2009年11月14日土曜日

【部品】7PLAコイルの巻き方

7PLAコイルの構造:

 7PLAと言うのは、東光製コイルの一形式であり、HAMにもお馴染みの10Kとか7Kなどと同じような「巻枠+シールドケース」の形式を示す型番だ。 透磁率:μ(ミュー)の大きなコアを使い巻線もいっぱい巻けるので、大きなインダクタンスが必要な低い周波数向きにできている。(コア材にも数種あるようだが何れも中波どまりでHF帯には向かないようだ)

 大きく分けると3つに別れる構造になっている。 実際には写真右上側の外ネジの切ってあるカップ型(壷型)のコアは中央のシールドケースと一体になって外れる。従って二つに別れる訳だが、ここでは説明のためにカップ型のコアを外している。
 左側の足ピンのはえた台座の上部に鼓(ツヅミ)型のコアが接着されている。 コアを芯にして直接巻き線してある。 このように台座が外れ、ツヅミの回りには障害物が無い状態で取り外せるため巻き換えは比較的容易である。

分解方法:

 シールドケースの底面側にツメがあって、台座を押さえている。 このツメを起こせば簡単に台座を外すことができる。

 シールドケースは真鍮の薄板をニッケルメッキしたもので、数回の開閉なら大丈夫だが、何回もできるようにはなっていない。ツメが折れてしまうと使い物にならなくなるので注意を。
 入手したコイルによっては底面にコンデンサが内蔵されている場合もある。 容量によっては再利用できるので、上手に外して測定しておくと良い。 コンデンサは円筒型のチタコンで、たいてい容量値は書いてないのでCメータで測定して確認する。

台座と巻線:

 台座は容易に外れる。 巻線部分はこのように防湿のためワックスで処理してあることが多い。 巻き換える時にワックスは取れてしまう。 防湿処理はしないで済ますか改めて何かを塗布するのか考えておく。
 非常に悪い環境で使う或は長期間の性能を維持するためには防湿処理すべきだろう。 しかし過去の製作では特に何もしていないが問題が起こった経験はない。 メーカーと同じワックスが入手できればぜひ処理しておきたいものだ。 少量の入手が可能な方法があればお教え頂ければと思っている。 巻線が固着しても良ければ高周波ワニスを塗布しても良い。高周波ワニスなら小ビンに入ったサンハヤトの物が手に入る。

巻線除去:

 ボビンだけの未組み立て品が手に入れば分解する必要はない。しかし大抵はジャンク品を改造することになるだろう。 この例では250kHzあたりで使う目的で作られたらしいジャンク品を改造している。(あとで無償頒布する予定のものと同じ)

 もともと巻いてある線を上手に解き、それを巻き直してコイルを作ることにする。 足ピンにハンダコテを当てながら先の細いピンセットで巻線をそっと引き上げる。
 写真の位置が一次側巻線(同調側)の巻き終わりになっている。 巻き数の少ない側(リンクコイルなど)が内側に巻いてあるのが普通だ。 従って反対側の2ピンの出ている側に巻いてある巻線が2次側巻線で、コアに近い内側に巻いてある。

 巻線はφ0.05mmくらいのたいへん細いものが巻いてある。 この改造では巻線も再利用するので切らないように上手に解いて行く。 このコイルの場合は中点タップがあってそこで一旦切れている。 もともとの巻線はかなりたくさん巻いてある。新たに巻き直すのはずっと少ない回数なので長さには余裕がある。

ハンダ付けを外したところ:

 このようにハンダ付けを外したら、切ってしまわないように上手に巻き解いて行く。

 なおワックス(パラフィン)は柔らかいものなので、除去などせず気しないで解いて行く。 巻線にワックスが付着してくるので、後でティシュ・ペーパーで軽くぬぐっておけば良いだろう。

2次側巻線を行なう:

 最初に2次側(リンク側)を巻く. この例ではCW用なので4回巻いていある。 線が細いので少しコツが要るかもしれないが、慎重さが必要だが特に難しくはない。 巻線は再利用して十分余るので、うまく行かないようならやり直しても足りるから大丈夫だ。
 
万一、巻線を切ってしまったらφ0.1mmくらいの別の線を巻けば良い。あまり太い線だと予定の回数だけ巻けなくなるので、用意する線の太さはφ0.1mmまでが良い。巻線の径が異なればインダクタンスも変わる理屈だが、コアの調整で十分カバーできるので心配は無用。

