【それってトライバンダー!】
Introduction:
I'm using a handmade mobile antenna that works on the 14 MHz and 18 MHz duo bands.
It works well, but the other day I had a brainwave. I thought that if I shortened the radiant element on top of the antenna, I could use it on 21 MHz.
I quickly tested it and it worked really well.
I had an antenna for a new band without having to do any complicated work.
Yes, the antenna went from dual-band to tri-band ! (2024.12.31 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【14,18MHzデュオバンドが・・】
はじめステンレス製のエレメントを使ったお陰で使いモノにならず、泥縄式に何とか完成させたデュオ・バンド・アンテナをさらに拡張する話です。
このアンテナは最初から2バンド用(デュオ・バンド用)を目指したものでした。 先端部は一本物のステンレス製ロッドを使いましたから伸縮はできません。 バンドの切り替えは中央部分の「ローディング・コイル」にあるタップの選択で行ないます。 共振周波数の微調整も不可欠なので、スライド式小型容量冠を使って行なう方式を採用したのです。
きちんと共振できたので考え方そのものは悪くなかったと思うのですが、ステンレス材を使った上部エレメントがローディング・コイルに干渉して損失が発生したのです。その結果、輻射効率が相当悪くなってしまったのでした。
このあたりの顛末は以前のBlog(←リンク)を参照してもらうとして、結果として上部エレメントをロッド・アンテナ(テレスコーピック・アンテナ)・・・真鍮でできています・・・に交換して旨く完成させたわけです。
出来上がってから何回か使っているうちに「ひょっとしたら他のバンドも行けるのでは?」と思うようになりました。 上部エレメントが伸縮可能な形式になったからです。 縮めたらもう一つ上のバンドに共振できるかも?? 思いはじめてから少々時間は過ぎたのですが、いよいよ試すことにしました。
☆
HF帯モバイル・アンテナの話です。 たぶんここをご覧の99%のHAMには関係ないでしょうね。 それでもいつの機会にか・・・来年でしょうか?(笑)・・・そんなモバイル運用を計画されるかもしれません。 ちょっとだけ興味があったら大晦日の行事を済ませてから日本酒でも一杯やりながら楽しくご覧を。 もちろんワイン、酎ハイとかビールもオススメです。 大晦日がまだ忙しかったら新春の暇つぶしにでもされてください。(笑)
【トライバンダ・寸法図】
さっそく実験結果ですが、これがなかなか「うまく行きました!」
オリジナルのデュオ・バンド状態の寸法図と、21MHzに変身させるための寸法図を掲載しておきます。
完全に同じような部材が準備できるとも思えませんからあくまでも参考程度かも知れません。 しかしだいたいこのような寸法形状で製作すれば14MHz、18MHz、21MHzにオンジエアできます。 部材は多少違っても類似サイズで旨く行くはずです。
ローディング・コイルより下の部分は「一本釣り用グラスファイバ・ロッド」を切った細い先端部に同軸ケーブル:10D-2Vをむいた網線を被せています。 さらに銅の網線がサビるのを防ぐ目的で上から自己融着テープを巻いてあります。
ローディング・コイルが上下輻射エレメントの中間に入るセンタ・ローディング形式です。 コイル部は次項で説明します。
コイルより上の先端部は6段式のロッド・アンテナで伸ばした全長は1,015mm(ネジ部含む)、収縮時の長さは203mmです。元部分の太さは7mmあります。平均的な太さはφ6mm程度でしょう。
14MHzと18MHzでは先端の1段分を完全に縮めた(挿入した)5段分の状態で使います。 さらに先端から2段目は完全には伸ばさす、3段目との間を20mmくらい伸縮させて共振周波数の微調整に使います。 なお、このアンテナではキャパシティ・ハットは設けませんでした。 14MHzと18MHzの長さは5段分マイナス「ちょっと」と言う訳です。
上部輻射エレメントの長さを5段分のままにして長さをあまり変えず、コイルにタップを追加して21MHzに共振させる方法もあります。 おそらく、その方が幾らか輻射効率は良くなるでしょう。 しかし改めてタップの位置を見つける作業が必要になります。 これはけっこう面倒で時間も掛かるので腰が重かったというのもデュオ・バンドどまりでオシマイにしていた理由です。
今回、コイルのタップは18MHz用そのままで21MHzにうまく共振できることが「発見」できたのは大成果でしたね。(笑)
21MHzで使うためには:コイルより上のロッド・アンテナ・全6段のうち先端の3段分を縮めてしまい残り3段分の長さで使います。 それだけですとやや共振周波数が高くなりすぎたので、更に先端部を〜20mmくらい伸ばして共振周波数の微調整に用いました。(左図参照) 21MHzでは3段分プラス「ちょっと」と言うことです。
全長で300mm短くなりますが、こうした構造のアンテナで輻射に最も寄与するのはコイルより下部であり、ここはずべて同じなのでアンテナの効率はそれほど低下しないはずです。
【ローディング・コイル】
既出かもしれませんがローディング・コイルの部分です。
ローディング・コイルはエヤーダックス・コイル:401016を25回分カットして使っています。 実際にコイルとして働いているのは、18MHzで12.5回分、14MHzで19.5回分です。 なお、21MHzは18MHzと同じ巻き数のまま使います。従って12.5回巻きということになります。
エヤーダックスは既にいにしえの部品です。 太さφ1.0mmの錫メッキ線を直径40mmのボビンにピッチ1.6mmで巻けば同等品が作れます。 錫メッキ線は4mくらい用意すれば良いでしょう。 ボビン(巻枠)としては塩ビ管などが考えられます。
必要なインダクタンスは、いずれも概略値ですが14MHzが12.7μH、18MHzは6.7μHです。 それぞれのバンド用にタップを引き出しますが、実際には共振周波数を測定しながら加減する必要があります。 なお21MHzは上部エレメントの長さを縮める形式なので18MHzと同じインダクタンス:6.7μHのまま使います。 コイルが良くないと・・・Qが低いと・・・効率が上がりません。良いコイルこそ良く飛ぶアンテナの秘訣です。
コイルのサポート方法ですが、ケースの蓋(フタ)の部分に固定用の穴加工を行なったあと接着剤で止めています。
コイルのケースは200mLのサンプル容器というもので、フタの部分(白)の中央にきつめの穴を開けて下部エレメントのグラスファイバ・ロッドへ圧入されています。 これだけだと回ってしまうので更に接着剤で固定します。 なお、容器はフタの部分が下になるよう上下逆にして使っています
ケースの胴体部分(透明)はスチロール樹脂製で、回して白いフタの部分からフリーに取り外せるようになっています。 これはコイルのタップを替える都合からです。 従って隙間があって防滴・防水構造は難しいので雨天での使用は考えていません。 フタとのネジ部分からも雨水が侵入しそうなので晴天用アンテナと考えています。
【マウントしてテスト!】
車体左後方のアンテナ基台にマウントしています。これで21MHzの状態です。 磁石アース板(←リンク)は2枚付けています。
手前の144MHz/430MHzのアンテナよりも短そうに見えますが、実際はやや長くなっています。 全長は1,120mm前後になります。(21MHzのとき)
21.074MHzの1/4波長は3,380mm(波長短縮率0.95を考慮済み)なので、67%短縮された・・・要するに33%分の長さに短縮されたホイップアンテナとなります。 フル・サイズ・ホイップアンテナの三分の一の長さしかありませんから、アンテナとしての輻射効率はだいぶ落ちてしまいます。
ただし14MHzや18MHzより波長も短くなってくるので両バンドと同じようなものではないでしょうか。ηa=20〜25%ほどか?
【SWRも下がってOK!】
nanoVNAで共振周波数とSWR特性を確認しています。 ボトムでSWR=1.13を示しているのでまずまず良好です。
今回行なった実際の実験手順としては逆でして、エレメントを徐々に縮めながらnanoVNAを駆使して共振周波数を探す・・・と言った作業を繰り返しました。 その作業の最終結果を纏めたのが上に示した寸法図です。
このアンテナは移動地に着くまで全体を縮めた状態で持ち運んでいます。次回の運用では図面のサイズから始めて先端を微調整しジャストに共振させてから使います。数回の移動運用に使用しましたがこの方法で問題ありませんでした。nanoVNAは持ち運んでいます。
18MHz(18.100MHz)と比べて全長で約300mmの違いですから、だいぶ縮めることで21MHz(21.074MHz)に調整できたわけです。 さらに縮めて24MHzにもチャレンジすべきだったかも・・・。w (さらに300mmほど縮めれば何とか24MHzバンドに入りそう?)
【PSKRで飛びを見る】
これは私自身が目標にしていることなのですが、送信に使うアンテナは飛ばなくては価値がないと思っています。いくら良く聞こえても飛びが悪かったらHAMの交信には使えないからです。 もちろん個人的な目標にすぎませんが・・・。
飛び具合が自分で作ったアンテナの評価基準です。 21MHzにうまく共振したからと言って使い物になるか否かはまた別でしょう。 さっそく近所の公園へ出かけてPOTAを試みました。
市内の総合運動公園からオンジエアです。ここは上武県立自然公園(JP-1150)に含まれています。やや高台なので無線には向いたロケーションのように感じます。 HF帯は電離層反射なので上空が良く開けた場所ならどこでも大丈夫だと思いますが・・・。 もちろんアンテナは写真のもので、送信パワーは50W、モードはFT-8でオンジエア開始です。
写真は帰宅後にPSKRで飛び具合を確認している様子です。 日照のあるエリアによく飛んでいるのがわかります。 21MHzでの初POTAでしたが、JA局と交信するのに苦労しました。国内のような近距離はだいぶスキップするのです。 このアンテナの基本的な特性は接地型と同じで垂直偏波です。従って思っているより打ち上げ角は低いのかも知れません。 車載ホイップは指向性が出ることが知られています。当局の車載状況ではクルマの右前方向に弱い指向性が現れるはずです。
JA局のみ相手にしていては、このままだと10交信に届かずアクティベーション失敗になりそうだったので画面に見えてくるCQ局を次々に呼んで交信局数を稼ぎました。w
中には当局のCQに応答してくるDX局(イタリア局、インドネシア局、ウクライナ局)もあって流石にここはDX Bandであることが実感できました。 結局、約50分間の運用で16局ほど交信できました。うち4局だけがJAです。hi hi
JA局のほかBG5、BG7、BI4など中国局が複数と、IW4、OH6、EA5、3W9、YC7、CX6、UX8、UG0など、DX局がずっと多くなりました。 中国やオセアニアのほか南米やヨーロッパへもかなり飛んでびっくりです。 帰宅後にPSKRを確認してなるほどと思ったしだい。 いまは太陽黒点数(SSN)のピークでHF帯ハイバンドのコンディションはかなり良好なのです。
コンディションに大いに助けられた成果でしょうが、まずまず飛んでくれそうな21MHz用アンテナが手に入りました。合格と言えるでしょう。 これで7MHzから21MHzまで車載から5つのHF帯HAMバンドにオンジエアできるようになりました。 思い立ったら何でも試してみるものです。
☆
自宅から無線が楽しめないとお嘆きならRigと移動用ANTを持ってお出掛けされてはいかが? ロケーション良好な移動先からDXだって狙えるでしょう。 アンテナ製作に自信がないのでしたらFBな移動用ANTが頒布されています。 友人のJA6IRK/1岩永OM(←Webショップへリンク)の頒布品はお勧めの一つです。 改良を重ね良いアンテナを目指しておられます。 次回頒布のチャンスを狙ってぜひ手に入れてみてはいかが? これでアナタもPOTAデビューできるかも。(笑)
【私のPOTAまとめ】
このBlogは21MHzのアンテナがテーマですが、モバイルからの運用を目的にしたものです。 POTAって初耳ならこちらの→リンクをどうぞ。
一年とちょっと前の2023年11月末に初めてテスト運用を行ないました。 何も目標がないとメリハリがなくなってしまうので、新規の公園30ヶ所での移動運用を当面の目標にしました。 幸い、今年;2024年11月には30ヶ所目のACTに成功しました。
POTA活動はアクティベータがメインなので公園移動局どうしの交信:パーク・ツゥー・パーク(P2P)も楽しみの一つです。こちらも今月12月には50交信に届きました。
たまたま暇ができたらふらっと出かけてみなさんにお相手いただくと言ったスタイルでやってます。たかが遊びですから「無理はしない」が大原則です。たしか、POTAのサイトにも真っ先にそんなことが書いてありましたね。 それでも公園から1,000交信をだいぶ超えました。 いつもコールいただき有難うございます!
