【NIXIE管を使った置時計の設計・その1】
前回(←リンク)はNIXIE管(ニキシー管)表示器の昇圧電源を試作しました。 思ったより簡単な回路で点灯に必要な電源が作れました。 ではNIXIE管で何を作るのか?・・・と迷ったのですがオーソドックスにデジタルクロック・・・置時計を作ることにします。 電圧計や周波数カウンタでも良いのですが、せっかくの表示器ですから誰にも手が出しやすそうな製作にしましょう。(笑)
NIXIE管を使ったクロックはネット上でよく見かけます。製作キットも売られており人気があるようです。 しかし、ニキシー管は時計用の表示デバイスとしてあまり適当ではありません。 LEDや蛍光表示管に比べて点灯寿命はかなり短いのです。 これから使うソ連(ロシア)製のNIXIE管がどれくらいの時間使えるか未知数ですが、ここは遊びと割り切ってやってみることにしました。 さっそく改題して設計を始めます。
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今回はNIXIE管を使う表示部分は登場しません。 表示器ドライブは単純な回路ですが電源部と合わせて次回をお楽しみに。 まずは時計の機能を司る部分を設計・試作します。 時計の計数部はデジタル回路の基本のようなもので、過去にはたくさん製作例がありました。 ここで作るものも定番と言えますが水晶発振子(クオーツ)を基準にし停電しても時刻は保持される形式にしたいと思います。 しかし時計なんてデジタルの製作としては平凡でしょう。 何か少しでも特徴を持たせたいものですね。 あまり興味のないお方は早々にお立ち去りください。時間を無駄にされませんように。 以下、おもに自家用の設計メモです。
【クロック本体部分の開発】
試作中の時計の主回路部分です。
時刻の刻みの基準としては:
(1)AC電源の50/60Hzを使う方法
(2)水晶発振子(クオーツ)を使う方法
(3)GPSからの1pps信号を使う方法
(4)ルビジウム原子周波数基準を使う方法・・・など幾つか考えられます。
それぞれ検討してみると、(1)のAC電源の方法は停電になるとまったくダメですし、場所を移動するたびに時刻合わせが必要になります。これでは不便なので適当ではないでしょう。 マイコンの助けを借りれば(3)も良いのですがやや大げさですし電波の入りが悪い所ではうまくありません。外付けにするとアンテナが紐付きになるのもイマイチです。(4)は原子時計ですから正確無比ですが、消費電力が大きいのでバックアップは困難です。手軽に遊ぶにはやり過ぎでしょう。 他にも今の時代ですからIoTの応用でインターネットを経由した自動的な時刻合わせもありそうです。 結局、(2)のクオーツ式はオーソドックスですが実用品として優れていると思います。 使うデバイスを選べば消費電力はごくわずかですみます。 AC電源が切れてもバックアップされるように作っておけば場所の移動や持ち運びも自由自在です。 時刻合わせも電池交換の時だけで済みます。 ここでは水晶発振を基準にしたクオーツ置時計を作ることにします。
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時計は停電時のバックアップが問題になります。 NIXIE管は消費電力が大きいので点灯させたままでバックアップするのはたいへんです。 商用電源・・要するに家庭のAC100V電源ですが・・が来ている時はNIXIE管が点灯して時刻を表示します。 滅多にありませんが、停電すると表示は消えますが時刻の歩みはそのまま継続されるような設計にしましょう。AC電源が復帰したら正しい時刻で再び点灯するわけです。 計数部分の電源は乾電池を使って少なくとも1年以上交換せずに使えるよう考えます。或いは電池での動作はバックアップ時のみと言う考え方もあります。 いずれにしても時計機能の低消費電流がポイントと言うわけです。 また、停電時における表示回路部と時計機能部の自動的な切り離しも重要な課題になりそうです。 それらを考慮して試作したのが写真のボードなんです。
