【トランジスタのfT】
【トランジスタのfT測定】
トランジスタのfT値はそのトランジスタの高周波特性を示す重要な指標の一つです。
使ってみればわかりますが、大雑把に言ってfTの1/8の周波数までと思えばゲインは十分得られます。1/4までならまあまあ何とか、と言った所でしょうか。fTの半分まで使うのは良い石が無かった昔々のお話です。
fTについてエミッタ電流:Ieとの関係を調べてみました。なお、Ieはコレクタ電流:Icと同じと考えても良いでしょう。ベース電流:Ibの分だけ誤差が出ますが数%以下です。
トランジション周波数:fTは各トランジスタ固有の一定した値のように思いがちです。例えば2SC1815なら最小80MHzと書かれています。 しかし同じトランジスタであっても動作電流によって大きく変化します。 従ってその使い方によって高周波特性も大きく違ってきます。
【測定したトランジスタ】
2SA70、2SA101、2SA495Y(旧型)、2SC372Y(旧型)、2SC1815Y、2SC1855(フォワードAGC用)、2SC2668Y(2SC1923Y同等)、S9018H(中華石)
測定した中から代表的なものをグラフにしました。旧型と言うのはいわゆる「袴(はかま)」付きシルクハット型パッケージです。
【測定条件など】
コレクタ・エミッタ間電圧:VCE=10V(DC)です。 測定周波数は仮測定して適宜選択します。グラフ中に記載してあります。 エミッタ電流を変化させながらfTを測定します。 空調の効いた25℃の環境で測定しました。 測定の再現性はかなり良好ですが、fTの絶対値はカタログ等の比較によれば±20%くらいの精度のようです。 もともとトランジスタのfTは個々にバラつくので実用上十分な測定精度だと思います。 研究のため、一部は規格をオーバーする条件で測定しています。
☆
2SC372Yの代替は2SC1815Yが定番ですが、HF帯では意図した性能が得られないことがありました。特に小さい電流で使うと芳しくありません。 グラフを見ると2SC372Yの方がRF向き(高周波向き)だったようです。
中華トランジスタ:S9018Hは、以前の予想(←リンク)とは違いました。実測してみたら使い易い所にfTのピークが来ています。これは好都合な結果でした。
2SA70と2SA101は高周波用のゲルマニウム・トランジスタです。高周波用とは言ってもせいぜいこの程度でした。周波数特性が良くなかったゲルマの石で四苦八苦した当時が思い出されますね。
☆ ☆
トランジスタの高周波性能はfTだけでは決まりません。Cob や rbb' が小さいことも重要です。 しかし多くの場合fTの高いトランジスタが有利なのは間違いないでしょう。 目的に合ったトランジスタを選び最適な動作条件で使うことがRF回路成功の秘訣と言えるでしょう。 トランジスタのfTなんて規格表に載っているデバイスの基本的な項目です。どちらかと言えば地味なテーマでしょう。しかしこうして実際に求めてみると色々なことが見えてくるものです。 ではまた。 de JA9TTT/1
(おわり)nm
おはようございます。
返信削除久しぶりに記事、興味深く読ませて頂きました。
随分昔にお世話になった2SA101はこんなものなんですね! トランジスタって難しいな!と感じていたの思い出しました。
1815も意外とHFでは良くないんですね!
一方で中華製が性能が良いのにびっくりです。
測定方法にも興味を持ちましたが、当局だけでしょうか?
加藤さん、お久しぶりです、北海道北広島市からja8czxです。
返信削除ここしばらく早暁?宵?の三日月を眺めておりました、ブログ復活ですね。
まずは軽い?お題、と読ませていただきましたが、このデータを取るのって結構面倒ですね。
参考になりました、今後のお題にも大いに期待しております。
取り急ぎの一筆まで。
JN3XBY/1 岩永さん、おはようございます。 今朝も梅雨の晴れ間で良いお天気です。(笑)
返信削除早速のコメントどうも有り難うございます。
> 2SA101はこんなものなんですね!
