【アクティブ・サブ・ウーファ:SW-P100の修理・その2 】
INTRODUCTION
I received a replacement edge to use for repairing speaker cones. I purchased it from Amazon.com and it took 19 days to arrive from China. The replacement edge was perfect. The size is perfect for the loudspeaker to be repaired. The loudspeaker units were replaced with new cone edges and returned to perfect condition. And the sub-woofer are immediately producing ample bass in my audio system. (2024.10.17 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【中華スピーカ・エッジ】
修理が終わらないとサブ・ウーファは単なる邪魔な木箱です。待望の修理用スピーカ・エッジが到着しました。
Amazonで注文した時の連絡では到着まで20日掛かるとありました。 実際には19日ですから1日だけ早く着いたことになります。 販売者は中国の会社で、輸送はYanwenと言う運送業者です。 成田で通関後はJPに引き継がれるようです。
問題もなく届いたのでクレームはありませんが、もう少し配達の早い業者に頼むべきだったと反省しています。 ちょっと安い業者を選んだのが時間がかかった理由でしょうか。
☆
リサイクル・ショップで購入したジャンクなアクティブ・サブ・ウーファ(アンプ内蔵型・低音域専用スピーカ・システム)を修理しています。 このBlogは前回(←リンク)の続きです。 前回のBlogでは、不具合は内蔵するスピーカ・ユニットのエッジ部分崩壊に原因があり、その交換用パーツを通販し、現品が届くまでに古いエッジを取り除いて修理に備えると言った内容でした。
特定のオーディオ・ジャンクを修理すると言った話です。 その関連で、ずいぶん昔に流行った「3Dオーディオ・システム」について少しだけ触れています。 既にこうした情報は失われている可能性もあります。完全に忘れ去られる前に触れておくことにしました。 前回をご覧になって、もしも暇があって興味が続くようならばこの先もご覧ください。
【エッジを当ててみる】
注文前に寸法図で確認してありますのでピッタリなはずです。異品が届かぬ限り間違いはないとは思います。
接着を始める前に現品に当ててみて確認しておきましょう。 写真のようにあつらえたように(?)ぴったりです。 要するに、こうしたスピーカは標準化が進んでいるのでしょう。 各部のパーツが規格化されて流通しているわけです。 どこかの製造ラインを流れているようなφ130mmのスピーカ用の部材を手に入れたと言うわけです。
材質はゴム系のようで成形品です。 たいへん柔軟にできています。 おそらく寸法的には元々使ってあったエッジと同一でしょう。 しかし材質は異なっているように思います。このゴム系の素材でできたエッジもそれほどの寿命はないかも知れません。 いずれ劣化するでしょう。しかし5年も使えたらもう十分でしょうね。
もう一つ、スピーカのエッジには音響的に重要な役割があります。 その柔らかさや質量のほか、厚みやロールの形状などスピーカの特性に少なからず影響を与えます。 エッジで出る音の特性が変わるわけです。 そのためスピーカ・メーカでは材質や形状を最適化してスピーカ・ユニットとして完成させている筈です。
従って海のモノとも山のモノともわからんような中華エッジを貼ったスピーカがオリジナル通りに復活できるか否かには幾許かの疑問もあるわけです。
しかし、音色云々の話はひとまず置いて、まずは異音を発するような「駄目スピーカ」からの脱却を目指したいと思います。 それと大量生産されている汎用の部品は平凡ながらも悪くない無難なものであろうと想像されます。使ってみましょう。
【ボンド・Gクリヤーで接着】
接着剤にはボンド・Gクリヤーと言うゴム系を使います。これはエッジの材質から選びました。
エッジの素材によっては接着剤に含まれる溶剤によって影響を受ける場合があります。 またスピーカ・コーンも溶剤に弱いことがあります。 このスピーカは紙コーンですからゴム系で問題ありません。
接着剤選びでもう一つ重要なことは、こうしたスピーカのように振動を伴うものへの接着では硬化後もある程度の柔軟性を保つ接着剤を使うことが必須です。 カチカチに硬化するするような接着剤を使うとどこかの部分に応力が集中し、いずれ亀裂が入って破損するでしょう。 ゴム系の接着剤はずっと柔軟性を保つので適しています。
ここでは透明なタイプを使いましたが、昔からあった淡黄色のゴム系接着剤でも構いません。 どうせ見えない部分になりますから機能が同等なら透明タイプでなくても支障ありません。 手持ちがあれば同じように活用できます。
接着に関しては前回のBlog(←リンク)にコメントを頂きました。 ゴム系接着剤をペイント薄め液で希釈して刷毛塗りすると良いとのこと。 薄め液を塗れば失敗してもやり直せるそうで、作業の安心感にも繋がりますね。
詳しくは前回Blogのコメント欄を参照ください。(VY-TNX! JA2HVW 水島OM)
【コーン紙部分は両面塗り】
コーン紙の部分は接着剤の力だけで保持されます。 従って十分な強度をもった良好な接着状態が望まれます。 写真は接着剤の塗布状態を示します。従ってエッジ部は裏側の接着面を見せるように撮影しています。
コーン紙側とエッジ側の両方の接着面にボンドを塗布します。 その上で規定の時間だけ待ち、ベトつかない程度になってからエッジとコーン紙を合わせるようにします。できるだけ最良の接着が得られるようにします。 詳細は接着剤の説明書の参照を!
コーン紙の部分はダンパーに吊られているだけなのでフリーに前後します。従ってあまり強く押し込むと破損しますのでエッジとコーン紙を接着するときは注意深く行ないます。コーン紙の裏側に指が入る部分では表裏から指で挟んで圧迫して十分な接着強度が出るようにしました。
エッジをコーン紙に貼ってしまうと自由が効かなくなります。そのためフレームとガスケットに挟んで接着する外側は方法を変えました。両面に塗って半乾きを待つといった方法は困難だからです。 フレーム側とガスケット側の両方へ、やや多めに接着剤を流し込みます。 接着する位置を確認したらあとは動かぬようしっかり固定して乾くまで待つことにしました。
だいたいこんな感じでエッジを接着します。文章で書くと難しそうに感じるかも知れませんが、意外に容易にできるので心配するような作業ではありませんでした。
【重石を載せて一晩放置】
接着剤が塗布できたらガスケットを載せて位置に問題ないか確認します。引っかかりがないかボイスコイルの動きも確認しておきます。
確認の上、問題なさそうでしたら口径よりやや大きめの鉄板などを載せ、その上から重石を掛けておきます。ガスケット部分の接着が目的です。 拙宅で重そうな物体といえば電源トランスでしたので、それを重石に使いました。写真の電源トランスは5kgほどの重さがあります。2〜3kgも掛ければ十分でしょう。
冬季なら24時間くらい置く方が良いでしょう。 いまはまだ暖かいのでだいたい一晩も置けば十分な強度の接着が期待できます。 部屋の隅の邪魔にならない場所に放置して待ちました。
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接着剤が良く乾くまで、ちょっと「3Dシステム」へいざないます。
