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2025年5月13日火曜日

【電子管】Testing the Battery Tube X-tal Converter : 1AB6 / DK96

1AB6 /DK96でクリスタル・コンバータを(活用編)

Introduction
I have made a prototype crystal converter circuit using a 1AB6/DK96 battery tube. This circuit is located at the top of the Collins-type receiver and has a significant impact on the receiver's performance. I made a prototype for design verification. The results obtained were good. When the antenna was connected, it was found that the received signal in the 7 MHz band could be received with good sensitivity. This is a step forward to the production of the receiver.(2025.05.13 de JA9TTT/1 Takahiro Kato) 

【ペンタ・グリッド管のクリコン】
 いわゆるコリンズ・タイプと称する形式で受信機の検討を進めています。(前回のBlog←リンク参照) コリンズ社が考案者という訳ではないのですが、メカトロニクスの粋を結集し一つの受信システムとしてまとめ上げた功績からそう呼ばれるようになったようです。

 入力信号は水晶発振器を使った局発により周波数変換されます。 その後、可変I-Fの第1中間周波を経たのち再度周波数変換されて固定周波数の第2I-Fに変換されます。 今回のBlogではこの最初の周波数変換、1st コンバータを扱います。

 第1周波数変換は受信機のはじめの方にありますので真っ先にローノイズな性能が求められます。 RFアンプを前置するのは当然ですが、全体のノイズ性能を左右するのでやはりローノイズなコンバータ回路が望まれるのです。 特にHF帯のハイバンド以上では空間ノイズが低下することからローノイズ・コンバータ(ミキサー)は必須です。

 ここでは5グリッド管の自励式コンバータをテストします。 目的は7MHz帯の通信用受信機のコンバータとして必要な性能を備えているか否かを判断するためです。 もちろん最適な動作条件(回路の部品定数)を得るのも目的です。

 常識的に言えば水晶発振の局発を用意し五極管のグリッド注入型ミキサーとするのが良いでしょう。ローノイズでゲインも十分得られるからです。(ただし2球必要です) ここでは球数の削減を目的に5グリッド管(7極管:コンバータ管)で自励式コンバータ回路を試みます。(もちろん局発は水晶発振ですけれど) 5グリッド管を使えば単球で済みますが、これで性能は大丈夫でしょうか?

                    ☆

 ケチケチ設計のコリンズ・タイプ受信機になってしまいそうです。w マトモな設計の受信機を作るつもりならそもそも電池管なんかやめた方が賢明です。普通の球を使って作る方が報われやすいです。電池管はデバイスとしての性能が違い過ぎですね。
 例えば米軍用トランシーバ:RT-66〜68シリーズの基本設計は電池管式です。ただし高周波増幅だけは6AK5を使っています。たぶん電池管の1T4とか1L4では性能不十分なのでしょう。このRTシリーズがHF帯ハイバンドからVHF帯というのも関係ありますけれど。

 すべて電池管で作ると性能は期待できませんが7MHz帯ですから何とかなるんじゃないかと思ってテストしています。 つまらんと思ったらこの先はおやめください。 上っ面をざっと眺めたところで貴方が企んでいる高性能受信機設計にはほとんど役に立たないでしょう。 まあ考え方次第ですが。 私は得るものはあると信じています。(笑)

【七極管クリコン回路】
 「クリコン」とはクリスタル・コンバータの略で、クリスタル・・・水晶発振子のこと・・・を使った発振器を使うコンバータ回路のことです。 真空管としては1AB6/DK96だけでなく1R5-SFで作ることもできます。 1R5(-SF)でも水晶発振で使えば引き込み現象も実用上問題にならないはずです。 実際に水晶発振のテストまでは進めてあります。

 今回は1AB6/DK96で試すことにしました。 1AB6/DK96でも問題なく水晶発振が可能でした。 発振回路はピアースPG相当(無調整回路)で周波数は5.12MHzです。のちに写真がありますがきれいな正弦波(第1グリッド側で観測)で発振しています。

 第4グリッドはB+直結の回路になっていますが、追加の試験によるとドロッパ抵抗(100kΩ)とバイパス・コンデンサ(0.01μFくらい)を挿入しておく方が良いようです。ドロッパ抵抗を挿入すると状態が変わるため各実測値は異なってきます。 回路図のまま作っても支障はないため、図中の数値や以下の評価結果はドロッパ抵抗なしの例で示しました。

 入力の同調回路で昇圧された7MHz帯の受信電波は第3グリッドに加えられ、局発の5.12MHzと混合され差のヘテロダインで1.88〜2.08MHzに周波数変換されます。 なお、今回はコンバータ回路の要素実験なのでRFアンプなしのコンバータ単独でテストします。

 実際の受信機ではコンバータの前に高周波増幅(RFアンプ)を設けます。 またこの第1周波数変換の後ろは、おなじく1AB6/DK96を使った第2周波数変換が続く予定です。

 今回は第1周波数変換単独でテストする都合から、そのままテストできるよう便宜的に低インピーダンスにステップダウンして変換出力を取り出しています。そのため変換利得は犠牲になってしまいます。

 既存のジェネカバ受信機で1.88〜2.08MHzを受信してみることで実際に7MHzのHAMバンドがどのように周波数変換されて聞こえるのか、コンバータ回路としての性能が感覚的にわかるはずです。

 従って製作する受信機とはT2(出力同調回路)の部分が異なります。 受信機では2段の同調回路を重ねた形の可変同調回路を予定します。 その構成なら50Ωにステップダウンはしませんから2つの同調回路の結合損失程度の僅かなロスで済むはずです。 第1周波数変換回路としてはプラスのゲインになるでしょう。

【キーポイントは水晶発振】
 やはりキーポイントは水晶発振にあります。 確実な発振が起こらなければ周波数変換はなされません。 第1グリッド、第2グリッド(プレートに相当)とフィラメント(カソード)の三極によるスタンダードな水晶発振回路を構成します。

 ただし電池管はgmが低いため発振回路の部品定数を最適な状態に選ぶ必要があります。 たいへんポピュラーなラジオ用五極管:6BA6と同じような部品定数では発振してくれないことがあります。

 発振強度はC4(10pF)とC6(27pF)によって加減します。 この定数は比較的強力に発振するように選んであります。 もう少し弱い発振でも大丈夫そうですが強めに発振するよう選びました。もちろん選び方が悪いと発振してくれません。 さらに1R5-SFとではかなり異なりました。

 水晶発振子は5.12MHzですが、これは手持ちの都合です。 幸いスプリアスがバンド内に入ることはありません。 周波数の選び方が悪いとスポットでスプリアスが現れることがあります。
 5.12MHzの水晶発振子は市販品があります。使ったものの形状はHC-49/Uです。他の形状の水晶発振子でも大丈夫ですが発振子によっては回路定数の見直しを要する場合があります。gmが低い電池管はゲインが低いため部品定数選びは幾分シビアというのが大まかな印象です。

【発振波形を見る】
 第1グリッド側で発振波形を観測してみました。

 19Vppあって、かなり大きいように感じるかもしれません。 これくらいで支障はないようです。 むしろ変換コンダクタンス:gcの点から見てこれくらい必要なようでした。 これが小さいとだんだん変換ゲインが低下してきます。

 プローブを当てると対GND間のキャパシタンス:Cが増えたのと等価になります。 C4(10pF)が数pFくらい増えたことになります。 その結果、やや発振振幅は大きくなる(発振が強くなる)方向の影響が出ています。(グリッド電流Ig1を測りながらプローブを当ててみると影響がわかります)

【Philipsのデータシートでは?】
 いくら低性能なコンバータ管とは言っても諦めずにフルに性能を発揮させたいものです。 動作状態確認のためPhilips社の1AB6/DK96のデータシートを参照しましょう。

 横軸には第1グリッドに加えられる局発の電圧がとってあります。 描かれたカーブは変換コンダクタンス、プレート抵抗、第1グリッド電流です。

 このうち、変換コンダクタンスに着目しましょう。 それによると局発の電圧が5Vrmsあたり(=14Vpp程度)でピークになります。それより小さくても大きくても変換コンダクタンスは低下します。 ただし大きい方の変化は緩やかです。

 周波数が固定の水晶発振器ですから最適化はだいぶ容易です。 何か条件が変わって発振振幅が変動しても影響が少ないようにやや大きめの局発が加わるようにします。

 グラフを読むと変換コンダクタンス:gcはだいたい300μ℧くらいになります。 6BE6の変換コンダクタンス:gc≒475μ℧と比べたら小さいのですがこれが電池管コンバータの実力です。 むしろ五十分の1にも満たない陰極(フィラメント or カソード)の加熱電力で300μ℧が得られるとは驚きとも言えます。

【受信してみよう】
 RFアンプなしのコンバータ単体ですが、実験的にそのままアンテナを繋いで受信してみました。

 7,000kHzが1,880kHzに周波数変換されますから、7006.64kHzを受信していることになります。 実際には局発の5120kHzに+250Hzほど誤差があるため、その分だけ高い周波数を受信しています。まあ、わずかですが。

 スペクトラム表示を見てもらうとわかりますが、HAM局の電波が並んで結構良く聞こえます。 すこしノイズっぽい感じもしますが、コンバータ管直結ですからこんなものなのでしょう。 RFアンプをつければ間違いなく実用性能になります。 7MHzは空間ノイズのレベルが高くてNF≧20dBの受信機でも支障ないくらいです。 低性能な電池管で作った自称「通信型受信機」ではあってもまずまずの実力を発揮するでしょう。

 定性的な評価だけでなく定量的なゲイン測定も試みました。 簡易な測定ですが、はじめにSSGで7010kHzで40dBμを与えます。 そのときのIC-756のSメータの読みを精密に記録(記憶)しておきます。 その後、IC-756にSSGから変換された周波数とおなじ1890kHzを直接与えて同じだけSメータが振れるようSSGの出力を加減します。 その読みと先の40dBμとの差からゲインがわかります。 簡易ですがこれである程度の精度でゲインが測定できます。(参考:40dBμ=100μV/EMF:負荷端では50μV)

 各部のインピーダンスが正確に50Ωではないと言った誤差要因はありますが10dBも狂うことはないでしょう。 実測によれば-4dBくらいのゲインになりました。 T2がステップダウントランスなので20dBくらいゲインを低くしている訳です。

                    ☆

 コンバータ管で「周波数変換できるのは当たり前だよ」 確かにそうなのですが、クリコンの製作例が見当たらなければ当たり前のことでも自身で確かめてみるのがこのBlogの方針です。 机上の検討だけでなく要素実験しておけば設計の確実性がアップします。 今回は受信機の感度に関して重要なポイントになりそうな第1周波数変換回路(クリスタル・コンバータ)をテストしておきました。 意外に良い成績だったと思います。 まずまず使い物になる感触が得られました。

 次回もHAM用受信機に向けた回路要素を検討したいと思っています。電池管を活用した通信機の可能性が広げられたらだんだん面白くなってきます。 ではまた。 de JA9TTT/1

*何かご質問とかご要望などあったらコメント欄でお願いします。
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→ご要望など私で可能な範囲で対応いたします。


つづく)←リンクfm

乾電池で働く真空管で通信型受信機を創る・バックナンバー】(リンク集)
この特集では主に欧州系の省エネ型ラジオ用電池管を使って実戦的な通信型受信機の製作を目指します。全7球で省エネ・高性能な管球式ダブル・スーパー受信機にまとめます。