 当然絶縁された電線を使うことになるが、ごく細い線の絶縁被覆を機械的な方法で・・・例えばサンドペーパとかナイフなどで・・・除去するのは現実的ではない。 かならずポリウレタン電線(記号UEW:ウレメット電線とも言う)を使うこと。 UEW線ならハンダコテの熱で絶縁被覆を除去できるのでとても簡単に組み立てることができる。

1次側の巻線を行なう:

 続いて1次側を巻く。前のBlogに於けるT1の場合は72回目でタップを引出し、合計で143回巻く。写真は巻き終わった状態だ。 なお、T2は巻き始めから18回目でタップを引き出し、合計で143回巻く。

 その他のコイルも製作の要領は同じなので、図面の指示に従って巻き線すれば良い。 巻き終わったら必ず導通を確認しておく。 また、インダクタンスメータがあるようならシールドケースを仮に被せ確認しておけばより確実だ。(ツメは確認できてからかしめること) コアの調整によるインダクタンスの調整範囲はかなり広い。従って、巻数さえ大きく間違えなければ調整不能になるようなことはまず無いので心配しなくても大丈夫だ。

シールドケースをかしめて完成:

確認が済んだらシールドケースをかしめて完成である。 さっそく名称を書いておき、どのコイルだったか識別できるようにしておくこと。 あとでわからなくなると厄介である。(笑)

 写真はLA1600に世羅多フィルタを付けるために作ったもので、図のT1である。

φ0.1mmのUEW電線:

 巻いてあったものを再利用すれば良いので新たな巻線はいらない。 しかし再利用せずに巻き易いφ0.1mmのUEWで新たに巻き直しても良い。これはその確認に使ったもの。 子供のころ近所にあった電子部品下請け工場に電線を分けてもらいに行ったら頂けたものだったと思う。拙宅には随分前からあるものだ。

 細い線は使っても僅かしか減らないので、購入するならもっと少量にしておいた方が良い。 EIコアにアウトプット・トランスでも巻けば消費量も多いかもしれないが、トランジスタ回路用のIFTを巻く程度では一生モノのようだ。(笑) 必要なら所要量+αの分を差し上げる。糸巻きのような巻枠をお送り願いたい。 巻き直すのが面倒なので必要量+αでご勘弁を。

 φ0.1mmの次はφ0.16mm、その上はφ0.20、0.32、0.40、0.60、1.00mmなどを常備している。 0.16あるいは0.32を使うことが多い。トランス屋さんではないので、だいたいこの程度を用意しておけば困ることは無い。

                  −・・・−

FCZコイルを考えてみる:

 あらためてFCZコイルを考えて(検討して)みた。 その結果、前々から書いているようにFCZの10M455を使えばかなり良い線まで行くことがわかった。 10mm角なので少し大きくなるが、それが支障になるケースは稀だろう。 従ってコイルの自作は面倒と感じるなら10M455を使うのが良いようだ。 その場合、必ずFig.2のFETを使う方式を選択すること。あるいは真空管の回路にも使うことができる。




【7PLAコイルの頒布案内】
 小型化するために7mmm角のコイルで作りたい人に、ここで使った7PLAコイルを2個一組で差し上げる。 もちろん無償だがSASEの送り先を返信するので次のアドレスまでまずはメールを。 メールは「ttt.hiroアットマークgmailドットcom」でとどく。(カタカナ部分は記号などに直す) それなりの数量を用意しているが予定数になりしだい終了させていただく。 このBlogで頒布終了の追記があるまでは継続する。

SASEとは自分の住所氏名を書き必要な額の切手を貼った返信用封筒のこと。(Self‐Addressed Stamped Envelope) 破損しないよう包装する関係で封筒の厚みが定形外になる。120円分の切手を貼ってもらうことになると思う。

2009年11月8日日曜日

【映画】ゼロの焦点

小説:ゼロの焦点

 昨日は山崎豊子の「沈まぬ太陽」を見てきた。国民航空NALを舞台にした左遷人事と会社を食い物にする政治家と御用組合・・・昨今の某航空会社そのままをただちに連想させる内容である。確かに映画化には抗議が来てもおかしくない。 利用価値の無い地方の「政治家空港」への義務的な(赤字)就航を余儀なくされた航空会社にとってどんな経営戦略も意味を持たないだろう。そうした気の毒な面もあるが、一面ではうまい汁を吸っていそうな(正)社員の姿がだぶれば、税金投入になりかねない救済に納得できないのも当然な感覚だろうと感じつつ、完全なフィクションと言う映画を見終えた。

