2026年8月13日木曜日

【回路】Crystal Oscillators (3) , It's practical !

実用・水晶発振器・3(その3:ピアースG-DとG-S)

Introduction
I am testing Pierce crystal oscillators using field-effect transistors (FETs). Pierce oscillator circuits come in two types: gate-drain (G-D) and gate-source (G-S). The Pierce G-S oscillator performs well at the fundamental frequency of the crystal. However, the Pierce G-D-type oscillator proved to be more advantageous at the overtone frequencies of the crystal. Both types include an LC tuned circuit on the drain side. Therefore, the coil is a critical component. This blog features instructions for winding coils suitable for LC tuned circuits ranging from 1 MHz to 100 MHz.(2026.08.13 de JA9TTT/1 Takahiro Kato) 

【7mm角のRFコイル】
 実用的な水晶発振器を検討しています。前回のBlog(←リンク)ではデジタルICを使った発振回路でしたが、今回は再びディスクリート・デバイス、FET(電界効果トランジスタ)を使います。

 ただし回路にLC同調回路を持つ形式です。 発振波形がきれいで発振そのものも容易ですが、LC回路という周波数特性を持つデバイスが新たに加わることになります。 そのためLC回路の特性が重要になってきます。

 LC同調回路では特にインダクタ(コイル:L)が重要です。市販の既製品が乏しいので自身で製作する必要があるからです。今回はコイルがキーポイントになるでしょう。
 まずは発振回路とそのテスト結果をまとめたあと、実際に使ったコイル(写真)について製作情報をまとめました。これは自身が発振器を製作するための基礎的なデータです。もし類似の回路を作ろうと思うなら参考事例の一つとされてください。

◎忙しい人のためのまとめ:
ピアースG-D型、ピアースG-S型のいずれの水晶発振回路も良好に発振します。傾向として低い周波数の基本波発振ではG-S型がやや有利です。またオーバートーン発振にはG-D型が向いています。いずれも同調コイルの調整がキーポイントです。そのコイル製作も肝心で、1MHz〜100MHzの発振器に使えるコイルの製作事例が後半にあります。

                   ☆

 前回のデジタルICによる発振器はともかくとして「無調整型発振器」で良い発振波形・・・きれいな正弦波を得るのは難しいものです。 無調整型は周波数選択性を持たない広帯域アンプを使うため、調整のわずらしさがない反面、発生してしまった不要波はそのままそっくり出力されます。

 調整の煩わしさはあっても「信号のきれいさ」を求めるとLC同調回路を持った回路にメリットがあります。特に通信機ではスプリアスが少なくローノイズな発振器が高性能の決め手です。できるだけ良い発振器が求められます。 以下、いくつか例を示して検討して行きます。

                  ー・・・ー

 発振回路にしぼった話題なんてあんまり興味を持てないでしょうか? それに発振モジュールの時代ですから既に発振器そのものが馴染みのない回路になっているのかもしれません。 水晶発振器はシンプルな無線機だけでなく高性能な通信機の決め手となる重要な回路です。 幸い、肝心の水晶発振子は高性能な既製品が安価で大量に出回っています。 そうした水晶発振子を活かして発振器が上手に作れれば他と一味違う自作機が実現できるだろうと思っています。 それに優秀な電子部品(水晶発振子)をみすみす見逃してしまっては勿体ないですからね。

【ピアースG-D型水晶発振器】
 水晶発振子がFET(電界効果トランジスタ)のゲート:Gとドレイン:Dの間に入っている発振回路です。発振回路としてはコルピッツ型と等価なものです。

 この回路は発振させやすくて失敗が少ないのがメリットでしょう。 ただし、周波数が低く、LC同調回路の共振インピーダンスが高くなりがちな低い周波数では、FETアンプのゲインが過剰になりやすい傾向があります。

 今回のテストでも5MHz以下では水晶発振子の副共振と思われる周波数で発振してしまうといった異常発振が認められました。 対処方法としてはLC同調回路のインダクタンスを小さくして、コンデンサの容量を大きくすると効果的です。 High-C、Low-Lな共振回路、すなわち共振インピーダンスを意識的に下げるわけです。

 そのような注意はありますが、水晶発振子の基本波による発振だけでなくオーバートーン発振も容易に可能です。 ドレイン側のLC同調回路を水晶発振子の奇数次高調波の周波数・・・3倍、5倍、7倍とかに合わせるだけでオーバートーン発振のモードになります。(それだけに、うっかりするとオーバートーン発振になってしまう危険もある訳ですが・・・)

 ほとんどの水晶発振子で3次のオーバートーン発振が可能で、半数近くは5次でも発振します。高次のオーバートーン発振が可能か否かは主に発振子の性能に依存します。もちろんゲインの大きなFET・・・トランスコンダクタンス:gmが大きなFETが有利です。

 左図の下段は1〜30MHzの基本波水晶の発振データと、15〜90MHzまでのオーバートーン発振のデータをまとめた一覧です。
 それぞれ回路定数、使用したコイル、得られた発振の大きさ、消費電流がまとめてあります。 また、発振の起動が可能な最低電源電圧が求めてありますが、これは電源電圧9V以下で使う際の参考用です。 なお、使用コイルについては後ほど別項を設けてまとめてあります。

【ピアースG-Dを試作する】
 写真は基本波周波数が30MHzの水晶発振子を使って30MHzを発振させている様子です。

 このテストでは標準・基準となる増幅素子として2SK241GRを使いました。 高周波用のトランジスタ(RF-BJT)よりも扱いやすく周辺部品の数が少ないからです。そのためコンパクトに組めます。コンパクトさは高周波回路において有利にはたらきます。

 ドレインに入っているLC同調回路の調整が必須です。 コイルのコアの調整で発振状態を最適化します。 ピアースG-D型はコルピッツ型発振器と等価ですから、ゲート側、ドレイン側ともにキャパシティブなとき発振が起こります。

 この製作例ではコイルのインダクタンスを加減する形式です。
 LC同調回路の共振周波数が高くなる方向に(インダクタンスが減る方向に)コアを調整して行き、LCの共振周波数が水晶の直列共振点:fsより高くなると発振が始まります。 逆に、コアを低い共振周波数の方向へ(インダクタンスが増える方向へ)回して行くとfsを下回った周波数で発振が急停止します。

 実際に作ってコアを加減してみると発振開始と停止の感触が体感できます。 調整はかならず変化が急峻ではない側にて終了します。(のちほど図を使った説明があります)

【ピアースG-Dの発振波形】
 上記テスト回路の発振状態を観測しています。 観測点は負荷抵抗:10kΩの両端です。

 LC同調回路を持つことから、きれいな発振波形が得られています。 現在は製作可能な水晶の基本波周波数が高くなっており、HF帯のコンバータ回路などには有利です。

 以前は20MHz以上が必要なら低い周波数で発振させてから逓倍で得ていました。今では一発で高い周波数が得られますから回路が簡単になり、スプリアスの点でも有利です。 それ以上の周波数ではオーバートーン発振を検討してみる必要があります。

 なお、水晶メーカーの弁によれば200MHz以上の基本波水晶発振子も製作可能だそうです。しかし今のところ30MHzあたりまでが我々アマチュアには入手容易な範囲と思います。その上限あたりまでテストしておきました。

【ピアースG-Dの消費電流】
 消費電流を観測しています。

 ドレイン側LC同調回路の調整によって発振状態に変化があるので、伴って消費電流も変動します。

 発振振幅が大きくなるとゲート側のダイオードによって整流されて(検波されて)発生する負のバイアス電圧が大きくなります。
 その結果、FETのゲートに負のバイアス電圧が掛かってドレイン電流を抑止する方向に働きます。

