ページ(テスト中)

2008年7月16日水曜日

【部品】FT-241型水晶振動子

FT-241型:水晶振動子
 今の水晶振動子は気密封止になっており、中身を見るには破壊が前提になってしまう。

 写真は、FT-241型水晶振動子である。 右の水晶のように、底面にネジがあり、ベークライトのキャップがネジ止めされている。ペイント・ロックされてはいても、容易に開封することが可能だ。

 FT-241水晶など、もはや普通に入手することはできないと思うが、参考までに周波数の計算方法を書いておく。ケースが黒いベークライトで、表示されているチャネル番号が二桁の場合は、54逓倍された周波数が書いてある。 従って、水晶の発振周波数は表示周波数の1/54である。写真中央の23.3Mc水晶は、431.481kHzである。

 また、左のように茶色のベークライトで、チャネル番号が三桁のものは、72逓倍された周波数が書いてある。 従って、写真左の34.3Mcの水晶は、476.389kHzである。 何かの機会に入手された時は、計算してみたら面白いと思う。 使えるか否かはまた別の話だ。(笑)

FT-241型:水晶の内部
 肝心の中身である。

 FT-241型はCTカットの輪郭すべり振動だそうである。 いまの大半の水晶振動子はATカットで、厚みすべり振動である。 輪郭振動と言うことは、水晶片の四角形の辺の寸法で周波数が変わるのであろうか。 近似の周波数でも、この写真のように大きさはだいぶ違う。


FT-241型:水晶の内部・詳細
このあと、FT-243型水晶を扱う予定なので、FT-241型の構造を詳しく見ておいて欲しい。

水晶片の両面に電極(多分、銀であろう)をメッキし、中央部をロウ付けして引き出している。 ワイヤー・マウントと言う形式で、後世の振動子保持技術に繋がるものであろう。
こうした構造はBell電話研究所で開発し、製造はBellの子会社:Western Electricが行なったそうだ。 1941年から終戦の1945年夏までの累積生産数は1,000万個を越えていた。

 それまでの水晶振動子は水晶板を金属板で挟む構造になっていた。それに対して、メッキ電極は水晶板との隙間が無いので、振動などの影響を受けずたいへん安定である。 但し、水晶片を取り出して研磨するなどと言う芸当は簡単ではない。 FT-241型を「分解・研磨して周波数を変えた」と言うなら余程のウデを持っているか、たぶんFT-243の勘違いだろう。構造を見れば特徴的だから勘違いする可能性も少ないと思うのだが・・・。(笑)

10 件のコメント:

  1. へえ!
    FT243より古いタイプかと思ってましたが、HC-6U型などの今につながるタイプのご先祖ということになるのですね。

    HC-6Uのジャンクを買ってきて、発振しないので変だと思ったら中でカタカタと音がしてたことがありました。電極が外れていたのです。また勉強になりました。

    返信削除
  2. FT-241タイプの実物は見たことがありません。
    型番的にはFT-243よりも古く感じますが構造を見ると明らかに新しいですね。

    しかし3倍オーバートーンどころか54倍や72倍とは驚きです。
    今では400Khz台の水晶が入手しづらい事を考えると時代を感じます。

    この手の水晶が壊れると中にHC/6UやHC/18Uなどを組みこんで使ったりするそうですね。

    返信削除
  3. まだワイヤーから落ちてないで発振しますか
    さすが軍用の信頼性ですね。
    終戦までの累積生産数は1,000万個を越えていたとは
    まったく喧嘩の相手を最初から間違えていたわけです。

    返信削除
  4. JA8IRQ 福島さん、こんばんは。

    コメント有難うございます。
    > 今につながるタイプのご先祖ということに・・・
    組み立てに必要な部品数が少なく、生産性をアップすると言う目的もあったようですね。

    > カタカタと音がしてたことがありました。
    FT-241も振って音がするものはワイヤー外れで駄目です。(笑)

