2020年10月17日土曜日

【回路】Try the germanium transistor! Part 1

ゲルトラで作る送信機

(abstract)
An experiment in making a transmitter using Soviet-era germanium transistors. There are no germanium transistors in the Western world that can outout a lot of power in RF. The Western world, including Japan and the U.S., gave up on germanium transistors too early. The Soviet Union had them. I'm going to make a practical CW transmitter with germanium transistors of Soviet era, which I got from Ukraine. First of all, let's test the crystal oscillator circuit. (2020.10.17 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)

ゲルトラだって使って欲しい
 ゲルマニウム・トランジスタを使って送信機を作りたいと思います。 「ああ、あの蒸し返しね」って思ったお方は20年来のお客様です。hi 20世紀に忘れてきたゲルトラで送信機を作ってオンエアする企画でした。 これから作るのはたぶん違うものになる筈です。

 ゲルマニウム・トランジスタを受信機に使う話は何度か登場しています。 シンプルなストレート受信機(←リンク)だけでなく、スーパー・ヘテロダインのほか、ごく最近も再生式受信機の検討の中で扱いました。 短波付きの2バンド・トランジスタ・ラジオがゲルトラで量産できたのですからHAMが交信に使うような「通信型受信機」ができても不思議ではありません。JA1AYO丹羽OM執筆の「トラ活」には製作実例がありました。しかし送信機ともなるとハードルが高いのです。 扱うのが数10mWといったローパワーなら、工夫次第で受信機用のトランジスタが使えます。 しかし高周波で数100mW、数Wという「ハイパワー」がハンドリングできるゲルマニウム・トランジスタはほとんど望めなかったのです。例えトランジスタ規格表には存在しても手には入りません。

                   ☆

 今となってはデバイスそのものが特殊です。同じものを再現するだけでも容易ではないでしょう。 製作は取り敢えずやめておき、ご覧になるだけがお勧めです。これはあらかじめ書いておきたいと思います。いつか機会が訪れたら試してください。

 数年前からロシア製・・正しくいえばソ連製ですが・・の半導体が手に入るようになりました。西側では1960年代でゲルマニウム・トランジスタの時代は終わりましたが、東側の世界ではもうしばらく続いたようなのです。そのため、ある程度大き目のパワーが扱えるRF(高周波)用のゲルトラが生産されたようでした。 それらが今になって余剰品放出されているのでしょう。 おかげで、あのころ実現できなかったような「ハイパワー」なゲルトラ送信機の可能性が見えてきたのです。
 写真・右の2つは国産のゲルマニウム・トランジスタです。左の大きなものがロシア(ソ連)製です。 これらを使ってまずは送信機の製作に適するような水晶発振回路の実験から始めたいと思います。

水晶発振回路
 ゲルマニウム・トランジスタで作る水晶発振器です。
 回路としては何の変哲もないありふれた「ピアース・CB型」の水晶発振回路です。
 同じ水晶発振回路でも送信機用は少し違います。 受信機用なら普通数mWもあれば十分ですが、送信機にはなるべく大きめの出力が欲しいのです。 もし発振器のパワーが十分あればその後の増幅段数を減らすことができます。増幅段が少なく済めば回路が簡潔になるのは当然で寄生発振(パラスティック)など不測のトラブルも少ないのです。

 発振回路から大きな出力を取り出すには、それが可能なデバイスが必要です。一般的なラジオに使うような高周波用ゲルマニウム・トランジスタでは〜10mWくらいがせいぜいでしょう。 テストに使ったトランジスタは一般的なRF用小信号トランジスタよりもパワフルなものです。 ここでは50mW以上の発振出力を目標にしました。きわどいトランジスタの使い方ではなく、安全に取り出せなくてはなりません。

 後ほど詳細は写真付きで説明しますが、テスト条件や得られた結果など左図にまとめておきました。

簡単な電信(CW)用送信機
 もっともシンプルなCW送信機は左図の(A)でしょう。 水晶発振器のあと電力増幅を行なっておしまいです。 電力増幅にゲインのあるトランジスタを使えば(A)のような2ステージの構成でも数Wのパワーが可能です。例えば以前試作したシンプルなトランジスタ送信機(←リンク)がそれです。リンク先の例では2ステージで3Wを得ており、QRP送信機としてはまずまず遊べるだけのパワーでした。(シリコンTrを使用)

 ゲルトラで作る場合も、終段電力増幅のトランジスタが十分なゲインを持っていれば2ステージで同様のパワーが得られるかも知れません。 しかし、過去の例を参考にしたいと思っても情報は何もないのです。定格(規格)が大きなゲルマニウム・トランジスタの扱い方も良くわかっていません。ゲルトラでそれだけのパワーが出せるものは手に入らなかったからです。 ちょっと参考になる話として、Yさんの実験によれば入力容量が大きい・・・従って入力インピーダンスがだいぶ低くてドライブ困難だったと言う例があるのみです。もう少し詳しく伺っておけば良かったと思っています。 これから自身でやってみるのですが、ドライブが難しいとなると2ステージで数Wは困難かも知れません。従って(B)の3ステージ構成になりそうです。(A)の構成で100mW程度を得ても目標には不足ですから、必然的に(B)の形式になります。

 20年前の実験ではたったの100mWと言うアウトプットを補う意味で水晶発振をVXO形式にしました。 QRPクラブのオンエア・ミーティングに参加するのが目的なら水晶制御の7003kHzだけの送信機でも十分かも知れません。 しかし少しでもオンエアの幅を広げたいのなら、やはりVFOやVXOは必須でしょう。機構部品の入手難からVFOは製作困難ですからVXOあるいはセラミック発振子を使ったVXO形式が有望でしょう。その場合、発振回路から大きなパワーを取り出す設計は得策ではありません。周波数安定度を良くするには消費電力を抑えた弱めの発振が好ましいからです。従って(C)のような構成が最低限のものになります。このさき実験してみた様子でどんな構成にするか決めたいと思います。

参考:QRPクラブのオンエアミーティングについて
 毎日曜日の朝、JST 08:30より7003kHz±のCWでシグナルレポートの交換が行なわれています。ただし近年参加していないので以前のような形式で行なわれているのか不明です。ちょっと前にワッチした際にはその時刻あたりになると何局かのQRPerが聞こえていました。たぶん、今でも日曜朝にオンエアされるQRPerは多いのでしょう。だとすれば、みなさん聞き耳を立てていますから自作QRP送信機を試す良いチャンスになるはずです。クラブ員でなくとも5W以下のQRPerなら誰でも参加できます。

2SA245で水晶発振
 2SA245は一般的なラジオ用ゲルマニウム・トランジスタよりパワフルなトランジスタです。但しパワフルとは言ってもコレクタ電流は-30mAが最大ですし、コレクタ耐圧も25Vしかありません。それでもラジオ用では-10mAさえも流せない石が多いのですからだいぶパワフルなのです。2SA245は実際にHF帯のトランシーバでプリドライバとして使われた例も見るので送信機への適性があるのでしょう。

 バイアス抵抗:R2とエミッタ抵抗:R3を加減し無理のない範囲でパワーが出るようにしました。もう少し行けそうでしたが、安全を見て発振時に-10mAくらい流すにとどめます。コレクタ電圧も安全を見て-9Vにしました。これで約15mWが得られます。トランジスタの規格からみてまずまずのパワーでしょう。 なお、2SA245はfTが非常に高いため、発振出力に含まれる高調波は多めでした。周波数特性を加減し、高調波を減らす目的でコレクタの配線にフェライトビーズを挿入しています。FB-!0!-#43を2個いれてまずまずになりました。

 2SA245クラスのトランジスタでは、シングルで50mWは困難そうです。コレクタ耐圧が低いのも不利です。2つパラに使って-30mA(2本分で)くらい流してやれば何とかなるでしょう。周波数特性は非常に良いため、もっと高い周波数・・・例えば21MHzや50MHz・・・の発振も可能でしょう。ただし周波数が高くなれば徐々に効率は落ちるはずで、得られるパワーも減ってくるものです。

