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2024年6月6日木曜日

【電子管】Using the Pentode as the Audio Amp. (2)

【AFアンプで五極管を・第2回】

introduction
I have a lot of pentodes for RF. In this blog I will build an audio amplifier with 9-pin NOVAL based pentodes for RF. If they can be used well, they will expand their applications. I tried three different types: 6BX6, 6EJ7 and E180F. They all seem to work well enough for audio amplifiers. They are very high gain and should be used with care. (2024.06.06 de JA9TTT/1 Takahiro Kato) 

【五極管:テスト・アンプ】
 これからさき何をやりたいのか? すなわち目的ですが、これははっきりしてます。
手元の真空管はいわゆるポピューラーな球と同じようには使えないのだろうか?・・・という疑問が出発点です。 旨く使えるなら手持ちの活用につながりますし、もしダメならそれなりの理由を知れば納得することができるでしょう。 もちろん方針はうまい使い方の発掘ということですが。

 さっそく手元の電圧増幅用五極管を使ってテスト用のアンプを作ってみます。 やってみるまでもないよと言われるかも知れません。 いきなり本番のアンプに組んで様子を見る、旨くなければ方針転換すればイイんだよ・・・という考え方もあるでしょう。まあ人それぞれでしょうね。

 ごく基本的なアンプをブレッド・ボード(BB)上に製作してみました。基本的な特性を見るには最適です。 テスト対象の五極管とバッファ・アンプの2段構成です。これは後ほど扱う三極・五極複合管において好結果が得られた形式です。評価方法を継承しました。

 五極管の単管でアンプを作ることはあまりないでしょう。複数段のアンプが普通です。 単管では測定器の接続で状態が変化してしまい正しい特性が評価できない可能性があります。五極管アンプは出力インピーダンスが高いからで周波数特性は特に大きな影響を受けます。
 バッファ・アンプがあれば影響を軽減でき、ほとんど無視できる程度になります。測定系の配線が少々長くなっても大丈夫です。そのような訳でバッファ付きのアンプにして評価しました。実際の活用場面に即した評価法とも言えます。

 写真・右側が評価対象の五極管で、この写真では6BX6が刺さっています。 左側はバッファ・アンプの6AU6で三極管接続のカソード・フォロワです。 詳しくはこの後の回路図で。

 ブレッド・ボードに不安を持つかも知れません。 実際は旨く行きますが心配になるとすれば耐電圧と発熱の問題でしょうか?

 プレートやスクリーン・グリッド回路には高電圧が加わりますが十分な耐圧があって250V程度なら心配無用です。 流石に1kVとかやってませんが350Vなら実績もあって何も問題ありませんでした。 こうした小信号アンプではプレートやスクリーンの電流はせいぜい数mAなので電流は心配ないでしょう。 プレートやスクリーン抵抗の電圧降下は大きいのですが各電流はごく少ないので発熱は僅かです。たいてい100mWもありません。
 主に1/4Wの抵抗器を使っていますが熱的にも大丈夫です。もちろんもっと大電流が流れる所にはワット数の大きな抵抗器を使います。予想される消費電力の2倍以上の容量を持った抵抗器が目安です。(これは常識の範囲かも?・笑)

 ヒータ回路(フィラメント回路)の電流も小信号の球では300mA〜600mAです。多数の接続箇所をまたぐと幾らか電圧降下しますが供給元で加減すれば補正できます。ヒーターは基本的にDC点灯します。従ってヒータ・ハムの誘導はありません。

                    ☆

 アンタは何でもBBで作るって揶揄されそうですが恒久的ではないこうした評価回路には適当だと思っています。写真撮影しておけば再現性も確保できます。 いつも思うのですがアルミ・シャーシに穴加工は面倒なんです。実験する気も重くなります。w BBはハンダコテ不要で部品交換も自在なので試行錯誤にも最適です。ただし感電だけは要注意ですね。w
 ストレー・キャパシティが心配で・・・気持ちはわかりますが過去のBlog(←リンク)をご覧になれば支障ないことがわかるでしょう。BBも使い方しだいです。それにせいぜい数100kHzまでのオーディオ帯ですからね。

 なんだかんだ迷う前にさっそく実験してみましょう。わかってやれば真空管も半導体回路の手軽さで試せます。真空管+BBはオススメです。 このさき口先介入がご専門のお方には「目の毒」なので早々のおかえりが宜しいかもです。 無線関係(ラジオ)は登場しないので其方のお話をご期待されていると面白くないです。さっさとお帰りが宜しいかもです。w
例によってコメント歓迎! ラジオに絡んだコメももちろんOK!!