【 クロック本体部分の回路図】
時刻の基準発振には秋月電子通商で売られているRTC基板モジュールというものを使うことにしました。 特徴などについては後ほど扱います。その部分の図は省いています。(注:図面の説明にミスがあったので更新しました。2018.10.27)
時刻表示のうち秒の表示はやめました。 自室にある時計を見ても秒の表示はなくても良いと思います。 ただし秒毎にブリンクする表示は付けようと思います。 しかし秒の点滅はない方が好ましいかも知れません。 寝室では夜間に明滅する光はかなり目障りに感じるものです。 周囲が暗くなったら点灯を止めるのも良さそうです。 ここでは秒の表示器は設けませんでしたが、必要があれば追加も難しくありません。 装飾的な時計としては秒の表示があると良いかも知れません。秒の表示を追加するには、秒カウンタの部分:U1のところに分の桁と同じ配線を追加すればOKです。
カウント部分はすべてC-MOS ICを使って低消費電流に努めます。 カウントする基準クロックの周波数は1Hzですから、静止状態とほぼ同じですからC-MOS ICの消費電流は非常に少ない筈です。 電源電圧は乾電池3本分の4.5Vで設計します。 電池ですから徐々に低下しますがC-MOS ICですからほとんど支障はないでしょう。 3V以下まで十分動作できます。 NIXIE管ドライバのTTL-ICがうまくドライブできなくなったら交換どきです。
表示部分はC-MOS ICではなくTTL-ICで作ります。 次回のBlogで扱いますがNIXIE管用のデコーダ・ドライバであるSN74141Nを使います。 SN74141NのようなTTL-ICは消費電流が大きいので電池での動作には向きません。 従ってTTL-ICを使った回路部分はAC電源が途絶えたら休止するような設計にします。 意外に難しいのは、動作している回路(時計のメイン回路部分)と、休止する回路(数字表示の回路部分)との分離にあります。 両方が動作している時は良いのですが、休止部分との切り離しがうまくないと電池で動作している部分から意図しない電流の流出が起こり電池の消耗を早めます。
ここでは配線が少し面倒ですがANDゲートを使った自動切り離し回路を設けました。 TTL-ICの電源系統の動作が止まると接続部のすべてのデータラインがローレベルに落ちて電流の流れ出しを防ぎます。 秒で点滅するLEDもドライブ回路には2N7000というエンハンスメント・モードのMOS-FETを使うことで切り離せます。 このような対策を行なうことで時計のメイン回路部分はAC電源が途切れても継続動作し、わずかな消費電流で計時を継続します。
時計としての回路はオーソドックスなものです。 まず、RTCモジュールから来る1Hz(=1秒)パルスを60進カウンタでカウントします。 60進カウンタから1分ごとに桁上げのパルスが出ますので、再び60進カウンタで「分」のカウントを行ないます。 1時間ごとに桁上げのパルスが出ますが、12時間モードでは12進カウンタで、24時間モードでは24進カウンタで「時間」の計数を行ないます。 12時間モード、24時間モードはスイッチで切り換えます。 時刻合わせは最も単純な形式です。 時刻合わせスイッチを「セット」の位置にすると、分のカウンタのところに1Hzが供給されるので60倍の速度で時刻が進んで行きます。同時に秒のカウンタはリセットされます。 表示がセットすべき時刻のところに来たらノーマル状態に戻します。 最長ではセットに24分近く掛かってしまいますが滅多に合わせる必要はないので簡単に済ませました。 やってみると操作性はいま一つなので改良した方が良いと思います。
# あとは特に難しい部分はなです。 時計の回路なんて単純ですからね。(笑)
【仮設表示器でテスト】
正式な表示部はこのあとNIXIE管で作ります。 ただし回路の設計検討には高電圧を扱うNIXIE管は好ましくありません。 検討中にうっかり高電圧に触ったら感電しますし、低圧部の配線と触れれば部品が壊れます。 開発中は動作の様子がわかれば良いので簡易なBCD表示(2進化10進表示)のディスプレーを仮付けしておきました。