Π609Aで発振させる
 2SA245の実験で何となく感触が掴めてきました。一段とパワーアップするためにΠ609A(P609A)で実験を進めましょう。

 Π609Aは幾分高い耐圧が見込めたので、Vcc=-12Vでテストしました。コレクタ電流もだいぶ余裕ができたので、発振している状態でIc=-30mAで動作させます。Ic=-30mAでは最大コレクタ電流に対して小さいため、fTがまだ十分に伸びていない可能性が考えられました。そこで、Ic=-30mAで実測して見ると150MHz以上あるので7MHz用としては十分すぎるほどでした。そのためコレクタのフェライト・ビーズは2SA245と同様に必要です。

 上記の条件でパワーは約80mWが得られました。コレクタ電流をアップし、出力側のマッチング回路を最適化すれば発振段で100mW以上も十分可能そうです。その場合、放熱フィンを付けて幾らかでも放熱してやれば安全でしょう。ゲルトラはシリコントランジスタの感覚で扱ったら壊してしまう危険性があるのです。

 それくらいの発振パワーがあれば2ステージでも数Wが期待できるかも知れません。もっとも、これは終段増幅器のパワーゲイン次第ですが。 従ってゲインの取れるファイナル用の石が欲しいところですが、なかなか甘くはないようです。このあたりの事情は続編で検討したいと思っています。hi

Π609Aはどんなデバイスか
 Π609Aの用例は見掛けないので、正確な目的や用途は不明です。どうやら高速スイッチング用のようで、民生用ではなく軍用品でしょう。
 コレクタ・ベース間耐圧:VCBO=-30V、コレクタ電流:Ic=-300mA(Peakで-600mA)です。コレクタ損失:Pc=1.5Wですが、これは放熱なしの状態でしょう。1.5Wは案外大きいように感じますが、ゲルマニウム・トランジスタですから接合部温度:Tj(max)=70℃であり、放熱しなければ許容コレクタ損失はだいぶ小さくなります。
 トランジション周波数:fTは標準値で120MHzとなっています。コレクタの接合容量は50pFです。これはかなり大きいですが、パワーが大きな石ですから当然でしょう。開封すればはっきりしますが、チップサイズはかなり大きいように思います。なお、ネットの検索では2SA374が相当品とありますが、実際はかなり違う特性のようで規格表で2SA374の項を見ても参考になりませんでした。Π609AはMesa型構造のように思います。

 形状は見ての通りです。パッケージの直径は約25mmです。太さ1mmの足ピンが出ており、コレクタはケースに接続されています。このままではブレッドボードに装着できないため、テストでは細いメッキ線をハンダ付けしました。 発振回路用ではなく、C級電力増幅器として使いフルに性能を発揮させたいなら十分な放熱が必要です。残念ながら耐圧(VCE)が-25Vと低く、Icも-300mAですから最大入力で3Wくらいまでが安全な範囲でしょう。 従って出力として1.5Wくらいが見込めそうです。(コレクタ飽和電圧:VCE(SAT)が大きいので効率は良くても50%くらいでしょう) Π609Aはより大きな終段増幅器をドライブする「励振増幅段」に適するかも知れません。fTが高いことから7MHzのアンプなら高いパワーゲインも期待できます。

参考:印刷されたロゴから、Π609AはLatvia(旧ソ連邦)のRigaにあるALFA社で製造されたトランジスタのようです。

2SA417で慎ましく
 最後に2SA417を試します。 2SA417もラジオ用のゲルトラではありません。スイッチング・スピードが早いコンピュータ用です。ゲルトラの場合、高速スイッチングさせるにはfTを高くす作るのが効果的だそうです。 2SA417は高速スイッチング用ですから必然的にfTが高くなったようです。ただし耐圧が低いのが難点です。VCBOは-15Vくらいしかありません。現物の実測もしてみましたが、耐圧の余裕はありませんでした。なお、コレクタ電流はIc(max)=-200mAと十分な大きさです。

 コレクタ電圧:Vcc=-7V、コレクタ電流:Icc=約-2mAで使ってみました。これはVFOやセラミック発振子のVXOを想定するもので、どちらかと言えば慎ましい動作です。 最大コレクタ電流が大きめですから、Ic=-2mAではfTが立ち上がらない懸念がありました。Mesa構造のゲルトラは小さめのチップでも意外に電流が流せるらしく、しかもfTの立ち上がりは早いようです。(実測:380MHz at Ic=-2mA)従って良好に発振しますが、発振波形を見てコレクタのフェライト・ビーズは必須でした。1kΩ負荷に2.75Vppが得られました。VXOのような送信機用ではなく、クリコンなどの局発用としても適当でしょう。
 なお、そのような受信機用でしたら、コレクタの同調回路はタップを使わず、全巻線を使う方が発振波形の点で好ましいようでした。少ないコレクタ電流なので、負荷インピーダンスは高めの方が良いわけです。受信機用の回路にはそのように最適化した方が好ましいでしょう。

                   ☆


 電子工学は実用の科学だと思っています。ですから今さらゲルマニウム・トランジスタなど持ち出したらナンセンスでしょう。 ここは趣味のサイトと割り切って頂くしかありませんね。(笑)

 趣味の世界ですからHAMの電子工作にも様々な考えがあると思います。 メーカー製のようなトランシーバや受信機を目指すのもFBでしょう。立派な目標だと思います。 ただ、高性能・高機能な市販品がまずまずのお値段で登場している現在、それと似たようなものを作ってもあまり面白味はないように感じています。(作ったこと自体はすごいと思いますが) むしろメーカーはやらないような(商売ベースで見たら少々ナンセンスな・笑)製作の方が楽しいように思うのです。ですからゲルトラや真空管で作るのもその一つかも知れませんね。 さらに単なる懐古趣味で古いモノを再現するのではなく、何か新しい要素も加えつつ楽しめたら良いなあ・・・と思っています。何か新たな工夫を加えたいですね。 ゲルトラは既に忘れられたテクノロジーでしょう。あえてそれで作っても大した価値はないに違いありません。しかし数Wのパワーが得られれば国内に留まらずDXと交信することも可能かも知れません。ゲルトラで数Wはかなり画期的です。(100mWではKH6とKL7とできましたが、西海岸はダメでした・笑) 今度は大きなゲルマ色の波で、あの時の西海岸のリベンジを果たしたいですねえ。(爆)

 最近はお空のコンディションがまずまずなこともあって、QSOに時間を取られがちです。電子工作の方は大分おろそかになっています。予定は遅々としている状況です。 しかもそろそろ初冬のコンデイションですからローバンドの飛びも期待できそうです。どうやら、そちらへ靡いてしまいそう。ですから次回のBlog「更新」は省略になりそうな雰囲気も。w 秋も深まり、夜も長くなってきました。そろそろお炬燵で蜜柑でも食べながら過去のBlogでも遡ってお楽しみください。読み返すと気付かなかった発見があるかも知れません。 ではまた。 de JA9TTT/1

(おわり)nm

2020年10月2日金曜日

【その他】Repar the DM-330MV Power supply

ALINCO DM-330MVの修理

abstract
I repaired an Alinco DM-330MV power supply. The failure of that power supply was mainly due to overheating and unstable output voltage.
I got the cooling fan from amazon and replaced it. I also corrected the contact failure. The method is very simple. Switch a few times. Let the variable resistor slowly rotate a few times. This is the only way to solve the problem.
Now I will be able to use this power supply again for a while.(2020.10.02 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)


DM-330MV Switching Power Supply
  この夏の暑いある日、暫く使って来た直流電源装置が不調になりました。 動作が不安定になり、出力電圧も上昇したようです。どうやら暑さでやられたようでした。

 ヒートシンクに触れて見たら触れない程の熱さです。 背面にある小さなクーリングファンが止まってしまったようでした。 小さなファンですし、あまり効いていないように感じてはいたのですが、やはりまったく冷却がなければ厳しいのでしょう。 スイッチング電源とは言っても、かなり大容量ですし軽い負荷状態でもそれなりの消費電力があるのでしょう。空冷なしの自然冷却では周囲温度が高くなると間に合わないようです。

