

> Honey Well 322-1(合衆国モトローラ製)・・・
詳しい規格ありがとうございます。ハネウエル社向けだったようですね。
私が見た信越電機商会の広告にはVz9.3V Iz10mAドリフト±0.002%/℃って書いてありました。 1本100円、10本800円・・・だったようです。 でも温度係数は±50ppm/℃と思った方が良さそうですね。(笑)

画像どうもありがとうございます。

私が参照したのは1975年9月号のトラ技広告です。
https://www.dropbox.com/s/67s2rpb2vxrh15a/TR%E6%8A%80%E7%A7%8B%E6%9C%88197509A.jpg?dl=0

販売途中で記述内容を変更したのかも知れませんね。信越電機ならありそうです。hi hi

T.Takahashi JE6LVE/JP3AEL さんのコメント...

加藤さん、こんにちは。
北日本は大荒れの天気みたいですが、関西はかなり春らしく暖かくなってきました。

基準電圧とは周波数とちがって難しそうですね。
昔、新品のボタン電池は電圧が正確なので簡易的な基準に使えると何かで読んだ記憶があります。

基準電圧でググってみますとリニアテクノロジーのLTC6655というICがヒットしますね。
eBayや海外のamazonではLTC6655を利用した基板が販売されていますが、今のところ国内やAliexpressではヒットしませんでした。
http://a.co/gGD9K3h

数十年前に購入したカスタムのDMMの値を信用して使ってますがBlogを拝見していて不安になってきました(爆

TTT/hiro さんのコメント...

JE6LVE/JP3AEL 高橋さん、こんにちは。 北関東は晴天なのですが強風です。 陽射しは暖かいのですが、屋外に出ると体感温度はかなり寒く感じますね。

いつもコメントありがとうございます。
> 新品のボタン電池は電圧が正確なので・・・・
水銀電池の端子電圧は基準にできるくらい安定だといわれていましたね。 今はもう見掛けなくなりましたが・・・。 なにか身近なデバイスで基準にできるようなものがあれば良いのですが難しそうです。

> LTC6655というICがヒットしますね。
優秀な基準電圧ICですね。 5Vまでの各種電圧の製品が供給されているので手に入ればFBかも知れません。 お値段に興味があったのですが、海外amazonでは売り切れているようです。

> 数十年前に購入したカスタムのDMMの・・・
最小桁まで正しいと思っていると厳しいかも知れませんが、普通は5%や10%くらい違っても気にならないのであまり心配しなくても大丈夫でしょう。 機会があったら確かめておくと安心かも知れません。私などアナログテスタもよく使うので結構アバウトです。(爆)

T.Takahashi JE6LVE/JP3AEL さんのコメント...

加藤さん、こんにちは。

LTC6655のモジュール、eBayだと20ドルで販売されてます。
https://www.ebay.com/itm/MLT-LTC6655-High-Precision-Voltage-Reference-Breakout-Module-/252704856011?roken=cUgayN&soutkn=LR8QUK

AD584というICもあるんですね。
それだとAliexpressで2.5ドルぐらいから販売されてます。

TTT/hiro さんのコメント...

JE6LVE/JP3AEL 高橋さん、こんばんは。 ウオーキングに行ってきたのですが強風で向かい風が寒かったです。w

再度のコメント有難うございます。
> eBayだと20ドルで販売されてます。
性能が良いので$20-くらいならお買い得かも知れませんね。 アルファ・エレの金属箔抵抗器は一つ1,000円以上します。少なくとも2〜3本は必要ですから自分で作っても安くなりません。 10.000Vに校正の問題もありますので・・・。

> AD584というICもあるんですね。
こちらは少しグレードが低いのでわりあい安価だと思いますが、普通は$2.5-では買えません。Aliexpressのものが本物なら安いと思いますよ。 非鉛フリー品にお買い得なものがあったと思います。 アマチュア用にはそういうものがお買い得でしょう。 試用した感じでは、AD584KHはキャリブレーションした方が良さそうでした。

FBな情報有難うございます。 高精度病にならない程度に情報収集されてください。(笑)

JK1LSE/本田 さんのコメント...