【五極管・テスト回路】
 テストに使う回路です。 低周波信号のアンプになっていて、信号は左から入り増幅されて右に出ます。かなりゲイン(増幅度)があって数mVの低周波信号が数Vに増幅されて出て来ます。ゲインは使う真空管によって変わります。

 テスト対象の五極管は左側です。 プレートに入るRb、スクリーン・グリッドに入るRc2、カソードのRkを選んで評価します。これらの値を決めるのが一つの目的とも言えるでしょう。
 このうちプレートのRbは初めから100kΩ、250kΩ(240kΩ)、470kΩと言ったアンプ一般に使われる値を選びます。(特別な負荷条件を想定するならそれに即した数値を選びます)
その状態で適切なスクリーン電圧になり、動作点がちょうど良い所に来るようカソード抵抗:Rkを加減し最適化します。

 変更すべき要素が複数あるので難しい部分もありますが、やって見ると然るべき所に落ち着くようです。 既存の球の定数一覧表など参照すれば割合容易に類似の結果が得られるわけです。

 回路図で右側の球はバッファ・アンプです。(ゲインはほぼ1倍のカソードフォロワ) バッファ・アンプには6C4、6AB4等の単三極管が使えます。しかし良さそうな手持ちが見つからず、手元の五極管:6AU6のスクリーン・グリッドをプレートに結び三極管接続にして代用しました。(双三極管:12AU7や12AT7の片側を使う方法もあります)

 五極管とバッファ・アンプの間は直結です。直結アンプ形式は段間の時定数を減らすための常套手段です。 これはアルティック型パワー・アンプでよく見る形式です。アルティック型アンプではプレート側にもカソード側と同じ抵抗を入れてプッシュプル・アンプのP-K分割型ドライバ・アンプとして使います。 6AU6のグリッド側にあるC6とR8は位相補正用で負帰還を掛ける際に必要になります。このアンプは無帰還でテストするのでとりあえず不要です。

 バッファ・アンプ(カソード・フォロワ)の出力インピーダンスは概略1/gmですから、数100Ωになります。 そのため測定用のプローブやシールド線など配線を取付けてもほとんど影響は受けません。 これはこの種のアンプを実用に供するする際にも使えるテクニックです。 プリ・アンプの出力部にもバッファ・アンプを設けておけばメイン・アンプまで少々配線を引き回してもハイ落ちやノイズの誘導が防げるわけです。 プリ・アンプの出力部にはバッファ・アンプをぜひ設けておきたいですね。(gmが大きな中μの三極管が向いている)

                   ☆

 このアンプでは:評価対象の五極管において適当と考えられる動作点を探るのが主目的です。 とりあえず上述のようにプレート負荷抵抗:Rbはいくつか決めてしまいます。 プレート電圧:Eppも適当になるよう決めればプレート電流は計算で求まります。 その際にスクリーン・グリッド抵抗:Rc2とカソードのバイアス抵抗:Rkを加減します。スクリーングリッド電圧:Esgの要件はEsg≦Eppです。さらにカソード電圧:Ekpは1V以上が目安です。これがグリッド・バイアス電圧になります。(グリッド・バイアス電圧としては概ね-1V以下を目処とします)

☆具体的には:
(1)RbとEppを決めてしまう。例えば240kΩと50Vのように想定します。
(2)その状態でEsg≦Eppが必要ですから、別途電源を用意し、例えばEsg=35Vや40Vに設定し動作させます。
(3)カソード抵抗Rkを10kΩ程度の可変抵抗に置変え、加減してプレート電圧:Eppが予定の電圧(例:50V)になるよう調整します。この状態でスクリーン電流:Isgを読んでおきます。Isgの値はあとでスクリーン抵抗:Rc2の算出に使います。
(4)カソードとGND間のDC電圧:Ekpを測定しておきます。これがバイアス電圧になります。可変抵抗の値をオーム計で測ってカソード抵抗:Rkの値を得ます。

