実際にはシャシ加工だけでも1時間では終わりそうにありません。 まあ、「One hour」とは「簡単にできる」と言った意味でしょう。 暮れの大掃除や年越しの準備も終わった大晦日、新春早々の自作プランなど如何でしょうか?(笑)
この送信機の部品数は僅か50個に満たないのです。「One hour」と言うだけあって、とてもシンプルです。
この程度の送信機でも日本国内局との交信するのは容易です。 Euでは真空管:ECL82(6BM8)を1本で作ったシンプルなQRP-TXの2-way QSOでG、PA、LA、DLやVEとできたとか楽しんでいるそうです。 これを扱うサイトはたくさんあって、こちらはその一例です。Euは遥かに遠いのですが、もしもJAから仲間入りできたら楽しそうですね。
この程度の送信機でも日本国内局との交信するのは容易です。 Euでは真空管:ECL82(6BM8)を1本で作ったシンプルなQRP-TXの2-way QSOでG、PA、LA、DLやVEとできたとか楽しんでいるそうです。 これを扱うサイトはたくさんあって、こちらはその一例です。Euは遥かに遠いのですが、もしもJAから仲間入りできたら楽しそうですね。
真空管には3極5極複合管を1本だけ使っています。 使えそうな候補は幾らでもあって、殆ど回路変更なしに製作できます。 ピン接続が同じ真空管を選んでおけば様々に差し替えて楽しむことができます。 アウトプット・パワーは使用する真空管により違ってきます。
上記回路図は英RSGBの機関誌:RadComから転載しています。その関係で真空管の名称は欧州系になっています。 ECL80は米国名称では6AB8、ECL82が6BM8、ECL86が6GW8です。 このうちECL86/6GW8がもっともパワフルで5〜6Wは出せます。ECL80/6AB8は非力なので2〜3Wでしょう。しかしヒーターパワーが小さいのでQRP向きです。 一番ポピュラーなECL82/6BM8はその中間の3〜4W程度と言う所ですね。 TV用の6AB8を除きオーディオでよく使う球なので価格高騰気味ですがまだ驚くほどでもありません。
なお、各バンドに最適化しプレート電圧をより高くすれば5割増しのパワーも可能そうです。 しかし、それくらいなら複合管はやめて終段にはEL84/6BQ5やEL86/6CW5、或は小型送信管の5763あたりを使う方が良いです。mt管ながら10W+が得られます。 UY-807、6L6、6JS6AなどではQRPの範疇を遥かに越えてしまい25〜50Wも出ますからDXingさえ可能です。 しかし、パワーの増大で電源を含めて一気に本格的な送信機になってしまうので、とても「One hour」とは行かないでしょう。QRPな範囲がお薦めです。
回路構成はCrystal-Oscillator+Power Amplifier・・通称COPA(コッパ)と言われる最もシンプルな2ステージ形式です。 すこし改造したいところもあるのですが、まずはこのままやってみてはどうでしょう。 クリスタル(水晶発振子)は必ず基本波用を使います。 図の記述では14MHzのパワーは1W少々とありますが、7MHzの水晶を使いファイナル・ダブラー(終段2逓倍)しているからでしょう。 記事の時代には14MHzの基本波水晶発振子はポピュラーでなかったのです。 現在は問題なく14MHz帯の基本波が手に入ります。 従ってパワーもずっと出てくれます。(すこし改造したいところ:発振段の負荷を抵抗器ではなくRFCにしたい)
部品について説明しておきましょう。
まず真空管ですが、同じ電気的特性でヒータ電圧違いのトランスレス用を使うと安価です。トランスレス用の真空管をトランス付きで使ってもまったく構いません。
まず真空管ですが、同じ電気的特性でヒータ電圧違いのトランスレス用を使うと安価です。トランスレス用の真空管をトランス付きで使ってもまったく構いません。
例えば6BM8/ECL82(ヒータは6.3V/780mA)の代わりに8B8/XCL82(同8.2V/600mA)や16A8/PCL82(同16.0V/300mA)があります。これら3種類はヒーターの電圧電流が違うだけで、互換性がある訳です。以下の球も同様です。
6GW8/ECL86(ヒータは6.3V/660mA)も14GW8/PCL86(同13.3V/300mA)があってだいぶ安価でしょう。何れにしてもそれぞれのヒータ電圧にトランスの電圧を合わせてやれば大丈夫です。トランスの電圧は±10%くらいに合わせて下さい。
回路図にある他に3極5極複合管では6AW8A/6LF8/6JV8系やECL85/6GV8もお薦めできます。カラーTVにたくさん使ってあったPCL84/15DQ8(ヒータは15.0V/300mA)やPCL85/18GV8(同17.5V/300mA)も使ってみたいところです。