AMラジオの使われたようなゲルトラはみな同じようなものだったようですね。 同じゲルマでもFMラジオの石はずっとfTは高くて性能は良いです。 でも、そう言う石ってお値段も立派のでなかなか使えませんでした。(笑)
> 1815も意外とHFでは良くないんですね!
使った実感からどうも周波数特性の良くないトランジスタだと思っていたんですが、まさか2SC372の半分くらいとは思いませんでした。hi hi
> 一方で中華製が性能が良いのにびっくりです。
これって測ってみてビックリな結果でした。 単価10円の石ですからね。 もっと積極的に使いましょう。(笑)
> 当局だけでしょうか?
どうなんでしょうね? トランジスタの特性に興味がなければ意味不明でしょうし・・・・・。
JA8CZX 矢北さん、おはようございます。 北海道が清々しい季節ですね!
返信削除いつもコメント有り難うございます。
> ここしばらく早暁?宵?の三日月を眺めておりました・・・
お月見もオツなものです。宵の方です。(爆)
> このデータを取るのって結構面倒ですね。
自動測定してグラフ化することも不可能ではありませんが、それなりの機材を要しますね。 手動測定ですので手間は掛かっています。hi
> 参考になりました・・・
自身で面白いと思っているだけなので、参考にして頂けるようなら良かったです。 取り急ぎどうも有り難うございました。
JE1HBB セトロです
返信削除おはようございます。
CQ誌が一ヶ月抜けても気になりませんが、加藤さんのブログが抜けると辛いですね。
待ってました。 三日月も素敵でしたが。
今回も「なるほど、そうか」という有り難い情報を頂戴しました。
未だに出てくる2SBってどんな性格なのかしら? とも思ってしまってましたが、改めてトランジスタを眺め直してみます。
2SC1815も思っていたほど万能ではないのですね。
オーディオでローノイズで有名な石が最近は枯渇して、試しに1815を使って好結果を得たこともあったので、オーディオ、RF、ディジタルなど全て1815で一生過ごそう(?)という気持ちで数年前に1000本買ってストックしてあります。他の石を買うと死ぬ前に使い切れなくなってしまいますね。
加藤さん、おはようございます。
返信削除汎用Trのft実測値は初めて拝見しましたが興味深い結果ですね。
C372よりも新しい1815の方がよい物だとばかり思っていました。
C945はどうだったのかも気になります。Hi
高性能を求めるにはアマチュアでもTrも選別して使う時代が来るのかも。
その前に中華Trが主流になってイヤでも選別しないとダメなことになっても困りますが(爆
JE1HBB 瀬戸口さん、おはようございます。
返信削除いつもコメント有り難うございます。
> 待ってました。 三日月も素敵でしたが。
どうもお待たせ致しました。 三日月と携帯基地局(SBでしょうか?)のシルエットも好きなんですが。(爆)
> 今回も「なるほど、そうか」という・・・
基本的に、自分が面白いと思うことしかやっていない感じですから、意味不明なことも多いとは思いますが・・・。(汗)
> 2SC1815も思っていたほど万能ではないのですね。
あまり高周波特性は良くありませんが、ローノイズですしDC〜中波帯くらいまででしたらほぼ万能選手と言えますね。
> 数年前に1000本買ってストックして・・・・
それはすごいです! 実は拙宅では2SC372Y(中古品)が同じような状態で何にでも使わないともはや消化しきれません。(爆)数があるのでぞんざいに扱っていますが、万能に使える便利な石なんです。hi hi
> 他の石を買うと死ぬ前に使い切れなく・・・・
どんな大作でもトランジスタを数10本も使うのは稀ですからねえ。1000本の消化は大変です。(笑) まあ、RF用にS9018Hを少々購入されておくのも良いかも知れません。 10MHz以上で2SC1815のピンチヒッターとして使ってみて下さい。
JE6LVE/JP3AEL 高橋さん、おはようございます。 大阪のお天気は如何ですか?