2025年はぼちぼち足を伸ばして新規の公園50ヶ所を目指してPOTA活したいと思ってます。 運用実績のないV/UHF帯50MHz〜1200MHzでPOTAも新テーマです。 スローペースですが聞こえてましたら宜しく!
参考:災害発生など非常時に備えた車載AC電源の活用実績も積めたと思っています。
☆
2024年はモバイル・アンテナの話からスタートしました。 色々アンテナ製作を試してそれを活かしたPOTAを楽しむことができました。 Blogの方ではアンテナの話に続きジャンクな五極管にスポットして実験を楽しみました。 こちらは少々停滞気味ですがこの先も続く予定です。 さらにAudio関連ではBGMの低音改善とスピーカ修理も楽しめました。 そして今年最後のBlogは再びアンテナの話題に戻って締めくくりができたと思っています。 2024年よさようなら。 良いお年を! ではまた。 de JA9TTT/1
(おわり)nm
2024年12月31日火曜日
2024年5月8日水曜日
【回路】Repair the Antenna Tuner , FC-700
【アンテナ・チューナの整備と研究】

abstract
I am repairing a Yaesu Musen FC-700 antenna tuner. I have been using this antenna tuner for a long time. It seems that the contacts of the switch have oxidized due to years of use. It will be possible to repair it by cleaning the contacts of the switch.
And I will use this repair opportunity to study the inside of the FC-700. I have also considered several antenna tuners.(2024.05.08 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【FC-700:Antenna Tuner】
FC-700は八重洲無線のアンテナ・チューナです。FT-77、FT-707といった1980年代のトランシーバのアクセサリでした。 今では上位機種でなくてもオート・アンテナ・チューナ(ATU)の内蔵が普通になっています。しか30数年前はまだ外付けの手動式アンテナ・チューナが一般的だったのです。
このFC-700はもともとモバイル用に購入したものです。 固定局のアンテナはインピーダンスが50Ω付近になるよう作っていたのでチューナーは特に必要としていませんでした。 しかし整合が難しい車載用アンテナで使おうと思って購入した経緯があります。(1990.11.21:3.5MHz Mobaileに初OA)
ところがバリコンで同調する形式のチューナは振動でズレれしまい車載では使えないことがわかりました。 すぐに引退したのですがシャックにあってもあまり使う機会はありませんでした。 それに最近のトランシーバはATU内蔵が普通になったので50Ωから大幅に外れていなければ内蔵ATUで支障なく整合可能です。 それと、オートに慣れると手動は不便に感じますね。(笑)
走行中に使うのでなければ支障はありません。 移動運用先の半固定でアンテナ整合の補助として使うのなら十分役立ちます。 最近復活した移動運用にあらためて使うことにしました。 ところがずいぶん古いため接触不良が目立っていたのです。 外観はまずまず綺麗でしたが内部のスイッチ接点は酸化・硫化が進んだのでしょう。整備することにしました。
☆
こんな古いアンテナ・チューナを整備する人は稀でしょう。あまり役立たないとは思いますが自身の整備記録としてBlogにまとめます。 また、せっかくの機会ですからよく観察してメーカー製アンテナ・チューナを研究することにしました。 もしも興味があればこの先もどうぞ。 アンテナ・チューナの自作は意外に挑戦者が多いので幾らか役立つかもしれません。
【FC-700:内部構造】
後ほど回路図も出てきますが、アンテナ・チューナは単純な装置です。従って見たところもシンプルです。 部品配置がわかるように取扱説明書からコピーしました。
写真で、左上の入力コネクタにトランシーバ(送信機)を接続します。 アンテナは右上の出力コネクタに接続します。 単線式のワイヤーアンテナも使えますが、その場合は必ずアース側の配線も必要です。 右の出力コネクタ寄りにアース用のターミナルがあります。
入力コネクタから入ってすぐにSWR検出回路があります。C-Mカプラ式のオーソドックスなものです。そのあと心臓部の整合回路になります。
このアンテナ・チューナはいわゆるπ-C型(パイ・シーがた)と称する形式です。 後ほど詳しく触れますが市販のアンテナ・チューナではT型と共に良く使われる形式です。 最近の内蔵型オート・アンテナ・チューナでも良く見られる形式です。 特別変わったものではありません。 八重洲無線のアンテナ・チューナにはπ-C型、T型のいずれも存在しますのでどちらかが特に有利と言うこともなかったようです。
【接点の清掃】
さっそく整備を始めましょう。 メーカー製だけあってFC-700はなかなかうまく出来ていると感じました。
専用に作らせたスイッチが使われていて電流容量が必要な部分はダブル接点になっており、また耐圧が必要な部分はステア・タイト絶縁になっています。インピーダンスの低い部分はベークライト絶縁で済ませています。 この辺りが自作ではなかなか真似のできない部分です。
接点板と接触子は銀メッキのようです。 そのため長い年月の経過で硫化が進んだようでした。 観察すると黒ずんでいたのでそれで接触が悪くなったのでしょう。 サビと汚れを上手に清掃すれば復活できるはずです。(写真は清掃後のもの)
【接点復活剤:コンタクト・スプレー】
接点復活剤(コンタクト・スプレー)と称するケミカル製品は様々なものが売られています。 電子機器用と称するものでしたら大抵のものが使えると思います。
ここではホーザンの製品を使いましたがだいぶ古くなったので腐ってる(?)かもしれません。 でも取りあえずまだ効果はあるので使ってます。w
こうしたスプレーにはストローのような噴射チューブが付属しています。 そうしたもので直接噴射しても良いのかもしれませんが、それには接点以外の余計な場所に付着した分を洗い流す必要があります。洗い流すには専用の洗浄剤が必要です。
それも大変なので、私は綿棒の先に付けて要所のみ清掃することにしています。 少々手間ではありますがスプレーの残渣だらけでベトベトになってしまうと後々埃が付着し固着するのでかえって厄介なことになります。機器の寿命を縮めることにも繋がります。
残渣が残らない無水アルコールなどで清掃する方法もあります。 しかし汚れを落とす能力はこうしたスプレーの方が優っているようです.使い過ぎると旨くありませんが要所に上手に使えばかなり効果的です。
【汚れが・・・】
綿棒の先には汚れがいっぱい付いてきました。w
ひどい汚れが除去できたら綺麗な綿棒に交換して仕上げの清掃をしておきます。 アンテナ・チューナのロータリー・スイッチは接点がたくさんあります。 丁寧にやろうとすればかなり時間が掛かるでしょう。
はじめ、上蓋だけを外して雑に作業していました。 それである程度良くなったのですがまだ不完全でした。 それに綿棒を押し込んだ結果、少々無理な清掃をしてしまいました。そのため接点の一部を曲げてしまい致命的な接触不良を作ってしまったのです。orz
それで止む無く底蓋も外し丁寧にやり直すことにしました。 曲げてしまった奥のほうの接点もピンセットで慎重かつ丁寧に元の形に戻しました。 特にデリケートさを感じたのはコイルのタップを切り替える接点で難しさを感じました。 何とか接点による不安定さは改善できました。 清掃によって全般に接点が綺麗になったためか接触不良も感じなくなりました。 アンテナ・チューナは機器としては単純なものです。 デリケートな部分もあって初心者向けとは言えないかもしれませんが、目視でわかる不具合も多いので良く観察して作業すればうまく直せるのではないでしょうか。
再整備としてはSWR計の反射調整とパワー計に切替えた際のメーター再校正などが残っています。 外付けのダミーロードで確認した範囲ではこれらに問題はなかったので今回は手をつけませんでした。 もしSWRの表示やパワー計の指示ズレが目立つようならきちんとした終端電力計や50Ωダミーロードなどを併用して再調整を要します。
☆
【FC-700の回路図】
蓋を開けたのでせっかくですからFC-700を研究してみました。
取扱説明書からコピーした回路図です。 メーカーのサイトで取扱説明書がダウンロードできるので正式な図面はそちらを参照してください。 左の図はBlogの説明用です。
スイッチがたくさんあるので複雑そうですがアンテナ・チューナの回廊としてはπ-C型の単純なものです。 後ほど単純化した図面があります。
書籍などアンテナ・チューナ関係の資料を参照するとスイッチで切り替えている:C1〜C13というコンデンサがバリコンになっているものがありました。 FC-700ではトランシーバの出力インピーダンスは50Ωであるとの前提で、バリコンではなくバンドごとの固定コンデンサに置き換えたものでしょう。 バリコンにすると操作部が増える上、コストもかさみますから固定コンデンサの切り替えですませる方法は現実的です。
コイルはL01とL02の2つに分けられています。 各コイルとも使わないタップは間をショートするようにしています。 複数のタップ間を細かくショートしてショート部分で無用な共振などが起こらぬように特別に構成されたスイッチが使われています。 芸がこまかいと言うか、こうしないと旨くないのでしょう。
入力コネクタから入ってすぐにSWR検出回路があります。C-Mカプラ式のオーソドックスなものです。 バイファイラ巻きのトロイダル・コイルを使ったカレント・トランス式なので基本的に周波数特性は平坦です。
50Ωのダミーロードが内蔵されています。 ただし切り替えにリレーを使っている関係で外部からDC電源(+8V)を供給しないと機能しないのは残念です。
ダミーロードはシャックの必需品です。 メーカー機ばかり使っていると必要は感じないかもしれませんがRigの修理や自作送信機のテストには是非とも欲しいものです。
近頃はオンエア前にPlateとLoadバリコンを調整するようなトランシーバ(FT-901やTS-820,etc)は見なくなっていますが、もしこのアンテナ・チューナを併用するなら内蔵のダミーロードは重宝します。 まずダミーロードに切り替えてトランシーバのPlateとLoadを加減し所定のパワーが出るよう調整します。続いてチューナに切り替えて整合調整を始めることになります。
整合調整はまず目的のバンドに切り替えます。SWR計を反射波側にセットし適度なパワーに絞ったのち送信をはじめます。チューナのTuneとLoadのバリコンを交互にゆっくり回しSWR計の「反射」が最低になるよう調整します。 慣れると勘が働くようになってバリコンを「予測」で余分に回せるようになり素早く整合できるようになります。(勘の悪い人は手間取ります・笑)
このようにSWR計はアンテナ・チューナに不可欠です。 使用時には「必ず」メータを見ながら反射電力が最小になるようにTuneとLoadのバリコンを「入念に」調整する必要があリます。 また、このC-Mカプラ式の内蔵SWR計は簡易なパワー計としても機能するので重宝です。 ただしメーターは小さいですし多分周波数特性も完全なフラットではないでしょう。パワー計としての精度はあまり良く無いと思いますが無いよりもずっとマシなのは間違いありません。
このチューナが接続してあればスイッチがスルー状態でも常にSWR計としてアンテナ系を監視できます。 また通過型のパワー計としても便利に使えます。 パワー計の目盛は15Wと150Wフルスケールの2レンジあります。
ところで、こうしたアンテナ・チューナは便利なものですが、必ず「通過損失」が存在します。 これは50Ωの終端電力計をつないでスルー状態とチューナを入れた状態を比較すればすぐにわかります。 だいたい5〜10%くらい損すると思えば良いでしょう。チューナを通すと10Wが9Wになってしまうのです。 しかも50Ωを大きく外れるような負荷(SWRがとても高いアンテナ)の場合はさらに大きな通過損失がチューナ内部で発生すると思って間違いありません。 ですから、なるべくアンテナそのものが50Ω付近になるよう製作(調整)してアンテナ・チューナなど必要としないようにすべきなのです。
【コイルに注目】
このアンテナ・チューナで私が注目したのはコイルの部分です。 従来のアンテナ・チューナでは決まって空芯型の大型コイルが使われていたからです。 そうしたQの高い空芯コイルを使うのが「アンテナ・チューナの常識」だと思っていました。
