【噂の真相?】
QRPerの親睦を目的とした月例の懇親会が秋葉原で開催されています。小電力=QRPの通信や自作電子回路に興味をお持ちならどなたでも参加できます。 第一土曜日の夕方16:00〜です。(但し例外有り)
懇親会には任意参加の2次会があって近くの居酒屋「天狗」秋葉原店にあらかたのメンバーがそっくり移動してAC付になります。
いつも刺激的で楽しい話題が飛び交いますが、その席でとても興味深い話しを耳にしました。 早速試してみたのがこのBlogです。 TRIOのLPF:LF-30のPart-2が予定でしたが急遽テーマを変更します。
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【興味深いお話】
その話しとは以下のようなものでした。 お馴染みの中華DDS基板に搭載されているDDS-IC:AD9850にもクロック逓倍器が内蔵されていると言うのです。 AD9850にはAD9851と言う上位チップがあって、そちらには与えたクロックの周波数を6倍する逓倍器が内蔵されています。 AD9850と51では最高クロック周波数の違いもありますが、クロック逓倍器の有無が一番の違いです。 そのためAD9851を最高クロック周波数:180MHzで使うのに30MHzのクロックで済むと言うメリットがあります。
その機能を持たないAD9850を最高クロックで使うには直接125MHzを与えなくてはなりません。 この125MHzのクロックがなかなかの曲者なのは既にご存知の通りです。 ですからAD9850に4倍のクロック逓倍器が内蔵されてると言うのは聞き流すには惜しい「耳寄りな話し」なのです。
*以下の観測は同じDDSモジュールで行なっています。クロック発振器の周波数を変更し、それに伴って制御プログラムも変更しています。従ってAD9850の個体差ではありません。5種類のクロック発振器を使いましたが、どれもスペクトルに問題ないことは事前に確認してあります。
*以下の観測は同じDDSモジュールで行なっています。クロック発振器の周波数を変更し、それに伴って制御プログラムも変更しています。従ってAD9850の個体差ではありません。5種類のクロック発振器を使いましたが、どれもスペクトルに問題ないことは事前に確認してあります。
その裏技的な技法とは・・・実はとても簡単です。 AD9850にもAD9851と同じコマンドワードを送れば良いのです。
要するにコマンドワードの最下位のビット:LSBに「1」を立てたコマンドを送ります。具体的にはcmd=&B00000001です。
早速やってみたのがこの写真です。 何時ものように15MHzを発生させてみました。 まずは目的信号:15MHzの上下10kHzの近傍スプリアスから観測しました。
左がAD9850のクロックに48MHzを与え4逓倍の192MHzクロックで動作させたもの。 その右側の写真はオーソドックスな125MHzクロック・・・もちろん奇麗なもの・・・を逓倍機能OFFで直接与えてた時のものです。
#なにやら左の方にはスプリアスが・・・・?。
【100kHz幅で観測継続】
目的信号:15MHzの上下50kHz、全体で100kHz幅に拡大して観測しています。クロックの条件は上記と同じです。
写真右のノーマルの状態はいつものようにとても奇麗なスペクトラムです。
それに対して左の逓倍クロックの方はどうもスプリアスだらけです。 目的信号よりも70dBくらい小さいため極端に悪い訳ではありませんが右を見てしまうと使いたい気持ちにはなれませんね。 この例では15MHzなのでこの程度でしたが、30MHzを発生させると55dBくらいまで悪化します。
試してみたら50MHzを4倍した200MHzのクロックでも動作しました。隠しモードにメーカーの規格なんて存在しないので、どこ迄が上限かはわかりません。 ただ、クロック逓倍器で高い周波数まで可能になっても、これでは意味も無くなりそうです。
【クロックが高過ぎ?】
48MHzとか、50MHzを与えて4逓倍したのでは周波数が高過ぎて発生信号が劣化するのかも知れません。 そう思って、今度は21.0526MHzのクロック・オシレータで試してみました。手持ちを使っただけですから細かい周波数に意味はありません。
写真はその結果です。 左は21.0526×4=82.2104MHzの逓倍クロックで動作させたもので、右の比較対象の方には64MHz・・・もちろん奇麗な・・・を与え、逓倍機能はOFFです。 目的信号の近傍のスプリアスは前の20kHzスパン、100kHzスパンの写真と大同小異です。 ここでは0〜150MHzまでの間に発生するスプリアスの写真を掲載しました。
まずは右の方ですが、逓倍なしの奇麗なクロックにしてもかなりのスプリアスが認められます。 これは中華DDSモジュールにあらかじめ搭載されているローパスフィルタの遮断周波数(fc=70MHz)が高過ぎて効果的でないからです。 但しほとんどがDDSの原理上現れるスプリアスなのでしかるべき遮断周波数のLPFを挿入して使えば大丈夫です。 この例ではクロックが64MHzなので、1/3のfc=約20MHzのLPFが適当です。そうすればスプリアスの大半は片付きます。これは前々からわかっている通りですね。
一方、左の4逓倍クロックで動作させた方はスプリアスだらけです。 LPFを最適な物に載せ換える程度では済まないでしょう。 目的信号の近傍だけでなく上にも下にも強いスプリアスが見られます。 結局、与えるクロックの周波数が高過ぎるからスプリアスが現れていた訳ではなさそうです。4逓倍クロックで使うとこうなってしまうようですね。 ですからメーカーもクロックの4逓倍を仕様書で触れないのでしょう。これは想像ですがクロック4逓倍を付けてみたものの、何らかの原因で目標Specをクリヤできなかったので無いことにしているのではありませんか?
あるいは、4遞倍と推測するモードでは上限の125MHzを遥かに越えた200MHzでも動くように見えますから、何かのテストモードかも知れません。21.0526MHzを与えた例で見ると、逓倍されない成分の(要するに21MHzの)漏れがやたら大きく現れていて本当に逓倍したクロックで動作しているのか疑問があります。いずれにしても使うのはちょっと問題がありそうです。
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「耳寄りな話」はちょっと残念な結末でした。 目的・用途によってはクロックの4逓倍も効果的なことがあるかも知れません。(もちろん、本当に4倍モードなら) 一概に何とも言えませんのでAD9850をクロック4逓倍のモードで使うかどうかの判断は各自に委ねます。ここではありのままを見てもらえたらそれで十分でしょう。
それで、あんたはどうするのかって? まあ、何かの緊急時に知っていれば助かるかも知れません。ですが通信機に積極的に使いたいとは思わないなぁ・・・。 それぞれのお方のお考え次第なので、ご自由にされたら良いとは思いますが、お子様連れの電波を出さぬよう送信機に使う際は十分な確認をお願いします。 受信機に使うとスプリアス受信が多くなって色々不都合でしょう。ですが自身が納得して使えば良いです。 他人に迷惑はかかりませんから自由にされてください。 繰り返しますが送信機に使えば皆が迷惑しますからやめて欲しいですね。あなたの電波がバンド内外のそこらじゅうで聞こえたらまずいでしょう。
酒席で小耳に挟んだ『うわさ話』を切っ掛けで実験しました。元はどのあたりの話しなのか、どなたが見つけた『新発見』なのかは知りません。 もし違う結果が(ずっとFBな結果とかが)出ているようでしたら情報やコメントなど頂ければと思います。 実は噂の奥にはもっと深い裏があるのかも知れません。それをクリヤして旨く使えるのなら素晴らしいですから。(笑)de JA9TTT/1
(おわり)