AD9850と言うDDS-ICとクロック発振器ほか周辺回路の部品を実装した基板を購入してみた。 基板完成状態で@3,500円であった。 これは安いのだろうかと言う話しになりそうだ。
3週間ほど前に注文したが品切れで待たされた。 売り切れ=キャンセルではなくて再入荷を待ったようだ。これは単発のジャンク品ではなくて継続した供給が可能なようである。自作機器には重宝なので永続的な供給を期待したいと思う。(参考:aitendoと言うネットショップで購入)
秋月で売っていたDDSキット(←参考リンク)は6,400円(*注)であった。こちらは基板完成状態なのでお買い得と言えそうだ。 但し、秋月キットは基板単独でも発振器として使い得るのだが、こちらはマイコン(パソコン)の助けが必須である。 初期化してから必ず周波数データを送ってやらねばならない。マイコンが使えないと便利な基板にも手が出せない時代なのである。(*注:5,400円に値下げされたあと、現在は販売終了したもよう。2017.05.14)
参考:現在ではより一段と安価な中国製DDSモジュールが登場している。これから手に入れるなら断然そちらがお薦めだ。クロックの高純度化とあわせて詳細は別のページ(←リンク)で扱っている。このページを読んで概要を良く掴んだ後で合わせてご覧を。(2012.02.26)
これは参考回路図である。 このようにAD9850を中心にクロック発振器と周辺部品が搭載され、必要な端子がコネクタに引き出された基板になっている。コネクタ部は2.54mmピッチなので普通の蛇の目基板に実装できるようになっている。(注:一部回路図と現物が違っている。現物のシルクを見るとわかるがJ5のGNDとD7は入れ違って逆である。回路図が間違っており、正しくはJ5-Pin7がGNDでJ5-Pin6がD7である。TNX! JE6LVE)
出力部には有極形の割とマトモそうな形式のLPFが付いている。fc=70MHzだそうだが、E系列の標準部品で構成しているので実測するかシミュレーションで特性を確認してみたい感じ。60MHzくらいまではフラットに通しそうだ。DDSから上限いっぱいまで取り出すには単純なπ型では厳しいのだろう。内蔵D/Aコンバータ(DAC)とLPF設計の都合で出力インピーダンスは200Ωになっている。50Ωで使うなら外部にインピーダンス変換器が必要だ。レベルも低めなので汎用信号源にするならゲインのあるバッファアンプの付加がお薦めだ。クロック周波数が125MHzなので、電源電圧:+5Vで使うことになる。電源電流はこのボードのみで150mAくらい見込む必要がありそうだ。(記述一部修正:2011.10.9)
何か、汎用の目的で開発した基板なのだろうか? このDDS基板を元に信号発生器ばかりではなく、受信機、周波数特性測定機・・・様々な機器に活用できるだろう。
見ての通りAD9850からはデータバスが引き出されている。従ってパラレル、あるいはシリアルのいずれの形式でも周波数データを設定できる。但し秋月DDSのように、単純に「DIPスイッチで」とは行かないから注意を。 いまではワンチップ・マイコンが安価である。高機能は追求せずに周波数設定だけが目的なら制御プログラムもごく簡単だろう。使いこなすまでにはアナログ・デバイセス社の資料を詳細に見る必要がありそうだ。
HAMの活用だが、たとえばSSB復調器用のBFOのように数波をスイッチで切り替えれたいだけなら周辺回路を含め非常に簡略化できる。 費用もむしろ数個の水晶発振子を特注するより安価であろう。 たいそうな「DDS発振器」ではなく、ごくシンプルな水晶発振器の代用として使っても経済性は悪くない。
使い方のTIPS:基板上のJ1〜J4およびJ5(Reset)の意味と処理方法。
シリアル通信モードで使う場合はJ1をショート(短絡)すること。また、J3は出力DACの電流を加減する端子である。ショートしておくか、何か抵抗を入れて電流を可変するようにしておく。オープン(開放)のままでは出力が出てこない。なお、周波数データ32bitと制御コマンド8bitの計40bitのパルス列はJ5-Pin6のD7にシリアルに与えること。(以上、必須)
J2は矩形波出力を必要とする時にはショートする。矩形波の出力端子ははJ7のWAVE3とWAVE4(反転)である。通常はJ2オープンで良い。J4はLPFを通らないDAC出力のモニタ端子なのでオープンのままにする。別のLPFを外付けして、例えば低周波専用にするetc.の場合はこのJ4端子を使うと良い。J5のPin3にはMaster Resetが引き出されている。HighでAD9850はResetされる。Reset後はLowに固定しておく。たぶん、Lowのままでも大丈夫だ。(TIPSは私の回路の解析から。引用する場合は参照もと明記のこと)