トロイダル・コイルが使えるというのは目から鱗と感じるほどだったのです。 もちろん空芯のHigh-Qなコイルを使う方がロスは少ないでしょう。 しかしFC-700のように薄型でコンパクトに作ることはできません。 これは他社のアンテナ・チューナの内部を見れば良くわかることです。トロイダル・コイルとは、ちょっと思い切った方法なのでびっくりしたものでした。
3.5MHz〜14MHzと言ったローバンドではトロイダル・コアに巻いたコイルは省スペースになってFBです。 しかしハイバンドになるとトロイダル・コアのロスが増えるのと、うまくタップが取り出せないことから空芯コイルの2つに分けたものと思います。
【2つのバリコンは・・】
バリコンは2つ使われています。 いずれもギャップは狭くてあまり耐圧は高くないでしょう。 せいぜい1kVではないでしょうか。
仕様上の整合可能なインピーダンス範囲を狭くとっているため1kV程度でも何とかなるのでしょう。
それでも10Ω〜250Ωとなっているので最近のRigに内臓のATUよりも整合可能な範囲はずっと広いです。この辺りがテキトーに張ったワイヤ・アンテナでも意外にうまく整合できる理由なのでしょう。 まあ、そう言った”アンテナ”は整合はできても飛びは別の問題なんですけれども。(笑)
注意としては1/2λに近いワイヤーのようにインピーダンスが高くなりそうなアンテナはやめた方が良さそうです。 QRPならともかく100Wではバリコンの耐圧が問題になってきます。
【入力側コンデンサ】
写真はπ回路の入力側コンデンサです。 既に書いたようにRig側のインピーダンスは50Ωであると想定しているので、容量が固定されたコンデンサで済んでいるのでしょう。 各バンドともXc=25Ωになるような設計で整合範囲を広く取るのが目的でしょう。
コンデンサはすべてディップド・マイカ(シルバード・マイカ)です。 E12系列を基本とし一部にはE24系列の市販品から容量を選び、それでも適切な容量が無い場合は2個並列で必要な容量を合成しています。 従って、使用できるHAMバンドはWARCバンドを含む3.5MHz〜28MHzの8つですがコンデンサは13個あります。
アンテナ・チューナを自作する場合もこうした手法は参考にできるでしょう。 単一のバンド用チューナなら切り替えスイッチも要らず容易に作れます。
【SWR・パワー計検出部】
C-M型のSWR・パワー検出回路になっています。 原理的に周波数特性はフラットなのでバンドによって感度の変化はありません。(そうは言っても完全なフラットではないでしょうけれど・・・しかし実用上の支障はないはずです)
SWR計はアンテナ・チューナには必須の機能です。もし内蔵されていなければ外付けする必要があります。
アンテナ・チューナに必要なことは整合状態の検出です。 整合しているかがわかれば良いのであってSWR値は読めなくても支障はありません。 従ってSWR測定回路ではなくて、インピーダンス・ブリッジ形式の整合検出回路を内蔵するアンテナ・チューナも存在します。 しかしせっかくですからSWR計になっている方がFBでしょう。 オンジエアしながらSWRが監視できますし通過型のパワー計にもなって便利です。
検証はしていませんが検出部に使ってあるトロイダル・コアはT-37-#1のように見えます。 #1材はあまりポピュラーではありませんがカーボニル・コアのTシリーズでは最も透磁率が大きいマテリアルです。 フェライト・コアのFTシリーズで自作する例が多いのですが、カーボニルの#1材の方が何か良い点があるのかも知れません。(これは要確認です・笑)
【内蔵ダミーロード】
50Ω/100Wのダミーロード部分です。
抵抗器は1kΩ/5Wのごく普通のものが20本並列で使われています。抵抗器は小型で耐熱性に優れる酸化金属皮膜型です。周波数特性を補償する目的で10pF/1kVのマイカ・コンデンサが並列に入っています。
5Wが20本ですから計算上は100Wですが連続的にそれだけの電力を消費できるわけではありません。 FC-700の仕様書には30秒と書いてあります。 抵抗器が密集していますし中の方は熱放散が悪いでしょう。連続ではとても持たないわけです。
昔、似た方法でダミーロードを作ったことがあります。 周波数特性もHF帯なら問題なくうまく動作します。 課題は冷却で、強制空冷するとか何か効率的に放熱して冷却する方法を考えておかないとすぐに過熱するのが問題でした。hi
☆
以上、FC-700の各部を眺めてみました。 流石にメーカー製だけあって構造や部品配置が工夫されており各部は最短距離で配線されていてます。 スイッチなど特殊品なのでそのままそっくり真似はできないと思いますが工夫された部分は学びたいものです。
このあとはちょっとしたアンテナ・チューナ回路の雑談です。
【アンテナ・カプラの基本回路】
今では送信機(トランシーバ)とアンテナを整合する装置は「アンテナ・チューナ」の呼称が定着しています。
私が若かった時分は「アンテナ・カプラ」と呼ばれていました。
同軸ケーブルでの給電が常識になる以前は「ハシゴ・フィーダ」と言った平衡給電が行なわれていました。 たいてい同調フィーダとして使いますからフィーダ上に定在波が立つのは常識でした。そのためアンテナ・カプラはシャックの必需品だったのです。
その後、不平衡型のケーブル・・同軸ケーブル・・で給電する時代になってもアンテナ・カプラは良く使われました。(左図は古い形式の例です)
もちろん今でも有効に使える回路ですが、この形式で厄介なのはコイルの1次側と2次側の結合度を可変する必要があることでしょう。コイルを機械的に動かして結合度を可変するケースが多いのですが、代わりに1次側(送信機側)のリンク・コイルにも直列にバリコンを入れる形式もあります。バリコン形式にするときにはリンクは2倍くらい多く巻きます。
もし作るのでしたら(b)の中間型にしようと思います。 端子板を使って配線換えで(a)や(c)に変えられるように作っても良いのですが煩雑になってしまいます。 しかしうまく作るとバリコン一つで済みますから経済的で悪くない回路だと思っています。 固定局のようにアンテナの形状がだいたい決まってしまうと一度調整すれば良いわけですからコイルの結合調整も煩わしいと言うほどではありません。
コイルとバリコンで運用周波数に共振させることになります。 共振させるためのコイル(インダクタンス)とバリコン(キャパシタンス)の組み合わせは無数にあるわけですがアンテナ・カプラとしてはHigh-C、Low-Lの組み合わせが適しています。
部品数の少ないアンテナ・カプラです。 コンパクトに作って移動運用にも重宝する「小型アンテナ・システム」になりそうです。 何の変哲もない「同調回路」ですが眺めていてそう思いました。
古よりシャックで使うアンテナ・カプラといえば太い線を巻いた立派な(巨大な)コイルとギャップの広い大型エアー・バリコンと相場は決まっています。 しかしそれでは移動運用には大げさです。パワーに見合った部品を使うと言ったちょっとした発想の転換も必要そうです。
【L-Zマッチのアンテナ・チューナはいかが?】
上記の古いアンテナ・カプラを眺めていて「Zマッチ」を使ったらどうだろうかと思いました。
Zマッチというのは2連バリコンを使いコイル一つで広い周波数可変範囲を持った共振器を構成する方法です。
左図の左側の囲みのようにLとCを並列共振と直列共振に組み合わせた回路です。 作り方次第ではHF帯を一つのコイルと一つの2連バリコンでカバーできます。 上記のアンテナ・カプラのLC共振器をこの回路に置き換えれば少ないパーツでオールバンド・アンテナ・チューナorカプラが作れそう。
実はそう思ったHAMはたくさんいたようです。 ネットで探すと似た発想のアンテナ・チューナが幾つもヒットします。
図はARRLのAntenna Compendium Volume3という書籍にあった回路です。(Page:191〜、W6JJZの執筆) 記事には2つ回路があって左図はそのうちの簡略版の方です。いくらか制約はあるようですが回路はシンプルです。 うまく使えればマルチバンド対応の移動用アンテナシステムがコンパクトに構成できるかもしれません。 基礎的な実験からでも初めてみたいと思っています。
なお、先人のテスト結果もネット上にいくつか見られました。 それによればZマッチを使ったチューナは回路自体の通過損失がかなり大きくなって効率的でないケースがあるそうです。 さらなる検証は必要そうですが、ある程度のディメリットはあってもシンプルさと言った特徴が発揮できそうなら採用する意味はあるかもしれません。
実験していませんから推測にすぎませんがZマッチを構成するコイルのインダクタンスとバリコンの容量によってもかなりの違いはありそうです。 さらにLow BandとHigh Bandではたとえ共振はしていても共振インピーダンスに大きな違いがあるはずです。 アンテナ・チューナ回路として負荷をかけた状態(=アンテナをつけた状態)であまりにもHigh-Qになる(例えばQL>30)ようでは損失が激増するのも当然です。
従ってLとCの組み合わせの上手いところを探す必要があるのでしょう。 それにしても可能性がありそうなチューナ回路だと思いました。
【FC-700の解析】
回路図の最後はFC-700の解析結果です。
取説の回路図に書かれていて部品定数がわかるパーツは実際に内部を見ただけでもおおよそ理解できるものです。 しかし問題のコイルだけは現物を見てもどんな部品定数なっているか、にわかにはかわかりにくいのです。
幸いトロイダル・コイルはコア材がわかりました。 T-157-#2に間違いないためAL値は簡単に判明します。 数えれば巻き数もわかりますから計算でインダクタンスも求まるでしょう。 空芯コイルの部分も寸法と巻き数がわかったのでかなり精度よく計算できました。
ただし、見落としてはいけないことがあります。 多バンド型アンテナ・チューナ特有の構成のためインダクタンスには不確かさがありそうなのです。
全巻線を使わないほとんどのバンドでは途中タップを使って小刻みに巻線をショートしているからです。そのショートされた部分は影響しないのでしょうか? そのため実効的なインダクタンスは計算される大きさとは異なっているかも知れません。
まあ、まったくの同等品を作りたいのであれば同じ材料で同じ形状・構造に作れば実現できるるわけで、そういう意味での再現性は十分にあるでしょう。 しかし図に参考として書いてあるインダクタンス値は確かではない可能性が残っています。
この図は独自の研究によって推定して得たものですからメーカーの設計意図を正しく反映していない可能性があリます。 従ってこの図をもってメーカーにご質問などされることはおやめください。 ご迷惑をかけるだけです。
どうしても確かめたいのなら材料はわかっているのですから自ら同じように作ってみたら良いわけです。 確証が得たいなら是非そうされてください。 私からのお願いです。
【アンテナ・チューナの参考書】
アンテナ・チューナの関連で蔵書を漁っていたらこのような書籍を見つけました。 買ったことを忘れていたくらいなので中身の記憶はぜんぜんありませんでした。
書名が「アンテナ・チューナ」とはなっていませんからチューナの製作記事を期待してはいけないのかも知れません。 おもにチューナのオートチューニング技術を扱った内容と言ったら良いでしょうか。
しかしアンテナとRigの間のチューニングのお話としては面白い研究内容です。 こうした分野にご興味があったら一読をお薦めしたいと思います。 絶版と思われますので図書館の利用がよろしいでしょう。 また、私見ですが無理してまで手に入れるほどの内容はないと思います。
☆
不調になったアンテナ・チューナをリペアすると言った単純な話のつもりでした。 色々眺めて散策しているうちにだいぶ道中が長くなってしまいました。 このBlogに欠けているのは数式によるアンテナ・チューナの解析です。 この辺りはπ型の変形インピーダンス整合回路として専門誌では詳しい扱いがなされていました。
もちろん数値による解析は重要な手がかりを与えてくれます。 みずから設計するには避けられないはずですが、ここは娯楽のBlogなのであえて数式には触れぬことにしておきました。 興味の向きは是非ともご研究を! アンテナに限らず整合回路の奥深さが楽しめるでしょう。 ではまた。 de JA9TTT/1 T.Kato
(おわり)

abstract
I am repairing a Yaesu Musen FC-700 antenna tuner. I have been using this antenna tuner for a long time. It seems that the contacts of the switch have oxidized due to years of use. It will be possible to repair it by cleaning the contacts of the switch.