第1回:(初回)欧州系コンバータ管:1AB6/DK96で周波数変換回路を試す→ここ
第2回:欧州系バリミュー管:1AJ4/DF96でI-Fアンプを試す・含1T4-SF→ここ
第3回:日本独自の省エネコンバータ管:1R5-SFで周波数変換回路を試す→ここ
第4回:オーディオ・アンプ用複合電池管:1D8GT(豪州製)の紹介→ここ
第5回:複合電池管:1D8GTでまな板スタイルのオーディオ・アンプを作る→ここ
第6回:省エネコンバータ管:1R5-SFでプロダクト検波を詳細に検討→ここ
第7回:電池管で作る高性能受信機を構想してみる・含1AB6/Dk96のプロ検→ここ
第8回:欧州系コンバータ管:1AB6/DK96でクリスタル・コンバータを試す→いまここ
第9回:ペンタ・グリッド管:1AB6/DK96で第2周波数変換を試す(その1)→ここ
第10回:ペンタ・グリッド管:1AB6/DK96で第2周波数変換を試す(その2)→ここ
第11回:(最終回)I-FアンプとマーカOSCの兼用回路と受信機まとめ→ここ

2025年4月28日月曜日

【電子管】Planning a Battery Tube receiver

【電池管で受信機をプランする】(計画編)

Introduction
I started thinking about how I could make a receiver using a battery tube. There are two directions for that receiver. One is a single-super heterodyne format. It's just like what you'd find in a home radio receiver. The other is a double-super heterodyne format. The Collins type is especially wonderful in the double-super format. I decided to go for it. I've started looking for parts that I can use for the receiver. I'm really hoping I can find the right parts.(2025.04.28 de JA9TTT/1 Takahiro Kato) 

【これから造る受信機は:】
 中波BCバンドあるいは短波を含む2バンドのポータブル・ラジオならすでに検討した回路の延長で作れます。 当地は関東地方にあって比較的都会に近いのでラジオ局はみな強力です。スタンダードな4球式電池管スーパーで実用になるのです。「電池管を使ってみたい」という願望に対し、それも一つの回答と言えるでしょう。

 ここではもう一歩踏み込んで通信型受信機と言えそうなRadio Receiverを計画したいと思うのです。 一般的なラジオと何が違うかと言えば、感度、選択度、安定度でしょう。 これらは受信機の3要素と言われるものです。 もう一つ付け加えるとすればダイヤル機構の重要さがあります。

 ラジオ放送局は一般に大電力であり巨大なアンテナで送信しています。それに対して多くのHAM局はせいぜいPo=1kWであってアンテナも貧弱で大したものではありません。 HF帯のLow BandではフルサイズのDPアンテナに100Wが標準でしょうか? それでさえアパマンHAM全盛の昨今では贅沢なくらいかも知れません。

 要するに放送局と比べれば1/100〜1/1000くらいの設備と言えます。電界強度で考えると40dB〜60dBは違うはず。それだけ高感度でなければ満足な受信はできません。十分なゲインを望めば増幅段数は増えます。ラジオ並みの設計では不足です。
(参考:TA2003Pのようなラジオ用ICチップで受信機を作るとHAM用としては不十分な性能になってしまう理由でもあります。やはりラジオ放送用のチップなのです)

 選択度に関しては微妙なところです。 もちろん本格的な通信型受信機を目指すなら受信対象とする電波形式にあった帯域幅のI-Fフィルタを備えねばなりません。それでは簡易な受信機には高級過ぎるでしょう。フィルタのロスを補おうとすれば増幅段数は増えてしまいます。 耳フィルタで頑張る前提で簡略化する必要がありそうです。

 いかなる受信機も周波数安定度は良いに越したことはありません。 しかし電池管の受信機をFT-8の様なデジタルモードで使おうとは思いません。CWとSSBが普通に聞こえれば良いでしょう。 そう考えてLC発振の局発で何とかならないものでしょうか?

 こんな前提から受信機の構成を考え始めました。

                   ☆

 電池管とはどんな電子デバイスなのか?・・・答えはあらかた得られたと思っています。 ラジオを超えた通信型受信機の範囲へ発展させることも十分可能だと思います。可能性がわかったらもう十分なのかも知れません。 あえて低性能な電子デバイスを無理を承知で使って性能の良くない機械を作ったところでだれも感心しません。 物好きと思われるだけです。(笑)
 その通りだとわかっていますが乗りかかった船とも申しますのでもう少しこの方向で検討しておきます。 おヒマでしたらお付き合いを。

【シングルかダブルか?】
 現実味のない「夢の受信機」を語ることも可能ですが、ここでは実際に手元にある部品を活用する前提で「超現実的な方向」で考えてみたいと思います。

 ラジオを超えた受信機とは言っても、スーパ・ヘテロダイン形式で作る以上基本は同じです。
 一つはそのままシングルスーパを拡張する方向です。 感度や選択度が不足する部分は増幅段数を増す方向で考えます。 低周波を増やせば音量は増えますが感度は良くなりません。感度向上にはRFアンプとI-Fアンプを補います。

 左図の(A)はそうした構成の一例です。 一般的な球を使った高1中2と違うのところは局発回路でしょう。球数をケチるために自励式コンバータで済ませます。 これはプロダクト検波回路部分も同じです。 セラロックを使った自励式BFOのプロダクト検波器として最少の球数で実現します。 周波数安定度に多少の心配はありますが、受信周波数範囲を狭く絞ってやれば実用的な安定度も難しくはないはずです。

 左図の(B)はより発展させた形式です。 いわゆるコリンズタイプのダブルスーパになっています。 ただしここでも最少の球数にこだわっており、第1・第2のいずれの周波数変換も自励コンバータです。 もちろんプロダクト検波も同様です。I-F1段ではゲイン不足かも知れません。想定ではおおよそ5球スーパ以上、高1中2以下になるはずなので少々不満を感じそうです。

 もしも暫くのあいだシャックで実戦的に使いたいのでしたらI-F2段が良いでしょう。 コンバータ部にも変換ゲインはありますから丸々一段分のゲインが不足する訳ではありません。 IFTにもゲインが得られ易いものを使うと言った配慮を行なえばかなりカバーできます。1段少なくして多少なりとも簡略に済ますか、それとも安心を取るのかここは思案どころ。

【部品を吟味:IFT】
 7メガ帯くらいまでなら高1中2形式でも十分な実用性があるでしょう。 しかしラジオの延長のようであまり面白くありません。(笑) 上記(B)のダブルスーパで行きたいと思います。

 球数を減らすと性能が下がるのでホントを言えばI-Fは2段がいいです。その場合IFTはT-11かT-21が良いでしょうね。 メカフィルも良いのですが通過Lossが大きくて電池管1本分のゲインは確実に損します。 無理は承知でこの1段用のIFTを使ったダブルスーパを考えたいと思います。

 写真のTRIO T-6 IFTは昔買ったものです。受信機の計画変更のためお蔵入りになってそのまま永い年月が過ぎました。 最近テストしたところ大丈夫そうですから使ってやりたいと思います。 いちおう選択度重視のIFTですがラジオ放送に対しての重視を意味しますからHAMバンドでは選択度が不足なのは当然です。耳フィルタで頑張りましょう。(爆)

【1段用IFT:TRIO T-6】
 IFT T-6は1段増幅用なのでハイ・インピーダンスの設計になっています。ただしgm =2m℧程度の球、例えば6BD6や6D6が想定です。検波は6AV6あるいは6Z-DH3Aの2極管検波を想定している筈です。IFT-Bのインピーダンス50kΩはそれが前提です。

 電池管:1AJ4/DF96あるいは1T4(-SF)を使うとgmはせいぜい1m℧ですからゲイン半減です。 検波回路の負荷インピーダンスをなるべく高くとって所定の負荷インピーダンスよりも高くなるような使い方を工夫する必要があるでしょう。選択度も良くなる方向なので悪くないはずです。

 図右下の特性曲線に鉛筆書きの選択度が書いてありますが、これは私が東光の簡易メカフィル:MFH-40Kの特性をプロットしたものです。T-6は高選択度型とは言っても簡易メカフィルにさえも負けるくらいですから碌にキレないのです。ラジオ用ですからねえ(爆)

                   ☆

 IFT以外のコイルも必要でTRIOのSシリーズコイルで言えばSE-RF付きがあれば使えそうです。 残念ですが持ってませんし手にも入りませんので何かのボビンに巻いて自製するしかありません。 200〜300kHz幅をカバーすれば良いので難しくはありませんが、周波数安定度を確保する必要からイイカゲンなボビンに巻くと失敗するでしょう。手持ちから検討する必要があって素材のチョイスが肝心です。

【部品を吟味:ギヤ付バリコン】
 コリンズタイプですから第1-IFは周波数可変です。簡単に言えば1.88〜2.08MHzのシングルスーパを作るのと等価です。(実際には250kHzカバーを予定) バリコンを使って局発を可変し第2コンバータの局発と段間同調回路をトラッキングさせます。 この設計は既に済んでいます。

 左写真Bのバリコンを実測したところ、FM用のセクション(3連分ある)の実質的な可変容量は18pFありました。 設計してみるとあまり無理のない定数で可変同調回路が実現できました。 1:3の減速ギヤが付いているので1回転半で周波数範囲をカバーすることになります。

 ダイヤル・ノブ直結でもなんとか実用可能かも知れませんが、かなり同調はシビアになるでしょう。更に1:3のボールドライブ等で減速するのが良さそうですね。 このバリコンを使うと右回転で周波数が下がるダイヤルになってしまいますがこれは止むを得ません。折り返して裏返るという手もありますけれど・・・。

                    ☆

 ダイヤル機構はもう少し考える必要もありそうですが取り敢えずこれ以上思いつきませんのでここまでにしておきます。 モノバンドで考えていますのでバンド切り替えのスイッチは不要です。コイルは切り替えず2〜3バンドカバーなら可能でしょう。 他に必要そうな部品もありますが何とかなると思っています。 プリセレクタのバリコンは電気的に見てポリバリでも大丈夫です。ただし構造からポリバリでは発振が恐ければ上記のエア・バリコンと同じものを使う手もあります。AMセクションを使うとカバー範囲が広く取れます。

 シンプルな路線で行きますので手持ち部品の工夫・流用で何とかしたいものです。

                   ☆ ☆

【1AB6/DK96のプロダクト検波】
 前回ネタ(←リンク)の続きとして同じ5グリッド管の1AB6/DK96でもプロダクト検波器を試作しました。

 1R5-SFの手持ち本数があれば1AB6/DK96での試作は不要でした。 あいにく1本しかなかったので回路設計の自由度をアップする意味で1AB6/DK96でも追試してデータを採っておきました。

 よく似た球ではありますが使い方は異なっています。刺し替えただけでは動作しません。一旦解体して再組み立てしています。写真は試行途中の様子なので部品リードが長いままだったり配置も最適化されていません。

 おなじセラロックを使って試作していますが、最適な回路定数は微妙に異なっており試作して確認する意味がありました。 最適化した上で得られる性能には大差はないようですから、機能ブロックとして置き換えは可能でしょう。

 フィラメント電流:If=50mAの1R5を使っても良いのですが、少しでも省エネに作りたいので1AB6/DK96でも試しておきました。 1AB6/DK96でプロダクト検波を試した人なんて世界中にほとんどいないでしょうね。 ここだけの話し、けっこう使えます。w

【1AB6/DK96のプロダクト検波回路】
  (図面:Ver. 1.0.1 UP 20250504)
 1AB6/DK96が1R5-SFと大きく異なるのは第4グリッドの扱いです。 1R5(-SF)の第2・第4グリッドは内部で結ばれてからピンに引き出されています。従って分離はできません。

 1AB6/DK96ではそれぞれ独立です。 第2グリッドが発振管のプレートに相当します。第4グリッドは五極管のスクリーン・グリッド相当で純粋に電子加速用のグリッドであり加える電圧によって特性は大きく変わります。 電圧を高く掛ける方がIpが大きくなりgm(gc)もアップするようです。

 ただし電圧には制限があります。Ep=85Vで使うときは第4グリッドの電圧を60Vに抑えて使います。逆にプレート電圧も64.5V以下で使うならドロッパ抵抗は不要でプレート電源に直結でも大丈夫です。ここではEp=50Vですから左回路図におけるドロッパ抵抗のR6=120kΩは必ずしも必要なかったようです。(その後の検討によれば第4グリッドのドロッパ抵抗:R6は常に入れる方が良いようです。100kΩを推奨)

 この実験回路の詳しいデータを必要とする人はまずおられないでしょう。今回は省略します。 まったく同一と言うわけではありませんが1R5(-SF)のプロダクト検波器と似たものと思って間違いではありません。もし必要ならあらためて前回Blog(←リンク)の参照を。

                    ☆

 要素実験は済んできたので、そろそろ最終的な着地点を考えないといけません。事前のテストが必要な項目があれば順次進めて行きましょう。 モノバンドのコリンズタイプ受信機を構想して更に考えたいと思います。次回もHAM用受信機に向けた検討を続けます。具体化してだんだん面白くなってきましたかね?(笑) ではまた。 de JA9TTT/1

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つづく)←リンクnm

乾電池で働く真空管で通信型受信機を創る・バックナンバー】(リンク集)
この特集では主に欧州系の省エネ型ラジオ用電池管を使って実戦的な通信型受信機の製作を目指します。全7球で省エネ・高性能な管球式ダブル・スーパー受信機にまとめます。

第1回:(初回)欧州系コンバータ管:1AB6/DK96で周波数変換回路を試す→ここ
第2回:欧州系バリミュー管:1AJ4/DF96でI-Fアンプを試す・含1T4-SF→ここ
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第8回:欧州系コンバータ管:1AB6/DK96でクリスタル・コンバータを試す→ここ
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第10回:ペンタ・グリッド管:1AB6/DK96で第2周波数変換を試す(その2)→ここ
第11回:(最終回)I-FアンプとマーカOSCの兼用回路と受信機まとめ→ここ

2024年12月31日火曜日

【Antenna】It's the Tri-Band Antenna ! Wow !!

