【超再生式受信機・その4 実験編(3)】
Introduction
I achieved good results by using a junction-type field-effect transistor (J-FET) in a super-regenerative detector. In my experiment, I used a Japanese-made 2SK19Y as the J-FET. While this is one option, many other J-FETs designed for high-frequency and small-signal applications can be used. However, you may need to adjust the component values slightly. The resulting performance should be nearly identical. I’m enjoying listening to local FM broadcasts with the super-regenerative receiver I built. The sound quality from that receiver is quite decent. I’m pleased that an FM receiver can be built with a simple circuit and just a few components. (2026.10.26 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【超再生検波器:J-FET-Type No.F01】
前回のBlog(←リンク)ではトランジスタ(BJT)を使った超再生検波回路を試作して検討しました。まあまあの受信性能が得られたと思います。 今回はNPNやPNPと言った普通のバイポーラ・ジャンクション・トランジスタ(BJT)ではなく、「接合型電界効果トランジスタ」:J-FETを使った超再生検波器(受信機)を試作します。
最近は・・・とは言っても既に20年以上も前に考案されたので十分な時間が経過していますけれど、超再生検波器にJ-FETを使う例が見られるようになっています。
普通のトランジスタを使った超再生検波器(受信機)は過去に製作経験がありましたが、FETで検波する超再生は作った記憶がありません。最近はFETの使用例をかなり見るので一度は作ってみたいと思っていました。
写真は高周波用の代表的なJ-FET:2SK19Yです。 既に廃番のFETですが高周波用J-FETとしてたいへんポピュラーです。高周波用の代表として選びました。なお2SK192AYが同等品です。 結果はなかなか良好でした。ただしこのFETが特に超再生向きというわけではないようです。
いくらか周辺部品の定数変更は必要ですが数種のFETでおおむね同様の成績が得られました。 どうやらFETをコモン・ゲート形式の回路で作った超再生検波器はなかなか良い性能が得られるようです。
☆
ますは過去の例に倣って製作し、回路定数を変えながら良さそうなところを探ってみました。 以下に回路図を示します。
【回路図:J-FET-Type No.F01】
前回と大きく違う部分は同調回路に7mm角のシールド付きコイルを使ったところです。
J-FETを使った超再生だからコイルを変えたというよりも調整の容易さから変更したものです。 アンテナとの結合もリンク形式に変更しました。
リンク形式はアンテナと検波回路との結合度の加減が難しいように感じます。 また感度の点ではC結合でドレインに結合する方がやや有利でした。 その代わり選択度が良くなるようです。さらに写真のようにシールド付きのコイルを使ったのでボディー(ハンド)・エフェクトも軽減されました。手を近づけるだけで状態が変わると言った現象が軽減されます。
コイルはアンテナ側が1回、同調側が5回巻きになっています。(コイル製作の参考リンク→こちら:リンク先の777M-No.05を使いました)
検波出力はBJTを使った回路よりも大きく得られました。同じ条件で比較して感度も良いと思います。
FETには2SK19Yを使って実験を始めました。最適化するために加減が必要なのはソースとGND間に入っている抵抗器:R2(4.7kΩ)と並列のコンデンサ:C5(4700pF)です。 RFC:CH1は10〜20μHが適当で、ここでは15μHを使いました。自作品ではなくて既製のRFCです。
正帰還量が不足してVHFの発振が弱い場合はドレインとソース間に入っているコンデンサ:C3(5pF)を大きくします。
これらを加減すれば同等・類似特性のJ-FETで概ね同じような成績が得られます。ただし、おなじ2SK19でもIdssの違うGRやBLランク品ではR2の加減が必要です。Idssが違えば別種のFETと考えるべきかも知れません。
結局のところFETを使ったからと言って無調整にはならず、トランジスタ(BJT)と同じように個々のデバイス特性にマッチさせる「調整」が必要です。
参考までに2SK19Yと差し替えてそのまま旨く動作したFETには、2SK192AY、2SK41E、2SK54Bがあります。これらは2SK19Yとたいへん良く似たJ-FETです。他にも代替候補はあるはずですが実験していません。
低周波アンプは前回の実験のままです。低周波アンプ用のIC:LA3020を使ったものでゲイン:Gv≒55dBです。これは代替の低周波アンプでかまいません。同じようなゲインがあれば性能に違いは現れません。
回路図でOptionとして点線で囲まれた部分はクェンチング・ノイズを軽減するための回路です。これはexJA2EP/JH!FCZ:大久保OM(故人)によって提案された工夫で、この超再生受信器特集の初回(←リンク)で紹介したものです。(少し回路変更しています)
全体的にみてオーソドックスな回路です。部品数も少なく、まずまず良く聞こえるのでお勧めできるFMラジオです。
【超再生受信機・外観:J-FET-Type No.F01】
70〜90MHzというVHF帯を扱うラジオなのでブレッドボード向きとは言えません。
製作していて、すこし不安定さを感じたので本格的に製作されるならナマ基板の銅箔面を土台(全面GND)にする形式など、VHF帯に向いた製作方法で作ることをお勧めします。もちろんハンダ付けするのが良いです。
ブレッドボードで試す場合、超再生検波回路の部分はGNDで囲むように製作し、なおかつストレー容量が過度に増えぬよう意識して組み立ててください。 接触不安定を特に嫌うので部品のリード線はよく磨いておきます。各部品のリード線も必要最低限できるだけ短くします。
面倒そうに感じるかも知れませんが、部品数はごく少ないですからいくらか試行錯誤すれば動作できるはずです。 あまり難しく考える必要もないと思います。 もちろん、モヤシの山盛りのような長いジャンパー線を使った配線ではマトモに動作しないでしょう。卑しくもVHF帯の受信機なんですから。(笑)
【超再生受信機・第二検波器:J-FET-Type No.F01】
FCZ式で言うところの、第2検波器に相当する回路部分が写真左上のあたりに見えます。
もとの回路では直列抵抗(10kΩ)でデカップリングとスムージングを行なう形式になっています。 効果はあるのですが信号の減衰が大きいので上記回路図のように変更しています。
クエンチング・ノイズの低減効果はあまり変わらず、信号の減衰が6dBくらい減らせるので受信感度的に得をします。
『FCZ式の際2検波』のダイオードには1N34A(ゲルマニウム・ポイントコンタクト型)を使っています。 これは1N60や1K60で代替して差し支えありません。ほかにもゲルマ・ダイオードは沢山あるのでどれでも大丈夫でしょう。
以下は参考ですが、低周波アンプ部で高域ノイズを大きくカットしている関係でクェンチング・ノイズはそれほど邪魔に感じないのでOptionの回路は無くてもあまり支障はないと思いました。 もちろん第2検波形式を否定するものではありません。
【クエンチ波形:J-FET-Type No.F01】
バイポーラ・トランジスタを使った超再生検波回路との違いに興味があったのですが、このクエンチ波形を見る限りあまり違いはありませんでした。この波形観測はC4:0.01μFのホット側(GNDではない側)を見ています。
波形を観察しながら受信していて、検波器の挙動もBJTの回路とあまり違いを感じません。
受信信号があると音声信号に引っ張られてクェンチ周波数が揺らぎます。高い周波数の方向へ引っ張られるのが面白いです。 FM波を受信しているからかもしれません。
AM波でキャリヤ周波数が一定していると少し違う挙動を示します。 その場合も信号(AM波)が入力されるとクェンチ周波数は高い方へ動きます。
【復調波形:J-FET-Type No.F01】
低周波アンプ:U1の出力波形です。 FMラジオを受信している「ある瞬間」の波形です。
この超再生FM受信機はまずまず安定に受信できるので放送を聴きながらこのBlogを書いています。
おもにNHK-FM(前橋放送局:81.6MHz)を聞いています。 回路図にあるJ3、J4のAF Output端子から信号を引き出して外付けのオーディオアンプのAUX端子につなぎ、ちゃんとしたスピーカ(一応Hi-Fi用・笑)を鳴らしています。(笑)
音質優良とはいいかねますが、だいたいAMラジオなみだと思えば良いでしょう。普通のラジオとしてけっこう番組を楽しめると思います。現状ではあまり音質を意識した設計はしていないので見直すことで改善の余地はあると思います。
周波数の高いVHF帯の受信でありAFC(自動周波数コントロール)の機能も付いていないので周波数変動が心配でした。 しかし超再生検波器には周波数の引き込み作用があって、同調ダイヤルはそのままで長時間同じラジオ局を聴き続けることができました。
ただし部品には温度係数があって「周波数変動」は実際に存在します。 そのためスロープ検波の状態が徐々に変化して復調音質の変化(劣化)が見られました。良い音で聴くためには時々の再同調が必要です。 おそらくAM波でしたらそのような変動は感じないだろうと思いますがデビエーションの広いFM放送波なので同調周波数の変動がわかるのでしょう。
☆
感度はまずまずですが選択度は良くないので遠方のFM放送局受信には難があります。 「弱肉強食的」な特性があって信号が強い局に近い周波数の弱い局は受信できません。 ご近所にある(電波の強い)FMラジオ局でしたら実用的に聞こえるラジオ回路です。
きちんとした箱に収納してやりチューナのように製作すれば手軽にFM放送を楽しめる自作品になるでしょう。 だんだんAM放送が姿を消していますからこれから自作で楽しむラジオとして有望かもしれません。
製作の再現性ではコイル作りが課題になると思いますが、もう少し作り方を追い込んで行けば誰でもとは言えぬかも知れませんが、少し製作に慣れたお方なら電子工作の一つとして十分楽しめる製作だろうと思います。
もちろん、ちゃんと作るのでしたらブレッドボードではなくナマ基板の上に構築する組み立て方法が推奨できます。 もしプリント基板化するのでしたらなるべくGND面積を広く取りなおかつ分布容量が少なくなるようなパターン設計をしてください。
アマチュア無線局と比べてFM放送局は一般に信号が強いのでRFアンプ(高周波増幅器)は無くても良く受信できます。しかし超再生検波器は原理上ノイズ電波の輻射源になるので、その防止の意味からRFアンプの付加を推奨します。
☆
第3回からあまり時間が経って気が抜けてしまわぬうちに第4回として電界効果トランジスタ:FETを使った超再生検波回路を扱うことにしました。 前回までのBJTと比較してFETで良い成績が得られたと思います。ご近所のFM放送局を聴いてみると言った簡単ラジオとしてなかなか有望でしょう。 しばらくお休みの予定でしたが順当なBlogの更新になりました。hi
さて、次回は何にしましょうか。まだ何か試してないテーマがありそうでしたら続きにしましょうか? え、真空管だろうって?(爆) とりあえず超再生受信機の特集は終わりにします。ではまた。 de JA9TTT/1
*このBlogに関して何かご質問とかご要望などあったらコメント欄でお願いします。
この下にある「コメント」の文字をクリックすると入力画面が現れます。
→ご要望などは私で可能な範囲で対応いたします。
参考:公開から2週間を過ぎたBlogに頂いたコメントはすぐには反映されません。(SPAM対策のためです) 確認しだい公開いたしますので少々お待ちを。遠慮なくどうぞ。
(おわり)fm
Radio Experimenter's Blog
Something NEW for your eyes !
2026年10月26日月曜日
2026年10月11日日曜日
【回路】Super-Regenerative Receivers (3)
【超再生式受信機・その3 実験編(2)】
Introduction
I am continuing my experiments with super-regenerative receivers. This time, I am testing a super-regenerative receiver using silicon transistors. The fundamental principle of a super-regenerative detector is that quench oscillation must occur reliably. For this reason, I conducted experiments on a quench oscillator. I built a blocking oscillator using a single transistor. I believe I have now grasped the conditions required for it to oscillate. Incidentally, what sort of transistor is suitable for a super-regenerative detector? Transistors with a high transition frequency (fT) and low collector current are ideal. Whilst there are many suitable transistors available in Japan, the internationally renowned high-frequency transistor, the SS9018H, would also be a good choice. (2026.10.11 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【超再生受信機:NPN-Type No.02A】
前回のBlog(←リンク)ではトランジスタ(BJT)を使った超再生検波回路を試作して検討しました。超再生検波器としての動作は正常そうですが目的のFM放送はうまく受信できませんでした。 今回はその続きです。
ゲルマニウム・トランジスタ(ゲルトラ):2SA341を使った検波器はマズマズなようですが、より高性能なシリコン・トランジスタを使った試作は特に芳しくないようでした。
実は、トランジスタを使った超再生検波器(受信機)では、使うトランジスタに「向き不向き」があると言われていました。 回路形式を含めて様々な説が存在したようなのです。 昔の話ですから基本的にゲルトラ間の比較でした。 どうやら接合部面積の小さいトランジスタが向いていると言うのが結論のようでした。 トランジスタ規格表で見て電流容量がごく小さなトランジスタが良いと言うのです。Ic(max)=-2mAとか-5mAというような石です。(簡単に壊れそうな石・笑)
デバイス特性の考察から言えるのは、接合部の面積が小さければ電流密度が高くなることから少ない電流でもトランジション周波数:fTが良く伸びるでしょう。しかも接合部の静電容量・・・CobやCbeといった電極間の容量も小さくて高周波的な性能は良くなるわけです。 超再生検波器はその動作から考えて高周波の発振器そのものです。 ですから受信対象のVHF帯において少ないコレクタ電流でも容易に発振できるような「石」が適しているということでしょう。 その一方で、いきなり強い発振に陥るような(強力な)トランジスタは発振器としては優れていても検波特性は良くないことが多く、その辺りが向き不向きを決めているようです。
使っている2SC2668YはIc=100μAと言った小電流でもfT≧150MHzであり、電極間容量も小さいことからこの用途には向いていると考えられます。 しかしあまり芳しくないのは周辺部品の問題と動作点の取り方に課題があるのではないかと疑われます。 或いはゲルトラと比べればかなり強力な石ですから、超再生検波器には意外に旨くないのかもしれません。
☆
回路定数を変えながら良さそうなところを探ってゆくことにしました。写真はそこそこ旨く受信できるようになった2石の超再生受信機です。 以下に回路図を示します。
【回路図:NPN-Type No.02A】
2SC2668Yで超再生検波を行ない、2SC372Yで低周波増幅する2石のFM受信機です。
50MHzの受信機でも良かったのですが、田舎のハムバンドではAM局もFM局もほとんど聞こえません。これでは受信テストにもならないことから初めからFMのラジオ放送を受信対象にしました。
1m程度のビニル線をアンテナ端子に接続してやると、埼玉県のFM局:NAC5(ナックファイブ)と前橋のFM群馬が聞こえてきました。
受信操作はやや面倒です。 初めに、超再生を調整するボリウムを加減して、シャーっという超再生ノイズが聞こえてくる状態にします。 その状態でチューニングのバリコンをゆっくり回して放送をキャッチするのです。
FM波はスロープ検波になることから、明瞭な音声が得られるような更なる同調操作が必須です。超再生状態を微妙に加減するのも効果的です。 また、音質優良なFM放送でありながら良い音とは言えないようですが、これは低周波トランス:ST-30の周波数特性とセラミックイヤフォンの癖のある音色に負うところが多いようです。
超再生はFM変調波も聞こえますが本質的にはAM変調波の受信向きなのでしょう。
回路はトランジスタ(BJT)を使ったオーソドックスな超再生検波回路になっています。 VR1のところにある10μFのコンデンサ:C12はなくても動作しますが、ボリウムの摺動雑音が耳障りなので入れてみました。
アンテナはエミッタ側に付ける形式でテストを始めました。 それで聞こえますが、コレクタ側に接続する方が感度が良い傾向があります。 ただしボディ・エフェクトが大きくなります。リンクコイル形式は同調コイルとの結合度調整が厄介です。単純なC結合が無難でした。