【3Dシステムの交叉周波数】
そもそも3Dシステムとはどう言ったものでしょうか? 詳しいお方には釈迦に説法でしょうが、ごく簡単におさらいします。
一般にステレオ再生では左右にスピーカを置きます。 集音時に左右のマイクで集めた左右の音がレコード盤やCDに収められています。それを取り出し増幅して左右のスピーカから再び音として空間に放出することで立体的な音場が再現できます。
これはステレオ再生の基本ですが、いつでも理想通りの再生機器が得られるとは限りません。 特にスピーカは低音域まで十分に再生しようとすれば大きな口径のスピーカ・ユニットとそれに見合った容積を持った箱(スピーカ・ボックス、エンクロージャ)が必要です。 これは当然巨大化を意味しますのでオーディオ・マニアならともかく一般家庭では受け入れがたいでしょう。
人の聴感に着目すると、ごく低域の音は方向感があまりなくなることがわかっています。 そこで、左右の音の低音域だけを一つに纏めてしまい中央もしくは適当な位置に置いた低音域専用のスピーカで再生します。それでも音の立体感(ステレオ感)を阻害せず、しかも豊かな低音までの再生が可能になるわけです。
これが3Dシステムと言われるもので左右に置くスピーカは100Hz以上といった中音域以上を受け持てば良いためずいぶん小型の物で済みます。ごく低音域を受け持つスピーカはそれに特化したものを一つだけ置けば済みます。 しかもあまり方向感が生じないため、おおよそ前方にでも置けば良いのです。例えばTVのような映像機器の裏側に見えぬように置いても支障ありません。AV向きとも言えます。
このように3Dシステムは経済性と配置の自由があって有利なシステムですが使いこなしがやや難しいことから徐々に忘れられていったようです。 それと本格的なマニアには音域をフルにカバーするような大型スピーカ・システムを左右に並べる方が見ばえの点でも好まれたのでしょう。 もちろんメーカーもできたら大きなスピーカを2つ買ってもらいたいですからね。 それで'70〜'80年代のオーディオ・ブームを待たずに廃れてしまいました。(一部では根強い支持が続いたのも確かですが・・・)
左図は、3Dシステムにおいて低域のクロスオーバー周波数を幾つに採ったら良いのか、探るための実験レポートです。実験によればだいたい150Hz以下が無難で、もし100Hz以下ならステレオ再生における楽器の定位にはほとんど影響がないことを示しています。 私のシステムが70Hzに決めたのもこのような理由からです。 実際、まずまずの成績だと思っています。
【3Dシステムの構成方法】
このBlogは技術系を志向しています(?)ので、3Dシステムの構成方法をブロック図で示しておきます。
図・左はすでにスピーカ・システムが構成されているところへ3Dシステムを追加する方法です。 左右のスピーカの手前にL-Cを使った分波器(フィルタ)を置きます。 ごく低域のエネルギーを消費するためのダミー抵抗が設けられているのが興味深いですね。(吸収用のダミー抵抗がないと反射が起こります)
分波用のフィルタはL-RとC-Rの組み合わせフィルタですから-6dB/octになるはずですが、実際にはかなりQが低いため試聴の上でカット&トライを要するでしょう。スピーカのインピーダンスも純抵抗ではなく周波数とともに大きく変化します。従って使ってあるスピーカ次第なので試聴を繰り返しチューニングを要するかも知れません。
左右を合成して得られた信号から低域濾波器(LPF)で低音域を取り出し、別途設けたパワー・アンプで増幅してウーファ(低音用スピーカ)を鳴らします。
図・右は本格的な(理想的な)構成方法です。 プリ・アンプの出力といった信号レベルが小さい場所で分波を行ないます。 左右のオーディオ信号は干渉しないよう混合され、その後で低域濾波器(LPF)でウーファ用チャネルの信号として出力されます。
そのあとは3台のパワー・アンプで増幅したのちそれぞれスピーカを駆動します。もちろん中・高音域を受け持つ左右のスピーカは小型のものでも十分ですし、一般に中・高音域を担当するアンプは数W〜10Wと言った小パワーで済むはずです。ただし低音域は別でゆとりを持った十分なパワーが出せるパワー・アンプが欲しいでしょう。(電気音響工学による)
【3D用簡易型チャネル・デバイダ】
トランジスタやOP-Amp.を使ったチャネル・デバイダはよく見かけます。 ここでは真空管を使ったシンプルな回路例を紹介しておきます。 プリ・アンプとパワー・アンプの間に入れて使います。
双三極管を2本だけ使った簡易型です。 従って性能はほどほどだと思いますが、左右のスピーカがあまり低音域まで伸びていなければ十分使い物になるでしょう。10cmくらいのフルレンジ・スピーカを使ったシステムには良さそうです。 簡単な割に良い成績が得られそうに思います。
真空管はできればμ(ミュー)が大きく、内部抵抗:rpが小さな12AT7が良いです。6AQ8も同様に適しています。 初めから管球式パワー・アンプに組み込んでしまい低音域の出力のみ取り出せるようにしておくのも面白いと思います。
【本格的な-18dB/oct型3D用デバイダ】
上記よりも本格的な3D用チャネル・デバイダです。クロスオーバー周波数は≒70Hzで、傾斜は-18dB/octの設計です。 真空管を使った本格的な3D用分波器はあまり見掛けないので設計してみました。
電源は200Vで30mAも得られれば十分です。HUMを防ぐためには十分な平滑が必要です。ごく低域を再生しますのでハム音はもろにわかりますので。hi なお、12AT7が向いていますがHK耐圧の関係もあって、その場合B+は150Vにとどめるべきです。
確認のため要素実験を行なって最終的な部品定数を決定したいところです。OP-Amp.(ボルテージ・フォロワ)を使えば計算通りになるのですが、カーソド・フォロワではそうも行きません。ゲインは厳密には1倍ではないし、出力インピーダンスも結構大きいからです。部品定数で交叉特性を加減します。 いまのところ管球式の3D用デバイダには手が回りません。とりあえず回路設計した段階でストップです。
カソード・フォロワの性能から12AT7が適していて、12AU7でも可能ですが遮断特性が変わるでしょう。 12AX7は内部抵抗がだいぶ高いのが気になりますが、まずまずかもしれません。あれば差し換えて試せます。 クロスオーバ特性の調整は*1の付いたパーツで行ないます。
このままで概ね良い筈ですが参考にされるのでしたら各部ごとに製作・実験しながら完成されますようお薦めします。
0.022μFを多用する設計です。精度を要するので高精度品を求めるか選別して使います。 ポリカーボネート・フィルム型などフィルム系のコンデンサを使います。マイラ・フィルム型でも大丈夫です、各抵抗器は金属皮膜抵抗器(誤差±1%)にします。
サブ・ウーファ修理と3Dシステムの話が、なんだか双三極管でチャネル・デバイダを作る話になってしまいました。(笑)
☆
【接着完了・ユニットを戻します】
一晩待って接着が安定したのでエンクロージャに戻しましょう。
いきなり箱に付けてしまってから問題があると厄介なので、スピーカ単体(裸の状態)でテストしました。 テストには別に用意したPAF-303という小型オーディオ・アンプと418A型・低周波発振器を使いました。
周波数をスイープ(高い方から低い方へゆっくり変えて行く)しながら、コーン紙の動きを確認します。パワー・アンプから、やや大きめの出力を与えます。コーンを観察すると共に、どこかにボイスコイルが当たったり擦れて異音が出ていないか耳と目を使って確認しておきました。