 ドレイン電流の状態を監視することで発振状態のモニタになります。ドレイン電流を観測する意味があるわけです。

                   ☆

 上記のピアースG-D型水晶発振器は幅広い周波数で活躍が可能です。 もし万能であるなら、以下のピアースG-S型水晶発振回路の実験は必要ありませんでした。 しかし低い周波数での発振状態にやや疑問を(難しさを)感じたので追加で別の回路をテストしました。

【ピアースG-S型水晶発振器】
 水晶発振子がFET(電界効果トランジスタ)のゲート:Gとソース:Sの間に入っている発振回路です。発振回路としてはハートレー型と等価なものです。

 ゲート:Gとドレイン:Dの間には適度な帰還容量(キャパシタンス)が必要です。回路図のC1がそのコンデンサです。
 特に2SK241のようにCrssが小さなFETではC1がないと低い周波数では発振できません。 2SK19のようにCrssが大きいFETではなくてもたいてい発振します。もちろん発振の確実性のためには数pF入れておく意味があります。

 また、発振状態のコントロールにはソース・GND間のセルフ・バイアス抵抗とその抵抗器と並列になるコンデンサ:C3の存在が重要でした。 多少回路は複雑になりますが、ピアースG-D型の問題を解決する意味からこの回路では部品を追加して実験しています。

 オーバートーン発振においてはピアースG-D型の方が発振容易で確実そうでしたので、このピアースG-S型は主に基本波発振でテストしています。

 低い周波数帯では発振状態が安定している印象があるので採用する意味があります。 部品定数を選べば30MHzまで発振は可能ですから一般的な基本波水晶発振回路として使うのも良いと思います。オススメの回路です。

【ピアースG-Sを試作する】
 このテストでも標準・基準の増幅素子として2SK241GRを使いました。 また主に基本波発振でテストしました。

 ただし、それ以外の可能性を確かめておく必要から、別の増幅素子(FET)やオーバートン発振についてもテストしています。

 写真はその一例で、FETにはモトローラの3N201を使い、5.12MHz(基本波)の水晶発振子で3rdオーバートン発振させ15.36MHzを得ています。

 もちろん基本波発振で十分な性能が得られていますが、オーバートーン発振の適性もあるわけです。 ピアースG-Dで行き詰った時はテストすべき回路だと思います。

 この発振回路でもドレインに入っている同調回路の調整は必須です。 コイルのコアの調整で発振状態を最適化します。 ピアースG-S型はハートレー型発振器と等価ですからドレイン側はインダクティブなときに発振が起こります。

 写真の製作例もコイルのインダクタンスを加減する形式です。
 LC同調回路の共振周波数が低くなる方向に(インダクタンスが増える方向に)コアを調整して行き、LCの共振周波数が水晶の直列共振点:fsより低くなると発振が始まります。
 逆に、コアを高い共振周波数の方向へ(インダクタンスが減る方向へ)回して行くと発振はピークを迎え、その後fsを上回った周波数で発振振幅が低下し続いて発振は急停止します。 要するにピアースG-D型とはコアの動きに対して真逆の変化が起こるわけです。

 同じく実際に作ってコアを加減してみると発振開始と停止の感触が体感できます。 調整はかならず変化が急峻ではない側にて終了するようにします。(のちほど図を使った説明があります)

【ピアースG-Sの発振波形】
 テストに使ったモトローラのFET:3N201はデュアル・ゲートMOS-FETです。そのG1とG2を結んでシングルゲートのように使うとgmが低めになります。

 この例のようにやや不利なデバイスでも十分な発振が可能なので、幅広いデバイス(FET)で共通に使える回路です。

 やはり最初にテストしたピアースG-Dの方が悪条件でも発振容易な傾向にありますが、選択肢の一つとしてピアースG-S型も覚えておくと良さそうです。 数MHzと言った低い周波数の発振では扱いやすさ(発振状態)に安心感のようなものがあって、悪くない発振回路だと思います。

                   ☆

 続いて再びピアースG-D型水晶発振器に戻って、ただしオーバートーン発振器に特化して増幅素子:FETの違いについて比較テストします。

【ピアース・オーバートーンでFET比較】
 発振回路としては最初の実験回路:ピアースG-D回路とまったくおなじですから目新しさはありません。

 同じ回路定数のまま、FETのみ交換してテストします。 もちろん、FETによってゲート・ドレイン間の帰還容量やドレイン・ソース間などの電極間容量には違いがあります。

 従ってFETを単に差し替えただけでは発振が起動しなかったり最適な発振状態にはならないことがあります。必ずドレイン側のLC同調回路を調整しなくてはなりません。

 そのような調整を行なって概ね最適な発振状態になったときの発振振幅:Voscと消費電流:Iddをまとめて一覧表にしてあります。

 一覧の左側は基本波周波数が27MHzの水晶発振子をオーバートン発振させて81MHzを得るテストの結果です。81MHzはブレッドボードでの製作では上限周波数に近いため発振は難しくなる傾向があります。 しかしRF(高周波)用のFETでしたらいずれでも発振可能でした。

 ブレッドボードでの限界を極めるのも悪くないものの、もう少し実用的な周波数である60MHzでもテストしました。20MHzのHC-49/USを使い3rdオーバートーン発振で60MHzを得ます。 このテストでもほとんどのRF用FETで発振可能でした。

 トランスコンダクタンス:gmが小さいFETでは発振が弱く、また内部カスコード型のJ-FETやMOS-FETでもIdssが小さなランク品では発振は弱い傾向にあります。 かなずしも強い発振をすれば良いわけではなく、発振の強さは必要とする目的にマッチしていれば十分です。 従ってかなり幅広いFETでオーバートーン発振は可能ですから、あとは適材適所で使えば良いでしょう。

 60MHzで発振できなかった2SK125-5ですがIdssが特に大きなデバイスです。 60MHzで良くなかったのは電源投入時にゼロバイアスのためガバッと電流が流れR2で大きく電圧降下してしまうためでしょう。水晶発振子のアクティビティなどの関係もあって60MHzでは発振起動できなかったものと思われます。
 FETの特性と回路がマッチしていないのが原因です。対策として、ソースとGND間に抵抗を入れセルフバイアスを掛け起動時の電流を抑えてやれば良いはずです。
 他のFETとの比較の意味であえて回路変更はしませんでしたが、回路側の対応で発振可能になります。2SK125はgmが大きくて優秀なFETですから使い方の最適化で十分使えるわけです。

【17種類のFET】
 テストしたFETを並べてみました。 上段の左から右方向へ始めて、そのあと下段の左端から右方向へテストしています。
 こんな説明に意味はありませんでしたね。要するに手持ちから適当にRF用FETを手当たり次第試したわけです。(笑)

 面実装品のテストは回路の作り替えになってしまうので別の機会に譲りました。 TO-92パッケージ型のデバイスを主体にテストしています。

 拙宅の在庫事情を反映したチョイスですので貴方の手持ちとは合わないかもしれません。 回路はシンプルです。簡単に試せるので手持ちのFETが一覧に無いようでしたら是非ご自身でもテストしてみてください。思わぬデバイス(FET)が好成績を示すことがあって用途の幅が広がります。

【このBlogでよく使うFETのピン配置】
 項目タイトルの通り、このBlogによく登場する小信号用RF-FETのピン接続です。 ほかにオーディオ系の小信号用FETが多数存在しますが省略しています。

つまらない図ですが意外に便利です。(個人の感想です・笑)