返信削除いつもコメント有り難うございます。
> 汎用Trのft実測値は初めて拝見しました・・・・
一部のトランジスタはこのようなグラフがカタログに載っているので重宝していました。しかし、大半はスポットのfT値しか掲載されていないのが不満だったんですよ。自分で測れれば良いんですが、それがなかなか難しくって・・・。
> C945はどうだったのかも気になります。Hi
既に測定済みですがグラフが煩雑になるので省きました。 2SC1815と似た感じですね。意外に良くありませんでした。 fTのバラツキの幅は2倍以上あるようなのでハズレを引いた能性もありますが。(爆)
> アマチュアでもTrも選別して使う時代が来るのかも。
最近は欧州系のトランジスタや、中華系が出回っています。 なじみが無いのでどんな素性かわからないので困っていました。 hFEや耐圧のようなDC的な特性は簡単に測定できるんですが、fTのようなRFの性能が気になっていたんです。 自分で調べられれば幾らか安心して使えるようになりますね。
> イヤでも選別しないとダメなことになっても困りますが(爆
中華トランジスタは中身が信用できないことがあるので困りますよね。 ある程度、自身で見極めて使う必要が出てきそうです。 まあ、その前に手持ちの国産品を消化しなくてはダメですね。(笑)
ディスクリート部品は単体で特性を測ってみると意外な事があって新鮮ですよね。
返信削除先日、購入したアンテナ・アナライザー基板で使う信号検出用ダイオードの順方向電圧降下特性を測ってみて、そう思いました。
一応、部品表にある、eBayで買った1N34Aとたまたま昔に秋月で買った1SS108とを使った2枚の基板を作っているので、完成したら性能比較をしてみたいと思っています。
あと1枚買い足して、昔亜土電子で買った1N60を使ったものも作って比較してみたい気もしています。
まぁ、グラフィック表示のプログラムが素直に動くとは思えないので、完成まで時間がかかりそうですけど。
JR1KDA 岩崎さん、こんにちは。 梅雨の合間の晴天で窓から爽やかな風が入ってきます。
返信削除いつもコメント有り難うございます。
> 単体で特性を測ってみると意外な事があって新鮮ですよね。
そうですねえ。実際に調べると意外なことがあってで面白いですね。 岩崎さんは半導体デバイスがご専門ですから単体デバイスも良くご存知ですね。
> 信号検出用ダイオードの順方向電圧降下特性を測ってみて・・・
ゲルマとショットキーではだいぶ違いますし、同じゲルマでもけっこう色々あるので上手に最適な物を選ぶと性能がアップしますね。
> 昔亜土電子で買った1N60を・・・
亜土電子が懐かしいです。(笑) そう言えば、最近の1N60にはショットキーになっている物もあるようですよ。
> 完成まで時間がかかりそうですけど。
じっくり製作を楽しまれて下さい。 グラフィック表示だと使い易いでしょうね。
おはようございます。今日は雨ですね。
返信削除このグラフを拝見して、まず最初に思ったのは、どうやって測定したんだろう、でした。グラフになっていますが、一点一点電流を設定して、RFのゲインを測るのでしょうか。結構大変な測定で、学生時代の基礎実験を思い出してしまいました。特に大電流の領域では発熱によって値が時々刻々と変化してしまうような・・・・、大変そうです。測定した後、グラフが滑らかにならないんですよね。メーカでは、発熱を押さえるためにパルスで測定するとも聞きました。本当でしょうか、この当たりは加藤さんの専門領域ですね。
2SC1815はリレードライバーから、ちょっとしたRFのAmpの定番で、やはりオールマイティーですね。当時は各社この定番トランジスターを持っていて、テレビなど民生品に大量に使われていましたよね。一番安価だったと思います。高周波は扱っていなかったのですが、私は2SC945を良く使っていました。2SC372の当時は、まだまだトランジスターも高価だったのではないでしょうか。
