【FT-101ZDのMode SW】
『FT-101ZDでWARC Bandにオンエアしよう!』の4回目だ。(前回:Part3 は→こちら。初回:Part 1→こちら)
WARCバンドもDXingには断然CWが有利なので、CWでのオンエアに備えておこう。(注:30m BandはCWオンリー。17mと12m BandはSSBもオンエアできる)
FT-101ZDはSSBを中心に開発されたトランシーバだと思う。 しかし、HF帯で使う以上CWでの運用も重視していた筈だ。
WARCバンドもDXingには断然CWが有利なので、CWでのオンエアに備えておこう。(注:30m BandはCWオンリー。17mと12m BandはSSBもオンエアできる)
FT-101ZDはSSBを中心に開発されたトランシーバだと思う。 しかし、HF帯で使う以上CWでの運用も重視していた筈だ。
CWモードではワイドとナローにIFフィルタ切換えができる。ワイドはSSBフィルタを兼用する。ここではオプション扱いになっていたCW用の狭帯域幅フィルタを追加する作業を行なう。 追加するCWフィルタ:XF-8.9HCの帯域幅は公称600Hzである。更に狭い300Hzのオプション:XF-8.9HCNもあったと思うが入手難だろう。また300Hzの方は通過損失が一段と大きいようである。
FT-101ZDの帯域幅可変機能はなかなか良くできている。 CWフィルタはなくともその機能を使って通過帯域幅を絞ることができる。 しかし通過帯域とキャリヤポイントとの関係が必ずしも適切とは言えず、操作も煩雑になっていた。 従ってCWで本格的にオンエアするつもりがあるならCWフィルタはあった方が良い。
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モードスイッチの部分を見るとAM・FMのポジションに気付くだろう。 FT-101ZではAMとFMの両方を同時に実装することはできない。どちらか一方のみオプションのボードを装着する。 今まで見たものはFMオプションを搭載した例が多かった。 28MHz帯の運用とVHF帯のトランスバータを装着するにはFMモードの方が良かったのだろうか。 一方、海外では(違法な)ハイパワーCB無線が横行しており、そうした用途にはAMオプションが必要だったのだろう。 10m Bandの局発クリスタルを交換し、27MHz帯にオンエアしていたようだ。 JAでもCB上がりのFT-101ZにはAMオプションが付いているのかも知れない。
写真で下側になっているフィルタの載った基板を取り出さなくてはならない。 それにはまず上にあるFMボードを外さねばならない。
FMボードはいかにも後から付けました・・・と言った案配で、写真のような六角の支柱2本のみで装着されている。 要するに片持ち状態の基板であって、振動でぶらぶらする構造である。 基板からは多数の配線が出入りしているので適宜コネクタを抜き取らないと外すことができない。面倒ではあるが、慎重にやれば難しい作業ではない。
IF基板には3つの大きなコネクタがある。 これらは全て抜き取る必要がある。
それぞれピン数は異なっており、ワイヤ・ハーネスを崩さなければ誤装着の可能性は少ない。 特に場所をマーキングしておく必要は無いと思う。 心配なら写真撮影でもしておけば完璧だ。 基板上の半固定抵抗器には触れないように丁寧に行なう。
IF基板は4隅のネジだけで固定されている。 FMボードを外したときに2本の六角スタッドボルトも抜いておけば後は2カ所のネジを取るだけだ。