And I will use this repair opportunity to study the inside of the FC-700. I have also considered several antenna tuners.(2024.05.08 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【FC-700:Antenna Tuner】
FC-700は八重洲無線のアンテナ・チューナです。FT-77、FT-707といった1980年代のトランシーバのアクセサリでした。 今では上位機種でなくてもオート・アンテナ・チューナ(ATU)の内蔵が普通になっています。しか30数年前はまだ外付けの手動式アンテナ・チューナが一般的だったのです。
このFC-700はもともとモバイル用に購入したものです。 固定局のアンテナはインピーダンスが50Ω付近になるよう作っていたのでチューナーは特に必要としていませんでした。 しかし整合が難しい車載用アンテナで使おうと思って購入した経緯があります。(1990.11.21:3.5MHz Mobaileに初OA)
ところがバリコンで同調する形式のチューナは振動でズレれしまい車載では使えないことがわかりました。 すぐに引退したのですがシャックにあってもあまり使う機会はありませんでした。 それに最近のトランシーバはATU内蔵が普通になったので50Ωから大幅に外れていなければ内蔵ATUで支障なく整合可能です。 それと、オートに慣れると手動は不便に感じますね。(笑)
走行中に使うのでなければ支障はありません。 移動運用先の半固定でアンテナ整合の補助として使うのなら十分役立ちます。 最近復活した移動運用にあらためて使うことにしました。 ところがずいぶん古いため接触不良が目立っていたのです。 外観はまずまず綺麗でしたが内部のスイッチ接点は酸化・硫化が進んだのでしょう。整備することにしました。
☆
こんな古いアンテナ・チューナを整備する人は稀でしょう。あまり役立たないとは思いますが自身の整備記録としてBlogにまとめます。 また、せっかくの機会ですからよく観察してメーカー製アンテナ・チューナを研究することにしました。 もしも興味があればこの先もどうぞ。 アンテナ・チューナの自作は意外に挑戦者が多いので幾らか役立つかもしれません。
【FC-700:内部構造】
後ほど回路図も出てきますが、アンテナ・チューナは単純な装置です。従って見たところもシンプルです。 部品配置がわかるように取扱説明書からコピーしました。
写真で、左上の入力コネクタにトランシーバ(送信機)を接続します。 アンテナは右上の出力コネクタに接続します。 単線式のワイヤーアンテナも使えますが、その場合は必ずアース側の配線も必要です。 右の出力コネクタ寄りにアース用のターミナルがあります。
入力コネクタから入ってすぐにSWR検出回路があります。C-Mカプラ式のオーソドックスなものです。そのあと心臓部の整合回路になります。
このアンテナ・チューナはいわゆるπ-C型(パイ・シーがた)と称する形式です。 後ほど詳しく触れますが市販のアンテナ・チューナではT型と共に良く使われる形式です。 最近の内蔵型オート・アンテナ・チューナでも良く見られる形式です。 特別変わったものではありません。 八重洲無線のアンテナ・チューナにはπ-C型、T型のいずれも存在しますのでどちらかが特に有利と言うこともなかったようです。
【接点の清掃】
さっそく整備を始めましょう。 メーカー製だけあってFC-700はなかなかうまく出来ていると感じました。
専用に作らせたスイッチが使われていて電流容量が必要な部分はダブル接点になっており、また耐圧が必要な部分はステア・タイト絶縁になっています。インピーダンスの低い部分はベークライト絶縁で済ませています。 この辺りが自作ではなかなか真似のできない部分です。
接点板と接触子は銀メッキのようです。 そのため長い年月の経過で硫化が進んだようでした。 観察すると黒ずんでいたのでそれで接触が悪くなったのでしょう。 サビと汚れを上手に清掃すれば復活できるはずです。(写真は清掃後のもの)
【接点復活剤:コンタクト・スプレー】
接点復活剤(コンタクト・スプレー)と称するケミカル製品は様々なものが売られています。 電子機器用と称するものでしたら大抵のものが使えると思います。
ここではホーザンの製品を使いましたがだいぶ古くなったので腐ってる(?)かもしれません。 でも取りあえずまだ効果はあるので使ってます。w
こうしたスプレーにはストローのような噴射チューブが付属しています。 そうしたもので直接噴射しても良いのかもしれませんが、それには接点以外の余計な場所に付着した分を洗い流す必要があります。洗い流すには専用の洗浄剤が必要です。
それも大変なので、私は綿棒の先に付けて要所のみ清掃することにしています。 少々手間ではありますがスプレーの残渣だらけでベトベトになってしまうと後々埃が付着し固着するのでかえって厄介なことになります。機器の寿命を縮めることにも繋がります。
残渣が残らない無水アルコールなどで清掃する方法もあります。 しかし汚れを落とす能力はこうしたスプレーの方が優っているようです.使い過ぎると旨くありませんが要所に上手に使えばかなり効果的です。
【汚れが・・・】
綿棒の先には汚れがいっぱい付いてきました。w
ひどい汚れが除去できたら綺麗な綿棒に交換して仕上げの清掃をしておきます。 アンテナ・チューナのロータリー・スイッチは接点がたくさんあります。 丁寧にやろうとすればかなり時間が掛かるでしょう。
はじめ、上蓋だけを外して雑に作業していました。 それである程度良くなったのですがまだ不完全でした。 それに綿棒を押し込んだ結果、少々無理な清掃をしてしまいました。そのため接点の一部を曲げてしまい致命的な接触不良を作ってしまったのです。orz
それで止む無く底蓋も外し丁寧にやり直すことにしました。 曲げてしまった奥のほうの接点もピンセットで慎重かつ丁寧に元の形に戻しました。 特にデリケートさを感じたのはコイルのタップを切り替える接点で難しさを感じました。 何とか接点による不安定さは改善できました。 清掃によって全般に接点が綺麗になったためか接触不良も感じなくなりました。 アンテナ・チューナは機器としては単純なものです。 デリケートな部分もあって初心者向けとは言えないかもしれませんが、目視でわかる不具合も多いので良く観察して作業すればうまく直せるのではないでしょうか。
再整備としてはSWR計の反射調整とパワー計に切替えた際のメーター再校正などが残っています。 外付けのダミーロードで確認した範囲ではこれらに問題はなかったので今回は手をつけませんでした。 もしSWRの表示やパワー計の指示ズレが目立つようならきちんとした終端電力計や50Ωダミーロードなどを併用して再調整を要します。
☆
【FC-700の回路図】
蓋を開けたのでせっかくですからFC-700を研究してみました。
取扱説明書からコピーした回路図です。 メーカーのサイトで取扱説明書がダウンロードできるので正式な図面はそちらを参照してください。 左の図はBlogの説明用です。
スイッチがたくさんあるので複雑そうですがアンテナ・チューナの回廊としてはπ-C型の単純なものです。 後ほど単純化した図面があります。
書籍などアンテナ・チューナ関係の資料を参照するとスイッチで切り替えている:C1〜C13というコンデンサがバリコンになっているものがありました。 FC-700ではトランシーバの出力インピーダンスは50Ωであるとの前提で、バリコンではなくバンドごとの固定コンデンサに置き換えたものでしょう。 バリコンにすると操作部が増える上、コストもかさみますから固定コンデンサの切り替えですませる方法は現実的です。
コイルはL01とL02の2つに分けられています。 各コイルとも使わないタップは間をショートするようにしています。 複数のタップ間を細かくショートしてショート部分で無用な共振などが起こらぬように特別に構成されたスイッチが使われています。 芸がこまかいと言うか、こうしないと旨くないのでしょう。
入力コネクタから入ってすぐにSWR検出回路があります。C-Mカプラ式のオーソドックスなものです。 バイファイラ巻きのトロイダル・コイルを使ったカレント・トランス式なので基本的に周波数特性は平坦です。
50Ωのダミーロードが内蔵されています。 ただし切り替えにリレーを使っている関係で外部からDC電源(+8V)を供給しないと機能しないのは残念です。
ダミーロードはシャックの必需品です。 メーカー機ばかり使っていると必要は感じないかもしれませんがRigの修理や自作送信機のテストには是非とも欲しいものです。
近頃はオンエア前にPlateとLoadバリコンを調整するようなトランシーバ(FT-901やTS-820,etc)は見なくなっていますが、もしこのアンテナ・チューナを併用するなら内蔵のダミーロードは重宝します。 まずダミーロードに切り替えてトランシーバのPlateとLoadを加減し所定のパワーが出るよう調整します。続いてチューナに切り替えて整合調整を始めることになります。
整合調整はまず目的のバンドに切り替えます。SWR計を反射波側にセットし適度なパワーに絞ったのち送信をはじめます。チューナのTuneとLoadのバリコンを交互にゆっくり回しSWR計の「反射」が最低になるよう調整します。 慣れると勘が働くようになってバリコンを「予測」で余分に回せるようになり素早く整合できるようになります。(勘の悪い人は手間取ります・笑)
このようにSWR計はアンテナ・チューナに不可欠です。 使用時には「必ず」メータを見ながら反射電力が最小になるようにTuneとLoadのバリコンを「入念に」調整する必要があリます。 また、このC-Mカプラ式の内蔵SWR計は簡易なパワー計としても機能するので重宝です。 ただしメーターは小さいですし多分周波数特性も完全なフラットではないでしょう。パワー計としての精度はあまり良く無いと思いますが無いよりもずっとマシなのは間違いありません。
このチューナが接続してあればスイッチがスルー状態でも常にSWR計としてアンテナ系を監視できます。 また通過型のパワー計としても便利に使えます。 パワー計の目盛は15Wと150Wフルスケールの2レンジあります。
ところで、こうしたアンテナ・チューナは便利なものですが、必ず「通過損失」が存在します。 これは50Ωの終端電力計をつないでスルー状態とチューナを入れた状態を比較すればすぐにわかります。 だいたい5〜10%くらい損すると思えば良いでしょう。チューナを通すと10Wが9Wになってしまうのです。 しかも50Ωを大きく外れるような負荷(SWRがとても高いアンテナ)の場合はさらに大きな通過損失がチューナ内部で発生すると思って間違いありません。 ですから、なるべくアンテナそのものが50Ω付近になるよう製作(調整)してアンテナ・チューナなど必要としないようにすべきなのです。
【コイルに注目】
このアンテナ・チューナで私が注目したのはコイルの部分です。 従来のアンテナ・チューナでは決まって空芯型の大型コイルが使われていたからです。 そうしたQの高い空芯コイルを使うのが「アンテナ・チューナの常識」だと思っていました。
トロイダル・コイルが使えるというのは目から鱗と感じるほどだったのです。 もちろん空芯のHigh-Qなコイルを使う方がロスは少ないでしょう。 しかしFC-700のように薄型でコンパクトに作ることはできません。 これは他社のアンテナ・チューナの内部を見れば良くわかることです。トロイダル・コイルとは、ちょっと思い切った方法なのでびっくりしたものでした。
3.5MHz〜14MHzと言ったローバンドではトロイダル・コアに巻いたコイルは省スペースになってFBです。 しかしハイバンドになるとトロイダル・コアのロスが増えるのと、うまくタップが取り出せないことから空芯コイルの2つに分けたものと思います。
【2つのバリコンは・・】
バリコンは2つ使われています。 いずれもギャップは狭くてあまり耐圧は高くないでしょう。 せいぜい1kVではないでしょうか。
仕様上の整合可能なインピーダンス範囲を狭くとっているため1kV程度でも何とかなるのでしょう。
それでも10Ω〜250Ωとなっているので最近のRigに内臓のATUよりも整合可能な範囲はずっと広いです。この辺りがテキトーに張ったワイヤ・アンテナでも意外にうまく整合できる理由なのでしょう。 まあ、そう言った”アンテナ”は整合はできても飛びは別の問題なんですけれども。(笑)
注意としては1/2λに近いワイヤーのようにインピーダンスが高くなりそうなアンテナはやめた方が良さそうです。 QRPならともかく100Wではバリコンの耐圧が問題になってきます。
【入力側コンデンサ】
写真はπ回路の入力側コンデンサです。 既に書いたようにRig側のインピーダンスは50Ωであると想定しているので、容量が固定されたコンデンサで済んでいるのでしょう。 各バンドともXc=25Ωになるような設計で整合範囲を広く取るのが目的でしょう。
