【怪しげな6mのアンテナ】
abstract
I got a whip antenna for the 6m band at a junk market. However, the resonant frequency of this antenna seems to be much lower than the desired frequency. I first measured the initial value before cutting. Then I cut about 2 inches and observed the change. After the fourth fine-tuning, I had a usable antenna. (2024.02.10 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【6mはモバイルバンドだった】
中身がないので昔々の雑談です。(笑) アマ無線を始めたころ、モバイル(ボービル)局のメインは6mバンドでした。 バンパーのスプリング基台から立ち上がったフルサイズ・ホイップはずいぶん長く感じました。
430MHz帯が主流の今となっては6mモバイルが流行るなんて考えにくいのですが技術的・経済的な合理性から当時は6m Bandが現実的だったのでしょう。60MHz帯にあったタクシー無線のジャンクが出回った事情もありそうです。 1960年代の半ばと言えば、中学・高校生で6m AMがブームになるずっと前でしたから技術を持った自作HAMのバンドでした。
やっとTRIOのトラ千(左・回路図は後期型です)が登場するころです。VHF帯の6m Bandは50.0〜54.0MHzの4MHz幅があります。
6m Bandは思い入れのあるバンドでした。ローカルの先輩局が自作機でアクティブだったので私も手作りRigで仲間に入りたかったのです。 まだ真空管の全盛期でしたがトランジスタでクリコンやミニパワー送信機を作ってました。
丁度リグ作りで四苦八苦していたころ近所のOMさんと知り合いになりました。 そのOMさんに福山電機のFM-50AというFMトランシーバを研究用(?)に貸してもらったのです。
FM-50Aは車載用で床置きの大きな筺体にスケルチや音量と言った小型操作部が別体になったカー・トランシーバです。 受信は半導体式ですが送信ファイナルは真空管式(6360pp)なのでDC/DCコンバータ搭載です。電流容量のある12V電源が必要でした。
開局当時の私には大電流のDC電源を自作する技術はありません。それにゲルマニウム・トランジスタの時代ですから10A以上のDC電源はかなり難しいと言う現実がありました。 そこで近所の自動車解体屋にて中古のカーバッテリーを調達しフローティング充電しながらFM-50Aに灯を入れたのです。
しかし51MHz丁度のワン・チャンネルしかなくてテスト交信できた記憶はほとんどありません。アンテナが軒先ダイポールでは入感なくても当然でしょうか。
以来、6m Bandは自作を楽しむバンドと決めて様々に実験・製作を試みています。近ごろはメーカー製品愛好家に成り下がっちゃいまいましたけれど。(笑)
☆
いちばん上の写真は物置で見つけた6m用ホイップ・アンテナを先ごろ購入したK416と言うアンテナ基台(2回前のBlogを参照)に取付けた様子です。 波長6mですから1/4・λのフルサイズ・アンテナなら約1.5m長になります。このアンテナの正体は不明ですが途中にローディング・コイルが入った短縮型です。車高のあるクルマの高い位置に取付けて走るには1.5mは長過ぎますから短縮型は好ましいでしょう。 もっとも半固定でオンジエアなら長くても構わないんですけれど。
これからこのアンテナを調整します。 このアンテナは給電点のアースが良くないとダメそうですから調整を始める前に磁石アース板を製作しました。(←前回のBlog参照) アンテナ基台の部分で直接アースできればベストですが塗装面を破ってネジ止めするとサビが出ます。 基台はゴム片を挟んで浮いた状態で付いているのでアースは不完全です。 これこそ磁石アース板活躍の場面です。
謎の6m用のホイップ・アンテナを切り詰めて共振周波数がHAM Bandに入るように調整すると言った話です。 たいして面白くないのでここでやめて頂くのが宜しいのかも。 このBlogは何をやってどうなったかと言う自身の備忘が目的です。 もしご覧になって何か思うことでもあったら遠慮せずにチャチャでも入れてください。(笑)
【磁石アース板が活躍】
基台+アンテナだけならスッキリして良いのですがアース不完全では良く飛んでくれません。 それに引き込みケーブルの車内での取り回し状態によってアンテナの共振状態が変わってしまいます。当然ですがSWRも安定しないので調整になりません。