 来週から始まるのが標題の「ゼロの焦点」である。 何となくストーリーは知っていたが、読んだことは無かった。 映画の予告編を見て(一足先に・笑)展開を追うために階下の書店に寄ってしまった。 たぶん、先に読んだら面白くないだろうと思いつつも、写真の三女優がどのように演じるのか映画も見てみたいと思ったしだい。(笑)

 500ページ弱の中編を一気に読み終えたばかりだ。 金沢を中心に能登あたりの風景を描写するシーンが多々登場する。 津幡と言えばJA9CZJ松盛さんが・・・とか、羽咋海岸でキャンプしたなあ・・とか、和倉温泉は行ったことはあっても逗留した経験は無いなあ・・・とか、シーンごとに自分のイメージを重ねながら駆け足で読み終えた。
 舞台となった昭和30年代のはじめころは私の親の時代である。時代背景や生活の実感は湧かないが、敗戦の痕跡がまだ色濃く残っていた時代に違いない。 今の時代にはそぐわない古い時代の感性に基づくだけに映画がどれほど共感を得るかは未知数だろうと思う。 なので三女優に賭けたのかもしれない。(笑) まだ見てはいないが、一応お薦めしておこうか・・と。

追伸予定の1日遅れで「ゼロの焦点」を見てきた。二時間少々のTVドラマチックなのはやむを得ないが予想したよりかなり良かった。ストーリーの終わらせ方は小説の方がドラマチックと感じるので先に映画の人も読んでみるのをお薦めしたい。「おくりびと」の印象から難しそうに思った禎子役の広末涼子も悪くなかったと思う。(2009.11.15)

2009年11月7日土曜日

【回路】世羅多フィルタとLA1600

AMラジオチップLA1600:(SANYO)

 思い切った省略で最小の外付け部品で実用的なAMラジオを実現したICである。 三洋セミコンダクタ社のAMラジオ専用チップだ。 必要な機能に絞り、たった9ピンでRFアンプ付きスーパ・ヘテロダインを実現している。あとは好みの低周波アンプを付ければAMラジオが完成する。しかもかなり高性能だ。 スーパ・ヘテロダイン方式の発明者:E.H・アームストロングが見たら目を回すにちがいない。

 残念なことにこのLA1600もついに生産終了らしい。 4インチ・ウエファの生産ライン終息に伴うためのようだ。 採算性の良くない製品を整理する意味もあるのだろう。 AMラジオ単機能のチップは自作アマチュアには有難くてもセットメーカーにとって好都合とは言えない。今どきAMだけではオモチャの扱いだし付加価値を付けるためにFM付きラジオにするなら別のチップを選ぶ方が賢明だろう。LA1600のニーズは減っていた筈だ。

 AM放送は不滅だと思うがシンプルな専用ICが消えるのも時代の流れだろう。 ただ、このICの機能ならトランジスタ3〜4石で実現可能だから悲観的になる必要はない。部品は増えるが設計の自由度が増えるメリットもある。 生産中止で僅か100円のチップがあまりにも高騰するようなら違う手を考えるべきだろう。 安いからこそ意味があったICなのだから。

 それでもまだ入手はできるしパーツボックスに眠ったままのLA1600もありそうだ。 世羅多フィルタと組み合わせ、BFOも付加すれば立派なHAM用通信型受信機になる。もう暫く利用価値がありそうなので検討しておこう。

世羅多フィルタのマッチング回路:(LA1600)

 以前あったweb記事では既成のコイルで済ませる関係で回路も限られてしまった。 コイルを自分で巻くつもりなら回路設計の幅が広がる。
 :CSB455E(村田製作所)を使う前提で設計してある。中国製CRB455Eの場合、厳密には設計変更を要する。但し、そのままでも極端にずれていないので実用範囲にある。

 Fig.1は世羅多フィルタに合わせたIFTを作って最適化をはかる方法である。 入力側:T1はLA1600のミキサー負荷の高インピーダンスを世羅多フィルタの低インピーダンスに変換する。 出力側:T2は世羅多フィルタの低インピーダンスをLA1600のIFインピーダンスにアップするトランスである。 LA1600のIFアンプ・入力インピーダンスは明確にはわからないが2kΩくらいのようだ。 T2はそれに合うよう設計している。

 Fig.2は既におなじみの方法だ。 FET:2SK241が増えるが出力側IFTの構造が簡単になる。 またFig.1よりトランスによる「昇圧利得」が大きくとれるので、通信型受信機としてゲインに余裕ができる。もともとはアイテック社製SR-7受信機の改造のために応急に考えたものだが悪くない方法だったと思う。