重量のあるクリスタルフィルタがたくさん装着された大きな基板がわずか4本のネジで固定されているとは少々心配だが実際には大丈夫だったのであろう。 このあたりが廉価版のFT-101ZとFT-901の違いの部分だ。 内部を比較してもらうとわかるが、明らかにFT-901の作りの方が上等である。 コストの掛け方が違うのだからやむを得まい。 しかし多くのHAMは中は見ずに買っただろうからスペックや外観上の違いがなければFT-101ZDの方を選んだのだろう。(笑)
インストラクションには写真ようにするよう記載があった。フィルタ本体と基板の間に菊座金を入れ、基板ハンダ面の側は平ワッシャを挟んでネジ止めするようにとのこと。
フィルタに方向性はない筈だが、逆向きに装着することはできない。 自然に取付けられる向きに装着すれば間違いない。 頂き物の中古フィルタを使ったので端子部分のハンダは良く取り除いておいた。 あまりハンダが残っていると装着に支障がある。
基板に挿入したらまずはネジ止めを行なう。 ハンダ付けを先に行なうとネジを締める際に端子に無理な力が加わる可能性がある。 ネジを仮止めしたら部品面の側からも良く見て部品や配線がフィルタの下敷きになってないか確認を。 確実なネジ止めが済んでから端子のハンダ付けを行なう。
写真に見える2本の緑色ワイヤは撤去しておく。 これは、CWフィルタが未装着のときにSSBフィルタで代用するための迂回配線である。 正規のCWフィルタを付けたなら2本のワイヤーは要らないから必ず除去する。
装着が済んだら、IF基板を脱着したときと逆の手順で元に戻して行く。
配線がかなり入り組んでいて基板の止め穴にネジを入れ難かった。 ネジを落としてしまうと厄介なことになるので、先端がマグネットになったドライバを使うとやり易い。
以上でCWフィルタの装着が終わり、WARC Bandの送信禁止も解除されているのでいよいよ通電テストである。 コネクタの装着漏れやネジの止め忘れがないかもう一度確認を!
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清掃から始まって、WARC Bandの改造工事、そしてCWフィルタの装着まで済ませて来たが、いまだ通電はしていなかった。
このFT-101ZDは少なくとも10年以上通電していなかったはず。 従って、電解コンデンサの為には徐々に電圧を加えて行くのが安全だ。 急に全電圧を加えるとリーク電流の多い電解コンデンサの内圧が急上昇してパンクするかも知れない。
スライド・トランス(スライダック)を使って、最初はAC電圧30Vからスタートした。 できればAC電源の一次側電流もモニタしておくと良い。ここでは特に気になる高電圧コンデンサの端子電圧などモニタしながら、30V→60V→100Vと順に各30分以上の時間を掛けて100Vまで持って行った。
FT-101ZDの時代ともなれば、電解コンデンサの品質も相当良くなっていた。注意深くやれば事故が起こる可能性は低いと思う。一か八かで一気に加えても良いかも知れないが,正しくは徐々に加えるべきだと思う。通電後暫くは五感を存分に働かせて何か異常がないか入念な監視を!
AC電圧を100Vまでアップさせた。 受信状態で無負荷に近い時には終段管:6146Bのプレート電圧は相当上昇している。 写真でテスタは1kVのレンジになっている。このような高電圧になっているから間違って触ったら命に関わる。
以降のレストア作業にあたっては、時として通電しながら各部の状態をチェックしなくてはならないだろう。 このように高電圧が内在していることに常に留意しなくてはならない。
無線機のレストアは楽しいかも知れないが、命を張ってまでやるほどのものではない。くれぐれも事故のない様に!