ここまで読んで良く聞こえるように思ったかもしれません。 実際はかなり小さな音でしか聞こえません。 「蚊が鳴くような」とは言いませんが、小さな音量がやっとでした。 AMではないので信号強度をアップしても音が大きくなるわけではありません。アンテナを良くしても大きな音が出るわけではないのです。もちろん信号が強ければS/Nは良くなります。 2石の構成では全体的にゲイン不足なんでしょうねえ・・・。
【検波波形:NPN-Type No.02A】
クェンチ波形です。 回路図のTP1で観測しています。
周波数はベース側の部品定数でおおよそが決まります。 具体的に上記の回路図で言えばR1、R5、C2、C3、C4です。 250kHzはクェンチ周波数としてやや高すぎるように思います。 だいたい100kHz前後が最大感度が得られるとのこと。
それぞれの部品定数が相互に効いていて、思ったような周波数を得るのは難しいのです。 下手をするとクェンチ発振さえしなくなります。そうなると単なる再生検波になって感度が上がりません。(難しい・笑)
【回路電流:NPN-Type No.02A】
回路電流は再生状態の調整によってかなり変わってきます。
また、検波トランジスタ:Q1のhFEによって変化します。 他の高周波用トランジスタでも超再生検波がうまくできるものはありますが、回路電流は異なります。
なお、低周波アンプの2SC372Yの電流も含むので、4.6mAすべてが検波回路の電流ではありません。
☆
2石で実験してきましたが、どう考えてもゲイン不足は否めないようです。 感度の良い圧電型イヤフォン(セラミックイヤフォン)でも音が小さいのはゲインが足りないのでしょう。 もう1石増やして3石構成でゲインをアップしようと思います。 低周波アンプに2SC372Yを追加する方法もありますがシンプルなICを使うことにしました。(ICの代替回路が後半にあります)
【超再生受信機:NPN-Type No.02B】
1石+1-ICの超再生式ラジオです。
ICを使った効用で抵抗器の数が減らせています。 ただし外付けのコンデンサは意外に多いのでそれほどスッキリする訳でもありません。
μA741クラスでも良いので、OP-Amp.を使う方が周辺部品を減らすことができてFBです。 あるいは低周波Amp.としてポピュラーなLM386Nなど最適でしょう。 旨く作ればスピーカを鳴らすことも可能です。 低周波アンプが簡単に作れそうなICがあったので使いましたが、もっと近代的なチップを使うと性能確実です。 持っているならNECのMC4080のような(超古い・笑)プリアンプ用ICも使う機会と言えるでしょう。
この状態は、超再生検波回路はそのままに、ゲインの大きなアンプを足しただけです。
【回路図:NPN-Type No.02B】
アンテナはコレクタ側に入っている同調回路から引き出すようにしました。 これはエミッタ側から引き出しても良くて、極端な違いはありません。 両方試してみて具合の良い方にしてください。
低周波アンプの部分はICの中身も含めて書いてあります。 外付けの抵抗器は1本で済むわけです。 しかしこんな変なIC(LA3020)など使うよりもOP-Amp.でも使った方がマシな回路になると思うので、実験されるなら変更をお勧めします。
この状態で低周波アンプは前述の低周波アンプ1石の回路よりも10倍以上大きなゲインに(約500倍に)なるので、ずっと大きな音がします。
超再生検波回路じたいはまったく同じなのですから感度など高周波的な性能が良くなることはありません。 単に大きな音が出るようになるだけです。(笑) しかしかなり効果的なのはトータルのゲインが明らかに不足していたからです。
受信できるFM放送局の数に違いはありませんが、ずっと良く聞こえるので「耳を凝らす」というような必要はなくなっています。 その代わり音量調整のボリウムを追加したい感じです。 超再生状態を加減する可変抵抗:VR1には音量調整の機能はほとんどないからです。
【検波波形:NPN-Type No.02B】
超再生検波回路は同一ですからクェンチ波形も類似になるはずです。
少し発振周波数が違うのは再生状態の加減を行なうとクェンチ周波数も動くからです。 またラジオの受信状態に引っ張られる傾向もあって、一定不変な周波数ではありません。
クェンチ波形を見て良し悪しが言えるほどの知見はありませんが、あまりおかしな波形(曖昧な表現ですが)だと検波状態も思わしくないのは実際のようです。 1石の(自励式)超再生検波回路のクェンチ波形はだいたいこんな感じと思えば良いです。
【アンテナ結合:NPN-Type No.02B】
アンテナとの結合回路はかなりバラエティがあります。
コレクタ側の同調回路に数pFの小容量で結合する方法と、エミッタ側へ結合する方法の二つが多いようでした。 この二つに大きな違いはなくて、エミッタ側の方が好成績なこともあります。
27MHzのトイ・トランシーバではアンテナをリンク結合するものが多いようです。 おそらく送信時の発振が有利なのでリンク結合形式にするのでしょう。発振停止を回避するのが目的ではないでしょうか。 同調コイルをコア入りボビンに巻くならリンク形式も検討すべきです。 写真はコレクタ側から引き出している様子です。
☆
色々いじっていて、少なくともクェンチ発振ができなくては、超再生検波器にはならないことがわかってきます。 クェンチ発振が起こるにはどんな条件が必要なのか確かめる必要を感じました。 以下、100kHz付近のクェンチ発振器だけの実験です。
【クェンチ発振器の実験】
結局のところ(自励式の)超再生検波回路とは100kHz付近の周波数でブロックング発振を行なう回路と、その発振周期のうちトランジスタが活性な範囲(アンプ状態)にある瞬間ごとにVHF帯の発振(受信周波数になる)を行わせる複合機能を持った回路ということです。
VHF帯の発振回路部分はぜんぶ取ってしまい、クェンチ発振だけを行なうような回路を作ってみました。
この実験によって確実なクェンチ発振が起こる条件としては何が必要なのか、何が重要なのか追求してみようと思います。 写真において、トランジスタは実際に使う2SC2668Yが写っていますが、いくつか類似の高周波用トランジスタに交換してテストしました。 低周波並みの周波数ですからこの実験だけなら2SC372や2SC1815でも可能です。
【クェンチ発振器:実験回路】
テスト回路はいたってシンプルです。
ベース回路の部分の時定数で発振周期が決まるブロッキング発振器の一種のようです。
どんどん部品を取ってしまい、ブロッキング発振が起こる最低限の部品になっています。 重要なのはR1、R3、C1、C2です。 R2、C3、C4の部分は検波出力を影響なく引き出すためのもので、クェンチ発振とは本質的に無関係です。 また、VR1の部分はトランジスタの動作点を加減するための回路で、ちょど良い発振振幅のクェンチ発振が得られるよう加減するものです。
別の方法として回路への印加電圧を変えるのではなく、ベースバイアス抵抗:R1を増減して発振状態を調整する方法もあります。ただしこの方法はベース部分の時定数も変わるためクエンチ周波数も大きく変わるので、C1の加減が必要になるケースがあります。トランジスタのhFEの影響も大きくて少々厄介な方法です。
また部品は少し増えますが、RFC1とC1のGNDを一緒に浮かし、その接続部分とGND間に可変抵抗器を入れて調整する方法があります。結構使われているようです。 ベース側の時定数とは直接関係ないのでクェンチ周波数への影響が少ない方法です。
どの方法がベストなのか一概に言えず、回路設計者や製作者の好みを反映する部分です。 それで色々な超再生検波回路が「発生する」のでしょう。(笑)
なお、C2:(図では2200pF)は単にコレクタ側のバイパス・コンデンサではなく、クェンチ周波数を決め、さらにC1との関連で正帰還の大きさを決めていますので、むやみに大きくすれば良いわけではありません。 またR3(470Ω)はブロッキング発振を司る重要なコレクタ負荷抵抗器です。 選択範囲は広くて100Ωから数kΩまでかなり任意ですが、クェンチ発振の状態は当然影響を受けるので調子が悪ければ換えてみるのも効果的です。 なお、R3の代わりに低周波トランス(低周波チョークコイル:AFCでも良い)を使う方法があります。 エミッタ側のRFCの必要条件については後ほど説明します。
確実に発振し滑らかにクェンチ発振の大きさが加減できる回路定数を見つけ、VHF帯の発振に必要な部品を追加して超再生検波回路を再構成してみました。 結果から言いますと、そこそこ旨く動作しますが、最高感度にはできませんでした。 クェンチ発振の周期のどの瞬間にVHF帯の発振が起こるのが良いのか別の回路要素もあるのでしょう。 このようになかなか一筋縄には行きませんが、なんとなく方向性は掴めたように思っています。
【クェンチ発振波形】
回路定数の選び方次第で発振周波数(周期)だけでなく、発振波形も振幅も変化します。
この例では200kHz付近で発振していますが、C1の加減で100kHz付近にすることもできます。VR1で発振振幅が加減できます。 これでおおよその超再生検波の加減はできるわけですが、受信している信号の影響も受けるのでなかなか複雑でした。
ともかくクェンチ発振が起こらなくては話にならず、発振に必要な条件をかなり絞り込めたことは有意義な実験でした。 なお、VHF帯の発振用部品は付けていないのに弱い発振が見られます。 分布容量などが効いているようですがこの形式のベース接地回路はRF発振させやすい回路なのでしょう。コルピッツ型VFOとしてもよく使われています。もちろんVFOならクェンチ発振はさせません。
【ふたたびRFCについて】
エミッタ回路に入っているRFCに必要な条件もだいぶわかってきました。
影響が大きいのはRFCの直流的な抵抗値(DCR)の大きさです。 条件にもよりますが、数10Ω以下でなくてはクェンチ発振が起こりません。できたら10Ω以下が良いです。RFCの直流抵抗はテスタを使った抵抗測定ですぐわかります。 その条件が満たされればインダクタンスはかなり幅広い範囲で許容できるようです。
50MHzのHAMバンド用やFM放送のVHF受信機としてインダクタンスは10〜20μHもあれば十分そうですから、小型で直流抵抗の小さいRFCを使うと旨く行きます。
写真には4.5μHの自作品のほか、既成品の10μH〜100μHのRFCが写っていますが、どれでも旨く動作しました。 むやみに大きなインダクタンスにする意味もないようですので10〜22μHのRFCがグッドチョイスでしょう。 自己共振周波数が受信周波数から大きく離れている必要があります。
☆
以下はオマケです。 ICアンプの代用となる3石の低周波アンプです。
【LA3020の代替アンプ】
このBlogでは再生式受信機の特集(←リンク)で既出ですが、あらためて低周波アンプの代替回路を紹介しておきます。
十分な低周波ゲインがあってノイズ性能も優秀です。 調整も簡単ですから汎用の低周波アンプとして推奨できます。
トランジスタにはhFEが200〜400の小信号用シリコン・トラジスタなら何でも使えます。2SC1815GRだけでなく代替品は星の数ほど(?)存在するでしょう。 もう少し詳しい情報はリンク先で確認してください。
【代替アンプ:回路図】
上記の3石低周波アンプの回路図です。 これも既出です。
ICアンプよりすこし部品は増えますが性能はむしろ優れています。 よく見かけるような汎用トランジスタで作れますから、けっこう幅広く活用できます。
コストも掛からず便利に使える汎用低周波アンプ回路です。 私の定番として使っています。 たまにはディスクリート部品のアンプはいかが?
☆
立派な受信機が出来上がった訳ではないのですが、普通のトランジスタ(BJT)を使った超再生検波回路の検討として一旦まとめます。 なかなかアナログな要素が多くて、十分と言えるほどの評価はできていませんがまだ先があるのでここまでにしました。
最高の性能の超再生式受信機が作れたとは思っていませんが、とりあえず使えそうな性能は得られました。 どんな対策が効果的だったのか一言では言えませんが、初めに受信したい周波数帯において確実なクェンチ発振ができる条件を探しました。 その上でバイアス回路やクェンチ発振に関わる部分の部品定数を替えながら良いところを見つけると言った加減を繰り返す必要がありました。誠にアナログな作業です。(笑)
長さ1mくらいのビニル線をアンテナとして垂らしてやればローカルのFM放送局が2〜3局は受信できます。まあまあと言った所でしょうか。 GND側にカウンターポイズを付けるのも良好な受信には効果的です。ボディ・エフェクトも軽減できます。
ちゃんと作るのでしたらブレッドボードではなく、ナマ基板の上に構築する組み立て方法が推奨できると思います。 もしプリント基板化するのでしたらなるべくGND面積を広く取りなおかつ分布容量が少なくなるような設計をしてください。
☆
次回は電界効果トランジスタ:FETを使った超再生検波回路を扱おうと思っています。 最近発表さている超再生式受信機はFETの採用が多いようです。 バイポーラ・トランジスタ、すなわち従来からあるPNP型やNPN型のトランジスタ(BJT)より何か良いところがあるのかもしれません。 その辺りを探ってみたいと思っています。 ここまでのBJTでの実験が比較の意味で役立つでしょう。 HAMバンドの受信機だけでなく、ご近所のFM局を聴いてみると言った簡単ラジオとして検討しましょう。 特集として3回続けてきましたが超再生はかなり厄介なので少々疲れてしまいました。 しばらくお休みするかもしれませんが、時々ご訪問ください。突然Blogが更新されているかもしれませんので。hi ではまた。 de JA9TTT/1
*このBlogに関して何かご質問とかご要望などあったらコメント欄でお願いします。
この下にある「コメント」の文字をクリックすると入力画面が現れます。
→ご要望などは私で可能な範囲で対応いたします。
参考:公開から2週間を過ぎたBlogに頂いたコメントはすぐには反映されません。(SPAM対策のためです) 確認しだい公開いたしますので少々お待ちを。遠慮なくどうぞ。
(つづく)←リンクnm
Introduction
I am continuing my experiments with super-regenerative receivers. This time, I am testing a super-regenerative receiver using silicon transistors. The fundamental principle of a super-regenerative detector is that quench oscillation must occur reliably. For this reason, I conducted experiments on a quench oscillator. I built a blocking oscillator using a single transistor. I believe I have now grasped the conditions required for it to oscillate. Incidentally, what sort of transistor is suitable for a super-regenerative detector? Transistors with a high transition frequency (fT) and low collector current are ideal. Whilst there are many suitable transistors available in Japan, the internationally renowned high-frequency transistor, the SS9018H, would also be a good choice. (2026.10.11 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【超再生受信機:NPN-Type No.02A】
前回のBlog(←リンク)ではトランジスタ(BJT)を使った超再生検波回路を試作して検討しました。超再生検波器としての動作は正常そうですが目的のFM放送はうまく受信できませんでした。 今回はその続きです。
ゲルマニウム・トランジスタ(ゲルトラ):2SA341を使った検波器はマズマズなようですが、より高性能なシリコン・トランジスタを使った試作は特に芳しくないようでした。
実は、トランジスタを使った超再生検波器(受信機)では、使うトランジスタに「向き不向き」があると言われていました。 回路形式を含めて様々な説が存在したようなのです。 昔の話ですから基本的にゲルトラ間の比較でした。 どうやら接合部面積の小さいトランジスタが向いていると言うのが結論のようでした。 トランジスタ規格表で見て電流容量がごく小さなトランジスタが良いと言うのです。Ic(max)=-2mAとか-5mAというような石です。(簡単に壊れそうな石・笑)
デバイス特性の考察から言えるのは、接合部の面積が小さければ電流密度が高くなることから少ない電流でもトランジション周波数:fTが良く伸びるでしょう。しかも接合部の静電容量・・・CobやCbeといった電極間の容量も小さくて高周波的な性能は良くなるわけです。 超再生検波器はその動作から考えて高周波の発振器そのものです。 ですから受信対象のVHF帯において少ないコレクタ電流でも容易に発振できるような「石」が適しているということでしょう。 その一方で、いきなり強い発振に陥るような(強力な)トランジスタは発振器としては優れていても検波特性は良くないことが多く、その辺りが向き不向きを決めているようです。
使っている2SC2668YはIc=100μAと言った小電流でもfT≧150MHzであり、電極間容量も小さいことからこの用途には向いていると考えられます。 しかしあまり芳しくないのは周辺部品の問題と動作点の取り方に課題があるのではないかと疑われます。 或いはゲルトラと比べればかなり強力な石ですから、超再生検波器には意外に旨くないのかもしれません。
☆
回路定数を変えながら良さそうなところを探ってゆくことにしました。写真はそこそこ旨く受信できるようになった2石の超再生受信機です。 以下に回路図を示します。
【回路図:NPN-Type No.02A】
2SC2668Yで超再生検波を行ない、2SC372Yで低周波増幅する2石のFM受信機です。
50MHzの受信機でも良かったのですが、田舎のハムバンドではAM局もFM局もほとんど聞こえません。これでは受信テストにもならないことから初めからFMのラジオ放送を受信対象にしました。
1m程度のビニル線をアンテナ端子に接続してやると、埼玉県のFM局:NAC5(ナックファイブ)と前橋のFM群馬が聞こえてきました。
受信操作はやや面倒です。 初めに、超再生を調整するボリウムを加減して、シャーっという超再生ノイズが聞こえてくる状態にします。 その状態でチューニングのバリコンをゆっくり回して放送をキャッチするのです。
