2022年10月30日日曜日

The Kurobe Gorge Railway(黒部峡谷鉄道)

Photo : 2022.10.30 13:34 JST : The Kurobe Gorge Railway, Unazuki-Onsen, Kurobe-City

2022年10月25日火曜日

Making a Premix-VFO

プリミクスVFOを作る

AM/FMチューナ活用のFBなVFO
 「私だけの受信機設計」の第11回です。 今回は少し趣向を変えて試作中の受信機にマッチするプリミクス形式のVFOを作ります。

 VFOについては既に第8回でDDSを使ったもの(←リンク)を作りました。 DDS-VFOはメリットもありますが電子工作だけでは済まないのが製作上のハードルでしょうか。

 もちろんマイコンとか無しでも趣味の無線機製作は楽しめます。 今回はリサイクルショップで手に入れたAM/FMチューナを活用してアナログなVFOを作ります。 まあ、これも「誰でも」とは言い難いところもありますが、AMラジオ用のエア・バリコンや局発コイルの手持ちがあればフル自作も難しいことではありません。 何事も同じだと思いますが要はやる気しだいでしょう。 写真のように見かけはちょっと大げさですが周波数安定度が良く、つまみの感触はとても滑らかでスムースに選局できますから意外にFBではないでしょうか?

 周波数が安定な局発(Local-OSC)を自作するのはなかなか難しいものです。 さらに受信しやすいダイヤル機構を実現するのも大変です。ここではそれを容易に実現するアイディアの一つとして検証してみました。

                ー・・・ー

 ちょっと前の話ですが、シャックのBGM用にAV-Amp.をメインにオーディオをセットアップしました。主要な音源はPCからオーディオ用D/Aコンバータでもらいます。今では「ラジコ」や「らじる・らじる」もありますけれどAMやFMラジオは直接受信したいものです。 古いチューナを引っ張り出しラジオの受信テストをしたら良い感じです。ダイヤルの感触もなかなかです。ダイヤル機構は糸掛式で十分減速されていますしフライホイール付きですからとても滑らかなのでしょう。 まあ、中波のラジオ放送はAM変調波だから局発(局部発振器:Local Oscillator)の周波数安定度はそこそこでも十分イケるのだろうと思いました。 しかし実際の安定度はどんなものなのかちょっと興味を覚えました。

 さっそく周波数カウンタを繋いで実測したところ安定度が良くて驚きました。測定中はシャシむき出しのオープン状態ですから不利なはずです。それでもしっかり周波数は安定していることがわかりました。
 この理由は:(1)発振周波数が低いこと、(2)エアバリコンを使っていること、(3)年代物だから十分なエージング済み・・・と言ったところでしょうか?
 このうち、(1)の周波数が低いことは何よりも有利です。中波帯のラジオでは局発の発振周波数は986〜2057kHzになります。 概ね1〜2MHzを発振していますので短波帯を発振させるよりもずいぶん有利なのです。

参考:局発の周波数はAM放送の周波数範囲を531〜1602kHz、IF = 455kHzとした場合です。実際には受信可能な周波数範囲には上下に幾らか余裕が持たせてあります。

 そこで、この局発に目を付けてそっくり頂くことで考えてみました。 ちょうど6.4MHzの水晶発振子も手持ちがありうまく製作中の通信型受信機に必要な周波数:7440〜7640kHzへと周波数変換が可能そうです。あとはこうしたプリミクス形式のVFOに付き物のスプリアスが気になりますが、それは実験的に確認することにしました。 ブレッドボードでミキサ回路を試作したところバンドパスフィルタさえきちんと作れば問題はなさそうでした。

ムービーで擬似受信体験してみる
バンドエッジの7000kHzからワッチを始めて、7100kHzあたりまで行ったら下へ戻ってくるようにダイヤルを操作しています。 受信に使ったアンテナは15mHの逆Vです。受信機のAGCはFastの状態です。 では、さっそくワッチを始めましょう。
(再生するとが出ます)

