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2009年1月17日土曜日

【回路】ふるい回路シミュレータ

このBlogのタイトルは、『使えます・使います(笑)』にしようと思ったのだが、意味不明になりそうなので標記のようにしてみた。

さっそくだが、左図は三種類のごく簡単なアクテブ・フィルタのシミュレーション結果をスクリーンキャプチャしたものだ。

回路シミュレータは初めての人に簡単に説明する。
まず、左のような回路図を描く。 回路図には電源のほか入力信号と読み取りポイントには電圧/電流計を入れておく。 その後どんなシミュレーションをするのか設定する。この例では周波数特性を見たいので下限・上限の周波数などを設定する。 シミュレーションをスタートすると、計算されて結果は右下のような周波数特性のグラフとして描かれる。 この他できるのは直流動作点確認、オシロスコープのような波形観測、過渡特性の解析などがある。横軸が時間になったグラフも求められる訳だ。 各ウインドウを個々にプリントアウトすることも出来る。なお、画面のようなスケマティック・エディタ(回路図エディタ)が付属しているが所謂『回路図清書用』には向いてない。

この例のような簡単な回路ならいきなり試作製作しても心配は少ないが、複雑な高次のGICフィルタなどを設計したら是非とも作る前に検証したいものである。そのような目的に、回路シミュレータは非常に強力なツールとなる。もちろん世羅多フィルタを含むラダー型クリスタル・フィルタにも使える。

Macintosh用の回路シミュレータには良い物がなくて、GUIを備えたものとしてはBEIGE BAGのB2Spiceくらいしかなかった。写真のものは、B2Spiceのバージョン2である。少々古いもので、約10年前に購入したものだ。当時このバージョン2は非力なプラットホームには重たくてだめで、旧バージョンから抜けられなかったものだ。

そろそろ、新しいシミュレータを・・と思って探していたらB2Spiceは健在であった。しかし既にMac用バージョンはなくて、最新版はWin専用になっていた。Macは『クリエーター系のマシン』(?)なので、エンジニアリング用プラットホームに使う人は僅かなので仕方ないのだろう。

但し古いMac版もサポートしていて、今でも使う人がいるらしかった。 それで、試しにMac-mini(PPC)にインストールしてみた。Ver2.1.4から始めて、順次メーカのホームページにあったアップデータでVer2.1.7bまでアップデートしてやった。とりあえずこのバージョンはVer.2.1.7bが最新らしい。上の様にデモ回路で動かしたら使えそうなので、暫く使ってみることにしよう。

購入した当時は重くて仕方がなかった。だが、今のプラットホームだと上の様なごく簡単な回路のシミュレーションはほぼ瞬時に終わる。徒歩とヒコーキくらい違う感じ。これなら、取りあえず新しいのを買わなくても良さそうだ。

SPICEと言えば、デバイス・ライブラリの多少を気にする人も多い。これは古いから最新デバイスは入っていない。 しかし多くの場合、OP-Ampには理想OP-Ampを使い、トランジスタも固有形式を使わずに一般的なNPNやPNPでやれば十分だと思っている。 要は精密なシミュレーションをいくらやっても、実回路に使うデバイスとの完全一致などあり得ず、実回路の物理的大きさによる浮遊容量や配線抵抗も存在する。従って傾向を知るには理想型や典型部品でやれば十分なのだ。この例のようなアクティブ・フィルタでは素子感度など回路定数を検証するには、むしろ理想OP-Ampでないと訳が解らなくなるかもしれない。
注:集積回路の内部素子設計やIC内部の回路設計には、可能な限り精密なデバイスパラメータを抽出しシミュレーションするのが当たり前になっている。上の話しは一般電子回路の場合。


今でもBEIGE BAG社が健在だったとは意外だった。
今どき他に良い物があるから、B2Spiceを推奨するつもりは毛頭無い。今は高機能化した最新バージョンがWindows用として発売されている。 B2Spiceは数万円で購入できるSPICEとしては良く出来ていると思う。 学生さんにはアカデミック・ディスカウントがあってフルバージョンもかなり安い。(日本代理店←検索によるBlog来訪者用の情報・笑)

たいせつなこと:
回路シミュレータがあれば回路設計ができると思う人がいる。それは勘違いだ。まあ、おそらく数十年すれば、『回路設計エキスパートシステム』が出来上がって、正しく要求仕様をインプットすれば望みの物がアウトプットされるかも知れない。

しかし今はまだそこまで行っていない。回路屋の設計検証と実験を助ける単なるツールに過ぎない。言わば大工さんの『大工道具』の一つの様なものである。もちろん、大工道具さえあれば誰でも家が建つ訳ではないのはおわかりだろう。 回路ミュレータが使いこなせれば、回路職人にはまさしく『鬼に金棒』になること受け合いである。しかし、素人には『画面上だけで動く』クソ回路を生成する元凶でもある。(爆)

# 『シミュレータでは動いたんですが・・・』と言うエンジニアがいる。(苦笑)

参考:『回路シミュレーション関係のBlog』
◎GIC型ローパス・フィルタ(LPF)のシミュレーションについて:=>こちら
◎世羅多フィルタ(ラダー型クリスタル・フィルタ)のシミュレーション:=>こちら
◎音の良いCW用フィルタ(オーディオ・アクティブ・フィルタ):=>こちら

6 件のコメント:

jh5esm/cosy さんのコメント...