注:同じピン配置のFETを並べているだけなので互換性があるわけではありません。足の並びが同じというだけです。性能や特性は違うので注意してください。

【ピアースG-Dオーバートーンで81MHzを発振】
 ピアースG-D型オーバートーン水晶発振回路をテストしている様子です。

 基本波の周波数が27MHzのHC-49/U型水晶発振子を使って3rdオーバートーン発振させています。
 ドレイン側の同調回路は777M-No.0というコイルを使っています。このコイルについては後ほど構造の詳細説明があります。

 テストしたどのFETでも良く発振しましたが、ドレインのLC同調回路は個々に調整が必要です。 調整方法はFETが異なってもまったく同じで、既述の通りです。

 周波数が高いので、ゲート:GとGND間の容量:C1は省いています。 ブレッドボードには3pF程度の分布容量が存在することに留意します。 もし回路を基板化するなら小容量を追加する必要があります。容量不足だと発振が弱くなる傾向があります。言うまでもないことですが控えめの容量が好ましくて、大きすぎてもダメです。

【ピアースG-Dオーバートーンの81MHz発振波形】
 基本となる2SK241GRで発振させている時の観測波形です。負荷抵抗:RL=10kΩの両端で観測しています。

 同じ回路定数、特に同じコイルを使っていてもFETが異なれば得られる発振出力には違いが見られます。

 必要とする出力電圧に応じてFETを変えるもの手ですが、コイルの1次:2次の巻き数比を変更する方法もあります。
 手持ちのFETで間に合わせるならコイルの検討も必要になります。 検討のための基礎データとして実測結果を役立てるつもりです。

【ピアースG-Dオーバートーンで60MHzを発振】
 引き続きピアースG-D型オーバートーン水晶発振回路をテストします。

 基本波の周波数が20MHzのHC-49/US型水晶発振子を使って3rdオーバートーン発振させています。
 ドレイン側の同調回路は777M-No.6というコイルを使っています。周波数が低くなるのでNo.0コイルよりもインダクタンスが大きいコイルです。このコイルについても後ほど構造の詳細説明があります。

 テストしたどのFETでも良く発振しましたが、ドレインのLC同調回路は個々に調整が必要です。 調整方法はFETが異なってもまったく同じで、既述の通りです。 2SK125が60MHzで旨くなかった理由は既述しました。

 ゲート:GとGND間の容量:C1を省いています。 ブレッドボードには3pF程度の分布容量が存在しますから実質3pF程度が入っていることになります。なお、60MHzの発振では実質3pFの容量ではやや少ないようです。5〜8pFが適当です。

【ピアースG-Dオーバートーンの60MHz発振波形】
 まずは2SK241GRで発振させている時の観測波形です。負荷抵抗:RL=10kΩの両端で観測しています。

 60MHzと周波数が低くなることから「発振しやすさ」と言った回路実現の容易さは向上していると思います。
 体感的には81MHzとの差は感じませんでしたが、無造作に作っても成功しやすくなっているはずです。

 60MHzという周波数はDDS発振器のクロック発振として使えるほか、例えば50MHzのクリスタル・コンバータなどの用途もありそうです。

 ここで使った20MHz(HC-49/US)の発振子は一時期デジタル機器共通のクロック周波数のようになっていました。 従って今でも20MHzの水晶発振子は入手容易でしょう。

 3次オーバートーンで60MHzが、5次オーバートーンで100MHzが得られます。

:3次はどれでも大丈夫ですが、5次以上のオーバートーン発振が可能か否かは水晶発振子個々の特性に依存します。 できるだけ3次オーバートーンで済ませるのが賢明です。 高次OTが上手く行かないときは発振子を交換すると簡単に解決することもあります。

                   ☆

 今回の水晶発振回路はLC同調回路を持っている関係で、コイルは重要部品です。 コイルは必要なものが簡単に既製品で得られる訳でもないため自作しなくてはなりませんでした。 コイル巻きは好まれませんが仕方ありません。 以下にこの実験のために製作したコイルの製作方法とその仕様をまとめておきました。

【7mm角のRFコイル群】
 コイルを巻くためには素材が必要です。 今回は2種類の素材を使いました。

 Aグループで使ったコイルは、自作アマチュアではおなじみの溝付き7mm角のコイル・ボビンです。巻き易いので製作に便利ですが、たくさん巻けないので大きなインダクタンスが必要なコイルには向いていません。従って高い周波数で使うコイルの製作に使いました。現在は入手性があまり良くないかも知れませんが、過去にずいぶん出回ったので手に入る可能性は高いでしょう。

 もう一つはBグループで使ったコイルで、これはOMさんにいただいたものです。2024年7月ころこのBlogを通じて配布した残りを使いました。同年のHAMフェアでも配布があったので入手された人もあるでしょう。詳細はそれ専用のBlog(←リンク)をご覧頂くとして簡単に説明します。
 コア材の透磁率μが大きくて、少ない巻き数で大きめのインダクタンスが得られます。従って低い周波数に向いたコイルが作り易いです。今回は自身でたくさん作ってみたのでこのコイル素材の有用性が検証できました。なかなか良い素材だと思います。(なお、コア材の周波数特性が延びていないため高い周波数には向きません)

 このように使い分けることで実験に必要な1MHz〜100MHzの範囲で使えるコイル群を製作しています。全部で14個になりました。ブレッドボード装着用の変換基板はJR2FNK鶴田さん製作のものを使わせて頂きました。ありがとうございます。

 なお、ここで使ったようなコイル素材の入手が困難なようでしたら、AMIDONのトロイダル・コアとトリマ・コンデンサの組み合わせでLC同調回路を実現してください。Blog内の参考リンクは→こちら

【RFコイルの製作情報】
 左表はコイルの巻き方と、巻いたコイルの電気的な特性の実測結果をまとめたものです。

 何も名前がないと使う際に間違い易いので便宜的に「FCZ7-XX」と言った型番を付けたものがあります。これらはFCZコイルと類似ですが、2次巻線の回数が大幅に少なくしてあります。同型番の(本物の)FCZコイルの互換品ではないので注意してください。
 本物のFCZコイルも発振回路に使えるのはもちろんですが、2次側巻線の巻数が異なるので出力電圧も大きく異なります。

 No.8の「Original(Y)」と称するコイルは、Bグループの素材の一つをそのまま活かしたものです。USF 08 T2と捺印のある黄色コアのバイファイラ巻きコイルの1次側をそのまま使い、初めから存在しなかった2次側巻線を3回巻きで追加しました。

 No.9とNo.10は同じものです。 これはUSF 08 T3と捺印のある紫色コアのコイルを改造したものです。1次側の巻線(合計25回巻いてある)はそのまま使います。ただし、2次側の巻線は21回も巻いてあります。これでは多すぎるので除去してしまい、新たに3回巻きを追加します。元々の2次巻線は外側に巻いてあったので除去するには好都合でした。

 なお、Bグループのコイルには元々同調用のコンデンサが内蔵されれいます。これはこの実験では不要なので必ず除去しておきます。そのコンデンサを残す方法もありますができあがったコイルの汎用性がなくなるので今回の実験には不適当でしょう。

 No.1の777M-No.00というのは「777」と捺印されていたジャンクのコイルをそのまま使ったものです。1次側が3回、2次側が1回巻いてありました。100MHzくらいの周波数ならそのまま使えそうなので利用しました。777M-No.01〜777M-No.06は元の巻線を全て除去して巻き直します。なお、 Aグループのコイルには同調用コンデンサは内蔵されていません。

