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2009年3月30日月曜日

【HAM】Radio Counter

Radio Counter
 ラジオカウンタとはラジオ(受信機)が受信している周波数をデジタル表示する為のアダプタのことです。周波数カウンターの原理を使ったラジオや受信機用の付加装置です。「ラジオカウンタ」と言うのは和製英語でしょう。従って海外では通用しないと思います。

 写真はTRIO/Kenwood社の「通信型受信機」9R59D/DSに付加した例です。これで受信周波数は100Hzの桁まで直読できるようになります。 もちろん、ほかの受信機へも付加することができます。(シングル・スーパーヘテロダイン形式の受信機やラジオに限ります。もちろんBCLラジオや五球スーパー等も含まれます。真空管式、半導体式を問いません)


2周波表示型
 表示器の上段は実際の受信周波数を表示します。上の写真で示すように「唸周波発振器」BFOが付いている受信機では、下段にその発振周波数を表示することができます。したがって、SSB受信において特に便利でしょう。 また、BFOをOFFして受信した場合やBFOがない受信機(=たとえば五球スーパ)では、この写真のように下段に「BFO : OFF AM mode」と表示するようになっています。これらは自動で行なわれます。

 この「ラジオカウンタ」は、いわゆる「BCLラジオ」にも使えます。 もちろん本来の目的である「通信型受信機」で不満が無いよう100Hzの桁まで読めるよう分解能を上げています。 SSB受信時にあっては、BFOの周波数も実測していて受信周波数を正確に計算できるため「真の受信周波数」が直読できるようになっています。 もともと無線通信機用の設計なので、昔の「ラジオカウンタ」とは別物と言えるでしょう。 もちろん簡単なラジオに使っても何ら支障はありませんし、その便利さを実感できると思います。

各種表示器に対応
 上記の写真はやや大型でバックライトなしの表示器を使った例でした。 周囲に照明があれば問題ありませんが、部屋の灯りを落として静かにワッチするにはバックライト付きの表示器が良いでしょう。

 標準的なインターフェースを持ったキャラクタ・タイプの液晶表示モジュールなら大抵の物が使えます。 この写真のようにグリーンのバックライトのほか、オレンジ色の物もあります。
 下記にあるBlog読者の製作例のようにブルーのバックに白ぬき文字の表示器もあって多彩なデザインで製作可能です。


表示器部分の拡大
 バックライト付き表示器の拡大写真です。 すこし小さなサイズですがバックライト付きなので読み易いようです。 実物は写真で見る以上に視認性が良く奇麗でした。 入手したLCDモジュールの説明書を良く読んで配線すればまったく問題なく使えます。

 下記の回路図にはバックライト(LED)部分の配線は書かれていません。これはバックライトの点灯方法が表示器によって異なる為です。 入手した液晶表示器に付属の説明書を良く読んで合わせた配線を行ないます。 バックライト(LED)には必ず直列に電流制限抵抗を入れるのをお忘れなく! これは常識かも知れませんが、真空管ラジオをいじっているお方にはご存知ないお方もあるかも知れません。 LED(発光ダイオード)には必ず電流制限抵抗を入れましょう!!!


ラジオ・カウンタの回路
 心臓部には「AVR」と言う種類のマイコンを使っています。 周波数表示には16文字2列のLCD文字表示器を使います。 市販のLCD表示器には各種があって、電源端子の極性が逆になったものさえ存在すします。ご自身で購入した液晶表示器に付属の説明書を良く確認して製作して下さい。

 表示器の選択に迷うなら、秋月電子通商で売っているSC1602BSLBを使うのが一番でしょう。回路図通りの配線すれば結構です。

 マイコンと聞くと敬遠されそうですが、事前にプログラム済みのものを使うので普通のICを使った電子工作と何も違いません。 ただ普通に組み立てれば良いのです。 これだけの簡単な回路で便利で正確な周波数表示装置を付加できます。 これで周波数の読み取り精度が課題だった大昔の高1中2受信機がまるで生れ変わったように変身します。 周波数読取りは高級受信機とまったく同じになるので想像以上に便利なことが実感できます。

 部品数も少ないので製作は難しくないでしょう。 トランジスタやICを使った工作の経験が多少あれば十分製作できると思います。 プログラム済みのマイコンと専用の水晶発振子は頒布(後で説明)のものを使います。 ほかの部品は秋葉原あるいは通販で入手できるものを選んであります。 写真のケースは「フィギャもの」を展示するためのもので¥100均一ショップで購入しました。もちろん、ほかのケースでも何ら支障はありません。