【それってトライバンダー!】

Introduction:
I'm using a handmade mobile antenna that works on the 14 MHz and 18 MHz duo bands.
It works well, but the other day I had a brainwave. I thought that if I shortened the radiant element on top of the antenna, I could use it on 21 MHz.
I quickly tested it and it worked really well.
I had an antenna for a new band without having to do any complicated work.
Yes, the antenna went from dual-band to tri-band ! (2024.12.31 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)

14,18MHzデュオバンドが・・
 はじめステンレス製のエレメントを使ったお陰で使いモノにならず、泥縄式に何とか完成させたデュオ・バンド・アンテナをさらに拡張する話です。

 このアンテナは最初から2バンド用(デュオ・バンド用)を目指したものでした。 先端部は一本物のステンレス製ロッドを使いましたから伸縮はできません。 バンドの切り替えは中央部分の「ローディング・コイル」にあるタップの選択で行ないます。 共振周波数の微調整も不可欠なので、スライド式小型容量冠を使って行なう方式を採用したのです。

 きちんと共振できたので考え方そのものは悪くなかったと思うのですが、ステンレス材を使った上部エレメントがローディング・コイルに干渉して損失が発生したのです。その結果、輻射効率が相当悪くなってしまったのでした。

 このあたりの顛末は以前のBlog(←リンク)を参照してもらうとして、結果として上部エレメントをロッド・アンテナ(テレスコーピック・アンテナ)・・・真鍮でできています・・・に交換して旨く完成させたわけです。

 出来上がってから何回か使っているうちに「ひょっとしたら他のバンドも行けるのでは?」と思うようになりました。 上部エレメントが伸縮可能な形式になったからです。 縮めたらもう一つ上のバンドに共振できるかも?? 思いはじめてから少々時間は過ぎたのですが、いよいよ試すことにしました。

                  ☆

 HF帯モバイル・アンテナの話です。 たぶんここをご覧の99%のHAMには関係ないでしょうね。 それでもいつの機会にか・・・来年でしょうか?(笑)・・・そんなモバイル運用を計画されるかもしれません。 ちょっとだけ興味があったら大晦日の行事を済ませてから日本酒でも一杯やりながら楽しくご覧を。 もちろんワイン、酎ハイとかビールもオススメです。 大晦日がまだ忙しかったら新春の暇つぶしにでもされてください。(笑)

トライバンダ・寸法図
 さっそく実験結果ですが、これがなかなか「うまく行きました!」

 オリジナルのデュオ・バンド状態の寸法図と、21MHzに変身させるための寸法図を掲載しておきます。

 完全に同じような部材が準備できるとも思えませんからあくまでも参考程度かも知れません。 しかしだいたいこのような寸法形状で製作すれば14MHz、18MHz、21MHzにオンジエアできます。 部材は多少違っても類似サイズで旨く行くはずです。

 ローディング・コイルより下の部分は「一本釣り用グラスファイバ・ロッド」を切った細い先端部に同軸ケーブル:10D-2Vをむいた網線を被せています。 さらに銅の網線がサビるのを防ぐ目的で上から自己融着テープを巻いてあります。

 ローディング・コイルが上下輻射エレメントの中間に入るセンタ・ローディング形式です。 コイル部は次項で説明します。

 コイルより上の先端部は6段式のロッド・アンテナで伸ばした全長は1,015mm(ネジ部含む)、収縮時の長さは203mmです。元部分の太さは7mmあります。平均的な太さはφ6mm程度でしょう。

 14MHzと18MHzでは先端の1段分を完全に縮めた(挿入した)5段分の状態で使います。 さらに先端から2段目は完全には伸ばさす、3段目との間を20mmくらい伸縮させて共振周波数の微調整に使います。 なお、このアンテナではキャパシティ・ハットは設けませんでした。 14MHzと18MHzの長さは5段分マイナス「ちょっと」と言う訳です。

 上部輻射エレメントの長さを5段分のままにして長さをあまり変えず、コイルにタップを追加して21MHzに共振させる方法もあります。 おそらく、その方が幾らか輻射効率は良くなるでしょう。 しかし改めてタップの位置を見つける作業が必要になります。 これはけっこう面倒で時間も掛かるので腰が重かったというのもデュオ・バンドどまりでオシマイにしていた理由です。

 今回、コイルのタップは18MHz用そのままで21MHzにうまく共振できることが「発見」できたのは大成果でしたね。(笑)

 21MHzで使うためには:コイルより上のロッド・アンテナ・全6段のうち先端の3段分を縮めてしまい残り3段分の長さで使います。 それだけですとやや共振周波数が高くなりすぎたので、更に先端部を〜20mmくらい伸ばして共振周波数の微調整に用いました。(左図参照) 21MHzでは3段分プラス「ちょっと」と言うことです。

 全長で300mm短くなりますが、こうした構造のアンテナで輻射に最も寄与するのはコイルより下部であり、ここはずべて同じなのでアンテナの効率はそれほど低下しないはずです。

ローディング・コイル
 既出かもしれませんがローディング・コイルの部分です。

 ローディング・コイルはエヤーダックス・コイル:401016を25回分カットして使っています。 実際にコイルとして働いているのは、18MHzで12.5回分、14MHzで19.5回分です。 なお、21MHzは18MHzと同じ巻き数のまま使います。従って12.5回巻きということになります。

 エヤーダックスは既にいにしえの部品です。 太さφ1.0mmの錫メッキ線を直径40mmのボビンにピッチ1.6mmで巻けば同等品が作れます。 錫メッキ線は4mくらい用意すれば良いでしょう。 ボビン(巻枠)としては塩ビ管などが考えられます。

 必要なインダクタンスは、いずれも概略値ですが14MHzが12.7μH、18MHzは6.7μHです。 それぞれのバンド用にタップを引き出しますが、実際には共振周波数を測定しながら加減する必要があります。 なお21MHzは上部エレメントの長さを縮める形式なので18MHzと同じインダクタンス:6.7μHのまま使います。 コイルが良くないと・・・Qが低いと・・・効率が上がりません。良いコイルこそ良く飛ぶアンテナの秘訣です。

 コイルのサポート方法ですが、ケースの蓋(フタ)の部分に固定用の穴加工を行なったあと接着剤で止めています。

 コイルのケースは200mLのサンプル容器というもので、フタの部分(白)の中央にきつめの穴を開けて下部エレメントのグラスファイバ・ロッドへ圧入されています。 これだけだと回ってしまうので更に接着剤で固定します。 なお、容器はフタの部分が下になるよう上下逆にして使っています

 ケースの胴体部分(透明)はスチロール樹脂製で、回して白いフタの部分からフリーに取り外せるようになっています。 これはコイルのタップを替える都合からです。 従って隙間があって防滴・防水構造は難しいので雨天での使用は考えていません。 フタとのネジ部分からも雨水が侵入しそうなので晴天用アンテナと考えています。

マウントしてテスト!
 車体左後方のアンテナ基台にマウントしています。これで21MHzの状態です。 磁石アース板(←リンク)は2枚付けています。

 手前の144MHz/430MHzのアンテナよりも短そうに見えますが、実際はやや長くなっています。 全長は1,120mm前後になります。(21MHzのとき)

 21.074MHzの1/4波長は3,380mm(波長短縮率0.95を考慮済み)なので、67%短縮された・・・要するに33%分の長さに短縮されたホイップアンテナとなります。 フル・サイズ・ホイップアンテナの三分の一の長さしかありませんから、アンテナとしての輻射効率はだいぶ落ちてしまいます。

 ただし14MHzや18MHzより波長も短くなってくるので両バンドと同じようなものではないでしょうか。ηa=20〜25%ほどか?

SWRも下がってOK!
 nanoVNAで共振周波数とSWR特性を確認しています。 ボトムでSWR=1.13を示しているのでまずまず良好です。

 今回行なった実際の実験手順としては逆でして、エレメントを徐々に縮めながらnanoVNAを駆使して共振周波数を探す・・・と言った作業を繰り返しました。 その作業の最終結果を纏めたのが上に示した寸法図です。
 このアンテナは移動地に着くまで全体を縮めた状態で持ち運んでいます。次回の運用では図面のサイズから始めて先端を微調整しジャストに共振させてから使います。数回の移動運用に使用しましたがこの方法で問題ありませんでした。nanoVNAは持ち運んでいます。

 18MHz(18.100MHz)と比べて全長で約300mmの違いですから、だいぶ縮めることで21MHz(21.074MHz)に調整できたわけです。 さらに縮めて24MHzにもチャレンジすべきだったかも・・・。w (さらに300mmほど縮めれば何とか24MHzバンドに入りそう?)