 この2SK241の部分だが、FETはさして増幅していない。FETの増幅作用によるゲインは僅かに数倍である。 大半の利得はT102の巻数比による昇圧利得によるものだ。 FETはインピーダンス変換の目的が主でありゲインはあまり稼がぬのが安定動作のポイントだ。ドレイン負荷を単なる低抵抗器にしているのはその意味からである。
 ここを抵抗器ではなくIFTにすればゲインはアップするが発振気味になっては元も子もない。IFTを離調させたり抵抗をパラに入れQダンプして発振を止めるくらいなら最初から抵抗器を使う方がマシというものだ。

 SR-7の例で言えばゲインが不足して相手の信号が聞こえないとは考えにくい。 聞こえないのはコンディションが悪いかアンテナが不出来なのであり、そんな状況では自局の波も飛んで行かない。受信機は必要以上にゲインを稼ぐ意味はなく、むしろ安定に動作することを優先すべきだ。

7PLAコイル:

 東光製のトランジスタ回路用7mm角コイルである。 HAMの自作でおなじみだった7Kタイプとは異なった内部構造である。おもに中波帯以下の低い周波数で使うものだ。 巻溝付きのボビンではなく、鼓(ツヅミ)型のフェライト・コアに直接巻線する。
 可変コアは鼓を覆うようなカップ型をしており外周にネジが切ってある。そのネジとシールドケースのネジが勘合してカップ型コアの上下でインダクタンスを加減する。組み立て易く部品も少ないうまい構造だと思う。 分解も容易なので改造目的にはマッチしている。

 小指の先ほどの小さなコイルだが、455kHzでQu=100以上が得られるのでSTARの大きなIFTと比べても遜色ない性能だ。 但しこうしたトランジスタ用のボビン/コアは1次と2次の巻き線が構造上必ず密結合になる。真空管用IFTのような復同調形式にするには2個使ってC結合で実現しなくてはならない。(2個のコイル間をリンク結合する方法でも可能だがそう単純ではない)

# 上記各コイルの巻き方についてはあらためて扱うつもりだ。


SR-7DXの回路:(おまけ)

 アイテック製のSR-7を世羅多フィルタ付きに改造する方法。これは以前webに公開していたものと同じ。LA1600を扱ったのに回路図がないと寂しいので「おまけ」で付けた。

 この回路の個人的な利用に制限はない。もし参照して製作記をお書きなら引用元を明確にし二次参照者にオリジナルのありかを示して便をはかるのが常識と言うかマナーである。 なお、少々部品定数を変えた程度でご自身のオリジナルであるとするご主張は認められる筈もないので注意を。 まさかとは思うが、商用的に利用したいならメールを。

つづく

2009年11月1日日曜日

【部品】STARのIFT(5)

STARのIFTを世羅多フィルタに使う:

 真空管用だから真空管式のラジオでも・・・とご期待されていた向きには少々申し訳ないかも。今まで世羅多フィルタを真空管機に取り込む検討は十分ではなかったようだ。 ニーズは少ないように感じたからだ。

 検討を始めると真空管回路に使うとなればIFTそのものを理解する必要に迫られる。それでSTARのIFTを調べたような訳だが目的に対して必ずしも適切なIFTではなかったようだ。 手元のジャンクからピックアップしたのでやむを得ないが廉価版ゆえの工夫もあり改造向きとは言えない感じだ。
 しかしハイゲイン指向のIFTだから上手に使えば高一中くらいでも交信に使える実用受信機ができそうだ。家庭用ラジオとは違うから必要な感度を得るための配慮が必要だ。例えばIFアンプにはややHigh-gmな6BA6クラスの球を登場させることになるだろう。コンバータ管も6BE6よりも変換コンダクタンスgcの大きなものが良い。ペンタグリッド管の自励コンバータで考えると選択肢が限られるからOSC+MIXerで考えると有利だ。例えば6U8や6GH8Aなどいくらでも候補がある。

# 受信機の設計となると他にも種々考慮する事項がある。ここでは世羅多フィルタの活用に絞った部分で考えている。

世羅多フィルタの真空管回路への応用:

 世羅多フィルタの終端インピーダンスはCW用が約100Ω、SSB用が約300Ωである。 それに対して真空管回路におけるIFT部分のインピーダンスは低いもので50kΩくらい、高いものでは200kΩを越えるものもある。
 従って何らかのインピーダンス変換を行わぬとまったく使い物にならない。 このあたりが、使ってみたいと思っても真空管式受信機に利用されていない理由であろう。 もちろん回路を良くお判りのお方が旨く工夫されている事例を拝見したことがある。 エキスパートには無用な情報かもしれないが一般化のために検討しておくことにした。 既成受信機の改造のためにも。