搭載されているクロック発振器は125MHzである。AD9850の規格上限クロック周波数になっている。
125MHzクロックの場合、折り返しと重なる上限の周波数は半分の62.5MHzである。 ただし、製作可能なLPFの特性や、スプリアスのレベルから考えると、そこまでは使えない。クロック周波数の約1/3程度、即ち40MHzあたりまでが実用範囲と考えるのが合理的だろう。前に扱ったAD9834より一段と周波数が高くHF帯がフルにカバーできるのは有利だ。 125MHzクロックの場合、最小周波数ステップは、クロックの周波数が正確であるとして、0.02910383046Hzとなる。 要するに周波数の刻みはクロックを2の32乗で割った周波数になる。
こうしたクロック発振器には必ず誤差がある。正確な周波数の発生にはプログラムによって「デジタル的な周波数補正」を行なうべきだろう。 周波数が高いことでオシレータ自身の発熱も幾分多そうだから温度ドリフトも多めかもしれない。 安定度も考慮した周波数精度は1〜2ppmの誤差ではないかと思う。それでも十分安定なVFOになるだろう。
AD9850:DDS-ICの欠点はAD9834と比べて消費電流が大きいことだ。ポータブルな機械には向かないが、AC電源で動作する機器なら支障はない。それに周波数範囲が広いのはかなり大きなメリットだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
まず始めにDDS-ICを入手し、さらにクロック発振器も用意したら変換基板に実装して自作すると言うのが従来の工作スタイルだった。 しかし、表面実装のチップを変換基板でピッチ変換し、さらには蛇の目基板で自作するくらいなら、こうした基板モジュールを使ってしまうのも悪くないかもしれない。 部品代の総計から言っても、けして高いものではないと思う。 実は、この基板は中国製らしく、中国直送でさらに安価なショップもあるそうだ。(笑)
#あとはプログラミングでこれを旨く使いこなすだけだ。 de JA9TTT/1
(つづく)←リンク
こんばんは。
返信削除AD9850はチップ単体で安いところでも2000円近くしますから、クロック発振までついた基板が3500円は安く感じますね。
0.65mmピッチの基板を作るのは結構大変ですし、変換基板を使うと40ピンDIPぐらいのサイズになってしまいますから(笑)
どのように活用されるのか楽しみにしています
JE6LVE/3 高橋さん、こんばんは。
返信削除さっそくのコメント有難うございます。
> ・・・までついた基板が3500円は安く感じますね。
そう思います。 面実装用変換基板も必要ですし、変換して蛇の目基板に載せると意外に費用が掛かります。 まあ、3,500円はお買い得な感じですね。
> どのように活用されるのか楽しみにしています
オーソドックスに、AD9834用に作ったコントロールプログラムが使えるようにするのが当面の目標でしょうね。
旨くすると50MHz帯のリグにも使えるかも知れませんね。
おはようございます。
返信削除FBなものを入手されたようで何よりです。ここで紹介されたショップには注文が殺到して大変かも。Hi. それはさておき、製造原価を考えると売価\3,500で利益が出ているのか謎です。
私なら周波数の補正は基準クロックをいじりたくなりますが、もうそういう時代ではなさそうですね。トリマコンデンサの選択肢が減っているのもわかる気がします。
いずれにせよ、AD9834のサンプルが放置されたままなので、個人的にはそれを料理するのが先決かもしれません。
アナデバ社と言えば、先日アンケートの実施予告が送られてきたものの、その後何も言ってきません。
おはようございます。
返信削除回路図も公開されたのですね。
回路図がないと書かれていたサイトもありましたのできっと感謝されると思います。
LPFの計算値は54MHzだったんですね。同時に送ってもらった資料によると70MHzのLPFと書かれていたので鵜呑みにしていました。
あと回路図のJ5、GNDとD7は基板と逆ですね。
あとは制御プログラムの公開を楽しみにしています。^^
JG6DFK/1 児玉さん、おはようございます。
返信削除コメント有難うございます。
> ショップには注文が殺到して大変かも。
暫く前にはtwitterとかNchとかでも話題になっていたようですね。そのおかげか、すぐに品切れになってしまいました。ですから目新しい商品はない模様です。(笑)
> 売価\3,500で利益が出ているのか謎です。
中国からの直販では同等と思われる品が数割で単価20ドルくらいのお店もあるようです。ICを大量購入してかなり安価に製造できる模様です。今の円高も関係しているのでしょう。