PSKRで飛びを見る
 これは私自身が目標にしていることなのですが、送信に使うアンテナは飛ばなくては価値がないと思っています。いくら良く聞こえても飛びが悪かったらHAMの交信には使えないからです。 もちろん個人的な目標にすぎませんが・・・。
 飛び具合が自分で作ったアンテナの評価基準です。 21MHzにうまく共振したからと言って使い物になるか否かはまた別でしょう。 さっそく近所の公園へ出かけてPOTAを試みました。

 市内の総合運動公園からオンジエアです。ここは上武県立自然公園(JP-1150)に含まれています。やや高台なので無線には向いたロケーションのように感じます。 HF帯は電離層反射なので上空が良く開けた場所ならどこでも大丈夫だと思いますが・・・。 もちろんアンテナは写真のもので、送信パワーは50W、モードはFT-8でオンジエア開始です。

 写真は帰宅後にPSKRで飛び具合を確認している様子です。 日照のあるエリアによく飛んでいるのがわかります。 21MHzでの初POTAでしたが、JA局と交信するのに苦労しました。国内のような近距離はだいぶスキップするのです。 このアンテナの基本的な特性は接地型と同じで垂直偏波です。従って思っているより打ち上げ角は低いのかも知れません。 車載ホイップは指向性が出ることが知られています。当局の車載状況ではクルマの右前方向に弱い指向性が現れるはずです。

 JA局のみ相手にしていては、このままだと10交信に届かずアクティベーション失敗になりそうだったので画面に見えてくるCQ局を次々に呼んで交信局数を稼ぎました。w

 中には当局のCQに応答してくるDX局(イタリア局、インドネシア局、ウクライナ局)もあって流石にここはDX Bandであることが実感できました。 結局、約50分間の運用で16局ほど交信できました。うち4局だけがJAです。hi hi

 JA局のほかBG5、BG7、BI4など中国局が複数と、IW4、OH6、EA5、3W9、YC7、CX6、UX8、UG0など、DX局がずっと多くなりました。 中国やオセアニアのほか南米やヨーロッパへもかなり飛んでびっくりです。 帰宅後にPSKRを確認してなるほどと思ったしだい。 いまは太陽黒点数(SSN)のピークでHF帯ハイバンドのコンディションはかなり良好なのです。

 コンディションに大いに助けられた成果でしょうが、まずまず飛んでくれそうな21MHz用アンテナが手に入りました。合格と言えるでしょう。 これで7MHzから21MHzまで車載から5つのHF帯HAMバンドにオンジエアできるようになりました。 思い立ったら何でも試してみるものです。

                  ☆

 自宅から無線が楽しめないとお嘆きならRigと移動用ANTを持ってお出掛けされてはいかが? ロケーション良好な移動先からDXだって狙えるでしょう。 アンテナ製作に自信がないのでしたらFBな移動用ANTが頒布されています。 友人のJA6IRK/1岩永OM(←Webショップへリンク)の頒布品はお勧めの一つです。 改良を重ね良いアンテナを目指しておられます。 次回頒布のチャンスを狙ってぜひ手に入れてみてはいかが? これでアナタもPOTAデビューできるかも。(笑)

私のPOTAまとめ
 このBlogは21MHzのアンテナがテーマですが、モバイルからの運用を目的にしたものです。 POTAって初耳ならこちらの→リンクをどうぞ。

 一年とちょっと前の2023年11月末に初めてテスト運用を行ないました。 何も目標がないとメリハリがなくなってしまうので、新規の公園30ヶ所での移動運用を当面の目標にしました。 幸い、今年;2024年11月には30ヶ所目のACTに成功しました。

 POTA活動はアクティベータがメインなので公園移動局どうしの交信:パーク・ツゥー・パーク(P2P)も楽しみの一つです。こちらも今月12月には50交信に届きました。

 たまたま暇ができたらふらっと出かけてみなさんにお相手いただくと言ったスタイルでやってます。たかが遊びですから「無理はしない」が大原則です。たしか、POTAのサイトにも真っ先にそんなことが書いてありましたね。 それでも公園から1,000交信をだいぶ超えました。 いつもコールいただき有難うございます!

 2025年はぼちぼち足を伸ばして新規の公園50ヶ所を目指してPOTA活したいと思ってます。 運用実績のないV/UHF帯50MHz〜1200MHzでPOTAも新テーマです。 スローペースですが聞こえてましたら宜しく!

参考:災害発生など非常時に備えた車載AC電源の活用実績も積めたと思っています。

                  ☆

 2024年はモバイル・アンテナの話からスタートしました。 色々アンテナ製作を試してそれを活かしたPOTAを楽しむことができました。  Blogの方ではアンテナの話に続きジャンクな五極管にスポットして実験を楽しみました。 こちらは少々停滞気味ですがこの先も続く予定です。 さらにAudio関連ではBGMの低音改善とスピーカ修理も楽しめました。 そして今年最後のBlogは再びアンテナの話題に戻って締めくくりができたと思っています。 2024年よさようなら。 良いお年を! ではまた。 de JA9TTT/1

(おわり)nm

2024年5月8日水曜日

【回路】Repair the Antenna Tuner , FC-700

【アンテナ・チューナの整備と研究】

abstract
I am repairing a Yaesu Musen FC-700 antenna tuner. I have been using this antenna tuner for a long time. It seems that the contacts of the switch have oxidized due to years of use. It will be possible to repair it by cleaning the contacts of the switch.
And I will use this repair opportunity to study the inside of the FC-700. I have also considered several antenna tuners.(2024.05.08 de JA9TTT/1 Takahiro Kato) 

FC-700:Antenna Tuner
 FC-700は八重洲無線のアンテナ・チューナです。FT-77、FT-707といった1980年代のトランシーバのアクセサリでした。 今では上位機種でなくてもオート・アンテナ・チューナ(ATU)の内蔵が普通になっています。しか30数年前はまだ外付けの手動式アンテナ・チューナが一般的だったのです。

 このFC-700はもともとモバイル用に購入したものです。 固定局のアンテナはインピーダンスが50Ω付近になるよう作っていたのでチューナーは特に必要としていませんでした。 しかし整合が難しい車載用アンテナで使おうと思って購入した経緯があります。(1990.11.21:3.5MHz Mobaileに初OA)

 ところがバリコンで同調する形式のチューナは振動でズレれしまい車載では使えないことがわかりました。 すぐに引退したのですがシャックにあってもあまり使う機会はありませんでした。 それに最近のトランシーバはATU内蔵が普通になったので50Ωから大幅に外れていなければ内蔵ATUで支障なく整合可能です。 それと、オートに慣れると手動は不便に感じますね。(笑)

 走行中に使うのでなければ支障はありません。 移動運用先の半固定でアンテナ整合の補助として使うのなら十分役立ちます。 最近復活した移動運用にあらためて使うことにしました。 ところがずいぶん古いため接触不良が目立っていたのです。 外観はまずまず綺麗でしたが内部のスイッチ接点は酸化・硫化が進んだのでしょう。整備することにしました。

                   ☆

 こんな古いアンテナ・チューナを整備する人は稀でしょう。あまり役立たないとは思いますが自身の整備記録としてBlogにまとめます。 また、せっかくの機会ですからよく観察してメーカー製アンテナ・チューナを研究することにしました。 もしも興味があればこの先もどうぞ。 アンテナ・チューナの自作は意外に挑戦者が多いので幾らか役立つかもしれません。

FC-700:内部構造
 後ほど回路図も出てきますが、アンテナ・チューナは単純な装置です。従って見たところもシンプルです。 部品配置がわかるように取扱説明書からコピーしました。

 写真で、左上の入力コネクタにトランシーバ(送信機)を接続します。 アンテナは右上の出力コネクタに接続します。 単線式のワイヤーアンテナも使えますが、その場合は必ずアース側の配線も必要です。 右の出力コネクタ寄りにアース用のターミナルがあります。

 入力コネクタから入ってすぐにSWR検出回路があります。C-Mカプラ式のオーソドックスなものです。そのあと心臓部の整合回路になります。

 このアンテナ・チューナはいわゆるπ-C型(パイ・シーがた)と称する形式です。 後ほど詳しく触れますが市販のアンテナ・チューナではT型と共に良く使われる形式です。 最近の内蔵型オート・アンテナ・チューナでも良く見られる形式です。 特別変わったものではありません。 八重洲無線のアンテナ・チューナにはπ-C型、T型のいずれも存在しますのでどちらかが特に有利と言うこともなかったようです。

接点の清掃
 さっそく整備を始めましょう。 メーカー製だけあってFC-700はなかなかうまく出来ていると感じました。

 専用に作らせたスイッチが使われていて電流容量が必要な部分はダブル接点になっており、また耐圧が必要な部分はステア・タイト絶縁になっています。インピーダンスの低い部分はベークライト絶縁で済ませています。 この辺りが自作ではなかなか真似のできない部分です。

   接点板と接触子は銀メッキのようです。 そのため長い年月の経過で硫化が進んだようでした。 観察すると黒ずんでいたのでそれで接触が悪くなったのでしょう。 サビと汚れを上手に清掃すれば復活できるはずです。(写真は清掃後のもの)

接点復活剤:コンタクト・スプレー
 接点復活剤(コンタクト・スプレー)と称するケミカル製品は様々なものが売られています。 電子機器用と称するものでしたら大抵のものが使えると思います。
 ここではホーザンの製品を使いましたがだいぶ古くなったので腐ってる(?)かもしれません。 でも取りあえずまだ効果はあるので使ってます。w

 こうしたスプレーにはストローのような噴射チューブが付属しています。 そうしたもので直接噴射しても良いのかもしれませんが、それには接点以外の余計な場所に付着した分を洗い流す必要があります。洗い流すには専用の洗浄剤が必要です。

 それも大変なので、私は綿棒の先に付けて要所のみ清掃することにしています。 少々手間ではありますがスプレーの残渣だらけでベトベトになってしまうと後々埃が付着し固着するのでかえって厄介なことになります。機器の寿命を縮めることにも繋がります。

 残渣が残らない無水アルコールなどで清掃する方法もあります。 しかし汚れを落とす能力はこうしたスプレーの方が優っているようです.使い過ぎると旨くありませんが要所に上手に使えばかなり効果的です。

汚れが・・・
 綿棒の先には汚れがいっぱい付いてきました。w

 ひどい汚れが除去できたら綺麗な綿棒に交換して仕上げの清掃をしておきます。 アンテナ・チューナのロータリー・スイッチは接点がたくさんあります。 丁寧にやろうとすればかなり時間が掛かるでしょう。
 はじめ、上蓋だけを外して雑に作業していました。 それである程度良くなったのですがまだ不完全でした。 それに綿棒を押し込んだ結果、少々無理な清掃をしてしまいました。そのため接点の一部を曲げてしまい致命的な接触不良を作ってしまったのです。orz

 それで止む無く底蓋も外し丁寧にやり直すことにしました。 曲げてしまった奥のほうの接点もピンセットで慎重かつ丁寧に元の形に戻しました。 特にデリケートさを感じたのはコイルのタップを切り替える接点で難しさを感じました。 何とか接点による不安定さは改善できました。 清掃によって全般に接点が綺麗になったためか接触不良も感じなくなりました。 アンテナ・チューナは機器としては単純なものです。 デリケートな部分もあって初心者向けとは言えないかもしれませんが、目視でわかる不具合も多いので良く観察して作業すればうまく直せるのではないでしょうか。

 再整備としてはSWR計の反射調整とパワー計に切替えた際のメーター再校正などが残っています。 外付けのダミーロードで確認した範囲ではこれらに問題はなかったので今回は手をつけませんでした。 もしSWRの表示やパワー計の指示ズレが目立つようならきちんとした終端電力計や50Ωダミーロードなどを併用して再調整を要します。

                   ☆


FC-700の回路図
 蓋を開けたのでせっかくですからFC-700を研究してみました。

 取扱説明書からコピーした回路図です。 メーカーのサイトで取扱説明書がダウンロードできるので正式な図面はそちらを参照してください。 左の図はBlogの説明用です。

 スイッチがたくさんあるので複雑そうですがアンテナ・チューナの回廊としてはπ-C型の単純なものです。 後ほど単純化した図面があります。
 書籍などアンテナ・チューナ関係の資料を参照するとスイッチで切り替えている:C1〜C13というコンデンサがバリコンになっているものがありました。 FC-700ではトランシーバの出力インピーダンスは50Ωであるとの前提で、バリコンではなくバンドごとの固定コンデンサに置き換えたものでしょう。 バリコンにすると操作部が増える上、コストもかさみますから固定コンデンサの切り替えですませる方法は現実的です。

 コイルはL01とL02の2つに分けられています。 各コイルとも使わないタップは間をショートするようにしています。 複数のタップ間を細かくショートしてショート部分で無用な共振などが起こらぬように特別に構成されたスイッチが使われています。 芸がこまかいと言うか、こうしないと旨くないのでしょう。

 入力コネクタから入ってすぐにSWR検出回路があります。C-Mカプラ式のオーソドックスなものです。 バイファイラ巻きのトロイダル・コイルを使ったカレント・トランス式なので基本的に周波数特性は平坦です。

 50Ωのダミーロードが内蔵されています。 ただし切り替えにリレーを使っている関係で外部からDC電源(+8V)を供給しないと機能しないのは残念です。
 ダミーロードはシャックの必需品です。 メーカー機ばかり使っていると必要は感じないかもしれませんがRigの修理や自作送信機のテストには是非とも欲しいものです。