どれも電流を流せばftは上がるのでしょうが、実用域の1~3mA付近が良く使うところなので、この当たりでの比較になりますかね。
S9018Hは2SC1906の代替えとして重宝しています。430MHz用のLOを作る時の逓倍器として使用して味をしめました。この上の6GHzクラスになると耐圧が下がってしまい使いにくいです。使用周波数よりも余裕のある石を使うと楽に逓倍することができました。
このような同一条件で測定したデータがあると、本当に”一目瞭然”ですね。
JK1LSE 本田さん、おはようございます。 今朝は雨模様ですね。今は一旦上がったようですが蒸し暑いです。
返信削除いつもコメント有り難うございます。
> 一点一点電流を設定して・・・・
自動測定ではないのでそう言うことになりますね。 面倒と言えばその通りですが・・・測れることが重要ですので。(笑)
> 発熱によって値が時々刻々と変化してしまうような・・・・
20〜30mAも流すと発熱するので手短に済ませます。 パルス測定ではないので多少変動しますがそれほどでもないようでした。 この領域は小信号用のTrでは使わないので重要ではないでしょう。一応、傾向を見る目的で測定しています。 フォワードAGC用を除けばfTのピークより左側で使うのが普通でしょうね。
> テレビなど民生品に大量に使われていましたよね。
VTRブームの時には大量消費されて一時は汎用品が何でも品薄になったことも。アレは酷かったです。(笑)
汎用品についての雑感なのですが、2SC372や2SC458等の時代はラジオやTVほかRFを含む家電品への活用が多かったと思います。 従ってある程度RFでの性能も重要だったのでしょう。 今の汎用品はスイッチングの目的が多くなっていて、増幅に使うとしても低周波がほとんどではないでしょうか? そのあたりの性能を重視した設計になっているのかも知れません。
> 2SC372の当時は、まだまだトランジスターも高価だった・・・
初めて購入したシリコンのTrは2SC372でしたが、ずいぶん高価でした。 だんだん値下がりして、信越電機商会でまとめ買いすると単価30円くらいに。 その後は2SC945や2SC1815の時代になりました。 それももうすぐ終わりますね。
> 実用域の1~3mA付近が良く使うところ・・・
増幅の用途ではそのあたりでしょうね。 流しても5mAまでです。 グラフは1mAのところで比較してもらうのが良いと思います。
> S9018Hは2SC1906の代替えとして重宝しています。
これは思った以上に良い石でした。 少ない電流でもfTが高いので使い易いです。 AMラジオでは勿体ないですが、まあ安価ですのでRFなら何にでも。(笑)
手持ちを幾つか測ったのですが、新たな代替候補が発見できたり思っていたほど高周波には向いていない石などありました。 ほか何かご希望でもあれば測定してみたいと思います。
加藤さん、復活おめでとうございます。加藤さんのBlogは定期巡回でしたが、「月を見る者」になって、サボってました。Hi
返信削除TRのftの考察は大変興味深く拝読しました。fTがコレクター電流の関数ですのは目からウロコです。メーカー発表の特性表に乗せてほしい位です。私は2SC1815の米国版である2N2904の方がftが高いfTので数年前の大量仕入れしました。こちらものfT特性も興味がありますが、測定治具が大変そうですね。メーカーならカーブトレサーみたいな測定器があるかも知れませんね。
また、ゲルマニュームTRの特性を見るとJIS規格が「高周波」用と低周波用に型番を分けたのが理解できます。ただ、記憶違いかもしれませんがタクシー無線は60Mcだった時代に2SAのファイナルTRが有った気がします。有ったとしてもかなり高価だったでしょうね。バンド変更で放出されたTRXのファイナルは6360が定番だった記憶があります。CQ誌にはハムバンド改造記事がありました。
では、秋番懇親会に出かけます。
JR1QJO 矢部さん、こんにちは。 今日はすっかり梅雨空です。
