2024年2月24日土曜日

【Antenna】Making a 30m-Band Whip Antenna

30mバンドのホイップ・アンテナを作る

abstract
The 30m band is a new HAM band in Japan; it has been authorised since 1 April 1982. Only HAMs with an advanced licence can on-air in the 30 m band. Therefore, few HAM stations on the air are available, so existing antennas are limited. High performance 30m band antennas for mobile use are unlikely. If not, it is best to build your own. I build high efficiency 30m band antennas. (2024.02.24 de JA9TTT/1 Takahiro Kato) 

30m Bandとは
 30mバンドは10.100MHz〜10.150MHzの50kHz幅を持ったHAMバンドです。WARCバンドの一つで日本では1982年4月1日から割り当てられた比較的新しいHAMバンドです。かつてはSSBもオンエアできたのですが現在は狭帯域の電波モードしか許可されていません。 具体的にはCW(無線電信)やF1D(FT-8やJT-65などのデジタルモード)が代表的です。

 7MHz(40m Band)と14MHz(20m Band)の中間にあって海外へもよく飛ぶ周波数ですが2アマ以上の資格が必要なHAMバンドです。 そのためニッチなHAMバンドの扱いであり市販のアンテナは限られているようです。 他のバンドとの抱き合わせ製品はあっても10MHz用のホイップアンテナのようなバンド専用品はほとんど選択肢がありません。

 ニーズがない以上、既製品が少ないのはやむを得ないとして欲しくなるようなメーカー製品がないなら自分で作るしかありません。 どんなアンテナが欲しいかと言えば輻射効率に優れるアンテナです。 モバイル局は50Wに制限されています。そんなモバイル局ではあっても、できるだけ良い(強力な)電波が飛ばせるようなアンテナが欲しいものです。 いくらスマートで体裁が良くても飛ばないものはアンテナにあらず、ダミーロードなんてねえ・・・。(考え方は各局それぞれです・笑)

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 よく飛ぶアンテナは誰しも欲しいでしょう。しかし車載アンテナは走行中の安全を考えて機械的な強度や構造を考えねばなりません。従って自ずから寸法・形状や構造に制限が生じます。それにいくら良く飛ぶとは言っても見た目が大げさで手軽さがなければ商品性はありません。メーカー品は「売れてなんぼ」のものなのでお客さんの購買意欲を誘うような方向へ向かいます。

 CWやデジタルモードを走行しながら運用することはありません。危険なので試みない方が賢明です。 半固定での運用に限定すれば輻射効率を追求する方向のアンテナが作れるかも知れません。 材料や手加工の限界で理想通りは難しいとしても可能な範囲で良いアンテナを目指したいと思います。 望むものが無ければ「自分で作る」ということです。

なせ30m Band(10MHz)なのか?
HF帯のメジャーバンドは7MHz帯や14MHz帯です。それに対して10MHz帯はマイナー・バンドなので空いています。従って弱い局でも拾ってもらいやすいです。これが「なぜ」の答えです。 実際に各局運用の様子を見ると昼間は国内が、また早朝や夕刻にはDX局もよく入ってきます。 国内、海外と満遍なく楽しむには向いたバンドと考えてモバイルからHF帯オンジエア最初のバンドに選びました。

ローディング・コイルが命
 ジャンク箱の奥深くからエアー・ダックス・コイルを発掘しました。 然るべきボビンに銅線を巻いて「良いコイル」を自作しようと思っているのです。 そのためにはどんな仕様の(インダクタンスの)コイルが必要か知る必要があります。

 まずは既製品のコイルで様子を見ることにしました。 そのためにエアー・ダックス・コイルを使って実測によって必要なインダクタンスを求めたいと思います。

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 初めはそう思っていたのですが、エアー・ダックス・コイルを評価したところ思っていたよりもQが高く高性能だとわかりました。 最終的にはそのままローディング・コイルとして使うことにしました。 ただし機械的な強度に乏し構造なので実装方法に工夫を要します。