 近頃はオンエア前にPlateとLoadバリコンを調整するようなトランシーバ(FT-901やTS-820,etc)は見なくなっていますが、もしこのアンテナ・チューナを併用するなら内蔵のダミーロードは重宝します。 まずダミーロードに切り替えてトランシーバのPlateとLoadを加減し所定のパワーが出るよう調整します。続いてチューナに切り替えて整合調整を始めることになります。

 整合調整はまず目的のバンドに切り替えます。SWR計を反射波側にセットし適度なパワーに絞ったのち送信をはじめます。チューナのTuneとLoadのバリコンを交互にゆっくり回しSWR計の「反射」が最低になるよう調整します。 慣れると勘が働くようになってバリコンを「予測」で余分に回せるようになり素早く整合できるようになります。(勘の悪い人は手間取ります・笑)

 このようにSWR計はアンテナ・チューナに不可欠です。 使用時には「必ず」メータを見ながら反射電力が最小になるようにTuneとLoadのバリコンを「入念に」調整する必要があリます。 また、このC-Mカプラ式の内蔵SWR計は簡易なパワー計としても機能するので重宝です。 ただしメーターは小さいですし多分周波数特性も完全なフラットではないでしょう。パワー計としての精度はあまり良く無いと思いますが無いよりもずっとマシなのは間違いありません。
 このチューナが接続してあればスイッチがスルー状態でも常にSWR計としてアンテナ系を監視できます。 また通過型のパワー計としても便利に使えます。 パワー計の目盛は15Wと150Wフルスケールの2レンジあります。

 ところで、こうしたアンテナ・チューナは便利なものですが、必ず「通過損失」が存在します。 これは50Ωの終端電力計をつないでスルー状態とチューナを入れた状態を比較すればすぐにわかります。 だいたい5〜10%くらい損すると思えば良いでしょう。チューナを通すと10Wが9Wになってしまうのです。 しかも50Ωを大きく外れるような負荷(SWRがとても高いアンテナ)の場合はさらに大きな通過損失がチューナ内部で発生すると思って間違いありません。 ですから、なるべくアンテナそのものが50Ω付近になるよう製作(調整)してアンテナ・チューナなど必要としないようにすべきなのです。

コイルに注目
 このアンテナ・チューナで私が注目したのはコイルの部分です。 従来のアンテナ・チューナでは決まって空芯型の大型コイルが使われていたからです。 そうしたQの高い空芯コイルを使うのが「アンテナ・チューナの常識」だと思っていました。

 トロイダル・コイルが使えるというのは目から鱗と感じるほどだったのです。 もちろん空芯のHigh-Qなコイルを使う方がロスは少ないでしょう。 しかしFC-700のように薄型でコンパクトに作ることはできません。 これは他社のアンテナ・チューナの内部を見れば良くわかることです。トロイダル・コイルとは、ちょっと思い切った方法なのでびっくりしたものでした。

 3.5MHz〜14MHzと言ったローバンドではトロイダル・コアに巻いたコイルは省スペースになってFBです。 しかしハイバンドになるとトロイダル・コアのロスが増えるのと、うまくタップが取り出せないことから空芯コイルの2つに分けたものと思います。


2つのバリコンは・・
 バリコンは2つ使われています。 いずれもギャップは狭くてあまり耐圧は高くないでしょう。 せいぜい1kVではないでしょうか。

 仕様上の整合可能なインピーダンス範囲を狭くとっているため1kV程度でも何とかなるのでしょう。
 それでも10Ω〜250Ωとなっているので最近のRigに内臓のATUよりも整合可能な範囲はずっと広いです。この辺りがテキトーに張ったワイヤ・アンテナでも意外にうまく整合できる理由なのでしょう。 まあ、そう言った”アンテナ”は整合はできても飛びは別の問題なんですけれども。(笑)
 注意としては1/2λに近いワイヤーのようにインピーダンスが高くなりそうなアンテナはやめた方が良さそうです。 QRPならともかく100Wではバリコンの耐圧が問題になってきます。

入力側コンデンサ
 写真はπ回路の入力側コンデンサです。 既に書いたようにRig側のインピーダンスは50Ωであると想定しているので、容量が固定されたコンデンサで済んでいるのでしょう。 各バンドともXc=25Ωになるような設計で整合範囲を広く取るのが目的でしょう。

 コンデンサはすべてディップド・マイカ(シルバード・マイカ)です。 E12系列を基本とし一部にはE24系列の市販品から容量を選び、それでも適切な容量が無い場合は2個並列で必要な容量を合成しています。 従って、使用できるHAMバンドはWARCバンドを含む3.5MHz〜28MHzの8つですがコンデンサは13個あります。

 アンテナ・チューナを自作する場合もこうした手法は参考にできるでしょう。 単一のバンド用チューナなら切り替えスイッチも要らず容易に作れます。

SWR・パワー計検出部
 C-M型のSWR・パワー検出回路になっています。 原理的に周波数特性はフラットなのでバンドによって感度の変化はありません。(そうは言っても完全なフラットではないでしょうけれど・・・しかし実用上の支障はないはずです)

 SWR計はアンテナ・チューナには必須の機能です。もし内蔵されていなければ外付けする必要があります。
 アンテナ・チューナに必要なことは整合状態の検出です。 整合しているかがわかれば良いのであってSWR値は読めなくても支障はありません。 従ってSWR測定回路ではなくて、インピーダンス・ブリッジ形式の整合検出回路を内蔵するアンテナ・チューナも存在します。 しかしせっかくですからSWR計になっている方がFBでしょう。 オンジエアしながらSWRが監視できますし通過型のパワー計にもなって便利です。

 検証はしていませんが検出部に使ってあるトロイダル・コアはT-37-#1のように見えます。 #1材はあまりポピュラーではありませんがカーボニル・コアのTシリーズでは最も透磁率が大きいマテリアルです。 フェライト・コアのFTシリーズで自作する例が多いのですが、カーボニルの#1材の方が何か良い点があるのかも知れません。(これは要確認です・笑)

内蔵ダミーロード
 50Ω/100Wのダミーロード部分です。

 抵抗器は1kΩ/5Wのごく普通のものが20本並列で使われています。抵抗器は小型で耐熱性に優れる酸化金属皮膜型です。周波数特性を補償する目的で10pF/1kVのマイカ・コンデンサが並列に入っています。

 5Wが20本ですから計算上は100Wですが連続的にそれだけの電力を消費できるわけではありません。 FC-700の仕様書には30秒と書いてあります。 抵抗器が密集していますし中の方は熱放散が悪いでしょう。連続ではとても持たないわけです。

 昔、似た方法でダミーロードを作ったことがあります。 周波数特性もHF帯なら問題なくうまく動作します。 課題は冷却で、強制空冷するとか何か効率的に放熱して冷却する方法を考えておかないとすぐに過熱するのが問題でした。hi

                   ☆

 以上、FC-700の各部を眺めてみました。 流石にメーカー製だけあって構造や部品配置が工夫されており各部は最短距離で配線されていてます。 スイッチなど特殊品なのでそのままそっくり真似はできないと思いますが工夫された部分は学びたいものです。

このあとはちょっとしたアンテナ・チューナ回路の雑談です。

アンテナ・カプラの基本回路
 今では送信機(トランシーバ)とアンテナを整合する装置は「アンテナ・チューナ」の呼称が定着しています。
 私が若かった時分は「アンテナ・カプラ」と呼ばれていました。

 同軸ケーブルでの給電が常識になる以前は「ハシゴ・フィーダ」と言った平衡給電が行なわれていました。 たいてい同調フィーダとして使いますからフィーダ上に定在波が立つのは常識でした。そのためアンテナ・カプラはシャックの必需品だったのです。

 その後、不平衡型のケーブル・・同軸ケーブル・・で給電する時代になってもアンテナ・カプラは良く使われました。(左図は古い形式の例です)
 もちろん今でも有効に使える回路ですが、この形式で厄介なのはコイルの1次側と2次側の結合度を可変する必要があることでしょう。コイルを機械的に動かして結合度を可変するケースが多いのですが、代わりに1次側(送信機側)のリンク・コイルにも直列にバリコンを入れる形式もあります。バリコン形式にするときにはリンクは2倍くらい多く巻きます。

 もし作るのでしたら(b)の中間型にしようと思います。 端子板を使って配線換えで(a)や(c)に変えられるように作っても良いのですが煩雑になってしまいます。 しかしうまく作るとバリコン一つで済みますから経済的で悪くない回路だと思っています。 固定局のようにアンテナの形状がだいたい決まってしまうと一度調整すれば良いわけですからコイルの結合調整も煩わしいと言うほどではありません。

 コイルとバリコンで運用周波数に共振させることになります。 共振させるためのコイル(インダクタンス)とバリコン(キャパシタンス)の組み合わせは無数にあるわけですがアンテナ・カプラとしてはHigh-C、Low-Lの組み合わせが適しています。

 部品数の少ないアンテナ・カプラです。 コンパクトに作って移動運用にも重宝する「小型アンテナ・システム」になりそうです。 何の変哲もない「同調回路」ですが眺めていてそう思いました。

 古よりシャックで使うアンテナ・カプラといえば太い線を巻いた立派な(巨大な)コイルとギャップの広い大型エアー・バリコンと相場は決まっています。 しかしそれでは移動運用には大げさです。パワーに見合った部品を使うと言ったちょっとした発想の転換も必要そうです。

L-Zマッチのアンテナ・チューナはいかが?
 上記の古いアンテナ・カプラを眺めていて「Zマッチ」を使ったらどうだろうかと思いました。
 Zマッチというのは2連バリコンを使いコイル一つで広い周波数可変範囲を持った共振器を構成する方法です。

 左図の左側の囲みのようにLとCを並列共振と直列共振に組み合わせた回路です。 作り方次第ではHF帯を一つのコイルと一つの2連バリコンでカバーできます。 上記のアンテナ・カプラのLC共振器をこの回路に置き換えれば少ないパーツでオールバンド・アンテナ・チューナorカプラが作れそう。

 実はそう思ったHAMはたくさんいたようです。 ネットで探すと似た発想のアンテナ・チューナが幾つもヒットします。

 図はARRLのAntenna Compendium Volume3という書籍にあった回路です。(Page:191〜、W6JJZの執筆) 記事には2つ回路があって左図はそのうちの簡略版の方です。いくらか制約はあるようですが回路はシンプルです。 うまく使えればマルチバンド対応の移動用アンテナシステムがコンパクトに構成できるかもしれません。 基礎的な実験からでも初めてみたいと思っています。

 なお、先人のテスト結果もネット上にいくつか見られました。 それによればZマッチを使ったチューナは回路自体の通過損失がかなり大きくなって効率的でないケースがあるそうです。 さらなる検証は必要そうですが、ある程度のディメリットはあってもシンプルさと言った特徴が発揮できそうなら採用する意味はあるかもしれません。

 実験していませんから推測にすぎませんがZマッチを構成するコイルのインダクタンスとバリコンの容量によってもかなりの違いはありそうです。 さらにLow BandとHigh Bandではたとえ共振はしていても共振インピーダンスに大きな違いがあるはずです。 アンテナ・チューナ回路として負荷をかけた状態(=アンテナをつけた状態)であまりにもHigh-Qになる(例えばQL>30)ようでは損失が激増するのも当然です。
 従ってLとCの組み合わせの上手いところを探す必要があるのでしょう。 それにしても可能性がありそうなチューナ回路だと思いました。

FC-700の解析
 回路図の最後はFC-700の解析結果です。

 取説の回路図に書かれていて部品定数がわかるパーツは実際に内部を見ただけでもおおよそ理解できるものです。 しかし問題のコイルだけは現物を見てもどんな部品定数なっているか、にわかにはかわかりにくいのです。

