【リレーボックスを作る】(Rigとリニヤの仲介者)
Introduction
Is it possible to combine a modern amateur radio transceiver with an old valve-based linear amplifier? Whilst this is probably possible, connecting them directly and controlling them in this way may not be safe. I have examined the circuitry of the valve-based linear amplifier. As a result, I have built a device called a ‘relay box’ to enable the two to be used together safely. With this, you should be able to use your modern amateur radio transceiver with the valve-based linear amplifier with complete peace of mind. hi hi(2026.08.28 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【簡単な製作で安心感アップ】
シンプルな回路ですが、シャックにあったら安心なアダプタを製作します。
写真はいまではごくありきたりの半導体を使ったHAM用トランシーバで真空管式のリニヤアンプを制御するためのアダプタです。これでトランシーバのスタンバイ・リレーを傷めることなく安心して送受信のコントロールができます。
経緯は後ほど書きますが、ひょんなことから、メーカー製・真空管式リニヤアンプのスタンバイ回路(送受制御回路)はどうなっているのか調べる機会がありました。 知ってる人には常識かもしれませんが私にはちょっと新鮮なテーマだったのです。
結果から言ってしまうと、最近のトランシーバと直結するのはまずいということのようです。 安全に使うためには「リレーボックス」のようなアダプタを介する必要があります。
以下、なるべく詳しく扱いますのでハードウエア工作(電子回路の工作)に馴染みのないお方でも製作いただけるだろうと思っています。
このBlogは電子回路やその製作に馴染んだ者の視点で書かれています。 執筆者(私・笑)には当たり前のように思えて案外気づかぬ部分はあるものです。 もし何か疑問なところがあったらご質問ください。コメント欄に書くのはちょっと気がかりでしたらメールでどうぞ。
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回路や部品について大変よくおわかりの貴方には在り来たりでつまらない製作です。 しかし、オペレーション主体のHAM局で、まさにいま「ソレ」を必要としているならかなり実用的でしょう。シンプルで効果的、そんな製作です。
【TL-922とIC7300の組み合わせは?】
『IC7300を買ったんだが、TL-922を繋ぐのはちょっとうまくないみたいだね』・・・という会話が切っ掛けでした。
わたしもIC7300は持っていますが、もっぱら移動運用専門に使っています。リニヤアンプをつなごうなどと思ったことはありませんでした。 まして真空管式の機械なんて移動運用にはまったく向きません。(注:移動局は空中線電力50Wまで)
知り合いのOMさんのお話に触発されて調べてみたようなわけです。
IC7300の取説を見ますと、外部機器・・・例えばリニヤアンプとか・・・を制御するためのスタンバイ端子の定格は、耐圧DC16Vで、最大電流200mAとなっています。 電流は案外流せますが、耐圧が16Vとはずいぶん低いのです。
TL-922の取説をKenwoodのサイトからダウンロードしてスタンバイ方法を調べてみました。 それによると、電圧は100Vで電流は40mAとなっています。(左図) 電流はともかくとして、電圧はずいぶん高いですねえ! (100Vと言うのは
トランシーバ側の接点がオープンになったとき・・・受信状態のときスタンバイ端子に現れる電圧です)
IC7300の取説には回路図がないので、どんな接点(リレーでしょうかねえ?)なのかわかりません。 機械式のリレーではなくて、半導体式の接点だとうまくありませんが、機械式リレーの接点だとすればたぶん直結でも動作はすると思われます。しかし仕様の範囲をオーバーなのは確実!(どうやら半導体スイッチらしい・・・)
直結でもしばらくは耐えられるかもしれませんが、定格オーバーですし、内部のリレー接点が溶着でもしたら修理は厄介そうです。メーカーに出せばそれなりの修理費用はかかるでしょうねえ。 要するにTL-922とIC7300の相性はあまりよくありません。(笑)
注意!:責任を持てませんので「直結」を試みるのはおやめください!
【TL-922の回路研究】
TL-922のスタンバイ回路がなぜ100Vもの電圧を制御する必要があるのか、疑問があったので調べてみました。それにプラスの電圧というのも不思議に感じます。
回路を見ますと、制御用リレーの電源と、受信状態(スタンバイ状態)のとき終段管(3-500Z×2)をカットオフするためのバイアス電源を兼ねているのですね!