写真の例では13時33分を表示しています。 デジタル回路がわかる人には簡単ですが知らないと読めないでしょう。 教えてもらえば誰でもすぐわかるとは思いますけれど。 昔、BCD表示式時計を作ったのを思い出します。 あれはちょっと読みにくかったですね。(笑)
このような表示器を仮設して時計の機能を確認しました。 この時計は12時間表示のときには11時59分のあと0時00分を表示します。 24時間表示の場合は23時59分のあと0時00分になります。 本番の表示器(次回予定)ではそのままの数字が表示されますからたやすく読み取れます。
【テスト用クオーツ信号源】
出来上がった回路を作るだけなら苦労はありません。 しかし時計回路の開発は意外に面倒くさいのです。 論理回路が正しく設計され、きちんと時刻になったら桁上げ動作が行なわれるか確認しなくてはなりません。
まさか回路をいじるたびに1時間あるいは12時間とか24時間待つわけにも行きません。 最終的には1Hzが得られるRTC基板モジュールを使いますが、テスト段階では発振周波数が色々変えられるSPG8651BというICを使いました。 例えば1000Hzを出力すれば1000倍早く計数が進むので迅速な動作確認ができます。
このSPG8651Bも正確な1Hz(=1秒)が取り出せます。 内部には100kHzの水晶発振子が入っており精度も良好です。 しかし電池でバックアップするような時計には消費電流が大きすぎます。 測定したら約90μAほど流れました。 90μAなどわずかだと思われそうですが「RTC基板モジュール」ならずっと消費電流は少ないです。 回路の開発や動作テストにSPG8651Bは便利ですが、そのまま時計に使うのは適当ではありません。
【RTCモジュールに換装】
正常に動作することがわかったのでRTC基板モジュールに交換しました。 交換しても支障なく動作してくれます。
なお、手前の青色LEDは秒信号の点滅表示です。 本番の製作ではこの場所に付けるわけではありませんが、試作時の動作モニタ用です。
本製作の際にはLEDの色もオレンジ色か赤色を使いNIXIE管の発光色と合わせたいと思います。 まあ、この辺はお好みですけれど。 青色でも緑色でも構いませんし、どうせAC電源が切れたら消灯させるのですから、180Vの電源もあるのでネオン管を使う方が相応しかもしれませんね。
【RTC基板モジュール】
EPSON製のリアルタイムクロック:RTC-4543SAは表面実装型のICです。 32.768kHzの水晶発振子と分周回路、それとリアルタイムクロック回路が内蔵されています。 それを基板に実装した扱いやすいモジュールが売られています。
マイコンを使ったクロックを製作するのでしたら、そのリアルタイム・クロック機能を有効に使うのが良いでしょう。 このモジュールのみ電池でバックアップします。 内部には時計とカレンダーの機能が内蔵されており、マイコン経由で事前に設定しておけば、バックアップさえしておけば時刻は継続して計数され続けます。 AC電源が復帰したら読み出せば時刻も復帰すると言った便利な方式も可能です。 今の時代ですから、時計の回路をハードウエア的に製作するよりもマイコンを使う方が合理的かも知れません。 そのような時には機能をフルに使うとFBです。
もちろん、相応の機能を持ったプログラムを書き込んだマイコンが必要です。 自分で開発することも可能ですが、誰でも作れる製作ではなくなってしまうでしょう。 ここではRTC基板モジュールの1秒出力機能だけを使うことにしました。 フログラムの話は忘れてOKです。(笑)
【RTC基板モジュールの使い方】
秋月電子通商で売っている商品には詳しい説明書が付いています。 読めばわかりますが、左図のような配線で使います。
基板に実装済みですし、2.54mmピッチの端子が引き出されているので実験だけでなく実用にも使いやすくなっています。 通販で購入した袋には450円のラベルが付いていましたが値下げされているようです。 入手価格は300円でした。(2018年9月現在)