返信削除いつもコメント有り難うございます。
> 「月を見る者」になって、サボってました。Hi
どうもスミマセンでした。 つぎは「雲を掴むような話し」かもしれません。(謎)
> メーカー発表の特性表に乗せてほしい・・・
一部のトランジスタではコレクタまたはエミッタ電流とfTの関係を示すグラフが掲載されています。 しかし、トランジスタによっては、最低50MHz、最大450MHzなどと9倍にも及ぶ規格値が平気で書かれていて参考になりません。 たぶん、規格が意味する所は標準値は150MHz辺りにあって、その1/3や3倍はあり得ると言うことなのでしょう。しかしそれでは「規格」の意味をなさないと思うのです。一般的なトランジスタではfTは製造時に実測をしていない項目なので、絶対に外れないような数字を書くとそうなるのはわかるのですけれど・・・。自分で測る意味がある訳です。(笑)
> 米国版である2N2904の方がftが高いfTので・・・
たぶん、2N2904じゃなくて2N3904のことだと思いますが、2N3904(NPN)と2N3906(PNP)は米国の定番小信号用Trですね。確か、拙宅にもあったと思いますので後で測ってみましょう。 但し、数社が同じ型番で作っていたと思いますので矢部さんお手持ち品を貸して下さればそれで測りましょう。
> メーカーならカーブトレサーみたいな測定器が・・・
プロでしたらキーサイト社(旧hp社)あたりのトランジスタ評価システムを使うのでしょうね。少なくとも数100万円でしょうか。 遥かに原始的ではありますが測れることが重要ですので・・・少々の手間は我慢です。(笑)
> タクシー無線は60Mcだった時代に2SAのファイナルTRが・・・
ゲルトラの高周波出力用のトランジスタも存在したのですが、早々にシリコン化したようです。終段がゲルマTr製はかなり珍しいでしょうね。 拙宅にあるHF帯の業務用SSBトランシーバはプリ・ドライバがゲルマニウムの2SA245で、そのあと3A4(ドライバ管)と2E24(終段)という構成になっています。
> TRXのファイナルは6360が定番だった記憶が・・・
タクシー無線機が放出されたことがありましたね。DC-DCコンバータ内蔵で、終段は6360だったと思います。タクシー無線機は持っていませんが、6360なら何本かあります。 でも、6mで10Wなら半導体の方が製作は遥かに楽ですね。(笑)
> JIS規格が「高周波」用と低周波用に型番を分けたのが・・・・
低周波用のゲルトラも測定してみたのですが、グラフにならないほどの周波数特性なので省きました。(爆) 高周波用でも2SA12とか2SA53のようなAMラジオ用や455kHzの中間周波用は2SA型でも低周波用に毛が生えた程度でした。 まあ、455kHzなんてシリコンのTrには低周波みたいなものですからね。
今日は秋葉原QRP懇親会でしたね。楽しまれてきて下さい。
加藤さん、こんばんは。暑いですね、今日は「東京都」が別の意味でも熱いですが...
返信削除「月を見る者」は小説版「2001年宇宙の旅」の冒頭に出てくる骨を道具として発見する類人猿の名前です。
人類が初めて発見した道具はむしろ石かと思いますが、類人猿が石を空に放り投げて、高純度シリコンのトランジスタの化けて降るのはビジュアル的に頂けませんね。HI
さて、本題ですが、件の定番米国Trは2N3904でした、Typoです。
昔、ブレッドボードで組み立てる電子実験キットには「電子温度計」なる代物があり、センサーがゲルマニューム・トランジスタでした。指で触れると面白い様に特性が変わるで驚いた経験があります。当時のゲルマニューム。トランジスタのプッシュプル・オーディオ・アンプはサーミスタで温度補償していましたね。高周波用Trがシリコン化する中、AF段は2SB型のTrを使ったトランス結合回路が結構残っていたと思います。そもそも当時の2SB型が規格はfTの表示がなかったと記憶しています。オーディオの増幅素子は真空管の方が良いという神話が生まれたのはそんな背景かな?