 各コイルの周波数ごとの使い分けは発振回路のテストのところに書いてあります。テスト結果一覧表を参照してください。

参考:Aグループのコイルは調整用コアを右・時計回りに回して行くとインダクタンスは減少します。Bグループのコイルは逆にインダクタンスは増加します。これはそれぞれのグループのインダクタンス可変構造の違いによるものです。

 内部構造など細かい部分は以下の写真も参考にどうぞ。

【7mm角ミゾ付きコイルの構造】
 Aグループの777M-No.00〜777M-No.06は5段のミゾ付きボビンになっています。 写真は777M-No.01の完成状態です。

 昔の話になりますが「東光の7K型コイル」というものがありました。 同じように7mm角のシールド付きで巻きミゾ付きボビンのコイルでした。

 構造は類似ですがこのコイルとの互換性は未確認です。 代用される場合は事前に各自で確認されますようお願いします。

 東光の7Kでも極端に巻き数が違うことはなく中心のコアでインダクタンスが可変できるので類似に巻けば十分使えるはずです。

【7mm角ツヅミ型コア・コイルの構造】
 Bグループの7つのコイルは元々写真のような内部構造になっています。(既出の写真を再利用しています)

 一部は元々の巻線を活かして作りましたが、他は巻いてある巻線をすべて除去してから巻きなおします。
 コアのペイントは黒・黄・紫の3色ありますが、すべて巻き替えるならどの色を使っても同じように作れます。

 構造上巻線しにくいことから、なるべく元のまま活かせるよう考えましたが限界があるようでした。

 検討の結果、5MHz以上で使うためには完全な巻き換えが必要でした。 作り直しは少し面倒ですがそれほど巻き数は多くありません。 ちょっと頑張って巻線しました。(笑)

【内部コンデンサは取除く】
 この写真説明も既出ですが参考にどうぞ。

 Bグループの製作に使うコイルには底面に同調用のコンデンサが内蔵されています。

 残念ながら内蔵のコンデンサは容量値が適当でないので使えないため除去する必要があります。 除去するには「破壊」する方法が簡単です。 内部コンデンサが再利用できる可能性はあまりありません。苦労するのでハンダを除去して外すことは考えない方が良さそうです。

 コンデンサはドライバの先端など尖ったもので潰してしまい、破片をよく取り除いておけば十分です。 これが一番容易です。

 忘れずに除去する必要があるので、真っ先に取り除いておくことをお奨めします。(忘れてしまい原因不明のトラブルに遭遇しました。しかも変換基板に実装してから発覚・笑)

【コイルを性能評価する】
 製作したコイルは念のためインダクタンスと無負荷Q:Quを調べておきました。

 コアを回して動かすとインダクタンスが変化するとともにQuも変化します。
 インダクタンスの可変範囲なども調べておきましたが、煩雑になるので上表では省いてあります。 いすれも十分な可変範囲があったので実験に使う範囲に於いて支障はないです。

 コイルを自作したらできるだけ事前に測定しておきたくなるかもしれません。 しかしコイル専門メーカーではありませんから、Qメータの動員までは必要なく、簡単に端子間の導通チェックでもしておけば十分ではないでしょうか? 素材が同じならコイルの再現性は良好です。

 ここで詳しく測定しているのは「情報の収集と公開」が目的です。自身の参照用あるいは興味の範疇という意味もありますけれど。w

【発振状態とコアの位置】
 発振状態とコアの移動の関係を図で示しておきました。

 既述のようにピアースG-D回路とピアースG-S回路では、インダクタンスの変化と発振状態の関係は逆方向です。 ただし、変化方向は逆でも同じような傾向を辿るのは違いません。 製作したらコアを回して変化の感触を実際に確認してください。

 要点は簡単です。 発振電圧のピーク点に調整するのではなく、変化が緩やかな側で、出力が少し下がったところに調整しておくことにあります。

 その理由は明確です。 何か温度のような周囲条件などの変化でインダクタンスが変動しても発振が停止する側に陥らないようにするためです。 そうしないと何かの加減で発振しなくなってしまい、機能停止に至ることがあります。

 メーカー製のトランシーバで発振のピークに局発コイルを調整したものに遭遇したことがあります。水晶が発振せず送受信できないバンドが発生していました。生半可な知識で調整を行なった素人修理の典型といった感じの機械でした。何でもかんでも最大点に調整すれば良い訳じゃありません。(笑)

【参考:FT-101Zの局発基板】
 一点だけメーカー機の水晶発振回路の例をあげておしまいにしたいと思います。

 写真は八重洲無線の名機:FT-101Zのプリミクス回路用局発基板です。 部品数は増えても機能実現に合理性を求めた設計になっています。 多バンド化に対応しつつ、バンド切り替えスイッチの接点数を減らすのが目的でしょう。

 発振回路を一つにして、スイッチで水晶発振子を切り替える形式をやめて、バンド数だけ発振回路を並べる設計です。おそらく姉妹機のFT-901と部品共通化も目的になっているのでしょう。FT-901はPLLでFT-101Zは水晶発振です。機能的に同じように構成できるよう考えたのではないでしょうか。

 多数の発振回路が並べてあります。周波数が違う発振回路の出力電圧を揃える工夫が見られて興味深いです。

【参考:FT-101Zの局発基板・回路図】
 これがその回路です。 発振回路には安価なトランジスタ(BJT)を使っています。 ピアースB-C型発振回路になっています。 各トランジスタは2mA少々のコレクタ電流を流す設計になっています。

 面白いのはトランジスタのコレクタと同調回路の間に100Ω〜560Ωの抵抗器が入っていることです。 この抵抗器により発振強度を加減するとともに、寄生発振など不要な発振が起こらぬよう対策しています。 こうした工夫は自作機でも真似る意味があります

 なお、調整マニュアルによると、再調整の際はダイオードスイッチを通った後の出力端子で300mV±50mV(Vppではなくて実効値)になるよう、各発振回路のコアを調整するよう指示があります。(オシロスコープで調整するなら、0.85Vpp±0.15Vppでよいでしょう)

 故障修理のためにコイルを丸々交換したなら別ですが、普通のメンテナンスでしたらわずかなコアの再調整で済むはずです。 既に生産工場でコイルは変化がなだらかな側に調整してあったはずです。 ごくわずかに動かして発振出力を再調整する程度なら特別な注意は必要ない訳です。 間違ってコアをたくさん回してしまうとそうは行かないかも知れません。 そんな時は発振回路の調整法を思い出して正しい方向に調整すれば大丈夫です。回路を読み取ることも無線機レストアの一つでしょう。

                    ☆

 今回の実験では何と言ってもコイルがキーポイントでした。 コイルの性能云々はもちろんですが、たくさん製作する必要があって、始めるにあたって一念発起(大げさ・笑)が必要でした。 回路の実験以前にコイルという「部品の製作」から必要になって、時間がかかる原因の一つになりました。 また、資料もそれだけ多くなりまとめにも時間を要してしまいました。分量もずいぶん多くなりました。 今回も初めから読もうとしたら途中で眠くなってしまったかもしれません。 必要の都度、部分的に読み返していただけたらと思っています。 それでも一気に全部ご覧になったお方もあったでしょうか。ご覧いただきどうもありがとうございました。

                    ☆

 水晶発振器を扱うBlogシリーズとして今回で終わりにしたいと思います。 まだ高次のオーバートーン発振器など触れるべきテーマもあります。 一旦終わりにして、余裕ができたら改めて続編を追加したいと思います。 自作HAM仲間では「アンプを作ると発振し、オシレータを作ると発振しない」という笑えないジョークが語り継がれています。せめてオシレータが確実に発振してくれたらと願いつつ本特集をまとめました。 次回はどんなテーマにしましょうか。一息つけるようなるべく軽い話題が良いと思っています。 ではまた。 de JA9TTT/1

*このBlogに関して何かご質問とかご要望などあったらコメント欄でお願いします。
この下にある「コメント」の文字をクリックすると入力画面が現れます。

→ご要望など私で可能な範囲で対応いたします。

参考:公開から2週間を過ぎたBlogに頂いたコメントはすぐには反映されません。(SPAM対策のためです) 確認しだい公開いたしますので少々お待ちを。遠慮なくどうぞ。

(おわり)nm

2026年7月14日火曜日

【回路】Crystal Oscillators (2) , It's practical !