 これでおおむね想定の動作状態が求められます。ただしカソード電圧:Ekpは1V以上でなくてはうまくありません。(低くても0.8Vくらいまで) そのうならないときはスクリーン電圧を変更して再試行することになります。 球メーカのやり方は不明なのですが、ここでは概ねこのような方法で動作条件を得ています。 具体的に得られるのは、スクリーンのドロッパ抵抗:Rc2とカソード抵抗:Rkの値です。

 ここまで求めたら入出力の直線性や歪み率の変化、周波数特性などを評価します。プレートを大きくスイングさせるつもりならサチュレーションとクリップの始まるポイントを確認しておくと後々役立ちます。(←オシロスコープで観測します)どちらかへ偏りがひどければこの段階でプレート電圧を変えてみるとか動作点を変えて様子を見る必要があるでしょうね。 

 それぞれの球の評価過程を延々と書いても退屈なだけです。 まだまだ沢山ある項目の評価が終わった訳でもないので、以下においては実験中の暫定的な回路定数を各真空管ごとに簡単にメモっておきました。もしも興味でもあったらご自身でもテストしてみてください。今のところ電源電圧:Ebbはすべて150Vです。Ebbは±50Vくらい違っても結果に大きな差は出ないでしょう。

【五極管・6BX6の場合】
 まずは簡単に6BX6の話です。
6BX6は欧州系の9ピンmt管です。欧州名はEF80です。おもにTV受像機のI-Fアンプ用(映像中間周波増幅用)として使われました。松下電器のTVを解体すると大量に得られた真空管でした。
 松下は戦後フィリップス社から製造技術を導入し欧州系の真空管をたくさん作って自社製のTVで使いました。他社製のTVでは殆ど見かけません。JVC日本ビクターのTVくらいでしょうか?

以下は検討して得られた6BX6の使い方です:
Ebb=150Vにおいて、Rb=240kΩ、Rc2=1.1MΩ、Rk=2.2kΩです。
この状態で、カソード・フォロワ:6AU6のEkt=55V前後になるでしょう。大きく外れる可能性は低いですが、その場合はスクリーン抵抗:Rc2を加減します。Rc2を大きく変えた場合、カソード電圧:Ekp≧0.8Vを確認しておきます。ゲインは約290倍(≒49dB)得られました。(Vo=10Vrms、1kHzにて測定) 6BX6はトランスコンダクタンス:gmが高いのでかなりハイゲインです。なかなかの性能です。(トランスコンダクタンス:昔は相互コンダクタンスと言った。昔の単位は℧:モーでした。いまは導電率S:ジーメンスを使います)

 今になって見ると汎用性があって悪くない球なのですがRF回路を含め活用例は少なかったのであまり歓迎しませんでした。ジャンクで手に入っても使い道のない球だと思ったものです。ただ、規格表を参照し現品を観察すると他の五極管、例えば6AU6などと同様に使えるのではないかと思えました。9ピン管なので6AU6,6BA6,etcと差替えの互換性がないのはかなり問題でしたが・・・。
 自身ではAM送信機の変調器・初段アンプに使ったことがあります。マイク・アンプ用として6AU6代用の役目を十分果たしてくれたことを覚えています。なぜ低周波回路に使われないのか不思議に思ったくらいでした。そとから見える網目状の円筒は管内シールドでシールド付きソケットが要らないのはFBでした。 ただし、いくつか差替えて比較しているとマイクロフォニックが出る球があったのを思い出します。

コラム:真空管のノイズ

 真空管のノイズには幾つかがあります。ヒータ・ハム、マイクロフォニック、ショットノイズが3大ノイズでしょう。(低周波アンプの場合)

ヒータは交流で点灯するのが普通なので、それが誘導されてハム音(HUM)が出ます。真空管自体の対策としてはヒータ線をスパイラルにする、電極構造を検討し管内のシールドを強化するといった方法で低減できます。もちろん配線の巧拙も問題ですがオーディオ・プリアンプのようなハイゲインなアンプでは完全な解決にはDC点灯以外にはないように思います。昔はハム対策済みの球もHi-Fi用として売っていたのですが手持ち活用なのでそれは望めません。