> AD9834のサンプルが放置されたままなので・・・
AD9834のメリットもありますから、是非うまく活用されて下さい。
JE6LVE/3 高橋さん、おはようございます。
返信削除コメント有難うございます。
> 回路図がないと書かれていたサイトもあり・・・
回路図がUPできたのは高橋さんのお陰ですよ。(笑)
回路図がないとプログラムの検討にも支障がありますから、これで活用が進めばFBだと思っています。
> 70MHzのLPFと書かれていたので・・・
この形式のLPFはカットオフ54MHzで設計しますと、1.3倍の約70MHzあたりまでフラットになりますのでウソではありません。
> あと回路図のJ5、GNDとD7は基板と逆ですね。
ご指摘いただきどうも有難うございます。 本文の方にコメントを付記しておきましょう。
> 制御プログラムの公開を楽しみにしています。^^
別件の料理が先なので、この基板を使うのは暫く先になりそうです。 高橋さん、お先にお願いします。(笑)
みなさん、こんにちは。
返信削除e-Bayでは1000円以下で入手できますね。
チップを買うよりはるかに安いとは...
AD9834がまだ未完成なので、ポチるのは思いとどまりました。
exJM1VJX 金子さん、こんにちは。
返信削除コメント有難うございます。
> e-Bayでは1000円以下で入手できますね。
1000円以下で売っても損ではないと言うことは、どのような事情があるのでしょうね? 逆に理由が知りたくなります。継続して売るのは難しそうですが・・・。
> ポチるのは思いとどまりました。
勇気のある人は是非ポチって頂いて、マトモな物かどうか調べて頂きたい気がします。(笑)
面白い情報有難うございました。
ちなみにAD9851版も$25ぐらいで出ています。
返信削除マイコン制御、液晶付きが$60位。
金子さん、了解です。
返信削除> ちなみにAD9851版も$25ぐらいで出ています。
ええ、それが通販ショップにあるのは確認ずみなんですよ。
e-Bayは未確認でした。情報有難うございます。
加藤さん、おはようございます。
返信削除AD9850はコリンズタイプ受信機の1次局発アダプタに使っている事例がWebにあり、一時期興味がありましたがマイコンまで手が回らず後回し状態です。内容は今後の参考にさせていたきます。このお店は後で表示につかえそうと思い開店セールで7インチのカラー液晶セットを購入しました。でもDDS基板があるとは思いませんでした。
JS1XFN 青木さん、こんにちは。 連休も中日ですね。
返信削除コメント有難うございます。
> コリンズタイプ受信機の1次局発アダプタに・・・
高い周波数まで行けますのでそう言った用途も考えられるでしょう。 未評価ですが、信号純度も気になりますね。
> マイコンまで手が回らず後回し状態です。
マイコンは手段ですので、深入りは無用ですがある程度使えると論理回路(ハード)の代用品として使えるので便利です。
> 後で表示につかえそうと思い開店セールで・・・
LCD表示器の調達先として有名なお店のようですね。豊富な種類があってうまく使えると面白いものが作れそうです。(笑)
> でもDDS基板があるとは思いませんでした。
このDDS基板は比較的最近になってネット上に出回り始めたのではないかと思っています。
こうした基板がうまく使えると自作のバラエティも広がりますね。 安価に高性能なVFOが実現できますからミズホのVFOの時代はついに終わった感があります。(まあ、低消費電流の分野は別ですが・笑)
こんばんは。
返信削除AD9850 DDSボード、やっと動作しました(笑)
配線やプログラムには間違いは無く、ボードのジャンパーピンの設定という情けない事が原因でした^^;
とりあえず動作確認が出来たので次は応用を考えます。
JE6LVE/3 高橋さん、こんばんは。 g+の方では有難うございました。
返信削除コメント有難うございます。
> AD9850 DDSボード、やっと動作しました(笑)
おめでとうございます。 もっとトラブルかと心配していたのですが、解決が早くて良かったです。 原因は些細なことが多いものですね。(笑)
> 動作確認が出来たので次は応用を考えます。
FBに活用されて下さい。 AD9834よりも高い周波数まで行けますから、利用範囲も広がりますね。
では、お休みなさい。
回路図の書き方が同じなので出典が同じだと思いますが、PDF版のマニュアルも掲載しているサイトがありますね。とはいえ、姉妹品のコントローラーとの接続程度なので回路図とピンがわかればチップのマニュアルを見るしかないですが。
返信削除シリアルとパラレル入力の切り替えが専用ピンではないので、このあたりを乗り越えれば制御はパラメータを送り込むだけではないでしょうか?