 7MHz受信の擬似体験は如何だったでしょうか? Sメータの動きも軽快さを感じさせます。 そう言えば、この連載Blogで実際に受信している様子をアップしたのは初めてになります。 DDS-VFOでも同じように受信できていましたが、ムービーのようにAM/FMチューナ活用のプリミクスVFOでもなかなかスムースに受信できています。
 実際にしばらくHAMバンドのワッチに使ってみても周波数はとても安定でした。同じCW局をダイヤルに手を触れずにずっとワッチして居られます。 あとは周波数読取りが課題かもしれませんが、まずはバンドエッジさえわかれば十分実用になります。昔なつかしいマーカーオシレータを追加すれば使いやすくなるのではないでしょうか?

                   ☆

「通信型受信機」には何はともあれ周波数が安定な局発を用意する必要があります。 ここではリサイクルショップで手に入れた既製品のAM/FMチューナをVFOに変身させる方法をレポートします。
 けして「ゲテモノ」ではなく実際になかなかFBですから「がらんどう」のチューナ内部に受信機の回路をすべて収める・・・といった発展の仕方もあるでしょう。

 これからプリミクスVFOの製作過程を見て行きます。 例によってこのBlogは「私だけの・・・」ですから興味のおもむくままに進めているだけにすぎません。無理に読んでいただく必要はありませんし、その意味もないでしょう。 もしも興味を覚えたらご覧いただければ嬉しいです。何か感じたことでもあればコメントでもどうぞ。 誰でも思い浮かぶようなアイディアかも知れませんが実際にやってみる人は案外少ないものです。hi  

プリミクスVFOのブロック図
 AM/FMチューナのAM部から局発信号(Local-OSC)を取り出し通信型受信機に必要な局発信号を作ることが目的です。

 AMチューナの発振部の周波数安定度が良いことを利用します。 電気的な機能はそれがすべてなのですが、AMチューナ部を利用することで、そっくりそのままダイヤル機構も活用できることになります。
 ここが重要なポイントです。大掛かりな板金加工などせずに扱いやすくスムースなダイヤル機構を持った自作受信機用の局発(VFO)が手に入るわけです。 何しろ私が板金工作したのはφ3.2mmのネジ穴一つとBNCコネクタの取付け穴が一つの「たった2箇所」だけなんですから。それさえも工夫で省くことができます。(笑)

 試作中の7MHz受信機に必要なVFOは周波数が7440〜7640kHzの発振器です。(受信周波数範囲は7.000〜7.200MHz) これはI-F周波数が440kHzの場合です。一般的なI-F周波数:455kHzの場合、7455〜7655kHzのVFOが必要です。このプリミクスVFOではどちらにも対応できます。

 AMチューナ部から局発信号の1040〜1240kHzを取り出します。これはAMチューナのコンバータ回路から簡単に引き出せます。 ここで使用したFM/AMチューナはYAMAHAのCT-Z1と言うモデルですが、AM付きのチューナならどれでも使える筈です。(注:AM受信部がPLLシンセサイザ形式の近代的なモデルは不向きです) AM受信部を観察すると局発の取り出しが可能な箇所が容易に見つかります。そこにバッファアンプを設けてプリミクス・ユニットへ引き込みます。

 7440〜7640kHzへ周波数変換するためにTA7310Pを使います。TA7310Pは発振回路、ダブルバランス型ミキサ回路などが集積されたICです。TA7310Pは生産中止品ですが中華通販などで入手できます。
 発振部で6400kHzを水晶発振させます。その出力とAMチューナ部から取り出した1040〜1240kHzをミキサで混合して7440〜7640kHzを得ます。(和のヘテロダイン) ただしミキサの出力には差の周波数成分:5160〜5360kHzも現れます。このうち必要な7440〜7640kHzを取出すのがバンドパスフィルタ(BPF)の役目です。