アンテナを調整していてこのような現象を感じたらアースの不完全を疑う必要があります。 さっそく磁石アース板を付けたら不安定さは簡単に解消しました。 これでやっとアンテナ調整を進められます。
【補足】磁石アース板の着脱:
M型コネクタ(受口)をアンテナ基台に固定するとき配線の付いた大きなワッシャを共じめします。ワッシャにはギボシ端子が付いた配線が数本出してあります。こののギボシ端子の先に磁石アース板から来る配線を繋ぎます。
磁石アース板をほぼ恒久的に付けておくのでしたら接続端子(ギボシ端子)は不要です。私の運用形態は半固定運用です。移動地に到着したらその都度アンテナとアース板を取付けて運用するので着脱式にしてあります。
【怪しげな説明書】
このアンテナはローカルのHAMフェスが何かで手に入れた記憶があります。 新品ですがジャンク扱いなので格安でした。アンテナ作りの材料に使っても損はないと思って手にしたようです。 最近になって物置で見つけたのですが写真のように簡素な(怪しげな?)説明書が巻き付けてありました。(年数の経過で紙ボロボロ・笑)
この説明書を見ると共振周波数は50MHz帯にはなっていないようです。 だいぶ低いらしいのですが現状が何MHzなのかわかりませんし必要な調整量も明確ではありません。 ただ、少なくとも20cm以上カットする必要はありそうです。 下から2/3位の位置にローディング・コイル(?)があってその上側ではなく下側のエレメントの加減が必要らしいのです。
けっこうしっかりしたアンテナで全体的にガッチリ作られています。それ自体は好ましいのですが下側のステンレス製エレメントは太くてカットするのは大変そうです。 ロクな道具しか持ってない当局には厄介な調整になそうです。
【何回もエレメントをカット】
結局4回もカットする羽目になりました。 もちろんカットを始める前に初期状態の共振周波数を測定しました。 初期値は46MHz辺りにありました。6m用に作ったとは思えないほど低いです。
上の怪しげな説明書曰く「下側のエレメントをカットして調整しろ」って書いてあります。 しかし、もしも上側のエレメントで加減できるならその方が楽そうに感じました。 ものは試しですから上側エレメントを一旦取ってしまい切断し易い銅線に交換し切断しながら共振点の変化を確認しました。 しかし説明書の通りで、上側の加減だけでは6mバンドに入って来ません。 共振は遥かに下でした。
下側エレメントをカットします。ではどれくらい短くすべきでしょうか? まずは写真にある①の5cm程度カットして共振周波数の変化を観測しました。(nanoVNAを使用) 共振周波数の変化量から比例計算で予測される最終的な切断量を推定します。
たぶん切断量と共振周波数の変化量は単純な比例関係ではありません。 しかし50MHzの辺りで数MHzでしたら概ね比例的に変化するはずです。(・・・と思う) もちろん計算通り一気に切ってもし行き過ぎたら目も当てられません。 それで控え目に②の分を切断しました。 しかし思い切りが足りなかったようです。(心配性ですからねえ・・)
結局、③を切断したところでおおよそ50MHzの下端に到達しました。 最終的に④を切って50.2MHz辺りに合わせました。 共振点はもう少し高くても良いかも知れませんが、CWやデジタルモードで運用するケースを優先すればこれくらいで良いでしょう。 もし51MHz以上のFMでのオンジエアが目的ならさらに5cmくらいカットすべきです。
しかし太さ3mmのステンレス棒は切断がとても大変でした。専用工具があればいとも容易いのでしょうが持っていません。 どうしてもダメなら近所の鉄工所にお願いして・・・とも思ったのですが、カットアンドトライしながら少しずつ切り詰めて行くという訳にも・・・。 ある程度切れ目を入れたあと折り取ると言った半ばチカラワザで切断したようなわけです。(もうやりたくありません・笑)
【6m Band Whip ANTのSWR特性】
写真のようになりました。 だいたい50.0〜50.6MHzあたりまでが使用範囲でしょうか。 FMのメインチャネル:51MHzはSWR>2なのであまりうまくありません。
CW/SSB/FT-8でオンジエアするならマズマズではないかと思っています。 短縮なしの1/4・λのホイップ・アンテナならもっと広いバンド幅が得られる思います。 短縮すると車載には有利ですがバンド幅やアンテナの輻射効率ではだいぶ損をしますね。
きちんと調整してやれば正体不明のジャンク品も活きて来ます。 想像ですがこのアンテナはHAMの6m Band用ではなくて何か別の用途・目的用だったのではないでしょうか。もしホントに50MHz用に作ったのなら40cmものカットが必要なのは異常でしょう。 あるいはそれが理由の作り損ないアンテナだったのでジャンクに流れたとか・・・真相は謎のままです。 あなたの想像はどんなものでしょうか?