 このコイルはNo.401016という型番です。 直径が40mmで、太さ(線径)が1.0mmの錫メッキ線を巻線のピッチが1.6mm(=線と線の隙間が0.6mmのスペース巻き)になるように巻けば同等品が作れます。
 30m Bandの短縮型ホイップアンテナを全長が約150cmのセンター・ローディング形式で作る場合、ローディング・コイルのインダクタンスは20μH前後になります。もちろん輻射エレメントの寸法・構造によって幾分かは違ってきますが、大幅に違うことはなくてほぼ近似のインダクタンス値になるはずです。

 エアー・ダックスがなければ同等のインダクタンスが得られるコイルを巻けば良い訳です。 短縮アンテナはコイルが命ですから可能な限りHigh-Qが得られるよう巻きます。 上手に巻くとこのエアー・ダックスよりずっと良いコイルが作れます。

インダクタンスを求める
 後ほどの話で出てきますが必要なコイルのインダクタンスは計算することもできます。輻射エレメントの形状寸法などが決まればかなり精度よく求まります。

 初めに計算すれば良かったのですが、いきなり実測でインダクタンスを求めてしまいました。そのような方法でも良いわけです。写真がその様子です。 実験ですのでコイルは裸の状態です。サポートも単にハンダで止めただけなので機械的な強度はまったくありません。

 まずはじめにコイルより下部と上部の輻射エレメントを製作します。 上下ともに最終形状に仕上げるのがポイントです。 上下のアンテナ・エレメントができたら中間にエアー・ダックス・コイルを仮止めして調整開始です。できるだけ最終に近い状態になるようコイルを取り付けておくと仕上げの調整が容易になります。

 共振が確認でき、巻き数が確定できたらコイルのサポート構造を考えることになります。 最初の写真のようにコイル全体をプラ製の容器に収める方法を採用しました。

 コイルは容器のふた部分に接着剤を使って固定しました。 アンテナを付けたまま高速走行できるほどの強度は見込めませんが着脱の繰り返しや少々の風圧くらいで壊れることはないでしょう。 走行しながら使うことは想定していませんが車載アンテナは「しなる」ことを考慮して接合部分に柔軟性を持たせる構造にします。

タップを変え共振追求
 タップの位置を変えながら共振周波数が目的の10.125MHzあたりに来るように追い込みます。

 コイルはタップが取り出しやすいように一回おきに凹ませておきます。 順次タップをクリップで掴みながら共振周波数を測定します。(nanoVNAを使いました)

 これでコイル何回分が必要なのか実地でわかります。 No.401016の場合、29回巻きで良いようでした。(注:これは他の要素によって幾らか違ってきます) 今回、コイルはそのまま使ってしまうのでインダクタンス値は知らなくても問題ありません。しかし知っておけば後々役立つので実測しておきました。19.57μHありました。Qu=255でした。後ほど出てきますが、計算で求めたインダクタンス:20.23μHと実測値との誤差は-3%とわずかです。

 オンジエアする前の微調整は上部エレメントの伸縮によって行ないます。 上部のエレメントは6段のロッド・アンテナ(テレスコーピック・アンテナ)を使っています。 コイルを調整して共振点を求める際は完全に伸ばさずに上部エレメント1段の半分相当分だけ縮めておきます。 あらかじめ伸縮両方向の「調整しろ」を確保しておきます。もちろん全部伸ばしておきバンドの低端に合わせると言った方法もアリです。

インピーダンス・マッチング
 短縮型アンテナの給電点インピーダンスは50Ωにはなりません。効率の良い短縮アンテナなら必ず低くなるはずです。 このアンテナの場合、おおよそ17Ωくらいが見込まれます。

インピーダンス・マッチングにはいくつかの方法があります。
(1)マッチングトランスを使う方法:透磁率の大きなフェライトコアを使いオート・トランス形式のマッチングトランスを作ります。広帯域な特性が得られるため、オート・アンテナチューナがRigに内臓される以前はよく使われました。
(2)インピーダンスマッチング回路を設ける方法:アンテナチューナと同じ考えですが、コンデンサ:Cとインダクタ:Lを使ったタイプはインダクタをローディングコイルの一部に含める方法で簡略化できます。単に給電点にコンデンサを付けるだけで済みます。(写真の方法)
(3)何もつけない方法:Rigに内臓のオート・アンテナチューナに頼るか、外付けの直下型チューナを使います。 ただしRig内蔵のチューナはリアクティブな負荷に対する整合範囲が狭くてうまく行かないことがあるようです。