最初、接着時の偏位が残ったようで、一瞬ですが異音が出て驚きました。 すぐ安定してきたのでしばらくエージングを行なって組み込み前の確認は無事に終了です。 スピーカ・ユニット単体では音響的な負荷が掛かっていないのでエッジ部に負担なのと、連続的な正弦波はボイスコイルを焼く恐れがあるのでほどほどにしておきます。(それにうるさいです)
各スピーカ・ユニットは四隅のネジを均等に締めて固定します。 このスピーカ・ユニットはフレームが弱い感じがするため適度の締め付けでやめておかないと変形しそう。 締め付け不足だとビビるので頃合いが難しいのですが、まあ適当に加減しながら締めておけば大丈夫でしょう。 バカちからでやるとフレームが変形しちゃいます。w
各ユニットを取り付けたら、配線を繋ぎます。スピーカ・ユニットには極性があるので注意します。 スピーカ・ユニットの端子に赤いマークのある方が+(プラス)で、ここでは黄色の配線(アンプの出力側)を接続します。黒色の配線(アンプ出力のGND側)をもう一方のマイナス側の端子に配線して終了です。
JISによるとプラス端子に+の電圧を与えるとコーン紙が前方に飛び出るよう極性が決めてあるそうです。 間違えると音が打ち消されたり定位がおかしくなるので要注意です。
【現用のBGM用オーディオ・システム】
写真・右がメイン・スピーカ:YAMAHA NS-05です。 これは以前のBlog(←リンク)でドーム型トゥイータを交換したものです。詳しくはリンク先で。
規格によれば下限は60Hzですが、実際には100Hzあたりを境に低域に向かってダラ下りです。 このあたりがサブ・ウーファで補いたかった部分です。
左側にAVアンプ:Pioneer VSA-55(下段)が写っています。 iTunesのようなデジタル音源はUSB-Audio用D/Aコンバータでアンプに入力しています。 HDD-BDレコーダの出力はHDMIなのでAudio信号を取り出す市販ユニットを使います。 最近のAVアンプならUSBやHDMIの直接入力ができますが、旧式のVSA-55ではアナログへの変換が必要なのです。 ワイヤレス・リモコンで操作できる便利さからAVアンプにすっかり頼ってます(笑)
VSA-55はDOLBYプロロジック・サラウンドなどの機能もありますがOFFして2chのプリ・メインアンプとしています。サラウンド機能もソースによっては効果的です。
参考:中央は高千穂神社(宮崎)の御幣。
【AVアンプ:VSA-55と接続】
3D用の分波器がサブ・ウーファ:SW-P100に内蔵されています。一般的にはメインのスピーカ・システムへの配線を介して接続します。
ここではAVアンプにサブ・ウーファ用の出力があるのでそれを使ってみました。 写真で上の方にあるSub-Woofer OutとあるRCA端子(蓋がしてある)に接続して信号を引き出します。この出力は既に左右のチャネルが混合されたものです。
SW-P100のローレベル入力には左右の2つがありますが、サブ・ウーファ用出力はどちらへ加えても同じでした。内部で左右が混合されているのでしょう。
調べたところ他社のサブ・ウーファでもほとんど同じようで、既存のシステムに容易に追加できるよう考えられているようです。 従って、3D用のチャネル・デバイダを要するのは、すべて自作で3Dシステムを構築したような場合に限られるように思います。
これからサブ・ウーファを検討されるなら、あまり心配なくほとんどのシステムに追加できそうです。 いくらかオーディオの知識があれば、低音域まで良く伸びたHi-Fi音響を満喫できるのではないでしょうか。
【予定の場所に設置して試聴】
配線チェックしたあと裏蓋を仮止めして動作テストしました。 サブ・ウーファだけあって20Hzと言ったごく低域までそれなりの音圧が得られます。 「聞こえる」というより「感じる」と言った方が適切でしょうか。
大丈夫そうなので完全に裏蓋を閉め発振器を使ったスイープ・テストをしました。 周波数を変えつつ大音量で出力すると部屋のあちこちで「共鳴現象」がみられます。 特に床へ直置きすると音が振動として伝わってあらぬ場所でビビります。
そのため、発泡ウレタン樹脂(写真で白いもの)の上に載せて使うのが良さそうでした。 SW-P100にはもともとクッションが付属していたようですからそれを介した置き方が良いのでしょう。 暫くエージングして修理は完了としました。
☆
様々な音楽や映像を再生してサブ・ウーファの効果を確かめてみました。 同時に、最適なレベルになるよう調整しました。 効かせ過ぎでドロドロした音になっても困るので控えめが良いです。この辺りの加減は微妙です。 ある程度わかってやらないと難しく感じるのでそれが廃れた理由の一つなのかも知れません。 たぶん効かせ過ぎて不自然にしてしまったのでしょう。
実際に音楽や音源によって大きな違いがあってソース次第という結論にもなりそうですが、サブ・ウーファは自身が思ったよりも控えめに効かせる方が音楽再生には適するようです。 それでもOFFすると、何というか・・・無味乾燥になって何か物足りなさを感じます。 SW-P100は小径のスピーカ・ユニットゆえか過渡特性が良くて歯切れの良い軽快な低音です。 TEACはこの形式のサブ・ウーファはやめたようですが、悪くない設計だと感じました。
BGMのみならず音楽番組や映画の視聴には欠かせません。 20〜70Hzといったごく限られた音域をカバーするに過ぎません。 しかし音場再現への影響はずいぶん大きいようです。考えてみると20〜70Hzは帯域幅では50Hzに過ぎませんが、オクターブで言えば2オクターブ(2音階分)近くあって影響は大なのでしょう。 ウッドベースやピアノの低音域がカバーできるようになりましたからねえ・・・
ごく低域用のスピーカ・ユニットにも「音色の違い」というものはある筈です。しかし修理品に不満は感じませんでした。 エッジへの制振剤(ビスコロイド等)の塗布はフルレンジ・スピーカ・ユニットなら検討すべきです。中音域でのエッジ部の逆振動の抑制が目的です。このユニットはウーファ専門ですから必要ないです。むしろエッジが柔軟なのでロングストロークが活きるように思います。
正体のわからない中華スピーカ・エッジを使った修理ですがなかなか旨く行ったようです。コスパは抜群です。 そして私のBGMシステムにこのサブ・ウーファの導入はかなり効果的だったと言うレポートで締めくくりとしましょう。
☆
前々から感じていた「低音不足」を何とかしたいと思ってリサイクル・ショップのジャンクなサブ・ウーファに手を出しました。
総額¥2,000ーくらいでかなり満足できる「低音」が手に入ったことになります。 もちろん厄介な作業代や技術料はタダとしてですけれど。(爆)
オーディオの遊びとしてもなかなか楽しかったです。 配置してみてサイズ的にもとりあえず許容できる範囲なので良かったです。 進行中の真空管を使ったオーディオでもこのサブ・ウーファは活かせるでしょう。
中・高音域の再生だけならEL-34三結シングル・アンプでも十分すぎるくらいです。 あるいはEL-84や6V6クラスでも十分かもしれません。 OPTも比較的小型のもので間に合うでしょう。 シングル・アンプは低音域が厳しいのですが、中域から上の高い方は良好です。 静かに楽しむBGM専門ならより小型のパワー管活用にも向いているはず。
サブ・ウーファも管球アンプで・・・となるとちょっと大掛かりですが、EL-34(三結)ppくらいで如何でしょうか。
低域20Hzあたりまで低歪みで十分なハイパワーが得られる「良質なPP用アウトプット・トランス」が欲しくなります。3Dシステムには一つあればいいんですけど・・・どこかに余ってませんか? 将来対応のために気長に待っています。(笑)
ラストに古いオーディオ誌から一節(一説?)