                    ☆

  この電源もだいぶ愛用したのでこの際に買い替えが良いのかもしれません。 しかし内部の様子など確認したらまずまず綺麗です。 簡単なメンテナンスを行なえばもう暫く使えるように思えます。それに容量の大きな電源はそれほど安くはありません。(実売2万円程度) ここでは止まってしまったファンモータを交換し、同時に簡単な整備を行なって復帰を図りたいと思います。高級な事は何もしていませんから本格的に壊れた「故障品修理」の参考にはなりません。悪しからず。(笑)

24V Cooling Fan
  使われている冷却ファンは40mm角のごく標準的なもののようでした。仕様電圧は24V-DCです。 固着気味だったので羽を手で回してやったり、何とか回り出さないか試みたのですがチョロチョロしか回らずダメそうです。 そこで手持ちの在庫を探したですが生憎12V用しかありませんでした。これは24V用ですから12V用で代用するのは少々無謀でしょう。 

 大して風量のないチャチな冷却ファンですが、まったく通風が無いのとでは大違いなのでしょう。やはり伊達に付いているだけの冷却ファンではないと思うべきでしょうね。(当たり前ですが・笑)

 手持ちがないとなると購入するしかありません。近所に売っているところも無さそうですから通販で調達することにしました。

 いくつかサーチしてみたらamazon.jpで安価に売っているのを見つけました。 2つも要らないのですが2個725円とお手頃です。送料も無料でした。 購入者の評価を見たらイマイチだったのですがダメモトで注文してみました。 ただし、注文した後から気付いたのですがお届けまでの日数がだいぶ掛かるとなっていたのが何となく怪しそうでした。(その理由は後でわかりました・笑) 

TDK RM12-27RGBで代替
 常用していた電源がなくなるとすぐに困ってしまいます。調べたら遊休状態のICOM製安定化電源(IC-PS15)があったのですが最近のRigは大食いなのでだいぶ容量不足を感じます。 それにトランス式のシリーズ電源なので結構大型で重量もあり置き場所にも困ります。

 あれこれ思案していたら、12Vの大容量スイッチング電源があったことを思い出しました。 調べたら少しだけ定格容量は小さめですが、当座の間に合わせには十分使えそうです。 ALINCO電源と比べると仕様上は余裕がないのですが50Wくらいでのオンエアにはマズマズ支障ないはずです。(ALINCO電源は間欠的な負荷が前提でしょう。TDKのこれは連続定格です) 交換用の冷却ファンが届くまでのピンチヒッターとして使うことにしました。 

                   ☆

 このTDKの電源ですが優秀なものでした。レギュレーション(電圧安定度)が良好なのは当然ですが、まず第一にノイズが少ないのです。 ALINCOの電源もHAM用を意識してそこそこローノイズにできています。 しかし受信していると所々の周波数でスポット的なノイズが出ているのがわかります。 まあ、そんな時のためにスイッチング周波数を微調整して受信の邪魔にならぬようノイズを動かして逃すツマミが付いています。 大抵はそれで逃れられるので支障はないのですが、何となくノイズっぽいのはスイッチング電源の宿命的なものなのでしょうね。hi

 しかし、ピンチヒッターのこれはなかなか優秀です。ノイズっぽさをほとんど感じません。 もう少し容量があったならケースに入れてシャックで本格的に使いたいところです。 しばらく前に買った新品・出物です。詳しいことは忘れていますが、確か定価ではALINCOの3倍以上だったと思います。性能優良なのも当たり前でしょうか?(笑)

 こんなことを言ったら古い人間と言われそうですが、気持ちから言えば無線機にはトランス付きのシリーズ・レギュレータ式が最良だと思うのです。 スイッチング電源をリグに使うのは何となく気持ち悪かったのですが、最近はすっかり慣れました。 軽量小型ですし使っていてあまり実害はないからです。でもやっぱり・・・。(笑)

交換用のファン到着
 三週間くらいかかって交換用の冷却ファンが届きました。amazon.jpで購入したのですが、何と台湾から発送されたのです。時間が掛かる理由がわかりました。(笑)

 並べて見たらサイズもバッチリOKなようです。さらに消費電流を確認したら使ってあった物よりも少なめです。交換することで回路に無理がかかることもないでしょう。さっそく交換作業に入りました。底板と前後のパネルを外すとやり易かったです。

  標準的な冷却ファンのようですから、厚みも4隅の取り付け穴も完全な互換性がありました。 従ってあとは回らなくなったファンを入れ替えれば作業完了です。 冷却ファンの配線は基板の表面にハンダ付けされています。 購入したファンの電線は適宜カットし、赤色を+(プラス)の、黒色を−(マイナス)のそれぞれ基板の元あった箇所にハンダ付けします。

 購入した24Vファンは最近流行りの3Dプリンタの交換部品として売られていたものです。 静音型ということで風量はやや少なめな気もします。 しかし止まったままよりはずっとマシでしょうから交換して暫く様子を見ましょう。 どうしても風量不足なようでしたら買い直そうと思います。(参考:交換後かなり暑い日もありましたが大丈夫そうでした)

 【DM-330MVの内部
 DM-330MVの内部はこのようになっています。レギュレータのICチップはμPC494Cが使われています。TL494CNのセカンドソースでしょうか? ポピュラーなICを使った標準的な設計の電源のように思います。 これで実売¥2万なら安いと感じます。

 ざとした点検では致命的な故障は見当たりませんでした。ファンを交換して清掃を行なっておきました。 何となく動作不安定なように感じたのは背面の切り替えスイッチやプリセット電圧の設定用ボリウムの接触不安定が原因だったようです。あまり上等とは言えないスイッチや半固定ボリウムなのでやむを得ないでしょう。

  ホコリを取り除き、スイッチを数回往復し、ボリウムもゆっくり数回往復したら安定になりました。プリセット電圧を再設定したらOKなようです。 「修理」とも言えませんが、こうした作業で不調は取り除くことができたようです。

                    ☆

 接触不良と言うと、すぐに「接点復活剤」や「CRC-556」のような物を大量に噴射するお方があるようです。 それで当座は解決するように感じるのかも知れませんが、これらの噴霧剤は必ず残渣が残ります。噴霧したあとの部分は何となく油ぎった感じがするのがわかるでしょう。 特にこの電源のように冷却ファンが付いた機械ではその油分に吸い込んだホコリが付着します。 あげくはそれが固着し機器の寿命を縮める原因になってしまいます。 どうしても「接点復活剤」を使いたいなら要所にのみ、ごく少量を楊枝の先や綿棒に取って塗布するようにしましょう。 私も多めに噴射することがありますが、その場合は必ず入念に洗浄して残渣が残らないようにしています。(洗うもの次第ですがアルコール系洗浄剤と超音波洗浄器を使います。基本的に分解修理の部分洗いでのみで実施しています) なお、潤滑を要しない箇所については、残渣の残る心配のない「洗浄剤」の使用が良いと思います。

フロントの出力が不安定
 DM-330MVの前面パネルにはワンタッチ型の出力端子が2つ付いています。 HF帯のハイパワーRigのように消費電流が大きなものは背面のバインディング端子にがっちり配線すべきです。 前面の端子からは大きな電流は取れませんが10WクラスのRigには重宝です。 

 しかし、何となくこの出力端子の状態は不安定でした。開腹して確認しところこの出力端子の裏側にある小基板への配線がハンダ不良でした。 使ってある配線材(赤の太い線)はハンダの回りが良くないものでした。十分確認しないとハンダ不良になり易い電線なのです。 写真は修正済みですが、小基板のスルーホールに挿入された配線が簡単に抜けてきたのです。天ぷらハンダになっていました。(メーカー製なのに情けない・笑)

 容量の大きなコテで十分なハンダ付けを行なって修正しておきました。 これで何となく不安定だった状態は解消したようです。 同様の症状が必ず起こるとも思えませんがもし疑われるなら配線のハンダ付け状態を確認するのも良さそうです。 目視だけではなく、配線を引っ張ってみるなどしてハンダ付けの状態を確認します。