 周波数変換で得られた7440〜7640kHzの信号はそのままでは小さいためFETを使ったアンプで増幅します。FETを使った増幅器は多少高調波の発生があるのでローパスフィルタ(LPF)を通過させてからスプリアスを抑えた出力を得ます。

プリミクス・ユニット
 プリミックス・ユニットは生基板とランド形式で製作しました。 基板のサイズはチューナーへの取り付け構造で決まったものです。 回路の規模に対してやや大きすぎますがゆったり組み立てることができました。

 このユニットの電源は+12Vです。 これはチューナ回路から貰います。 後ほど説明しますが、チューナの電源部はあまり余裕がありません。そのためこのユニットに+12V/50mAを貰うために強化改造しています。

 基板に貼ってある茶色のフィルムは絶縁用です。コイル類が基板にショートしないよう貼ったものです。コイル類を浮かせてハンダ付けするなど注意を払えば必要ないでしょう。

 このプリミクス・ユニット(基板)はチューナ背面のパネルにL金具でねじ止めされます。 他端は強力な両面テープでシャシの桟に接着したあと、ねじ止めした卵ラグにアース強化を兼ねてハンダ付され固定されます。(後ほど写真を参照)

プリミクス・ユニット回路図
 プリミクス・VFOの回路図です。 可変周波数の発振部はAMチューナ部ですのでこの図には含まれていません。 また、発振を取り出だすためのバッファ・アンプは別の図面にあります。

 回路と使用部品の説明です。 TA7310Pは東芝のICです。すでにディスコン(生産終了品)ですが、中華通販や国内の通販ショップなどで購入可能です。手に入らない場合は、SA612Aなども使えますが回路の見直しが必要です。 バランス型ミキサですから6.4MHzの漏れは少ないのですがバランス調整を設けています。

 TA7310Pのミキサ出力は1Vpp近くあって割合大きいのですがバンドパス・フィルタのロスがあります。製作中の受信機のVFOとして必要な+7dBmを得るためにFETで増幅します。FETには2SK544F(ONセミ)を使いました。2SK241GR(東芝)、2SK439F(日立)でも良いです。2SK439Fは足の並びが逆なので注意します。 50Ωの負荷に大きめの出力を取り出すためにFETアンプには+12Vを加えています。

 TA7310Pは電源電圧の上限が低いため+8Vの3端子レギュレータを使って電圧を下げて与えます。+8VのツェナーダイオードとNPNトランジスタで安定化電源を構成しても良いのですが手間がかかります。+8Vの3端子レギュレータがお勧めです。ごく一般的な「78L08型」で大丈夫です。大は小を兼ねるので3端子レギュレータは500mAタイプや1Aタイプでも構いません。

 RF回路ではいつも懸案になるコイル類ですがすべて自作品を使っています。バンドパス・フィルタ:BPFのT1とT2はFCZコイル:10S7で代用しても良いでしょう。自作する場合は10Kボビンに巻きます。インダクタンスは4.75μHです。アミドンのトロイダルコア:T25-#2などに巻きトリマ・コンデンサで同調させる方法もあります。 ローパス・フィルタのL1とL2はトロイダルコアに巻きました。トロイダルコア:T25-#10にφ0.32mmのポリウレタン電線を20回巻きます。インダクタンスは0.825μHが目標値ですが±10%くらいならOKです。従って同じコアと同じ太さの巻線を使えば確認は不要で巻きっ放しでOKです。

 水晶発振子はHC-49/U型(類似形状)のもので手持ちを使いました。6.4MHzの水晶発振子は市販品が容易に手に入ると思います。もし入手に困った場合は遠慮せずにご相談を。SASE対応で同じ物を差し上げます。