また、自励式のDC/DCコンバイータはゲルトラに限ると言われたのもfTが低い方が寄生振動を起こしにくいという背景があると聞いています。
今やfTがGHz帯のTrが秋葉で安価に入手できる時代になって、隔世の感がありますね。
JR1QJO 矢部さん、こんばんは。
返信削除都民の熱い戦いも決着がつきつつあるようですね。 最近の選挙はどうもデジタル的すぎると思っています。もう少し中間的なマイルドな結果って出ないものなのでしょうかね。(笑)
再度のコメント有り難うございます。
> 2N3904でした、Typoです。
そうだと思いました。 2N2904と言う石も存在しますが、あまりポピュラーではありませんしPNP型のようでしたので・・・。(笑)
> 当時の2SB型が規格はfTの表示がなかったと・・・
初めの頃のゲルトラではfT表示ではなくてfab表示が多かったです。 ゲルトラでも周波数特性が良くなってきてからfTで表示するものが増えました。
> オーディオの増幅素子は真空管の方が良い・・・・
ゲルマのパワトラは周波数特性が悪くて立ち上がりとキレの良い音の再生が難しかったと思います。 球のアンプの方が良かったのは間違いなかったでしょうね。 それに壊れ易かったです。 NECのオーディオ用コンプリメンタリ・パワーTr・・もちろんシリコンですが・・・の登場あたりから石のアンプも格段に良くなったと思います。 オーディオブームが去って最近は逆にオーディオ向きの良い石が激減してしまいました。
> 自励式のDC/DCコンバイータはゲルトラに限ると・・・
もう一つ、初期のシリコンのパワトラは飽和電圧Vce(sat)が大きめだったのでゲルマの石を使うよりも変換効率が良くなかったと言うのもあるようです。 八重洲のFT-101など最後までゲルトラのDC-DCでしたね。
> 隔世の感がありますね。
fTがやっと100MHzを超える程度の石でさえ高くて手が出なかったころを知る者にとっては今の状況はまるで夢のようです。 せいぜい活用してHAMの自作を楽しみたいものですね。
おはようございます。今からこんなに暑いと先が思いやられますね。
返信削除本題からそれますが、旧2SC372と2SC1815は似て非なるもの、と考えた方がよさそうですね。電極間容量(特に入力容量)を見てもそんな感じです。新しい2SC372も2SC1815と同傾向のようですので、いずれも中身は同じなのでしょう。
2SC1815はプリドライバーとか、オーディオ用途に特化した感じもするので、そんなものでしょうか。
2SA101では痛い目に遭ったことがあります。2SA100の代わりとして2石レフレックスラジオに使ったのですが、全然鳴ってくれませんでした。今考えればhfeが極端に小さいので当たり前なのですが、当時小学生だった私にそんなことが理解できるはずもなく(笑)。
田舎のパーツ屋には2SA100がなかったのです。2SA103はあったように思うので、今思えばそれにしておけばよかったのですが、とても高価でした。
JG6DFK/1 児玉さん、こんにちは。 今日は猛暑ですね。 既に外気温は37℃くらいです。
返信削除いつもコメント有り難うございます。
> 旧2SC372と2SC1815は似て非なるもの・・・・
新2SC372と言うTO-92パッケージ品がありますが、あれは2SC372を正式に生産中止にされると代替品で回路を再評価する手間が掛かるので困ると言うユーザーの声で作られたのでしょうね。新2SC372は2SC1815に良く似ているのではないかと思いますが、旧2SC372とは別の石と考えた方が良さそうですね。 特性上、上位互換品でもないので「2SC372A」を名乗ることもできなかったのでしょう。(笑)
参考ですが、2SC1815のfTがかなり低めなのは、規格範囲の下限に近い物に当たった可能性も有ります。 あとで別ロットの2SC1815で再評価しようと思っています。
> オーディオ用途に特化した感じもする・・・
