2020年8月4日火曜日

【Antenna】160m Band Antenna , Fixed

アンテナ:160mバンドアンテナを最終調整
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This article is a continuation of the low band antenna modification. I've been experimenting with this antenna for two months now with a temporary response. As the result was good, I completed the modification. I soldered the extension of the antenna element. As a result, the operation was very stable. It seems that a proper response is still necessary.   (2020.08.04 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)

恒久化完了
 160m Band用アンテナを改造する話の続きです。 前のBlog(←リンク)では様子見の意味もあって、仮の対応で1.8MHz帯に出られるようにしました。 仮設の意味は、バンドの拡張分をミノムシ・クリップで挟んだ電線で応急的に対処していたからです。
 さすがにいつ迄もそのままという訳には行きません。 ミノムシ・クリップはやめてきちんとハンダ付けすることにしました。

                   ☆

 拡張された1.8MHz帯に約2ヶ月ほどオンエアしてみました。 なにぶん既に初夏ですからこのバンドは旬ではありません。 それでも物珍しさもあってか意外にオンエア局も多いようでした。 まあ多いとは言ってもメジャーなバンドじゃありませんから、オンエアしている局数は限られます。 昨今ではみんな交信済みになってだいぶ飽和してきた感じです。 FT-8モードの交信がまったく飽和てしまったら今度はCWにオンエアしようと思案しているところです。

 このアンテナ、オンエアしていて国内局相手ならマズマズ飛ぶ感じなので「ミノムシ・クリップで挟んだ電線」から脱却して恒久化することにしました。 今回のBlogは自身の作業メモなので役立つお方はまずないでしょう。 おヒマじゃなければとりあえずスルーしてください。(爆)

 【170m用になる?
 従来の1.9MHz帯は160mバンドと呼ばれてきました。 確かに、1910kHz±2.5kHzの波長は157mくらいですから、まあ160mバンドで良いんでしょう。(笑)

 今回はエレメントを延長して1.8MHz帯のアンテナに改造します。 中心周波数は1837.5kHzで、波長は163mです。そのまま160mでも良いのかもしれませんが、1800kHzでは167mになります。 何となく170mのイメージに近くなってきました。 170mバンドと言うのはここだけの冗談としても、だいぶ低い方へシフトした感じです。(笑)

 ざっと考えて72.5kHzほど共振周波数を下げることになります。 前回の仮設工事では約65cmの被覆電線を追加して1940kHzあたりに共振するようにしたのです。 でも、みの虫クリップで挟んだだけではどうしても不安定さが残るように感じていました。 一応、共振はするようですがアンテナ・チューナの挙動を観察すると何となくぎこちなくて怪しげです。(笑)
 そろそろ潮時と考えて仮設を脱却することにしました。 銅線を用意しハンダ付けするだけの簡単な作業です。  始めてみると仮設とは言え自己融着テープで防水処理しておいたので雨水の侵入もなく初期状態に近い良い状態でした。 しかしミノムシ・クリップでは点接触のようなもので、どうしても不安定ですから今度はがっちりハンダ付けしておきます。

 【小刻みに追い込む
 足りなくて何回も追加するのは面倒ですから長めに追加しました。 追加する電線は古いアンテナの残骸からリサイクルで調達しました。 実測で128cmの電線を2本用意し、端部を5cmほど磨いてハンダ付け部分にします。 従って有効な延長量は123cmとなります。(123cmずつ左右エレメントの両端にそれぞれ追加)

 123cm追加した状態で共振周波数を測定したら1800kHzちょうどでした。 これではだいぶ低すぎますから共振点がバンドの中央付近(=1837.5kHz)に来るようカットして追い込んで行きます。次項のように測定画面で観察しながらカットして行きました。

 初めはやや大胆に15cmとか20cmずつカットします。 だんだん良いところに近付いたら5cmずつ小刻みに調整して行きました。 最終的に、追加した長さが65.5cmになる所まで切り詰めてほぼ目標のところに来ました。 不足を警戒した最初の123cmはだいぶ長すぎたようです。切れ端がたくさんできてしまいました。(笑)

 【最終特性は?
 左は調整を追い込んだところです。 1837kHzでSWR=1.2くらいになっています。 バンドの下端と上端ではSWR>3になりますが、あまりバンドエッジにはオンエアしませんから支障はないでしょう。

 もう暫くのあいだオンエアのメインはFT-8だと思うので良く使うのは1840kHzあたりでしょう。 また、交信の合間にオンエアしているWSPRなら1836.6kHzです。 この先オンエアする予定のCWは1815kHz辺りかと思うのですが、国内局相手がメインになりそうな当局はもう少し上の方に出る方が良いでしょうか?   そんなことを考えながら概ねバンドの中心付近でSWRが一番下がるように調整して終了しました。 なお、この観測は下記のTEST-2のパターンでやりました。(厳しい方になります)