TA7310Pのミキサー部
 TA7310Pを使ったヘテロダイン発振とミキサ部を拡大しています。

 6.4MHz(6400kHz)の水晶発振子は頭部にリード線をハンダ付けして基板に直接アースできるようにしています。これは基板への固定も兼ねています。

 周波数調整は設けませんでしたが、回路図のC1(27pF)をmax50pF程度のトリマコンデンサに置き換えれば調整式にできます。 全般に配線は長めになっていますが周波数が低いので支障はありません。必要以上に長くする意味はありませんが基板に余裕があったのでゆったり作りました。

バンドパス・フィルタと出力アンプ部
 バンドパス・フィルタ:BPFと出力アンプの部分です。

 バンドパス・フィルタの調整方法ですが以下のようにします。 (1)出力周波数が低端である7440kHzより50kHz高い7490kHzでT1を調整して出力が最大になるようにします。 続いて、(2)出力周波数が高端である7640kHzより50kHz低い7590kHzでT2を調整し出力が最大になるようにします。

 これらの(1)と(2)を2〜3往復します。その後、7440kHz〜7640kHzで出力電圧が±15%くらいの変化に収まっていれば調整終了です。
 FETアンプの出力部分をオシロスコープあるいは高周波電圧計で観測しながら出力電圧がピークになるよう(1)と(2)の調整をしてもOKです。 ゲルマ・ダイオードで作った簡易なRFプローブも十分役立ちます。
 上記周波数範囲で出力の大きさに多少の上がり下がりがあっても支障はありませんからほどほどに調整しておけば大丈夫です。実際にこの試作品でも出力の大きさには山谷があってフラットではありません。

 出力アンプ(2SK544 x2)とローパス・フィルタの部分は無調整です。最終的に7440kHz〜7640kHzで+5〜10dBm程度の出力になっていれば完成です。

AM/FMチューナとインターフェースする
 AM/FMチューナーの回路も千差万別です。 従ってごく一例として見てください。

 アナログ式のチューナではトランジスタもしくはAMラジオ用アナログICでAMチューナ部が構成されているはずです。 スーパーヘテロダイン形式になっているのが常識でしょう。 従って、必ず局発回路があります。 455kHz付近のI-Fフィルタを使うのが普通ですから局発の発振周波数は986〜2057kHzくらいの筈です。

 オシロスコープで回路を当たって行けば確実ですが、AM受信部の部品配置をよく観察するとコンバータ回路(周波数変換回路)がすぐに見つかるでしょう。 ここで使ったような安価な機種では自励式のコンバータ回路ですが高級機の場合は局発回路は独立しているかも知れません。 いずれにしても発振振幅が100〜300mVppの部分が見つかりますのでそこにバッファンプを付加します。

参考:【局発回路の探し方】
局発コイルが目印になります。一般的に赤色のコアが使ってあるコイルが局発コイルです。 その周辺を当たれば適当な箇所が見つけられます。 AMラジオ用のICが使ってある場合はICの型番でネットからデータシートを探します。データシートから非常に有用な情報が得られるでしょう。

AM部の局発を取り出す
 局発の出力をそのまま配線で長々と引き回せば周波数安定度が悪くなります。 必ず発振回路の近くにバッファアンプを置いてから配線を引き出します。

 このチューナでは局発コイルのフィードバック端子が適当な引き出しポイントでした。 そのごく近傍に2SK544Fを使ったバッファアンプを「空中配線」で組み込みました。部品が小型で軽量ですから空中配線でも支障はありません。
 バッファアンプの電源はプリミクス・ユニット側からシールド線(細い同軸ケーブル)経由で供給されます。 シールド線はぶらぶらしないよう要所を固定しておきます。

重要:局発を引き出すにあたり極めて重要な話があります。 もともとAM受信回路になっていますがAM放送がまったく受信されないように対策します。 このチューナの場合、バーアンテナは内臓していませんので外部アンテナ端子をGNDへ短絡しておきました。 それだけでは不十分でAMチューナ回路のRFアンプ部分(コンバータ回路の直前にある)が動作しないよう対策しました。 その上でコンバータ回路が「発振回路」として完全に機能することを確認しておきます。 バーアンテナが付いたチューナもあるので、その場合はバーアンテナからの配線を切断(もしくは短絡)など確実な対策をします。言葉で書くと厄介そうですが難しくはありません。