 ここでは(2)の方法を採用しました。 Blogに計算式を書くと嫌がられるので省きますがアンテナ関係の書籍に計算方法が出ています。 追加になるインダクタンスは約0.4μHですからローディング・コイル(約20μH)に含めることは容易です。根元に入れるマッチング用コンデンサは計算では433pFですが近似値の470pFにします。耐圧500Vのディップド・マイカ・コンデンサを使いました。コンデンサは給電点に直接ハンダ付けします。(最終的には自己融着テープで覆って防水対策しました)

トップ・エレメント
 ローディング・コイルから上部のエレメントはロッド・アンテナを使っています。6段の伸縮式で完全に伸ばすと101.5cm(ネジ部含む)あります。ずいぶん前のHAMフェアで調達したものです。拙宅の長期在庫品(不良在庫品とも言う)だった物を使いました。

 先端には金属製の「コマ」が付いています。短縮アンテナの場合、良いコイルを使いしかも接地抵抗が低いと非常にHigh-Qなアンテナになります。
 そのようなアンテナでは10W程度でも先端部が非常に高電位になり尖っているとコロナ放電することがあります。「コマ」が付いていれば大丈夫な場合も多いのですが更に容量冠も付けると放電対策には効果的です。(放電が始まるとSWRが悪くなります)

 大型の容量冠はアンテナ短縮にも効果があって好都合です。円環を数本のスポークで保持する構造が一般的です。この製作例では構造を簡単にする目的で8の字型の容量冠を設けました。 手持ちのテフロン被覆銀メッキ線:φ1.0mmを使いました。被覆を剥いで要所をハンダ付けして固定しました。 できたらバネ性のある材料の方が好ましくて、燐青銅の細線にメッキしたものが手に入れば理想的です。

 写真の部分がロッド・アンテナの1段分に相当します。この部分の伸縮で共振周波数は約470kHz上下できました。(10MHz付近で)

10MHz Whip AntennaのSWR特性
 写真は10MHz ホイップ・アンテナのSWR特性です。(黄色のトレース)

 10.0MHzを中心に上下500kHz幅で観測しています。 10.110MHzがSWRのボトムでSWR=1.3程度になりました。
 インピーダンス・マッチング回路をもう少し追い込むと更にSWRを下げられるでしょう。しかしまずまずと言ったところでしょうか。

 このアンテナは全長1.5mの超短縮型で・・・短縮率は80%でフルサイズの20%の長さしかありません。 原理上このようなアンテナが狭帯域な特性になるのはやむを得ません。

 10MHz帯のバンド幅はたったの50kHzですが微調整なしではフルにカバーできません。 従ってオンジエアする際は先端を伸縮させ共振周波数を微調整します。 CWあるいはデジタルモードに合わせ先端をわずかに伸縮すれば常にベストな状態でオンジエアできます。 先端部に目印を付けておいたので素早くセットできます。

アンテナは飛ばなくては・笑
 送信に使うアンテナは良く飛ばなくては価値がありません。聞こえるだけではダメです。

 さっそく近所の空き地へ移動してテスト目的にオンジエアしてみました。
 写真は自局電波の飛びがわかるPSKRと言うサイトの画面キャプチャです。これは10.136MHzのFT-8モードでCQを出した際の反応です。時刻は日没の30分ほど前で、トランシーバの送信パワーは50Wです。

 こんな超短縮アンテナですが北米、オセアニアそして東欧方面にも届いているようです。 もちろんコンディションにも助けられていますがあまりにも輻射効率が悪いとちらほらしかレポートが上がってきません。 全長わずか1.5mのアンテナですがそこそこの飛びが期待できそうです。  これくらい飛んでくれればよく飛ぶアンテナとして満足できます。

 今さらですが、このアンテナは「接地」が重要です。もし給電点の直近で良好なボディーアースができていないなら「磁石アース板」(←参照リンク)を併用します。 このオンジエアでも磁石アース板:800pFの物を2枚使いました。

先に計算すべきでした
 センターローディング形式の短縮アンテナを計算するPCソフトを使っています。 アンテナ関係の書籍など参考にして目的とするアンテナの計算に特化したものです。 電卓での計算を補助する程度のもので元はプログラム電卓用でした。