 画面の右の所に1910kHz±2.5kHzの位置を記入しておいたのですが、 流石にSWRが高すぎて使い物にはなりません。 どうしても戻りたくなったら足した分を切断するしかないようです。 延長コイルの逆で、短縮コンデンサを入れるって言う手があったように思うのですが、あらかじめそれなりの構造を考えておかなくてはダメなようです。将来の研究課題にしておきましょう。hi

参考・1:160mバンドのバンドプラン
1800kHzから1830kHzがCW、1830kHzから1845kHzがCWと狭帯域データ(例:FT-8など)。1845kHzから1875kHzが狭帯域の全電波形式。なお、1907.5kHzから1912.5kHzは従来通りCWと狭帯域データのみ。(2020年8月:JARLサイトによる)

参考 ・2:2020年8月19日(水)にSSB(J3E・旧A3J)などの電話モードでのオンエアが特別な申請なしに可能になりました。このバンドの免許があれば事後報告的に(遅滞なく)電話モードでのオンエアに関して届け出れば良いのだそうです。なお、詳細は必ず官報など参照されてからオンエアしてください。(2020.08.19:追記)

 【全バンドの評価・1
 左は前回のBlogの評価と同じ方法で観測した4バンド逆VアンテナのSWR特性です。

 概ね同じように調整を追い込んだだけですから、160mバンド以外の特性に変化はないようです。 まあ、そうでなくては困るのですが。(笑)  今回は30mバンドの特性も見えるように測定しました。 30mバンドは無短縮ですから帯域幅も広く取れています。 SWRのボトムはややバンドの上の方に外れているようですが、バンド内のSWRは1.5以下なので支障はないでしょう。実際に飛びも悪くありません。コンデイションさえ良ければ南米とかEuと交信できています。

 80mと40mのSWRボトムはやや低すぎる感じもしますが、デジタルモードやCWでのオンエアがメインなのでまあまあでしょうか? SSBに出るならもう少し高い方へ調整すると良さそうです。 ただし40mバンドは200kHzに広がったのでフルカバーするのはそれなりに大変です。 80mバンドも上の方の「飛び地」にオンエアするのは難しいですね。 従って各バンドとも主にオンエアするモードに従い共振点を合わせて妥協するしかありません。

全バンドの評価・2
 上の測定と何が違うのかと言うと、測定系の途中に入っている物が違うのです。 実際の運用では上のような状態になっています。 こちらの方は途中に入っているダミーロードとSWR計を兼ねた機器をパスしているのです。

 どちらかと言えばこの状態の方が実際なのかもしれません。 アンテナ系としては余分な機器がないのでシビアに特性が現れているようです。 個々の周波数の共振特性を見ると綺麗なようですし特性もわかり易いように感じました。 それで160m Bandの調整もこちらで行なってみたわけです。 ただしバンド内に限れば極端な違いはありません。

 きちんとハンダ付けしてエレメントを延長した結果、ATUのチューニングの挙動も安定したように感じます。 アンテナは屋外にある関係で、季節や気象条件などによって微妙に変化が現れるものです。 しかし仮設と比べてその時々の変動は少なくなったように思います。

                   ☆

 私が開局した当時、OMさんから「無線局はアンテナだよ」と言われたものです。 そのころはよくわかっていなかったこともあって「無線局はヤッパリ無線機」だろうと思ったものでした。(笑) しかし、いくら高性能な無線機があってもアンテナがPoorなら性能は活きてきません。 リニヤアンプを付けたところで輻射効率が悪ければせっかくのハイパワーも熱に化けるだけです。 無線局にとってアンテナが大切なことはOMが言われた通りです。 その上で高性能なリグを揃えればベストなんでしょうね。 狭い敷地に何とか工夫して上げたようなアンテナばかりの当局には夢のようなお話なんですけれどネ。(笑)

 仮設の状態でもテストにはなったので十分意味はありました。 しかし何となく不安定さが感じられ気になってきたのです。 ローバンドが本格化する秋まで待っても良いかと思っていたのですが、暑さと蚊の来襲を我慢し作業して良かったと思います。 短縮+折り曲げエレメントなので160m Bandはあまり飛ばないのですが、何とか国内くらいならカバーできそうです。 電波が届いておりましたら是非コールしてください。 なお、アンテナや無線局にまつわる逸話でもあればお気軽にコメントをどうぞ。 ではまた。 de JA9TTT/1

(おわり)fm