こんばんは.
B2Spiceですね.
私は使ったことがなく,自分でSPICE2G.6をSystem 7.xにポーティングして使っていました.
一時期はかなり参照されていたようですが,Spice3f4がポーティングされたのでお役御免となりました(^^;
#同じく古い話で申し訳ない.'95〜'00頃の話です.

今はどうか知りませんが,B2Spiceのライブラリには真空管が入っていたのですよね.これは魅力だったかもしれません(笑)

今使っているのはフリーのMacSpice3f5です.GUIとスケマティックエディタこそありませんが,機能的には十分過ぎますね.

TTT/hiro さんのコメント...

JH5ESM Cosy/武藤さん、こんばんは。

さっそくのコメント有難うございます。
> B2Spiceのライブラリには真空管が入っていたのですよね.
B2Spice2には確かあったと思います。 でも、中身の記述を見るとホントに真空管かと思うような・・・。(笑) 私が初めて見た頃よりは改善されたかもしれませんが。

> 今使っているのはフリーのMacSpice3f5です.
B2Spice2もSpiceエンジンは3f5ですから、解析機能は同じでしょうね。 GUIはなかなかFBに出来ています。(少々バグっぽいですけれど・笑)

JE6LVE/Takahashi さんのコメント...

こんばんは。

書籍に付録のPSpiceぐらいしか使ったことがないのですが、
Win用電子シミュレータもやはりSpice系が有名なのでしょうか。

Linux用だとオープンソースで良さそうなのが多そうな気もしますね。

>最新版はWin専用になっていた。
そろそろ全面的にWin乗り換えを・・(爆)

TTT/hiro さんのコメント...

JE6LVE 高橋さん、こんばんは。

コメントどうも有難うございます。
> Win用電子シミュレータもやはりSpice系が・・・
ほとんどがSpiceを基本にしたものだと思います。 その昔は、WS上で動かす数百〜数千万円もする高価なソフトでした。しかも、GUIなどなくて・・・確か、FORTRANで書いてあったと思います。(笑)

Spiceは大学の先生や学者さんほか、今では学生さんの実習でも使いますので、無料のLinux版がポピュラーなようですね。 逆に、業務用のパッケージものは非常に高価でアマチュア向きではありません。(案外低機能・笑)

> そろそろ全面的にWin乗り換えを・・(爆)
まだまだMacで行きますよ。(笑) でも、総合的に見たらプラットホームの価格など知れてますから、安価なツールがいっぱいあるWin系の方がエンジニアリングには安くつきますね。(笑)

JE6LVE/Takahashi さんのコメント...

>その昔は、WS上で動かす・・
むかしPC98用SpiceのFDが付いた書籍を購入したのが初めてさわったエミュレータでした。

>FORTRANで書いてあったと思います。
数値演算プログラムは今でもFORTRANで書くのが良いのではと思っています。
でも今安価なFORTRAN開発言語がありませんね。
昔はミニコンでFEMのプログラムをFORTRANで書いていたのですがもう数十年さわっていません。^^
やはりLinux系が安価に環境は構築できますね。

>安価なツールがいっぱいあるWin系の方が
WinやLinuxのメリットはハードが安価な物から
超高性能な物まで選択出来ることだと思います。
数値計算処理にはハードの性能は重要ですし、
しかも昔と違って超高性能と言っても100万もかかりませんから。(笑)

TTT/hiro さんのコメント...

JE6LVE 高橋さん、Res有難うございます。

> むかしPC98用SpiceのFDが付いた書籍を・・・
CQ出版だったでしょうか。 Mac派には羨ましかったものです。 その頃はCUIだったと思いましたね。

> FORTRAN・・・もう数十年さわっていません。^^
学生のころ、1行1枚のパンチカードでやりましたが、すっかり忘れました。 FORMAT文とか、アウトプット書式も厄介だった記憶があります。 演算の部分はBASICも良く似てましたね。今や、COBOLとともに古典原語でしょうねえ。(笑)

> Win系・・・ハードが安価な物から超高性能な物まで
昔のスパコン並みのハードを個人が買えるんですから考えてみたら恐ろしいですね。(素晴らしいです) それを活かさない手はないのですが・・・人間が付いて行きません。(爆)