 幾らか難しそうに感じたかも知れませんが実際に作ってみればごく簡単なので心配はいらないと思います。 既に50名以上のお方に頒布していますが、皆さんそれぞれ旨く完成されておられます。写真付きのメールもたくさん頂きました。 幾つかのポイントさえおさえて製作すればどなたでもスムースに成功できるようです。


頒布チップセット
 上記のICチップセットを希望のお方に頒布しています。
 セットにはATtiny2313(プログラム済み)マイコン+20ピンICソケット+専用クリスタル+74HC4066が含まれています。

 なお、プログラム済みマイコンと専用のクリスタルを除けば、どの部品も一般市販品なので集めるのは容易でしょう。秋葉原の店頭、或はサトー電気共立電子などの通販で集めることができます。 LCD表示器は秋月電子通商aitendoが安価なようです。お好みの物を調達して下さい。

頒布方法】以下(1)または(2)のどちらかの方法で頒布します。
 (1)1セットあたり「SASE+物々交換品」と交換にお送りします。SASEとは、返信用封筒に切手(120円分)貼り返信用宛先を書いたもののことです。
 (2)商売ではないので物々交換が基本ですが、適当なモノが思いつかないようなら1セットあたり「SASE+500円」でも受け付けます。(切手500円分は不可。銀行口座振込は可)

 自作する人にはタダで差し上げたいくらいなのですが、まったくの無償だと貰うだけ貰って死蔵する人が現れるそうなのでこのようにさせてもらっています。 メールは,「ttt.hiroアットマークgmailドットcom」(カタカナ部分は半角の文字記号に書き換える)で届きます。

 なお、現在のバージョンはわずかな部品数で簡単に作れることを目標にしています。表示上限周波数は約11MHzです。 長波〜BCバンド、1.9MHz、3.5MHz、7MHz、10MHzのバムバンドなどがカバーできます。 もちろんその範囲に含まれるBCLバンドもOKです。 高1中2のようなシングルスーパー受信機では周波数安定度から見てこの周波数範囲が実用的と言えるでしょう。

参考】14MHz以上のハムバンドへの対応:
 高い周波数の受信では(高1中2などのシングルスーパーでは)周波数安定度の関係で外付けのクリスタル・コンバータが必要になります。 例えば、10MHzの水晶発振子を使い、14.000MHz→4.000MHzのようなキリの良い周波数へ変換するのが良いと思います。 ダイヤルの目盛板を考慮する必要はありません。わかり易い周波数へ変換すると便利です。コンバータの10MHz水晶発振は周波数の微調整ができるようにするのが良でしょう。

【頒布状況】ATtiny2313(マイコン)もそろそろ生産中止になりそうなので、あらためて纏めて購入しておきました。 このあとの追加購入はできないかも知れませんが手持ちがあるうちは頒布します。(2017.03.30)  →→ ATTiny2313(マイコン)の手持ちがなくなりましたので、頒布は終了します。(2017.11.29)


カウンタ内部:基板
 写真は試作品なので回路図にないスイッチやコネクタが付いています。 頒布のチップセットから製作する場合には不要なので基板上は一層スッキリするでしょう。

 ケースは¥100均で売っていた「フィギャ物」をディスプレーするためのショーケースです。 体裁が良くて底部の樹脂も柔らかいので加工は容易でした。 適当なサイズなら何でも良いので好みでそれらしい箱に収納して下さい。 特にシールドなどしなくても支障はありませんから、木箱でも良いでしょう。各自がお好みで工夫する部分です。


受信機側の回路
 付加する受信機に影響を与えないように信号を引き出す必要があります。 左図は局発(Local OSC)とBFOをカウンタ部に引き込むための緩衝増幅器(バッファ・アンプ)です。

 また真空管受信機からカウンタ部が必要とするDC電源が得られるように考えておきました。 三端子レギュレータは9V1Aのもの(μA7809など)でも大丈夫です。 回路例は9R59D/DSですが、他の自作機でも少しの工夫で付加できると思います。(あとの方に「五球スーパー」に付ける例があります)

 なお、受信機の発振回路部に影響が出ないよう十分なバッファ効果が得られるようしておきましょう。バッファ・アンプの回路は簡略化せず、そのまま製作されることをお薦めします。