 幸いトロイダル・コイルはコア材がわかりました。 T-157-#2に間違いないためAL値は簡単に判明します。 数えれば巻き数もわかりますから計算でインダクタンスも求まるでしょう。 空芯コイルの部分も寸法と巻き数がわかったのでかなり精度よく計算できました。

 ただし、見落としてはいけないことがあります。 多バンド型アンテナ・チューナ特有の構成のためインダクタンスには不確かさがありそうなのです。
 全巻線を使わないほとんどのバンドでは途中タップを使って小刻みに巻線をショートしているからです。そのショートされた部分は影響しないのでしょうか? そのため実効的なインダクタンスは計算される大きさとは異なっているかも知れません。
 まあ、まったくの同等品を作りたいのであれば同じ材料で同じ形状・構造に作れば実現できるるわけで、そういう意味での再現性は十分にあるでしょう。 しかし図に参考として書いてあるインダクタンス値は確かではない可能性が残っています。

 この図は独自の研究によって推定して得たものですからメーカーの設計意図を正しく反映していない可能性があリます。 従ってこの図をもってメーカーにご質問などされることはおやめください。 ご迷惑をかけるだけです。

 どうしても確かめたいのなら材料はわかっているのですから自ら同じように作ってみたら良いわけです。 確証が得たいなら是非そうされてください。 私からのお願いです。

アンテナ・チューナの参考書
 アンテナ・チューナの関連で蔵書を漁っていたらこのような書籍を見つけました。 買ったことを忘れていたくらいなので中身の記憶はぜんぜんありませんでした。

 書名が「アンテナ・チューナ」とはなっていませんからチューナの製作記事を期待してはいけないのかも知れません。 おもにチューナのオートチューニング技術を扱った内容と言ったら良いでしょうか。

 しかしアンテナとRigの間のチューニングのお話としては面白い研究内容です。 こうした分野にご興味があったら一読をお薦めしたいと思います。 絶版と思われますので図書館の利用がよろしいでしょう。 また、私見ですが無理してまで手に入れるほどの内容はないと思います。

                   ☆

 不調になったアンテナ・チューナをリペアすると言った単純な話のつもりでした。 色々眺めて散策しているうちにだいぶ道中が長くなってしまいました。 このBlogに欠けているのは数式によるアンテナ・チューナの解析です。 この辺りはπ型の変形インピーダンス整合回路として専門誌では詳しい扱いがなされていました。

 もちろん数値による解析は重要な手がかりを与えてくれます。 みずから設計するには避けられないはずですが、ここは娯楽のBlogなのであえて数式には触れぬことにしておきました。 興味の向きは是非ともご研究を!  アンテナに限らず整合回路の奥深さが楽しめるでしょう。 ではまた。 de JA9TTT/1 T.Kato

(おわり)

2024年4月24日水曜日

【HAM】Making the ADX-S Digital Modes Transceiver

デジタル・モード・トランシーバ:ADX-S製作

abstract
The ADX-S is a modification by BD2CR Adam Rong of the ADX digital mode shortwave transceiver developed by WB2CBA Barbaros Asuroglu. Both software and hardware are open source and information is available on GitHub. He referred to my Blog article when he improved the ADX-S. I was wondering what part of my Blog he referred to. I contacted the distributor, JL1KRA Nakajima-san, and asked him to distribute it. The reference was a Blog article about a shortwave receiver using the TA2003P chip for radio. Then I received a request from Mr. Rong to improve AGC. I immediately experimented with it and the conclusion is that AGC is not necessary for ADX-S. (2024.04.24 de JA9TTT/1 Takahiro Kato) 

ADX-Sキットが届く・・・
 ADX-Sと言うシンプルなトランシーバのキットが好評なようです。JA局へ頒布を仲介されているJL1KRA:中島さんのサイトを拝見していると頒布の開始、すぐ品切れの状況です。

 このADX-Sですが聞く所によるとJA9TTTのBlog情報を参考にしているとのこと。どんな所を参考にしているのか興味を覚えたのです。まあ、興味というよりちょっと心配になったと言った方が良いかも知れません。 Blogを参照した「いかなる結果にも責任は負わない」って書いてはいますが気になりました。(笑)

 もう昨年のことですが、お問い合わせ致したところJL1KRA:中島さん、開発者のBD2CR:Adam Rongさんのお世話で製作する機会が持てました。どうもありがとうございました。

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 勿体ぶってもしょうがないので、さっさと書いてしまいましょう。それは何かと言うと:このBlogにはTA2003Pと言うラジオ用のICチップを使い短波ラジオを作ると言う話(←リンク)があります。それを参考にしたそうです。その短波ラジオにはCWやSSBを聞く目的でBFOが付いています。この辺りが一般の短波ラジオとは違うところですが、それをADX-Sの受信部に採用したようです。

 ADX-Sにはその元になるトランシーバが存在します。WB2CBA / Barbaros Asuroglu氏が設計したADXと言うものです。周波数と送受信の制御にAruduinoマイコンを使うものでプログラムほかオープンソースになっています。興味を覚えたようなら検索すればGitHubに情報が見つかります。

 ADXも受信部にTA2003Pを使うことは同じですがTA2003Pのミキサ部を検波に使ったダイレクト・コンバージョン形式です。ではADX-Sは何が違うのかといえばADXが検波に使っていたミキサ部を本来の用途であるコンバータ回路として使ったところです。要するにDC受信機からスーパ受信機に発展させたのです。スーパ・ヘテロダインの「S」を付けて型番をADX-Sとしたのでしょう。この改良はBD2CR / Adam Rong氏によって行なわれました。ADX-Sも同じくオープンソースになっています。

 ADXがADX-Sになって向上したのは「感度」に違いありません。I-F Ampのゲインが加わるのですから30〜40dBはゲインがアップします。オリジナルのADXの使用経験はありませんが、やはり感度では差が付くのではないでしょうか。 あまり良いアンテナが望めない移動運用に於いてはアップした感度はたいへん有益なはずです。

メイン基板の製作
 製作方法の詳細を書くのはこのBlogの役目ではありません。作り方や手順はJL1KRA:中島さんの頒布サイト(←リンク)に詳しく解説されています。Kitに付属のドキュメントも良く参照する必要があります。

 Kitは始めに部品の過不足がないか確認する作業がとても大切です。確認しながら分類しておくと製作がスムースに進みます。付いてきた部品の形状を把握しておけば実装する際の注意ポイントもわかってきます。 もちろん製作の工程と手順の確認も重要なポイントです。 プリント基板の表裏を間違えると言ったポカミスも防げるはずです。

 以前、古くからキット頒布されているお方に伺ったことがあるのですが、こうした基本の作業を怠っていきなりハンダ付けを始める人がいるそうです。
 傾向として、ちゃんとやらないのは意外に「OMさん」に多いんだそうです。それでつまらん失敗の挙句、頒布者にクレームが来るんだとか。しかも言うことだけはご立派なくせに、返却品を見たらいい加減なことは一目瞭然だそうで・・・ハンダ付けさえも怪しいとか。大のオトナがみっともないくらいだそうです。(笑)説明書読むのは煩わしいかも知れませんが先ずは読んでみて手順の通りにやった方が確実ですね。恥もかかずに済みます。w

 少ないとは言っても写真のような部品があります。 普通の電子回路にはそれほど冗長性はありませんから、ハンダ付けが1ヶ所マズイだけでもきちんと働きません。 適切なハンダコテを使い確実なハンダ付けを心がける必要があります。

 両面パターンのスルーホール基板です。一旦ハンダ付けしてしまうと専用のリペアツールが無ければ付け直しは「かなり困難」です。特に足の多い部品は間違えないように挿入します。 ハンダコテは弱い物(ワット数が小さい物)よりもややパワーのある物を使った方が確実です。 弱いコテを長い時間当てるよりもパワーのあるコテで短時間でサッと済ませる方が部品へのダメージも少ないものです。

 付属部品の分類・整理を済ませてから、通電・動作テストできる状態までに必要な製作時間は5時間くらいでしょう。これにはLPFモジュール(下記)を1つ作る分も含まれます。私の場合、写真撮影や簡単な測定評価の時間も含んで昼から始めて夕方にはテストできる状態になりました。製作をじっくり楽しみながら実質5時間くらいで作れそうな規模のKitです。

LPFモジュール製作
 オンジエアする際はLPFモジュールをバンド毎に付け替える必要があります。このLPFモジュール部分の製作が意外に面倒でした。

 各モジュール毎に3個ずつコイルを巻く必要があるからです。(全部で4バンド分ですから12個も!) 2つがLPF(ローパスフィルタ)用で、一つがD級アンプの負荷コイルです。

 コイルの部分は部品を所定の場所にハンダ付けするだけでは済まないので時間が掛かります。 手際良く進めても1つのバンドあたり30分くらい掛かるでしょう。 だんだんコイル巻きにも慣れてくるので最後の方はもうちょっと早く作れるかも知れませんが・・・。

ADX-Sの回路
 左の回路図を見れば非常にシンプルなトランシーバとわかるでしょう。

 制御回路にArduino nanoマイコンボード、周波数シンセサイザにSi5351ボードと言った既成のモジュールを使い外付け部品が最小限で済むよう工夫されています。

 重要な周波数シンセサイザ部は定番のSi5351モジュールで、これ一つで送信、受信局発、BFOの3つの発振器の機能を実現しています。 組立の過程で周波数キャリブレーションを行なって十分な周波数精度が得られるようになっています。 FT-8用としてはマズマズの周波数安定度が得られていると思いました。WSPRには少し厳し感じですかね。

 受信部はラジオ用ICのTA2003Pを使っています。TA2003Pはもともと外付けの少ないICですがアンテナコイルを省く、局発は外から与えると言った方法で簡略化しているのがわかるでしょう。TA2003Pの検波出力は何も増幅せずに復調用パソコンのマイク端子へ送られます。

 送信部も見ての通り簡単な構造です。 Si5351の出力を高速C-MOSの74ACT244で強化して終段をドライブします。終段アンプはBS170と言う小型Power-MOS FET(3本パラ)を使ったD級アンプになっています。これで高効率に出力電力2〜4Wを得ています。

LPFモジュールの回路
 ローパス・フィルタ部は小さな基板モジュールになっています。

 運用するHAMバンドに応じてメイン基板のコネクタに挿入します。 バンドを変更するたびにLPFを交換しスイッチでバンド設定せねばならないので少し面倒臭いです。

 しかしたいへんシンプルな構造のトランシーバですからやむを得ないでしょう。 慣れればそれほど面倒とも感じなくなりそうです。(笑)

ADX-S完成
 意外に時間がかかったのはプラケースの加工でした。(上記の5時間にはケース加工は含まれません) ポリエチレンで出来た半透明の収納ケースは中途半端に柔らかくて加工しにくいのです。見ての通り出来栄えはあまり宜しくありません。w

 たぶん適切な加工用工具と作業方法があるのでしょう。 しかしコツを掴む前に完成してしまいました。(笑)

ADX-Sのバンドごとの出力パワーを測ってみました。

40m Band Po=2.9W 消費電流=510mA
20m Band Po=3.4W 消費電流=550mA
15m Band Po=1.7W 消費電流=390mA
10m Band Po=1.6W 消費電流=410mA

・・・のようになりました。電源電圧は12Vです。負荷は50Ωの終端型パワー計です。

 ファイナルのBS170はRFアンプ用ではなくて単なるスイッチング用MOS-FETなのでハイバンドで効率が落ちるのは仕方ないと思います。ドライブも掛かりにくくなってくるのでしょう。

 受信感度はなかなか良好で十分実用的だと思います。拙宅ではメインにIC-756proを使っていますが受信状況に大きな違いは感じられませんでした。 超強力なローカル局がオンジエアすると言った環境では厳しいと思いますが、そうしたことさえ無ければ問題はないでしょう。よく聞こえ(見え)ます。