マイクロフォニック雑音は真空管の電極が機械的に振動することが原因です。グリッドなどの電極やマイカ板の保持が強固でないと機械的な緩みの影響があって「マイクロフォン」のように音や振動を拾ってしまいます。スピーカ内蔵のラジオやギター・アンプ等では酷い時にはハウリングのような状態になります。オーディオ用の球:6267などは特に気を配った構造や組立てを行なってマイクロフォニックを防いでいます。しかし6BX6のようなRF用の球ではそれほど重視していない可能性があります。

ショットノイズ(散射雑音)は熱電子流を使っている真空管においては宿命的なもので、「サーっ」というバックグラウンンド・ノイズとしてハイゲインなアンプでは感じられます。カソードの材質を改良するといった対策を行なうようですが完全に取除くことは難しいでしょう。いま時の超ローノイズな半導体にはとても勝てません。w

そのほかにも様々なノイズがあって、プレート電流が超低周波で揺らぐフリッカ・ノイズなどもあります。 高周波では等価雑音抵抗が問題になってRFアンプのノイズ・フィギャを劣化させる原因になります。

 6BX6を低周波アンプに使ったとき問題になるとすれば、マイクロフォニックかもしれません。しかしそれほど酷くはなかったと思います。 観察しようと思ってもなかなか意図的には再現させ難くかったことが思い出されます。 過度にハイゲインなアンプを構成しないと言った使い方の注意でオーディオ用として十分イケル球だろうと思っています。6AU6の代用くらいなら十分務まります。
 

【五極管・6EJ7の場合】
 6EJ7はフレーム・グリッド構造を採用した高性能管です。6BX6と同じようにTV受像機のI-Fアンプに使われました。
同じ9ピンmt管でピン配置も同じになっています。この球もヨーロッパ系なので国産品は松下電器(松下電子工業)から登場しました。ちなみに欧州名はEF184です。

 カラーTV時代になると従来型の球では性能が不足したため各社のTVに使われるようになりました。
写真は左が松下製、右は日立製です。東芝製もあったと思います。
 フレーム・グリッドの詳細は長くなるのでやめておきますが、簡単に言えば極細線でグリッドを密に巻きカソードの直近に密接させて配置したことにあります。従って非常にgmが高くなり大きな増幅度だけでなく、等価雑音抵抗が小さくてミキサー管としても高性能なのでHAMの無線機(YAESU FT-200,etc)でも使用例がありました。

 しかし6EJ7をオーディオで使った例を目にしたことはありません。 一説によるとフレーム・グリッド管は直線性がよろしくないという話があります。 構造上カソードのインゼル効果の発生などから確かに歪みに対し不利な面もあります。しかしこれは本当でしょうか? あまりにgmが高いので使いにくいのが敬遠の最たる理由のように思っています。

以下は検討して得られた6EJ7の使い方です:
Ebb=150Vにおいて、Rb=240kΩ、Rc2=510kΩ、Rk=2.2kΩです。 6EJ7は6BX6よりも同じEsgにおいてスクリーン電流が大きいため、Rc2は小さくする必要があります。
 この状態で、カソード・フォロワ:6AU6のEkt=55V前後になるでしょう。スクリーン電流が幾分バラつく傾向があって必要に応じてスクリーン抵抗:Rc2を加減してみます。ゲインは約400倍(≒52dB)得られます。(Vo=10Vrms、1kHzにて測定)

 6EJ7はトランスコンダクタンス:gmが特に高い球なのでかなりハイゲインです。素晴らしい性能ですが、よくわかって使わないとオーディオでは持て余すかもしれません。w

 上の方でフレーム・グリッド管は歪みの関係で敬遠気味と書きました。もしそうなら最近もてはやされている双三極管:6DJ8もダメなはずです。同じフレーム・グリッド管ですからね。
 6EJ7を試した範囲では特に悪いこともないように感じます。普通の五極管なみです。
 やはり6EJ7は過剰にハイゲインなのが敬遠の理由でしょう。 フレーム・グリッド管は構造的に電極の保持が強固に作られているので6BX6よりマイクロフォニックでは有利なはずです。ゲインが高いのでそれも程度問題かもしれませんけれど。w