実用・水晶発振器・2(その2:デジタルIC編)

Introduction
I tested a crystal oscillator using digital ICs. This is because many digital devices require a square-wave clock signal suitable for circuit operation. Let me state the conclusion. The best choice is a crystal oscillator circuit using HC-MOS. Be sure to use the unbuffered type. Also, if you want to reduce current consumption in particular, use standard C-MOS—also the unbuffered type. The era of using TTL ICs is already over. By selecting the appropriate oscillator device, you will be able to build efficient digital devices.(2026.07.14 de JA9TTT/1 Takahiro Kato) 

【デジタルICと水晶発振子】
 前回のBlog(←リンク)ではトランジスタ(BJT)や電界効果トランジスタ(FET)といったディスクリート・デバイスを使った水晶発振回路を検討しました。

 発振で得た信号の使い道として周波数コンバータ回路や通信機のマスター・オシレータと言ったアナログな用途が主な想定でした。しかし、デジタル回路のクロック・オシレータの用途もあって、そうした回路では矩形波のクロック信号が必要とされます。

 初めからデジタル回路用のICを使って発振させると、波形整形といった手間いらずで矩形波が得られるので便利です。 今回は基本波水晶発振器のいちジャンルとしてデジタルICを使った水晶発振回路を扱います。

 ところで、デジタルICはかなりの世代交代があって、過去のロジックICとして忘れ去られたものがたくさんあります。 このBlogがめざす「実用情報」としては、既に廃れたICは省略して良いのかも知れません。 しかしここは趣味のサイトでもあるので幾らか古(いにしえ)のデバイスについても紐解くことにして話を進めたいと思います。 古いデジタルICから順に扱って行きます。

◎ 忙しい人のためのまとめ(結論):
デジタルな発振回路にはアンバッファ・タイプのHC-MOSが最も適しています。 また低消費電流を優先するならスタンダードC-MOSを選択します。その場合もアンバッファ・タイプが良いです。すでにTTL-ICの時代ではありません。なお、各回路の具体的な内容は該当セクションの参照を。C-MOSの回路は後半の部分にあります。

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 私がデジタルICで水晶発振する回路にお目にかかったのはマーカ・オシレータが初めてでした。 マーカ・オシレータそのものが既に死語のようなものですが簡単に言えばアナログな受信機のダイヤル読み取り精度を上げるための目印発生装置です。
 このあと具体例があるのでマーカーOSCの詳細は省きますが、デジタルICと水晶発振子が出逢ったような回路でした。

 このさき、すぐ使えるような機器の回路例はほとんど登場しませんが、もしデジタルな波形の(矩形波の)水晶発振器が必要になったら思い出してください。 そうは言っても電子工作などされないお方には将来にわたって無縁に違いないとは思うのですが・・・

【初期のデジタルIC・RTLを使う】
 ノイマン型のコンピュータはクロックパルスに同期して処理が進む仕組みです。当然初期の頃からクロック・オシレータは存在したはずです。 想像ですが、初期のころそのオシレータはディスクリートなパーツで作られていたでしょう。

 RTL-ICはシリコンのウエファ(薄板)上にトランジスタと抵抗器を同時に作成しそれらを直接配線でつないで作った初期のモノリシック型集積回路です。 もともとミサイルの誘導回路など軍用目的で作られ、その応用としてアポロ月探査計画では司令船や着陸船のガイド用コンピュータとして搭載されていたのは有名な話です。ちなみにクロックは2.048MHzの水晶発振で1/4分周して512kHzで動作していたそうです。

 そんな高尚な用途とは違ってHAMのRTL-IC応用はもっぱらシンプルなマーカ・オシレータやエレクトリック・キーヤー(←リンク)でした。

 左図の上段はRTL-ICで作った水晶発振回路です。 このICの時代の標準的なゲートICであるμL914を使っています。 μL914は2入力NORゲートが2つ集積された8ピンのICです。 ゲートあたりトランジスタ2石、抵抗器3本の構成で、それが2つ詰まったシンプルなICです。

 下段は昔の雑誌(CQ HAM Radio誌)に掲載されていたマーカ・オシレータを書き直したものです。原著はもう残っていませんので記憶からです。 ご覧のように100kHzを発振する水晶発振回路とそれに続く2段のフリップ・フロップ回路で1/4分周して25kHzを得るようになっています。 これで100kHzおよび、25kHzおきの高調波が得られるので受信機(トランシーバ)のアナログ・ダイヤルが校正できるわけです。 水晶発振の100kHzは当時存在した5MHzや10MHzのJJY(高精度に管理されていた標準電波)とゼロビートをとって校正しました。

【RTL-ICで水晶発振は難しかった】
 写真は設計しなおした100kHzの水晶発振回路です。

 回路図下段のような回路で作った100kHz水晶発振回路は起動特性に問題があったのです。 たしかにVR11を加減して発振調整してやれば水晶発振してくれました。

 しかし発振の確実性がなかったのです。周囲温度が変化すると発振が起動しないことしばしばで実用になりません。 八重洲無線のFT-400S型トランシーバの内蔵用に製作したのですが機内温度が大幅に変動する真空管機にはまったく不向きでした。 ガラエポ基板をエッチングした見かけカッコいいマーカ・オシレータ基板でしたが・・・肝心のとき発振しなくてはねえ!(笑)

 出力側から負帰還バイアスが掛かるようにした上段の発振回路なら環境変化に強く良い状態に追従しますので発振の確実性があります。 もう一度作るとしたら100kHzの発振器は上段の回路で作りましょう。 1970年当時、国内にはμL914(米Fairchild社製)の少量の入手先が見つけられず秋葉原の共働電子で東京三洋電機のRTL-IC:LB-1001とLB-1021を入手して作りました。 いまとなってはちょっと苦い思い出です。(笑)

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 1960年代〜1970年ころでRTL-ICの時代は終わります。 その後、DTL-ICの時代になったのですがHAMの用途としてはエレキーに使われた程度でした。わりとスムースに次代のロジックICであるTTLへと移行しました。DTL-ICの水晶発振器は省略してTTL-ICに進みましょう。
(参考:DTL-ICでも水晶発振器をテストしています。発振は可能ですが以下で説明のTTL-ICと同様の難しさがありました。これと言ったメリットはないようです)

【標準TTL-ICで水晶発振・その1、2】
 TTL-ICを使った水晶発振回路は過去の資料に当たると様々な例が見られます。

 この事実を裏返して言えば、決め手の回路はなかったと言うことでしょう。その中から再現性の良かった2例を紹介しておきます。

 (1)が4回路入りNANDゲート:SN7400Nを使う例です。(2)は6回路入インバータ:SN7404Nを使うものです。 出力側から負帰還バイアスをかけて回路の動作点がアンプの状態(アナログな増幅器の状態)になるようにしています。
 その「アンプ」を2段カスケードにして正帰還ループを構成します。そのループ内に水晶発振子を挿入し水晶の直列共振周波数で発振するようにするわけです。