 左記回路図のFig.1は当初から考えた方法である。真空管用IFTを改造してC分割によるインピーダンス変換を行う方法だ。 適したC分割比を求めるためにはIFTの特性と回路の動作状態を知る必要がある。 調べた結果からSTARのA4・IFTをC分割式で改造するには図のような容量になった。 C分割すると容量比で信号振幅は小さくなってしまう。 従ってフィルタの出力側にはインピーダンス・マッチングしながら昇圧機能を持っているトランス(IFT)を使うと有利だ。 トランスT2がそれで、製作については別途Blogで扱う。

 Fig.2は、IFTを改造しない方法である。 Fig.1のようにC分割でマッチングするには事前にIFTの評価が必要になる。 部品数は増えてしまうがIFT間の結合を加減できるようトリマコンデンサを入れておき、組み立て後に調整で追い込む方法だ。結果が良ければOKと言う簡易手法と言えそうだがアマチュア的にはこの方が楽そうだ。 T101はもとの真空管用IFT、この場合はSTARのIFTである。T103が追加するIFTで、これは出力側T102と同様にトランジスタ回路用の小型IFTを使う。小さなIFTなのであまり場所は取らない。T103とT102の製作についても別途扱う。

C分割に使ったコンデンサ:

 CW用世羅多フィルタの場合、インピーダンス変換比が大きかったので分割容量は4,300pFにもなった。 ここのコンデンサもHigh-Qなものが良いので同じくスチロールコンデンサを使った。
 4,300pFは1個で得られなかったので2,100pF2個と100pFを並列にした。 なお、もともとの同調容量(100pF)も少し大きくすべきだが、追加分は計算上約2pFなのでIFTのコアを微調整すれば済む範囲だ。 インピーダンス整合にもわずかな影響しかないのでそのままで済ませることにする。 回路図中のFig.1におけるT1の部分がそれだ。

 IFTが異なれば、当然この4,300pFと言う値も異なる。 盲目的に4,300pFにすればいつもマッチングするなどと思ってはいけない。 同調容量、Qと共振インピーダンスなどから改めて適した値を求めることになる。
 このSTARのIFT(A4・B4)でも、SSB用の世羅多フィルタ(インピーダンスは約300Ω)に使う際には2,500pFに変更が必要だ。

IFTの改造:

 IFTの内部に追加したコンデンサを入れてしまう。 コンデンサの接続点を引き出す必要があるが、このIFTには余分な脚がないのでリード線を絶縁して引き出しておいた。
 振動の多い環境でもなければ、このような状態で使っても問題はないであろう。

 なお、世羅多フィルタの用がなくなったら、引き出したリードは遊ばせてしまい、もとの端子(GとFの端子)を使えば従来通りである。 うまく作れば世羅多フィルタのON/OFFをスイッチで切換えできるだろう。(帯域外減衰が悪化する危険性があるので、スイッチ切換えはあまりお薦めしないが)

 次回はこのテーマとの関連で定番のLA1600に適した世羅多フィルタ用IFTを検討する予定。 従来は既成のFCZコイル:10M455で間に合わせていたが適したものを検討しておきたい。
つづく

2009年10月30日金曜日

【その他】80,000回

8万突破:

今日、11時10分過ぎに80,000ビジターになった。
いつもご覧頂き有難うございます。

 アクセス多めでも昨今はROMに甘えるビジターばかりゆえBlogなんかオシマイにして・・・twitterにでも移ろうかとか思いはじめた今日このごろ。 サイトやBlogと中身はまるで違って来るけど・・・まあ流行(ハヤリ)だからねえ。(笑)

 Bloggerは特定サーバに依存しないクラウドゆえ、ほっておけば此処のコンテンツは幾らでも残りそうだ。 あっちに行った所でこのままでも良かろう。 まあそれで何か弊害でも生まれてきたら意図的に廃棄するしかないんだけれど。

# ホントは8万overはお祝いなのに・・・ちょっとなんでしたか?(溜息)


紅葉(おまけ)







2009年10月25日日曜日

【書籍】ARRL Handbook 2010

夕方、ARRL Handbook 2010年版が届いた。

 予定では11月になってからの発送と聞いていたので、少し前倒しになったようだ。 これは佐川急便で届いた。(参考:¥5,271-で購入。2010年版は高い?:現在は入荷時期未定だが¥4,208-で予約できる模様。円高の影響か?)