『+1ウーファー(3D)方式ほど、現在使っているステレオ装置に加えて、変わり映えのする、効果ある広帯域再生方式は少ないと思う』
さて、次回は何にしましょうか? また球でしょかね? お楽しみに。
ではまた。 de JA9TTT/1
(おわり)nm
ページ(テスト中)
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2024年10月17日木曜日
2024年10月3日木曜日
【Audio】Repair the Activ sub-woofer :SW-P100 , Part-1
【アクティブ・サブ・ウーファ:SW-P100の修理・その1 】
INTRODUCTION
I believe my audio system lacks bass. So I bought a used sub-woofer at a recycle store. However, the sub-woofer was not in good condition. The built-in speaker unit had a broken edge on the speaker cone, which was causing a strange noise and rendering it unusable. The theme of this Blog is to try to replace the broken edge part. (2024.10.03 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【TEAC SW-P100】
写真はTEAC製のアクティブ・サブ・ウーファ:SW-P100です。1990年代の製品のようです。近所のリサイクルショップで¥1.1k-の値札が貼られていました。
見たところはマズマズだったのですが、残念なことに「問題あり」の故障品でした。 流石に¥1.1k-で完動品を望む方が無理かもしれませんけれど・・・。
今月のBlogはSW-P100の復活と3Dオーディオ・システムがテーマです。今回はそのパート・1です。
ー・・・ー
【低音が足りないのだ!】
BGM用と割り切って使っているAudio Systemですが、実はちょっと「低音」が物足りないのです。ええ、何故かはわかっています。
メインのスピーカはYAMAHA NS-05という小型スピーカ・システムです。NS-05はよくできたスピーカ・システムで、強い個性は感じないものの、その再生音は自然ですしボーカルが前に出てくる感じがあって結構気に入っているのです。しかし小型なためどうしても低域が物足りないと感じてきました。
やはりφ120mmのウーファ(低域側ユニット)とバスレフ構造では低域再生に限界があって然るべきでしょう。
十分な低域再生には大きなスピーカ・ユニットを使った大型スピーカ・システムが必要なことはわかっています。しかし狭いシャック(無線室)に無理やり間借りしているようなBGM用オーディオ・システムでは望むべくもありません。少々低音が物足りないのは承知で我慢していたと言ってよいでしょう。
その一つの解決策としてサブ・ウーファを追加した3Dシステムの導入があります。 前々から構想していたのですが、追加のサブ・ウーファ(極低域用スピーカ)は意外に大型で邪魔くさい存在に見えたのです。 何回かリサイクル・ショップで見かけたのですがそれを部屋に持ち込むことは考えにくい大きさと形状でした。 ただ、もう少しセッティングし易い合理的なサブ・ウーファもあったように思うので、よい出物でもあったら・・・と思っていたのです。
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このBlogではリサイクル・ショップで見つけたジャンクな「アクティブ・サブ・ウーファ」を使えるように整備するのがテーマです。また今ではすっかり忘れ去られた感のある「3Dオーディオ・システム」についても触れたいと思っています。
立派なお部屋と大型の音響再生シルテムをお持ちのお方にはまったく関係のないテーマです。 費用を掛けず手軽に遊ぶためリサイクル・ショップや中華通販を利用しています。 何かの役に立つほどの内容はありませんから、時間のないお方がご覧になるのはお薦めいたしません。貧乏人が暇つぶしにジャンク品で楽しんだと言った内容です。
【SW-P100とは】
全体の外観は最初の写真のようなものです。
幅165mm、高さ500mm、そして奥行き412.5mmです。見ての通り縦長・幅狭な形状で奥行きは結構あります。重量も見た感じよりもあって12kgです。元の定価は¥40k-のようでした。
もちろん極低域再生のためのユニットですから、軽量・小型では製品として実現は困難でしょう。私が思うに「サブ・ウーファのくせに意外に小型だなぁ」という印象でした。
「低域再生=大型化」の図式がわかってない一般の人に買ってもらう為には「性能を犠牲にせずに小型化」も重要な開発テーマだったでしょう。 1990年代ともなるとずいぶん前にオーディオ・ブームは去っていました。 そのかわり大型TVをメインとしたAV機器が家庭に浸透しはじめた時期です。そんなAVシステムに付加する目的で開発された製品ではないでしょうか。
どんな場所で使われていたのかはわかりませんが、上部に製品のPR用と思われるシールが貼ってありました。 それもあってリサイクル・ショップで目に止まったのでした。 縦長で幅狭な形状ゆえ私が考えている設置場所にマッチするように思えました。
お値段は手頃ですが「音がビビる」という注意書きが貼ってありました。 要するに完動品ではなくて「ジャンク」の扱いでしょう。 陳列棚から引っ張り出して全体をざっと観察したら、見た様子では単純な構造であり万一使ってある内部のスピーカ・ユニットがNGでも代替品で補修も可能そうに思えました。作りがしっかりしているので最悪ハコ代でもと思ったのです。
写真は正面下部にある操作部とサランネットに覆われた音道の出口です。 このSW-P100は低域フィルタ(LPF)とパワー・アンプを内臓しています。 そのためアンプの電源スイッチがあって、さらにメインのスピーカと音量を合わせるためのボリウムが付いています。 なお、音の出口は写真のサランネットの部分だけなので設置は容易そうです。もちろん極低音では「箱全体が鳴る」と言うのもあるでしょう。(ごく低音域では方向感が殆どなくなるため設置場所にはかなりの自由度があります)
背面の写真は省きますが幾つかの切り替えスイッチがあります。一つはクロスオーバー周波数のスイッチで、このウーファの再生上限周波数:fc=140Hzあるいは70Hzに切り替えが可能です。
ごく小型のスピーカ・システムあるいは一般的なTV受像機などでは低域再生の限界は高くて、140Hzくらいに選ばないと中抜けになるのでしょう。 私のシステムの公称低域カットオフは60Hzですから70Hzで旨く繋がるでしょう。 他に位相切り替えスイッチが付いていて、これは設置時に確認する必要があって重要な機能です。
サブ・ウーファは現用のシステムに追加する形で導入するものです。接続方法として、プリ・アンプから左右の信号をもらうLow-Level入力と、パワー・アンプとスピーカの間に入れ、そこから低音域をピックアップする方法が選べます。 私の場合、AVアンプ:Pioneer VSA-55にローレベルのSub Woofer Outputがあるのでそこへ接続するつもりです。
SW-P100は専用のパワー・アンプ(max60W)を内臓しています。 のちほど資料を示しますがSANYOのハイブリッド型パワー・アンプICを使った2電源式のOCL型アンプが使われています。従って必要十分な低音域まで周波数特性は伸びています。
【130mmウーファが二つ】
SW-P100は直径φ130mmのコーン型スピーカユニット2個を内蔵します。スピーカは2個並列で十分大入力に耐えられるようになっています。 内蔵パワー・アンプも本当に50Wくらいなら出そうですから!