32.768kHzの水晶発振子の手持ちも有ったのですが、総合的に見て価格相応の価値があると思います。 実際に32.768kHzの発振子で作ってみたのですが発振回路と1Hzへの分周回路を非常に低消費電流に作るのはなかなか困難です。 このRTC基板モジュールは周波数の調整ができませんので、あとは精度がどのくらいかというのが気になりますね。
【RTCモジュールの精度は】
1Hz出力について、さっそく実測してみました。 写真のように0.2049マイクロHzだけ高いようです。 これは+0.2049ppmの誤差ということになります。
一年は31,536,000秒ですから、約+6.5秒の誤差が考えられます。 実際には年間を通じた気温の変化や水晶発振子自体のエージング特性による変動があるのでもっと誤差は大きくなるかも知れません。 一般的に水晶発振子はエージングによって周波数が低下する傾向があるようです。そのため誤差が少なくなる可能性もありますし、行きすぎてマイナスの時刻誤差になるかも知れませんね。 こればかりは連続動作させてみないとわかりません。 それにしてもなかなか良い初期精度だと思います。 もっとも、無調整なのですからこのくらいの精度になっていなくては困りますけれどね。(笑)
【本体回路の消費電流は】
AC電源が途絶えたときの状態を作り出して消費電流を実測してみました。
実際に製作した回路の全消費電流をICの規格表から推定するのは意外に難しいのです。 各ICの標準値の積み重ねでは実際と10倍以上も違うことがあります。 やはり実測してみるのが確実と言うことのようです。
仮設の表示器や青色の秒点滅LEDはすべて消灯しておきます。 テスターの最小電流レンジ:100μAフルスケールレンジで読み取っていますが指針はほとんど振れません。 1目盛りは2μAですが、その半分くらいしか指示しないのです。 RTCモジュールの分も含まれるので、もう少し大きいかと思ったのですが驚くほどの低消費電流でした。 C-MOS ICのスタティックに近い動作はほとんど電流を消費しないことがわかりますね。 この状態で計時の動作はきちんと行なわれています。
アナログなテスタではこれ以上読めませんので、電源回路に1kΩを直列に入れ、その抵抗の両端電圧を測定して電流に換算してみました。 電圧測定にはデジタル・マルチメータを使います。 電源回路に1kΩも入れたらさぞかし電圧降下が大きかろうと心配になるかも知れません。 しかし1kΩの両端にはわずか1.3mVしか発生しませんでした。 電源電圧4.5Vに対して1.3mVなど誤差のようなものです。 1kΩに1.3mVというのは、そこに流れている電流はたったの1.3μAです。(実際には計時状態による変化があり、約1.0μA〜1.3μAで変動しています) 1kΩでは測定しにくいようなら10kΩにすると良いでしょう。
単3電池3本でバックアップ・・というよりも常時動作させるつもりですが、これなら間違いなく1年以上の電池寿命が期待できます。 むしろ電池の長期保存特性の方が問題になりそうです。 あるいはもっと小さな電池・・たとえばボタン型電池など・・を使い、電池はバックアップ専用にすると言った方法も検討中です。 バックアップ専用なら電池の代わりに電気2重層コンデンサ(EDLC:スーパーキャパシタとも呼ばれる)という手もありそうです。 例えば1F(1ファラド)の容量なら数十日間のバックアップも十分に可能そうですから普通の停電対策でしたら支障ないでしょう。 電気2重層コンデンサなら電池のように交換の手間が掛かりません。 これで停電しても時刻合わせのいらないNIXIE管式置時計が作れそうですね。