コンデンサはすべてディップド・マイカ(シルバード・マイカ)です。 E12系列を基本とし一部にはE24系列の市販品から容量を選び、それでも適切な容量が無い場合は2個並列で必要な容量を合成しています。 従って、使用できるHAMバンドはWARCバンドを含む3.5MHz〜28MHzの8つですがコンデンサは13個あります。
アンテナ・チューナを自作する場合もこうした手法は参考にできるでしょう。 単一のバンド用チューナなら切り替えスイッチも要らず容易に作れます。
【SWR・パワー計検出部】
C-M型のSWR・パワー検出回路になっています。 原理的に周波数特性はフラットなのでバンドによって感度の変化はありません。(そうは言っても完全なフラットではないでしょうけれど・・・しかし実用上の支障はないはずです)
SWR計はアンテナ・チューナには必須の機能です。もし内蔵されていなければ外付けする必要があります。
アンテナ・チューナに必要なことは整合状態の検出です。 整合しているかがわかれば良いのであってSWR値は読めなくても支障はありません。 従ってSWR測定回路ではなくて、インピーダンス・ブリッジ形式の整合検出回路を内蔵するアンテナ・チューナも存在します。 しかしせっかくですからSWR計になっている方がFBでしょう。 オンジエアしながらSWRが監視できますし通過型のパワー計にもなって便利です。
検証はしていませんが検出部に使ってあるトロイダル・コアはT-37-#1のように見えます。 #1材はあまりポピュラーではありませんがカーボニル・コアのTシリーズでは最も透磁率が大きいマテリアルです。 フェライト・コアのFTシリーズで自作する例が多いのですが、カーボニルの#1材の方が何か良い点があるのかも知れません。(これは要確認です・笑)
【内蔵ダミーロード】
50Ω/100Wのダミーロード部分です。
抵抗器は1kΩ/5Wのごく普通のものが20本並列で使われています。抵抗器は小型で耐熱性に優れる酸化金属皮膜型です。周波数特性を補償する目的で10pF/1kVのマイカ・コンデンサが並列に入っています。
5Wが20本ですから計算上は100Wですが連続的にそれだけの電力を消費できるわけではありません。 FC-700の仕様書には30秒と書いてあります。 抵抗器が密集していますし中の方は熱放散が悪いでしょう。連続ではとても持たないわけです。
昔、似た方法でダミーロードを作ったことがあります。 周波数特性もHF帯なら問題なくうまく動作します。 課題は冷却で、強制空冷するとか何か効率的に放熱して冷却する方法を考えておかないとすぐに過熱するのが問題でした。hi
☆
以上、FC-700の各部を眺めてみました。 流石にメーカー製だけあって構造や部品配置が工夫されており各部は最短距離で配線されていてます。 スイッチなど特殊品なのでそのままそっくり真似はできないと思いますが工夫された部分は学びたいものです。
このあとはちょっとしたアンテナ・チューナ回路の雑談です。
【アンテナ・カプラの基本回路】
今では送信機(トランシーバ)とアンテナを整合する装置は「アンテナ・チューナ」の呼称が定着しています。
私が若かった時分は「アンテナ・カプラ」と呼ばれていました。
同軸ケーブルでの給電が常識になる以前は「ハシゴ・フィーダ」と言った平衡給電が行なわれていました。 たいてい同調フィーダとして使いますからフィーダ上に定在波が立つのは常識でした。そのためアンテナ・カプラはシャックの必需品だったのです。
その後、不平衡型のケーブル・・同軸ケーブル・・で給電する時代になってもアンテナ・カプラは良く使われました。(左図は古い形式の例です)
もちろん今でも有効に使える回路ですが、この形式で厄介なのはコイルの1次側と2次側の結合度を可変する必要があることでしょう。コイルを機械的に動かして結合度を可変するケースが多いのですが、代わりに1次側(送信機側)のリンク・コイルにも直列にバリコンを入れる形式もあります。バリコン形式にするときにはリンクは2倍くらい多く巻きます。
もし作るのでしたら(b)の中間型にしようと思います。 端子板を使って配線換えで(a)や(c)に変えられるように作っても良いのですが煩雑になってしまいます。 しかしうまく作るとバリコン一つで済みますから経済的で悪くない回路だと思っています。 固定局のようにアンテナの形状がだいたい決まってしまうと一度調整すれば良いわけですからコイルの結合調整も煩わしいと言うほどではありません。
コイルとバリコンで運用周波数に共振させることになります。 共振させるためのコイル(インダクタンス)とバリコン(キャパシタンス)の組み合わせは無数にあるわけですがアンテナ・カプラとしてはHigh-C、Low-Lの組み合わせが適しています。
部品数の少ないアンテナ・カプラです。 コンパクトに作って移動運用にも重宝する「小型アンテナ・システム」になりそうです。 何の変哲もない「同調回路」ですが眺めていてそう思いました。
古よりシャックで使うアンテナ・カプラといえば太い線を巻いた立派な(巨大な)コイルとギャップの広い大型エアー・バリコンと相場は決まっています。 しかしそれでは移動運用には大げさです。パワーに見合った部品を使うと言ったちょっとした発想の転換も必要そうです。
【L-Zマッチのアンテナ・チューナはいかが?】
上記の古いアンテナ・カプラを眺めていて「Zマッチ」を使ったらどうだろうかと思いました。
Zマッチというのは2連バリコンを使いコイル一つで広い周波数可変範囲を持った共振器を構成する方法です。
左図の左側の囲みのようにLとCを並列共振と直列共振に組み合わせた回路です。 作り方次第ではHF帯を一つのコイルと一つの2連バリコンでカバーできます。 上記のアンテナ・カプラのLC共振器をこの回路に置き換えれば少ないパーツでオールバンド・アンテナ・チューナorカプラが作れそう。
実はそう思ったHAMはたくさんいたようです。 ネットで探すと似た発想のアンテナ・チューナが幾つもヒットします。
図はARRLのAntenna Compendium Volume3という書籍にあった回路です。(Page:191〜、W6JJZの執筆) 記事には2つ回路があって左図はそのうちの簡略版の方です。いくらか制約はあるようですが回路はシンプルです。 うまく使えればマルチバンド対応の移動用アンテナシステムがコンパクトに構成できるかもしれません。 基礎的な実験からでも初めてみたいと思っています。
なお、先人のテスト結果もネット上にいくつか見られました。 それによればZマッチを使ったチューナは回路自体の通過損失がかなり大きくなって効率的でないケースがあるそうです。 さらなる検証は必要そうですが、ある程度のディメリットはあってもシンプルさと言った特徴が発揮できそうなら採用する意味はあるかもしれません。
実験していませんから推測にすぎませんがZマッチを構成するコイルのインダクタンスとバリコンの容量によってもかなりの違いはありそうです。 さらにLow BandとHigh Bandではたとえ共振はしていても共振インピーダンスに大きな違いがあるはずです。 アンテナ・チューナ回路として負荷をかけた状態(=アンテナをつけた状態)であまりにもHigh-Qになる(例えばQL>30)ようでは損失が激増するのも当然です。
従ってLとCの組み合わせの上手いところを探す必要があるのでしょう。 それにしても可能性がありそうなチューナ回路だと思いました。
【FC-700の解析】
回路図の最後はFC-700の解析結果です。
取説の回路図に書かれていて部品定数がわかるパーツは実際に内部を見ただけでもおおよそ理解できるものです。 しかし問題のコイルだけは現物を見てもどんな部品定数なっているか、にわかにはかわかりにくいのです。
幸いトロイダル・コイルはコア材がわかりました。 T-157-#2に間違いないためAL値は簡単に判明します。 数えれば巻き数もわかりますから計算でインダクタンスも求まるでしょう。 空芯コイルの部分も寸法と巻き数がわかったのでかなり精度よく計算できました。
ただし、見落としてはいけないことがあります。 多バンド型アンテナ・チューナ特有の構成のためインダクタンスには不確かさがありそうなのです。
全巻線を使わないほとんどのバンドでは途中タップを使って小刻みに巻線をショートしているからです。そのショートされた部分は影響しないのでしょうか? そのため実効的なインダクタンスは計算される大きさとは異なっているかも知れません。
まあ、まったくの同等品を作りたいのであれば同じ材料で同じ形状・構造に作れば実現できるるわけで、そういう意味での再現性は十分にあるでしょう。 しかし図に参考として書いてあるインダクタンス値は確かではない可能性が残っています。
この図は独自の研究によって推定して得たものですからメーカーの設計意図を正しく反映していない可能性があリます。 従ってこの図をもってメーカーにご質問などされることはおやめください。 ご迷惑をかけるだけです。
どうしても確かめたいのなら材料はわかっているのですから自ら同じように作ってみたら良いわけです。 確証が得たいなら是非そうされてください。 私からのお願いです。
【アンテナ・チューナの参考書】
アンテナ・チューナの関連で蔵書を漁っていたらこのような書籍を見つけました。 買ったことを忘れていたくらいなので中身の記憶はぜんぜんありませんでした。
書名が「アンテナ・チューナ」とはなっていませんからチューナの製作記事を期待してはいけないのかも知れません。 おもにチューナのオートチューニング技術を扱った内容と言ったら良いでしょうか。
しかしアンテナとRigの間のチューニングのお話としては面白い研究内容です。 こうした分野にご興味があったら一読をお薦めしたいと思います。 絶版と思われますので図書館の利用がよろしいでしょう。 また、私見ですが無理してまで手に入れるほどの内容はないと思います。
☆
不調になったアンテナ・チューナをリペアすると言った単純な話のつもりでした。 色々眺めて散策しているうちにだいぶ道中が長くなってしまいました。 このBlogに欠けているのは数式によるアンテナ・チューナの解析です。 この辺りはπ型の変形インピーダンス整合回路として専門誌では詳しい扱いがなされていました。
もちろん数値による解析は重要な手がかりを与えてくれます。 みずから設計するには避けられないはずですが、ここは娯楽のBlogなのであえて数式には触れぬことにしておきました。 興味の向きは是非ともご研究を! アンテナに限らず整合回路の奥深さが楽しめるでしょう。 ではまた。 de JA9TTT/1 T.Kato
(おわり)
2024年4月9日火曜日
【Antenna】Making a Duo-Band Whip Antenna
【14MHzと18MHzの2バンド・ホイップ・アンテナ】
abstract
I built a duo-band antenna for 14 MHz and 18 MHz. But the performance of that antenna was poor. The RF Power radiation efficiency was not good. The reason was the stainless steel antenna element. The antenna was a shortened version with a loading coil. The presence of stainless steel in the magnetic field of the coil caused a loss of RF power. I was able to improve the situation by dropping the stainless steel material and replacing it with brass material. I would not have experienced this if I had used toroidal coils instead of air-core coils. However, toroidal coils have other problems. (2024.04.09 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【昔っから言いますが・・】
HF帯(短波帯)のモバイル用ホイップ・アンテナの話題が続きます。 そもそもHF帯でモバイル運用したいなんて言う物好きなHAMは稀でしょうから、そんなアンテナの話は飽きてきたのではありませんか? 前回の7MHz用(←リンク)でおしまいにしようと思ってました。
今回は14MHzと18MHzの2バンド用アンテナを作りますが、それを紹介するのは主だった目的ではないのです。
残念ながらはじめに作ったものは低性能なアンテナになりました。 何でも成功する訳じゃありません。むしろ「失敗作」と言って良いでしょう。 なぜなのかしばらく悩んだのですが、むかし聞いたことのある話を思い出したのです。自分の経験ではないのでうろ覚えでしたがそれを切っ掛けに解決することができました。 ・・・どうやら成功の元になったようです。