 もしもAM放送が少しでも受信される状態が残るとVFOとして使ったときAMラジオ放送の混入が感じられてしまいます。対策していればBGMでラジオ番組が流れてくるようなことは無いとは思いますが、わずかでも混入は困ります。w

チューナの電源を強化する
 チューナの機種によりますが+12V程度の電源を持っているものが多いようです。

 基本的にチューナ自身の回路以外に電源を供給するだけの余裕はないでしょう。大丈夫かも知れませんが無理をせず電源を強化しておくと安心です。

 プリミクス・ユニットは+12Vで50mA弱を消費します。もともと+12Vの簡易な安定化電源になっていましたが、3端子レギュレータに交換して電源を強化しておきました。3端子レギュレータは配線を伸ばしてシャシの桟(さん)にねじ止めして放熱します。ねじ穴は元々開いていた物を使いました。

 電源トランス(低圧のもの)には50mA程度の余裕は十分あるのが普通ですから少々負荷が増えても心配ないでしょう。 発熱など確認しておけば完璧ですがその必要もない筈です。 もちろん製作中の通信型受信機の回路全部を組み込むといった発展には容量不足も考えられます。その場合は15V/1A程度の電源トランスに交換する必要がありそうですね。 整流回路もブリッジ式にするなどグレードアップします。 事情は個々のAM/FMチューナによって異なりますので現物を確認して対応方法を考えておきます。

プリミクス・ユニットを装着
 プリミックス・ユニットの実装状態です。

 もともとのチューナ回路の基板と電源トランスの間に空間があったのでプリミックス・ユニットはそこに収納しました。取り付けを考えてぴったりのサイズにカットした生基板を用意し、そこに組み付けたわけです。

 基板を固定してチューナ基板から+12Vの電源を給電します。 局発バッファ・アンプからの同軸ケーブルを配線します。 なお、出力端子はチューナに元々付いているオーディオ出力用のRCA端子を流用しても良いです。 ここではシャックにある機器のコネクタ統一を目的にBNCコネクタを新設しておきました。これはお好みですのでM型でもSMA型でも何でも良いでしょう。 このコネクタの穴あけとプリミクス基板を固定するために裏面パネルに開けたφ3.2mmの穴一つがチューナ改造に要した板金工作でした。 さしたる板金工作もなしにFBな減速ダイヤルが付いている周波数安定なVFOができました。

改造後のチューナ内部
 別の角度から改造済みのAM/FMチューナの内部を見ています。

 右のほうにAM2連・FM3連のエア・バリコンが実装されています。 バリコンには簡易な減速ギアがついており、さらに糸掛式のダイヤルで減速されています。 写真では見えませんがダイヤルつまみにはφ50mmくらいのフライホイールが付いていてダイヤル操作が滑らかにできるようになっています。

 機内の発熱も少ないので、完成後に周波数安定度を見ていますがHAMの無線機に内臓のアナログVFOにも劣らない・・・むしろ良いくらいの安定度がありました。 CWはもちろんですが、SSBの復調でも周波数安定度が問題になることはなさそうです。 もちろんSSBをメインにするならI-FフィルタはSSBに向いた帯域幅に交換した方が良いですね。最初のムービーのように、今のままのCW用I-FフィルタではSSB受信にはいささか狭く感じます。

 あとはもう少しダイヤルの減速が大きければSSBの同調もずっと楽になります。AMチューナ部の発振周波数範囲を加工するといった方法もあるので将来「チューナとして復活させる」つもりがなければ改造すると面白くなります。 ダイヤル面いっぱいで200kHz+αをカバーするようにするとVY-FBです。 そのようにすればチューニングし易さがアップするだけでなく、ダイヤル面が全部活かせるので周波数の読み取り精度もグンとアップします。現状ではAMラジオのままなのでダイヤル面の1/5くらいしか使っていません。