こんばんは。
もう数年前になりますか、秋月で売っているリファレンスICの電圧を測定していただいたことがありましたね。通常ではテスタの電圧で十分なのですが、5桁のDVMを手に入れたので、どのくらい合っているのか知りたくてお願いしました。そのついでに、LM399Hまでいただきました。こんなオーブン入りのデバイスがあるとは知れませんでした。
測っていただいて、そこそこの精度があることを確認すると、急に熱が冷めると言うか、安心してしまい、その後余り気にすることがなくなりました。

これって、周波数も同じですね。完全い合っていなくても、そこそこ合っている(ずれ幅を知っている)ことがわかると、これまた安心して気にすることがなくなりました。
その昔、テスターを手に入れて、測定ができるようになってから、真の値がどこにあるか、ずうっと気になる始まりだったような気がします。
ある程度の精度が得られると安心して、よく眠れるようになりましたhi

JR1QJO/矢部 さんのコメント...

加藤さん、信越電気で売られた温度保証型ツエナーダイオードの画像に飛びつきました。
金メッキで如何にも高価という印象で未だに死蔵しています。その頃、LM723を
使った安定化電源を自作して,改良を続けて今でも現役です。電圧設定にヘリカルポット
に置き換えて「高精度化」を図るものの、電圧計がアナログメータなので押して知るべし。
ただ、Li Ion電池の充電に使うなら電圧管理もミリボルト単位の精度が欲しいところです。
水銀電池が昔、基準電圧電源に使われたことが話題になっていますが、私もその為に水銀
電池を購入した者ですが、アナログメータの確認用なので何ppmという世界には程遠いい
ものです。抵抗器の温度係数は位相シフトネットワークのSSB発生器(PSN634)の
追試で抵抗器の選別を行ったのですが、指の体温で抵抗値が逃げてしまい、苦労した記憶
があります。高精度を目指すのは正に苦行ですね。HI

TTT/hiro さんのコメント...

JK1LSE 本田さん、こんばんは。 やっと強風もおさまってきたようです。 満月が輝いてますね。

いつもコメント有難うございます。
> 測定していただいたことがありましたね。
そんなことがありましたね。 「我が家基準」なので不確かな確認ですみませんでした。

> どのくらい合っているのか知りたくてお願いしました。
そうでしたか! 拙宅のボロが出なければ良かったのですが・・・。(ひや汗)

> その後余り気にすることがなくなりました。
まあ、そんなものですよね。 私など普段はアナログなテスタを常用しているくらいですから。 アナログなテスタって抵抗レンジは別ですが電池要らずだから便利なんです。ホントの精度は別にして入念に読めば3桁くらい行けますし。hi hi

> よく眠れるようになりましたhi
目安がわかれば安心できますね。 安眠できるようになって良かったです。(爆)

TTT/hiro さんのコメント...

JR1QJO 矢部さん、こんばんは。 だんだんと春らしくなってきましたね。 花粉の時期が終わったら懇親会にも参加したいと思います。hi hi

いつもコメント有難うございます。
> 温度保証型ツエナーダイオードの画像に飛びつきました。
お書きのように金ピカでしたから高級感がありました。(笑) 死蔵じゃ勿体無いかもしれませんがピカピカなのでハンダ付けするのが辛いんですよね。hi hi

> 電圧計がアナログメータなので押して知るべし。
拙宅にも電圧調整はヘリポットで読み取りはアナログメータという電源があります。 アナログメータの方は目安程度ですね。 ヘリポットのダイヤルの方がずっと正確です。

> 電圧管理もミリボルト単位の精度が欲しいところです。
mV単位までは要らないかもしれませんが、10mVくらいは管理したいところですね。 そうなるとアナログメータでは厳しいと思います。

> 何ppmという世界には程遠いものです。
意外に温度特性も悪くなかったという話も聞きましたし、周囲温度で起電圧の補正をしていたように思います。 なにぶん古い話なので思い出せませんけれど。 たぶんアナログには十分だったんでしょうね。

> 指の体温で抵抗値が逃げてしまい・・・・
100ppmくらいの金属皮膜抵抗だと手指の温度で変動するのがわかりますね。 NP0のセラコンはびくともしませんが、マイラコンなども体温で変動します。 PSNは性能を安定させるのが難しですね。

> 高精度を目指すのは正に苦行ですね。HI
ある程度はお金で解決もできるんですが、金力に頼らず努力で解決しようとするとやっぱり大変です。でも達成感はあると思っています。(貧乏人のひがみかなあ・・・爆)

JA6IRK@岩永 さんのコメント...