 アンプなど実用の機器に使った実績がないので何とも言えませんが上手に使えば高性能が活きるのではないでしょうか。例えば五極管の単段で構成している英Leak社やQuad社のプリアンプようなEQアンプに使えばイコライジング・カーブが設計どおり得易いでしょう。 RF用の球なのでヒータ・ハムは出易い可能性があります。もちろん「DC点灯を推奨」でしょうね。 十分な発振対策の上で試してみたいと思います。 使いこなせれば6EJ7はオーディオでも有望な球ではないでしょうか。

【五極管・E180F/6688の場合】
 6688/E180Fは名実ともにスペシャルな球です。
球の側面には「SQ」の文字があって、これは「Special Quality tube:特別な品質の真空管」を意味しているのですから・・・。

 おそらく普通は手に入りにくい筈ですが中古品(ジャンク)なら意外にたくさん出回っていたのです。 金メッキ足やSQの文字に釣られてしまい集まってしまいました。すべてジャンクなので劣化品もあると思いますが使わない手はないでしょう。「腐っても鯛」かも知れません。(笑)

 写真は左がオリジナルと思われるPhilips社のE180F、右はセカンドソースあるいは技術提携品の松下の6688/E180Fです。E180Fが欧州名で6688は米国名のようです。 1960年代の松下の真空管定価表をみると6688は3,600円もする高価な球です。前回Blogの「6267」が690円、ラジオ球の6BA6などは375円でした。まだ大卒の初任給は2万5千円くらいの時代です。

 お値段に驚いていても仕方ありません。さっそく使ってみました。

以下は検討して得られた6688/E180Fの使い方です:
注意:6BX6,6EJ7とはピン配置が異なっています。ピン8と9の交換が必要

Ebb=150Vにおいて、Rb=240kΩ、Rc2=750kΩ、Rk=2.2kΩです。 6688は6BX6よりも同じEsgにおいてスクリーン電流はやや大きいため、Rc2は小さめにする必要があります。
 この状態で、カソード・フォロワ:6AU6のEkt=60V前後になるでしょう。流石に(?)バラつきは少ないようですが必要に応じてスクリーン抵抗:Rc2を加減してみます。ゲインは約280倍(≒49dB)が得られます。(Vo=10Vrms、1kHzにて測定)

 6688/E180Fはトランスコンダクタンス:gmが特に高い球なのでかなりハイゲインです。6EJ7と同じフレーム・グリッド構造の球です。規格表の上では6EJ7よりHigh-gmなのですが、私の実験ではゲインは下回っています。それでも素晴らしい性能ですが、ちょっと思惑はずれでした。(笑)

 原因はいくつか考えられますが、一つはジャンクなのでトランスコンダクタンス:gmが落ちて劣化しているのかも知れません。(大いにあり得ますね)
 もう一つ、この回路定数が最適になっていない可能性です。6688/E180Fは高周波広帯域増幅用の球です。 業務用映像機器のビデオ・アンプなどが主な用途ではないでしょうか? やや大きめの電流を流し、低めの負荷インピーダンスで使うのが前提でしょう。 こうしたHigh-gmな球をIpが僅か1mA以下で使うとEg-Ip特性の下部湾曲部に掛かってgmが上がらないように思います。球によってはバラツキも出やすいでしょう。

 6688/E180Fは電源電圧:Ebbをアップする、負荷抵抗:Rbを小さく選ぶとかトランス負荷で使いもう少しプレート電流:Ipを流す方が良さそうです。 よくわかって使えばオーディオでも活かせます。 耐震構造をうたっていますのでマイクロフォニックは少ないでしょう。 規格上、ヒータ・ハムのレベルは必ずしも低くないためプリ・アンプに使うのでしたらDC点灯が安心です。 なお金メッキ足の球はソケットの方も金メッキ品の採用が本来です。(オーディオの人が大好きな「金ぴか」・爆)