 例によって分厚いのでこれから目を通すところだ。 内容の単純な紹介は他所でも有りそうなので、すこし違った視点で考えてみようかと思っている。
 なので、少し時間をもらいある程度目を通してからにするつもり。  さりとてOver 1,000ページの英文だから十分に目を通してから・・・などと言ってると2011年版が出てしまいそうだ。 よってかいつまんだ内容になるとは思う。 なるべくポイントを外さぬよう気をつけねば。(笑)

# 早々に発注された皆さんの所にも届きましたか? いまワクワクでページをめくってるところ? hi hi
de JA9TTT/1

2009年10月24日土曜日

【部品】STARのIFT(4)

STARのIFT、A4・B4の電気的評価の2回目である。

 無負荷Qの評価やインダクタンスの測定も終わったので、コンデンサを付け直し再度組み立ててIFTとしての実測を行なうことにした。

 写真はIFTの単体特性評価に使う治具である。治具前段のアンプは内部インピーダンスが十分高く、被測定IFTに影響を与えないよう作ってある。 また負荷側もソース・フォロワなので十分高いインピーダンスになっている。 なるべ治具がIFTの特性に影響を与えないようになっている。

 そのほか、実際に真空管を使い五球スーパと同じIF増幅回路を構成しているテストユニットもあるが今回は使わなかった。 ラジオとしてのオーバーオールのIF特性が必要になったら使うつもりだ。

IFTの単体特性測定:

STARの普及型IFT・A4の単体特性である。 上記の治具を使って測定している。 縦軸の一目盛りは10dBではなく5dBなので注意されたい。 -6dB帯域幅は約12kHzである。 IFT2個のオーバーオール特性では概略8kHz/-6dB程度になる。 一般の家庭用ラジオに使うIFTとしてはこのくらいが適当なようだ。

 通信機用IFTのように選択度ばかり上げると中波AMラジオの受信では高音がカットされて音が悪くなる。 さりとて帯域幅を広くするとIF増幅1段のラジオでは裾野がブロードなので夜間の混信が怖い。 従ってこの程度の特性が適当と言うことになろう。 実用してみた経験から到達した製品性能なのだと思う。 頂部に平坦部が見られるから1次2次間はおおむねk・Q=1の臨界結合になっている。

 上記写真の特性はIFT A4のものだが、B4の電気的特性もまったく同じであった。要するに、この写真とまったく同じと言うこと。即ちこのIFTはAとBの区別は無いのである。

# IFTの整備と性能の確認が終わったのでこれをテスト材料に使うことにする。 本当はそちらが目的だったのだが、材料を用意するためのお膳立てにずいぶん時間を要してしまった。

え〜と・・・何やろうとしてたんだっけ? すっかり忘れてしまいそう。(笑)

(さらにつづくと思う・たぶん)

2009年10月19日月曜日

【書籍】ARRL Handbook

昨日Amazon.co.jpから届いた。

 以前はペリカン便だったが、最近はJPとか佐川急便でも届くようで複数の輸送業者を使っているようだ。 これはJPの扱いだった。

 ARRLのサイトにも行って来たが送料を考えると割高のようなのでAmazon.jpで買ってみた。1,500円以上は送料無料である。 他に米国の古書店も当たってみたが、2008年や2009年版は新品との価格差はあまりないようである。送料も掛かるので古書のメリットが活かせない感じだった。

2008年版、2009年版:

 2010年版の予約をしておいた。そちらは11月になってからの発送だそうだ。 もともと2010年版の注文が本命で2008、2009年版はついでに・・・。 連続して買っても代わり映えしない内容が多いので2007年版以降はやめていた。 しかし成り行きで購入してしまった。 各版で多少の違いはあるが同じ記事も多いので3〜5年に一回くらいにしておく方が新鮮味があって良いと思う。 2010年版は大幅に改定されるそうなので楽しみにしている。

 アマチュア無線ハンドブックはJARL版もあったが、発行に至るまでの作業は膨大でおいそれと改訂も出来なかったそうである。 筆者の皆さんは手弁当のボランティアな作業で作っていたと聞く。 ARRLやRSGBのハンドブックなら世界共通の英語だから良いが、日本語ではローカルなマーケットしか期待できない。 それに最近のJA-HAMは本を殆ど読まないそうなので毎回買ってくれそうにない。 数年間色あせない記事を集めるのも難しいと思うので結局続かなかったのだろう。 今のJARLにはハンドブックを監修し発行するだけのパワーはもう残っていないのかもしれない。 JAらしい面白い記事もあったので残念だ。