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オーソドックスで平凡な時計回路ですが、実用になる時計が作れそうです。 過去に置時計は何回か製作しています。いずれも専用の時計用ICを使ったものでした。 有名な時計用のLSIとしては、ナショナル・セミコンダクタ社のP-MOS ICである、MM5311やMM5316がありました。 それらを使いLEDや蛍光表示管式の置時計を作ったものです。 これらのICはいずれも50/60Hzの電源ライン周波数を基準にしていました。 AC電源の周波数は日々監視されていて電力会社は前日の累積誤差を次日に補正しているそうです。 時計のように累積精度が問題になる機器では誤差が補正され続けるのはたいへん好都合です。
瞬時的な安定度は水晶発振子に敵いませんが、累積精度ではAC電源を基準にした方が良いのかも知れません。現代の日本ではめったに停電も起こりません。 しかしここで使ったRTCモジュールも0.2ppmくらいの誤差なら十分実用的と言えます。 それにAC電源が途絶えても大丈夫なので停電対策だけでなく、場所の移動にも便利というメリットもあります。 この次は表示ドライバ回路とAC電源周りを扱いたいと思います。 ではまた。 de JA9TTT/1
(つづく)←リンクfm
加藤さん、こんにちは。
返信削除デジタル時計、昔専用ICを使って作ったことはあるのですが、専用ICやキット以外を使って作った経験がありません。
大型7セグやニキシー管など表示器はあるので作ってみようといつも思うのですが、時計って時間を表示するだけだと簡単なのですが、時刻のバックアップや時刻合わせの機能が結構面倒なんですよね^^;
あと常用するので見た目も気にするとさらにハードルが上がります^^;
こういうときに3Dプリンターがあれば活躍するのでしょうねw
JE6LVE/JP3AEL 高橋さん、こんにちは。 やっと秋らしい空模様になっています。 昨日今日と青空が広がって清々しいですよ。
返信削除さっそくのコメントありがとうございます!
> 専用ICやキット以外を使って作った経験がありません。
デジタル時代の初期のころはTTL-ICを並べて時計を作る人もありましたけど、すぐに専用のLSIが登場したのでそれを使うのが時計の自作になりましたね。 拙宅にもむかし購入した時計用のICが何個か残っていたと思います。
今時は電波時計が1000円もせずに買えるますから置時計の自作も何か特徴がないとあまり面白くないでしょう。 そう言う専用LSIでニキシー管が使えると良いんですがネ・・・。hi hi
> 時刻のバックアップや時刻合わせの機能が結構面倒なんですよね^^;
そうなんです。 でもそのあたりをきちんと考えておかないと実用品にはならんのですよね。 頂いた特大のLEDや大きな平面型蛍光表示管もあるので時計や温度計を作ったら面白いと思うのですが、なかなか腰が重いです。申し訳ない。
> 見た目も気にするとさらにハードルが上がります^^;
自身のシャック用なら多少バラックな製作でも我慢できそうですけど・・・。 家人の設置許可をもらうにはデザインが優先事項ですからねえ。バラックなど即却下です。(爆)
> 3Dプリンターがあれば活躍するのでしょうねw
多少費用はかかってもどこかにお願いすると言うのはアリかも知れませんね。 立体構造物を手作りで作るのは厄介なので機械CADで設計して3Dプリンタで出力したくなります。 3Dプリンタ欲しいけど手が出ませんし、置き場所もないです。hi
こんばんは。
返信削除今が一番過ごしやすい時期ですね。アンテナ作業もこの時期しかないのですが、中々そこまで手が回りません。
ちょっと、話が逸れてしまいますが、CMOSネタです。非常に低消費電力で気に入っています。エレキーもPICを使ったプログラムで実現したものなど色々所有しているのですが、気に入っているのはCMOSの汎用ロジックICで構成されているものです。原典はTTLで作られているHAM Journal No.1の物をCMOS化したものです。クロックも低消費電流となるようにしています。微妙にメモリータイミングが違っていて自分のフィーリングに一番合っているのがこのエレキーです。
長いこと、うまく動作していたのですが数年前から時々誤動作して、変な符号が出るときがあります。再現性がなく対策に苦慮していました。RFの回り込みだと思いフォトカプラ―やコモンモードチョークを入れても、この時々発生する誤動作が治りません。