また2個並列なのはφ130mmでは低域用スピーカとしてコーン紙の面積が不足するためで、並列で2倍の面積と等価になるよう考えてあるのでしょう。さらにロング・ストローク型スピーカになっており面積不足を振幅の方で補う設計のようです。要するに小径のユニットでも設計次第で低域は伸びます。
箱の音響的な構造はバスレフ型でありスピーカのフロント側にあるダクト(音道)を強力にドライブします。公称の低域カットオフ周波数は35Hzであり、ダクトはそれに合わせてごく低い周波数で共振させ、周波数特性を低域へ伸ばしているはずです。
あとで写真がありますが、この130mmウーファは専用設計でしょう。高音域カットの目的で硬質発泡ウレタンの音響的な高域フィルタが付いていました。 極低音域以外を再生する必要はないので箱内部の定在波もそれほど問題にはならないようです。吸音材(粗毛フェルト)は片面に少量貼ってあるだけでした。 写真下方に見えるバスレフのダクトはかなり長く丈夫な厚手の紙筒(紙管)でできています。
パワー・アンプは電源トランスと一緒に背面の蓋に取り付けられています。 アンプ部で変な共振が起こらぬよう配線はよく固定してあるようです。 修理後の話になりますが、発振器で低域をスイープすると何かがすこし振動してビビる感じがあるので、さらに徹底した固定とデッドニングが必要かもしれません。(実用上は支障を感じませんが)
【動電型スピーカの構造図】
このあと、スピーカ・ユニットを修理する話になります。
動電型スピーカ(PM型ダイナミック・スピーカ)の構造と各部の名称がわからないと話が見えないでしょう。 断面図と各部の名称を示しておきました。 よくご存知の貴方のようなお方は見る必要はありません。
昔のオーディオ・マニアは、こうしたスピーカ・ユニットを購入し、厚手のベニヤ板などを加工して箱(エンクロージャ、スピーカ・ボックス)を作り、スピーカ・システムを自作したものです。 なお「スピーカ・システム」とは、低音域用スピーカ・ユニットのウーファ、中音域用のスコーカ、高音域用のツゥイータと分波用フィルタ・ネットワークを「エンクロージャ:箱」に内蔵したものを言います。
図のような「スピーカ・ユニット」も多数売られていました。 パイオニアやオンキョーと言ったオーディオ・メーカーはもともとスピーカ・ユニットのメーカーだったように記憶します。
今でもフォステクスのようなスピーカ・ユニット専業もありますが、昔は様々なメーカーがユニットを供給していたのです。 三菱電機や松下電器のような大メーカーのスピーカ・ユニットにも銘品があったのを思い出します。
ちかごろスピーカ・ユニットからオーディオ・システムを構築するような本格マニアはめっきり見かけなくなりましたね。
【エッジがボロボロだ!】
念のため、箱を開ける前に音出しをしてみたのです。 お店の言うことはウソじゃなくってホントに音がビビりました。まったく使い物になりませんね。 大音量の雑音発生機。w
スピーカ・ユニットを交換するにも、とりあえず元のユニットは外す必要があります。
外して観察したのがこの写真です。 一つ上の説明図で言うところの「エッジ」がボロボロに崩壊していました。 試しに裸のユニットのまま別のパワー・アンプでドライブしてみたら、ボイスコイルの動きは正常なようです。
異音(ビビリ音)の原因は中途半端に残ったエッジ部分のためコーンが不均等で異常な振動になるからのようです。要するにエッジの崩壊がビビリ音発生の原因であってエッジ貼替えさえしてやれば修理可能そうに思えました。
いまは便利な時代です。さっそくネットで調べてみました。 結論を言うと、1990年代〜2000年代の始めころ製造されたスピーカ・システムには、スピーカ・ユニットのエッジ部分が劣化・崩壊しているものが多数・・・むしろ無事なものは少数・・・であり、ユニット交換またはエッジの貼替えがスピーカ修理の定番になっているようです。
ユニット交換はけっこう費用がかかります。従ってジャンクの再生にはエッジの貼替えが経済的でマッチするでしょう。 しかし20年くらい前に調べた時にはそうそう都合の良い「修理用スピーカ・エッジ」など売られてはいませんでした。 鹿皮は高級な方法で、ほかにセーム革や布などを加工して代用品にする修理が殆どだった記憶があります。
ところが、例のYoutubeを見ていたら、中華製のスピーカ・エッジが売られていて、それを使って修理するのだそうです。 そんなに都合の良い代替エッジがあるのか半信半疑でしたがAmazonを見て納得でした。各種サイズが安価に売っているんです。(!) この件はあとでもう少し詳しい話があります。
【古いエッジの除去から】
貼り替えるにしても、劣化した古いエッジを取り除かねばなりません。 まずは準備として古いエッジの除去と清掃から始めることにしました。
スピーカによって劣化の仕方には違いがあると思います。このスピーカの場合、劣化した古いエッジは本当にボロボロで触ったら簡単に崩れるグズグズの状態です。コーン紙(振動板)に残る部分には、おそらくゴム系と思われる接着剤が残っており、写真のようにピンセットで摘むと容易に剥がすことができました。
多少コーン紙も剥がれてきますが、その部分は貼り替えるエッジで補われるでしょう。おそらく支障はないはず。 丁寧に剥がして接着に備えます。この部分のお掃除は思ったよりも簡単にできました。
写真でコーン紙の中央に貼ってあるグレーの発泡ウレタン(意外に硬い)は、機械的な音響フィルタだと思います。 コーン紙から高音域の輻射は必要ないのでカットするように作ってあるのでしょうね。 妙な中〜高音域のレスポンスがあると、分割振動や高調波による異音を発する可能性が生じます。 従ってスピーカ・ユニット側で対策しておく方が有利と思われます。スピーカ屋の常識なのかも知れませんが、このあたりに老舗の音響機器メーカ:TEACの製品らしさが感じられました。
【ガスケットを剥がす】
コーン紙とは反対側のエッジ部分はガスケットとフレームに挟まれて接着されています。 貼り替えるためにはその部分に残っている古いエッジを取り除かねばなりません。
ガスケットにはスピーカを取り付けたとき箱内側と外側とを隙間なく密閉する役割があります。結構重要な部分であり、隙間があると音響特性に影響が及びます。
ガスケットは紙を円筒状に巻いたものを輪切りにして作っているようです。 厚紙をプレスで抜いて作っていると思ってました。 もしその方法だと真ん中の部分が無駄になり合理的ではありませんね。厚紙で作った円筒の輪切りが合理的ですよね。剥がしていて妙に納得しました。w
ガスケットはフレームの取り付け穴の部分(写真参照)から剥がして行くと容易でした。再利用しますから、なるべく元の円形を変形させぬよう丁寧に剥がして行きます。
ガスケット側あるいはフレーム側に古いエッジが残りますので、カッター・ナイフやスクレイパーのような道具で残ったエッジと古い接着剤をなるべく丁寧に除去しておきます。
【一つ30分くらい?】
丁寧にと言いつつも少々雑な作業になってしまいました。 一つ目のお掃除には40分くらい掛かりました。
要領がわかってきた二つ目はもっと早くて20〜25分くらいでしょうか。 フレーム側の接着剤除去が少々雑になりましたが、新しく接着するときの妨げにならなければ支障ありません。 それに見えなくなってしまう部分です。 気分の問題もありますがほどほどに済ませることにしました。
残っていた古いエッジの風化度合いは相当のものでしたね。 殆ど粉状に崩れてしまいます。 確かに30年も前の製品ですから致し方ないとは思いますが、スピーカのエッジ部分がこれほど経年で劣化するとは思ってもいませんでした。 環境にもよるでしょうが、ネットの情報なども総合すると年数が経ったらどうやらダメになるのが普通らしいです。
新しいエッジの貼付けは大変だろうと思っていたのですが、後から考えたら、むしろ大変だったのは古いエッジのお掃除の方でした。(笑)
【Amazonで交換用エッジを発注】
Amazon.co.jp以外でも売られているようです。 どうせ中国から発送されるので、Aliexpressで探しても良いのかもしれません。 ここではAmazonで買いました。
