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2009年1月19日月曜日

【回路】世羅多フィルタ・シミュレーション

前のBlogに、『もちろん世羅多フィルタを含むラダー型クリスタル・フィルタにも使える』と書いてしまった。 それならやって見せろと言う声は・・・あまりないかも。でもやります。(笑) 

最初から振動子のサブサーキットとして、あるいはデバイスリストに水晶振動子(セラミック発振子)が用意されているなら、等価回路に従って、Cm、Cp、Lm、rsを設定してやればあとは回路通り組んでやれば良い筈だ。しかし、B2Spice2には用意されていない。

心配は要らない。結局のところ、SPICEで機械振動系のシミュレーションが出来る訳じゃない。等価回路に従った電気回路としてのシミュレーションを行なうに過ぎない。 だから、あらかじめデバイスリストに水晶振動子セラミック発振子が用意されていなくても、図のように個別のL、C、Rで構成してやればシミュレーション可能なことは明白である。

この例では村田のセラロックCSB455Eを使った5素子・SSB用・世羅多フィルタのシミュレーション結果を示している。通過帯域幅特性、肩部分のダレ具合、通過損失など、良くないところまで実製作物と良く一致していると思う。(笑)
セラミック振動子の電気的な等価回路と等価定数である。
以前、調べて図のようにわかっているから、それを使えば良い訳だ。 もちろん、中国製でやりたいなら下の方のCRB455Eの定数を使えば良い。

図の等価定数はネットワーク・アナライザで複数個のセラロックを実測し統計処理して求めたものだ。しかし、RFの測定器はもともと三桁くらいの有効精度しかないと思って良い。 したがって得られた数字の有効桁数にも限度がある。 さらに実際に使う素子に存在するバラツキのために、シミュレーション結果が実測と完全一致することはない。
それでも、微妙な中心周波数のずれはあっても、フィルタの特性カーブは良く一致すると考えて良い。

あいにくシミュレーションと同じ定数で、CSB455Eを使って作った世羅多フィルタの実測例がなかった。 参考のために上の等価回路の中国製のCRB455Eを使って作った実測例を示すのでご勘弁願いたい。(毎度書くが、Span=20kHzで見ているので富士山型に見えるが、急峻でLC-IFTとは雲泥の差である。まあ使えばわかるが・笑)

等価回路の定数が少し違うとは言っても、極端に違わないからCSB455Eでやっても、だいたい同じような結果になる筈だ。

写真のように、なかなか旨く一致すると思うのだが如何だろうか?
シミュレーションと実際が良く一致するのを喜ぶのが目的ではない。(笑) このあと、回路定数を変えて通過帯域特性を加減したり終端インピーダンスの影響を見るなど、実際に作る前にパラメータを変化させて検証するのが一つの目的だ。或は実回路をたくさん作らずに、ラダーの段数など条件を変えたフィルタが手軽に作れるからたいへん効率的に回路検討できる。

世羅多フィルタに関する他のBlog:実装法・インピーダンスマッチングなど。→こちら

世羅多フィルタをラジオ用IC:LA1600(三洋電機製)で活用する具体例は。→こちら


# SPICE回路シミュレーリョンの話しは一旦これでおしまいにする。

シミュレーション雑感(オマケ):これくらいの規模の回路をシミュレーションするに要する時間は数秒のようだ。なのでまったくストレスはない。厄介といえば、回路図を書き、順調にシミュレーションされるようデバッグすることである。このように繰り返し回路なら、ブロックのコピー&ペーストでササッと描けるから書くのは簡単な方だ。デバッグは常に悩ましい問題で、下手をすれば英文のマニュアルを隅々まで読まされることになる。以前はずいぶんハマったが、お陰で今は結構順調に行く。固有のクセを掴むのがポイントなのだが・・・。この回路は一発でOKだった。(笑)

6 件のコメント:

  1. PC9801DXを使っていた頃、CQ出版社版のPSpiceでいろいろ試してみましたが、あの頃は、ちょっとしたシミュレーションでも結果が出るまでに数秒というわけにはいかず、数分待たされた記憶があります。hi
    フィルタはいいのですが、発振回路は、なかなか発振が開始してくれなくて、トリガーとして数万Vを印加してみたことも。それでもデバイスが壊れないのがシミュレータのいい所です。hihi

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  2. JG1EAD 仙波さん、こんばんは。

    さっそくコメント有難うございます。
    > CQ出版社版のPSpiceでいろいろ試してみました・・・
    あのSpiceは、ずいぶん人気がありましたね。Macのユーザーは指をくわえて見ていたものです。(笑) その頃と比べると、ハードウエアの進歩はスゴイですから、シミュレーションのように演算能力が物を言うアプリは非常に快適になったと思います。昔のスパコン並みですからねえ。

    > 数万Vを印加してみたことも。
    イニシャルコンディションとして、Cにチャージしておく電圧ですね。(笑) このSpiceでも発振には同じように高電圧のトリガーが要ることがあります。周辺回路との兼ね合いでしょうね。 10,000Vの電源に0.1Ωの負荷抵抗を入れ、電流を観測する実験も安全に出来ますね。(笑)

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  3. 仙波さん,加藤さん,こんばんは

    > Macのユーザーは指をくわえて見ていたものです。
    93年頃にはPSpice 5.1評価版のMac版がありました.入手して試してみましたが,使い勝手はCQ版PSpiceと全く同じでしたね.
    自分で理想OPアンプやGB積だけを入れた理想OPアンプ,カレントコンベア等のビヘービアモデルを作って遊んだものです.
    #当時はSE/30

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  4. JH5ESM Cosy/武藤さん、こんばんは。

    コメント有難うございます。
    > PSpice 5.1評価版のMac版がありました.
    たぶん、同じものをその頃いじってみたことがあります。(笑) あとは、職場にあったSunのWSに載った高価なもの。でも、操作の講習を受けなかったので、使えませんでしたねえ。一応、GUIにはなっていたと思います。 今思えば、B2Spiceの方がずっと優秀でしょうねえ。 最新のバージョンの仕様を見ていたら欲しくなってしまいました。(笑)

    B2Spice(Ver.1)はQuadra630/68040で動かしましたが、同じ回路がSunのWSより早かったですね。ちなみに、SunはCPUが68030ですから当然ですけど。(笑)

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  5. おはようございます。
    今日も病室からこそっとアクセスです。^^;

    綺麗にシミュレート出来ていますね。

    以前加藤さんに教えて戴いたセラロックのデータを使ってシミュレートしたことがあるのですが、1個だと綺麗な直並列共振が出るののに、ラダーフィルター回路にしても1個の水晶と同じ特性しか現れなくて結局投げてしまいました(笑)

    うまくいかないときのデバッグは難しいです。^^

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  6. JE6LVE 高橋さん、おはよう御座います。

    コメント有難うございます。でも、見つかって叱られないように。(笑) 今の医療器はワイヤレス機器のRFくらいで誤動作しないようテストしてありますけど・・・

    > 1個の水晶と同じ特性しか現れなくて・・・
    その当時、適切なアドバイスができなかったのかも知れませんね。 想像するに、解析する周波数の刻みが荒かったとの、リニヤなステップでなかった可能性がありますね。 そのあたり、設定が適切でないと思ったような結果にならないことがあります。 何時かまた試してみてください。 このように旨く行きますよ。

    お子さんの付き添い、たいへんだと思います。頑張ってください。

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