 もともとデジタルな動作(スイッチング動作)をするよう考えられたICです。そのためアナログなアンプとして使うと性能が安定しません。(まあ、当たり前ですな・笑)

 そのため、外付けの部品定数が適切でないと不安定な動作になることがあって、動作を確実で安定なものにする対策が必要です。 回路図のC4とC14はアンプの周波数特性を加減して(悪くして)異常発振を防ぐためのコンデンサです。
 実際に発振波形を観測しながらカット&トライ式に決めねばなりません。 回路への接続箇所や容量値を変えながら旨く行くよう試行する必要がありました。

【1MHz発振器・容易そうで難しい】
 そのような訳で、雑誌の記事に書いてある回路だからといって読者が信用して製作しても必ず旨く行くとは限らないのです。
 まったく発振しないか発振はしても異常な発振か、そしてもし運がよかったなら目的の発振がえられるでしょう。(笑)

 久しぶりに製作したのですがやはり一筋縄では行きません。 測定ツールや積み重ねた経験や知識のおかげでなんとか正常に動作させることができましたが、やはり難しい回路と言えます。

 もう一つの問題点はあまり周波数安定度が良くないことです。 そのため周波数カウンタのように周波数精度を要する用途では性能不足を感じるはずです。 温度補償も不可能ではありませんが設備がないと実現は容易でなく、むしろ他の発振回路を選択する方が苦労せずに済みます。

 実際、周波数カウンタの製作ではゲートICの水晶発振回路はあきらめて、FET+BJTで1MHzの水晶発振回路を作り周波数基準としました。その方がずっと確実で周波数安定度も良好だったのです。1975年ころのことです。

【波形観測してハザード対策が必須】
 左の写真はウマくない例とその対策後の状態を示しています。

 TTL-ICは高速ですので、正弦波的なゆっくりした立ち上がりの信号が入ると出力がバタついて余分なヒゲがでるのです。 それを抑えるために回路の動作スピードを加減して安定させる必要があるのです。

 ただし、相手は半導体回路ですからクリチカルな状態に調整してしまうと、温度など環境条件の変化でまたヒゲが見えてくるといった不具合もあって信頼性の点ではかなり疑問もあるのです。 まあ、今となって過去の製作を振り返ってみれば・・・という後付けのお話ですけれど。

【標準TTLでもコルピッツ型は容易?】
 おなじTTL-ICを使った発振回路でもコルピッツ型を構成する方が有利でした。

 ゲート1段をアナログなアンプとして使います。
 この回路では水晶発振子がインダクティブになる周波数で発振します。 TTL-ICに負帰還バイアスをかけたアンプなのは同じですが、一段アンプですからゲイン過剰ではなく動作はだいぶマイルドです。

 ただしゲインは大きくないですから周波数に応じて外付けCRの細かな加減が必要です。 一つの回路定数のままでは発振可能な周波数範囲は狭いのですが、表のように選んでやればだいたい旨く行くでしょう。

 もはや標準TTL-ICで水晶発振器を作ることはないとは思いますが、もし作るならこれが良さそうです。

【コルピッツで10MHzを発振させる】
 写真は10MHzの発振回路例です。

 たとえば1MHzといった低い周波数の発振もC1,C2の値を選んでやれば可能です。

 しかし思った以上に大きめの容量が必要なので良いコンデンサを選ぶ苦労が発生します。 従ってやや高めの周波数を発振させるのに向いた発振回路だと思います。

 だいたい5〜15MHzが適当な範囲でしょう。

【コルッピッツで10MHz】
 写真は10MHzの発振波形です。

 バイアス抵抗を加減してやるとDuty比を50%付近に持ってくることができます。

 ただし発振周波数によっても変わりますしC1,C2の値も関係するので結局カット&トライ的になってしまいます。一品料理なら問題ないのですけれど、量産向きではありませんね。

 以上、標準TTL-ICを水晶発振回路に応用する3例を検討してきました。 すでに標準C-MOSでさえ消えようとする現在(2026年)ですから、標準TTLなんてナンセンスでしかありません。まあ、そんな時代もあったんだと言う記憶として書き留めておきました。

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 標準TTL(N-TTLと略称)の時代は案外長く続いたのですが、デジタル回路の省電力化の要求もあって消費電流が1/5でスピードが同じと言うLS-TTLが登場するや急速に置き換わりました。 続いてLS-TTLを使った水晶発振回路を扱います。

【LS-TTLで水晶発振】
 LS-TTLでもコルピッツ型発振回路は可能そうですが、アンプ2段形式の発振回路も良好でしたので紹介しておきます。

 LS-TTLは様々なメーカーで製作されました。これには理由があるのですが専門的になりすぎるので省きます。 その結果、デバイスの「アナログ特性」にバラツキが大きくなってしまい、発振回路に使った場合の再現性には課題があったようです。

 この例では本家のTI社(Texas Instruments社)のほか、日立と松下電器(現Panasonic)の3種類を使って比較してみました。  日立製がやや有利なようですが、周波数範囲を選んでやればオリジナルのTI社だけでなく他社のセカンドソースもかなり使えそうです。

 なおハザード対策のC4は実験した範囲では不要でしたが、参照した資料によっては付加されていることがあります。波形を実測して大丈夫なら省略できそうです。 この回路はN-TTLを使うよりも確実そうな印象を持ちました。

【LS-TTLを使ってみる】
 1MHzのHC-49/U型水晶発振子を使って発振回路を製作しています。

 ゲートICの入出力間に負帰還抵抗を入れてアナログ動作させている回路で、標準TTL-ICの例と類似ですが、アンプ間の結合が抵抗器でDC的になっています。 この方が動作が安定しているように思いました。
 ただしN-TTLで同じことをやっても上手く発振しないことがあって意外に難しいものです。

【LS-TTLは意外に悪くない】
 上記実験回路の出力波形です。

 ご覧のように余分なヒゲも出ず、Duty比も50%近くて良好な発振波形と言えるでしょう。

 だいたい10MHzくらいまでの周波数で使うのであればまずまずの結果が得られると思って良さそうでした。
 もちろん、何度も書いていますがN-TTLやLS-TTLは完全な時代遅れですから好きモノが好奇心から使ってみるといった可能性しかもうなさそうです。 いつの時代にも「趣味人」のようなお方は居られますから何かの機会に資料が役立ってくれたなら幸いです。w

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 RCA社はTTLのような高速デジタルICでは遅れをとったのでC-MOS 4000シリーズで超低消費電力の用途を目指したのかもしれません。 実際、民生用電子機器の多くは電池電源で動作することから動作電源電圧範囲が狭く消費電流の大きなTTL-ICは不向きでした。 低速ではあってもC-MOSロジックICが活躍することになります。 それは今も続いておりデジタルICを使った水晶発振回路にはC-MOS ICが最も適しています。 以下、C-MOS ICを使った水晶発振回路を詳しく扱います。

【低消費電流・C-MOSクロック発振器】
 私がC-MOSを使った水晶発振回路に興味を持ったきっかけは腕時計用の超低消費電流発振回路にお目にかかったときです。

 1.5V程度の電圧でμAオーダの電流で確実に発振する回路はなかなか驚異的だと感じたものです。 なお、1〜1.5Vといった低電圧で動作するC-MOSは腕時計用の専用品です。

 左図は一般に入手可能な汎用C-MOSゲートを使った水晶発振回路です。 なかなか有用な発振器と言えますが残念ながら1.5Vでは動作しません。 4000シリーズC-MOSの耐圧は18Vであり、MOS-FETの製造プロセスが高い電圧向きになっているからです。 それでもVdd=3Vで動作させれば数μAで確実に発振してくれます。