無線機側(トランシーバ側)の送受リレーがオフになると、3-500Zのフィラメント回路(GNDから浮いています)にこの+100Vが掛かるようになっています。3-500Zのグリッドは概ねGND電位ですから、相対的に-100Vのカットオフ・バイアスが掛かるのと等価です。球の動作は止まって安全にスタンバイ状態が保てるわけです。なるほど・・・
わたしはてっきり12Vとか、制御しやすい低圧電源を作ってリレーの制御に使っているのだろうと思ってました。 まさかカットオフ・バイアス用の電源とリレー電源を兼ねているとは思いもしませんでした。 まあ、合理的といえばその通りですが、真空管式リグの時代ならともかく、いまどきの半導体式リグにはマッチしていませんね。
【Collins 30-L1の回路研究】
他の管球式リニヤ・アンプはどうなっているのか興味を覚えました。 ネットでCollins の30L-1の回路図を見つけました。
このリニヤは811Aという古臭い三極管を使っています。 回路を見ますと、なんと-170Vという負の高い電圧がスタンバイ端子に出てくるようです。 バイアスはフィラメントに掛けるのではなく、グリッドにマイナス電圧が直接掛かる設計です。 このようにマイナスの高電圧なのですから、IC7300との直結など論外なわけです。
このリニヤでも811A×4のカットオフ・バイアス電源とリレー駆動用の電源は兼用になっています。 30-L1は真空管式のトランシーバ:KWM-2やSライン時代のリニヤですからそれで問題はなく、極めて合理的な設計と言ってよかったのでしょう。
TL-922のリレー制御回路が意外に高電圧なのはこうした昔のリニヤ・アンプの設計を踏襲していたのかもしれませんね。電圧は高くても良いという考え方です。 面白い勉強になりました。
【Relay-Boxを考える・その回路図】
なるほど・・・最近の半導体式リグで昔の真空管リニヤ・アンプの制御は厄介なのですね。
それならば、外部リレーボックスを作ってやり、十分な接点の容量を持ったリレーを介して制御すれば問題解決です。 これで高い電圧や極性を気にすることなく安全にリニヤ・アンプの制御が可能になります。(注:初版回路図Ver.1.0.0に誤配線がありました。Ver.1.0.1は修正版です)
追加のリレーが入ると送受の切り替えに遅延が加わります。 そのためQSKなオンジエア・・・フル・ブレークインとかAMTORの運用では問題になるかもしれません。
そもそも真空管式のリニヤはQSKなオンジエアには向いていません。
もし使いたいなら半導体を使った高速TRスイッチに交換し、各部の時定数を短くせねばなりません。普通のリニヤはそんなふうにはなっていません。(昔のHAM Journal誌にそうした試みの記事を見たことがあります。JA1DI山口OMだったかな? 何号か忘れた)
→ (調べました:HJ誌 No.56 pp53〜pp58 リニアアンプに用いたダイオードスイッチ)
しかし、セミ・ブレークインでCWの運用とかPTTでSSBの運用なら支障はないでしょう。 このリレーボックスでの遅延はせいぜい10msくらいでしょうから、たぶんFT-8等のデジタルモードでも大丈夫なはず。(ここで使っているリレーの定格は10ms以内、実力値は4msだそうです・結構早い:ms = ミリ秒 = 1/1000秒のこと)
図のようなごく簡単なリレーボックスで十分行けます。 追加のリレーを駆動するための電源にはDC12Vが得られる小さなACアダプタを使いました。 IC7300のようなリグは12Vで動作していますのでそこからもらっても大丈夫です。 ここではリグの電源系と独立させてスッキリした配線で使えるようACアダプタを使うことにしました。その方が無線機の電源系配線が混乱しません。
リレーボックス用の電源が供給されるとLEDが薄く点灯します。トランシーバが送信状態になるとLEDが明るく点灯するので動作状態のモニタができます。
使用した各部品については以下詳しく説明があります。
【リレーボックスの部品(1)】
リニヤ・アンプ側の電圧が高いので、このリレーボックスのリレー接点を保護する目的でスナバー回路というものが入れてあります。
大きなコンデンサと抵抗器は安全サイドの設計です。 従ってリニヤアンプだけでなく、他の外部機器の制御にも使えます。
モニタ用のLED回路が付けてあります。 リレーボックスに正常に電源が供給されているのか、LED(発光ダイオード)の点灯でわかるようにしてあります。 またトランシーバ(IC-7300,etc)との接続が正しければ送信時にLEDが明るくなります。
このような工夫は機能実現の意味において本質的には不要なものですが、後から追加するようなアダプタの場合、接続が正しいか、動作は正常か、一目でわかるようにしておくことは大変大きな意味があります。まあ、使ってみたらわかりますね。