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長い眠にあったこのFT-101ZDも無事に目覚めることができた。 まずは受信状態になった訳だが、随所のコンデンサが目覚めるときのノイズが聞こえてきた。 またスイッチや可変抵抗器の接触不良はかなり酷い。 摩耗故障していればまた別だが、単なる接触不良なら操作しているうちに回復して行くものである。 すぐに調整作業に入るのではなく,各部を丁寧かつ満遍なく操作しながら暫くエージングしておこう。 なお、無人での通電ができるほどの信頼性は無いと思うので、通電は在室時が良い。 数日間様子を見れば状態も安定してくるだろう。 もしも部品交換の必要があってもそのあとからにしよう。
FT-101Zシリーズともなれば新しい方のRigのイメージがあった。しかし発売から30年以上も経過していると気付きある種驚きを感じた。それだけ年月が経過しているのだと・・・。 実働可能な機体はごく僅かだろうし、レストア向きの良好機も少数なのかも知れない。どうやらまったく一般性のないテーマだったようだ。コメントできるのはずっとオンエアしてこられたお方だろう。話題に乗れる人はごく限られそうだ。これが新しいと思うとは、私も歳をとったものだ。(笑)
FT-101Zシリーズともなれば新しい方のRigのイメージがあった。しかし発売から30年以上も経過していると気付きある種驚きを感じた。それだけ年月が経過しているのだと・・・。 実働可能な機体はごく僅かだろうし、レストア向きの良好機も少数なのかも知れない。どうやらまったく一般性のないテーマだったようだ。コメントできるのはずっとオンエアしてこられたお方だろう。話題に乗れる人はごく限られそうだ。これが新しいと思うとは、私も歳をとったものだ。(笑)
少々億劫だったCWフィルタの装着も済んだ。この後は性能確認と調整になる予定だ。さらに外観の化粧直しやマイク・コネクタの交換も予定する。そして28MHz帯の100W改造も実施したいと思っている。 今回も少々長くなって来たので、続きはまた次回と言うことで。de JA9TTT/1
(つづく)←リンク・Part 5へ
加藤さん、こんにちは。
返信削除もう8月、早いですね^^
FT-101Zレストア完了おめでとうございます。
しかしAMとFMは同時に使えないとは知りませんでした。
調べてみると最初期型はAMもFMもなく、
AMは中期型から、FMは後期型で追加になったようですね。
あと後期型からAPFとANFが付いたようです。
WARCバンド追加でJJYが5MHzから10MHzに変わっているとか。
あと、CWフィルターを付けるのにそこまでばらす必要があるのは
今の技適機では考えられないですね。
10Wを100Wに改造するのに高圧回りのファイナルに球を追加して
中和を取れとか今では発売禁止物です(笑)
加藤さん、こんばんは。毎日暑い(熱い)日が続いております。
返信削除この101Zリペア連載もいよいよ佳境に入ってまいりましたね。この時期のRigはシングルスーパのものが多いですね。
その前はTS520にせよFT101にせよ3MHzにIFをとったいわゆるコリンズタイプのWスーパで「アンテナをつないでいないのに」ウルサいと言われた時期がありました。
その後TS820が出てIF8MHzのシングルスーパのRigが各社から出多様に記憶しています。
でもそれからは「混信除去機能が不満」とかでまたWスーパに戻ってしまいました。
Wスーパでも十分にローノイズな部品がたくさん出現したからでしょうか。
ところで直流の感電はコワいです!むかしTS510を金属製のドライバでいじっていたら、
どうも中圧(100~200V)のラインに触ってしまったようで、後頭部をバットで殴られたような衝撃を受けて
しばらく脱力、30分ほどはグッタリしてしまいました。交流の感電とは全く違います!
皆様、ご注意を!