【6m Band Whip ANTが完成】
40cm以上カットしたのでだいぶ短くなってしまいました。 最初の写真のようなスマートさがなくなったように感じます。 しかし共振していないのでは使い物になりません。
少々短くて迫力のないアンテナになりましたが、これで6mにオンジエアできます。 流石にメーカー製です。しっかり出来ているため走行中の運用も可能そう。 強力タイプの磁石アース板なら剥がれて飛んで行くこともありません。これは使えます。
◎休日ともなると6m Bandは各地の移動局でとても賑やかです。私も移動運用の仲間入りができそうです。 次回はさらに下のHAMバンドを目指します。 ではまた。 de JA9TTT/1
(つづく)nm
加藤さん、こんにちは。
返信削除90年代、免許人口が増えて144/430のFMが一杯になったときにローカル局と1.2Gに上がるか、50MHzに下がるか検討してモービルでの飛距離など考えて6mに移りました。
モービルではアンテナの長さとノイズの多さが気になりましたが空いてますし結構飛んだのでラグチュー用にはぴったりでした。Hi
あと数年前は52MHz台でタクシーが連絡用に使ってましたが最近は聞こえなくなりました(笑
46MHzのホイップってなんなのでしょう?
50MHz用の規格外れで放出されたとかでしょうかw
ステンレス棒はワイヤクリッパーで切ってましたが、ダイヤモンドヤスリで削って折る方法もあるみたいですね。
JE6LVE/JP3AEL 高橋さん、こんにちは。 きょうの北関東は晴天です。
返信削除さっそくのコメント有難うございます・
> 1.2Gに上がるか、50MHzに下がるか検討して・・・
こちらのような田舎でも混んでたので都会地は混雑がとてもひどかったようですね。 最近の2mはガラガラです。ダンプ屋さんが出てるみたいですけど・・。
> モービルでの飛距離など考えて6mに移りました。
アンテナが大きいので敬遠されがちですが回折しやすいのでビル陰とかでも結構できるので6mへQSYは正解だと思います。 反射が多い1.2GHzも悪くないですが・・・
> アンテナの長さとノイズの多さが気になりましたが・・・
6mはイグニッション・ノイズが気になりやすい周波数だったと思います。自作のノイズブランカ回路の効き具合を試したことがあります。hi hi
> 数年前は52MHz台でタクシーが連絡用に使ってました・・・
何せ50MHz帯は広いうえ今でも52MHz以上なんて使うのはスキモノでしょうね。 勿体無いのでラグチューにはFBだと思いますが、まずは出てくれそうな仲間を探さないと・・・。(笑)
> ダイヤモンドヤスリで削って折る方法もあるみたいですね。
切断方法に窮してこの方法で半分くらい削ってから折り切りました。 スレンレスは加熱されるとヤキが入って超硬くなってしまうので機械加工は難しいですね。
お近くでしたらLVEさんと6mでラグチューしたいですが遠すぎます。
加藤様
返信削除ご無沙汰しております。しばらく、ブログのアップデートがありませんでしたので、心配しておりました。再会ありがとうございます。6mの話題だったので、我慢できず昔話に出てきました。今も、IC 551でオールバンドの許可をいただいています。修理したRJX601、IC502とかも所有していますが、スプリアス規定とかで使えなくなっていますね。BPFとかで、スプリアスを規定値以下にしていることを証明しなくてはならない。のがハードルが高いです。検定済みの測定器でないと、ジャン測のスペアナとかSG、オシロでは認定はだめでしょうね。JARLの作業所を予約して、測定するしかないのは、自作やアマチュア活動を事実上締め出していると思います。仕事でもテスターに至るまで、校正認定がないと通用しません。DDS、ソフトウェア受信機で自作でも高度な制御も可能ですが、それを証明しなさいとなると困難ですね。自作で電波を出すのは大変な時代ですね。昔の6mでは、スカ6で大阪のロールコールに出たり、エコー3RQと交信した記憶もあります。おおらなか時代でした。
ジジイの懐古呟きですね。 JA9MCH
JA9MCH 和田さん、こんにちは。少々ごぶさたでした。
返信削除いつもコメントありがとうございます。
> 我慢できず昔話に出てきました。
そうでしょう、そうでしょう! 6mの思い出をお持ちのお方はたくさんあるはずです。 一時期は凄いブームになりましたからねえ!! 6mで開局されたお方もたくさんあったでしょう。
> スプリアス規定とかで使えなくなっていますね。
面倒くさいですけど、ブロック図を書いて自作品扱いで保証認定もらう方法はどうなんでしょう。 確か自作機なら検定済の測定器でスプリアスを測るなんていう必要はなかったはずです。出力にバンドごとのLPFを付けたらOKだったと思います・・・。
> 自作で電波を出すのは大変な時代ですね。
まあ、総務省の狙いは自作HAMの撲滅なのかもネ。 おとなしく技適機だけ使ってくれれば良いと思ってるんじゃないでしょうか。 私は違うと思いますけどね。幅広く自由を認めて自作が楽しめるようにする方が将来のために役立つでしょう。
たくさん無線機の名前が出てきて懐かしく思い出しました。 どうもありがとうございます。