 計算の主目的はローディング・コイルのインダクタンス値を求めることにあります。 簡易なソフトですが計算で得られたインダクタンス値は実際とよく合うのでアンテナ作りに重宝しています。 25年ほどまえモバイルからHF帯にオンジエアしようと思ったときアンテナ製作にかなり苦労しました。問題はローディング・コイルに皆目見当がつかないことでした。それでインダクタンス値を算出するソフトを作りました。 今回の製作でも先に計算しておけば試行回数をいくらか減らせたはずでした。

 ほかにコイル計算のソフトも使います。形状寸法・巻数からインダクタンスを計算するものと、逆に必要なインダクタンスに対する最適寸法と巻数を決めるものです。短縮アンテナにはコイルが付きものなのでこうしたソフトが役立ちます。 コイルの関係はネット上にも計算してくれるサイトがあって利用すると便利です。

 車載用に限らず短縮アンテナの製作は手探りになりがちですが可能な計算は行なってなるべく根拠に基づいて作りたいと思っています。もちろん最後の詰めはカット&トライになりますけど。hi hi

30m Bandホイップ・アンテナのまとめ
 各部をバラバラに説明したので分かり難かったと思います。まとめのために手書きのイラストを載せます。どんな形状のアンテナを作ったのかわかり易く伝われば幸いです。なお、上部が94cmとなっているのはやや縮めて使うことを想定しています。

 モバイル用のアンテナを手作りするHAMがいなくなったためかHAM雑誌では製作記事を見かけなくなったようです。
 適当な材料さえあれば手作りでメーカー製より輻射効率の良い・・・良く飛ぶアンテナが作れます。 自分の手を動かして飛びを楽しむHAMがもうちょっと増えてほしいものです。

 このアンテナの寸法・形状はおもに手持ちの部材に合わせて決まったものです。拙宅の物置を探してたまたま見つけた材料で作りました。手持ちのジャンクも活用しました。 従って寸分違わずまったく同じように製作されることをお勧めするものではありません。

 寸法を示すことでおおよそどんなものを作れば30mバンドのアンテナとして機能するか明確にできたらこのBlogの目的は達成できたと思います。

 ぜひご自身の部品事情に合わせたアレンジでVY-FBなアンテナを製作されて下さい。さらに工夫することで、より良く飛ぶアンテナが作れるでしょう。

 アンテナの手作りには苦労や悩みも付きものですが、良く飛ぶアンテナが出来上がったときの満足感はなかなか大きいものです。  アンテナは無線通信の核心に迫る技術分野ですからなかなか面白い世界です。奥深い領域でもあります。 そして好き勝手な形式のアンテナを次々試して遊べるなんてアマ無線局だけの特権です。(左はアンテナ取り付けのイメージ図) 次回Blogでは40m Band / 7MHz用のホイップ・アンテナを作ります。  ではまた。de JA9TTT/1

つづくfm

2024年2月10日土曜日

【Antenna】Tuning a 6m-Band Whip Antenna

怪しげな6mのアンテナ

abstract
I got a whip antenna for the 6m band at a junk market. However, the resonant frequency of this antenna seems to be much lower than the desired frequency. I first measured the initial value before cutting. Then I cut about 2 inches and observed the change. After the fourth fine-tuning, I had a usable antenna. (2024.02.10 de JA9TTT/1 Takahiro Kato) 

6mはモバイルバンドだった
 中身がないので昔々の雑談です。(笑) アマ無線を始めたころ、モバイル(ボービル)局のメインは6mバンドでした。 バンパーのスプリング基台から立ち上がったフルサイズ・ホイップはずいぶん長く感じました。

 430MHz帯が主流の今となっては6mモバイルが流行るなんて考えにくいのですが技術的・経済的な合理性から当時は6m Bandが現実的だったのでしょう。60MHz帯にあったタクシー無線のジャンクが出回った事情もありそうです。 1960年代の半ばと言えば、中学・高校生で6m AMがブームになるずっと前でしたから技術を持った自作HAMのバンドでした。
やっとTRIOのトラ千(左・回路図は後期型です)が登場するころです。VHF帯の6m Bandは50.0〜54.0MHzの4MHz幅があります。