FM波はスロープ検波になることから、明瞭な音声が得られるような更なる同調操作が必須です。超再生状態を微妙に加減するのも効果的です。 また、音質優良なFM放送でありながら良い音とは言えないようですが、これは低周波トランス:ST-30の周波数特性とセラミックイヤフォンの癖のある音色に負うところが多いようです。
超再生はFM変調波も聞こえますが本質的にはAM変調波の受信向きなのでしょう。
回路はトランジスタ(BJT)を使ったオーソドックスな超再生検波回路になっています。 VR1のところにある10μFのコンデンサ:C12はなくても動作しますが、ボリウムの摺動雑音が耳障りなので入れてみました。
アンテナはエミッタ側に付ける形式でテストを始めました。 それで聞こえますが、コレクタ側に接続する方が感度が良い傾向があります。 ただしボディ・エフェクトが大きくなります。リンクコイル形式は同調コイルとの結合度調整が厄介です。単純なC結合が無難でした。
ここまで読んで良く聞こえるように思ったかもしれません。 実際はかなり小さな音でしか聞こえません。 「蚊が鳴くような」とは言いませんが、小さな音量がやっとでした。 AMではないので信号強度をアップしても音が大きくなるわけではありません。アンテナを良くしても大きな音が出るわけではないのです。もちろん信号が強ければS/Nは良くなります。 2石の構成では全体的にゲイン不足なんでしょうねえ・・・。
【検波波形:NPN-Type No.02A】
クェンチ波形です。 回路図のTP1で観測しています。
周波数はベース側の部品定数でおおよそが決まります。 具体的に上記の回路図で言えばR1、R5、C2、C3、C4です。 250kHzはクェンチ周波数としてやや高すぎるように思います。 だいたい100kHz前後が最大感度が得られるとのこと。
それぞれの部品定数が相互に効いていて、思ったような周波数を得るのは難しいのです。 下手をするとクェンチ発振さえしなくなります。そうなると単なる再生検波になって感度が上がりません。(難しい・笑)
【回路電流:NPN-Type No.02A】
回路電流は再生状態の調整によってかなり変わってきます。
また、検波トランジスタ:Q1のhFEによって変化します。 他の高周波用トランジスタでも超再生検波がうまくできるものはありますが、回路電流は異なります。
なお、低周波アンプの2SC372Yの電流も含むので、4.6mAすべてが検波回路の電流ではありません。
☆
2石で実験してきましたが、どう考えてもゲイン不足は否めないようです。 感度の良い圧電型イヤフォン(セラミックイヤフォン)でも音が小さいのはゲインが足りないのでしょう。 もう1石増やして3石構成でゲインをアップしようと思います。 低周波アンプに2SC372Yを追加する方法もありますがシンプルなICを使うことにしました。(ICの代替回路が後半にあります)
【超再生受信機:NPN-Type No.02B】
1石+1-ICの超再生式ラジオです。
ICを使った効用で抵抗器の数が減らせています。 ただし外付けのコンデンサは意外に多いのでそれほどスッキリする訳でもありません。
μA741クラスでも良いので、OP-Amp.を使う方が周辺部品を減らすことができてFBです。 あるいは低周波Amp.としてポピュラーなLM386Nなど最適でしょう。 旨く作ればスピーカを鳴らすことも可能です。 低周波アンプが簡単に作れそうなICがあったので使いましたが、もっと近代的なチップを使うと性能確実です。 持っているならNECのMC4080のような(超古い・笑)プリアンプ用ICも使う機会と言えるでしょう。
この状態は、超再生検波回路はそのままに、ゲインの大きなアンプを足しただけです。
【回路図:NPN-Type No.02B】
アンテナはコレクタ側に入っている同調回路から引き出すようにしました。 これはエミッタ側から引き出しても良くて、極端な違いはありません。 両方試してみて具合の良い方にしてください。
低周波アンプの部分はICの中身も含めて書いてあります。 外付けの抵抗器は1本で済むわけです。 しかしこんな変なIC(LA3020)など使うよりもOP-Amp.でも使った方がマシな回路になると思うので、実験されるなら変更をお勧めします。
この状態で低周波アンプは前述の低周波アンプ1石の回路よりも10倍以上大きなゲインに(約500倍に)なるので、ずっと大きな音がします。
超再生検波回路じたいはまったく同じなのですから感度など高周波的な性能が良くなることはありません。 単に大きな音が出るようになるだけです。(笑) しかしかなり効果的なのはトータルのゲインが明らかに不足していたからです。
受信できるFM放送局の数に違いはありませんが、ずっと良く聞こえるので「耳を凝らす」というような必要はなくなっています。 その代わり音量調整のボリウムを追加したい感じです。 超再生状態を加減する可変抵抗:VR1には音量調整の機能はほとんどないからです。
【検波波形:NPN-Type No.02B】
超再生検波回路は同一ですからクェンチ波形も類似になるはずです。
少し発振周波数が違うのは再生状態の加減を行なうとクェンチ周波数も動くからです。 またラジオの受信状態に引っ張られる傾向もあって、一定不変な周波数ではありません。
クェンチ波形を見て良し悪しが言えるほどの知見はありませんが、あまりおかしな波形(曖昧な表現ですが)だと検波状態も思わしくないのは実際のようです。 1石の(自励式)超再生検波回路のクェンチ波形はだいたいこんな感じと思えば良いです。
【アンテナ結合:NPN-Type No.02B】
アンテナとの結合回路はかなりバラエティがあります。
コレクタ側の同調回路に数pFの小容量で結合する方法と、エミッタ側へ結合する方法の二つが多いようでした。 この二つに大きな違いはなくて、エミッタ側の方が好成績なこともあります。
27MHzのトイ・トランシーバではアンテナをリンク結合するものが多いようです。 おそらく送信時の発振が有利なのでリンク結合形式にするのでしょう。発振停止を回避するのが目的ではないでしょうか。 同調コイルをコア入りボビンに巻くならリンク形式も検討すべきです。 写真はコレクタ側から引き出している様子です。
☆
色々いじっていて、少なくともクェンチ発振ができなくては、超再生検波器にはならないことがわかってきます。 クェンチ発振が起こるにはどんな条件が必要なのか確かめる必要を感じました。 以下、100kHz付近のクェンチ発振器だけの実験です。
【クェンチ発振器の実験】
結局のところ(自励式の)超再生検波回路とは100kHz付近の周波数でブロックング発振を行なう回路と、その発振周期のうちトランジスタが活性な範囲(アンプ状態)にある瞬間ごとにVHF帯の発振(受信周波数になる)を行わせる複合機能を持った回路ということです。
VHF帯の発振回路部分はぜんぶ取ってしまい、クェンチ発振だけを行なうような回路を作ってみました。
この実験によって確実なクェンチ発振が起こる条件としては何が必要なのか、何が重要なのか追求してみようと思います。 写真において、トランジスタは実際に使う2SC2668Yが写っていますが、いくつか類似の高周波用トランジスタに交換してテストしました。 低周波並みの周波数ですからこの実験だけなら2SC372や2SC1815でも可能です。
【クェンチ発振器:実験回路】
テスト回路はいたってシンプルです。
ベース回路の部分の時定数で発振周期が決まるブロッキング発振器の一種のようです。
どんどん部品を取ってしまい、ブロッキング発振が起こる最低限の部品になっています。 重要なのはR1、R3、C1、C2です。 R2、C3、C4の部分は検波出力を影響なく引き出すためのもので、クェンチ発振とは本質的に無関係です。 また、VR1の部分はトランジスタの動作点を加減するための回路で、ちょど良い発振振幅のクェンチ発振が得られるよう加減するものです。
別の方法として回路への印加電圧を変えるのではなく、ベースバイアス抵抗:R1を増減して発振状態を調整する方法もあります。ただしこの方法はベース部分の時定数も変わるためクエンチ周波数も大きく変わるので、C1の加減が必要になるケースがあります。トランジスタのhFEの影響も大きくて少々厄介な方法です。
また部品は少し増えますが、RFC1とC1のGNDを一緒に浮かし、その接続部分とGND間に可変抵抗器を入れて調整する方法があります。結構使われているようです。 ベース側の時定数とは直接関係ないのでクェンチ周波数への影響が少ない方法です。
どの方法がベストなのか一概に言えず、回路設計者や製作者の好みを反映する部分です。 それで色々な超再生検波回路が「発生する」のでしょう。(笑)
なお、C2:(図では2200pF)は単にコレクタ側のバイパス・コンデンサではなく、クェンチ周波数を決め、さらにC1との関連で正帰還の大きさを決めていますので、むやみに大きくすれば良いわけではありません。 またR3(470Ω)はブロッキング発振を司る重要なコレクタ負荷抵抗器です。 選択範囲は広くて100Ωから数kΩまでかなり任意ですが、クェンチ発振の状態は当然影響を受けるので調子が悪ければ換えてみるのも効果的です。 なお、R3の代わりに低周波トランス(低周波チョークコイル:AFCでも良い)を使う方法があります。 エミッタ側のRFCの必要条件については後ほど説明します。
確実に発振し滑らかにクェンチ発振の大きさが加減できる回路定数を見つけ、VHF帯の発振に必要な部品を追加して超再生検波回路を再構成してみました。 結果から言いますと、そこそこ旨く動作しますが、最高感度にはできませんでした。 クェンチ発振の周期のどの瞬間にVHF帯の発振が起こるのが良いのか別の回路要素もあるのでしょう。 このようになかなか一筋縄には行きませんが、なんとなく方向性は掴めたように思っています。
【クェンチ発振波形】
回路定数の選び方次第で発振周波数(周期)だけでなく、発振波形も振幅も変化します。
この例では200kHz付近で発振していますが、C1の加減で100kHz付近にすることもできます。VR1で発振振幅が加減できます。 これでおおよその超再生検波の加減はできるわけですが、受信している信号の影響も受けるのでなかなか複雑でした。
ともかくクェンチ発振が起こらなくては話にならず、発振に必要な条件をかなり絞り込めたことは有意義な実験でした。 なお、VHF帯の発振用部品は付けていないのに弱い発振が見られます。 分布容量などが効いているようですがこの形式のベース接地回路はRF発振させやすい回路なのでしょう。コルピッツ型VFOとしてもよく使われています。もちろんVFOならクェンチ発振はさせません。
【ふたたびRFCについて】
エミッタ回路に入っているRFCに必要な条件もだいぶわかってきました。
影響が大きいのはRFCの直流的な抵抗値(DCR)の大きさです。 条件にもよりますが、数10Ω以下でなくてはクェンチ発振が起こりません。できたら10Ω以下が良いです。RFCの直流抵抗はテスタを使った抵抗測定ですぐわかります。 その条件が満たされればインダクタンスはかなり幅広い範囲で許容できるようです。
50MHzのHAMバンド用やFM放送のVHF受信機としてインダクタンスは10〜20μHもあれば十分そうですから、小型で直流抵抗の小さいRFCを使うと旨く行きます。
写真には4.5μHの自作品のほか、既成品の10μH〜100μHのRFCが写っていますが、どれでも旨く動作しました。 むやみに大きなインダクタンスにする意味もないようですので10〜22μHのRFCがグッドチョイスでしょう。 自己共振周波数が受信周波数から大きく離れている必要があります。
☆
以下はオマケです。 ICアンプの代用となる3石の低周波アンプです。
【LA3020の代替アンプ】
このBlogでは再生式受信機の特集(←リンク)で既出ですが、あらためて低周波アンプの代替回路を紹介しておきます。
十分な低周波ゲインがあってノイズ性能も優秀です。 調整も簡単ですから汎用の低周波アンプとして推奨できます。
トランジスタにはhFEが200〜400の小信号用シリコン・トラジスタなら何でも使えます。2SC1815GRだけでなく代替品は星の数ほど(?)存在するでしょう。 もう少し詳しい情報はリンク先で確認してください。
【代替アンプ:回路図】
上記の3石低周波アンプの回路図です。 これも既出です。
ICアンプよりすこし部品は増えますが性能はむしろ優れています。 よく見かけるような汎用トランジスタで作れますから、けっこう幅広く活用できます。
コストも掛からず便利に使える汎用低周波アンプ回路です。 私の定番として使っています。 たまにはディスクリート部品のアンプはいかが?
☆
立派な受信機が出来上がった訳ではないのですが、普通のトランジスタ(BJT)を使った超再生検波回路の検討として一旦まとめます。 なかなかアナログな要素が多くて、十分と言えるほどの評価はできていませんがまだ先があるのでここまでにしました。
最高の性能の超再生式受信機が作れたとは思っていませんが、とりあえず使えそうな性能は得られました。 どんな対策が効果的だったのか一言では言えませんが、初めに受信したい周波数帯において確実なクェンチ発振ができる条件を探しました。 その上でバイアス回路やクェンチ発振に関わる部分の部品定数を替えながら良いところを見つけると言った加減を繰り返す必要がありました。誠にアナログな作業です。(笑)
長さ1mくらいのビニル線をアンテナとして垂らしてやればローカルのFM放送局が2〜3局は受信できます。まあまあと言った所でしょうか。 GND側にカウンターポイズを付けるのも良好な受信には効果的です。ボディ・エフェクトも軽減できます。
ちゃんと作るのでしたらブレッドボードではなく、ナマ基板の上に構築する組み立て方法が推奨できると思います。 もしプリント基板化するのでしたらなるべくGND面積を広く取りなおかつ分布容量が少なくなるような設計をしてください。
☆
次回は電界効果トランジスタ:FETを使った超再生検波回路を扱おうと思っています。 最近発表さている超再生式受信機はFETの採用が多いようです。 バイポーラ・トランジスタ、すなわち従来からあるPNP型やNPN型のトランジスタ(BJT)より何か良いところがあるのかもしれません。 その辺りを探ってみたいと思っています。 ここまでのBJTでの実験が比較の意味で役立つでしょう。 HAMバンドの受信機だけでなく、ご近所のFM局を聴いてみると言った簡単ラジオとして検討しましょう。 特集として3回続けてきましたが超再生はかなり厄介なので少々疲れてしまいました。 しばらくお休みするかもしれませんが、時々ご訪問ください。突然Blogが更新されているかもしれませんので。hi ではまた。 de JA9TTT/1
*このBlogに関して何かご質問とかご要望などあったらコメント欄でお願いします。
この下にある「コメント」の文字をクリックすると入力画面が現れます。
→ご要望などは私で可能な範囲で対応いたします。
参考:公開から2週間を過ぎたBlogに頂いたコメントはすぐには反映されません。(SPAM対策のためです) 確認しだい公開いたしますので少々お待ちを。遠慮なくどうぞ。
(つづく)←リンクnm
2026年9月27日日曜日
【回路】Super-Regenerative Receivers (2)
【超再生式受信機・その2 実験編(1)】
Introduction
I am conducting experiments on super-regenerative receivers. In the super-regenerative detector—the key component—the Radio-frequency choke coil (RFC) is considered crucial. I will build an RFC suitable for the circuit by hand and compare it with a commercially available one. The results showed that the difference between the handmade and commercial versions was negligible. I think you shouldn’t overcomplicate things when using an RFC—just use it. And if it doesn’t work well, you can always replace it. For this experiment, I built two types of circuits: one using a germanium transistor and one using a silicon transistor. So far, I haven’t achieved very good results. I plan to continue these experiments going forward. (2026.09.27 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【RFCを手作りする】
雑誌で超再生式受信機の作例を見ていると高周波チョークコイル:RFCの重要性が強調されているのを目にします。 前回のBlog:調査編(←リンク)の回路例にもRFCの手作り方法が書いてありました。 またQEX誌の例では「モールドタイプ」・・・すなわち既製品でも小型の樹脂モールド型のRFCは避けろと書いてあります。 要するに超再生検波回路においてRFCはかなり重要な部品という位置付けです。
しかしインダクタンスが100μHというようなRFCを手作りで小さく作るのはかなり困難でしょう。 ここでは両端にリード線の付いたベークライト製ボビンがあったので利用して自作してみました。ボビンの径は6mmで長さは19mmです。巻線にはφ0.32mm・UEW線を使い、密着巻きで46回巻いてあります。 このようなボビンがない場合は抵抗値の大きな抵抗器(例えば1MΩ・1W型とか)の上に巻線する方法があります。
さっそくインダクタンスを実測してみると案外小さくて、4.25μHしかありません。(左写真)なお、無負荷Q:Quは約15ですが、これは測定周波数が低い(100kHz)からです。HF帯ではずっと大きくなります。(Q=ωL/rsなのでωに比例する)
4.25μHでも、例えば50MHzのようなVHF帯では1.3kΩくらいのリアクタンスがあるのでRFCとして十分使えるはずです。 50MHzでQu=50とすればインピーダンスは約67kΩですから回路インピーダンスの低いトランジスタ回路用のRFCとしては十分なはずです。 これを使って実験してみましょう。 モールド型の既製品との比較を試みます。
☆
超再生検波器を実際に製作してみました。 ところが出だしから、なかなか苦戦しています。(笑) 回路の動作解析が不十分なまま手探りのような製作では重要なポイントがなかなか掴みきれないのです。 いくつか作って観察すればだんだんわかってくるだろうと思って始めたのですが・・・未だなかなか要領を得ません(笑)
したがって、さしたる有用な情報は提供できませんから暇つぶし程度にでもご覧あれ。 あなたのように忙しいお方は無意味な時間を過ごさぬよう特に御注意を!