JE6LVE/3 高橋さん、こんばんは。 今日から8月です。相変わらず関西は暑いようですね。北関東もまた暑くなってきました。今夜はかなり蒸し暑いです。
返信削除早速のコメント有難うございます。
> レストア完了おめでとうございます。
どうも有難うございます。 接触不良が幾分残っていますが、使っているうちにずいぶん改善しました。ほぼ支障無くなっています。
> しかしAMとFMは同時に使えないとは・・・
FMの回路は1枚のボードにかなり本格的なものになっています。評価してみましたが、なかなか良い性能でした。何でも小型化された今なら2つの機能を乗せることもできたでしょうね。hi hi
> 最初期型はAMもFMもなく・・・APFとANFが付いた・・
初期型は以前のFT-101と同じような機能で、特に魅力のないリグでしたね。 やがてFT-901に搭載していた機能を次々に移植して行った感じです。まったく別物になりました。
> 今の技適機では考えられないですね。
可変帯域がありますので、廉価版のFT-101ZはCWフィルタの装着率は低いと思っていたのかもしれませんね。
> 今では発売禁止物です(笑)
確かに高圧部分が関係するオプションは明らかに危険な作業を伴いますから安全の見地から今ではダメそうですね。 ただ、当時はまだ自作や改造のスキルを持ったHAMも多かったのでニーズに従ったのだと思います。 別のトランシーバですが、私は改造キットでは無く自分で集めた部品でパワーアアップして使っていました。hi hi
今は高圧と言うような電圧が掛かったアマチュア機はリニヤアンプくらいしかありません。真空管機はいじりたくない人も多いだろうと思います。
JI1TWW 半田さん、こんばんは。
返信削除コメント有難うございます。
> いよいよ佳境に入ってまいりましたね。
連載をご覧頂き有難うございます。Blog記事は後追いですので、実機はすでに完成状態になっております。この後も記事の方は続きますのでぜひご覧下さい。hi
> この時期のRigはシングルスーパのものが多いですね。
これより前の世代は真空管機を焼き直して半導体化したものでした。電圧の低い半導体には無理のある回路構成だったので、それを見直したのでしょうね。
> またWスーパに戻ってしまいました。
カタログ上、ジェネカバを要求したのでそうなって行った感じです。 HAM用には必要のない機能だったように思うのですが・・・。hi hi
> 十分にローノイズな部品がたくさん出現したからでしょうか。
短波帯無線機の回路設計の考え方が変わったからだと思っております。ゲインの配分がずいぶん変わりました、 今もデジタル処理とどの部分で切り分けるか試行中のようで、新たな過渡期にあるように感じますね。
> 後頭部をバットで殴られたような衝撃を受けて・・・
私も湯上がりで人体抵抗の低い状態で800Vを触ってしまい・・・感電は今でも怖いです。気をつけましょう。
TRIOの球リグや八重洲でも6146Bのリグは一段とプレート電圧が高いので絶縁低下や電解コンデンサのマージンなど気になっています。
連投失礼いたします
返信削除Reコメントありがとう存じます。
確かCQやHJ誌でNF、NFと何かに取りつかれたように特集されていたのはこの時期だったように思います。
U310が取り上げられて、その後は2SK125、J310と一気に広がったようです。
>カタログ上、ジェネカバを要求したのでそうなって・・
その前のTS830とかFT102の時代にVBTとかWIDTHとかの機能を謳ったRigがIF(1)=8MHz、IF(2)=455KHzのWスーパ機ではなかったでしょうか。
また、八重洲のRigは11mのユーザ層に対するセールスをある程度期待して伝統的にAMモードを搭載していました。
対照的にTRIOは徹底的にこの件は無視していましたが、ゼネカバ受信機能搭載のRigが登場して
ついにAMモードを搭載してきました。
JI1TWW 半田さん、再度のコメント有難うございます。色々お詳しいようで、どうも有難うございます。
返信削除> NF、NFと何かに取りつかれたように・・.
NFに拘ったのはV/UHFがメインだったと思いました。HF帯ではむしろ混変調や感度抑圧でしょうね。 FT-101EまでとTS-520ではずいぶん悩まされましたから。 Low-BandなどNF=20dBでも支障無いくらいですから、数dBのあたりのNFを議論しても意味はありませんでした。hi hi
> 2SK125、J310と一気に広がったようです。
最初は6mからだったでしょう。海外記事の紹介で広まって行きました。 Dual Gate MOS-FETの方がNFは良いのですが、J-FETのGGは強信号特性で優れていました。
> VBTとかWIDTHとかの機能を謳ったRigがI・・・
R-820など更に落とすトリプルスーパーですし、FT-101ZDでも周波数変換は3回あります。 機能競争でしたからね。hi hi VBTなんかより良いフィルタでスパっと切るのが一番です。
> 伝統的にAMモードを搭載していました。
初代のFT-101が出た頃は米国製のHF-RigにもCBバンドが付いていたので、米国ディーラーの要求で始まったのでしょうね。それをずっと踏襲したものと思われます。
機能拡張競争のあげく何でもアリになったんでしょうが、要らないものが多過ぎませんかね。(笑)