写真のように交換用のエッジの寸法が詳しく載っていました。これなら自分が必要としているパーツがどれなのか簡単にわかります。 おそらく80〜200mmくらいのスピーカ・ユニットは大変ポピュラーなので、こうしたスピーカ用の部材を専業で供給する会社があるのでしょう。日本でも昔はこういう工場がたくさんあったのだろうと思います。しかし一般人がエッジ部分を必要な少量だけ購入することなどできなかったでしょうね。
いまは電子機器の製造が中国を含む海外へ移転し、彼らの商魂のたくましさか、売れるものならパーツでもなんでも供給すると言う姿勢のおかげで簡単に手に入るわけです。 これはなかなか有り難いですね。 スピーカの例で言えば、こうした部品のお陰で修理して蘇るスピーカ・システムもたくさんあることでしょう。
古いエッジの撤去と接着剤の除去も行ない、清掃を済ませておきました。 あとは交換用のエッジが届くのを待つばかりです。
☆
【内蔵パワー・アンプの話】
公称60Wのパワー・アンプは旧・三洋電機製のハイブリッドIC:STK4036Xが使われています。
図はICの仕様書からコピーしたものです。 同社のハイブリッドICはシリコン単体で作られたモノリシックICとは異なったもので、ディスクリート構成の回路と同等のものです。 従って歪み特性など非常に優れた性能が得られており、音響的にも優れていることから多くのメーカー製オーディオ機器で使われています。
ディスクリート回路と同じように各トランジスタは個々の回路部分に最適な特性のものが選べますから回路構成上とても有利です。 各抵抗器は厚膜印刷されたのちトリミングされており製品の均質性を保っています。 従って、ディスクリートなアンプ回路を礼賛されるようなお方にもお勧めできると思っています。 なんでそんなに詳しいのかって? それは、・・・
モノリシックIC全盛の現在ではありますが、こうしたハイブリッドICはそれを超えた価値があると思っています。
SW-P100の回路をリバースエンジニアリングした訳ではありませんが、概ね推奨回路と同じような回路で使っているようです。 安全性を考えてDCアンプにはなっていませんが、OCL回路で十分低域まで周波数特性は伸びています。 サブ・ウーファの駆動用としては十分な性能のアンプでしょう。
【アンプ内蔵は有利だ】
内蔵アンプと電源トランスです。 パワー・アンプ用のハイブリッドICは右側放熱用アルミ板に付いています。 スピーカ・ユニットまでの配線が非常に短いためパワーアンプ内蔵のスピーカはとても有利です。 アンプの低い内部抵抗と相まってボイス・コイルの制動がよく効くため締まった感じの音になります。
アンプ基板にはクロスオーバー・フィルタも載っています。 趣旨から言えば、フィルタ出力をメインのアンプ系に戻すのが本来でしょう。 しかし実用上はその必要は感じませんでした。 これは私が使っているスピーカ・システムは低域まであまり周波数特性が伸びていないためです。
また交叉周波数を70Hzと低い方に選んでいる為でしょう。 従って、AVアンプからのサブ・ウーファの駆動用出力信号をこのサブ・ウーファ・システムのローレベル入力に接続すれば済むことになります。
もしも本格的な管球マニアで球のパワー・アンプをサブ・ウーファにも使いたいのでしたら、こうした内蔵アンプはパスしてしまい良質の・・・尚且つ十分なパワーを持った・・・管球式のモノラル・パワーアンプを使うのも良いでしょう。 やはり一味違うシステムになるように思います。 たぶん、それは叶わぬ望みであって、狭いシャックのBGMシステムには恐らく適用外です。(笑)
☆
ところで、交換用スピーカ・エッジですが発注してから納期に驚きました。 まあ、海外からですから3週間くらいなら驚くほどでもないのかも知れませんが・・・。約20日との納期連絡がありました。 実際にもほぼその納期で到着しました。もっと早い配達の業者もあるようなので選ぶときには確認しておくと良いです。
・・・と言うことで、交換用エッジが届くまでしばし作業はペンディングになります。
オーディオではあっても真空管の話はどこかへ行ってしまいました。 たまたま別件で訪れたリサイクル・ショップで最悪「箱代」と思って購入したサブ・ウーファをお題に致しました。 大して役に立つことは書いてありませんので暇つぶし程度の雑談だったと思います。 怪しいモノに手を出すと厄介なことになると言う教訓もありますが、様々な情報や物流の発達で昔では考えられなかったような遊び方もできる面白い時代になっていると感じた次第です。 次回は続きのスピーカ修理と音出し編です。 ではまた。 de JA9TTT/1
(つづく)←リンクnm
INTRODUCTION
I believe my audio system lacks bass. So I bought a used sub-woofer at a recycle store. However, the sub-woofer was not in good condition. The built-in speaker unit had a broken edge on the speaker cone, which was causing a strange noise and rendering it unusable. The theme of this Blog is to try to replace the broken edge part. (2024.10.03 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【TEAC SW-P100】
写真はTEAC製のアクティブ・サブ・ウーファ:SW-P100です。1990年代の製品のようです。近所のリサイクルショップで¥1.1k-の値札が貼られていました。
見たところはマズマズだったのですが、残念なことに「問題あり」の故障品でした。 流石に¥1.1k-で完動品を望む方が無理かもしれませんけれど・・・。
今月のBlogはSW-P100の復活と3Dオーディオ・システムがテーマです。今回はそのパート・1です。
ー・・・ー
【低音が足りないのだ!】
BGM用と割り切って使っているAudio Systemですが、実はちょっと「低音」が物足りないのです。ええ、何故かはわかっています。
メインのスピーカはYAMAHA NS-05という小型スピーカ・システムです。NS-05はよくできたスピーカ・システムで、強い個性は感じないものの、その再生音は自然ですしボーカルが前に出てくる感じがあって結構気に入っているのです。しかし小型なためどうしても低域が物足りないと感じてきました。
やはりφ120mmのウーファ(低域側ユニット)とバスレフ構造では低域再生に限界があって然るべきでしょう。
十分な低域再生には大きなスピーカ・ユニットを使った大型スピーカ・システムが必要なことはわかっています。しかし狭いシャック(無線室)に無理やり間借りしているようなBGM用オーディオ・システムでは望むべくもありません。少々低音が物足りないのは承知で我慢していたと言ってよいでしょう。
その一つの解決策としてサブ・ウーファを追加した3Dシステムの導入があります。 前々から構想していたのですが、追加のサブ・ウーファ(極低域用スピーカ)は意外に大型で邪魔くさい存在に見えたのです。 何回かリサイクル・ショップで見かけたのですがそれを部屋に持ち込むことは考えにくい大きさと形状でした。 ただ、もう少しセッティングし易い合理的なサブ・ウーファもあったように思うので、よい出物でもあったら・・・と思っていたのです。
☆
このBlogではリサイクル・ショップで見つけたジャンクな「アクティブ・サブ・ウーファ」を使えるように整備するのがテーマです。また今ではすっかり忘れ去られた感のある「3Dオーディオ・システム」についても触れたいと思っています。
立派なお部屋と大型の音響再生シルテムをお持ちのお方にはまったく関係のないテーマです。 費用を掛けず手軽に遊ぶためリサイクル・ショップや中華通販を利用しています。 何かの役に立つほどの内容はありませんから、時間のないお方がご覧になるのはお薦めいたしません。貧乏人が暇つぶしにジャンク品で楽しんだと言った内容です。
【SW-P100とは】