しかし、オンエアにて使用Rigの交換の際にはポピュラーな球の方が通りが良いでしょう。結局のところJAでも6BM8あたりが無難だと思います。 9ピンmt管用ソケットも忘れずに手に入れておきます。
しかし、オンエアにて使用Rigの交換の際にはポピュラーな球の方が通りが良いでしょう。結局のところJAでも6BM8あたりが無難だと思います。 9ピンmt管用ソケットも忘れずに手に入れておきます。
次にバリコンですがプレートに近い側の200pFはある程度耐電圧が必要です。エヤーバリコンが良くて、1kV耐圧の送信機用が理想でしょう。 しかし300pF程度の受信機用単バリコン(並三用など)も使えます。昔はタイト絶縁の立派なバリコンが買えなかったのでそのようなバリコンで代用していました。
アンテナ側のロードバリコン:1000pFは5球スーパ用2連VCをパラ(並列)にして使うのが常套手段でした。 いまは入手難でやむを得ないため大きめのポリバリコンで試したらどうでしょう? 50〜75Ωのフィーダーを専門に給電するなら耐電圧はまず問題ないはずです。 あとはRF電流が流せるかどうかなので物を見て判断します。 試してみる価値はあるでしょう。
HT+用(米国式ならB+用)の電源トランスには100V対220Vのアイソレーショントランス(60VA程度のもの)を利用すると安価です。 ブリッジ整流で使うことになります。 あるいは100V:100Vのアイソレーショントランスを使って両波倍電圧整流します。 ヒータトランスは使用する真空管のヒータ電圧に合わせた小形トランスを使います。ACアダプタで代用する工夫をすると経済的でしょう。 秋葉原では五球スーパ用電源トランスがリバイバルしているのでそれも良さそうです。ただし結構なお値段なのが問題かも知れませんね。
すこし厄介そうなのはブロッキング・バイアスの-150Vをどうするかです。これは-100Vくらいでも十分です。 整流回路の工夫でHT+のトランスから作ることもできるので研究して下さい。 電流は数mAしか必要としません。 トランス式ACアダプタを分解してトランスを逆向きに流用すると言う手もあります。リサイクルショップで探してみましょう。
キーイングはエレキー向きに簡単に改造する方法があるので、それは(将来あるかもしれない)『製作編』の際にでも書きましょう。それまで感電に注意しつつ「ハンド・キーイング」で。(笑)
キーイングはエレキー向きに簡単に改造する方法があるので、それは(将来あるかもしれない)『製作編』の際にでも書きましょう。それまで感電に注意しつつ「ハンド・キーイング」で。(笑)
他に難しい部品は無いと思います。真空管回路なのでコンデンサの耐圧と抵抗器のワット数に気を付けます。 回路図の「1n」とあるコンデンサは、1ナノ・ファラドのことで、0.001μFあるいは1000pFのことです。 0.003μFはポピュラーでないので0.0033μFあるいは0.0047μFで良いです。(=3,300pFおよび4,700pF)
2.5mHのRFCも昔は分割ハネカム巻きを使ったのですが、形状が大きめのTr回路用2.2mHで代替できます。テスタで計って巻線の直流抵抗が10Ω以下なら問題なく使えます。
終段タンクコイル:L1は先日のBlogのようなエヤーダックス・コイルでも、アミドンのトロイダルコアに巻いても良いです。 パワーから見てT-68-#2やT-68-#6などが適当でしょう。もっと大きなものならなお良いでしょう。 適宜タップを設けておきミノムシクリップで切り替えればマルチバンドにオンエアできます。 もちろん、水晶発振子は各バンドとも基本波のものを使います。
# 昨今は不要輻射に厳しくなっています。出力とANTの間にLPFもお忘れなく!
追記:
JAでは未だ包括免許制は実現していないので、新造送信機はTSSあるいはJARDの保証認定を受けてからのオンエアになります。 保証認定基準では単球で「発振段=終段」の送信機は認められていません。 この送信機は2ステージ構成であって純粋に終段電力増幅管のキーイングです。
しかし見た目が単球ではたとえ複合管でもダメなようでしたら、例えば工事設計書は発振段:6C4+終段電力増幅:6AQ5,etcの2ステージ送信機にするのが良いでしょう。 いずれそのうち指定事項の変更を伴わない「軽微な設備の変更」が発生するでしょうから、それを楽しみながらオンエアすれば良いのです。 もちろん、最初から2球式で製作しても良いのですが・・・。(笑) de JA9TTT/1
(おわり)
(Bloggerの新仕様に対応済み。2017.04.03)
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