応急措置もアリ?
 この対策は恒久的な対応とは言えそうにありませんが、緊急対策にはなるかも知れません。 止まってしまった冷却ファンの銘板シールを剥がすと、軸受の部分が見えてきます。この部分に少量の潤滑剤を塗布したらまずまず快調に回転するようになりました。

 この電源の冷却ファンは少し温まってくると回転を始め、あとはずっと回っていることが多いようです。長い時間使ったための油切れだったのかも知れません。 見るからにチャチな冷却ファンですから、吸い込んだホコリなどの固着で回らなくなったのでしょうか。 軸受への潤滑はとりあえず交換用が届くまでの応急措置に使える手かも知れません。 何れにしても長くは持たない対策だと思います。予備を用意しておき回りが悪くなったらマメに交換るのが良いでしょう。こうしたファンは一種の消耗品です。従って予備品は必ず新品を確保しておくと安心です。

                    ☆

 必ずしも電気的な故障品ではなかったので「修理」とは言えないかも知れません。それでもちょっとしたメンテナンスだけで過熱・温度上昇で不調になった電源を現役復帰させることができました。 この電源はベストセラーらしくお使いのHAM局も多いようです。 簡単にできるメンテナンスの一つとして紹介しておきました。 もし確認して冷却ファンの働きが思わしくないようならそろそろ交換用を準備しましょう。 作業にあたって、感電や火傷のような事故に十分気をつけます。スイッチング電源の内部は高電圧の箇所も多く思いのほか危険なものです。 特に通電しながらの確認には十分な注意が必要です。事故のないよう修理を楽しまれてください。 ではまた。 de JA9TTT/1

 (おわり)fm

2020年9月17日木曜日

【その他】ebay shopping

 ebayでお買い物は?
ebayって?
コロナ禍であまり出掛けられません。 まあ、大して気にしなければ良いんでしょうが、気持ちは若いつもりでも若くはありませんからね。 感染は気になります。 それで、通販を楽しむことになるんですが少し幅を広げたいと思います。

 最近の電子工作は、国内の通販だけでなく中華通販を含めて部品調達の範囲は幅広くなっています。今まで見つけられなかったようなアイテムが簡単に手に入ったり、思いがけずお買い得なことも珍しくありません。 ご存知の通り、信用に関しては国内通販に比べてイマイチな部分もあります。しかし、それなりの注意を払えばなんとかなるものです。

                   ☆

 最近になってebay(イーベイ)を本格的に使い始めたので様子を書いてみたいと思います。すでに利用中の人も多いとは思いますが、もしまだでしたら如何でしょうか? 少し注意は必要そうですが、難しくはないので少額から試しましょう。 今回はネタに困った挙句なので、興味がなければ早々にお帰りがオススメなり。(笑)


Heath kitでサーチ
 ちょっと乱暴かも知れませんが、ebayはヤフオクと楽天市場を合わせたようなものでしょうか。

 オークションの機能があるので、最高額の入札者でなくては手に入らないものもたくさんあります。 しかし少々高めのお値段にはなるのですが即決価格(Buy it Now)が設定されたものもたくさんあります。 こうした物なら売り切れさえなければ確実に手に入れることも可能です。 頻繁にウオッチして素早く購入すれば良いでしょう。

 写真は「Heath Kit」(ヒースキット)で検索した例です。 Heath kitは世界的に有名ですから非常にたくさんのアイテムが引っ掛かりました。 写真の上2つは入札アイテムですから、ヤフオクと同じように入札が必要です。 ここでは発送先を「日本」の設定にしたので全ての価格は日本円で表示されています。それで端数の付いた金額なのでしょう。 その次の3つ目のアイテムは「Buy it Now」が設定されているので即決で買うこともできます。

 ショップが出品しているようなものでは大半が即決価格になっているようです。電子部品のような一般的なアイテムは多くが即決のようです。もちろん、稀少性があるような「お宝部品」は入札させて高く売ろうという魂胆もあるようなんですが・・・。(笑)  この辺りは既にヤフオクなどご利用なら常識的な範囲でしょうね。 入札でお宝狙いも良いですが、買い物感覚で「即決」狙いでも楽しめるようです。

PayPalは必要?
 今のebayは支払い方法が様々選べるようになりました。 なので、直接クレジット・カード決済で行くことも可能です。 例えばVISAやMASTERなどのクレジット・カードでの直接支払いができます。

 しかし、できたらPayPal(ペイパル)を介したいと思います。(これは好みですが・笑) そうすれば毎回購入するごとにクレジット・カードの番号をインプットする必要はなくなるため幾らかでも安心感がアップするように感じます。 10年以上前にPay Palのアカウント情報が漏れたというようなニュースもあったようですが、今は対策がとられてまずまず安心なように思われます。(注:Pay Palは以前からある送金サービスの一種で楽天のペイペイとは関係ありません)

 どんな風に使うのかというと、購入して支払いに進むと支払い方法について幾つかの選択肢が示されます。その時に「Pay Pal」を選べば良いだけです。何も難しくないです。 なお、Pay Palを利用した支払い(海外送金になる)は支払う側は料金無料です。Pay Palの利用を始めるとオススメのメールなどが頻繁に届くようになって少々煩わしいですが無料なので我慢しましょう。(笑)

 Pal Palで支払うためにはPay Palのアカウントが必要になります。 ebayを始める前にアカウントを取得しておくとお買い物はスムースに進むでしょう。 Pay Palで支払いが可能なようにするには、銀行口座あるいは支払い決済ができるクレジット・カードが必要です。 これだけはあらかじめ準備しておかなくてはなりません。 しかし、すでに通販を楽しんでいるようでしたらカード決済はお馴染みでしょう。 要するに「メールアドレス」とVISAやMASTER、AMEX、JCBなどの「クレジット・カード」があればPay Palのアカウントは簡単に設定できます。審査時間もほとんど掛かりません。

 Pay Palのアカウントが用意できたら、さっそくebayのアカウントを作りましょう。こちらもメルアドがあれば簡単に作れます。 なお、その際に購入した物品の発送先となる住所も必要になります。海外からの荷物が確実に届くような住所を(ローマ字表記で)用意しておきましょう。国際的に通用するような住所表記に自信がなければ最寄りの郵便局に相談するのも良いと思います。荷物が迷子にならずに済みます。 ebayのアカウントができたら、さっそくログインすればお買い物が始められます。(先にebayのアカウントを作っておいて、後からからPay Palを設定することもできます。詳しくはネット上のHow toなど参考に。難しくはないです)


基本はクレジット・カード決済
 Pay Palとは言っても結局はVISAなどのカード決済にするのが普通でしょう。  従って、もしなければこうしたクレジット・カードを持つ必要があります。(Pay Palはこうしたクレジット・カードを介さずに直接銀行の預金口座からの支払いも選べるようですが)

 過去に借金が焦げ付いたなどのヤバい経歴がなければ普通はスムースにクレジット・カードが手に入るはずです。ネット経由あるいは銀行の窓口などで申し込みます。詳しくは利用している金融機関のサイトや窓口で「クレジット・カード」を作りたいと言えば説明してくれます。 ただし申し込んでから届くまでに1週間くらい掛かるのが普通です。 なお、こうしたカードは年会費が必要なものがほとんどですが無料のものもあるようです。 今ではクレジット・カードを使うのが内外を問わず通販の基本と言えるのではないでしょうか。まさかとは思いますが、持っていないと時代に乗り遅れかねません。(笑)

買い物を探そう
 何か欲しい物があったらまずは検索するのがオススメです。 ebayに入ったら検索窓に目的物の単語をインプットしてみましょう。 ここは国際的なのですから日本語ではなく英語が良いと思います。
 基本は英語ですが、わかっていれば例えばスペイン語とかドイツ語のような現地語で探すとさらにバラエティに溢れた検索結果が得られます。綴りがあやふやな時はGoogle翻訳などで単語を翻訳してからインプット。 あとは「習うよりも慣れろ」でしょうね。