コレクタ電流の最大値も増えているのでオーディオには2SC372より使い易いと思います。一段とローノイズですし。 世間のニーズがRF回路ではなくてAFアンプやスイッチングがメインになったので汎用品としての性格が変わったんでしょうね。hi hi
> 2SA100の代わりとして2石レフレックスラジオに・・・
2SA100と言うのは不思議な石だと思っています。 そう思う理由は簡単には書けませんが、ホビー用トランジスタだったのではないかと思っているのです。この件、何時か検証してみましょう。(笑) 特性を見ると2SA100の方が汎用性があったようですね。 2SA101はやはりAMラジオのIFアンプ用だったんだと感じました。
> とても高価でした。
2SA103の方はfTも高いのでかなり高価でしたね。 2SA101や102などと同じように作ってfTが高い物を選別していたのでしょう。 2SA103の歩留まりは悪かったのではないかと想像できますね。 100個作ってA103にできるのは数個とか・・・。(笑)
近所にパーツも扱うナショナルの家電ショップがあったのですが、松下のTrはあってもNECや東芝のTrはありませんでした。 代替の知識も無かったので2SA101ではなくて2SA52や2SA156の方が欲しかったですね。ラジオ少年の頃の話しです。(笑)
fTの話、2SC372と2SC1815が違うというのは大変興味深かったです。やはり実測してみないとわからないものですね。
返信削除Kenji Rikitake, JJ1BDX(/3)
JJ1BDX/3 力武さん、こんにちは。 連日猛暑ですね。お元気でしょうか?
返信削除いつもコメント有り難うございます。
> 2SC372と2SC1815が違うというのは・・・・
旧型2SC372の規格と比べると、コレクタ耐圧、コレクタ電流、コレクタ損失の何れも最大値は2SC1815の方が大きいのでたいてい代替できます。 ほか、ノイズの特性なども改善されているので低周波回路ではもちろん上位の互換なのですが・・・。
規格表のfTのミニマムはどちらも80MHzなので同じですが、標準値は2SC1815では記載が無くてどうやら低めなようです。 2SC372では標準200MHzとなっていますので、もともと2SC1815よりも高周波特性は良さそうですね。 過去に2SC372を50MHzで使う例はザラにあるのですが、同じ回路を2SC1815で代替しようとすると旨く行かないことがあります。
一般的に行なわれている代替は低周波やスイッチング回路でしょうから支障は無かったのでしょう。 高周波用にはもっとRF用に作られている専用の石を使えと言うメーカーの意図も感じますね。2SC1815は万能なTrだと思いますが、RFではそれほどでもなかったようです。(笑)
> 実測してみないとわからないものですね。
fTの実測は長年のテーマだったのですが、こうして可能になったら面白い結果が出ましたね。hi hi
KATOさん、こんにちは。
返信削除他の質問をしたいです。
初歩のラジオ83年9月号を購入をしたが、雑誌の中に挟まれているTracing Paperと同様の厚さのTracing Paperを求めているところです。
過去では文房具店で販売する薄い製品は使用することに不足しました。
75g、80g、85g、90g、95gなど厚さが数種類であることを最近知りました。 雑誌に登場した厚さと同様の厚さを買いたいんですが、どんな種類を買うべきですかね。
本文のテーマと他の質問ですが、助言を受けたいです。
HL2DUS Parkさん、おはようございます。
返信削除いつもこのBlogをご覧頂きありがとうございます。
> 同様の厚さのTracing Paperを求めている・・・・
ご質問ですが、ご希望のTracing Papaerが良くわからないのでお答えができまでん。
今では、昔のように紙に印刷されたTracing Paperを使う人が減ったの手に入る種類は少ないでしょう。
私は、紙のTracing Paperはほとんど使いません。 以下のURLのサイトで希望のサイズ、色などを