JH9JBI/1 山本さん、こんばんは。
返信削除コメント有難うございます。
> PDF版のマニュアルも掲載している・・・
元々はPDFでしたが、Blogに貼る都合で画像化しています。内容は誤りの部分を含めてまったく同じです。(笑)
> チップのマニュアルを見るしかないですが。
なにか、特定の用途向けに作った基板では無いかと思うので、単純な専用コントローラーのような物は無いのではないでしょうか。 マニュアルを参照してやりましょう。
> 制御はパラメータを送り込むだけではないでしょうか?
そんな所で、DDSから出力は出るようです。 あとは、どの様に使うのかでしょう。AD9834のコントローラを扱ったBlogと共通した話題ですね。
TTT/加藤さん、皆さん、久しぶりに書き込みさせていただきます。
返信削除単身赴任3年目で無線工作があまりできない環境で、いつも狸ばかりで申し訳なく思います。
さて、このblogをみてebayで3枚購入してみました。
早々AVRで制御させて見ました。最初まったく動かなかったのですが、RESET端子がLOWにしていないというミスでした。意外に単純なミスに気づかないものですね。
3枚購入したもののうち2枚はOK、1枚はNG
原因はまだ調べていませんが、AD9850のハンダ不良かもしれません。DDS不良ならば、AD9851を乗せてもいいかもしれませんね。(基板代としても安いかも)
120MHzの水晶発振器は発振周波数は150Hzほど低かったのですが、安定度はかなり良いです。10分もたたないうちにカウンタがまったく変化しなくなります。実用に問題ないと思います。
良いものをご紹介いただき有難うございます。今後も期待しております。
PS:TA7358も期待しております。改めて差動AMPの勉強をしてしまいました。でも私には解決策が見つかりませんでした。
JA2NKD 松浦さん、こんばんは。 ご無沙汰しておりました。単身赴任ご苦労様です。
返信削除コメント有難うございます。
> ebayで3枚購入してみました。
中国のショップがeBayに出品していますので、それでしょうね。 全部が動作する訳ではないのですね。 たぶん、あまり奇麗ではないハンダ付けが原因なのでは?(笑)
> AD9851を乗せてもいいかもしれませんね。
クロックの載せ換えも必要そうですが、ピンコンパチですからそう言う使い方もアリでしょうね。(笑)
> 実用に問題ないと思います。
水晶発振ですから、それなりに安定だと思います。それに、昨今の面実装形オシレータは大きな缶入りタイプよりも安定度は良さそうに感じます。安定度が良いのはFBだと思います。
どうぞ、お体に気をを付けてお仕事頑張って下さい。時々はこのBlogも覗いてみて下さいね。
参考)googleのアカウントでログインすれば、コメントはspamチェックに引っかからないですぐに表示されます。
こんばんは
返信削除JA2NKD 松浦です。
DDS基板ですが、やはりハンダブリッジ(2,3pin)でした。
出荷検査はしていないのでしょうね。
取り敢えず直ったので、これで2信号発生器を作ろうかなと思っております。
JA2NKD 松浦さん、こんばんは。
返信削除コメント有難うございます。
> やはりハンダブリッジ(2,3pin)でした。
電源の逆接続とか、壊れるような動作をさせない限り最近のチップは意外に丈夫です。 動作不良はハンダ付けが原因のことが多いですね。 旨く直って良かったです。
> 出荷検査はしていないのでしょうね。
きちんとやるべき事をやっていないからこそ、中国製は安いのではないかと思います。 ある程度品質に問題があるのは承知で買わないといけませんね。(笑)