蛇足ながら6688/E180Fの国産類似管には旧・電電公社規格品:6R-R8(C)があります。6R-R8はWE-404Aの同等管でもあります。但し6688/E180Fとはピン配置がまったく異なるため差し替えたテストはできません。6R-R8はテストしてませんが同等に扱えるでしょう。純国産品種として、ぜひ試してみたい球のひとつです。hi hi

                   ☆

 9ピン五極管の特集になりました。RF用五極管の別の一面が窺えたように思います。

 今回はRb=240kΩのデータだけになりましたが他の条件でもテストしています。 現状ではBlogの進行に評価・纏めが追いついていないので限定した情報のみになりました。もう少し詳しいデータの採取も考えているので結果は必要に応じて追加して行くつもりです。 まずは手持ちで活用してみたい球を選び条件を絞った評価から始めている段階です。

 6BX6は一般に駄球の扱いなのであなたのジャンク箱にもゴロゴロしているかも知れません。6EJ7もオーディオ的には猫またぎだったでしょうか? どちらも試してみて自作アンプに十分使えるという結論でいいでしょう。(笑)
(注:どの球もラジオの低周波アンプにも使えますが、そのまま使ったらゲイン過剰です。試すなら負帰還増幅器にして低周波アンプとしてちょうど良いゲインに加減します。回路はケース・バイ・ケースなのでご自身で研究してみてください)

別にみんなと同じアンプを作ってみたいわけじゃありませんので変わった球で遊べたらそれだけでも満足です。 定番な球や著名回路の部品定数にこだわる必要もないわけです。 ジャンク箱に永く眠っていた真空管が活かせたら嬉しいです。 真空管も単なる電子部品ですから電子工学の理屈に逆らわぬ使い方をすれば問題ないでしょう。 謎めいた伝説とか迷信などはいりません。 ではまた。 de JA9TTT/1

つづく)←リンクnm

12 件のコメント:

  1. 元JR2PDCの加藤です。

    真空管で直結といえば、ロフチンホワイトでしょう。直熱管シングルアンプが好きな日本人としては。(^^)

    6BX6 は私も松下のテレビから抜いたやつなどを持っていますが、おっしゃるように活用例(雑誌の製作記事での使用例)が少ないですね。偉い先生のアンプ製作の記事で「音が良い」と書かれれば、高くなるかもしれません。

    直線性がよくないということは、歪打消しにならないかと思ったりします。

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  2. exJR2PDC 加藤さん、こんばんは。 今夜は蒸し暑くなってきました。室温も高いです。

    早速のコメントどうもありがとうございます。
    > ロフチンホワイトでしょう。
    直結式パワー・アンプの元祖でしたね。 今でも時々製作例を見ますのでお好きなお方も多いのでしょう。

    > 6BX6・・・活用例(雑誌の製作記事での使用例)が少ないですね。
    高周波回路でも使用例はほとんど見かけないので魅力を感じませんでした。(笑)
    JA1FG梶井OMの名著「通信型受信機の解説と実際」にクリコンでの使用例が珍しい例です。

    > 「音が良い」と書かれれば、高くなるかもしれません。
    大いに有り得ますね。だんだん値が上がってきたらオクにでも?(爆)

    > 直線性がよくないということは、歪打消しにならないかと思ったりします。
    6EJ7の話と思いますが、歪み方は三極管と違うみたいです。うまく打ち消せますか? hi

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  3. 加藤様、

    早速拝見しました。この回路のままでFBなプリアンプになりますね。こちらは、6BX6のゲインが高くノイジーでしたので、三結にして42をドライブしています。6BX6を二本並べれば、シングルアンプもできそうです。まだ、たくさん眠っていると思いますが、ぜひ活躍してほしいものです。

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  4. JA9MAT 小町さん、こんにちは。 先ほどφエリアから帰宅したばかりです。雨降らず良かった。hi

    いつもコメントありがとうございます。
    > この回路のままでFBなプリアンプになりますね。
    そのあたりを狙っているんですが・・・(笑)