諦めていたのですが、ある時、使っている電池を見てみました。BR-2/3Aと言うリチューム電池です(イオン電池ではない)。これは、メモリーバックアップ用のもので、自己放電が少なく長時間使用可能です。製造年月は1986年5月と刻印があります。何と30年以上前の物ですが、数年前までは、問題なく働いていました。電圧は今でも、3Vぐらいは出ています。
ここで、閃いたのが、CMOSは静的状態では電流が流れないが、L/Hの変化点では、コンデンサーの充放電により、大きな電流が流れるということです。これが問題ないように見える電池も、実は内部抵抗が増加しているのではないかと。それにより、動作中にFFが誤動作するのではないかと思ったわけです。電圧を観察すると、少ないですが電圧が落ちこみます。非常にわずかです。CMOSは原理的に電源電圧が低下しても、入力ロジックのスレッショルドは常に電源の中点にありますから、少しぐらい電圧が低下しても平気なはずです。この観測されたぐらいの電圧変動では、誤動作しないはずですが、観測できないあるタイミングが重なるとロジックが誤動作していると想定したわけです。
結果的には、電池を新しいものに交換することで、誤動作することがなくなりました。ここにたどり着くまでに2年ほどかかったというお粗末な話です。
CMOSも電気を食わないと、信じ込んでいると苦労するという笑い話でした(笑
毎度、長文で失礼します。
JK1LSE 本田さん、こんばんは。 良い季節になりましたね。 アンテナの話ですが、先日ローカルのOMさんのお世話になって5年ぶりの整備を行ないました。 おかげさまで非常に満足できる状態になりました。 アンテナ整備が冬になる前に終わって良かったです。
返信削除いつもコメントありがとうございます。
> CMOSネタです。非常に低消費電力で気に入っています。
実は、私も本田さんと同じようなエレキーを長年愛用しています。 TTLの回路をC-MOS化したものです。 電源はリチウム・チオニール乾電池です。 電流はあまり取れないのですが、長期保存製が良くて低消費電流のエレキーにはピッタリなのです。
本田さん製作のエレキーほど凝ったものではありませんがマズマズなので今も愛用しています。製作して20年以上経ちますが電池交換は1回だけです。 それにしても珍しい(難しい?)原因で動作不安定になるものですね。hi hi 原因究明されたのは素晴らしいです。
私のエレキーでは、あるとき急に電池がなくなることがありました。 不思議に思って色々調べたら、パドルに物が当たっていて動作しっぱなしになっていたのが原因だったようでした。
パドルの操作時には数μAくらい流れるので静止状態(たぶんピコアンペア)からみたら数1000倍もの電流が流れていたのでしょう。数週間とか一ヶ月くらいそのままだったので電池がすっからかんに。(笑) 待機時の消費電流は極端に少ないので電源スイッチはハナから付けてありませんでした。(笑)
> CMOSも電気を食わないと、信じ込んでいると苦労する・・・
余りにも消費電流が少ないと、電源バイパスコンデンサの漏れ電流が気になったり、過電圧保護のツェナーDiが結構漏れたり、スイッチの接点でうまくON/OFFできないなど普通は気にしなくて良いような現象に遭遇しますね。
面白いお話し、どうもありがとうございます。
こんばんは。日中はいい天気で、長袖1枚でも過ごしやすかったです。
返信削除今回のお題は自然な流れ、といったところでしょうか。汎用ロジックICを使ったデジタル時計の定番は7490と7492を組み合わせたものだと思いますが、ご紹介の4518を使う方法はVY-FBですね。おっしゃるように、多数のTTL-ICを電池駆動したりバックアップするのには無理がありますし。LS-TTLでもC-MOSに比べたら大飯食いですから。
ご紹介の回路は7セグLED用にもFBですね。この場では「禁句」かもしれませんが(笑)。