 ADX-SはAndroidスマホと組み合わせて使う人が多いようです。アプリにFT8CNを使うと自動交信まで可能だそうです。 まあそこまでして面白いかどうかは別ですが・・・。 Androidスマホが手に入ったら試してみたいと思いますが寝ていて知らぬまに交信済カントリが増えるなんて何か意味ってあるんですかね?(爆)

 もちろんWSJT-XやJTDXと言ったパソコン用のアプリでオンジエアすることもできます。心配いりません。アナログ・インターフェースで使います。

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 ADX-S製作の話はここでおしまいです。 続いてこの先は改造検討をする話になります。

AGC回路の検討
 私のBlogにあるTA2003Pを使った短波ラジオの回路ではAGCが効かせてあります。その代わり注入するBFOはなるべく絞って最低限必要な大きさに調整する必要がありました。

 Blogで作る短波ラジオのコンセプトは「単なる短波ラジオ」なのでBFOの機能はおまけ程度です。ですからそれでも良かったのですが、HAM専用受信機ともなると事情も変わります。 ADX-Sが組立Kitなのも厄介で製作者個々にBFOの注入レベルを調整しろとは言えないでしょう。 そこでADX-SではBFOをFT-8などの信号復調に十分なだけ(強く)注入しています。

 もし、そのままAGCを働かせたなら注入したBFO信号でAGCが掛かってしまいI-F Ampのゲインが抑制されてしまいます。これでは感度が低下してマズイです。そのためADX-Sの回路ではAGCをGNDにバイパスしてその機能を無くしています。常にフルゲインで動作する状態になっています。

 BD2CR / Adam Rongさんもこの辺りに課題を感じたらしく、ADX-SにAGCは掛けられないだろうかというご提案をいただきました。 写真はAGC回路の実験の様子です。

TA2003Pに外からAGCを掛ける
 TA2003Pはオールインワンのラジオ用ICなので回路の途中を切り離すと言った工夫は出来ません。そのためI-F Amp.の終段から信号を取出してAGC用の信号を作る・・・と言ったような手法は不可能です。

 可能性があるとしたらオーディオAGCということになります。BCLラジオのようなAM受信機の場合オーディオAGCはうまくありませんが、SSB/CWそしてFT-8などデジタルモードの受信なら十分な可能性があります。

 図はADX-SにAGCを付加する回路です。検波出力を十分に増幅し整流したあとOP-Ampのバッファアンプで外からAGCを掛けるというものです。 TA2003PのAGC機能を解析しIC内部の駆動インピーダンスなどを検討して、図のように外部から強引にAGCを掛けても支障ないことを確認してあります。(内部のAGCは抑制されます)

 TA2003Pの回路構成上の制限から本格的な通信型受信機のようなAGC特性は望めませんが少なくとも40dB以上のAGCレンジが得られました。 ADX-Sの改良は別としてもTA2003Pでデジタルモードを含めSSBやCWの受信機を作るにはマズマズの方法でしょう。強めのBFOを注入して、しかもちゃんとAGCを効かせられます。Sメータももちろん付けられます。

 Rongさんのご要望にはお応えしたつもりなのですが、オーディオAGCはあまりお気に召さなかったようです。 なのでこれ以上進めるつもりもないためラフな手書きのメモでおしまいです。ちょっと見にくいかと思いますがあしからず。(笑)

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 通信型受信機に造詣の深いお方がADX-Sの回路を見たら驚愕(卒倒?)するでしょう。 何しろ受信機の3S(感度、選択度、安定度)の2つがないがしろです。 まあ周波数安定度は周波数シンセサイザですから良いとして・・・。

 受信のイメージ・レシオはほぼ0dBです。選択度もラジオ用セラフィルですから・・・。

 もちろんきちんとした受信機のセオリーから言ったら幾らでもダメ出しができるでしょう。しかし実際に使ってみたら結構な実用性を発揮するわけです。
 私は「これはシンプルさを楽しむ手作り品」なのだと納得しました。QRPな送信部には十分すぎる高感度です。 たぶんADX-Sはこのままが良いです。(必ず併用することになるパソコンやスマホアプリの信号処理能力が非常に高いからでもあります)

 蛇足になりますがAGCについて付け加えます。 現実の問題としてAGCの付加は必須ではないと思いました。 他局より極端に強いローカル局がオンジエアしているような時にはAGCが掛かって歪みを抑えられます。しかしこれは稀なケースです。 あまりゲインのないTA2003Pの受信部は常にフルゲインであっても歪んで困るようなことは稀なのです。
 HAMの電波は「かぼそく」てAMラジオ局のようにバカに強くはありませんからね。 ですからAGCはあっても無くても受信成績にはほとんど差が出ないのです。ならばAGCなんて無くても良いしそれが合理的と言うものです。今のままで良いのではありませんか? ・・・と言うのが私なりの結論です。あなたのお考えは如何でしょうか? ではまた。 de JA9TTT/1

(おわり)fm

2024年4月9日火曜日

【Antenna】Making a Duo-Band Whip Antenna

14MHzと18MHzの2バンド・ホイップ・アンテナ

abstract
I built a duo-band antenna for 14 MHz and 18 MHz. But the performance of that antenna was poor. The RF Power radiation efficiency was not good. The reason was the stainless steel antenna element. The antenna was a shortened version with a loading coil. The presence of stainless steel in the magnetic field of the coil caused a loss of RF power. I was able to improve the situation by dropping the stainless steel material and replacing it with brass material. I would not have experienced this if I had used toroidal coils instead of air-core coils. However, toroidal coils have other problems. (2024.04.09 de JA9TTT/1 Takahiro Kato) 

昔っから言いますが・・
 HF帯(短波帯)のモバイル用ホイップ・アンテナの話題が続きます。 そもそもHF帯でモバイル運用したいなんて言う物好きなHAMは稀でしょうから、そんなアンテナの話は飽きてきたのではありませんか? 前回の7MHz用(←リンク)でおしまいにしようと思ってました。

 今回は14MHzと18MHzの2バンド用アンテナを作りますが、それを紹介するのは主だった目的ではないのです。

残念ながらはじめに作ったものは低性能なアンテナになりました。 何でも成功する訳じゃありません。むしろ「失敗作」と言って良いでしょう。 なぜなのかしばらく悩んだのですが、むかし聞いたことのある話を思い出したのです。自分の経験ではないのでうろ覚えでしたがそれを切っ掛けに解決することができました。 ・・・どうやら成功の元になったようです。

                    ☆

 私自身では面白い経験だったのですが大抵のお方にとっては何か意味があるとも思えません。 いつ何をやったらどうなったのかと言う自身の備忘が主目的です。 モバイルからHFにオンジエアの最終回の話しはあいも変わらず雑談チックになりますが悪しからず。 この先はお薦めもしませんので、もしお暇でもあったら眺めてみて下さい。 暇つぶしくらいにはなるでしょう。(ココを見てる時点であなたは暇人ですが・笑)

                  ー・・・ー

トロイダル・コイルは
 最初の写真はトロイダル・コイルですがこの先の話には出てきません。トロイダル・コイルで短縮アンテナの「ローディング・コイルを」と目論んでました。High-Qという先入観からです。

 結論としてトロイダル・コイルは周波数特性が悪く不適当でした。特定の周波数範囲ではかなりHigh-Qですが空芯コイルと比べ高いQが保てる周波数範囲はずっと狭いのです。
 条件に合う単一バンドの短縮アンテナならある程度使える可能性はあります。しかし複数のHAMバンドにまたがるアンテナには向きません。
 またHigh-Qとは言っても最適化された空芯コイルを凌駕するほどの性能は難しそうです。 磁気コアによる鉄損や磁気飽和しやすいと言った観点からも短縮アンテナには空芯コイルが無難だと言う結論です。 トロイダル・コイルは回路用部品であってこうした短縮アンテナ用ではないようです。(私見です)

移動式容量冠
 HF帯ハイバンド・・・14MHz以上のHAMバンドへオンジエアしたいと思いました。

 2024年は黒点周期:サイクル25の極大期にあたります。極大期にはHF帯のハイバンドが活性化します。 まさしくDXingのチャンスです。

 チャンスを逃すのは惜しいです。11年後のサイクル26は生きてないかも知れません。 POTAなどのモバイルでもオンジエアが楽しめるようにHF帯ハイバンドの移動用アンテナを作ってみます。

                    ☆

 ところが手持ち部材が底を突いてきました。買わずに済ませるには工夫が必要でした。
 今回もセンタ・ローディング形式で作りましょう。 7MHzのアンテナ製作のとき切り残ったグラスファイバ・ロッドを使います。そのため全体に細くてコイルの下部セクションとしては少々貧弱です。できたらもっと長さも欲しいところです。 しかし波長は20mあるいは17mとLow-Bandよりずっと短いので何とかなるでしょう。軽量に作れば強度も大丈夫そうです。

 使うことにしたグラスファイバ・ロッドは先端が細いため前作のような方法でロッド・アンテナを繋ぐことはできません。 そこで持っていたステンレス(SUS)製のロッド(φ3mmの棒)を上部エレメントとして使いました。長さは820mmあります。もともとグラスファイバ・ロッドの先端に付けるための部材でした。アンテナ用として先端に金属球も付いてます。

 しかしこれを使うと上部セクションの長さを加減できないのが大きな問題でした。コイルのタップ切換だけで共振周波数をシビアに追い込むのは難しいからです。
 写真は共振周波数を微調整するのための移動式の容量冠(キャパシティ・ハット)です。 ミノムシ・クリップで挟む位置をスライドして共振点を微調整します。思っていたよりも調整可能な周波数範囲が狭いのはやや不満でしたが試行錯誤を繰り返してある程度うまく行きました。

タップ式コイル
 2バンドアンテナはローディング・コイルのタップ切換えで実現します。 ほかにトラップ式で作る高級な方法もありますが初期調整はかなりの困難が予想されます。

 運用時のバンド切替えは少々面倒くさいですがタップ選択式を採用しました。 ミノムシ・クリップによるタップ切替えには幾分不安を感じます。 ただしコイルより先の部分はRF電流が少なくなるので旨くタップを引き出せば何とかなるでしょう。

 こんどはバンドチェンジのたびにコイル容器を開閉します。この保護容器は開閉が容易なのは好都合でした。

14MHz and 18MHz Whip Antenna
 下部セクションが細くて華奢な感じがします。しかし走行しながらの運用はしないので折れることはないでしょう。

 全体的に軽量にできたのでアンテア基台の負担が少ないのはFBです。 流石に3つ目ともなれば目新しさはぜんぜん感じませんがマズマズの出来映えです。(・・・と自画自賛・笑)

 家人には「同じのを3つも作ってどうするの?」なんて言われてしまいました。 確かに同じにしか見えないかな。(笑)

残念ですが解体します
 何が問題かといえば送信時のロスが大きいことです。ローディング・コイルのあたりで発熱がありどうも輻射効率が低いようなのです。

 見ての通り過去2作とほとんど違わず何が原因なのか悩みました。 結論から述べてしまうとステンレス・ロッドがコイル内に掛かっていることが損失発生の原因でした。 原因がわかれば対策しなくてはなりません・・・。

 思い出したのはずいぶん前の話です。さるHAM局がモバイル用アンテナを作ったそうですが飛びが悪いと言うのです。細かい症状は忘れましたがコイル部分にかなりの発熱があるとのこと。そして輻射エレメントにステンレス材を使ったセンター・ローディング形式らしかったのです。

 その時は構造など詳しくお聞きした覚えがあります。ただ、私には何が原因なのかすぐには思い浮かびませんでした。 あとでそのアンテナを良く見せてもらう機会があったのですが器用なお方らしく丁寧にそして見栄えも良く美しく仕上げてあったことを思い出します。