 Type-AはP-chとN-chのMOS-FETのソース電極と電源/GND端子間に100kΩの高抵抗でセルフバイアスを掛け動作電流を絞ることで超低消費電流を実現しています。その代償としてFETのgmが低下するのでゲインが低下してしまい、発振の起動特性がかなり悪くなるのはやむを得ないようです。 それでも確実な発振は可能ですから実用性は十分にあります。 単三乾電池2本で非常に長期間発振させることが可能です。

 Type-BはC-MOSインバータ回路を素直にそのまま使う発振回路例です。 ただし、負荷となるコンデンサTC1やC1への充放電電流でロスが出ないよう考えてあり、時計用の32.768kHz水晶発振子も少ない負荷容量を考慮されたものになっているようです。

 Type-Aよりもやや消費電流は大きいのですが、発振回路としての汎用性はずっと広くて数100kHzまでの低消費電流な水晶発振回路として実用性があります。セラミック発振子(手持ちの455kHzなどでテスト)でも発振可能でした。なお、発振周波数が高くなると消費電流が増加するのは当然です。

【タイプ・Aの試作例】
 Type-Aの試作例と発振波形を示します。

 MOS-FETの消費電流をおさえ、コンデンサへの充放電電流を絞っているのですから発振波形は正弦波的になっています。

 腕時計のように低速な論理回路用としては支障ない波形なのでしょう。

 ただし、このままHC-MOSなどに繋ぐとスルーレート不足で異常動作する可能性があるでしょう。 シュミット回路など挟むとよいです。 まあ、普通はそんな心配のない回路に使うべきなのだと思います。

 使用している円筒型の水晶発振子は時計用の汎用品として安価に市販されています。内部は音叉型(おんさ型)の発振子でしょう。けっこう手持ちがあるので欲しいお方があれば差し上げます。 発振周波数の調整は意外に厄介でレシプロカルなユニバーサル・カウンタ(←リンク)でないとたいへん時間が掛かると思います。

 R2、R3(100kΩ)を150kΩに変更すればさらに消費電流を減らせます。ただし電源投入から安定した発振振幅が得られるまでの「起動時間」はかなり長くなります。 現状のR2=R3=100kΩでも、電源電圧:Vdd=2.7では約6秒必要でした。 150kΩでは20秒近くかかりました。

 なお、アンプとして動作させるための負帰還抵抗;R1は15MΩくらいが適当です。 小さくすると消費電流が増え、アンプとしてのゲインも食われるので損です。最低でも10MΩは必要です。 逆に50MΩのように大きくするとハイインピーダンスになり過ぎてノイズの誘導に弱くなります。 これはType-Bでも同様です。

【タイプ・Bの試作例】
 こちらはType-Bの試作例と発振波形です。

 消費電流が大きい分だけスルーレートが大きく、従って発振波形も矩形波として綺麗になっています。

 写真の試作では、C-MOS ICとして三菱電機製のM4007UBPを使っています。 ほかモトローラのMC14007APやRCAのCD4007AEでもテストしましたが概ね同等の結果でした。

 まったくの余談ですが、この4007と言うC-MOSは面白いICです。 単独のP-chやN-chのMOS-FETとして使ったり、トランスミッション・ゲート(アナログ・スイッチ)を構成すると言った応用法もあってアイディア次第で様々に活かせるC-MOS ICです。

【タイプ・Bは汎用性がある】
 Type-Bの発振回路は汎用性があって、32.768kHz以外の周波数でも使えます。

 写真(左)は手元にあったロシア製のガラス管入り100kHz水晶発振子で発振させた例です。
 写真(右)金石舎製の59.9kHzと言う大きな水晶発振子で発振させた様子です。

 何に使っていた発振子かわかりませんが低い周波数の発振子は一般に大型になります。 左に見える時計用32.768kHzは音叉型に作って小型化しているのです。

 ご覧のようにType-Bの発振回路は時計用のほか、数100kHzと言った周波数範囲まで良好に発振しますので低い周波数用の発振回路として有用性があります。 アナログな多重電話回線で使っていたと言う4kHz(!)の基準用水晶発振子でもうまく発振できました。 C1とTC1に温度特性の良いものを使ってやれば発振周波数の安定度もかなり優秀です。周波数安定度はほとんど水晶発振子の性能で決まるようでした。

【4069UBで水晶発振・5MHzまでが良い】
 これは同じ4000シリーズの標準C-MOSを使った発振回路ですが、前項と違ってあまり低消費電流には拘らず、その代わりにより広い周波数で発振可能な回路です。
 内部が単段のコンプリメンタリ・インバータ回路で構成されているアンバッファ型の標準C-MOS ICである4069UBを使います。

 発振回路の形式はコルピッツ型です。 C1とC2の容量値および、位相調整とゲインを加減する抵抗器:R2を選ぶことで広い周波数範囲で水晶発振できます。

 実験的には10MHz以上の発振も可能でしたが、高い周波数は次項で紹介するHC-MOSに任せるべきでしょう。 高い周波数になると発振波形がなまってきて正弦波的になり矩形波が目的の発振器としては好ましくありませんでした。

 従って標準C-MOS 4069UBを使った発振回路としてはおおよそ5MHzまでと思えば動作は確実です。

【低周波水晶にも向いている】
 時計用の32.768kHzでも使える回路です。 上記の4007で作ったType-Bと同等ですから当然でしょう。

 32.768kHz専用とするのでしたら、負帰還抵抗:R1は1MΩよりずっと大きくします。 さらにC1(+TC1)とC2を小さく選んでやれば4007の回路と同じように低消費電流化できます。

 4007が得られない時の代替向きでしょう。

 もちろん、上記回路図のままで汎用の基本波水晶用発振器として5MHzあたりまで十分使えます。矩形波のクロック信号が必要なデジタル回路に最適な水晶発振回路です。

【32.768KHzの発振波形】
 32.768kHzの発振は4007に任せるべきなのかもしれませんが、4069UBでも良好な発振波形が得られます。

 100kHzや1MHzと言った水晶発振にも向いていますから、比較的低い周波数の矩形波クロック発振器が必要になったら迷わず思い出したいと思います。

 通信機への応用としては、例えば455kHzでC-MOSアナログ・スイッチを使った変・復調回路のクロック発振器としても最適です。 消費電流も小さいことから、電源系のデカップリングが容易であり、クロックの回り込み防止にも有利でしょう。
 C-MOSですから電源電圧範囲が広くてツェナ・ダイオードいっぱつで安定化したような電源で十分動作します。 デジタル回路専用と考えず幅広く活用したいものです。

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 標準C-MOS 4000シリーズはあまり高速ではありません。 スピードの速いLS-TTLを置き換える目的でHC-MOSが登場しました。その名の通りハイスピードC-MOSなのですから、より高い周波数の水晶発振が可能なはずです。 以下、HC-MOSを使った水晶発振回路を詳しく扱います。 ごく低い周波数帯なら4000シリーズC-MOSも向いていますが、HC-MOSでも低い周波数は可能ですから一段と汎用性のあるデバイスです。

【HC-MOSを使った水晶発振回路】
 初めに書いておきますが、HC-MOSの水晶発振器としてはType-3Aを使うべきで、特に事情がなければType-3Bはお薦めしません。
 Type-3AはアンバッファタイプのインバータICを使う標準回路です。 Type-3Bはバッファ付きインバータICを使う特殊な回路例です。
 またType-3Aの回路でも、できたら1MHz以上の高い周波数で使うべきです。 「アンプ」としての周波数特性が良すぎるため、低い周波数の発振子を使うとオーバートーン発振する可能性があるのです。