ここでは青色を使いましたが、LED:D2は何色でも可です。 お好みや手持ちがあればそれ活用してください。
抵抗器:R1はやや大きなものを使っています。酸化金属被膜型の100Ω、3Wです。
抵抗器:R2、R3ですが、手持ちの都合で写真では金属被膜型を使っていますがカーボン型の1/4Wで十分です。3.3kΩと9.1kΩです。
コンデンサ:C1はフィルム型で0.1μF、耐圧AC250Vです。セラミック型でも可です。十分な耐圧があるものを使います。写真のものは安全規格品です。
DC12V電源アダプタを接続するコネクタ、CN3は使用するACアダプタに合わせてください。秋月で売っていた2.1mm標準ジャック・MJ-14を使いました。
リレー:K1はオムロンのG6B-2114P-US-U型(12V用)を使います。端子接続については、のちほど詳しい写真があります。
そのほか、回路を収納するためのケースが必要でしょう。100均のおかず容器など何でも良いので適当なものを用意します。
【リレーボックスの部品(2)】
上記の写真で撮り忘れたものを追加します。
写真上側のダイオードは、リレー:K1のコイルと並列に入るD1です。
写真下側の1S1588など、小信号用ダイオードを使う人もいますが暫くすると壊れることがあります。耐久力の大きな上側のような電源整流用ダイオードがオススメです。写真のものは1N4007ですが、1N4001〜1N4007のどれでも良いです。
写真・下は接続に使うRCAプラグ付のケーブルです。 適当な長さのものを調達します。オーディオ用の標準的なパーツです。 手持ちを使いましたが、リサイクル・ショップなら100円以下で手に入るのではないでしょうか?
両端についているコネクタはRCA型というものです。 そもそも弱電用であり、耐圧があるとも思えませんが昔から使われてきました。 実力的には250Vくらいなら支障はないのでしょう。 アマチュア用機器ですのでコストダウンしているのだと思います。 これはCollinsのリニヤでもおなじです。
【リレーボックスの部品(3)】
リレーボックスって言うくらいですから、リレーはもっとも重要な部品です。OMRONのG6B-2114P-US-Uを使いました。
このリレーは通販で入手可能です。まだ幾つか手持ちがあるので必要でしたら送料ご負担いただければ供給します。ご連絡を。
他社のリレーにも使えるものはたくさんあります。 写真のものは密閉型で接点が外気に触れぬため、耐環境性にすぐれたものです。また、駆動電流が小さくて高感度です。有極型リレーの一種ですので、コイル駆動電源の極性には十分注意してください。
リレー:G6B-2114P-US-Uの定格(抜粋):
駆動コイル:DC12V 25mA
接点:AC250V/1.5A、DC30V 1.5A(誘導負荷)
これに限ったものではないので、手持ちがあれば規格を検討してください。 必要な耐電圧があり、十分な電流容量がある接点を持っているリレーならなんでも良いと思います。 リレーに限らず、他の部品にも別の物で代替できるものがありますので手持ちがあったら活用されてください。 作例も手持ちの部品を活用して作っています。
【リレーの中身を知る】
リレーはあまり使われない部品になりつつあります。 中身がよく見えるリレーで構造を説明します。
中身はブラックボックスのように感じるかもしれませんが、内部写真を見れば一目瞭然でしょう。
接点の形式など様々なリレーが存在しますが、基本は電磁石で接点を動かして開閉するスイッチです。 遠隔からリモートで接点を開閉するために使う電機部品です。 多くのメーカーがありますが、オムロンやPanasonic(旧・松下電工)などが有名です。
【実体配線写真・笑】
実体配線図を兼ねる製作例の写真です。
直流回路ですから配線は少々長くなっても支障ありません。 性能も違いませんので作りやすいように製作してOKです。
わたしはリレーや大きなコンデンサを両面粘着テープでケースに固定してしまい、あとは空中配線で組み立てました。 ユニバーサル基板に部品を搭載して配線を引き出す形式でも良いでしょう。
もちろん、オリジナルのプリント基板を製作して体裁よく纏めれば「売り物」にすることも可能です。 お好みのスタイルで製作されてください。 既製品があればハンダ付けが嫌いな(上手でない・笑)人に歓迎されるでしょう。
【IC7300のここにつなぐ】
トランシーバ、IC7300との接続方法です。
ケーブルの先端に赤いプラグがついた方をトランシーバのSEND(送信)端子に接続します。 写真では赤の点線で囲まれたコネクタがそれです。
もちろん、リレーボックスにはDC12Vを供給しておきます。 12Vが供給されるとLED(発光ダイオード)が薄く点灯するでしょう。
トランシーバ:IC7300が送信状態になるとリレーボックスのリレーが動作します。LEDは明るく点灯するはずです。 動作は正常です。
【TL-922はここへつなぐ】