TTT 加藤さん、おはようございます。

暖かくはなってきましたが花粉が舞ってますね!一昨日辺りから、目のかゆみと鼻水くしゃみに悩まされています。

今回は、基準電圧ですね!
当局は定電圧放電管は知っていましたが、電圧標準管なるものは知りませんでした。
知らなかったこともありますが、これまであまり気にしたことがなかった領域なのでしっかり読ませていただきました。

温度補償型ツエナーダイオードというのも使ったことがありません。

作るとしたら、ご紹介のLM399Hたりかな?とも思いますが、アルファの金箔抵抗は高いですし、精度を求めても校正する手段がありません(笑)

今現在、当局的レベルで入手する基準電圧発生装置としては、一般販売されているICかな?!と思っています。
手持ちのデジタルテスターは数台ありますが、0.5Vくらい平気で違っていますから、どれが一番正確に近いかを知る手段くらいが当局の使用用途になるでしょうか(爆)

任意電圧発生装置としては、D/Aがいいですね! PWM方式は簡単でいいです。
いずれにせよ基準電圧が必要ですが。

最近のツエナーがノイズが低くなっているという情報は、貴重な情報でした。
昔は5V前後が一番ノイズが少ないと、この辺りを基準に使っていたような記憶があります。

DFKさんのコメントのようにLEDを使うこともありました。音に良いのは赤色だったと思います。どこどこのが一番良いとか言ってましたね!
最近は、チップサイズも小さくなり高輝度になっているので傾向も大きく変わっているのではないかと思います(20年以上も前の話ですから:爆)

いつも貴重な情報ありがとうございます。


TTT/hiro さんのコメント...

JN3XBY/1 岩永さん、おはようございます。 今日も良いお天気ですが花粉が飛んでいて目尻がかゆいです。w

いつもコメント有難うございます。
> 電圧標準管なるものは知りませんでした。
民生用の電子機器ではまず使わない電子管なので珍しいかもしれませんね。 昔良くかよったジャンク屋が業務用機器の放出品が多かったので5651のような工業用の電子管を見かけました。 3000時間くらいの寿命らしいので寿命の尽きた5651が放出されていたのかもしれませんね。 基準としてはもう使えないものだったのかも。 hi hi

> 温度補償型ツエナーダイオードというのも・・・
特に安定度の良い電圧が必要な計測器などに使っていました。 無線機や家電品ではまず見ない部品だと思います。

> アルファの金箔抵抗は高いですし・・・
確かに高いですね。 アキバ価格は単価1500円くらいでしょうか? 秋田の工場を見学したことがありますが、あの作り方ではやむを得ないだろうと思いました。 手作業で抵抗値のチューニングをしているんですから・・・。工芸品のような抵抗器でした。 NASA御用達だそうです。

> 一般販売されているICかな?!と・・・
なるべく初期精度の良いものを入手されてください。電圧計のチェックに役立つくらいかもしれませんね。

> 5V前後が一番ノイズが少ないと・・・
このあたりの電圧のツェナの動作抵抗は小さいため端子間ノイズも少なかったように思います。 温度補償型はツェナ・ダイオードと普通のダイオードが直列になった構造のため、Vz=7Vくらいのものが多いようです。

> どこどこのが一番良いとか言ってましたね!
LEDの色とメーカーの違いが音に出るというのも面白い話ですね。(笑)

高精度のDC基準電源なんて普通は必要ないので、あまりお役に立たない話しと思いますが悪しからず。w