 6m Bandは思い入れのあるバンドでした。ローカルの先輩局が自作機でアクティブだったので私も手作りRigで仲間に入りたかったのです。 まだ真空管の全盛期でしたがトランジスタでクリコンやミニパワー送信機を作ってました。

 丁度リグ作りで四苦八苦していたころ近所のOMさんと知り合いになりました。 そのOMさんに福山電機のFM-50AというFMトランシーバを研究用(?)に貸してもらったのです。
FM-50Aは車載用で床置きの大きな筺体にスケルチや音量と言った小型操作部が別体になったカー・トランシーバです。 受信は半導体式ですが送信ファイナルは真空管式(6360pp)なのでDC/DCコンバータ搭載です。電流容量のある12V電源が必要でした。
 開局当時の私には大電流のDC電源を自作する技術はありません。それにゲルマニウム・トランジスタの時代ですから10A以上のDC電源はかなり難しいと言う現実がありました。 そこで近所の自動車解体屋にて中古のカーバッテリーを調達しフローティング充電しながらFM-50Aに灯を入れたのです。
 しかし51MHz丁度のワン・チャンネルしかなくてテスト交信できた記憶はほとんどありません。アンテナが軒先ダイポールでは入感なくても当然でしょうか。

以来、6m Bandは自作を楽しむバンドと決めて様々に実験・製作を試みています。近ごろはメーカー製品愛好家に成り下がっちゃいまいましたけれど。(笑)

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 いちばん上の写真は物置で見つけた6m用ホイップ・アンテナを先ごろ購入したK416と言うアンテナ基台(2回前のBlogを参照)に取付けた様子です。 波長6mですから1/4・λのフルサイズ・アンテナなら約1.5m長になります。このアンテナの正体は不明ですが途中にローディング・コイルが入った短縮型です。車高のあるクルマの高い位置に取付けて走るには1.5mは長過ぎますから短縮型は好ましいでしょう。 もっとも半固定でオンジエアなら長くても構わないんですけれど。

 これからこのアンテナを調整します。 このアンテナは給電点のアースが良くないとダメそうですから調整を始める前に磁石アース板を製作しました。(←前回のBlog参照) アンテナ基台の部分で直接アースできればベストですが塗装面を破ってネジ止めするとサビが出ます。 基台はゴム片を挟んで浮いた状態で付いているのでアースは不完全です。 これこそ磁石アース板活躍の場面です。

 謎の6m用のホイップ・アンテナを切り詰めて共振周波数がHAM Bandに入るように調整すると言った話です。 たいして面白くないのでここでやめて頂くのが宜しいのかも。 このBlogは何をやってどうなったかと言う自身の備忘が目的です。  もしご覧になって何か思うことでもあったら遠慮せずにチャチャでも入れてください。(笑)

磁石アース板が活躍
 基台+アンテナだけならスッキリして良いのですがアース不完全では良く飛んでくれません。 それに引き込みケーブルの車内での取り回し状態によってアンテナの共振状態が変わってしまいます。当然ですがSWRも安定しないので調整になりません。

 アンテナを調整していてこのような現象を感じたらアースの不完全を疑う必要があります。 さっそく磁石アース板を付けたら不安定さは簡単に解消しました。 これでやっとアンテナ調整を進められます。

補足】磁石アース板の着脱:
 M型コネクタ(受口)をアンテナ基台に固定するとき配線の付いた大きなワッシャを共じめします。ワッシャにはギボシ端子が付いた配線が数本出してあります。こののギボシ端子の先に磁石アース板から来る配線を繋ぎます。
 磁石アース板をほぼ恒久的に付けておくのでしたら接続端子(ギボシ端子)は不要です。私の運用形態は半固定運用です。移動地に到着したらその都度アンテナとアース板を取付けて運用するので着脱式にしてあります。

怪しげな説明書
 このアンテナはローカルのHAMフェスが何かで手に入れた記憶があります。 新品ですがジャンク扱いなので格安でした。アンテナ作りの材料に使っても損はないと思って手にしたようです。 最近になって物置で見つけたのですが写真のように簡素な(怪しげな?)説明書が巻き付けてありました。(年数の経過で紙ボロボロ・笑)