【超再生検波回路・その1】
オーソドックスと思われる回路を作ってみます。(部品定数を含め、回路は暫定的なものです)
無理にゲルトラ(ゲルマニウム・トランジスタ:Ge-Tr)使う必要もないのですが、むかし手に入れた買い置きがあったので使いました。
2SA341は松下/Panasonic社製の古いゲルトラです。有名な2SA70の小型パッケージ版と思えば良いでしょう。中身のチップは一緒のようです。こんな機会でもなかったらまず使いません。VCE=-10V,Ic=-1mAにおけるfTは実測で120MHzです。
ほか戴きもののAF106(独ジーメンス製・Geメサ型RF用:実測fT=213MHz)も同じPNP-Trで足配置も同じなので合わせて実験しました。
RF特性の良いシリコンのPNP-Trで置き換えても良いでしょう。 しかしそれくらいなら電源の極性を変えてNPNの高周波用(シリコン)を使うべきです。選択肢がはるかに多くなって有利です。 ゲルトラにこだわる理由は何もありません。 まあ、ここは遊びですので。(笑)
小型トランスを使わないCR結合形式で作ります。(トランス結合も後でやらねば)
問題のRFCはトランジスタのエミッタとGNDに向かって入っているものです。(L1;100μHと書いてある) 受信周波数帯(VHF帯)で十分なインピーダンスを持てば良いはずですが、過去の回路例をみると10μHくらいから100μH以上までまちまちなのです。
重要と言いつつこれでは怪しく感じてしまいますね。 まあ、作って交換すればわかるだろうということで・・・さっそく始めましょう。
【超再生検波・その1を作る】
ピンク色のコアが入っているのが同調コイルでVHF帯用のおそらくFMラジオ等に使うものでしょう。
空芯コイルでも良いと思いますが、インダクタンスが調整できた方が便利なので既製品を使いました。 インダクタンスは0.27μH(中心値)で、Qu=120です。
問題のRFCですが、写真で下の方に写っています。 小型に作ったつもりですが、それでもこのサイズです。
真空管回路ならまだ小型と言えるのかもしれませんが、トランジスタ回路用の部品としては大きすぎるでしょう。
【動作波形を見る・手作りRFC】
AF Output端子(検波出力端子)を観測しています。
写真のようにクェンチング波形に重畳してVHF帯の発振まで見えています。
クェンチング周波数は約77kHzでした。 この周波数が最適なのか否かは良くわかりませんが、一般的には100kHz前後らしいので標準的なところでしょうか?
この状態をクリスタル(セラミック)イヤフォンで聞いてみると、いわゆる超再生らしい「シャー」っというノイズが聞こえます。 感度の良し悪しまでは判断できず。
余談ではありますが、6年ほど前の2020年ころ、近所にコミュニティFM局が開局しました。周波数は89.3MHzで市内のビル屋上に上げたアンテナでオンエアしていました。パワーは15Wとのこと。 ローパワーとはいえごく近距離(1.5kmくらい?)なので十分聞こえるかと思ったのですがダメでした。 おかしいなと思って調べたら昨年の秋には閉局したんだそうです。 5年間の免許が更新できなかったんでしょうか? まあ、はじめっから商業的には厳しそうでした。 FMラジオの実験用にアテにしていたのでちょっと残念です。w
【既製品RFCに交換】
続いて既製品のRFCに交換してみました。
インダクタンスは100μHです。 1/4W型の抵抗器と同じくらいのサイズですからかなり小型です。
トランジスタ回路にマッチしていると思いますが、当然フェライト・コアのような磁芯が中心に入っているでしょう。直流抵抗:DCRは3.25Ωです。 QEX誌の記事によればいわゆる「使ってはいけない」というRFCです。
交換してイヤフォンで聞いてみるとあまり違いは感じられませんでした。 コレ、ホントにダメなのでしょうか?
【動作波形を見る・既製品RFC】
先の観測とおなじくAF Output端子(検波出力端子)を見ています。
クェンチング周波数は約67kHzでした。 RFCのインダクタンスは20倍以上も違いますが、クェンチング周波数は10%少々下がっただけです。 クェンチング周波数はRFCのインダクタンスの影響をあまり受けないということのようです。 そのようなことから過去の製作例によってインダクタンス値がまちまちなのでしょう。(笑)
耳で聞いて、いわゆる超再生らしいノイズもさしたる違いは感じられず、RFCは何でも良いとは言いませんが、案外適用範囲は広いのではないでしょうか? RFCについて、それほど悩まなくても良いと思います。よって「ダメなら交換してみる」というスタンスで良さそうです。その「ダメそう」という判断が難しいかもしれませんが。(笑)
なお、FCZ式の超再生検波検波器では10μHのマイクロインダクタ(既製品でしょうね)が使われています。 それで支障はないのだと思います。
言うまでもないと思いますが、自己共振周波数が受信周波数帯に存在するようなRFCは使ってはいけない代表です。 しかし半導体回路用の小型RFCを調べると、自己共振周波数はかなり低いところにあるのが普通です。 その場合、その周波数から上ではごく小容量(数pF)のキャパシティ(コンデンサ)として働きます。ちなみに100μHのRFCの自己共振周波数は数MHzにあります。
【超再生検波回路・その2】
いつまでも時代遅れのゲルトラで実験を続ける訳にも行きません。 シリコントランジスタに移行しました。
実は、上で試作したゲルトラの超再生はイマイチ感度が良くないように思われたのです。 それで少し違う回路で試作してみました。(部品定数を含め、回路は暫定的なものです)
トランジスタのバイアス周りの回路が異なっています。また再生状態の加減を回路に加える電圧を可変して行なっています。 まあ、本質的な違いはないと思うので極端に違わないはずです。 どちらかと言えば低い電源電圧向きの回路です。 RFCは既製品のマイクロインダクタで、15μHのものを使いました。
耳で聞きながら実験していてどうも感度的に思わしくない・・・ゲイン不足を感じたので応急に簡易な低周波アンプを付加してみました。 2SC372Yのシンプルなアンプですがそこそこゲインはありますので、検波しただけよりノイズは大きく聞こえます。
【超再生検波・その2を作る】
検波トランジスタは高周波用の汎用品:2SC2668Yです。拙宅の定番です。 低周波アンプには2SC372Yを使いました。ここは2SC1815Yでも良いでしょう。
アンテナコイルは空芯型です。 だいたいFMラジオの周波数がカバーできるように巻いてあります。巻線はφ1.0mmの錫メッキ銅線です。内径8mmで、巻き長さは12mmです。5回巻いてあります。
イヤフォンはセラミック型です。 クリスタル型(ロッシェル塩)の方が良いのですが、すでに入手難でしょう。
【GDMを動員する・笑】
まだ十分な評価はできていません。 なかなか手ごわいように思います。
どんな周波数を受信しているのか、まずはそれが問題になってしまいました。 SSGから信号を出して探ってみたのですが、どうも要領を得ず、方法としてうまくない感じでした。
選択度は非常にブロードなので細かく周波数を読んでも大して意味はありません。 それで大まかにわかれば十分と考えて、昔懐かしのGDM(グリッド・ディップ・メータ)の登場となりました。DELICAの真空管式です。
GDMで探ったところ、おおむねFMの放送バンドに合っているようでした。 だいたい予定通りといった感じです。 成績などまだ纏めきれていませんので今回はここまでです。
☆
以前実験したときは長さ1mくらいのリード線でもFMラジオが1〜2局くらい聞こえたように思います。 しかし今回の実験ではどれもダメなので何か問題を感じてしまいました。 まだ原因は追いきれていませんので今後の課題です。どうも半導体式の超再生検波器の出力は案外小さいのではないかと思っています。 他の製作例でもかなりゲインのある低周波アンプを使っています。 このあたり、いまだ確証はないのですけれど・・・。 せっかくご覧いただきながらあまり有益な情報を提供できず申し訳ありません。 何かございましたらお気軽にコメントなどお願いします。
☆
せめてローカルな代替FMが聞けるFMラジオの手作りをと思って始めています。
次回も超再生受信機の実験・製作編を予定しています。 まだ始めたばかりですから検討すべき回路・部品はたくさん存在します。 気が向いた時にぼちぼちやってみましょう。 HAMバンドの受信機だけでなく、ご近所のFM局を聴いてみると言った簡単ラジオについても検討したいと思っています。 ではまた。 de JA9TTT/1
*このBlogに関して何かご質問とかご要望などあったらコメント欄でお願いします。
この下にある「コメント」の文字をクリックすると入力画面が現れます。
→ご要望など私で可能な範囲で対応いたします。
参考:公開から2週間を過ぎたBlogに頂いたコメントはすぐには反映されません。(SPAM対策のためです) 確認しだい公開いたしますので少々お待ちを。遠慮なくどうぞ。
(つづく)←リンクfm
Introduction
I am conducting experiments on super-regenerative receivers. In the super-regenerative detector—the key component—the Radio-frequency choke coil (RFC) is considered crucial. I will build an RFC suitable for the circuit by hand and compare it with a commercially available one. The results showed that the difference between the handmade and commercial versions was negligible. I think you shouldn’t overcomplicate things when using an RFC—just use it. And if it doesn’t work well, you can always replace it. For this experiment, I built two types of circuits: one using a germanium transistor and one using a silicon transistor. So far, I haven’t achieved very good results. I plan to continue these experiments going forward. (2026.09.27 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【RFCを手作りする】
雑誌で超再生式受信機の作例を見ていると高周波チョークコイル:RFCの重要性が強調されているのを目にします。 前回のBlog:調査編(←リンク)の回路例にもRFCの手作り方法が書いてありました。 またQEX誌の例では「モールドタイプ」・・・すなわち既製品でも小型の樹脂モールド型のRFCは避けろと書いてあります。 要するに超再生検波回路においてRFCはかなり重要な部品という位置付けです。
しかしインダクタンスが100μHというようなRFCを手作りで小さく作るのはかなり困難でしょう。 ここでは両端にリード線の付いたベークライト製ボビンがあったので利用して自作してみました。ボビンの径は6mmで長さは19mmです。巻線にはφ0.32mm・UEW線を使い、密着巻きで46回巻いてあります。 このようなボビンがない場合は抵抗値の大きな抵抗器(例えば1MΩ・1W型とか)の上に巻線する方法があります。
さっそくインダクタンスを実測してみると案外小さくて、4.25μHしかありません。(左写真)なお、無負荷Q:Quは約15ですが、これは測定周波数が低い(100kHz)からです。HF帯ではずっと大きくなります。(Q=ωL/rsなのでωに比例する)
4.25μHでも、例えば50MHzのようなVHF帯では1.3kΩくらいのリアクタンスがあるのでRFCとして十分使えるはずです。 50MHzでQu=50とすればインピーダンスは約67kΩですから回路インピーダンスの低いトランジスタ回路用のRFCとしては十分なはずです。 これを使って実験してみましょう。 モールド型の既製品との比較を試みます。
☆
超再生検波器を実際に製作してみました。 ところが出だしから、なかなか苦戦しています。(笑) 回路の動作解析が不十分なまま手探りのような製作では重要なポイントがなかなか掴みきれないのです。 いくつか作って観察すればだんだんわかってくるだろうと思って始めたのですが・・・未だなかなか要領を得ません(笑)
したがって、さしたる有用な情報は提供できませんから暇つぶし程度にでもご覧あれ。 あなたのように忙しいお方は無意味な時間を過ごさぬよう特に御注意を!
【超再生検波回路・その1】
オーソドックスと思われる回路を作ってみます。(部品定数を含め、回路は暫定的なものです)
無理にゲルトラ(ゲルマニウム・トランジスタ:Ge-Tr)使う必要もないのですが、むかし手に入れた買い置きがあったので使いました。
2SA341は松下/Panasonic社製の古いゲルトラです。有名な2SA70の小型パッケージ版と思えば良いでしょう。中身のチップは一緒のようです。こんな機会でもなかったらまず使いません。VCE=-10V,Ic=-1mAにおけるfTは実測で120MHzです。
ほか戴きもののAF106(独ジーメンス製・Geメサ型RF用:実測fT=213MHz)も同じPNP-Trで足配置も同じなので合わせて実験しました。
RF特性の良いシリコンのPNP-Trで置き換えても良いでしょう。 しかしそれくらいなら電源の極性を変えてNPNの高周波用(シリコン)を使うべきです。選択肢がはるかに多くなって有利です。 ゲルトラにこだわる理由は何もありません。 まあ、ここは遊びですので。(笑)
小型トランスを使わないCR結合形式で作ります。(トランス結合も後でやらねば)
問題のRFCはトランジスタのエミッタとGNDに向かって入っているものです。(L1;100μHと書いてある) 受信周波数帯(VHF帯)で十分なインピーダンスを持てば良いはずですが、過去の回路例をみると10μHくらいから100μH以上までまちまちなのです。
重要と言いつつこれでは怪しく感じてしまいますね。 まあ、作って交換すればわかるだろうということで・・・さっそく始めましょう。
【超再生検波・その1を作る】
ピンク色のコアが入っているのが同調コイルでVHF帯用のおそらくFMラジオ等に使うものでしょう。
空芯コイルでも良いと思いますが、インダクタンスが調整できた方が便利なので既製品を使いました。 インダクタンスは0.27μH(中心値)で、Qu=120です。
問題のRFCですが、写真で下の方に写っています。 小型に作ったつもりですが、それでもこのサイズです。
真空管回路ならまだ小型と言えるのかもしれませんが、トランジスタ回路用の部品としては大きすぎるでしょう。
【動作波形を見る・手作りRFC】
AF Output端子(検波出力端子)を観測しています。
写真のようにクェンチング波形に重畳してVHF帯の発振まで見えています。
クェンチング周波数は約77kHzでした。 この周波数が最適なのか否かは良くわかりませんが、一般的には100kHz前後らしいので標準的なところでしょうか?
この状態をクリスタル(セラミック)イヤフォンで聞いてみると、いわゆる超再生らしい「シャー」っというノイズが聞こえます。 感度の良し悪しまでは判断できず。
余談ではありますが、6年ほど前の2020年ころ、近所にコミュニティFM局が開局しました。周波数は89.3MHzで市内のビル屋上に上げたアンテナでオンエアしていました。パワーは15Wとのこと。 ローパワーとはいえごく近距離(1.5kmくらい?)なので十分聞こえるかと思ったのですがダメでした。 おかしいなと思って調べたら昨年の秋には閉局したんだそうです。 5年間の免許が更新できなかったんでしょうか? まあ、はじめっから商業的には厳しそうでした。 FMラジオの実験用にアテにしていたのでちょっと残念です。w
【既製品RFCに交換】
続いて既製品のRFCに交換してみました。
インダクタンスは100μHです。 1/4W型の抵抗器と同じくらいのサイズですからかなり小型です。
トランジスタ回路にマッチしていると思いますが、当然フェライト・コアのような磁芯が中心に入っているでしょう。直流抵抗:DCRは3.25Ωです。 QEX誌の記事によればいわゆる「使ってはいけない」というRFCです。
交換してイヤフォンで聞いてみるとあまり違いは感じられませんでした。 コレ、ホントにダメなのでしょうか?