受信機を構成してみる
 製作してきた「私だけの通信型受信機」を上に乗せてテスト受信しています。

 ちょっとVFO部が巨大すぎますが受信機として何となく纏まってしまいました。 ブレッド・ボードを脱却し、コンパクトに基板を製作すれば容易に筐体内に収容可能でしょう。 あるいは同じサイズ(底面積)の薄型ボックスでも用意してAM/FMチューナの上に載せて使うといった方法もありそうです。

 受信して感じたのですがやはりアナログなVFOは操作フィーリング優良だと言うことです。けしてDDS-VFOも悪くはないのですが、10Hz/Stepのデジタルよりもアナログの連続周波数可変の方が滑らかに感じます。 DDSの方をもっと細かいステップにでもすれば近付きますが今度はダイヤル機構(ロータリ・エンコーダ)が厄介でしょうね。 周波数安定度や読み取りといったメリットを取るのか、受信操作のスムースさを重視するのかこれまた悩ましいテーマです。(笑)

                   ☆

 エア・バリコンと糸掛けのメカが欲しくてリサイクルショップで古いAM/FMチューナを手に入れたのはずいぶん前でした。 何となく突然に(笑)BGMを楽しむ環境を作りたくなり、ジャンク置き場の奥の方に眠っていたそれらを探し出して再整備したのはまだ最近のことです。 AM/FMチューナは何台かあって良さそうな1台は再調整してさっそく本来の役目に復帰させました。ローカルのFM局が良い音で鳴っています。S/Nはやや落ちますが「らじる・らじる」と言ったネット・ラジオよりいい音ですね。 そして余ったチューナでFMの受信成績があまり良くなかった1台を今回の実験に回してみました。捨ててしまってはもったいないですからね。分解して価値のある部品もロクに見あたりません。なるべくそのまま活かせたらFBでしょう。

 「私だけの受信機設計」第11回はいかがだったでしょうか。少し傍道に逸れて遊んでみました。 余興のつもりだったのですが、意外に悪くない・・否、良好な結果に満足しています。この実験が「私だけの受信機設計」にうまく活かせたらFBだと思っています。
 次回は残っているAFアンプ部を検討したいと思っています。 やり残しはそれだけだと思いますが「アレ忘れてるヨ!」と言うリクエストでもあればできるだけ努力したいと思います。w ではまた。 de JA9TTT/1

つづく)←リンクnm

私だけの受信機設計・バックナンバー】(リンク集)

第1回:(初回)BFO/ビート発振器の回路を検討する→ここ
第2回:BFO/ビート発振器の実際と製作・評価→ここ
第3回:プロダクト検波器の最適デバイスと回路を研究する→ここ
第4回:プロダクト検波器の実際と製作・評価→ここ
第5回:I-F Amp.中間周波増幅器のデバイスと回路の検討→ここ
第6回:エミッタ負帰還型AGCで高性能I-F Amp.を作る→ここ
第7回:I-F Amp.増強とPIN-Di詳細/(含)簡易フロントエンド・IF-フィルタ→ここ
第8回:DDS-IC・AD9833で周波数安定で便利な局発用発振器を作る→ここ
第9回:高性能フロントエンドで活きる最適デバイスとその活用の実際→ここ
第10回:フロントエンド・Bus-SWとハイレベルDiミキサを比較する→ここ
第11回:古いAM/FMチューナが高性能なプリミクスVFOに大変身→いまここ
第12回:音色が良いAF-CWフィルタと低周波アンプを作る(最終回)→ここ

2022年10月10日月曜日

Cosmos(コスモス)

Photo : 2022.10.08 13:13 JST at Cosmos Road Fukaya-City