 この説明書を見ると共振周波数は50MHz帯にはなっていないようです。 だいぶ低いらしいのですが現状が何MHzなのかわかりませんし必要な調整量も明確ではありません。 ただ、少なくとも20cm以上カットする必要はありそうです。 下から2/3位の位置にローディング・コイル(?)があってその上側ではなく下側のエレメントの加減が必要らしいのです。

 けっこうしっかりしたアンテナで全体的にガッチリ作られています。それ自体は好ましいのですが下側のステンレス製エレメントは太くてカットするのは大変そうです。 ロクな道具しか持ってない当局には厄介な調整になそうです。

何回もエレメントをカット
 結局4回もカットする羽目になりました。 もちろんカットを始める前に初期状態の共振周波数を測定しました。 初期値は46MHz辺りにありました。6m用に作ったとは思えないほど低いです。

 上の怪しげな説明書曰く「下側のエレメントをカットして調整しろ」って書いてあります。 しかし、もしも上側のエレメントで加減できるならその方が楽そうに感じました。 ものは試しですから上側エレメントを一旦取ってしまい切断し易い銅線に交換し切断しながら共振点の変化を確認しました。 しかし説明書の通りで、上側の加減だけでは6mバンドに入って来ません。 共振は遥かに下でした。

 下側エレメントをカットします。ではどれくらい短くすべきでしょうか? まずは写真にある①の5cm程度カットして共振周波数の変化を観測しました。(nanoVNAを使用) 共振周波数の変化量から比例計算で予測される最終的な切断量を推定します。

 たぶん切断量と共振周波数の変化量は単純な比例関係ではありません。 しかし50MHzの辺りで数MHzでしたら概ね比例的に変化するはずです。(・・・と思う) もちろん計算通り一気に切ってもし行き過ぎたら目も当てられません。 それで控え目に②の分を切断しました。 しかし思い切りが足りなかったようです。(心配性ですからねえ・・)

 結局、③を切断したところでおおよそ50MHzの下端に到達しました。 最終的に④を切って50.2MHz辺りに合わせました。 共振点はもう少し高くても良いかも知れませんが、CWやデジタルモードで運用するケースを優先すればこれくらいで良いでしょう。 もし51MHz以上のFMでのオンジエアが目的ならさらに5cmくらいカットすべきです。

 しかし太さ3mmのステンレス棒は切断がとても大変でした。専用工具があればいとも容易いのでしょうが持っていません。 どうしてもダメなら近所の鉄工所にお願いして・・・とも思ったのですが、カットアンドトライしながら少しずつ切り詰めて行くという訳にも・・・。 ある程度切れ目を入れたあと折り取ると言った半ばチカラワザで切断したようなわけです。(もうやりたくありません・笑)

6m Band Whip ANTのSWR特性
 写真のようになりました。 だいたい50.0〜50.6MHzあたりまでが使用範囲でしょうか。 FMのメインチャネル:51MHzはSWR>2なのであまりうまくありません。

 CW/SSB/FT-8でオンジエアするならマズマズではないかと思っています。 短縮なしの1/4・λのホイップ・アンテナならもっと広いバンド幅が得られる思います。 短縮すると車載には有利ですがバンド幅やアンテナの輻射効率ではだいぶ損をしますね。

 きちんと調整してやれば正体不明のジャンク品も活きて来ます。 想像ですがこのアンテナはHAMの6m Band用ではなくて何か別の用途・目的用だったのではないでしょうか。もしホントに50MHz用に作ったのなら40cmものカットが必要なのは異常でしょう。 あるいはそれが理由の作り損ないアンテナだったのでジャンクに流れたとか・・・真相は謎のままです。 あなたの想像はどんなものでしょうか?

6m Band Whip ANTが完成
 40cm以上カットしたのでだいぶ短くなってしまいました。 最初の写真のようなスマートさがなくなったように感じます。 しかし共振していないのでは使い物になりません。

 少々短くて迫力のないアンテナになりましたが、これで6mにオンジエアできます。 流石にメーカー製です。しっかり出来ているため走行中の運用も可能そう。 強力タイプの磁石アース板なら剥がれて飛んで行くこともありません。これは使えます。

◎休日ともなると6m Bandは各地の移動局でとても賑やかです。私も移動運用の仲間入りができそうです。 次回はさらに下のHAMバンドを目指します。 ではまた。 de JA9TTT/1


つづくnm