【動作波形を見る・既製品RFC】
先の観測とおなじくAF Output端子(検波出力端子)を見ています。
クェンチング周波数は約67kHzでした。 RFCのインダクタンスは20倍以上も違いますが、クェンチング周波数は10%少々下がっただけです。 クェンチング周波数はRFCのインダクタンスの影響をあまり受けないということのようです。 そのようなことから過去の製作例によってインダクタンス値がまちまちなのでしょう。(笑)
耳で聞いて、いわゆる超再生らしいノイズもさしたる違いは感じられず、RFCは何でも良いとは言いませんが、案外適用範囲は広いのではないでしょうか? RFCについて、それほど悩まなくても良いと思います。よって「ダメなら交換してみる」というスタンスで良さそうです。その「ダメそう」という判断が難しいかもしれませんが。(笑)
なお、FCZ式の超再生検波検波器では10μHのマイクロインダクタ(既製品でしょうね)が使われています。 それで支障はないのだと思います。
言うまでもないと思いますが、自己共振周波数が受信周波数帯に存在するようなRFCは使ってはいけない代表です。 しかし半導体回路用の小型RFCを調べると、自己共振周波数はかなり低いところにあるのが普通です。 その場合、その周波数から上ではごく小容量(数pF)のキャパシティ(コンデンサ)として働きます。ちなみに100μHのRFCの自己共振周波数は数MHzにあります。
【超再生検波回路・その2】
いつまでも時代遅れのゲルトラで実験を続ける訳にも行きません。 シリコントランジスタに移行しました。
実は、上で試作したゲルトラの超再生はイマイチ感度が良くないように思われたのです。 それで少し違う回路で試作してみました。(部品定数を含め、回路は暫定的なものです)
トランジスタのバイアス周りの回路が異なっています。また再生状態の加減を回路に加える電圧を可変して行なっています。 まあ、本質的な違いはないと思うので極端に違わないはずです。 どちらかと言えば低い電源電圧向きの回路です。 RFCは既製品のマイクロインダクタで、15μHのものを使いました。
耳で聞きながら実験していてどうも感度的に思わしくない・・・ゲイン不足を感じたので応急に簡易な低周波アンプを付加してみました。 2SC372Yのシンプルなアンプですがそこそこゲインはありますので、検波しただけよりノイズは大きく聞こえます。
【超再生検波・その2を作る】
検波トランジスタは高周波用の汎用品:2SC2668Yです。拙宅の定番です。 低周波アンプには2SC372Yを使いました。ここは2SC1815Yでも良いでしょう。
アンテナコイルは空芯型です。 だいたいFMラジオの周波数がカバーできるように巻いてあります。巻線はφ1.0mmの錫メッキ銅線です。内径8mmで、巻き長さは12mmです。5回巻いてあります。
イヤフォンはセラミック型です。 クリスタル型(ロッシェル塩)の方が良いのですが、すでに入手難でしょう。
【GDMを動員する・笑】
まだ十分な評価はできていません。 なかなか手ごわいように思います。
どんな周波数を受信しているのか、まずはそれが問題になってしまいました。 SSGから信号を出して探ってみたのですが、どうも要領を得ず、方法としてうまくない感じでした。
選択度は非常にブロードなので細かく周波数を読んでも大して意味はありません。 それで大まかにわかれば十分と考えて、昔懐かしのGDM(グリッド・ディップ・メータ)の登場となりました。DELICAの真空管式です。
GDMで探ったところ、おおむねFMの放送バンドに合っているようでした。 だいたい予定通りといった感じです。 成績などまだ纏めきれていませんので今回はここまでです。
☆
以前実験したときは長さ1mくらいのリード線でもFMラジオが1〜2局くらい聞こえたように思います。 しかし今回の実験ではどれもダメなので何か問題を感じてしまいました。 まだ原因は追いきれていませんので今後の課題です。どうも半導体式の超再生検波器の出力は案外小さいのではないかと思っています。 他の製作例でもかなりゲインのある低周波アンプを使っています。 このあたり、いまだ確証はないのですけれど・・・。 せっかくご覧いただきながらあまり有益な情報を提供できず申し訳ありません。 何かございましたらお気軽にコメントなどお願いします。
☆
せめてローカルな代替FMが聞けるFMラジオの手作りをと思って始めています。
次回も超再生受信機の実験・製作編を予定しています。 まだ始めたばかりですから検討すべき回路・部品はたくさん存在します。 気が向いた時にぼちぼちやってみましょう。 HAMバンドの受信機だけでなく、ご近所のFM局を聴いてみると言った簡単ラジオについても検討したいと思っています。 ではまた。 de JA9TTT/1
*このBlogに関して何かご質問とかご要望などあったらコメント欄でお願いします。
この下にある「コメント」の文字をクリックすると入力画面が現れます。
→ご要望など私で可能な範囲で対応いたします。
参考:公開から2週間を過ぎたBlogに頂いたコメントはすぐには反映されません。(SPAM対策のためです) 確認しだい公開いたしますので少々お待ちを。遠慮なくどうぞ。
(つづく)←リンクfm
2026年9月11日金曜日
【回路】Super-Regenerative Receivers (1)
【超再生式受信機・その1 調査編】
Introduction
In this blog, I will explore the Super-Regenerative Receiver. The Super-Regenerative Receiver was once a popular choice as a simple yet highly sensitive receiver in the VHF band. Although it was highly praised in the past, it has since fallen out of favor due to several drawbacks. However, I’ve decided to cover it because it makes for an interesting topic for electronics experiments. This first post is a research overview of the Super-Regenerative Receiver. Let’s take a look back at past build articles. (2026.09.11 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【超・再生受信機とは】
2019年の夏ごろ、このBlogで「再生式受信機」(←リンク)を扱ったことがあります。 そのとき超再生式受信機については改めて扱うことにしました。
何となく一緒に扱えそうですが、似ていそうでかなり非なるものです。この先ご覧になると違いは明らかになるでしょう。
とりあえずごく簡単に以下のような違いがあります。
(1)受信する電波のモードは?:
・・・再生式はAM、CW、(SSB、FM)ですが、超再生式はAMとFMが対象です。
(2)受信対象の周波数帯は?:
・・・再生式は主に〜20MHzのHF帯で、超再生式はVHF帯以上で使います。
(3)感度・選択度は?:・・・いずれも高感度だが、
・・・再生拭は選択度も良好。超再生式は選択度が悪い。
(4)超再生には固有の「クェンチング・ノイズ」があって耳ざわりである。
・・・などです。ただしどれも例外はあります。
☆
写真は超再生受信機に使える真空管とトランジスタの一例です。カラーの絵が一つもないと寂しいので初めに置きました。これに限らず様々な電子デバイスが使えます。
今回は超再生式受信機の「調査編」として、過去の書籍など辿ってざっとした検討を試みます。 次回以降でその中から面白そうな幾つかを試作したいと思っています。もし、これは是非という「超再生式」があれば具体的なコメントをお待ちします。 もちろん、ご感想などフツーのコメントも歓迎です。昔の思い出などお気軽にどうぞ。
超再生受信機は通信の黎明期に活躍したような古臭い技術です。いまさら興味を持てないようでしたら早々のお帰りがよろしいでしょう。近代的で先進的な話題は・・・たぶん含まれてはいないです。もちろん、例によってSomething NEWはあるはず。(笑)
【超再生受信機との出会い】
1960年代の切り抜きがファイルしてありました。 誠文堂新光社の「初歩のラジオ誌」の記事ですが、正確な号数がわかりません。 JA1HWW:山口OMの執筆です。
まだ何も知らない子供の時分ですから、アマ無線やFMラジオをはじめ、VHF帯を広くカバーする「受信機」が魅力的に思えたのです。 記事には実体配線図もあって、初心者にも作れそうに思えました。
記事を読み返してみると、記事の主旨は初心者の気持ちとは少し違うように感じました。 おそらく、この受信機は既に並三とか5球スーパのような何か真空管式ラジオを製作済みの読者向けではないでしょうか。 手軽に作れる「超再生式受信機」でVHF帯を覗いてみようという企画だったのでしょう。
電源を外からもらってくるのはそのためでしょう。 たった1本の真空管式(単球式)ですから、別のラジオから電源を融通するのは簡単だったのです。あえて電源を作る必要もなし・・・。
当時、作ろうと思って部品を集めはじめました。 まずは真空管を買って・・・手に入れた6R-HH2は先頭の写真の「東芝」製ではなくNEC;日本電気製でした。6R-HH2はNECが一番安かったからです。(笑)
結局、板金工作用の工具に行き詰ってしまい道具揃えが必要なことに気づいたころには興味は他所に行ってしまいました。もう作りませんでした。
たいへん簡単な回路です。部品が揃って板金加工が済めば半日もかからずに完成するでしょう。 超再生式としては完成された受信回路です。 真空管も性能十分でVHF帯に向いていますので成功しやすいです。6R-HH2に限らず、6BQ7Aや12AT7などの双三極管が使えます。検波管のグリッド・プレート間の3MΩは要調整です。むしろ10MΩくらいが良さそうです。
【3A5の超再生式トランシーバ】
超再生式と言えば「3A5の50MHzトランシーバでしょう」と言うあなたは古いHAMです。(笑)
私も古い方のHAMですが、1960年代末ともなるとさすがに3A5のような電池管の時代は終わっていました。 まだゲルトラ(ゲルマニウム・トランジスタ)が主流でしたが半導体の時代になっていたからです。
上記の6R-HH2を使った超再生式受信機はこのトランシーバの受信状態を固定したものと言って良いものでした。
6R-HH2でこのトランシーバを作ることだって可能なわけです。ポータブルにするには6.3Vのヒータ電源が課題ですが、B+の方は70Vもあれば十分ですし、乾電池でもまかなえます。3A5はなくても実験くらいできます。
周波数安定度はかなり悪いです。 そのため相手方が選択度の良い受信機だとダイヤルから手を離せません。可能なら同じトランシーバを2台作って「無免許で遊ぶ」のがいちばん良いのはないでしょうか。超再生は選択度が悪いので幸いするわけです。
その昔、富士山頂と都内の間で交信できたと言うような伝説(?)もありますが、バンドが混んでいる現在は非現実的です。もちろん保証認定も得られませんから、ごく近距離で「遊ぶ」のにふさわしいです。(笑)
【超再生検波回路:半導体式・1】
真空管の超再生受信機は程々にして、半導体式を検討しましょう。
まじめに超再生検波回路を扱う話は、あまり新しい記事には見当たりません。おのずから古い記事の参照になってしまいます。 左図はCQ Hamradio誌1964年3月号から引用したものです。この頃はまだ超再生式も実用にされていました。
同記事には他にもいくつかの回路がありましたが、本質的には左図の3つに集約されるように思います。
検波された信号の取り出しに「低周波トランス」を使うか、CR結合で取り出すのかが大きな違いです。
また、アンテナとの結合を同調回路にリンクコイルでするのか、エミッタ側にC結合するのかと言った違いです。(B)と(C)はアンテナとの結合の方法が違うだけです。この違いはさしたる差ではなく性能的な優劣もないようです。 回路構成の都合で選択すれば良さそうです。
検波出力の取り出しですが、一般的に言ってトランス結合の方が幾分有利なようです。 ただし超再生受信機はその調整に拠る部分が大きく効いてくるため、結果で言えばCR結合でも十分行けそうです。 トランジスタ回路用の「小型トランス」は高価になっていますから、まずはCR結合で手がけてみるのも悪くないでしょう。
【超再生検波回路:半導体式・2】
上記CQ Hamradio誌の回路例だけでも十分そうに思えたのですが、他誌も参照してみました。
(D)は細かい部品定数やコイルの諸元も詳しく書いてあります。他誌の記事でそっくりそのまま使った回路を見かけました。十分実績のある回路というわけでしょう。
(E)〜(G)は超再生検波回路そのものを例示するものです。 基本的にCQの記事と同じ回路です。 バイアスの掛け方や超再生状態の加減方法が少し異なるのみです。
トランジスタを使った超再生はベース・コモンの回路ばかりで、あんがい定型的なことがわかります。 これは入力インピーダンスが低くて三極管と同じ回路形式は採れなかったからでしょう。 インピーダンスの高いコレクタ側に同調回路を置く形式が有利なのです。
資料の本文は省きますが、それによると(G)の抵抗結合型超再生が成功しやすいとあります。 超再生がスムースにかかることが最重要なテーマですから比較的単純な回路構成が有利のようです。 それでも幾つかの部品は加減してやる必要があります。
【4石の超再生式トランシーバ】
検波回路ばかり見ていても面白くないので活用例を挙げておきましょう。
超再生検波の受信部と一石水晶発振器の組み合わせによる4石トランシーバです。
超再生検波器と水晶発振器を兼用する3石トランシーバを作ったことがありますが、数100mならかろうじて交信可能でした。同じようなものでしょう。(27MHz帯の無免許トランシーバ)
使ってあるトランジスタはSONY製ですべてゲルマニウム型です。半世紀以上も前のトランジスタなのでさすがに入手は難しいでしょうからシリコン・トランジスタに置き換える必要があります。 2SA122の部分は2SC2668Yなどが候補で、2SB49の部分は2SC1815Yで十分でしょう。PNP→NPNなので電源と電解コンデンサの極性反転が必要です。 いずれにしても作りっぱなしではダメなはずです。ますはバイアス抵抗を加減してシリコンTrに合わせます。さらに超再生検波の調整も必須です。場合により部品定数の大幅な変更もありえます。
先に例があった3A5のトランシーバよりも現実味があって実用性もあります。 ただし発振回路にアンテナ直結ですからもちろん「保証認定」は無理でしょう。 保証認定をもらうには送信部を「発振+増幅」の2ステージ形式に改造します。
結局のところこのままでは2台作って近距離で「遊ぶ」くらいが関の山です。水晶発振ですから送信周波数は安定しています。固定のAM局とQSOも可能ですが、無線設備基準を満たしていない無免許トランシーバとの交信ってどうなんでしょうかね?? Log-Bookに記載すべき正式な交信になるんでしょうか?(笑)
☆
以上、真空管やゲルトラと言った古臭いデバイスの回路ばかりでしたが、もう少し近代的な超再生はないものでしょうか? シリコンTrに焼き直した回路ならともかくとして、画期的なものは残念ながらあまり見かけません。以下、見つかった数例を紹介しておきます。 いずれも電界効果トランジスタ:FETを使った形式です。
【FCZ式超再生受信機とは?】
FCZというのは(有)FCZ研究所を主催・開業されていた大久保 忠さん(HAMのコールサインはJH1FCZでした)に由来します。FCZ研究所も廃業されて久しいのでまずは「FCZ」の由来を書いておきました。(注・1)
長年、会報:FCZ誌(有償)を発行されていました。左図は、そのNo.79に掲載されていた回路です。
(ご遺族のご好意で有志が電子化した会報が公開されているのは有難いです。懐かしい紙面が楽しめます)
いずれ製作・調整編のとき説明しますが、超再生検波回路には「クェンチング・ノイズ」というモノがあって無信号のとき耳ざわりなのが欠点とされていました。 超再生とはそう言うものだと割り切って我慢して使うか、強引な(?)解決策としてスケルチを付けると言った方法がありました。 FCZ・大久保OMの改良はそのクェンチング・ノイズを軽減することにあります。
感度や選択度は超再生そのものですから違いはないと思います。 しかし実用上はずいぶん改善されるでしょう。 ワッチしているときの耳ざわりなノイズが「ほぼ無くなる」くらい改善するそうです。試作すべき有力な候補の一つです。
超再生検波回路はこの時代の共通回路である「FETのゲート・コモン型」になっています。 また、不要電波の輻射を防ぐ目的で高周波増幅が設けられています。 シンプルなQRP-AM送信機と組み合わせて100km以上の交信実績もあるそうですから、超再生受信機としては有望な回路と言えるものです。
注・1:「FCZコイル」等はFCZ社の商品名の一つです。学生さんが研究レポートに「FCZコイル」と書いて教官に質問されたそうです。要するに一般名ではないのです。インダクタンス幾つ、無負荷Qが幾つの小型コイルで構造は・・・と書けば良いのですが、単に「FCZコイル」では世間でまず通用しません。 もちろん「FCZ式超再生」も然りでしょう。大久保 忠氏考案による「再検波式・超再生検波器」とでも呼ぶべきなのでしょうか。