応用例
 これは、無線機の自作で世界的に有名なJA9エリアのOMさんが、自作トランシーバに組込んだ例です。 Small Wonder LabsのSW40+をベースに、このようにFBなリグを製作されました。 ブルーの背景に白抜き文字のLCD表示器を使いメーカー製トランシーバを思わせる力作です。

 写真のトランシーバに使用した「ラジオ・カウンタ」は、4MHzの中間周波数に合わせたマイナーチェンジ版です。 こうした対応もマイコンプログラムの部分改造で可能なこともあるのでまずは相談下さい。

 もちろんこうしたケースでは、応用する機器側の設計や検討は製作者自身が行ないます。そのうえで、その機器の周波数構成をお聞かせいただき、必要ならラジオ・カウンタのプログラムを最適化(改造)してお送りします。 当たり前ですが、応用する機器側のことはご自身で考えておいて下さい。 従ってある程度技術を要すると思うので誰でもが同じようにできる訳ではないと思います。 ご相談があればアイボール(例えばQRP懇親会@秋葉原:毎月第2土曜日・於喫茶ルノワールなど)の時にでも質問して頂ければと思っています。

5球スーパにも
 普通の家庭用5球スーパにも付加できます。

 頒布する標準仕様の『ラジオカウンタ』がそのまま使えます。 特に短波付きラジオではダイヤル目盛板が大雑把なので正しい周波数の読取りに威力を発揮するでしょう。デジタル表示を付けたらいきなり「通信型受信機」に変身します。(笑)

 この際、折角なので局発(Local OSC)に10pF(max)くらいの豆バリコンを追加し、バンド・スプレッド付きにするとFBです。 さらにSSB/CWの受信用にBFOも組込むとハムバンドのワッチが楽しめます。 私が子供のころ、こんな便利な付加装置があったのならどれほど嬉しかっただろうと感慨深くなるほどでした。

               −・・・−

 いまでも「ラジオ・カウンタ」や「TTTカウンター」のキーワードで検索し、このBlogに辿り着く人も多ようです。 今も継続して頒布を行ないニーズに応えています。 ここまで読んだあなたはBlogの「常連さん(候補)」ですから、検索から来た「一見さん」も遠慮はいりません(笑)

 ATtiny2313マイコンの手持ちがあるうちは供給できるので、チップ・セットが入用ならまずはメールで問い合わせ下さい。メールは「ttt.hiroアットマークgmailドットcom」(カタカナ部分は半角の文字記号に書き換えること)で届きます。→→ 残念ですがATTiny2313(マイコン)の手持ちがなくなりましたので、頒布は終了します。(2017.11.29) de JA9TTT/1

:「ラジオ・カウンタ」のマイコン部プログラムは当初より公開していません。

(おわり)
2011.01.04+2017.03.30改訂

(Bloggerの新仕様に対応済み。2017.03.30)

2 件のコメント:

  1. exJE1UNX tamura2010年3月15日 2:08

    JA9TTT/1
    加藤様 こんにちは

    週末にチップセット届きました。
    ありがとうございます。
    早速バラックで組んでみました。

    ディップメーターの信号を入れてみると
    ぱらぱらと表示が変わり感動しました。
    LCDはずいぶん前に購入したものですが
    図面中の型式がまったく同じだったので助かりました。
    (実は初めて使うので四苦八苦…)

    お蔭さまでようやく日の目を見ることができ
    感謝しております。

    ps
    LEDのことは反省しております。
    よくよく製作例の写真を見ると最新式と思われる
    つば付のものまで使用されている様子。

    次は、もっと気の利いたものかカードか券にします。

    今後ともよろしくお願いします。

    返信削除
  2. JE1UNX 田村さん、こんばんは。

    到着のご連絡有難うございます。
    > 早速バラックで組んでみました。
    ごく簡単ですから、すぐに実験できたでしょう。hi hi

    > (実は初めて使うので四苦八苦…)
    どのあたりがわかりにくかったでしょうか? バックライトを点灯させるには付属説明書を読んでいただく必要がありますね。以前のwebで公開時はもっと詳しかったのですが、Blogは簡易版ですので・・・。わかりにくい所をお知らせ頂ければ補足したいと思います。

    > つば付のものまで使用されている様子。
    種明かしすれば、LEDの台座はパワートランジスタ用の絶縁ワッシャなんですよ。 正規の用途では使い切れないくらいあって、丁度良かったので使ってます。(笑)

    物々交換品の件はあまり気にされないで下さい。有意義に活用させていただこうと思っています。

    このあと、ラジオカウンタが旨く実用になると良いですね。 またご感想などお書きになって下さい。

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