    > 6BX6のゲインが高くノイジーでしたので・・・
    ハイゲインをセーブして上手に使うのが課題でしょうね。 6EJ7なら更でしょう。

    > 6BX6を二本並べれば、シングルアンプもできそうです。
    ミニパワーならパワー・アンプに使うのも良さげです。 ドライブはかなり楽ですね。

    > ぜひ活躍してほしいものです。
    ぜひ活躍させてやって下さい。ラジオや無線でもイケる球ですけど使う人いませんね。hi hi

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  5. ご無沙汰してます。面白い企画ですね。我が家にも6BX6、6EJ7が転がってます。ゲインを狙いRpを大きくするとIpが減りgmも減りイタチごっこに陥るのはご指摘の通り。球大好きファンには叱られますがEpをp-ch TRでInv-cascodeで固定するとIpとEpを自由に設定できます。負荷抵抗も自由に設定できるので球の一番美味しいところが使えます。3極管はミラー効果もなくなるのでメリット大です。これをウン10年前に作ったアンプに適用したところ特性大幅改善、音の変化は?ですが自己満足の世界なのでOKです。

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  6. JA2HVW 水島さん、こんにちは。 梅雨入り間近のようで蒸し暑くなっています。

    いつもコメントありがとうございます。
    > 面白い企画ですね。
    定番のアンプやラジオなどを作りたいだけでしたら必要ない検討です。 使用にあぶれそうな駄球の救済措置ですね。hi 何とか活用法を探れたらと思ってます。

    > Rpを大きくするとIpが減りgmも減りイタチごっこに陥る・・・
    High-gm管をLow-Ipで使うと陥りますね。 E180Fはこのパターンでしょう。

    > Epをp-ch TRでInv-cascodeで固定するとIpとEpを自由に・・・
    半導体回路の発想と言われそうですが、単段でハイゲインとダイナミックレンジも、となれば選択肢になりそう。 とりあえず今のところ増幅系は球だけで行きたいと思ってます。 p-チャネルの真空管があったら面白いのに・・・陽電子管、何だか危なそう。(爆)

    > 音の変化は?ですが自己満足の世界なのでOKです。
    技術的にはたいへん面白いんですが、さらに深いNFBを掛けて・・・だんだん無個性な傾向に陥るようにも感じます。hi hi

    雑な作りのアンプをイージーに作ってシンプルに遊ぼうと思ってます。 気軽に楽しめて苦労しない範囲でやりたいですね。 高級な話にはなりませんがお付き合い下さい。(笑)

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  7. ・・・だんだん無個性な傾向に陥る・・・そうなんです。むしろ出来損ないのほうが懐かしく優しい音がしますね。技術屋としては複雑ですが hi

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  8. JA2HVW 水島さん、再度のコメントありがとうございます。

    > むしろ出来損ないのほうが懐かしく優しい音がしますね。
    出来損ないの程にもよると思いますが、少々難あってもいい感じのアンプとか、スピーカのようなオーディオ機器ってありますね。 逆に数値は良いのに・・・残念とか。hi hi

    > 技術屋としては複雑ですが hi
    そうなんですよね。

    測定値に拘りすぎると・・・自分は正弦波を聞きたい訳じゃないし・・・とか。
    自分でやっていることに疑問を感じることにもなるわけで・・・。

    ニンゲンが相手の電子機器って難しいです。(笑)

    返信削除
  9. 加藤さん、おはようございます。

    高周波用TV球を使ったAFアンプ、面白いですね^^
    我が家にも頂いたりしたTV球が箱一杯ありますが一般的な数本以外は何年間も眠ったままです(笑

    真空管ソケットの変換基板があればトランジスタよりも真空管回路の方が周辺パーツが少なくて済む場合が多いので、BBでの実験はお手軽でいいですね。
    耐圧の問題でパーツが大きくなるのが難点なのと高圧がちょっと恐いですが。Hi

    返信削除
  10. JE6LVE / JP3AEL 高橋さん、おはようございます。 昨夜の雨がやっと上がってきました。

    いつもコメントありがとうございます。
    > 高周波用TV球を使ったAFアンプ・・・・
    簡単に言っちゃうとそう言うアンプですね。 パワー・アンプ部もTV球を使おうかと・・・