全体の外観は最初の写真のようなものです。
幅165mm、高さ500mm、そして奥行き412.5mmです。見ての通り縦長・幅狭な形状で奥行きは結構あります。重量も見た感じよりもあって12kgです。元の定価は¥40k-のようでした。
もちろん極低域再生のためのユニットですから、軽量・小型では製品として実現は困難でしょう。私が思うに「サブ・ウーファのくせに意外に小型だなぁ」という印象でした。
「低域再生=大型化」の図式がわかってない一般の人に買ってもらう為には「性能を犠牲にせずに小型化」も重要な開発テーマだったでしょう。 1990年代ともなるとずいぶん前にオーディオ・ブームは去っていました。 そのかわり大型TVをメインとしたAV機器が家庭に浸透しはじめた時期です。そんなAVシステムに付加する目的で開発された製品ではないでしょうか。
どんな場所で使われていたのかはわかりませんが、上部に製品のPR用と思われるシールが貼ってありました。 それもあってリサイクル・ショップで目に止まったのでした。 縦長で幅狭な形状ゆえ私が考えている設置場所にマッチするように思えました。
お値段は手頃ですが「音がビビる」という注意書きが貼ってありました。 要するに完動品ではなくて「ジャンク」の扱いでしょう。 陳列棚から引っ張り出して全体をざっと観察したら、見た様子では単純な構造であり万一使ってある内部のスピーカ・ユニットがNGでも代替品で補修も可能そうに思えました。作りがしっかりしているので最悪ハコ代でもと思ったのです。
写真は正面下部にある操作部とサランネットに覆われた音道の出口です。 このSW-P100は低域フィルタ(LPF)とパワー・アンプを内臓しています。 そのためアンプの電源スイッチがあって、さらにメインのスピーカと音量を合わせるためのボリウムが付いています。 なお、音の出口は写真のサランネットの部分だけなので設置は容易そうです。もちろん極低音では「箱全体が鳴る」と言うのもあるでしょう。(ごく低音域では方向感が殆どなくなるため設置場所にはかなりの自由度があります)
背面の写真は省きますが幾つかの切り替えスイッチがあります。一つはクロスオーバー周波数のスイッチで、このウーファの再生上限周波数:fc=140Hzあるいは70Hzに切り替えが可能です。
ごく小型のスピーカ・システムあるいは一般的なTV受像機などでは低域再生の限界は高くて、140Hzくらいに選ばないと中抜けになるのでしょう。 私のシステムの公称低域カットオフは60Hzですから70Hzで旨く繋がるでしょう。 他に位相切り替えスイッチが付いていて、これは設置時に確認する必要があって重要な機能です。
サブ・ウーファは現用のシステムに追加する形で導入するものです。接続方法として、プリ・アンプから左右の信号をもらうLow-Level入力と、パワー・アンプとスピーカの間に入れ、そこから低音域をピックアップする方法が選べます。 私の場合、AVアンプ:Pioneer VSA-55にローレベルのSub Woofer Outputがあるのでそこへ接続するつもりです。
SW-P100は専用のパワー・アンプ(max60W)を内臓しています。 のちほど資料を示しますがSANYOのハイブリッド型パワー・アンプICを使った2電源式のOCL型アンプが使われています。従って必要十分な低音域まで周波数特性は伸びています。
【130mmウーファが二つ】
SW-P100は直径φ130mmのコーン型スピーカユニット2個を内蔵します。スピーカは2個並列で十分大入力に耐えられるようになっています。 内蔵パワー・アンプも本当に50Wくらいなら出そうですから!
また2個並列なのはφ130mmでは低域用スピーカとしてコーン紙の面積が不足するためで、並列で2倍の面積と等価になるよう考えてあるのでしょう。さらにロング・ストローク型スピーカになっており面積不足を振幅の方で補う設計のようです。要するに小径のユニットでも設計次第で低域は伸びます。
箱の音響的な構造はバスレフ型でありスピーカのフロント側にあるダクト(音道)を強力にドライブします。公称の低域カットオフ周波数は35Hzであり、ダクトはそれに合わせてごく低い周波数で共振させ、周波数特性を低域へ伸ばしているはずです。
あとで写真がありますが、この130mmウーファは専用設計でしょう。高音域カットの目的で硬質発泡ウレタンの音響的な高域フィルタが付いていました。 極低音域以外を再生する必要はないので箱内部の定在波もそれほど問題にはならないようです。吸音材(粗毛フェルト)は片面に少量貼ってあるだけでした。 写真下方に見えるバスレフのダクトはかなり長く丈夫な厚手の紙筒(紙管)でできています。
パワー・アンプは電源トランスと一緒に背面の蓋に取り付けられています。 アンプ部で変な共振が起こらぬよう配線はよく固定してあるようです。 修理後の話になりますが、発振器で低域をスイープすると何かがすこし振動してビビる感じがあるので、さらに徹底した固定とデッドニングが必要かもしれません。(実用上は支障を感じませんが)
【動電型スピーカの構造図】
このあと、スピーカ・ユニットを修理する話になります。
動電型スピーカ(PM型ダイナミック・スピーカ)の構造と各部の名称がわからないと話が見えないでしょう。 断面図と各部の名称を示しておきました。 よくご存知の貴方のようなお方は見る必要はありません。
昔のオーディオ・マニアは、こうしたスピーカ・ユニットを購入し、厚手のベニヤ板などを加工して箱(エンクロージャ、スピーカ・ボックス)を作り、スピーカ・システムを自作したものです。 なお「スピーカ・システム」とは、低音域用スピーカ・ユニットのウーファ、中音域用のスコーカ、高音域用のツゥイータと分波用フィルタ・ネットワークを「エンクロージャ:箱」に内蔵したものを言います。
図のような「スピーカ・ユニット」も多数売られていました。 パイオニアやオンキョーと言ったオーディオ・メーカーはもともとスピーカ・ユニットのメーカーだったように記憶します。
今でもフォステクスのようなスピーカ・ユニット専業もありますが、昔は様々なメーカーがユニットを供給していたのです。 三菱電機や松下電器のような大メーカーのスピーカ・ユニットにも銘品があったのを思い出します。
ちかごろスピーカ・ユニットからオーディオ・システムを構築するような本格マニアはめっきり見かけなくなりましたね。
【エッジがボロボロだ!】
念のため、箱を開ける前に音出しをしてみたのです。 お店の言うことはウソじゃなくってホントに音がビビりました。まったく使い物になりませんね。 大音量の雑音発生機。w
スピーカ・ユニットを交換するにも、とりあえず元のユニットは外す必要があります。
外して観察したのがこの写真です。 一つ上の説明図で言うところの「エッジ」がボロボロに崩壊していました。 試しに裸のユニットのまま別のパワー・アンプでドライブしてみたら、ボイスコイルの動きは正常なようです。
異音(ビビリ音)の原因は中途半端に残ったエッジ部分のためコーンが不均等で異常な振動になるからのようです。要するにエッジの崩壊がビビリ音発生の原因であってエッジ貼替えさえしてやれば修理可能そうに思えました。
いまは便利な時代です。さっそくネットで調べてみました。 結論を言うと、1990年代〜2000年代の始めころ製造されたスピーカ・システムには、スピーカ・ユニットのエッジ部分が劣化・崩壊しているものが多数・・・むしろ無事なものは少数・・・であり、ユニット交換またはエッジの貼替えがスピーカ修理の定番になっているようです。
ユニット交換はけっこう費用がかかります。従ってジャンクの再生にはエッジの貼替えが経済的でマッチするでしょう。 しかし20年くらい前に調べた時にはそうそう都合の良い「修理用スピーカ・エッジ」など売られてはいませんでした。 鹿皮は高級な方法で、ほかにセーム革や布などを加工して代用品にする修理が殆どだった記憶があります。
ところが、例のYoutubeを見ていたら、中華製のスピーカ・エッジが売られていて、それを使って修理するのだそうです。 そんなに都合の良い代替エッジがあるのか半信半疑でしたがAmazonを見て納得でした。各種サイズが安価に売っているんです。(!) この件はあとでもう少し詳しい話があります。