 その後どうなったか記憶にないので、そのHAM局は諦めてしまったのかもしれません。 そして今回は私がよく似た現象に遭遇した訳です。 以下は問題検証の様子です。

ローディング・コイルのQ
 アンテナ製作に使っているコイルは実績のあるものです。

 念のために改めて確認していますが、写真のようにQu=265くらいあります。(巻数が少なく周波数が高いのでややQが低下)

 巻き数や測定周波数によって変化しますが、だいたい300前後が得られます。エアダックス・コイルとして正常でしょう。

ロッド・アンテナをコイルに挿入
 従来の構造である、ロッド・アンテナがコイルの端部に掛かった(挿入された)状態を再現してみます。

 少しインダクタンスの変化とQの減少が認められます。ただしQu=225くらいあるのでそれほど大きな減少ではありませんでした。もっと低下するかと思っていたので意外でした。

 そういえば、コイルのインダクタンス調整に真鍮コアを使うと言う話を思い出しました。FMやTVのチューナと言ったVHF帯のコイルのインダクタンス調整に使っているとのこと。 Qの低下を来さずにインダクタンスを加減する(減らす)ことができるので使っているのでしょう。

 使っている伸縮式ロッド・アンテナ(6段式)は真鍮にクロームメッキしたパイプが使われています。 そのためQの低下をあまり来さずに済んでいるのでしょう。

ステンレス・ロッドでQ低下
 今度は実際にアンテナに使ったステンレス・ロッドをコイル端部に挿入してみました。

 幾らかインダクタンスも変化しますが、それ以上にQuの低下が顕著です。 約半分のQu=130になってしまうのです。

 265だったQuが半分以下になったら損失は倍増です。 そうでなくてもローディング・コイルにはロスがあるのに損失が2倍になったら電波の飛びが悪くなって当然ですね。

 アンテナの部材としてステンレス材は悪くはないと思っています。しかし使い方を考えないと性能低下をきたすことがあるのです。良い勉強になりました。


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 ステンレス製の上部セクションを真鍮製のロッド・アンテナに交換することで対策しました。 実績のある方法へ戻ったわけです。 使っているグラスファイバ・ロッドの先端部は細いので、その先に付けるロッド・アンテナとの結合方法を考える必要がありました。これにはアクリル樹脂製のパイプに両方を挿入する形式で接続しています。
 アンテナの上部セクションが伸縮可能になったので移動式の容量冠(キャパシティ・ハット)はやめました。 また波長で考えて上部セクションの長さは十分に得られているので容量冠は使いませんでした。これで支障なく各バンド共振調整できます。 なお、HF帯ハイバンドになると無闇にHigh-Qなアンテナにはなりませんからコロナ放電対策は不要でした。 以下、改良後の様子を要約します。

14MHzのSWR特性
 nanoVNAを使って共振特性を確認します。

 写真に14MHzのSWR特性を示します。これは改造後のものです。
 改造後のトップセクションはロッド・アンテナです。 伸縮できるので共振周波数の調整範囲はかなり広くなりました。 従ってコイルのタップ調整は多少ラフに行なっても共振周波数をバンド内に持ってくるのは容易でした。

14MHzの飛びかた
 PSKRで飛びかたを確認しました。 パソコンの画面をキャプチャしたものです。

既にご存知かも知れませんがPSKRの概略をあらためて説明しておきます。
最近はやりのFT-8のようなデジタルモードではパソコンを使ってオンジエアします。パソコンにはJTDXやWSJT-Xと言った専用アプリを走らせます。

 専用アプリには受信時に聞こえた(見えた)ステーションの情報をサーバにアップロードする機能があります。もちろんパソコンはインターネットに常時接続されているのが前提です。 その上がってきた各局からの受信情報をまとめて表示するサイトがPSKRです。 PSKR(←リンク)をアクセスすると自局電波が世界中のどこで受信されたのか良くわかります。初めてPSKRを開いた際には自局コールサイン、運用バンド、モードなど必要な情報を設定して表示させます。(左の画面)

 吹き出しに「XX min」と表示のあるのがレポートをサーバーに上げてくれた受信局です。例として44minとあるのはこの画面キャプチャの44分前に見えたという意味です。そこへマウス・カーソルを当てればその受信局の詳細情報が表示できます。

 これは2024年1月28日の16:30(JST)ころ14MHz/20m Bandにオンジエアした際の伝搬状況です。送信電力は50WでアンテナはこのDuo-Band Whipです。 アンテナのテストを兼ねたPOTA活の一環として訪れた上武県立自然公園内:児玉千本桜堤付近からオンジエアです。運用した頃は冬なので誰もいませんでしたが桜の名所ですから開花が遅れた今年は丁度いま賑わってます。(埼玉県本庄市児玉町高柳・GL:PM96ne、標高:約120m) 県道沿いで行くには便利な場所ですが特に無線に向いたロケーションとは思えません。 HF帯は電離層反射なので良いとして、V/Uの移動運用にはむしろ不向きでしょう。

 流石に14MHz/20m BandはDXバンドだけあって海外へよく飛んでます。 但し夜間帯を通るパスはないらしく北米は良くありません。 昼間〜夕方ゾーンのアジア・オセアニアと東欧が良いです。夏季で日照時間が長い南米にも飛んでます。 このオンジエアではアルゼンチン:LU2やインドネシア:YC2とできたほか中国、韓国とは複数局と交信できました。 日本国内もわりあいスキップせず満遍なく飛ぶ感じです。

 SWR特性だけでは良し悪しはわかりませんが電波の飛び具合を見るとまずまず良好なアンテナと言えそうです。

18MHzのSWR特性
 同じくnanoVNAを使って共振特性を確認します。

 写真に18MHzのSWR特性を示します。こちらも改造後のものです。
 バンドの切り替えはコイルのタップ位置を変えているだけです。 具体的にはコイルのタップをミノムシ・クリップで挟んで切り替えています。 そのあと先端部分の伸縮で共振周波数を微調整します。 運用中、心配していたタップ切り替えによる不安定さのようなものは感じませんでした。 SWR値も常に安定していたので問題はないようです。

18MHzの飛びかた
 同じくPSKRで飛びかたを確認しました。 パソコンの画面をキャプチャしたものです。

 移動地、パワーなどは上記20mバンドと同じです。 この18MHz/17m Bandもサンスポットの極大期にはDXingに向いたバンドです。 新しくできたWARCバンドなのでオンエア局数は20m Bandより少なめです。18MHz帯は3級局から出られます。

 やはり夜間帯を通るパスはないようで、北米はダメですが日照のあるゾーンへ良く飛んでます。アジア・オセアニアが良好です。 QSOできるかどうかは別としても(笑)カリブ海からもレポート上がっています。 Euも20m Bandよりも深い方(西方向へ)開けています。 実際にスペイン: EA局に呼んでもらったのですが、QRMで尻キレてしまいました。(ちょっと残念) 30分程度のオンジエアでしたが、オーストラリア:VKや西マレーシア:9WとQSOできました。中距離の中国・韓国局は国内なみに交信できます。 逆に日本国内近距離はスキップするかと思ったのですがマズマズ満遍なく飛ぶようでした。打ち上げ角の関係でしょうか。

 このバンドも飛び具合から見て十分使えるアンテナと言えるでしょう。 波長が短くなった分だけ幾らか輻射効率もアップしているはずです。

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 輻射効率が悪くて一時はどうしようか迷ったアンテナですが、原因究明と対策ができ使い物になるアンテナとして蘇りました。飛び具合も悪くないので及第点でしょう。

 これは当然でしょうが、いずれのバンドも地上高があるホーム・シャックのビームアンテナと比べたらだいぶ心細さを感じました。 しかし条件の悪い移動運用ですからそんなものなのです。給電点の地上高は1.5mで長さも僅か2mにも満たないほど小さなアンテナです。
 移動運用でこれ以上を望むなら高さのあるフルサイズのDPアンテナや或いはビームアンテナを架設すると言った大掛かりな運用になるでしょう。 それは私が目ざす「お手軽移動運用」とはまた別の世界です。(笑)

IC-7300とFC-700
 IC-7300を使っていて内蔵オート・アンテナ・チューナの整合範囲が狭いと感じることがあります。

 小型の筐体にオールバンドSSBトランシーバの機能を全て搭載しアンテナチューナ(ATU)まで内蔵しているのですから限界があってしかるべきでしょう。コンパクトで良くできたトランシーバだと思っています。
 外付けのリモート・アンテナ・チューナも用意されています。メーカーとしては内臓ATUでダメならそれを買って欲しい訳でしょう。w

 試したところ整合状態が厳しい時は外付けチューナを使うと良さそうでした。 お手軽移動運用の趣旨から言って機材が増えるのは好ましくありませんがRigの性能がフルに発揮できないのではやむを得ません。状況によって外付けチューナを使うことも考えましょう。これで整合の難しさはほとんど解消できます。

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 ステンレス製のアンテナロッドがローディング・コイルに影響を与え、アンテナの輻射効率を低下させると言う話でした。 原因がわかれば対策が考えられます。 構造を変えるのではなく素材を変えて解決できました。

 真鍮なら大丈夫でステンレス鋼が良くないのは電気抵抗の違いにあると思います。あまり気にされないかもしれませんがステンレス材の電気抵抗値はかなり大きいのです。錆びなくて安価なことからステンレス線をダイポール・アンテナに使うHAMもあるそうですが、いちど抵抗値を計ってみると面白いでしょう。 意外に抵抗値が大きくて驚くはずです。 まあロスを気にしなければアンテナのQが下がって広帯域特性になるのでステンレス線のDP-ANTもFBと言えるかもしれませんが・・・私は使いませんけど。(笑)

 コイルで発生した磁束により周辺に存在する金属には誘導電流を生じます。その生じた誘導電流によっても磁界が発生しエネルギーとしては消費されることなく殆どが戻ってくるでしょう。 しかしステンレス材のように電気抵抗が大きかったら自身の電気抵抗でIR損失が発生し熱になってしまい全部は戻ってきません。 簡単に考えるとこのような理由でステンレス材がコイル近傍にあるとロスになるのでしょう。 磁束の外にあれば問題ないわけで要は使い方かもしれませんが。 そして磁束が閉じ込められ外に漏れないトロイダル・コイルをもしも使っていたなら現象に遭遇することはなかったかも知れませんね。

                  ☆ ☆ ☆

 モバイルでオンジエアのお話はアンテナ基台から始まり磁石アース板の効果を6mアンテナで確かめたあと、いよいよ本題のHF帯アンテナの製作へと進みました。 10MHz、7MHzと作って実用的な成績が得られました。 続いて14/18MHzのDuo-Band ANTでは少々躓きましたが解決できてマズマズの成績を得ました。 交信実績のなかった6mも近所の空き地でテストしたらVK4とQSOできたので、これからPOTAの運用も楽しみです。 まだ残ったHF帯HAMバンドもありますがアンテナ製作とモバイルのお話は一旦おしまいにします。バンドが追加できたら改めて紹介しましょう。
 車載アンテナは「システム」であってホイップ・アンテナ単体では完結できないことを実感しました。 伏線ではありませんが各回のBlogテーマはどれも関連づけて回収できたと思っています。 ここを見ているのは電子部品や回路趣味のお方が殆どでしょうから興味の範囲外だったかも知れません。 しかし無線通信はアンテナがあってこそ成り立つものです。いくら優秀な通信機と言えどもPoorなアンテナでは本領は発揮し得ません。 移動運用ともなるとさらに固有の難しさも表面化してきます。 少しだけでも興味を持ってお付き合い頂けたようでしたら幸いです。

 最近は自作したアンテナであちこちの公園移動運用(POTA)を楽しんでいます。 カミさんと出かけることも多くて私は無線であちらは公園の散歩や散策を楽しんでいます。 だいたい1時間を目処にしていて、あまり長時間オンジエアすることはないので、お互いに飽きずに楽しめる程よいレクレーションになっています。 せっかく訪れた公園です。いくらか健康に良いように私も散策してから帰ることにしています。 ではまた。 de JA9TTT/1

(おわり)nm