【QEX誌にみるモダン超再生式レシーバ】
最後に米誌(QEX誌2000年9・10月秋号:出版ARRL)からモダンな超再生式受信機を紹介しておきましょう。
検波回路としてはFETをゲート・コモンで使う一般的な形式です。 検波出力の引き出し方も上記のFCZ式同様で一般的な形式でしょう。
詳細は同誌がネット上に公開されていますから直接参照していただくとして簡単に検討しておきます。
超再生状態のスムースな加減には「定インピーダンス型」の可変電源が最適とのことで工夫されています。 またクェンチング周波数が可変でき、波形の切り替えもできるようになっています。スケルチ機能もあってなかなか意欲的です。
ここまでする意味があるのか、疑問もあるのですが、超再生で極めるVHF-FM/AM受信機という位置付けで面白い回路になっています。 はなからアマチュア無線の用途は考えていないようで、FM放送や航空無線などのユーティリティ受信を目的にしているようです。
欠点を克服し確実な回路へと改良を試みるのは一つの方向と思いますが、複雑化させてしまうのはシンプルさが失われてちょっと残念さも感じます。 今は高級化するくらいなら専用のICもゴロゴロしているのですから、それでシンプルにまとめる方がVHF受信機として現実的なように思います。まあ超再生受信機に対する見解の相違かも知れませんが。(笑)
☆
またいつかと言うことでペンディングにしていたテーマを扱うことにしました。 超再生は2019年ころ扱った再生式受信機より更に実用性が低いように思いますが、今でも回路的な面白さはあると感じます。特にシンプルさは魅力です。
昨今は民放AM放送局がAM放送から撤退しFM放送へ移行しています。 民放がないのではAM用手作りラジオの楽しさも薄れてきたように思います。 それならローカルな代替FMが聞けるFMラジオの手作りの方にニーズが向かいそうです。
次回は超再生受信機の実験・製作編を予定しています。 HAMバンドの受信機だけでなく、ご近所のFM局を聴いてみると言った簡単ラジオについても検討したいと思っています。 ではまた。 de JA9TTT/1
*このBlogに関して何かご質問とかご要望などあったらコメント欄でお願いします。
この下にある「コメント」の文字をクリックすると入力画面が現れます。
→ご要望など私で可能な範囲で対応いたします。
参考:公開から2週間を過ぎたBlogに頂いたコメントはすぐには反映されません。(SPAM対策のためです) 確認しだい公開いたしますので少々お待ちを。遠慮なくどうぞ。
(つづく)←リンクnm
Introduction
In this blog, I will explore the Super-Regenerative Receiver. The Super-Regenerative Receiver was once a popular choice as a simple yet highly sensitive receiver in the VHF band. Although it was highly praised in the past, it has since fallen out of favor due to several drawbacks. However, I’ve decided to cover it because it makes for an interesting topic for electronics experiments. This first post is a research overview of the Super-Regenerative Receiver. Let’s take a look back at past build articles. (2026.09.11 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【超・再生受信機とは】
2019年の夏ごろ、このBlogで「再生式受信機」(←リンク)を扱ったことがあります。 そのとき超再生式受信機については改めて扱うことにしました。
何となく一緒に扱えそうですが、似ていそうでかなり非なるものです。この先ご覧になると違いは明らかになるでしょう。
とりあえずごく簡単に以下のような違いがあります。
(1)受信する電波のモードは?:
・・・再生式はAM、CW、(SSB、FM)ですが、超再生式はAMとFMが対象です。
(2)受信対象の周波数帯は?:
・・・再生式は主に〜20MHzのHF帯で、超再生式はVHF帯以上で使います。
(3)感度・選択度は?:・・・いずれも高感度だが、
・・・再生拭は選択度も良好。超再生式は選択度が悪い。
(4)超再生には固有の「クェンチング・ノイズ」があって耳ざわりである。
・・・などです。ただしどれも例外はあります。
☆
写真は超再生受信機に使える真空管とトランジスタの一例です。カラーの絵が一つもないと寂しいので初めに置きました。これに限らず様々な電子デバイスが使えます。
今回は超再生式受信機の「調査編」として、過去の書籍など辿ってざっとした検討を試みます。 次回以降でその中から面白そうな幾つかを試作したいと思っています。もし、これは是非という「超再生式」があれば具体的なコメントをお待ちします。 もちろん、ご感想などフツーのコメントも歓迎です。昔の思い出などお気軽にどうぞ。
超再生受信機は通信の黎明期に活躍したような古臭い技術です。いまさら興味を持てないようでしたら早々のお帰りがよろしいでしょう。近代的で先進的な話題は・・・たぶん含まれてはいないです。もちろん、例によってSomething NEWはあるはず。(笑)
【超再生受信機との出会い】
1960年代の切り抜きがファイルしてありました。 誠文堂新光社の「初歩のラジオ誌」の記事ですが、正確な号数がわかりません。 JA1HWW:山口OMの執筆です。
まだ何も知らない子供の時分ですから、アマ無線やFMラジオをはじめ、VHF帯を広くカバーする「受信機」が魅力的に思えたのです。 記事には実体配線図もあって、初心者にも作れそうに思えました。
記事を読み返してみると、記事の主旨は初心者の気持ちとは少し違うように感じました。 おそらく、この受信機は既に並三とか5球スーパのような何か真空管式ラジオを製作済みの読者向けではないでしょうか。 手軽に作れる「超再生式受信機」でVHF帯を覗いてみようという企画だったのでしょう。
電源を外からもらってくるのはそのためでしょう。 たった1本の真空管式(単球式)ですから、別のラジオから電源を融通するのは簡単だったのです。あえて電源を作る必要もなし・・・。
当時、作ろうと思って部品を集めはじめました。 まずは真空管を買って・・・手に入れた6R-HH2は先頭の写真の「東芝」製ではなくNEC;日本電気製でした。6R-HH2はNECが一番安かったからです。(笑)
結局、板金工作用の工具に行き詰ってしまい道具揃えが必要なことに気づいたころには興味は他所に行ってしまいました。もう作りませんでした。
たいへん簡単な回路です。部品が揃って板金加工が済めば半日もかからずに完成するでしょう。 超再生式としては完成された受信回路です。 真空管も性能十分でVHF帯に向いていますので成功しやすいです。6R-HH2に限らず、6BQ7Aや12AT7などの双三極管が使えます。検波管のグリッド・プレート間の3MΩは要調整です。むしろ10MΩくらいが良さそうです。
【3A5の超再生式トランシーバ】
超再生式と言えば「3A5の50MHzトランシーバでしょう」と言うあなたは古いHAMです。(笑)
私も古い方のHAMですが、1960年代末ともなるとさすがに3A5のような電池管の時代は終わっていました。 まだゲルトラ(ゲルマニウム・トランジスタ)が主流でしたが半導体の時代になっていたからです。
上記の6R-HH2を使った超再生式受信機はこのトランシーバの受信状態を固定したものと言って良いものでした。
6R-HH2でこのトランシーバを作ることだって可能なわけです。ポータブルにするには6.3Vのヒータ電源が課題ですが、B+の方は70Vもあれば十分ですし、乾電池でもまかなえます。3A5はなくても実験くらいできます。
周波数安定度はかなり悪いです。 そのため相手方が選択度の良い受信機だとダイヤルから手を離せません。可能なら同じトランシーバを2台作って「無免許で遊ぶ」のがいちばん良いのはないでしょうか。超再生は選択度が悪いので幸いするわけです。
その昔、富士山頂と都内の間で交信できたと言うような伝説(?)もありますが、バンドが混んでいる現在は非現実的です。もちろん保証認定も得られませんから、ごく近距離で「遊ぶ」のにふさわしいです。(笑)
【超再生検波回路:半導体式・1】
真空管の超再生受信機は程々にして、半導体式を検討しましょう。
まじめに超再生検波回路を扱う話は、あまり新しい記事には見当たりません。おのずから古い記事の参照になってしまいます。 左図はCQ Hamradio誌1964年3月号から引用したものです。この頃はまだ超再生式も実用にされていました。
同記事には他にもいくつかの回路がありましたが、本質的には左図の3つに集約されるように思います。
検波された信号の取り出しに「低周波トランス」を使うか、CR結合で取り出すのかが大きな違いです。
また、アンテナとの結合を同調回路にリンクコイルでするのか、エミッタ側にC結合するのかと言った違いです。(B)と(C)はアンテナとの結合の方法が違うだけです。この違いはさしたる差ではなく性能的な優劣もないようです。 回路構成の都合で選択すれば良さそうです。
検波出力の取り出しですが、一般的に言ってトランス結合の方が幾分有利なようです。 ただし超再生受信機はその調整に拠る部分が大きく効いてくるため、結果で言えばCR結合でも十分行けそうです。 トランジスタ回路用の「小型トランス」は高価になっていますから、まずはCR結合で手がけてみるのも悪くないでしょう。
【超再生検波回路:半導体式・2】
上記CQ Hamradio誌の回路例だけでも十分そうに思えたのですが、他誌も参照してみました。
(D)は細かい部品定数やコイルの諸元も詳しく書いてあります。他誌の記事でそっくりそのまま使った回路を見かけました。十分実績のある回路というわけでしょう。
(E)〜(G)は超再生検波回路そのものを例示するものです。 基本的にCQの記事と同じ回路です。 バイアスの掛け方や超再生状態の加減方法が少し異なるのみです。
トランジスタを使った超再生はベース・コモンの回路ばかりで、あんがい定型的なことがわかります。 これは入力インピーダンスが低くて三極管と同じ回路形式は採れなかったからでしょう。 インピーダンスの高いコレクタ側に同調回路を置く形式が有利なのです。
資料の本文は省きますが、それによると(G)の抵抗結合型超再生が成功しやすいとあります。 超再生がスムースにかかることが最重要なテーマですから比較的単純な回路構成が有利のようです。 それでも幾つかの部品は加減してやる必要があります。
【4石の超再生式トランシーバ】
検波回路ばかり見ていても面白くないので活用例を挙げておきましょう。
超再生検波の受信部と一石水晶発振器の組み合わせによる4石トランシーバです。
超再生検波器と水晶発振器を兼用する3石トランシーバを作ったことがありますが、数100mならかろうじて交信可能でした。同じようなものでしょう。(27MHz帯の無免許トランシーバ)
使ってあるトランジスタはSONY製ですべてゲルマニウム型です。半世紀以上も前のトランジスタなのでさすがに入手は難しいでしょうからシリコン・トランジスタに置き換える必要があります。 2SA122の部分は2SC2668Yなどが候補で、2SB49の部分は2SC1815Yで十分でしょう。PNP→NPNなので電源と電解コンデンサの極性反転が必要です。 いずれにしても作りっぱなしではダメなはずです。ますはバイアス抵抗を加減してシリコンTrに合わせます。さらに超再生検波の調整も必須です。場合により部品定数の大幅な変更もありえます。
先に例があった3A5のトランシーバよりも現実味があって実用性もあります。 ただし発振回路にアンテナ直結ですからもちろん「保証認定」は無理でしょう。 保証認定をもらうには送信部を「発振+増幅」の2ステージ形式に改造します。
結局のところこのままでは2台作って近距離で「遊ぶ」くらいが関の山です。水晶発振ですから送信周波数は安定しています。固定のAM局とQSOも可能ですが、無線設備基準を満たしていない無免許トランシーバとの交信ってどうなんでしょうかね?? Log-Bookに記載すべき正式な交信になるんでしょうか?(笑)
☆
以上、真空管やゲルトラと言った古臭いデバイスの回路ばかりでしたが、もう少し近代的な超再生はないものでしょうか? シリコンTrに焼き直した回路ならともかくとして、画期的なものは残念ながらあまり見かけません。以下、見つかった数例を紹介しておきます。 いずれも電界効果トランジスタ:FETを使った形式です。
【FCZ式超再生受信機とは?】
FCZというのは(有)FCZ研究所を主催・開業されていた大久保 忠さん(HAMのコールサインはJH1FCZでした)に由来します。FCZ研究所も廃業されて久しいのでまずは「FCZ」の由来を書いておきました。(注・1)
長年、会報:FCZ誌(有償)を発行されていました。左図は、そのNo.79に掲載されていた回路です。
(ご遺族のご好意で有志が電子化した会報が公開されているのは有難いです。懐かしい紙面が楽しめます)
いずれ製作・調整編のとき説明しますが、超再生検波回路には「クェンチング・ノイズ」というモノがあって無信号のとき耳ざわりなのが欠点とされていました。 超再生とはそう言うものだと割り切って我慢して使うか、強引な(?)解決策としてスケルチを付けると言った方法がありました。 FCZ・大久保OMの改良はそのクェンチング・ノイズを軽減することにあります。
感度や選択度は超再生そのものですから違いはないと思います。 しかし実用上はずいぶん改善されるでしょう。 ワッチしているときの耳ざわりなノイズが「ほぼ無くなる」くらい改善するそうです。試作すべき有力な候補の一つです。
超再生検波回路はこの時代の共通回路である「FETのゲート・コモン型」になっています。 また、不要電波の輻射を防ぐ目的で高周波増幅が設けられています。 シンプルなQRP-AM送信機と組み合わせて100km以上の交信実績もあるそうですから、超再生受信機としては有望な回路と言えるものです。
注・1:「FCZコイル」等はFCZ社の商品名の一つです。学生さんが研究レポートに「FCZコイル」と書いて教官に質問されたそうです。要するに一般名ではないのです。インダクタンス幾つ、無負荷Qが幾つの小型コイルで構造は・・・と書けば良いのですが、単に「FCZコイル」では世間でまず通用しません。 もちろん「FCZ式超再生」も然りでしょう。大久保 忠氏考案による「再検波式・超再生検波器」とでも呼ぶべきなのでしょうか。
【QEX誌にみるモダン超再生式レシーバ】
最後に米誌(QEX誌2000年9・10月秋号:出版ARRL)からモダンな超再生式受信機を紹介しておきましょう。
検波回路としてはFETをゲート・コモンで使う一般的な形式です。 検波出力の引き出し方も上記のFCZ式同様で一般的な形式でしょう。
詳細は同誌がネット上に公開されていますから直接参照していただくとして簡単に検討しておきます。
超再生状態のスムースな加減には「定インピーダンス型」の可変電源が最適とのことで工夫されています。 またクェンチング周波数が可変でき、波形の切り替えもできるようになっています。スケルチ機能もあってなかなか意欲的です。
ここまでする意味があるのか、疑問もあるのですが、超再生で極めるVHF-FM/AM受信機という位置付けで面白い回路になっています。 はなからアマチュア無線の用途は考えていないようで、FM放送や航空無線などのユーティリティ受信を目的にしているようです。
欠点を克服し確実な回路へと改良を試みるのは一つの方向と思いますが、複雑化させてしまうのはシンプルさが失われてちょっと残念さも感じます。 今は高級化するくらいなら専用のICもゴロゴロしているのですから、それでシンプルにまとめる方がVHF受信機として現実的なように思います。まあ超再生受信機に対する見解の相違かも知れませんが。(笑)
☆
またいつかと言うことでペンディングにしていたテーマを扱うことにしました。 超再生は2019年ころ扱った再生式受信機より更に実用性が低いように思いますが、今でも回路的な面白さはあると感じます。特にシンプルさは魅力です。
昨今は民放AM放送局がAM放送から撤退しFM放送へ移行しています。 民放がないのではAM用手作りラジオの楽しさも薄れてきたように思います。 それならローカルな代替FMが聞けるFMラジオの手作りの方にニーズが向かいそうです。
次回は超再生受信機の実験・製作編を予定しています。 HAMバンドの受信機だけでなく、ご近所のFM局を聴いてみると言った簡単ラジオについても検討したいと思っています。 ではまた。 de JA9TTT/1
*このBlogに関して何かご質問とかご要望などあったらコメント欄でお願いします。
この下にある「コメント」の文字をクリックすると入力画面が現れます。
→ご要望など私で可能な範囲で対応いたします。
参考:公開から2週間を過ぎたBlogに頂いたコメントはすぐには反映されません。(SPAM対策のためです) 確認しだい公開いたしますので少々お待ちを。遠慮なくどうぞ。
(つづく)←リンクnm
2026年8月28日金曜日
【回路】Making a Relay-Box.