 何回か覗いて「ウインドウ・ショッピング」を楽しんでいると、閲覧履歴が保存されオススメに表示されるようになります。(写真) 買う気が起きたら購入するも良し、お好みが反映されるようになりますからだんだん使いやすく(?)なります・・・ね。

 まずは高額な品や重量がかさむ物は避けるのが基本でしょう。  送料が示されている場合も多いので、品物の値段と送料を合わせて考えます。 国際通販になる関係でどうしても送料は割高です。私は安価な物しか手を出さないので、品物よりも送料の方が高いと言ったこともしばしばです。w しかし、手軽に外国まで買いにも行けないので割り切るしかないでしょう。hi 中華通販のような送料では済まないのが普通です。(無料とか非常に低額な中華通販の送料の方が異常なんです・笑)

                   ☆

 ネタ切れだったのでしょうもないテーマになってしまいました。 既にebayとかお使いのお方には今さらだったでしょう。 心理的にアキバも遠くなった感じもあって、通販を楽しむことが多い昨今です。 国内の通販でも様々な物品が手に入りますし大抵のものは間に合ってしまうでしょう。 しかし、ebayのように国際的なショッピングなら非常にバラエティがあります。まさかこんな物がと言うものまであって驚かされることも度々です。割高な送料を払っても価値のある品も数々見つかっています。 様子見に覗いてみるだけでも楽しい(興味深い)ですから、まずはebay(←リンク)へ行ってみてはいかがでしょう? ebayのアカウントはなくても見るだけなら誰でもできます。 ではまた。 de JA9TTT/1


:言うまでもないとは思いますが、ebayやPay Palなどから何かもらっている訳ではありません。また、国際通販はリスクも大きいですから各自のご判断で利用をお願いします。もちろんその結果についてはすべてご自身の責任です。トラブルについて私に泣きつかれても解決にはなりません(笑)

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追記:ebayで試したら
 ウクライナから旧ソ連時代のトランジスタを買ってみました。

 2020年7月26日にebayで購入したところ、28日には発送してもらえました。 ウクライナの通関を通ったのは7月30日だったようです。その後は国際郵便で日本への旅路に就いたようです。

 途中の経路はわかりませんが、9月8日に日本の国際交換局(川崎東郵便局)に到着しました。 直ちに通関手続きが行なわれ、その翌日の8日には自宅へ配達されました。 1ヶ月少々掛かったことになります。 コロナ禍のおり、旧東欧からの航空便はかなり限られた筈です。意外に早く着いたと思うべきでしょう。 おそらくコロナ禍がなければ二週間程度だったのではないかと思うので、今はじっくり待つしかないようです。 このように少々時間は掛かりましたがトラブルも無く購入することができました。まずは実績を追記しておきます。

(おわり)nm

2020年9月2日水曜日

【回路】Using the TBA120U as an SSB detector

回路:TBA120Uと言うICをSSB検波に使う
abstract
TBA120U is for PAL-TV  system, but you can use it for FM radio receivers
First, I used FM IF-Amplifier to check the IC I got. After that, I tried SSB detector, but the crystal oscillator circuit with the IF amplifier part needs to be examined.
After some trial and error, I had good results.  I think the resulting SSB detector has a good performance. (2020.09.02 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)

 【TBA120Uを手に入れる
 TBA120Uと言うTV受像機用に作られたICを手に入れました。TV受像機とは言っても現在のようなデジタルTVではなくてアナログ時代のTV用です。欧州系のデバイスですからPAL方式のTV用でしょう。
 TBA120Uは音声信号の増幅・復調用のICです。PAL方式の場合、音声信号は搬送波周波数が5.5MHzのFM変調形式です。従ってデータシートの各項目は5.5MHzのTV用音声信号を前提に示されています。 ただし、NTSC(日米)形式のTVにおける4.5MHzのFM復調やFM放送用受信機の標準的な中間周波である10.7MHzに使うこともできます。
 ここではこのFM波の中間周波増幅(IFアンプ)とFMの復調を目的としたTBA120Uと言うICをSSB波の復調用に使ってみることにします。結果から先に言うとなかなかうまく働いてくれました。通販で容易に手に入るのでHAMが活用するには有望なデバイスだと思います。 TBA120UはアナログTV時代のICですからいずれ消え去るでしょう。しかし今のところ潤沢な在庫が残っているようです。入手は容易です。

                   ☆

 SSBの復調(検波)といえば今ではSA612AのようなIC-DBMがポピュラーです。古くはこのBlogでも採り上げているMC1496G/HSN16913P、SN76514Nなどの専用IC-DBMがありました。従ってあえて別目的のICを使う意味は少ないのかも知れませんが、実験しておけば回路検討の時の持ち駒として役立つでしょう。
 ここでは中華通販で容易に手に入ったので実験してみました。強くお勧めするようなICとも言い難いのですが、本来目的のFM受信機の中間周波増幅と復調に使っても扱いやすいと感じましたので幾つか部品箱に入れておいたら楽しめそうです。以下、自家用の設計情報を纏めたものです。幾らか興味でも湧いてきたようでしたらご覧ください。もちろん何の製作もされないお方が漫然と眺めてみても意味はありません。

 【TBA120Uの標準的な応用法
 届いたTBA120Uの初期チェックを目的にオーソドックスな・・・本来の典型的な・・・用途であるFMの中間周波増幅回路&復調回路を作ってみました。

 上述のようにPAL形式のTV用ICですが、本来の用途の5.5MHzではなく10.7MHzでテストしました。 このような10.7MHzでの使用例が無い訳ではなくこのICを10.7MHzで使ったFMラジオやFMチューナの製作例は幾つも見かけます。 蛇足ながら、なぜ10.7MHzなのかと言えば、FMラジオを含めFM放送用受信機の標準的な中間周波だからです。従って10.7MHzなら専用のセラミック・フィルタやIFTなど部品が入手しやすいのです。AMラジオを455kHzの中間周波で作るのと同じ理由ですね。

 左図の回路ではFMチューナでの活用を想定し、TBA120Uの前にプリアンプを付けておきました。信号発生器(SSG)を使ったテスト結果から見てTBA120Uの単独ではややゲイン不足のようでした。TBA120Uだけでは少々感度の悪いラジオ又はFMチューナになってしまいます。 そこで20dB程度のアンプを追加してやればまずまずの感度になります。
 更に工夫することでアマチュア無線の狭帯域FM用(NB-FM用)に使うこともできそうでしたが、TBA120Uはその目的に対しては最適ではないでしょう。NB-FM用にはモトローラのMC3357やMC3361のような専用ICの方が向いています。これは参考まで。

  ICの内部回路についてはのち程触れますが、簡単に言えば8段くらいの差動型IFアンプとクオドラチャ検波形式のFM復調回路を集積したものとなっています。さらに簡単な電子ボリウムの機能が内蔵されています。残念ながらスケルチ機能はありませんので外付けで対応する必要があります。ノイズをミュートするには電子ボリウムの部分をうまく制御すれば良いでしょう。

 FMラジオ/FMチューナを作るのでしたら、このIFアンプの前にFMフロントエンドを置きます。TBA120Uの検波出力は十分大きいのでそのままステレオ・マルチプレックス復調用のICに直結できます。さらに簡単な低周波アンプを付ければ良い性能のFMラジオになります。あるいは簡単なラインアンプを付加すればFMチューナにもできます。

 【10.7MHz FMで試してみる
 基本的な性能確認のため、まずはTBA120Uの部分のみ試作しました。周波数は10.7MHzです。これはTVの音声復調回路を作っても意味がないためで、FMラジオなどへの応用を睨んだテストと言えます。

 このICのデータシートにも載っているようなごく標準的なアプリケーションです。 キーポイントとなるのはFM復調器の所に使う「共振器」です。ここでは既製品の10.7MHz用IFTを使いました。無負荷Qが70程度とやや低めで同調容量が約50pFのIFTです。アキバのジャンク品なので型番や仕様はわかりません。ややHigh-LでLow-Cなため必ずしも最適なコイルではなかったようでした。