 ARRL Handbookであるが、読む苦労はあるものの良い内容が詰まっていると思う。 電気・電子・通信・半導体の専門単語を多少知っておけばあとは高校生レベルでも何とかなる。 どこぞの怪しげな雑誌(?)を買うより、運用に必要な情報はあるしリグ自作に欲しいデーターも概ね揃っているので一冊あっても悪くない。 最近の版はそのままを収録したCD-ROMも付録するのでパソコンで読むにも便利だ。 おそらくAmazonの電子ブックリーダーkindleでも読めるはず。 なので今度はkindleが欲しいなあと思っている。(笑)

2009年10月18日日曜日

【部品】STARのIFT(3)

IFTの評価風景:

 QメータでIFTを評価している。 正しく言うと「IFTのコイル」の評価である。 Qメータは測定器内部のHigh-Qなバリコンと、被測定コイルを直列共振させて測定する。 従って、IFTの内蔵コンデンサは一時的に除去するか、配線を外さなくてはならない。 黄色い軸で青い握りの棒は「調整用ドライバー」である。 先端に金属小片が付いているものでラジオ調整には必携だろうか。昔から売っているものだ。

 最初、うっかりシールド缶を付け忘れて測定してしまった。 こうしたシールド缶入りのコイルは必ず使用状態にして評価する必要がある。 インダクタンスもQもかなり違ってくるからだ。 特に磁性体の缶の場合は影響が強く出るようだ。(鉄製の缶が使えない訳ではない)

 このシールド缶の場合、缶の有無でQの値は10%ほど変わってくる。裸の場合は120弱のQが、有りでは105くらいになった。僅かだが上段のコイルの方がQは高かった。インダクタンスは概略1.22mHくらいだ。

無負荷Qは100くらい:@455kHz

 IFT A4とB4の違いであるが、Qもインダクタンスもまったくと言うほど同じであった。 先のBlogで構造は寸分も違わぬと書いたが、電気的な特性もまったく同じであった。
 コイルのインダクタンスは同じでも、IFTの場合は1次側と2次側の巻き線の間隔がAとBとで変えてあれば意味がある。 しかしそれもまったく同じなので違いは外箱(アルミ製シールド缶の押出文字)の違いだけと言うことになる。

 カタログ上はA4とB4は異なるモノのような書き方がしてある。 結局、その違いは使う際に2次側に付ける負荷が異なるためなのだろう。 もしA4とB4を入れ替えて使ったとしても結果はまったく同じになると思う。なお、もとがジャンクのIFTだから入手するまでに他の組のAとBの中身が混じって入れ代わった可能性も否定は出来ないのだが・・・(笑)

 インピーダンス表示ではなくゲイン表示なので、増幅管のgmを幾つに想定するかでも変わってくる。 IFアンプ段はgm=2000μ℧の球で規定していたと思うが、コンバータ段は幾つを想定していたのだろうか? たぶん、当時の標準コンバータ管は6W-C5の筈なので変換コンダクタンス:gc=450μ℧程度の想定であろう。

【雑談:モーと言う単位】
「℧」・・・モー:mhoと書く。導電度/コンダクタンスの単位で、オーム:Ωの逆数とした単位・・・即ち1/Ωだ。℧は既に「いにしえ」の単位であって、ジーメンス:Sと言う単位を使うのが現代電気屋の常識。但し昔のラジオ少年にとって真空管の相互コンダクタンス:gmの単位は℧:モーの方がお馴染みと思う。(笑)

 このIFTであるが、典型的なLow-C、High-L型である。リッツ線を使わなかった関係か、Qはやや低めである。 その関係でゲインに関係する共振インピーダンスを上げるためにインダクタンスを大きくする設計である。
 1次と2次の結合状態は「臨界結合」である。従って、真空管に対する負荷インピーダンスはコンバータ段で180kΩくらいになる。IF段では二極管検波のインピーダンスが効いて来て約40kΩくらいのようだ。コイルの実測から求めた計算値とカタログの数字も概ね合っている。 ユーザーは完成したラジオの感度でIFTの優劣を評価する可能性があるので十分ゲインがあるように作ってある訳だ。 もう一つ重要なこと、実測評価から判断して初期特性から殆ど劣化していないことがわかった。