【リレーボックスを作る】(Rigとリニヤの仲介者)
Introduction
Is it possible to combine a modern amateur radio transceiver with an old valve-based linear amplifier? Whilst this is probably possible, connecting them directly and controlling them in this way may not be safe. I have examined the circuitry of the valve-based linear amplifier. As a result, I have built a device called a ‘relay box’ to enable the two to be used together safely. With this, you should be able to use your modern amateur radio transceiver with the valve-based linear amplifier with complete peace of mind. hi hi(2026.08.28 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【簡単な製作で安心感アップ】
シンプルな回路ですが、シャックにあったら安心なアダプタを製作します。
写真はいまではごくありきたりの半導体を使ったHAM用トランシーバで真空管式のリニヤアンプを制御するためのアダプタです。これでトランシーバのスタンバイ・リレーを傷めることなく安心してリニヤアンプの送受信コントロールができます。
経緯は後ほど書きますが、ひょんなことから、メーカー製・真空管式リニヤアンプのスタンバイ回路(送受制御回路)はどうなっているのか調べる機会がありました。 知ってる人には常識かもしれませんが私にはちょっと新鮮なテーマだったのです。
結果から言ってしまうと、最近のトランシーバと直結するのはまずいということのようです。 安全に使うためには「リレーボックス」のようなアダプタを介する必要があります。
以下、なるべく詳しく扱いますのでハードウエア工作(電子回路の工作)に馴染みのないお方でも製作いただけるだろうと思っています。
このBlogは電子回路やその製作に馴染んだ者の視点で書かれています。 執筆者(私・笑)には当たり前のように思えて案外気づかぬ部分はあるものです。 もし何か疑問なところがあったらぜひご質問ください。コメント欄に書くのはちょっと気がかりでしたらメールでどうぞ。
☆
回路や部品について良くおわかりの貴局には在り来たりであまり楽しくはない製作です。 しかし、オペレーション主体のHAM局で、まさにいま「ソレ」を必要としているならかなり役立つでしょう。「シンプルで効果的」そんな実用的な製作です。
【TL-922とIC7300の組み合わせは?】
『IC7300を買ったんだが、TL-922を繋ぐのはちょっとうまくないみたいだね』・・・という会話が切っ掛けでした。
わたしもIC7300は持っていますが、もっぱら移動運用専門に使っています。リニヤアンプをつなごうなどと思ったことはありませんでした。 まして真空管式の機械なんて移動運用にはまったく向きません。(注:移動局は空中線電力50Wまで)
知り合いのOMさんのお話に触発されて調べてみたようなわけです。
IC7300の取説を見ますと、外部機器・・・例えばリニヤアンプとか・・・を制御するためのスタンバイ端子の定格は、耐圧DC16Vで、最大電流200mAとなっています。 電流は案外流せますが、耐圧が16Vとはずいぶん低いのです。
TL-922の取説をKenwoodのサイトからダウンロードしてスタンバイ方法を調べてみました。 それによると、電圧は100Vで電流は40mAとなっています。(左図) 電流はともかくとして、電圧はずいぶん高いですねえ! (100Vと言うのは トランシーバ側の接点がオープンになったとき・・・受信状態のときリニヤのスタンバイ端子に現れる電圧です)
IC7300の取説には回路図がないので、どんな接点(リレーでしょうかねえ?)なのかわかりません。 機械式のリレーではなくて、半導体式の接点だとうまくありませんが、機械式リレーの接点だとすればたぶん直結でも動作はすると思われます。しかし仕様の範囲をオーバーなのは確実!(どうやら半導体スイッチらしい・・・)
直結でもしばらくは耐えられるかもしれませんが、定格オーバーですし、内部のリレー接点が溶着でもしたら修理は厄介そうです。メーカーに出せばそれなりの修理費用はかかるでしょうねえ。 要するにTL-922とIC7300の相性はあまりよくありません。(笑)
注意!:責任を持てませんので「直結」を試みるのはおやめください!
【TL-922の回路研究】
TL-922のスタンバイ回路がなぜ100Vもの電圧を制御する必要があるのか、疑問があったので調べてみました。それにプラスの電圧というのも不思議に感じます。
回路を見ますと、制御用リレーの電源と、受信状態(スタンバイ状態)のとき終段管(3-500Z×2)をカットオフするためのバイアス電源を兼ねているのですね!
無線機側(トランシーバ側)の送受リレーがオフになると、3-500Zのフィラメント回路(GNDから浮いています)にこの+100Vが掛かるようになっています。3-500Zのグリッドは概ねGND電位ですから、相対的に-100Vのカットオフ・バイアスが掛かるのと等価です。球の動作は止まって安全にスタンバイ状態が保てるわけです。なるほど・・・
わたしはてっきり12Vとか、制御しやすい低圧電源を作ってリレーの制御に使っているのだろうと思ってました。 まさかカットオフ・バイアス用の電源とリレー電源を兼ねているとは思いもしませんでした。 まあ、合理的といえばその通りですが、真空管式リグの時代ならともかく、いまどきの半導体式リグにはマッチしていませんね。
【Collins 30-L1の回路研究】
他の管球式リニヤ・アンプはどうなっているのか興味を覚えました。 ネットでCollins の30L-1の回路図を見つけました。
このリニヤは811Aという古臭い三極管を使っています。 回路を見ますと、なんと-170Vという負の高い電圧がスタンバイ端子に出てくるようです。 バイアスはフィラメントに掛けるのではなく、グリッドにマイナス電圧が直接掛かる設計です。 このようにマイナスの高電圧なのですから、IC7300との直結など論外なわけです。
このリニヤでも811A×4のカットオフ・バイアス電源とリレー駆動用の電源は兼用になっています。 30-L1は真空管式のトランシーバ:KWM-2やSライン時代のリニヤですからそれで問題はなく、極めて合理的な設計と言ってよかったのでしょう。
TL-922のリレー制御回路が意外に高電圧なのはこうした昔のリニヤ・アンプの設計を踏襲していたのかもしれませんね。電圧は高くても良いという考え方です。 面白い勉強になりました。
【Relay-Boxを考える・その回路図】
なるほど・・・最近の半導体式リグで昔の真空管リニヤ・アンプの制御は厄介なのですね。
それならば、外部リレーボックスを作ってやり、十分な接点の容量を持ったリレーを介して制御すれば問題解決です。 これで高い電圧や極性を気にすることなく安全にリニヤ・アンプの制御が可能になります。
追加のリレーが入ると送受の切り替えに遅延が加わります。 そのためQSKなオンジエア・・・フル・ブレークインとかAMTORの運用では問題になるかもしれません。
そもそも真空管式のリニヤはQSKなオンジエアには向いていません。 もし使いたいなら半導体を使った高速TRスイッチに交換し、各部の時定数を短くせねばなりません。普通のリニヤはそんなふうにはなっていません。(昔のHAM Journal誌にそうした試みの記事を見たことがあります。JA1DI山口OMだったかな? 何号か忘れた) → (調べました:HJ誌 No.56 pp53〜pp58 リニアアンプに用いたダイオードスイッチ)
しかし、セミ・ブレークインでCWの運用とかPTTでSSBの運用なら支障はないでしょう。 このリレーボックスでの遅延はせいぜい10msくらいでしょうから、たぶんFT-8等のデジタルモードでも大丈夫なはず。(ここで使っているリレーの定格は10ms以内、実力値は4msだそうです・結構早い:ms = ミリ秒 = 1/1000秒のこと)
図のようなごく簡単なリレーボックスで十分行けます。 追加のリレーを駆動するための電源にはDC12Vが得られる小さなACアダプタを使いました。 IC7300のようなリグは12Vで動作していますのでそこからもらっても大丈夫です。 ここではリグの電源系と独立させてスッキリした配線で使えるようACアダプタを使うことにしました。その方が無線機の電源系配線が混乱しません。
リレーボックス用の電源が供給されるとLEDが薄く点灯します。トランシーバが送信状態になるとLEDが明るく点灯するので動作状態のモニタができます。
使用した各部品については以下詳しく説明があります。
【リレーボックスの部品(1)】
リニヤ・アンプ側の電圧が高いので、このリレーボックスのリレー接点を保護する目的でスナバー回路というものが入れてあります。
大きなコンデンサと抵抗器は安全サイドの設計です。 従ってリニヤアンプだけでなく、他の外部機器の制御にも使えます。
モニタ用のLED回路が付けてあります。 リレーボックスに正常に電源が供給されているのか、LED(発光ダイオード)の点灯でわかるようにしてあります。 またトランシーバ(IC-7300,etc)との接続が正しければ送信時にLEDが明るくなります。
このような工夫は機能実現の意味において本質的には不要なものですが、後から追加するようなアダプタの場合、接続が正しいか、動作は正常か、一目でわかるようにしておくことは大変大きな意味があります。まあ、使ってみたらわかりますね。
ここでは青色を使いましたが、LED:D2は何色でも可です。 お好みや手持ちがあればそれ活用してください。
抵抗器:R1はやや大きなものを使っています。酸化金属被膜型の100Ω、3Wです。
抵抗器:R2、R3ですが、手持ちの都合で写真では金属被膜型を使っていますがカーボン型の1/4Wで十分です。3.3kΩと9.1kΩです。
コンデンサ:C1はフィルム型で0.1μF、耐圧AC250Vです。セラミック型でも可です。十分な耐圧があるものを使います。写真のものは安全規格品です。
DC12V電源アダプタを接続するコネクタ、CN3は使用するACアダプタに合わせてください。秋月で売っていた2.1mm標準ジャック・MJ-14を使いました。
リレー:K1はオムロンのG6B-2114P-US-U型(12V用)を使います。端子接続については、のちほど詳しい写真があります。
そのほか、回路を収納するためのケースが必要でしょう。100均のおかず容器など何でも良いので適当なものを用意します。
【リレーボックスの部品(2)】
上記の写真で撮り忘れたものを追加します。
写真上側のダイオードは、リレー:K1のコイルと並列に入るD1です。
写真下側の1S1588など、小信号用ダイオードを使う人もいますが暫くすると壊れることがあります。耐久力の大きな上側のような電源整流用ダイオードがオススメです。写真のものは1N4007ですが、1N4001〜1N4007のどれでも良いです。
写真・下は接続に使うRCAプラグ付のケーブルです。 適当な長さのものを調達します。オーディオ用の標準的なパーツです。 手持ちを使いましたが、リサイクル・ショップなら100円以下で手に入るのではないでしょうか?
両端についているコネクタはRCA型というものです。 そもそも弱電用であり、耐圧があるとも思えませんが昔から使われてきました。 実力的には250Vくらいなら支障はないのでしょう。 アマチュア用機器ですのでコストダウンしているのだと思います。 これはCollinsのリニヤでもおなじRCA型コネクタを使っています。
【リレーボックスの部品(3)】
リレーボックスって言うくらいですから、リレーはもっとも重要な部品です。OMRONのG6B-2114P-US-Uを使いました。
このリレーは通販で入手可能です。まだ幾つか手持ちがあるので必要でしたら送料ご負担いただければ供給します。ご連絡を。
他社のリレーにも使えるものはたくさんあります。 写真のものは密閉型で接点が外気に触れぬため、耐環境性にすぐれたものです。また、駆動電流が小さくて高感度です。有極型リレーの一種ですので、コイル駆動電源の極性には十分注意してください。
リレー:G6B-2114P-US-Uの定格(抜粋):
駆動コイル:DC12V 25mA
接点:AC250V/1.5A、DC30V 1.5A(誘導負荷)
これに限ったものではないので、手持ちがあれば規格を検討してください。 必要な耐電圧があり、十分な電流容量がある接点を持っているリレーならなんでも良いと思います。 リレーに限らず、他の部品にも別の物で代替できるものがありますので手持ちがあったら活用されてください。 作例も手持ちの部品を活用して作っています。
【リレーの中身を知る】
リレーはあまり使われない部品になりつつあります。 中身がよく見えるリレーで構造を説明します。
中身はブラックボックスのように感じるかもしれませんが、内部写真を見れば一目瞭然でしょう。
接点の形式など様々なリレーが存在しますが、基本は電磁石で接点を動かして開閉するスイッチです。 遠隔からリモートで接点を開閉するために使う電機部品です。 多くのメーカーがありますが、オムロンやPanasonic(旧・松下電工)などが有名です。
【実体配線写真・笑】
実体配線図を兼ねる製作例の写真です。
直流回路ですから配線は少々長くなっても支障ありません。 性能も違いませんので作りやすいように製作してOKです。
わたしはリレーや大きなコンデンサを両面粘着テープでケースに固定してしまい、あとは空中配線で組み立てました。 ユニバーサル基板に部品を搭載して配線を引き出す形式でも良いでしょう。
もちろん、オリジナルのプリント基板を製作して体裁よく纏めれば「売り物」にすることも可能です。 お好みのスタイルで製作されてください。 既製品があればハンダ付けが嫌いな(上手でない・笑)人に歓迎されるでしょう。
【IC7300のここにつなぐ】
トランシーバ、IC7300との接続方法です。
ケーブルの先端に赤いプラグがついた方をトランシーバのSEND(送信)端子に接続します。 写真では赤の点線で囲まれたコネクタがそれです。
もちろん、リレーボックスにはDC12Vを供給しておきます。 12Vが供給されるとLED(発光ダイオード)が薄く点灯するでしょう。
トランシーバ:IC7300が送信状態になるとリレーボックスのリレーが動作します。LEDは明るく点灯するはずです。 動作は正常です。
【TL-922はここへつなぐ】
TL-922は所有しておりません。ダウンロードしたメーカ取説の図に接続場所を示しておきます。
ALCアウトのコネクタと間違わぬように接続してください。 隣に並んでいて、同じ種類のコネクタなので接続できてしまいますので・・・。
TL-922はハイパワーです。そのためリレー制御系統の配線を伝わって、高周波がトランシーバに回り込む可能性があります。
その場合は、いわゆる「パッチン・コア」と称するフェライト・コアを無線機とリレーボックスをつなぐケーブルにかませて下さい。 高周波的には鈍感な回路ですから誤動作の恐れはまず無いと思います。 しかし、各局の設置環境にもよるので対策を要することがあります。
これで最近の半導体式リグで旧式な真空管式リニヤアンプを安全にコントロールすることができます。 TL-922とIC7300を例にして説明しましたが、他の組み合わせでも同じように使えます。 なお、トランシーバとリニヤアンプの接続コネクタは変更を要する場合があります。各局で工夫されますように。
☆
少し前のことになるのですが、ローバンド・アンテナの修理・調整が済んだのでテスト電波を出していました。 その声を聞きつけたのでしょう、知り合いのOMさんにコールしていただきました。 近況報告とか久しぶりにラグチューをしていたら、最近アイコムのIC7300を手に入れたと言う話題になりました。 私も移動運用専門に使っていますが、コンパクトでいいリグですよね・・・と言うお話で暫くラグって、ファイナルになりました。
その晩だったと思います。 電話があって「実は前から使っていたTL-922を繋ぎたいのだが・・・そのまま繋ぐのはうまくなさそう」とのお話。「へー、そうなんですか?」と言う会話になりました。 ハードにも造詣の深いOMですからリレーボックスの製作など「ぞうさもない」でしょう。 ですが、私でさえ既に結構な爺さんです。 OMさんはたしか・・・。 と言うことで、若かりしころジャンク部品は頂くは、シャックにお邪魔した挙句、食事まで・・・とか、並々ならぬお世話になったのです。 何かちょっと恩返しでもできたらFBですよね。 それでリレーボックスを引き受けました。 うまく使えてるそうです。 よかった〜(笑)
☆
何か軽い話題と思っていました。 最近のリグと真空管リニヤの組み合わせなんて、ニーズはめったにないでしょう。 このきっかけで、真空管リニヤアンプのスタンバイの仕組みを調べることになり、ちょっと面白いと感じたのでBlogにしました。 あまり役立つ人はいないとは思いますが、雑学とでも思ってご覧いただけたなら幸いです。
リニヤアンプを扱う話題は少々デリケートです。オーバーパワーを推奨する意図はありません。各局は自局ライセンスの範囲で適切に運用されますように。
次回はどんなテーマにしましょうか。もう一息つけるような軽い話題が良いと思っています。 ではまた。 de JA9TTT/1
*このBlogに関して何かご質問とかご要望などあったらコメント欄でお願いします。
この下にある「コメント」の文字をクリックすると入力画面が現れます。
→ご要望など私で可能な範囲で対応いたします。製作依頼はご容赦ください。
参考:公開から2週間を過ぎたBlogに頂いたコメントはすぐには反映されません。(SPAM対策のためです) 確認しだい公開いたしますので少々お待ちを。遠慮なくどうぞ。
(おわり)fm
Introduction
Is it possible to combine a modern amateur radio transceiver with an old valve-based linear amplifier? Whilst this is probably possible, connecting them directly and controlling them in this way may not be safe. I have examined the circuitry of the valve-based linear amplifier. As a result, I have built a device called a ‘relay box’ to enable the two to be used together safely. With this, you should be able to use your modern amateur radio transceiver with the valve-based linear amplifier with complete peace of mind. hi hi(2026.08.28 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【簡単な製作で安心感アップ】
シンプルな回路ですが、シャックにあったら安心なアダプタを製作します。
写真はいまではごくありきたりの半導体を使ったHAM用トランシーバで真空管式のリニヤアンプを制御するためのアダプタです。これでトランシーバのスタンバイ・リレーを傷めることなく安心してリニヤアンプの送受信コントロールができます。
経緯は後ほど書きますが、ひょんなことから、メーカー製・真空管式リニヤアンプのスタンバイ回路(送受制御回路)はどうなっているのか調べる機会がありました。 知ってる人には常識かもしれませんが私にはちょっと新鮮なテーマだったのです。
結果から言ってしまうと、最近のトランシーバと直結するのはまずいということのようです。 安全に使うためには「リレーボックス」のようなアダプタを介する必要があります。
以下、なるべく詳しく扱いますのでハードウエア工作(電子回路の工作)に馴染みのないお方でも製作いただけるだろうと思っています。
このBlogは電子回路やその製作に馴染んだ者の視点で書かれています。 執筆者(私・笑)には当たり前のように思えて案外気づかぬ部分はあるものです。 もし何か疑問なところがあったらぜひご質問ください。コメント欄に書くのはちょっと気がかりでしたらメールでどうぞ。
☆
回路や部品について良くおわかりの貴局には在り来たりであまり楽しくはない製作です。 しかし、オペレーション主体のHAM局で、まさにいま「ソレ」を必要としているならかなり役立つでしょう。「シンプルで効果的」そんな実用的な製作です。
【TL-922とIC7300の組み合わせは?】
『IC7300を買ったんだが、TL-922を繋ぐのはちょっとうまくないみたいだね』・・・という会話が切っ掛けでした。
わたしもIC7300は持っていますが、もっぱら移動運用専門に使っています。リニヤアンプをつなごうなどと思ったことはありませんでした。 まして真空管式の機械なんて移動運用にはまったく向きません。(注:移動局は空中線電力50Wまで)
知り合いのOMさんのお話に触発されて調べてみたようなわけです。
IC7300の取説を見ますと、外部機器・・・例えばリニヤアンプとか・・・を制御するためのスタンバイ端子の定格は、耐圧DC16Vで、最大電流200mAとなっています。 電流は案外流せますが、耐圧が16Vとはずいぶん低いのです。
TL-922の取説をKenwoodのサイトからダウンロードしてスタンバイ方法を調べてみました。 それによると、電圧は100Vで電流は40mAとなっています。(左図) 電流はともかくとして、電圧はずいぶん高いですねえ! (100Vと言うのは トランシーバ側の接点がオープンになったとき・・・受信状態のときリニヤのスタンバイ端子に現れる電圧です)
IC7300の取説には回路図がないので、どんな接点(リレーでしょうかねえ?)なのかわかりません。 機械式のリレーではなくて、半導体式の接点だとうまくありませんが、機械式リレーの接点だとすればたぶん直結でも動作はすると思われます。しかし仕様の範囲をオーバーなのは確実!(どうやら半導体スイッチらしい・・・)
直結でもしばらくは耐えられるかもしれませんが、定格オーバーですし、内部のリレー接点が溶着でもしたら修理は厄介そうです。メーカーに出せばそれなりの修理費用はかかるでしょうねえ。 要するにTL-922とIC7300の相性はあまりよくありません。(笑)
注意!:責任を持てませんので「直結」を試みるのはおやめください!