 実験した感触からいうと、もう少し同調容量が大きな10.7MHz用IFTを使うか自分で巻線する方が良いでしょう。 なお、IFTと書きましたが、2次側の巻線は不要なので単なるLC共振器で良い訳です。

 必要なコイルは10KボビンやAmidonのトロイダルコアに巻いて自作するのも容易です。その場合、同調容量は100pF程度へ大き目にする方がよいです。これはTBA120Uに内蔵された位相器のCが結構大きく効いてくるからです。あらかじめ同調容量を大きめにしておくことで丁度よくなります。

 標準的なFM放送は最大周波数偏移が±75kHzと大きいため、復調回路用コイルのQが大きすぎるとピークで歪むことがあります。 その場合、Qダンプするなどの対策を行ないます。但し復調感度は幾らか犠牲になります。 具体的には同調回路と並列に抵抗器を入れれば良いでしょう。この部分は復調感度と歪み率の兼ね合いがポイントです。

 【綺麗に復調できる
 搬送波周波数10.7MHzで、変調周波数1kHz、デビエーションが±50kHzの信号を与えたときの復調信号です。

 十分大きくて、きれいな正弦波が得られました。FM用のICなのですから、復調波形は歪が小さいのは当たり前とも言えそうですね。 TBA120UはTVの音声復調用のICですがHi-FiなFMラジオ/FMチューナ用としても十分通用する性能でしょう。

 FMのクオドラチャ検波はあまりHi-Fiには向かないという話を読んだこともあります。しかし実際にテストしてみるとけして悪くはありません。むしろ調整が容易なので調整不十分なFM復調回路よりも良い性能が得られ易いように感じます。 いずれHi-FiなFMラジオでも作ってみたいですね。 なお、FMラジオに不可欠なAFC回路に必要なバリキャップ用のチューニング電圧も容易に取り出せます。

TBA120Uの入手と留意点
 TBA120はかなり長い歴史を持ったチップのようです。そのため同じ「TBA120」でも様々なバージョンが存在します。上記のようなFMのIFアンプや復調にはもちろんですが、このあと紹介するSSB検波器にも大抵のバージョンが使えます。 但しTBA120Tだけは想定された回路以外への活用は難しいでしょう。手に入れない方が良いです。 現状ではTBA120Uが中華通販で販売量も多く無難な選択です。
 どれも14pinのパッケージで機能は同等ですし基本的なピン配置も類似です。しかし様々な改良バージョンでは追加機能の部分が独特のピン配置になっています。手に入ったもので代替する際には必ず該当品の資料にあたる必要があります。
 ここでは中華通販で手に入れましたが、eBayにもたくさんの出品があります。単価も一つ数十円から1,000円超まで様々です。販売者の信用状況や送料なども考えつつ良さそうなものを選びます。 参考までに私が購入したものは5個セットで$2.97-でした。送料が$0.53-なので合計で$3.50-(約400円くらい)でした。ちょっと実験してみる素材として手軽なのは有難いです。 ここで手に入ったTBA120UはPhilips製でした。




 【TBA120/Aを使ったDSB変調器
 左図はこれからテストするSSB復調回路のヒントになった回路です。 これは復調器ではなくTBA120/Aを使ったバランスド・モジュレータ回路(バラモジ回路)です。 自作HAMのみなさんがお好きなIC-DBMであるSA612Aのような機能を持っています。 ここではこの回路を参考にSSBの復調に使うプロダクト検波器として使ってみたいと思います。

 なお、ここで手に入れたTBA120Uですが左図のTAB120/Aとは内部回路に少し違いがあります。そのためバランスド・モジュレータにはあまり適していないようでした。もちろん復調回路の方には問題なく使えます。もしもバラモジとして使いたいようでしたら、TBA120UではなくTBA120あるいはTBA120Aを手に入れるのが良さそうです。 この図のバラモジ回路はRSGBの機関誌:RadComのテクニカル・トピックスを参照しました。

TBA120Uを使ったSSB復調器
 さっそくTBA120UでSSB復調器を設計してみました。TBA120UはFM波用のIFアンプとその検波器で構成されたICです。当然ですがSSB検波に必要なキャリヤ発振回路は内蔵されていません。

 うまくIFアンプの部分を使って水晶発振させてTBA120U単体でSSB検波器を構成するのがこの回路のミソです。 はじめは上のDSB変調器のような発振回路で試したのですが確実な発振が得られませんでした。 そこで内部等価回路を見直して左図のようにしたところ良い結果が得られました。周波数調整もきちんとできます。なお、IFアンプ部分を発振器に転用せず、外部の発振器からキャリヤを注入する方法も可能です。
 IFアンプ部を発振回路に使うと自動的に検波回路にキャリヤ(搬送波)が注入されるようになります。 そして元々クオドラチャ検波用コイルを接続するための端子のところに復調したいSSB波を加えればうまくSSB波の復調(検波)ができます。

 この図では電子ボリウムの部分をバイパスする使い方になっています。 先ほどのFM IFアンプと同じように活かすことも可能です。 ピン4番とピン5番の直結をやめ、抵抗器とボリウムなどを適宜追加すれば機能を生かすことができます。

 【TBA120Sの内部等価回路
 残念ながらTBA120Uの詳細な等価回路は公表されていません。 電子ボリウムの部分は少し違うようですが、他は同等と思われるTBA120Sの等価回路を参照しました。

 FM用のICをSSB検波に使うと言うと、何となく異常な用法のように思えるかもしれません。 しかし内部の等価回路を見ると案外真っ当な使い方であることがわかります。

 よく見ますとTBA120に内蔵のクオドラチャ検波部はギルバートセル型のIC-DBMそのものです。また全体として平衡な回路になっていて、IFアンプからの信号は下段の差動回路にバランスして加わるようになっています。 従ってこのIFアンプ部分を水晶発振回路に転用するのは意外に理にかなっているとも言えるでしょう。 その様にして使えばSSB検波器として旨く機能します。

 【TBA120UのSSB検波器
 SSB検波器の実験風景です。作ってみるとTBA120Uのピン配置はこうした応用には今ひとつなことがわかります。本来の目的外の応用なのでこれは仕方ありませんね。w

 IFアンプの部分を水晶発振器として使うわけですが、入出力のピンがだいぶ離れていて最適化しにくい感じでした。 まあ、それでも部品配置をやりくりしてまずは安定な水晶発振が可能な状態に持ち込むことに成功しました。 発振周波数の調整もたいへんスムースにできます。

 IFアンプ部はそもそもFM用の多段アンプなのでゲインは十分過ぎるほどありますが、信号の遅延あるいは位相の回転は大きいようです。 そのため、水晶発振が可能な周波数範囲には上限があるようでした。 この例では5.12MHzですが上記回路図と同じ部品定数では8MHzあたりが上限でした。それ以上の周波数で発振させるにはR5:10kΩを2〜3kΩへと減らす必要がありました。

 R5は有り余ったゲインを減らすといった意味もありますので無闇に小さくもできません。 この辺りの限界もあってIFアンプ部分を発振回路に転用できるのはおおよそ15MHzくらいまでではないでしょうか。もしそれ以上の周波数でやりたいのでしたら、別途発振器を用意してIFアンプの入力へ注入する方法で旨く行きます。

 【発振波形は?
 発振回路に使うのは、もともとがFM用のIFアンプですから発振出力の波形はこのようにクリップされた(振幅がリミットされた)発振波形になります。

 SSB復調器に与えるキャリヤ信号としてはこれで何も支障はありません。 ピン6番のテストポイントで観測して150mVppくらいの発振々幅がありました。 これはほぼ決まった振幅にしかなりません。より大きく、あるいはもう少し絞ると言った加減はほとんど不可能でしょう。 しかし150mVppならSSB検波器に対して概ね適当な振幅だと思います。 きちんとした発振さえすれば自動的にこのような振幅になりますから、かえって手間要らずとも言えますね。hi