    > 何年間も眠ったままです(笑
    どんな電子デバイスもそうですが具体的な使い道がハッキリしてないと消費されませんね。hi

    > 真空管回路の方が周辺パーツが少なくて済む・・・
    実際にトランジスタ回路よりスッキリしている印象あります。ラジオなんかも割合簡単に作れますよ。

    > 耐圧の問題でパーツが大きくなる・・・
    プレート回路に入るコンデンサは耐圧が要りますが、カソードとか電圧が上がらない所はTr用で十分です。 使い分けで小型化してます。 高い電圧は注意するしかないですね。(笑)

    電源トランスレス回路じゃなければ意外に感電はしないものです。hi hi

    返信削除
  11. おはようございます。

     モービルアンテナやPOTAの話題もとても面白かったし、参考にさせてもらってたのですが、やはりタマの話になると寄せられるコメントの勢いが違いますね。読者層の構成がそのまま解りそうです??

     私も段ボールに入ってた昔のテレビ球を使おうと思って昨年からごそごそやってます。得体の知れない管も結構あるので手つかず、使い方の想像つかずという感じだったのですが、基本的な素性がわかれば、ということで真空管測定器を作ってます。
     最初はよくあるようにエミッションの相対値でいいや、と思っていたのですがEp-Ip曲線そしてμが解ればあとは何でもできる(?)ということでまな板バラック状態ですけど一応感電せずにパチパチ計れるものはできました。
     前回の記事でCRTで確認できるカーブトレーサの画面がありました。今のご時世ですからマイコンと液晶ディスプレイを使ってこれも組み込もうかとも思ったのですが、高圧部の制御を考えて日和ってしまいました。

     ということで、感電の心配はないもののB+を都度VRで設定して、グリッドのマイナス電圧はロータリスイッチでシコシコと、一本の測定に十分以上かかってしまいます(Hi)。でも50年以上も前の部品なのに、動作不良のものにはほとんど出くわさないことに驚いてしまいます。テレビを毎日夕方から5時間つけるとして一年で2000hr弱、10年で2万時間。テレビの中のMT管はさほど厳しい使われ方はされてなかったんでしょうね。


     まな板ではなく、人様に見せても恥ずかしくないくらいにはまとめ上げようと思って、先日アルミシャーシを買ってきました.....放置中です。

    返信削除
  12. JE1HBB 瀬戸口さん、こんにちは。 スッキリしないお天気ですがお元気でしょうか?

    いつもコメントありがとうございます。
    > ・・・の話題もとても面白かったし・・・
    ありがとうございます。 実は無線運用の話とアンテナ系の話は急激なアクセス増はありませんが、散発的アクセスが長〜く継続する傾向があるんです。ネット検索でご訪問されるんでしょね。

    > 読者層の構成がそのまま解りそうです??
    いまどきアマ無線や電子回路がご趣味の若い人って珍しいんでしょ。年寄りの趣味かな。hi hi
    それとご年配者が楽しめる電気系趣味サイトはあんまり多くはないんでしょうね。w

    > 基本的な素性がわかれば、ということで真空管測定器を・・・
    そっちから攻めるとは本格的! 使い道がわからないと部品は活用されませんからね。

    > ・・・一応感電せずにパチパチ計れるものはできました。
    おお、素晴らしい!! この先は実際に活用の段階でしょうか?

    > 高圧部の制御を考えて日和ってしまいました。
    高電圧プログラマブル電源とかフローティング電圧・電流計とか色々大変でしょう。 写真で残すつもりならアナログな測定でも良いと思ってます。

    > 動作不良のものにはほとんど出くわさないことに驚いてしまいます。
    空気漏れとかヒータ断線の球はどうにもなりませんが、電気的に凄く劣化した球ってむしろ珍しいくらいです。 TVの中古品でもたいてい使えるものですね。 半導体と違って使用中のゆっくりした劣化はあるんでしょうけれど・・。

    > テレビの中のMT管はさほど厳しい使われ方は・・・
    水平出力管や高圧系は厳しかったと思います。 ほかI-Fアンプとか十分マージンのある使い方になっていたようです。 一般的なmt管の寿命は2万時間くらいと言われてましたし・・。

    > 先日アルミシャーシを買ってきました.....放置中です。
    がんばってください。 いつか出来上がった時には是非拝見させてくださいね。

    この先も球関連のお題が続く予定です。 またお出かけくださいませ。

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