あいにく74141の手持ちはないので、私が同じことをやろうとすれば、4017あたりをうまく料理した方がいいのかもしれません。ただでさえドライバートランジスタの山ができそうなところに、きっと耐圧保護用のツェナーダイオードを入れたりもしないといけないのでしょう。
その前に、何年も前に大阪日本橋のデジットで買ったまま放置している蛍光表示管と時計用LSI(東芝 T3605T)のセットを料理するのが先だろう、という話も(笑)。DC 12Vで駆動するクォーツ式ですが、バッテリーバックアップは想定していないようです。
蛇足ですが、何年も前に真空管式のニキシー管時計を作った人がいると聞いたことがあります。半導体を一切使っていないから話題になったのだろうと思いますが、デカトロンが使われていたのかどうかまでは把握していません。
JG6DFK/1 児玉さん、こんばんは。 今夜は満月ですね。 雲間からお月さんが覗いています。虫の音も賑やかですよ。
返信削除いつもコメントありがとうございます。
> 7490と7492を組み合わせたものだと思います・・・
TTL-ICでやるとその組み合わせが常套手段ですね。 7492は6進+2進の構造だったと思いますので秒や分の計数にも使いましたっけ。 周波数カウンタと違ってラッチは要りませんのであとはデコーダ・ドライバを付けました。 TTL+LEDで作った時計は見たことがありますが、ニキシー管式はそのむかしには見た記憶はなかったですね。hi
> LS-TTLでもC-MOSに比べたら大飯食いですから。
鉛蓄電池でも並べればバックアップできるかも知れませんが現実的ではなかったと思います。
> この場では「禁句」かもしれませんが(笑)。
禁句なんてことはありませんよ。hi hi デコーダ・ドライバ以降の部分を替えればLED時計やVFD時計にもなりますのでツブシのきく回路構成になっていると思ってます。
> 蛍光表示管と時計用LSI(東芝 T3605T)のセットを・・・
自室で使っている置時計は蛍光表示管式です。 もうかれこれ30年以上使っています。 少々輝度が落ちた感じもしますがまだまだ現役ですよ。hi hi 基準は電源の周波数です。松下の時計+タイマ用のLSIが使ってあります。 こうした時計は結構実用になりますのでぜひ製作されてください。
> 真空管式のニキシー管時計・・・
私も見た覚えがあります。 双三極管を並べたフリップ・フロップでカウントしていたと思いますが・・・?。 かなり巨大な装置だったように思います。 動く様子がYoutubeに上がっていたと思うので後で探してみましょう。hi hi
ネットで検索するとデカトロンを秒の表示に使うニキシー管時計があってアナデジな雰囲気の時計になっているようですね。 バーグラフのような放電管を使う例も見ます。
加藤さん、今日も穏やかな天気ですね。
返信削除デジタル時計は高校時代TTLで作ったのが初めてです。定番のSN74141を使い、リード線式のニクシー管を
使いました。文化祭に出店するも女子高生にはイマイチの人気でした。HIHI
出始めたロジックICを理解するにはいい教材でした。そういえは、TIが編纂した「TTLアプリケーション
マニュアル」を読んで当時「最新」のデジタル回路を学んだ経験があります。
MM5311は懐かしいLSIですね。こちらにもお世話になりました。デジタル時計も10台以上キット等で作り
ましたが、TIのマイコンを使った曜日毎に目覚まし時間は設定できるデジタル時計は私のサラリーマン時代を
支えてくれました、土日が寝坊できるので重宝しました、停電バックアップ用に組んだニッカド電池は上手く
行かず停電では時計が狂い、何回か寝坊未遂の冷や汗をかきました。
ニキシー管のデジタル時計はモダンレトロでインテリアとしてもFBですね、続きが楽しみです。
JR1QJO 矢部さん、こんにちは。 涼しくなって秋の夜長は無線や自作を楽しむにも最適ですね。
返信削除いつもコメントありがとうございます。
> 定番のSN74141を使い、リード線式のニクシー管を・・・・