 【発振周波数は安定
 周波数安定度も確認しておきました。 結論から言うと、一般的な水晶発振器と同等と言えます。 周波数安定度の心配はなさそうでした。

 ここでは5120kHzの水晶発振子を使いましたが、回路図に示した部品定数が適当でした。 8MHzや12.8MHzでも試しましたが、上述のようにR5:10kΩを幾らか減ずるほか、周波数調整用のトリマコンデンサ C9:max50pFやC10:22pFも少し減らす必要がありました。そのようにすればちょうど良い周波数調整範囲が得られます。

 【TBA120U:SSB検波器の入出力特性
 SSBの復調特性を示したグラフです。 回路図のように5120kHzで水晶発振させ、外部の信号発生器から5121kHzを与えて検波回路の入出力特性を測定しました。 周波数差のちょうど1kHzが低周波信号として取り出されるわけです。
 キャリヤ発振に相当する5120kHzの方は先に書いたように発振振幅の加減はできません。そのまま発振させただけの状態です。 この検波器の入力信号に相当するのは5121kHzの方で、これの大きさを変化させて出力の変化を測定します。

  グラフは横軸に入力信号に相当する5121kHzの大きさをとっています。縦軸は検波器で復調された出力信号・・・すなわち1kHzの大きさを示します。 入力信号:5121kHzは-90dBm/50Ωから徐々に大きくして行きました。 入力信号が小さい部分では少しノイズ(Hum)の誘導があるようでグラフは幾らか直線から外れているように見えます。 しかし全般的に見て良好な直線性が得られているのではないでしょうか?
 SA612ASN16913Pのような専用のIC-DBMで作ったSSB検波器と比べても遜色のない性能のように思います。 やや復調感度は低めですがその分だけ大きめの信号まで歪みなく扱えます。TBA120Uとしては想定外な使い方にはなるのですが、得られた性能から見て実用性は十分にあります。

 【SSB検波器の復調波形
 復調された1kHzの波形です。 -17dBmよりも大きな入力では波形の下側から歪んできます。 そこまでは非常にきれいな復調波形が得られました。

 もともと低歪が特徴のFM用復調回路なのですから回路の動作点が最適化されているのでしょう。 SSB検波器としても十分なダイナミックレンジが得られているのだと思います。

 ピン4番と5番の部分を使うと電子ボリウムの機能が得られます。 ただし絞る方法だけの加減が可能なだけなのであまり意味はなさそうでした。この波形は両ピンの間を直結して電子ボリウムの機能をバイパスした状態で観測したものです。 HAM用の機器にSSB検波器として使うのならそのような使い方で十分なように思います。 もちろん、電子ボリウムのメリットもあるのでその機能を生かした設計もあるとは思いますが・・・。 あとは各自の工夫でしょう。

AMの同期検波の可能性
 TBA120を旨く使うとAMの同期検波器ができるのだそうです。 これは未だ実験していませんが、左図のような構成で行けるようです。

基本的にSSBの復調器と同じですが、キャリヤ発振器は必要ありませんので受信機のIF出力をこの回路へ導くだけで済みます。(但し入力レベルの最適化を行なう必要があります) AMの同期検波は混信の抑制や検波歪みの低減といった効果が期待できるため高性能なBCLラジオには有用な機能でしょう。 いずれ必要が生じた際にでも追試したいと思っています。 通信形態から見て、おそらくHAM用の通信型受信機にはあまり必要のない機能ではないでしょうか。

                   ☆

 TBA120を使ったSSBの変・復調回路を見かけたのはずいぶん前になります。面白そうだと思ったのですが、デバイスそのものの入手は困難でした。最近になって古い資料を整理していてあらためて目に留まったのす。そこでさっそく中華通販やeBayで確かめてみました。 その結果、ちょっと遊んでみるにはお手軽な価格でたくさん出品されていました。 ただしTBA120には数種類のバージョンが存在しているようでした。そこでもう一度調べ直す必要がありました。現在もっとも流通しているらしいTBA120Uも活用できそうだとわかったところで発注してみました。 海外通販は配達遅延が続出ですが運良く1ヶ月くらいで到着しました。

 本来の目的とは異なる用途に使うため多少の使い難くさはやむを得ないでしょう。それでもまずまず確実に使いこなせそうな回路に纏めることが出来ました。 あえてこうしたICを転用しなくてもSSBの復調には専用のIC-DBMが手に入ります。従って活用の機会は多くないかもしれません。ここでは回路設計のアイディアの一つとして纏めておくことしました。

 TBA120Uはその本来の目的であるFMのIFアンプと復調器に使うと優秀そうでした。FMのIFアンプと復調器を実験していて感じたことです。 FMラジオやチューナがごく少ないデバイスで自作できるかも知れません。 しばらく前から各地でFMの補完放送(90〜95MHz帯)が始まっていますから自作のFMラジオでチャレンジしてみるのも面白いかもしれません。 フロントエンド部分をどうするのかと言った課題はありますが、シンセサイザ発振器もお手軽な時代ですから自作FMラジオも昔よりもずっと作り易くなっています。十分検討にあたいするでしょう。 ではまた。 de JA9TTT/1

(おわり)fm

2020年8月19日水曜日

【測定】Prescaler Kit for Agilent 53132A Counter

測定器:Agilent 53132Aにプリスケーラ追加
<abstract>
I built a prescaler kit. This kit is for the Agilent Universal Counter Model 53132A.It is distributed by AKC, a group of Japanese amateur kit developers. This kit includes all components as well as a dedicated printed circuit board. It is designed to achieve high performance with fewer parts and is easy to assemble.  The 53132A with the kit was able to count up to the frequency over 4GHz. I am very satisfied with it. (2020.08.19  de JA9TTT/1 Takahiro Kato)

Agilent 53132A
  少し前の機種ですが、このAgilent 53132A型ユニバーサルカウンタには満足しています。高精度な測定が短時間で可能だからです。もちろん「高精度」を実現するためには外部から十分な精度を持った基準を供給する必要があります。 上限周波数は225MHz(公称)ですが、私が必要とする周波数測定はほとんどがそれ以下ですから支障はありませんでした。

 しかし、稀にVHF/UHF帯の周波数を測りたいこともあって、上限周波数に物足りなさを感じていたのも事実です。 オプションには3GHzまでのプリスケーラがあって、それを追加すれば上限を伸ばすことが可能です。 オプションの動作原理は単純そうですから、比較的容易に作れそうです。どうしても必要なら手作りでも・・・と思っていました。

以下、キット開発者グループ(AKC)会員のJR1KDA岩崎さんが開発されたプリスケーラキットを53132Aに付加する話です。 わたし的にはかなり満足できました。

 【Chinese Option 030
 5年ほど前に必要に迫られて53132Aを購入しました。 中古品を購入したのですが何もオプションの付いていないものでした。 中途半端な精度の周波数基準は内蔵されていなくても支障はありません。 外部から高精度を供給すれが良いのですから・・。 ただ、第3チャネル(Ch3)のプリスケーラはあれば良かったと思いました。

 ある時、中華通販を見ていたらアジレント製測定器のオプションが様々売られていることに気づきました。 調べてみたら53132A用のプリスケーラ・オプションもあったのです。 その当時も7千円弱だった筈ですから案外安いとも言えますが、使用頻度を考えると直ちに必要とも言えないためそのまま先送りになっていたのです。  いずれ中華モノを購入するか、1.2GHzくらいまで測定可能な物を自作しようと思っていました。

 【Option 030 Kit
 Facebookから時々案内のメールが来ることがあります。

 少し前ですが、誰か知り合いのお誕生日とかで案内のメールが来たのでした。 それで久しぶりにアクセスしてみたら、偶然にJR1KDA岩崎さんの投稿が目に入りました。

 Agilentの53181A用のプリスケーラをキット化したというアナウンスでした。 確か、53181Aと53132Aは共通のオプションが使えたはずです。 そこで、さっそく頒布希望を表明しておいたのでした。 その後すぐ、詳しい案内があって頒布も始まりました。