☆
私自身では面白い経験だったのですが大抵のお方にとっては何か意味があるとも思えません。 いつ何をやったらどうなったのかと言う自身の備忘が主目的です。 モバイルからHFにオンジエアの最終回の話しはあいも変わらず雑談チックになりますが悪しからず。 この先はお薦めもしませんので、もしお暇でもあったら眺めてみて下さい。 暇つぶしくらいにはなるでしょう。(ココを見てる時点であなたは暇人ですが・笑)
ー・・・ー
【トロイダル・コイルは】
最初の写真はトロイダル・コイルですがこの先の話には出てきません。トロイダル・コイルで短縮アンテナの「ローディング・コイルを」と目論んでました。High-Qという先入観からです。
結論としてトロイダル・コイルは周波数特性が悪く不適当でした。特定の周波数範囲ではかなりHigh-Qですが空芯コイルと比べ高いQが保てる周波数範囲はずっと狭いのです。
条件に合う単一バンドの短縮アンテナならある程度使える可能性はあります。しかし複数のHAMバンドにまたがるアンテナには向きません。
またHigh-Qとは言っても最適化された空芯コイルを凌駕するほどの性能は難しそうです。 磁気コアによる鉄損や磁気飽和しやすいと言った観点からも短縮アンテナには空芯コイルが無難だと言う結論です。 トロイダル・コイルは回路用部品であってこうした短縮アンテナ用ではないようです。(私見です)
【移動式容量冠】
HF帯ハイバンド・・・14MHz以上のHAMバンドへオンジエアしたいと思いました。
2024年は黒点周期:サイクル25の極大期にあたります。極大期にはHF帯のハイバンドが活性化します。 まさしくDXingのチャンスです。
チャンスを逃すのは惜しいです。11年後のサイクル26は生きてないかも知れません。 POTAなどのモバイルでもオンジエアが楽しめるようにHF帯ハイバンドの移動用アンテナを作ってみます。
☆
ところが手持ち部材が底を突いてきました。買わずに済ませるには工夫が必要でした。
今回もセンタ・ローディング形式で作りましょう。 7MHzのアンテナ製作のとき切り残ったグラスファイバ・ロッドを使います。そのため全体に細くてコイルの下部セクションとしては少々貧弱です。できたらもっと長さも欲しいところです。 しかし波長は20mあるいは17mとLow-Bandよりずっと短いので何とかなるでしょう。軽量に作れば強度も大丈夫そうです。
使うことにしたグラスファイバ・ロッドは先端が細いため前作のような方法でロッド・アンテナを繋ぐことはできません。 そこで持っていたステンレス(SUS)製のロッド(φ3mmの棒)を上部エレメントとして使いました。長さは820mmあります。もともとグラスファイバ・ロッドの先端に付けるための部材でした。アンテナ用として先端に金属球も付いてます。
しかしこれを使うと上部セクションの長さを加減できないのが大きな問題でした。コイルのタップ切換だけで共振周波数をシビアに追い込むのは難しいからです。
写真は共振周波数を微調整するのための移動式の容量冠(キャパシティ・ハット)です。 ミノムシ・クリップで挟む位置をスライドして共振点を微調整します。思っていたよりも調整可能な周波数範囲が狭いのはやや不満でしたが試行錯誤を繰り返してある程度うまく行きました。
【タップ式コイル】
2バンドアンテナはローディング・コイルのタップ切換えで実現します。 ほかにトラップ式で作る高級な方法もありますが初期調整はかなりの困難が予想されます。
運用時のバンド切替えは少々面倒くさいですがタップ選択式を採用しました。 ミノムシ・クリップによるタップ切替えには幾分不安を感じます。 ただしコイルより先の部分はRF電流が少なくなるので旨くタップを引き出せば何とかなるでしょう。
こんどはバンドチェンジのたびにコイル容器を開閉します。この保護容器は開閉が容易なのは好都合でした。
【14MHz and 18MHz Whip Antenna】
下部セクションが細くて華奢な感じがします。しかし走行しながらの運用はしないので折れることはないでしょう。
全体的に軽量にできたのでアンテア基台の負担が少ないのはFBです。 流石に3つ目ともなれば目新しさはぜんぜん感じませんがマズマズの出来映えです。(・・・と自画自賛・笑)
家人には「同じのを3つも作ってどうするの?」なんて言われてしまいました。 確かに同じにしか見えないかな。(笑)
【残念ですが解体します】
何が問題かといえば送信時のロスが大きいことです。ローディング・コイルのあたりで発熱がありどうも輻射効率が低いようなのです。
見ての通り過去2作とほとんど違わず何が原因なのか悩みました。 結論から述べてしまうとステンレス・ロッドがコイル内に掛かっていることが損失発生の原因でした。 原因がわかれば対策しなくてはなりません・・・。
思い出したのはずいぶん前の話です。さるHAM局がモバイル用アンテナを作ったそうですが飛びが悪いと言うのです。細かい症状は忘れましたがコイル部分にかなりの発熱があるとのこと。そして輻射エレメントにステンレス材を使ったセンター・ローディング形式らしかったのです。
その時は構造など詳しくお聞きした覚えがあります。ただ、私には何が原因なのかすぐには思い浮かびませんでした。 あとでそのアンテナを良く見せてもらう機会があったのですが器用なお方らしく丁寧にそして見栄えも良く美しく仕上げてあったことを思い出します。
その後どうなったか記憶にないので、そのHAM局は諦めてしまったのかもしれません。 そして今回は私がよく似た現象に遭遇した訳です。 以下は問題検証の様子です。
【ローディング・コイルのQ】
アンテナ製作に使っているコイルは実績のあるものです。
念のために改めて確認していますが、写真のようにQu=265くらいあります。(巻数が少なく周波数が高いのでややQが低下)
巻き数や測定周波数によって変化しますが、だいたい300前後が得られます。エアダックス・コイルとして正常でしょう。
【ロッド・アンテナをコイルに挿入】
従来の構造である、ロッド・アンテナがコイルの端部に掛かった(挿入された)状態を再現してみます。
少しインダクタンスの変化とQの減少が認められます。ただしQu=225くらいあるのでそれほど大きな減少ではありませんでした。もっと低下するかと思っていたので意外でした。
そういえば、コイルのインダクタンス調整に真鍮コアを使うと言う話を思い出しました。FMやTVのチューナと言ったVHF帯のコイルのインダクタンス調整に使っているとのこと。 Qの低下を来さずにインダクタンスを加減する(減らす)ことができるので使っているのでしょう。
使っている伸縮式ロッド・アンテナ(6段式)は真鍮にクロームメッキしたパイプが使われています。 そのためQの低下をあまり来さずに済んでいるのでしょう。
【ステンレス・ロッドでQ低下】
今度は実際にアンテナに使ったステンレス・ロッドをコイル端部に挿入してみました。
幾らかインダクタンスも変化しますが、それ以上にQuの低下が顕著です。 約半分のQu=130になってしまうのです。
265だったQuが半分以下になったら損失は倍増です。 そうでなくてもローディング・コイルにはロスがあるのに損失が2倍になったら電波の飛びが悪くなって当然ですね。
アンテナの部材としてステンレス材は悪くはないと思っています。しかし使い方を考えないと性能低下をきたすことがあるのです。良い勉強になりました。
☆
ステンレス製の上部セクションを真鍮製のロッド・アンテナに交換することで対策しました。 実績のある方法へ戻ったわけです。 使っているグラスファイバ・ロッドの先端部は細いので、その先に付けるロッド・アンテナとの結合方法を考える必要がありました。これにはアクリル樹脂製のパイプに両方を挿入する形式で接続しています。
アンテナの上部セクションが伸縮可能になったので移動式の容量冠(キャパシティ・ハット)はやめました。 また波長で考えて上部セクションの長さは十分に得られているので容量冠は使いませんでした。これで支障なく各バンド共振調整できます。 なお、HF帯ハイバンドになると無闇にHigh-Qなアンテナにはなりませんからコロナ放電対策は不要でした。 以下、改良後の様子を要約します。
【14MHzのSWR特性】
nanoVNAを使って共振特性を確認します。
写真に14MHzのSWR特性を示します。これは改造後のものです。
改造後のトップセクションはロッド・アンテナです。 伸縮できるので共振周波数の調整範囲はかなり広くなりました。 従ってコイルのタップ調整は多少ラフに行なっても共振周波数をバンド内に持ってくるのは容易でした。
【14MHzの飛びかた】
PSKRで飛びかたを確認しました。 パソコンの画面をキャプチャしたものです。
既にご存知かも知れませんがPSKRの概略をあらためて説明しておきます。
最近はやりのFT-8のようなデジタルモードではパソコンを使ってオンジエアします。パソコンにはJTDXやWSJT-Xと言った専用アプリを走らせます。
専用アプリには受信時に聞こえた(見えた)ステーションの情報をサーバにアップロードする機能があります。もちろんパソコンはインターネットに常時接続されているのが前提です。 その上がってきた各局からの受信情報をまとめて表示するサイトがPSKRです。 PSKR(←リンク)をアクセスすると自局電波が世界中のどこで受信されたのか良くわかります。初めてPSKRを開いた際には自局コールサイン、運用バンド、モードなど必要な情報を設定して表示させます。(左の画面)
吹き出しに「XX min」と表示のあるのがレポートをサーバーに上げてくれた受信局です。例として44minとあるのはこの画面キャプチャの44分前に見えたという意味です。そこへマウス・カーソルを当てればその受信局の詳細情報が表示できます。
これは2024年1月28日の16:30(JST)ころ14MHz/20m Bandにオンジエアした際の伝搬状況です。送信電力は50WでアンテナはこのDuo-Band Whipです。 アンテナのテストを兼ねたPOTA活の一環として訪れた上武県立自然公園内:児玉千本桜堤付近からオンジエアです。運用した頃は冬なので誰もいませんでしたが桜の名所ですから開花が遅れた今年は丁度いま賑わってます。(埼玉県本庄市児玉町高柳・GL:PM96ne、標高:約120m) 県道沿いで行くには便利な場所ですが特に無線に向いたロケーションとは思えません。 HF帯は電離層反射なので良いとして、V/Uの移動運用にはむしろ不向きでしょう。
流石に14MHz/20m BandはDXバンドだけあって海外へよく飛んでます。 但し夜間帯を通るパスはないらしく北米は良くありません。 昼間〜夕方ゾーンのアジア・オセアニアと東欧が良いです。夏季で日照時間が長い南米にも飛んでます。 このオンジエアではアルゼンチン:LU2やインドネシア:YC2とできたほか中国、韓国とは複数局と交信できました。 日本国内もわりあいスキップせず満遍なく飛ぶ感じです。
SWR特性だけでは良し悪しはわかりませんが電波の飛び具合を見るとまずまず良好なアンテナと言えそうです。
【18MHzのSWR特性】
同じくnanoVNAを使って共振特性を確認します。
写真に18MHzのSWR特性を示します。こちらも改造後のものです。
バンドの切り替えはコイルのタップ位置を変えているだけです。 具体的にはコイルのタップをミノムシ・クリップで挟んで切り替えています。 そのあと先端部分の伸縮で共振周波数を微調整します。 運用中、心配していたタップ切り替えによる不安定さのようなものは感じませんでした。 SWR値も常に安定していたので問題はないようです。
【18MHzの飛びかた】
同じくPSKRで飛びかたを確認しました。 パソコンの画面をキャプチャしたものです。
移動地、パワーなどは上記20mバンドと同じです。 この18MHz/17m Bandもサンスポットの極大期にはDXingに向いたバンドです。 新しくできたWARCバンドなのでオンエア局数は20m Bandより少なめです。18MHz帯は3級局から出られます。
やはり夜間帯を通るパスはないようで、北米はダメですが日照のあるゾーンへ良く飛んでます。アジア・オセアニアが良好です。 QSOできるかどうかは別としても(笑)カリブ海からもレポート上がっています。 Euも20m Bandよりも深い方(西方向へ)開けています。 実際にスペイン: EA局に呼んでもらったのですが、QRMで尻キレてしまいました。(ちょっと残念) 30分程度のオンジエアでしたが、オーストラリア:VKや西マレーシア:9WとQSOできました。中距離の中国・韓国局は国内なみに交信できます。 逆に日本国内近距離はスキップするかと思ったのですがマズマズ満遍なく飛ぶようでした。打ち上げ角の関係でしょうか。
このバンドも飛び具合から見て十分使えるアンテナと言えるでしょう。 波長が短くなった分だけ幾らか輻射効率もアップしているはずです。
☆
輻射効率が悪くて一時はどうしようか迷ったアンテナですが、原因究明と対策ができ使い物になるアンテナとして蘇りました。飛び具合も悪くないので及第点でしょう。