 それさえ注意すればデジタルな水晶発振回路として大変良い回路だと思います。あまり失敗もなく水晶発振でき、綺麗な矩形波が得られるからです。

 Type-3Bの意義を書いておきます。 比較表に見られるように消費電流が少なく済むと言う特徴があります。 これは内部回路の構成からくるものでトランジスタ・サイズが小さい初段のC-MOS段のみがA級動作するからです。 UBタイプではドライブ能力の関係で大きなサイズのC-MOSがA級動作になる関係で消費電流が大きいのです。 従って、高い周波数の発振器が必要で、なおかつ消費電流を抑えたいならType-3Bに有用性があるでしょう。

 しかしながら、バッファタイプのインバータICは内部が3段構成のためゲイン過剰になりやすく異常発振の危険性が付きまといます。 使っていけないわけではありませんが使いこなしは幾らか難しいです。 どうしてもUBタイプHC-MOSが入手できない時には非常手段(?)となりえますが、発振波形の確認を励行するなど注意を払いながら使うことになるでしょう。

【HC-MOS水晶発振・1MHzでテストする】
 Type-3Aの実験回路と発振波形です。74HCU04を使い、基本となる1MHzで発振させています。

 R2は10kΩ程度が適当でした。より低い周波数ならもっと大きくしても発振します。 発振波形も良好で一般用途の矩形波信号としては十分なものでしょう。

 もちろん厳密なDuty比=50%が要求されるなら、2倍もしくは4倍周波数で発振させたあとフリップ・フロップで分周して得る必要があります。 
 しかし多くの場合、このままでも問題ないでしょう。

【バッファ・タイプは少し難しい】
 バッファ・タイプの74HC04を使った際の発振波形です。(Type-3Bの回路)
 写真は不適切な発振状態です。 矩形波の後縁部分にバタツキによるヒゲを生じていますが、これではうまくありません。

 対策はR12を大きくすることではありません。 C12は10pFではまったくダメで270pFとか330pFへと大きくする必要があります。 R2はむしろあまり大きくしない方が良くて、数kΩ〜数100Ωにとどめるのが異常発振対策には効果的でした。

 いずれにしても発振波形の確認は必須で、HCUタイプを使うよりずっと難しさを感じます。 従って特別な事情がない限りバッファタイプは発振回路に使わぬ方が良いでしょう。

【アンバッファ型は30MHzまでイケる】
 アンバッファ・タイプ(74HCU04)を使った発振回路の発振波形コレクションです。(Type-3Aの回路で観測)

 5〜30MHzまでの発振波形を示しますが、いずれも良好でした。

 さすがに30MHzは高速C-MOSとは言えどもかなり高い周波数であり発振波形になまりを感じますが悪いものではないと思います。 広帯域なオシロとプローブを使って観測していますからこれが実際の発振波形なのでしょう。

 現実の世界では、絵に描いたような「きっちりした矩形波」が得られるのはせいぜい数MHzまでです。

【74HC4060を水晶発振で使う】
 74HC4060を使う人はあまり多くないのかも知れません。私は発振回路付きの多段分周器が便利なのでよく使っています。 水晶発振の周波数を1/16384まで分周できます。

 メーカーのデータシートを参照してそれなりに使ってきましたが、詳しく調べ使い易いように部品定数を標準化したいと思って実験しました。これは自家用の資料です。

 データ・シートに明記はないようですが、どうやら発振回路の部分はアンバッファ・タイプのようです。 また、あまりゲイン過剰ではないようです。

 そのため抵抗器:R2を大きくする必要はなくて、ナシで支障ない場合も多いようです。 案外ラフな外付け部品定数でも正常に動作しますから使いやすさを感じました。

 このICは4000シリーズのスタンダードC-MOS ICが元になっています。 HC-MOSではない、そのオリジナルの4060も5MHz以下でしたら同じように使えそうです。 むしろ32kHzのように低い周波数ならスタンダードC-MOSの4060が向いており、消費電流も少なく済むので経済的でしょう。 あいにく拙宅の在庫はHC-MOSなので標準の4000シリーズはテストできませんでした。(スタンダードC-MOSではCD4060BEやMC14060BPなどがあります)

参考:74HC4060と同じように水晶発振の機能と分周器が集積された専用のC-MOSデバイスが各種登場しています。使い易いのでデジタル回路用のクロック発生器として重宝します。例えばNJU6311があってこのBlogでもテストしています。(該当Blogへ←リンク)

【74HC4060で発振テスト】
 74HC4060の10番、11番ピンを使って構成する関係でだいたい写真のような部品レイアウトになるでしょう。

 ピン11につながる配線はあまり延ばさぬ方が良く、ピン10の配線でしたら多少引き回しても大丈夫です。

 Vddピン(16番)とGND間に最短距離でバイパスコンデンサ:0.1μF(積層セラコンを推奨)を挿入しておくと安定して動作します。 合わせて10μFのOSコンなどパラってやれば完璧です。

【HC4060の中身はアンバッファ型】
 1MHzを発振させ、ピン9のモニタ端子で観測した波形です。 1MHzでは周波数も低いことから綺麗な矩形波が得られています。

 多段分周器内臓のICですから、そもそもわざわざ高い周波数を発振させ、多段分周して低い周波数を得ると言った用法は考えにくいでしょう。

 30MHzまで発振テストを行ないましたが、だいたい10MHz以下を発振させて使うケースが多いのではないでしょうか。 今回の実験で使い方はおおむね定型化できたと思います。 自家用の資料として役立てるつもりです。

【消費電流は結構小さい】
 74HC4060を1MHzの水晶て使った場合の消費電流です。

 水晶発振回路と14段の分周回路が1mA以下の電流で動作しますからかなり省電流です。 FETやトランジスタで発振させるだけでも1mAくらい必要ですから、はじめからデジタル回路で分周して使うつもりならこのICを使う方が有利です。

* 他の実験でも消費電流など詳しく調べるよう努めましたが、すでにデータ過剰気味ですから写真などは省きました。

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 これはこのBlogの公開が遅くなった理由でもあるのですが、デジタルな水晶発振回路について、できるだけ網羅的に扱いたいと思って始めたところ分量がずいぶん大きくなってしまいました。 おそらく初めから読もうとしたら途中で眠くなってしまったかもしれません。 もともとストーリ性は求めていません。参照用の資料を目的としているからです。通しで読んでいただく必要はありません。 ざっと目を通して頂き、どんな内容があるか掴んでおいていただき、もし必要になったら部分的に詳しく参照していただけたらと思っています。 あまり前後と関連付かぬように記述していますので、部分的に読んでもわかって頂けることを期待しています。 それでも一気に全部ご覧になったお方もあったかもしれません。 長々とご覧いただき大変ありがとうございました。

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 水晶発振器を扱うBlogシリーズとして今回はデジタルな発振回路を扱いました。 次回も水晶発振器が続く予定です。 内容如何ですが公開までに時間を要するかもしれません。基礎的な回路は応用機器を扱うよりもむしろ難しいと言った傾向があります。 時々ご覧になりながらお待ちいただければ幸いです。 ではまた。 de JA9TTT/1

*このBlogに関して何かご質問とかご要望などあったらコメント欄でお願いします。
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→ご要望など私で可能な範囲で対応いたします。

参考:公開から2週間を過ぎたBlogに頂いたコメントはすぐには反映されません。(SPAM対策のためです) 確認しだい公開いたしますので少々お待ちを。遠慮なくどうぞ。

(つづく)nm