 さっそく入手したのがこのプリスケーラ・キットです。 カウンタに組み込むためのすべてのパーツが揃っています。面実装部品が殆どのため、紛れないように個々に包装してあるなどとても丁寧なキットだと思いました。 岩崎さんのサイトから資料をダウンロードして組み立て開始です。

 【Kit Schematic
 回路は合理的なものです。 上の方の中華通販で購入できるものは、おそらくAgilentオリジナルのコピー品でしょう。写真を見るとかなりたくさんの部品が載っています。

 しかし頒布のキットも機能は同じです。 少ない部品で済むのは恐らく開発された時代が違うからでしょう。 今では数GHzで動作する広帯域アンプやプリスケーラのチップは非常にポピュラーになりました。 移動体通信関係の進歩も貢献しています。 信号系にはわずか2つのICが使われているだけです。 広帯域アンプと1/64分周できるECLプリスケーラです。 あとは定電圧電源のICが一つだけという簡潔なものです。 ほとんどの部品が面実装型ですが製作はそれほど困難ではないでしょう。

 【Mount CR Parts
 手順に従ってチップコンデンサとチップ抵抗をハンダ付けしました。 少々ハンダの盛り過ぎの感じもしますが、確実に付いているようなので良しとしました。

 あいにくφ0.5mmのハンダしか無かったのでどうしても多めにハンダが付いてしまうのです。 もしハンダを購入するならφ0.3mmの細いものを使うとよいでしょう。 あるいはクリームハンダを塗布し、面実装部品を全部載せてから基板全体を加熱して一気にハンダ付けするという方法もあります。 しかし、部品数は少しですから手載せ・手ハンダでも困難はないです。

 【Mount μPB1507GV
 おそらく、プリスケーラのチップ:μPB1507GVの搭載が一番難しいでしょう。 組み立て説明書にも書いてあります。 足ピッチが狭くピン数も多いからです。

 慣れは必要でしょうが非常に先が細いハンダ鏝と細いハンダを使えば1ピンずつハンダ付けして行くことも可能です。 私の方法は1ピンずつではなく纏めてハンダ付けする方法です。 やや先の太いハンダ鏝と太めのハンダしかないので、1ピンずつのハンダ付けは難しいのです。 慎重にやってもどこかでハンダブリッジが発生します。 そこで、ハンダブリッジは気にせず、確実なハンダの回りを重視します。 後からハンダ吸い取りリボンを使って余分を除去すればうまく行きます。 写真はそのようにしてハンダ付けした様子です。 ここが製作最大のポイントなので入念に確認しておきます。

 【SMA Connector
 SMA型コネクタ(オス)に細い同軸ケーブルをハンダ付けします。 BNCコネクタの組み立てに慣れていれば何と言うことはありません。 しかしHAMの多くはM型(UHFタイプとも言う)がお馴染みですから、だいぶ違うこれは迷うかも知れませんね。

 写真のような順にパーツを挿入します。シールドの網を広げて長さを切り揃えたら先端のピンをハンダ付けします。 その後、ハウジング(外側の金具)に挿入してケーブル側の押さえを十分に締め付ければ完成です。 但し、どうしてもスッポ抜け易いのでケーブルを強く引っ張るのはやめたほうが良いでしょう。 圧着で組み立てられたコネクタつきのケーブルを買ってくると面倒がないんでしょうが、まあコネクタくらい自分で組み立てましょうね。hi 

All Units
 両端に角形のコネクタがついているフラット・ケーブルは完成品が付属しています。 SMAコネクタが付いたケーブルの他端は芯線とシールド網を分けて短めに切ってハンダ上げしておきます。 それをパネル面用のBNCコネクタの端子にハンダ付けしておきます。
 このBNCコネクタはインピーダンス不整合型ですが、周波数カウンタなので大丈夫でしょう。心配なら別のものを使えば良いですが実際に支障はなかったです。

 プリント基板は部品の未装着はないか確認します。 さらに電源のラインほか信号ラインもGNDパターンなどへ短絡していないか拡大鏡で十分な目視をしておきます。 私は仮配線で5Vの3端子レギュレータの動作や消費電流を確認するなどカウンタ本体への装着前に可能な確認はなるべくやっておきました。 従って、何の心配もなく装着することができました。

 【Prescaler
 写真のようにカウンタ内部に装着します。 カウンタのフレーム金具にはオプション装着を想定した穴加工がされています。 従って、プリスケーラ基板の取り付けのための穴加工などは必要ありません。

  いまでは特殊な工具では無いかもしれませんが、カウンタ本体からケースを外すためにトルクスネジ用のレンチあるいはドライバが必要です。 ケースは背面のパネルの左右両端と、背面下側のネジ1本の計3本のトルクスネジで止まっています。

 基板を浮かせるスタッド・ボルトをフレーム金具にナット止めし、写真のような位置に基板をビス止めすれば基板の装着は完了です。ネジ止めの部分には必ずスプリング・ワッシャも入れておくことをお勧めします。もしあればネジロック(商品名)を少量塗布すれば完璧でしょう。 あとはフラット・ケーブルと同軸ケーブルを取り付ければ装着は完了となります。

 部品の確認から始め、基板の組み立てやカウンタへの装着などおおよそ4時間くらいでした。 初心者の場合、もっと入念な確認を行ないながら組み立てる方が良いかも知れません。しかし休日を1日も使えば十分完成できるはずです。

Maximum Count Frequency
 最後に最高カウント周波数や感度などの測定を行なっておきました。 写真のように約4.1GHzくらいまで測定可能でした。 3GHz以上を目標としたキットのようですが、信号の大きさなど測定条件が良ければ4GHzくらいまで計測可能になるようです。

 少し注意が必要なのは、何も信号は入力せず・・・要するにCh3はオープンのまま・・・だと自己発振のような、ランダムな周波数表示になることです。 これはプリアンプなどと合わせて、ECLプリスケーラが高感度なためのようです。 個体差はあると思いますが、私の製作例では2.6GHzくらいでランダムな表示をします。 もちろん、規定の大きさの信号を与えてやればきちんと測定できるので心配はいらないでしょう。 このような現象は以前作ったECLプリスケーラでも同じように起こったのでこうしたプリスケーラでは固有の現象のようです。

 1GHzの測定例ですが、最小で-30dBm、最大で-5dBmあたりまでが適当な範囲です。 これ以上大きな信号を与えると2倍あるいは3倍の周波数を表示します。 おそらくプリアンプもしくはECLが飽和してしまい、自身で発生する高調波をカウントするようになるのでしょう。 十分な感度があるので、必要に応じてアッテネータを付加するなど使い方を工夫したいと思います。  これで430MHz、1.2GHz、2.4GHzの機器など製作するとき周波数の確認ができるようになりました。

                   ☆

 最近はあまり見に行かなくなったFacebookですが、たまたま覗いてみてよかったと思います。 せっかくのKit頒布を見逃したら残念だったでしょうからね。hi hi

 だからと言ってFacebookを頻繁にアクセスするつもりはありません。たぶん時々覗くくらいでしょう。 全部と言う訳ではないんですが、あそこは何となくリア充の自慢合戦の場のような雰囲気があって私にはチョッと場違いに感じるのです。(爆) 文字数制限はありますが構造的にtwitterの方が幾分マシな感じなので時々覗くことがあります。 まあ、そちらもあまりアクティブではないんですけれどネ。SNSは色々あってどれが合うのか人それぞれですしお好みもあるんでしょう。(笑)

 何だか最後は変な方向へ行ってしまいました。(SRI) このプリスケーラ・キットはHAMフェアのようなイベントでの頒布もお考えだったのかも知れません。しかしコロナの現状ではイベント開催も難しそうです。 せっかくのキットが埋れてしまうのは勿体ないと思っています。 ご紹介したプリスケーラ・キットには満足しています。作りやすく、しかも十分な性能を持っていると思います。 JR1KDA岩崎さんFBなキットありがとうございました。 ではまた。 de JA9TTT/1

(おわり)nm