 ST管当時の標準的なラジオ用真空管のgmは低いのでIFTでゲインを稼ぐ必要があるのはわかる。 それにしてもハイゲイン過ぎる(ハイ・インピーダンス過ぎる?)のではないか? うっかりgm=4,200μ℧の6BA6クラスを使うと発振しそう。 gm=2,000μ℧の6D6、6K7や6BD6が丁度良いIFTである。 このあたり、IFTの設計と製作の話題に発展して面白いのだが程々にしておく。 もしIFTの自作について興味があるようならエレキジャック誌・第4号の拙記事「トロイダルコアを使った中間周波トランスの製作」(P103〜107)でも参照されたい。たったの5ページだから舌っ足らずだな記事だと思うが五球スーパー用と高一中二用を扱った。(→参考)まだバックナンバーが買えると思う。

# シールドを良くし、アースポイントも選んで上手に組み立てると感度の高いラジオが作れると思う。もちろん6BA6で挑戦すべきだ。 生半可なウデじゃ6BZ6や6GM6は無謀に過ぎるんだろうねえ。(笑)

つづく

2009年10月17日土曜日

【測定】古城は住み難い?

こちら、会津若松の「鶴ヶ城」である。

 1960年代に再建されたので内部は「近代的」なのである。外観も奇麗に整備されており美しい姿を見せてくれる。 今年の夏に出掛けた時のスナップから。


 ところで、6月27日のBlogで扱った古城(=古いオシロスコープ):Tektronix 2440だが結局返品になってしまった。住んでみたら満足に暮らせないので契約を解除して・・・と言ったところだろうか。

 オークションではなくて、「中国地方」の老舗中古業者から購入したものである。オークションあるいは無保証の業者よりやや割高だったが半年間の保証が付いていた。
 ジャン測をどう考えるかだが、予め判っている不具合を自身で整備するつもりなら安価な方が良い。 しかしすぐ使うことを優先した「実用品」なら一応の確認済み、保証付きが良いと思う。中古業者によっては無条件に返品できる試用期間を設けているところもある。

「かたまる」

 そのオシロだが、動作しているときは機能も正常で精度も悪くなさそうであった。しかし、通電して短い時で15分、長い時でも1時間くらいで「固まって」しまうのである。 そうなると管面には何も出ないしスイッチ操作も受け付けない。
 マイコン搭載計測器の特徴と言った症状だろうか。 電源を切って30分ほど放置すると正常に復帰する。 何度やっても現象は再現するのでこれは明らかに不具合である。発生頻度も高く、とても実用にならないので原因特定の上で修理してもらうか、あるいは同等以上のものと交換をお願いすることにしたわけだ。

 ざっと症状を書いたメモなどを添付し厳重に梱包してお返えしした。 返却して約1週間、結局古城が帰って来ることはなかった。 症状が再現されたそうで、しかも修理は難しいようであった。なにぶん古いから止むを得ないだろう。更に適当な代替品もなさそうだったので、やむなく返金してもらうことにした。なくなるとちょっと不便だが仕方ない。 今度買うならLCD画面になるのだろうか?

「仮入城」

 応急の代替品である。 先代の少し校正がズレてきたTek2445を整備(再調整)するのがベストなのはわかっている。 しかし、いまは整備の暇がないから応急としてTek466に登場してもらった。波形観測の目的ならこれでも十分すぎる。一応アナログストレージ()もできることだし・・・。Tek 466もなかなかの古城(銘城?)である。これは以前自分で修理したもの。マイコンは載ってないので安心だ。(笑)


 その購入業者のことだが、応対は好感が持てるものであった。流石に古くから中古計測器を扱っているお店らしい。信用を重んじているのだろう。 スムースに対応していただけたと言うのが印象である。 保証があったので故障が見つかった時も安心感があった。 これがオークションのN/C、N/R品だったらいきなり粗大ゴミだったかも知れない。オシロなんて部品取りにもならないんだから・・・。

 ジャン測も目的如何で購入先を選ぶべきだと実感された。 いじってからダメだったと言って返す訳にも行かないので、自分では一切手をつけなかった。 故障原因に関して私の所見であるが温度が上がるとRAMの読出しエラーでも出るのではないだろうか? 揚句はマイコンが暴走し・・・。古いメモリICには結構あった劣化のように思う。暖まってくるとダメというやつだ。 同じ部品を入手して交換したら面白そうだ。直る確率も高いと思うが、まったくの見当はずれかもしれない。(爆)

# Tek 2440だが、なかなか良いオシロだったのでちょっと残念である。 では良い出物があればまた買うかと問われれば、それはやや微妙なところだ。 見かけは一見普通のアナログ風でも古いデジものはやっぱり・・・。