これは当然でしょうが、いずれのバンドも地上高があるホーム・シャックのビームアンテナと比べたらだいぶ心細さを感じました。 しかし条件の悪い移動運用ですからそんなものなのです。給電点の地上高は1.5mで長さも僅か2mにも満たないほど小さなアンテナです。
移動運用でこれ以上を望むなら高さのあるフルサイズのDPアンテナや或いはビームアンテナを架設すると言った大掛かりな運用になるでしょう。 それは私が目ざす「お手軽移動運用」とはまた別の世界です。(笑)
【IC-7300とFC-700】
IC-7300を使っていて内蔵オート・アンテナ・チューナの整合範囲が狭いと感じることがあります。
小型の筐体にオールバンドSSBトランシーバの機能を全て搭載しアンテナチューナ(ATU)まで内蔵しているのですから限界があってしかるべきでしょう。コンパクトで良くできたトランシーバだと思っています。
外付けのリモート・アンテナ・チューナも用意されています。メーカーとしては内臓ATUでダメならそれを買って欲しい訳でしょう。w
試したところ整合状態が厳しい時は外付けチューナを使うと良さそうでした。 お手軽移動運用の趣旨から言って機材が増えるのは好ましくありませんがRigの性能がフルに発揮できないのではやむを得ません。状況によって外付けチューナを使うことも考えましょう。これで整合の難しさはほとんど解消できます。
☆
ステンレス製のアンテナロッドがローディング・コイルに影響を与え、アンテナの輻射効率を低下させると言う話でした。 原因がわかれば対策が考えられます。 構造を変えるのではなく素材を変えて解決できました。
真鍮なら大丈夫でステンレス鋼が良くないのは電気抵抗の違いにあると思います。あまり気にされないかもしれませんがステンレス材の電気抵抗値はかなり大きいのです。錆びなくて安価なことからステンレス線をダイポール・アンテナに使うHAMもあるそうですが、いちど抵抗値を計ってみると面白いでしょう。 意外に抵抗値が大きくて驚くはずです。 まあロスを気にしなければアンテナのQが下がって広帯域特性になるのでステンレス線のDP-ANTもFBと言えるかもしれませんが・・・私は使いませんけど。(笑)
コイルで発生した磁束により周辺に存在する金属には誘導電流を生じます。その生じた誘導電流によっても磁界が発生しエネルギーとしては消費されることなく殆どが戻ってくるでしょう。 しかしステンレス材のように電気抵抗が大きかったら自身の電気抵抗でIR損失が発生し熱になってしまい全部は戻ってきません。 簡単に考えるとこのような理由でステンレス材がコイル近傍にあるとロスになるのでしょう。 磁束の外にあれば問題ないわけで要は使い方かもしれませんが。 そして磁束が閉じ込められ外に漏れないトロイダル・コイルをもしも使っていたなら現象に遭遇することはなかったかも知れませんね。
☆ ☆ ☆
モバイルでオンジエアのお話はアンテナ基台から始まり磁石アース板の効果を6mアンテナで確かめたあと、いよいよ本題のHF帯アンテナの製作へと進みました。 10MHz、7MHzと作って実用的な成績が得られました。 続いて14/18MHzのDuo-Band ANTでは少々躓きましたが解決できてマズマズの成績を得ました。 交信実績のなかった6mも近所の空き地でテストしたらVK4とQSOできたので、これからPOTAの運用も楽しみです。 まだ残ったHF帯HAMバンドもありますがアンテナ製作とモバイルのお話は一旦おしまいにします。バンドが追加できたら改めて紹介しましょう。
車載アンテナは「システム」であってホイップ・アンテナ単体では完結できないことを実感しました。 伏線ではありませんが各回のBlogテーマはどれも関連づけて回収できたと思っています。 ここを見ているのは電子部品や回路趣味のお方が殆どでしょうから興味の範囲外だったかも知れません。 しかし無線通信はアンテナがあってこそ成り立つものです。いくら優秀な通信機と言えどもPoorなアンテナでは本領は発揮し得ません。 移動運用ともなるとさらに固有の難しさも表面化してきます。 少しだけでも興味を持ってお付き合い頂けたようでしたら幸いです。
最近は自作したアンテナであちこちの公園移動運用(POTA)を楽しんでいます。 カミさんと出かけることも多くて私は無線であちらは公園の散歩や散策を楽しんでいます。 だいたい1時間を目処にしていて、あまり長時間オンジエアすることはないので、お互いに飽きずに楽しめる程よいレクレーションになっています。 せっかく訪れた公園です。いくらか健康に良いように私も散策してから帰ることにしています。 ではまた。 de JA9TTT/1
(おわり)nm
abstract
I built a duo-band antenna for 14 MHz and 18 MHz. But the performance of that antenna was poor. The RF Power radiation efficiency was not good. The reason was the stainless steel antenna element. The antenna was a shortened version with a loading coil. The presence of stainless steel in the magnetic field of the coil caused a loss of RF power. I was able to improve the situation by dropping the stainless steel material and replacing it with brass material. I would not have experienced this if I had used toroidal coils instead of air-core coils. However, toroidal coils have other problems. (2024.04.09 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【昔っから言いますが・・】
HF帯(短波帯)のモバイル用ホイップ・アンテナの話題が続きます。 そもそもHF帯でモバイル運用したいなんて言う物好きなHAMは稀でしょうから、そんなアンテナの話は飽きてきたのではありませんか? 前回の7MHz用(←リンク)でおしまいにしようと思ってました。
今回は14MHzと18MHzの2バンド用アンテナを作りますが、それを紹介するのは主だった目的ではないのです。
残念ながらはじめに作ったものは低性能なアンテナになりました。 何でも成功する訳じゃありません。むしろ「失敗作」と言って良いでしょう。 なぜなのかしばらく悩んだのですが、むかし聞いたことのある話を思い出したのです。自分の経験ではないのでうろ覚えでしたがそれを切っ掛けに解決することができました。 ・・・どうやら成功の元になったようです。
☆
私自身では面白い経験だったのですが大抵のお方にとっては何か意味があるとも思えません。 いつ何をやったらどうなったのかと言う自身の備忘が主目的です。 モバイルからHFにオンジエアの最終回の話しはあいも変わらず雑談チックになりますが悪しからず。 この先はお薦めもしませんので、もしお暇でもあったら眺めてみて下さい。 暇つぶしくらいにはなるでしょう。(ココを見てる時点であなたは暇人ですが・笑)
ー・・・ー
【トロイダル・コイルは】
最初の写真はトロイダル・コイルですがこの先の話には出てきません。トロイダル・コイルで短縮アンテナの「ローディング・コイルを」と目論んでました。High-Qという先入観からです。
結論としてトロイダル・コイルは周波数特性が悪く不適当でした。特定の周波数範囲ではかなりHigh-Qですが空芯コイルと比べ高いQが保てる周波数範囲はずっと狭いのです。
条件に合う単一バンドの短縮アンテナならある程度使える可能性はあります。しかし複数のHAMバンドにまたがるアンテナには向きません。
またHigh-Qとは言っても最適化された空芯コイルを凌駕するほどの性能は難しそうです。 磁気コアによる鉄損や磁気飽和しやすいと言った観点からも短縮アンテナには空芯コイルが無難だと言う結論です。 トロイダル・コイルは回路用部品であってこうした短縮アンテナ用ではないようです。(私見です)
【移動式容量冠】
HF帯ハイバンド・・・14MHz以上のHAMバンドへオンジエアしたいと思いました。
2024年は黒点周期:サイクル25の極大期にあたります。極大期にはHF帯のハイバンドが活性化します。 まさしくDXingのチャンスです。
チャンスを逃すのは惜しいです。11年後のサイクル26は生きてないかも知れません。 POTAなどのモバイルでもオンジエアが楽しめるようにHF帯ハイバンドの移動用アンテナを作ってみます。
☆
ところが手持ち部材が底を突いてきました。買わずに済ませるには工夫が必要でした。
今回もセンタ・ローディング形式で作りましょう。 7MHzのアンテナ製作のとき切り残ったグラスファイバ・ロッドを使います。そのため全体に細くてコイルの下部セクションとしては少々貧弱です。できたらもっと長さも欲しいところです。 しかし波長は20mあるいは17mとLow-Bandよりずっと短いので何とかなるでしょう。軽量に作れば強度も大丈夫そうです。
使うことにしたグラスファイバ・ロッドは先端が細いため前作のような方法でロッド・アンテナを繋ぐことはできません。 そこで持っていたステンレス(SUS)製のロッド(φ3mmの棒)を上部エレメントとして使いました。長さは820mmあります。もともとグラスファイバ・ロッドの先端に付けるための部材でした。アンテナ用として先端に金属球も付いてます。
しかしこれを使うと上部セクションの長さを加減できないのが大きな問題でした。コイルのタップ切換だけで共振周波数をシビアに追い込むのは難しいからです。
写真は共振周波数を微調整するのための移動式の容量冠(キャパシティ・ハット)です。 ミノムシ・クリップで挟む位置をスライドして共振点を微調整します。思っていたよりも調整可能な周波数範囲が狭いのはやや不満でしたが試行錯誤を繰り返してある程度うまく行きました。
【タップ式コイル】
2バンドアンテナはローディング・コイルのタップ切換えで実現します。 ほかにトラップ式で作る高級な方法もありますが初期調整はかなりの困難が予想されます。
運用時のバンド切替えは少々面倒くさいですがタップ選択式を採用しました。 ミノムシ・クリップによるタップ切替えには幾分不安を感じます。 ただしコイルより先の部分はRF電流が少なくなるので旨くタップを引き出せば何とかなるでしょう。
こんどはバンドチェンジのたびにコイル容器を開閉します。この保護容器は開閉が容易なのは好都合でした。
【14MHz and 18MHz Whip Antenna】
下部セクションが細くて華奢な感じがします。しかし走行しながらの運用はしないので折れることはないでしょう。
全体的に軽量にできたのでアンテア基台の負担が少ないのはFBです。 流石に3つ目ともなれば目新しさはぜんぜん感じませんがマズマズの出来映えです。(・・・と自画自賛・笑)
家人には「同じのを3つも作ってどうするの?」なんて言われてしまいました。 確かに同じにしか見えないかな。(笑)
【残念ですが解体します】
何が問題かといえば送信時のロスが大きいことです。ローディング・コイルのあたりで発熱がありどうも輻射効率が低いようなのです。
見ての通り過去2作とほとんど違わず何が原因なのか悩みました。 結論から述べてしまうとステンレス・ロッドがコイル内に掛かっていることが損失発生の原因でした。 原因がわかれば対策しなくてはなりません・・・。
思い出したのはずいぶん前の話です。さるHAM局がモバイル用アンテナを作ったそうですが飛びが悪いと言うのです。細かい症状は忘れましたがコイル部分にかなりの発熱があるとのこと。そして輻射エレメントにステンレス材を使ったセンター・ローディング形式らしかったのです。
その時は構造など詳しくお聞きした覚えがあります。ただ、私には何が原因なのかすぐには思い浮かびませんでした。 あとでそのアンテナを良く見せてもらう機会があったのですが器用なお方らしく丁寧にそして見栄えも良く美しく仕上げてあったことを思い出します。
その後どうなったか記憶にないので、そのHAM局は諦めてしまったのかもしれません。 そして今回は私がよく似た現象に遭遇した訳です。 以下は問題検証の様子です。
【ローディング・コイルのQ】
アンテナ製作に使っているコイルは実績のあるものです。
念のために改めて確認していますが、写真のようにQu=265くらいあります。(巻数が少なく周波数が高いのでややQが低下)
巻き数や測定周波数によって変化しますが、だいたい300前後が得られます。エアダックス・コイルとして正常でしょう。
【ロッド・アンテナをコイルに挿入】
従来の構造である、ロッド・アンテナがコイルの端部に掛かった(挿入された)状態を再現してみます。