サイドビュー形式のニキシー管の方がたくさん出回っていたように思いますね。 私が昔使ったのもリード線タイプの球でしたよ。 デコーダ・ドライバはもちろん74141です。(笑)
> 女子高生にはイマイチの人気でした。HIHI
今も昔も女子高生には「かわいい〜〜」が感じられないとウケないんでしょう。(爆)
> 当時「最新」のデジタル回路を学んだ経験があります。
TTL-ICはTI社が先行したから市場を席巻した訳ではないのですが、ファミリの構築とドキュメント類の充実がその地位を築いたように思っています。 私も黄色い表紙のマニュアルはよく開きました。あれだけ多彩なファミリを構築していたのはTI社くらいのものでした。 何に使うのかよくわからない品種もありましたが・・・。
> MM5311は懐かしいLSIですね。
長いこと信越電気でキット(部品セット)が売られていましたね。 暗くて昼間はよく見えないようなLEDが付属していましたが、最近の青色とか緑色のLEDを使うとその当時よりもずっと綺麗な時計が作れるでしょう。 最近は古い時計用のICを見つけ出してレトロな自作を楽しむ若いお方もあるようです。
> マイコンを使った曜日毎に目覚まし時間は設定できるデジタル時計は・・・
その当時、ずいぶん高級な目覚まし時計でしたね! 最近の目覚まし時計は電波時計が多くなっていますし、機能も非常に多彩になっていますが・・・。 まだマイコン時計の初期だったのでしょうね。
> 停電バックアップ用に組んだニッカド電池は上手く行かず・・・
ニッカド電池そのものがナマモノなので機能しないうちの劣化するとか、なかなかバックアップと言うものは難しいですよね。 電気を喰わない設計にしてリチウム・ボタン電池などでバックアップするのが今風のように思っています。
> ニキシー管のデジタル時計はモダンレトロで・・・
そう言われるとますますデザインが問題になりそうですが、まずは機能を完結させる方向で纏めておりますので宜しくです。(冷汗)
JA9TTT/1 加藤さん、こんばんは。
返信削除しばらくサイト訪問出来ていませんでした。すっかり朝晩は冷える時期になって来ました。
ニキシー管を使用した時計ですか! ドライブ用の電源も検討されていたんですね!
しかも、回路はロジックICの組合せ、素晴しいですね!
当局の場合、時計と言えば、MM5311以外は、マイコンでしか作った事が有りません。
2年ほど(3年?)前に、蛍光表示管とGPSの1Hzを使って作りましたが、ご指摘の通り、電波が受かるところでないと使えないので最初はおもしろくて使ってましたが、今はパソコンデスクの下に隠れてしまっています(笑)
しっかりケーシングされて実用品に仕上げられることを願ってます。
JN3XBY 岩永さん、こんばんは。 すっかり秋らしくなりましたね。 軽井沢の紅葉を見て、そのあと榛名湖の紅葉も見てきました。 北関東はちょうど良い紅葉でした。
返信削除本日ただいま7MHzのWSPRにオンエア中ですが北米、豪州、欧州がかなり開けているようですね。 お空も秋から冬へ向かうコンディションのようです。
いつもコメントありがとうございます。
> しかも、回路はロジックICの組合せ、素晴しいですね!
ニキシー管はMM5311のような時計用のLSIでは簡単に点灯できないのでマイコンで作るか、汎用ロジックの組み合わせになってしまいます。 マイコン式も考えたのですが、消費電力の点では今ひとつです。 プログラミングの問題もあるので作れる人も限られそうです。
> 蛍光表示管とGPSの1Hzを使って作りましたが・・・
しばらく前にお話を伺いましたね。 かなりの力作のようだと思っておりましたが・・・。 アンテナの紐付きがイマイチでしたか。 秋月のRTCモジュールをうまく使って改造されてはいかがでしょうか? カレンダー付きの時計も作れそうですよ。
> しっかりケーシングされて実用品に仕上げられることを・・・
これがいちばん難しいですね。 いい加減な工作のバラック製作になりそうですよ。 見映えが悪いのは「機能本位の製作」と言い訳するつもりです。(爆)
お仕事お忙しそうですが、たまにはBlogにもお出かけください。