【古いエッジの除去から】
貼り替えるにしても、劣化した古いエッジを取り除かねばなりません。 まずは準備として古いエッジの除去と清掃から始めることにしました。
スピーカによって劣化の仕方には違いがあると思います。このスピーカの場合、劣化した古いエッジは本当にボロボロで触ったら簡単に崩れるグズグズの状態です。コーン紙(振動板)に残る部分には、おそらくゴム系と思われる接着剤が残っており、写真のようにピンセットで摘むと容易に剥がすことができました。
多少コーン紙も剥がれてきますが、その部分は貼り替えるエッジで補われるでしょう。おそらく支障はないはず。 丁寧に剥がして接着に備えます。この部分のお掃除は思ったよりも簡単にできました。
写真でコーン紙の中央に貼ってあるグレーの発泡ウレタン(意外に硬い)は、機械的な音響フィルタだと思います。 コーン紙から高音域の輻射は必要ないのでカットするように作ってあるのでしょうね。 妙な中〜高音域のレスポンスがあると、分割振動や高調波による異音を発する可能性が生じます。 従ってスピーカ・ユニット側で対策しておく方が有利と思われます。スピーカ屋の常識なのかも知れませんが、このあたりに老舗の音響機器メーカ:TEACの製品らしさが感じられました。
【ガスケットを剥がす】
コーン紙とは反対側のエッジ部分はガスケットとフレームに挟まれて接着されています。 貼り替えるためにはその部分に残っている古いエッジを取り除かねばなりません。
ガスケットにはスピーカを取り付けたとき箱内側と外側とを隙間なく密閉する役割があります。結構重要な部分であり、隙間があると音響特性に影響が及びます。
ガスケットは紙を円筒状に巻いたものを輪切りにして作っているようです。 厚紙をプレスで抜いて作っていると思ってました。 もしその方法だと真ん中の部分が無駄になり合理的ではありませんね。厚紙で作った円筒の輪切りが合理的ですよね。剥がしていて妙に納得しました。w
ガスケットはフレームの取り付け穴の部分(写真参照)から剥がして行くと容易でした。再利用しますから、なるべく元の円形を変形させぬよう丁寧に剥がして行きます。
ガスケット側あるいはフレーム側に古いエッジが残りますので、カッター・ナイフやスクレイパーのような道具で残ったエッジと古い接着剤をなるべく丁寧に除去しておきます。
【一つ30分くらい?】
丁寧にと言いつつも少々雑な作業になってしまいました。 一つ目のお掃除には40分くらい掛かりました。
要領がわかってきた二つ目はもっと早くて20〜25分くらいでしょうか。 フレーム側の接着剤除去が少々雑になりましたが、新しく接着するときの妨げにならなければ支障ありません。 それに見えなくなってしまう部分です。 気分の問題もありますがほどほどに済ませることにしました。
残っていた古いエッジの風化度合いは相当のものでしたね。 殆ど粉状に崩れてしまいます。 確かに30年も前の製品ですから致し方ないとは思いますが、スピーカのエッジ部分がこれほど経年で劣化するとは思ってもいませんでした。 環境にもよるでしょうが、ネットの情報なども総合すると年数が経ったらどうやらダメになるのが普通らしいです。
新しいエッジの貼付けは大変だろうと思っていたのですが、後から考えたら、むしろ大変だったのは古いエッジのお掃除の方でした。(笑)
【Amazonで交換用エッジを発注】
Amazon.co.jp以外でも売られているようです。 どうせ中国から発送されるので、Aliexpressで探しても良いのかもしれません。 ここではAmazonで買いました。
写真のように交換用のエッジの寸法が詳しく載っていました。これなら自分が必要としているパーツがどれなのか簡単にわかります。 おそらく80〜200mmくらいのスピーカ・ユニットは大変ポピュラーなので、こうしたスピーカ用の部材を専業で供給する会社があるのでしょう。日本でも昔はこういう工場がたくさんあったのだろうと思います。しかし一般人がエッジ部分を必要な少量だけ購入することなどできなかったでしょうね。
いまは電子機器の製造が中国を含む海外へ移転し、彼らの商魂のたくましさか、売れるものならパーツでもなんでも供給すると言う姿勢のおかげで簡単に手に入るわけです。 これはなかなか有り難いですね。 スピーカの例で言えば、こうした部品のお陰で修理して蘇るスピーカ・システムもたくさんあることでしょう。
古いエッジの撤去と接着剤の除去も行ない、清掃を済ませておきました。 あとは交換用のエッジが届くのを待つばかりです。
☆
【内蔵パワー・アンプの話】
公称60Wのパワー・アンプは旧・三洋電機製のハイブリッドIC:STK4036Xが使われています。
図はICの仕様書からコピーしたものです。 同社のハイブリッドICはシリコン単体で作られたモノリシックICとは異なったもので、ディスクリート構成の回路と同等のものです。 従って歪み特性など非常に優れた性能が得られており、音響的にも優れていることから多くのメーカー製オーディオ機器で使われています。
ディスクリート回路と同じように各トランジスタは個々の回路部分に最適な特性のものが選べますから回路構成上とても有利です。 各抵抗器は厚膜印刷されたのちトリミングされており製品の均質性を保っています。 従って、ディスクリートなアンプ回路を礼賛されるようなお方にもお勧めできると思っています。 なんでそんなに詳しいのかって? それは、・・・
モノリシックIC全盛の現在ではありますが、こうしたハイブリッドICはそれを超えた価値があると思っています。
SW-P100の回路をリバースエンジニアリングした訳ではありませんが、概ね推奨回路と同じような回路で使っているようです。 安全性を考えてDCアンプにはなっていませんが、OCL回路で十分低域まで周波数特性は伸びています。 サブ・ウーファの駆動用としては十分な性能のアンプでしょう。
【アンプ内蔵は有利だ】
内蔵アンプと電源トランスです。 パワー・アンプ用のハイブリッドICは右側放熱用アルミ板に付いています。 スピーカ・ユニットまでの配線が非常に短いためパワーアンプ内蔵のスピーカはとても有利です。 アンプの低い内部抵抗と相まってボイス・コイルの制動がよく効くため締まった感じの音になります。
アンプ基板にはクロスオーバー・フィルタも載っています。 趣旨から言えば、フィルタ出力をメインのアンプ系に戻すのが本来でしょう。 しかし実用上はその必要は感じませんでした。 これは私が使っているスピーカ・システムは低域まであまり周波数特性が伸びていないためです。
また交叉周波数を70Hzと低い方に選んでいる為でしょう。 従って、AVアンプからのサブ・ウーファの駆動用出力信号をこのサブ・ウーファ・システムのローレベル入力に接続すれば済むことになります。
もしも本格的な管球マニアで球のパワー・アンプをサブ・ウーファにも使いたいのでしたら、こうした内蔵アンプはパスしてしまい良質の・・・尚且つ十分なパワーを持った・・・管球式のモノラル・パワーアンプを使うのも良いでしょう。 やはり一味違うシステムになるように思います。 たぶん、それは叶わぬ望みであって、狭いシャックのBGMシステムには恐らく適用外です。(笑)
☆
ところで、交換用スピーカ・エッジですが発注してから納期に驚きました。 まあ、海外からですから3週間くらいなら驚くほどでもないのかも知れませんが・・・。約20日との納期連絡がありました。 実際にもほぼその納期で到着しました。もっと早い配達の業者もあるようなので選ぶときには確認しておくと良いです。
・・・と言うことで、交換用エッジが届くまでしばし作業はペンディングになります。
オーディオではあっても真空管の話はどこかへ行ってしまいました。 たまたま別件で訪れたリサイクル・ショップで最悪「箱代」と思って購入したサブ・ウーファをお題に致しました。 大して役に立つことは書いてありませんので暇つぶし程度の雑談だったと思います。 怪しいモノに手を出すと厄介なことになると言う教訓もありますが、様々な情報や物流の発達で昔では考えられなかったような遊び方もできる面白い時代になっていると感じた次第です。 次回は続きのスピーカ修理と音出し編です。 ではまた。 de JA9TTT/1
(つづく)←リンクnm