    返信削除
  5. JE6LVE 高橋さん、こんばんは。

    コメント有難うございます。
    > 構造を見ると明らかに新しいですね。
    VRC-5/BC-608シリーズと言う車載無線機用に開発したようです。 非常に沢山作る関係で、確実性のある構造を模索したのでしょうね。 FT-243のように、調子が悪い時は軽く机にあてて衝撃を与え・・・というような不確実な事は通用しないと考えたのでしょう。

    > 54倍や72倍とは驚きです。
    発振は、あくまでも基本波周波数で行ないます。 これを使った無線機はFMで、位相変調だった筈ですから十分な周波数変移(デビエーション)を得るためには、たくさん逓倍しないと駄目でした。 54逓倍の例では『水晶発振-位相変調-×3-×3-×3-×2-×1-ファイナル』と言うような回路構成なのでしょう。(笑)

    返信削除
  6. JA7LK 高橋さん、こんばんは。

    コメント有難うございます。
    > まだワイヤーから落ちてないで発振しますか・・・
    見たところでは、ワイヤー外れにはなっていないようです。 すこしテストを始めたのですが・・・。(笑)

    > 喧嘩の相手を最初から間違えていたわけです。
    そうですね。 日本とドイツは、開戦後2年くらいで、備蓄した水晶の原石が枯渇してしまったそうです。 人工水晶が作れる時代ではないので、水晶原石は完全な戦略物資でした。 米国は戦時中もブラジルから定期便で空輸して原石を確保して量産に対処したそうです。

    日本では気合いや精神で通信システムの欠陥をカバーすることばかり言われ、電子技術の発展はどうも軽視されたようですね。 相手も間違えましたが、自身が精神主義に陥ってしまったのも・・・。

    返信削除
  7. こんばんは。
    茶色の何chと黒の何chを組み合わせてフィルタを作るか、組み合わせの表があったような覚えがありますが、実際にFT-241をカラー画像で見るのは初めてです。 当時のCQ誌の記事はモノクロでしたので。

    返信削除
  8. 松下さん、こんばんは。

    コメント有難うございます。
    > 組み合わせの表があったような・・・
    SSB用には一つ飛ばした番号を使うので良かったと思います。 今ならたくさん入手できたら測定して選別もできるのですが・・・。(笑)

    > 当時のCQ誌の記事はモノクロでしたので。
    なるほど。 確かに雑誌の写真でカラーのものは見た記憶がありませんね。 じっくりご覧下さい。(笑)

    返信削除
  9. 初めてコメントさせて頂きます。FT241Aには万感胸に迫るモノがあります(笑)。戦後から朝鮮戦争頃の神田と、SSB黎明期を象徴する部品かと。

    FT241Aによるハーフラティスフィルターを使った送信機の作製に取り組んでいるところで、なんとかSSBが発生するところまでこぎ着けましたが。

    返信削除
  10. JH8SST/7 八柳さん、こんにちは。

    コメント有難うございます。
    > FT241Aには万感胸に迫るモノがあります・・・
    SSBの黎明期にはクリスタル集めに奔走されるフロンティア・スピリッツにあふれたHAMがおられましたね。 やがて国際のメカフィルが登場し、FT241の時代も終わったように感じます。

    > なんとかSSBが発生するところまで・・・・
    実験のご様子を拝見しました。 クリスタル単体で測定してみますと、バラツキや経年劣化がかなり酷いので、今の時代になって活用するのは困難が伴うと思ったしだい。 特性を出すには多大なご苦労があったことと思います。

    オンエアされ、製作のご苦労をわかって頂けるOMさんと巡り会えたら楽しいでしょうね。 これからもご活躍下さい。

    返信削除

コメントは実名/コールサインを記入し誰の投稿か明確にして下さい(←必須)投稿から14日をすぎたBlogへのコメントも大歓迎ですが頂いたコメントが表示されるまで少しお時間をいただきます。