決めて、pdf形式のデータとして入手しています。 さらに、そのデータとグラフィック・ソフトを
使って、このBlogのようなグラフを作ります。
方眼紙ネット:http://houganshi.net
方眼紙ネットの使い方は簡単です。 まずはじめに、必要なグラフ用紙の種類を左のメニューから選びます。
あとは自分で必要な寸法や線の色などを決めれば好きなものを作れます。 pdfデータで手に入ります。
もし必要なら、そのデータを紙を選んでプリンタで印刷すれば「紙のTracing Paper」も作れると思います。
こちらではお久しぶりです。
返信削除手元に1976年9月発行の東芝半導体のデータブックがあるので、ちょっと調べてみました。
2SC1815が発表されて間もない頃と思われる物なのですが、最近のとは規格が少し違っています。
まず、外形は一応TO-92なのですが、リード線の付け根の部分が少し幅広くなっている点が異なります。
Vcbo=45V, Vceo=40V, Vebo=4V, Ic=100mA, Pc=300mW で、最近の
Vcbo=60V, Vceo=50V, Vebo=5V, Ic=150mA, Pc=400mW より小さいです。
また、Vce(sat)=0.4V max. (Ic=10mA, Ib=1mA)で、最近の Vce(sat)=0.25V max. (Ic=100mA, Ib=10mA) より大きいです。
静特性はグラフで示されているので比較がしづらいですが、hfe-Ic特性については、新2SC1815の方が明らかに平坦です。
旧2SC1815は入手が不可能に近いでしょうから実際に比較できませんが、2SC1815も時代とともに少しずつ変えられたのではないかと疑っています。
Vce(sat)やhfe-Ic特性については明らかに改善されていますが、高周波特性はその犠牲になったのかもしれません。
あくまで想像ですが。
なお、同じデータブックに掲載されている2SC372シリーズの規格は、旧2SC1815とは外形が異なるほか、Vcbo=35V, Vceo=30V, Pc=200mWと異なり、hfe-Ic特性はより「山なり」ですが、数値として示されているhパラメータは全く同じです。
また、このデータブックには相補対称品種の2SA1015は登場していません。
JR2WZQ 河野さん、おはようございます。 少々ご無沙汰でしたね。お元気そうで何よりです。
返信削除コメントどうも有り難うございます。
> 2SC1815・・・最近のとは規格が少し違っています。
面白い発見をされましたね。 半導体は製造プロセスの進化やシリコン・ウエファのサイズ変更などの際に微妙に特性が変わる事があって、無視し得ない場合は規格変更を行う事があります。 基本的に上位互換になるようにする筈ですが、汎用トランジスタでは何を重視するかで切り捨てられる項目があって不思議はないと思います。 2SC1815はRF用ではありませんから、高周波特性は重視しなかった可能性はありそうですね。
> 旧2SC1815は入手が不可能に近いでしょう・・・
私もそう思います。 2SC1815も登場当時はまったくポピュラーではなくて、むしろ他社の2SC945などの方が良く使われていました。初期のころの2SC1815はあまり流通していなかったのではないでしょうか。規格が少々変わっても誰も気にしなかったでしょうね。(笑)
> 高周波特性はその犠牲になったのかもしれません。
Vcboなど、耐圧をアップする方向と、fTを高くするのはトレードオフの関係があったと思います。 汎用トランジスタとしては、耐圧とコレクタ電流のアップが重要だったのでしょう。 hfeのリニヤリティ改善もニーズに沿ったものと思います。 RF回路には専用に品種を使う時代になっており、2SC372のころのように様々な回路に一つの品種で間に合わせる時代では無くなっていたのでしょうね。
面白い情報ありがとうございました。