【TL-922の回路研究】
TL-922のスタンバイ回路がなぜ100Vもの電圧を制御する必要があるのか、疑問があったので調べてみました。それにプラスの電圧というのも不思議に感じます。
回路を見ますと、制御用リレーの電源と、受信状態(スタンバイ状態)のとき終段管(3-500Z×2)をカットオフするためのバイアス電源を兼ねているのですね!
無線機側(トランシーバ側)の送受リレーがオフになると、3-500Zのフィラメント回路(GNDから浮いています)にこの+100Vが掛かるようになっています。3-500Zのグリッドは概ねGND電位ですから、相対的に-100Vのカットオフ・バイアスが掛かるのと等価です。球の動作は止まって安全にスタンバイ状態が保てるわけです。なるほど・・・
わたしはてっきり12Vとか、制御しやすい低圧電源を作ってリレーの制御に使っているのだろうと思ってました。 まさかカットオフ・バイアス用の電源とリレー電源を兼ねているとは思いもしませんでした。 まあ、合理的といえばその通りですが、真空管式リグの時代ならともかく、いまどきの半導体式リグにはマッチしていませんね。
【Collins 30-L1の回路研究】
他の管球式リニヤ・アンプはどうなっているのか興味を覚えました。 ネットでCollins の30L-1の回路図を見つけました。
このリニヤは811Aという古臭い三極管を使っています。 回路を見ますと、なんと-170Vという負の高い電圧がスタンバイ端子に出てくるようです。 バイアスはフィラメントに掛けるのではなく、グリッドにマイナス電圧が直接掛かる設計です。 このようにマイナスの高電圧なのですから、IC7300との直結など論外なわけです。
このリニヤでも811A×4のカットオフ・バイアス電源とリレー駆動用の電源は兼用になっています。 30-L1は真空管式のトランシーバ:KWM-2やSライン時代のリニヤですからそれで問題はなく、極めて合理的な設計と言ってよかったのでしょう。
TL-922のリレー制御回路が意外に高電圧なのはこうした昔のリニヤ・アンプの設計を踏襲していたのかもしれませんね。電圧は高くても良いという考え方です。 面白い勉強になりました。
【Relay-Boxを考える・その回路図】
なるほど・・・最近の半導体式リグで昔の真空管リニヤ・アンプの制御は厄介なのですね。
それならば、外部リレーボックスを作ってやり、十分な接点の容量を持ったリレーを介して制御すれば問題解決です。 これで高い電圧や極性を気にすることなく安全にリニヤ・アンプの制御が可能になります。
追加のリレーが入ると送受の切り替えに遅延が加わります。 そのためQSKなオンジエア・・・フル・ブレークインとかAMTORの運用では問題になるかもしれません。
そもそも真空管式のリニヤはQSKなオンジエアには向いていません。 もし使いたいなら半導体を使った高速TRスイッチに交換し、各部の時定数を短くせねばなりません。普通のリニヤはそんなふうにはなっていません。(昔のHAM Journal誌にそうした試みの記事を見たことがあります。JA1DI山口OMだったかな? 何号か忘れた) → (調べました:HJ誌 No.56 pp53〜pp58 リニアアンプに用いたダイオードスイッチ)
しかし、セミ・ブレークインでCWの運用とかPTTでSSBの運用なら支障はないでしょう。 このリレーボックスでの遅延はせいぜい10msくらいでしょうから、たぶんFT-8等のデジタルモードでも大丈夫なはず。(ここで使っているリレーの定格は10ms以内、実力値は4msだそうです・結構早い:ms = ミリ秒 = 1/1000秒のこと)
図のようなごく簡単なリレーボックスで十分行けます。 追加のリレーを駆動するための電源にはDC12Vが得られる小さなACアダプタを使いました。 IC7300のようなリグは12Vで動作していますのでそこからもらっても大丈夫です。 ここではリグの電源系と独立させてスッキリした配線で使えるようACアダプタを使うことにしました。その方が無線機の電源系配線が混乱しません。
リレーボックス用の電源が供給されるとLEDが薄く点灯します。トランシーバが送信状態になるとLEDが明るく点灯するので動作状態のモニタができます。
使用した各部品については以下詳しく説明があります。
【リレーボックスの部品(1)】
リニヤ・アンプ側の電圧が高いので、このリレーボックスのリレー接点を保護する目的でスナバー回路というものが入れてあります。
大きなコンデンサと抵抗器は安全サイドの設計です。 従ってリニヤアンプだけでなく、他の外部機器の制御にも使えます。
モニタ用のLED回路が付けてあります。 リレーボックスに正常に電源が供給されているのか、LED(発光ダイオード)の点灯でわかるようにしてあります。 またトランシーバ(IC-7300,etc)との接続が正しければ送信時にLEDが明るくなります。
このような工夫は機能実現の意味において本質的には不要なものですが、後から追加するようなアダプタの場合、接続が正しいか、動作は正常か、一目でわかるようにしておくことは大変大きな意味があります。まあ、使ってみたらわかりますね。
ここでは青色を使いましたが、LED:D2は何色でも可です。 お好みや手持ちがあればそれ活用してください。
抵抗器:R1はやや大きなものを使っています。酸化金属被膜型の100Ω、3Wです。
抵抗器:R2、R3ですが、手持ちの都合で写真では金属被膜型を使っていますがカーボン型の1/4Wで十分です。3.3kΩと9.1kΩです。
コンデンサ:C1はフィルム型で0.1μF、耐圧AC250Vです。セラミック型でも可です。十分な耐圧があるものを使います。写真のものは安全規格品です。
DC12V電源アダプタを接続するコネクタ、CN3は使用するACアダプタに合わせてください。秋月で売っていた2.1mm標準ジャック・MJ-14を使いました。
リレー:K1はオムロンのG6B-2114P-US-U型(12V用)を使います。端子接続については、のちほど詳しい写真があります。
そのほか、回路を収納するためのケースが必要でしょう。100均のおかず容器など何でも良いので適当なものを用意します。
【リレーボックスの部品(2)】
上記の写真で撮り忘れたものを追加します。
写真上側のダイオードは、リレー:K1のコイルと並列に入るD1です。
写真下側の1S1588など、小信号用ダイオードを使う人もいますが暫くすると壊れることがあります。耐久力の大きな上側のような電源整流用ダイオードがオススメです。写真のものは1N4007ですが、1N4001〜1N4007のどれでも良いです。
写真・下は接続に使うRCAプラグ付のケーブルです。 適当な長さのものを調達します。オーディオ用の標準的なパーツです。 手持ちを使いましたが、リサイクル・ショップなら100円以下で手に入るのではないでしょうか?
両端についているコネクタはRCA型というものです。 そもそも弱電用であり、耐圧があるとも思えませんが昔から使われてきました。 実力的には250Vくらいなら支障はないのでしょう。 アマチュア用機器ですのでコストダウンしているのだと思います。 これはCollinsのリニヤでもおなじRCA型コネクタを使っています。
【リレーボックスの部品(3)】
リレーボックスって言うくらいですから、リレーはもっとも重要な部品です。OMRONのG6B-2114P-US-Uを使いました。
このリレーは通販で入手可能です。まだ幾つか手持ちがあるので必要でしたら送料ご負担いただければ供給します。ご連絡を。
他社のリレーにも使えるものはたくさんあります。 写真のものは密閉型で接点が外気に触れぬため、耐環境性にすぐれたものです。また、駆動電流が小さくて高感度です。有極型リレーの一種ですので、コイル駆動電源の極性には十分注意してください。
リレー:G6B-2114P-US-Uの定格(抜粋):
駆動コイル:DC12V 25mA
接点:AC250V/1.5A、DC30V 1.5A(誘導負荷)
これに限ったものではないので、手持ちがあれば規格を検討してください。 必要な耐電圧があり、十分な電流容量がある接点を持っているリレーならなんでも良いと思います。 リレーに限らず、他の部品にも別の物で代替できるものがありますので手持ちがあったら活用されてください。 作例も手持ちの部品を活用して作っています。
【リレーの中身を知る】
リレーはあまり使われない部品になりつつあります。 中身がよく見えるリレーで構造を説明します。
中身はブラックボックスのように感じるかもしれませんが、内部写真を見れば一目瞭然でしょう。
接点の形式など様々なリレーが存在しますが、基本は電磁石で接点を動かして開閉するスイッチです。 遠隔からリモートで接点を開閉するために使う電機部品です。 多くのメーカーがありますが、オムロンやPanasonic(旧・松下電工)などが有名です。
【実体配線写真・笑】
実体配線図を兼ねる製作例の写真です。
直流回路ですから配線は少々長くなっても支障ありません。 性能も違いませんので作りやすいように製作してOKです。
わたしはリレーや大きなコンデンサを両面粘着テープでケースに固定してしまい、あとは空中配線で組み立てました。 ユニバーサル基板に部品を搭載して配線を引き出す形式でも良いでしょう。
もちろん、オリジナルのプリント基板を製作して体裁よく纏めれば「売り物」にすることも可能です。 お好みのスタイルで製作されてください。 既製品があればハンダ付けが嫌いな(上手でない・笑)人に歓迎されるでしょう。
【IC7300のここにつなぐ】
トランシーバ、IC7300との接続方法です。
ケーブルの先端に赤いプラグがついた方をトランシーバのSEND(送信)端子に接続します。 写真では赤の点線で囲まれたコネクタがそれです。
もちろん、リレーボックスにはDC12Vを供給しておきます。 12Vが供給されるとLED(発光ダイオード)が薄く点灯するでしょう。
トランシーバ:IC7300が送信状態になるとリレーボックスのリレーが動作します。LEDは明るく点灯するはずです。 動作は正常です。
【TL-922はここへつなぐ】
TL-922は所有しておりません。ダウンロードしたメーカ取説の図に接続場所を示しておきます。
ALCアウトのコネクタと間違わぬように接続してください。 隣に並んでいて、同じ種類のコネクタなので接続できてしまいますので・・・。
TL-922はハイパワーです。そのためリレー制御系統の配線を伝わって、高周波がトランシーバに回り込む可能性があります。
その場合は、いわゆる「パッチン・コア」と称するフェライト・コアを無線機とリレーボックスをつなぐケーブルにかませて下さい。 高周波的には鈍感な回路ですから誤動作の恐れはまず無いと思います。 しかし、各局の設置環境にもよるので対策を要することがあります。
これで最近の半導体式リグで旧式な真空管式リニヤアンプを安全にコントロールすることができます。 TL-922とIC7300を例にして説明しましたが、他の組み合わせでも同じように使えます。 なお、トランシーバとリニヤアンプの接続コネクタは変更を要する場合があります。各局で工夫されますように。
☆
少し前のことになるのですが、ローバンド・アンテナの修理・調整が済んだのでテスト電波を出していました。 その声を聞きつけたのでしょう、知り合いのOMさんにコールしていただきました。 近況報告とか久しぶりにラグチューをしていたら、最近アイコムのIC7300を手に入れたと言う話題になりました。 私も移動運用専門に使っていますが、コンパクトでいいリグですよね・・・と言うお話で暫くラグって、ファイナルになりました。
その晩だったと思います。 電話があって「実は前から使っていたTL-922を繋ぎたいのだが・・・そのまま繋ぐのはうまくなさそう」とのお話。「へー、そうなんですか?」と言う会話になりました。 ハードにも造詣の深いOMですからリレーボックスの製作など「ぞうさもない」でしょう。 ですが、私でさえ既に結構な爺さんです。 OMさんはたしか・・・。 と言うことで、若かりしころジャンク部品は頂くは、シャックにお邪魔した挙句、食事まで・・・とか、並々ならぬお世話になったのです。 何かちょっと恩返しでもできたらFBですよね。 それでリレーボックスを引き受けました。 うまく使えてるそうです。 よかった〜(笑)
☆
何か軽い話題と思っていました。 最近のリグと真空管リニヤの組み合わせなんて、ニーズはめったにないでしょう。 このきっかけで、真空管リニヤアンプのスタンバイの仕組みを調べることになり、ちょっと面白いと感じたのでBlogにしました。 あまり役立つ人はいないとは思いますが、雑学とでも思ってご覧いただけたなら幸いです。
リニヤアンプを扱う話題は少々デリケートです。オーバーパワーを推奨する意図はありません。各局は自局ライセンスの範囲で適切に運用されますように。
次回はどんなテーマにしましょうか。もう一息つけるような軽い話題が良いと思っています。 ではまた。 de JA9TTT/1
*このBlogに関して何かご質問とかご要望などあったらコメント欄でお願いします。
この下にある「コメント」の文字をクリックすると入力画面が現れます。
→ご要望など私で可能な範囲で対応いたします。製作依頼はご容赦ください。
参考:公開から2週間を過ぎたBlogに頂いたコメントはすぐには反映されません。(SPAM対策のためです) 確認しだい公開いたしますので少々お待ちを。遠慮なくどうぞ。
(おわり)fm
登録:
投稿 (Atom)
















