TL-922は所有しておりません。ダウンロードしたメーカ取説の図に接続場所を示しておきます。
ALCアウトのコネクタと間違わぬように接続してください。 隣に並んでいて、同じ種類のコネクタなので接続できてしまいますので・・・。
TL-922はハイパワーです。そのためリレー制御系統の配線を伝わって、高周波がトランシーバに回り込む可能性があります。
その場合は、いわゆる「パッチン・コア」と称するフェライト・コアを無線機とリレーボックスをつなぐケーブルにかませて下さい。 高周波的には鈍感な回路ですから誤動作の恐れはまず無いと思います。 しかし、各局の設置環境にもよるので対策を要することがあります。
これで最近の半導体式リグで旧式な真空管式リニヤアンプを安全にコントロールすることができます。 TL-922とIC7300を例にして説明しましたが、他の組み合わせでも同じように使えます。 なお、トランシーバとリニヤアンプの接続コネクタは変更を要する場合があります。各局で工夫されますように。
☆
少し前のことになるのですが、ローバンド・アンテナの修理・調整が済んだのでテスト電波を出していました。 その声を聞きつけたのでしょう、知り合いのOMさんにコールしていただきました。 近況報告とか久しぶりにラグチューをしていたら、最近アイコムのIC7300を手に入れたと言う話題になりました。 私も移動運用専門に使っていますが、コンパクトでいいリグですよね・・・と言うお話で暫くラグって、ファイナルになりました。
その晩だったと思います。 電話があって「実は前から使っていたTL-922を繋ぎたいのだが・・・そのまま繋ぐのはうまくなさそう」とのお話。「へー、そうなんですか?」と言う会話になりました。 ハードにも造詣の深いOMですからリレーボックスの製作など「ぞうさもない」でしょう。 ですが、私でさえ既に結構な爺さんです。 OMさんはたしか・・・。 と言うことで、若かりしころジャンク部品は頂くは、シャックにお邪魔した挙句、食事まで・・・とか、並々ならぬお世話になったのです。 何かちょっと恩返しでもできたらFBですよね。 それでリレーボックスを引き受けました。 うまく使えてるそうです。 よかった〜(笑)
☆
何か軽い話題と思っていました。 最近のリグと真空管リニヤの組み合わせなんて、ニーズはめったにないでしょう。 このきっかけで、真空管リニヤアンプのスタンバイの仕組みを調べることになり、ちょっと面白いと感じたのでBlogにしました。 あまり役立つ人はいないとは思いますが、雑学とでも思ってご覧いただけたなら幸いです。
リニヤアンプを扱う話題は少々デリケートです。オーバーパワーを推奨する意図はありません。各局は自局ライセンスの範囲で適切に運用されますように。
次回はどんなテーマにしましょうか。もう一息つけるような軽い話題が良いと思っています。 ではまた。 de JA9TTT/1
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(おわり)fm












何でリレーなんだろうと考えこんでしまいました。『後から追加するようなアダプタの場合、接続が正しいか、動作は正常か、一目でわかるようにしておくこと』のためかな?手持ちのリレーを使いたかったのかしら、などと思いを巡らせました。
返信削除有極リレーは見たことがなく、これも不思議でした。永久磁石が使われているのかな、それとも逆起電力吸収用のダイオードが内蔵されているのかな、ダイオードを外付けしているから、きっと永久磁石だろう、なんて考えました。OMRONのカタログには何も書かれていないのは不親切だなあ、とも思いました。
『訂正済みの回路図』で思い出しました。回路図の作成には何というソフトをお使いでしょうか、差し支えなければお教えください。(鉛筆と消しゴムでは気力が続かないため)
すみません。何故リレーか、『高周波的には鈍感な回路』と書いてありましたね。きっと、これが一番の理由。自分で使うのでなければ、なおさらですね。
返信削除JF1BYK 清水さん、こんばんは。
返信削除早速のコメントありがとうございます。
> 何でリレーなんだろうと・・・
リレーは扱いが簡単だというのが理由です。 あと、電子的なスイッチと違い壊れにくいというのも有力な理由です。(ただし寿命があります)
> 永久磁石が使われているのかな・・・
その通りです。 永久磁石である程度引っ張っておき、動作速度を稼ぎ消費電流を下げるのが目的です。
回路図エディタはDesign Worksです。今更オススメはいたしません。
プリント基板作成と直結している図面エディタが良いのではないでしょうか?
清水さん、再度のコメありがとうございます。
返信削除> きっと、これが一番の理由。hi hi
高周波的には鈍感ですから、誤動作しにくいという理由もありますね。どんな環境で使われるのかわからない物は難しいです。hi hi