少しインダクタンスの変化とQの減少が認められます。ただしQu=225くらいあるのでそれほど大きな減少ではありませんでした。もっと低下するかと思っていたので意外でした。
そういえば、コイルのインダクタンス調整に真鍮コアを使うと言う話を思い出しました。FMやTVのチューナと言ったVHF帯のコイルのインダクタンス調整に使っているとのこと。 Qの低下を来さずにインダクタンスを加減する(減らす)ことができるので使っているのでしょう。
使っている伸縮式ロッド・アンテナ(6段式)は真鍮にクロームメッキしたパイプが使われています。 そのためQの低下をあまり来さずに済んでいるのでしょう。
【ステンレス・ロッドでQ低下】
今度は実際にアンテナに使ったステンレス・ロッドをコイル端部に挿入してみました。
幾らかインダクタンスも変化しますが、それ以上にQuの低下が顕著です。 約半分のQu=130になってしまうのです。
265だったQuが半分以下になったら損失は倍増です。 そうでなくてもローディング・コイルにはロスがあるのに損失が2倍になったら電波の飛びが悪くなって当然ですね。
アンテナの部材としてステンレス材は悪くはないと思っています。しかし使い方を考えないと性能低下をきたすことがあるのです。良い勉強になりました。
☆
ステンレス製の上部セクションを真鍮製のロッド・アンテナに交換することで対策しました。 実績のある方法へ戻ったわけです。 使っているグラスファイバ・ロッドの先端部は細いので、その先に付けるロッド・アンテナとの結合方法を考える必要がありました。これにはアクリル樹脂製のパイプに両方を挿入する形式で接続しています。
アンテナの上部セクションが伸縮可能になったので移動式の容量冠(キャパシティ・ハット)はやめました。 また波長で考えて上部セクションの長さは十分に得られているので容量冠は使いませんでした。これで支障なく各バンド共振調整できます。 なお、HF帯ハイバンドになると無闇にHigh-Qなアンテナにはなりませんからコロナ放電対策は不要でした。 以下、改良後の様子を要約します。
【14MHzのSWR特性】
nanoVNAを使って共振特性を確認します。
写真に14MHzのSWR特性を示します。これは改造後のものです。
改造後のトップセクションはロッド・アンテナです。 伸縮できるので共振周波数の調整範囲はかなり広くなりました。 従ってコイルのタップ調整は多少ラフに行なっても共振周波数をバンド内に持ってくるのは容易でした。
【14MHzの飛びかた】
PSKRで飛びかたを確認しました。 パソコンの画面をキャプチャしたものです。
既にご存知かも知れませんがPSKRの概略をあらためて説明しておきます。
最近はやりのFT-8のようなデジタルモードではパソコンを使ってオンジエアします。パソコンにはJTDXやWSJT-Xと言った専用アプリを走らせます。
専用アプリには受信時に聞こえた(見えた)ステーションの情報をサーバにアップロードする機能があります。もちろんパソコンはインターネットに常時接続されているのが前提です。 その上がってきた各局からの受信情報をまとめて表示するサイトがPSKRです。 PSKR(←リンク)をアクセスすると自局電波が世界中のどこで受信されたのか良くわかります。初めてPSKRを開いた際には自局コールサイン、運用バンド、モードなど必要な情報を設定して表示させます。(左の画面)
吹き出しに「XX min」と表示のあるのがレポートをサーバーに上げてくれた受信局です。例として44minとあるのはこの画面キャプチャの44分前に見えたという意味です。そこへマウス・カーソルを当てればその受信局の詳細情報が表示できます。
これは2024年1月28日の16:30(JST)ころ14MHz/20m Bandにオンジエアした際の伝搬状況です。送信電力は50WでアンテナはこのDuo-Band Whipです。 アンテナのテストを兼ねたPOTA活の一環として訪れた上武県立自然公園内:児玉千本桜堤付近からオンジエアです。運用した頃は冬なので誰もいませんでしたが桜の名所ですから開花が遅れた今年は丁度いま賑わってます。(埼玉県本庄市児玉町高柳・GL:PM96ne、標高:約120m) 県道沿いで行くには便利な場所ですが特に無線に向いたロケーションとは思えません。 HF帯は電離層反射なので良いとして、V/Uの移動運用にはむしろ不向きでしょう。
流石に14MHz/20m BandはDXバンドだけあって海外へよく飛んでます。 但し夜間帯を通るパスはないらしく北米は良くありません。 昼間〜夕方ゾーンのアジア・オセアニアと東欧が良いです。夏季で日照時間が長い南米にも飛んでます。 このオンジエアではアルゼンチン:LU2やインドネシア:YC2とできたほか中国、韓国とは複数局と交信できました。 日本国内もわりあいスキップせず満遍なく飛ぶ感じです。
SWR特性だけでは良し悪しはわかりませんが電波の飛び具合を見るとまずまず良好なアンテナと言えそうです。
【18MHzのSWR特性】
同じくnanoVNAを使って共振特性を確認します。
写真に18MHzのSWR特性を示します。こちらも改造後のものです。
バンドの切り替えはコイルのタップ位置を変えているだけです。 具体的にはコイルのタップをミノムシ・クリップで挟んで切り替えています。 そのあと先端部分の伸縮で共振周波数を微調整します。 運用中、心配していたタップ切り替えによる不安定さのようなものは感じませんでした。 SWR値も常に安定していたので問題はないようです。
【18MHzの飛びかた】
同じくPSKRで飛びかたを確認しました。 パソコンの画面をキャプチャしたものです。
移動地、パワーなどは上記20mバンドと同じです。 この18MHz/17m Bandもサンスポットの極大期にはDXingに向いたバンドです。 新しくできたWARCバンドなのでオンエア局数は20m Bandより少なめです。18MHz帯は3級局から出られます。
やはり夜間帯を通るパスはないようで、北米はダメですが日照のあるゾーンへ良く飛んでます。アジア・オセアニアが良好です。 QSOできるかどうかは別としても(笑)カリブ海からもレポート上がっています。 Euも20m Bandよりも深い方(西方向へ)開けています。 実際にスペイン: EA局に呼んでもらったのですが、QRMで尻キレてしまいました。(ちょっと残念) 30分程度のオンジエアでしたが、オーストラリア:VKや西マレーシア:9WとQSOできました。中距離の中国・韓国局は国内なみに交信できます。 逆に日本国内近距離はスキップするかと思ったのですがマズマズ満遍なく飛ぶようでした。打ち上げ角の関係でしょうか。
このバンドも飛び具合から見て十分使えるアンテナと言えるでしょう。 波長が短くなった分だけ幾らか輻射効率もアップしているはずです。
☆
輻射効率が悪くて一時はどうしようか迷ったアンテナですが、原因究明と対策ができ使い物になるアンテナとして蘇りました。飛び具合も悪くないので及第点でしょう。
これは当然でしょうが、いずれのバンドも地上高があるホーム・シャックのビームアンテナと比べたらだいぶ心細さを感じました。 しかし条件の悪い移動運用ですからそんなものなのです。給電点の地上高は1.5mで長さも僅か2mにも満たないほど小さなアンテナです。
移動運用でこれ以上を望むなら高さのあるフルサイズのDPアンテナや或いはビームアンテナを架設すると言った大掛かりな運用になるでしょう。 それは私が目ざす「お手軽移動運用」とはまた別の世界です。(笑)
【IC-7300とFC-700】
IC-7300を使っていて内蔵オート・アンテナ・チューナの整合範囲が狭いと感じることがあります。
小型の筐体にオールバンドSSBトランシーバの機能を全て搭載しアンテナチューナ(ATU)まで内蔵しているのですから限界があってしかるべきでしょう。コンパクトで良くできたトランシーバだと思っています。
外付けのリモート・アンテナ・チューナも用意されています。メーカーとしては内臓ATUでダメならそれを買って欲しい訳でしょう。w
試したところ整合状態が厳しい時は外付けチューナを使うと良さそうでした。 お手軽移動運用の趣旨から言って機材が増えるのは好ましくありませんがRigの性能がフルに発揮できないのではやむを得ません。状況によって外付けチューナを使うことも考えましょう。これで整合の難しさはほとんど解消できます。
☆
ステンレス製のアンテナロッドがローディング・コイルに影響を与え、アンテナの輻射効率を低下させると言う話でした。 原因がわかれば対策が考えられます。 構造を変えるのではなく素材を変えて解決できました。
真鍮なら大丈夫でステンレス鋼が良くないのは電気抵抗の違いにあると思います。あまり気にされないかもしれませんがステンレス材の電気抵抗値はかなり大きいのです。錆びなくて安価なことからステンレス線をダイポール・アンテナに使うHAMもあるそうですが、いちど抵抗値を計ってみると面白いでしょう。 意外に抵抗値が大きくて驚くはずです。 まあロスを気にしなければアンテナのQが下がって広帯域特性になるのでステンレス線のDP-ANTもFBと言えるかもしれませんが・・・私は使いませんけど。(笑)
コイルで発生した磁束により周辺に存在する金属には誘導電流を生じます。その生じた誘導電流によっても磁界が発生しエネルギーとしては消費されることなく殆どが戻ってくるでしょう。 しかしステンレス材のように電気抵抗が大きかったら自身の電気抵抗でIR損失が発生し熱になってしまい全部は戻ってきません。 簡単に考えるとこのような理由でステンレス材がコイル近傍にあるとロスになるのでしょう。 磁束の外にあれば問題ないわけで要は使い方かもしれませんが。 そして磁束が閉じ込められ外に漏れないトロイダル・コイルをもしも使っていたなら現象に遭遇することはなかったかも知れませんね。
☆ ☆ ☆
モバイルでオンジエアのお話はアンテナ基台から始まり磁石アース板の効果を6mアンテナで確かめたあと、いよいよ本題のHF帯アンテナの製作へと進みました。 10MHz、7MHzと作って実用的な成績が得られました。 続いて14/18MHzのDuo-Band ANTでは少々躓きましたが解決できてマズマズの成績を得ました。 交信実績のなかった6mも近所の空き地でテストしたらVK4とQSOできたので、これからPOTAの運用も楽しみです。 まだ残ったHF帯HAMバンドもありますがアンテナ製作とモバイルのお話は一旦おしまいにします。バンドが追加できたら改めて紹介しましょう。
車載アンテナは「システム」であってホイップ・アンテナ単体では完結できないことを実感しました。 伏線ではありませんが各回のBlogテーマはどれも関連づけて回収できたと思っています。 ここを見ているのは電子部品や回路趣味のお方が殆どでしょうから興味の範囲外だったかも知れません。 しかし無線通信はアンテナがあってこそ成り立つものです。いくら優秀な通信機と言えどもPoorなアンテナでは本領は発揮し得ません。 移動運用ともなるとさらに固有の難しさも表面化してきます。 少しだけでも興味を持ってお付き合い頂けたようでしたら幸いです。
最近は自作したアンテナであちこちの公園移動運用(POTA)を楽しんでいます。 カミさんと出かけることも多くて私は無線であちらは公園の散歩や散策を楽しんでいます。 だいたい1時間を目処にしていて、あまり長時間オンジエアすることはないので、お互いに飽きずに楽しめる程よいレクレーションになっています。 せっかく訪れた公園です。いくらか健康に良いように私も散策してから帰ることにしています。 ではまた。 de JA9TTT/1
(おわり)nm
2024年3月25日月曜日
【Antenna】Making a 40m-Band Whip Antenna
【40mバンドのホイップ・アンテナを作る】
abstract
I have built a 40m Band Whip Antenna. This antenna is designed to enjoy HAM by carrying a radio station in a car and moving it around. This antenna has the same structure as the 30 m band antenna introduced in two previous Blogs. Of course, the resonant frequency is different. The construction was easy as I used some parts specially designed for whip antennas. The finished antenna sounds good and radiates well. (2024.03.25 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【モバイルアンテナの材料】
40m Band:7MHz帯はHF帯(短波帯)のメインストリートでしょう。ライセンスに関係なく初級局からオンジエアでき国内に満遍なく飛ぶうえ夜間ともなれば海外へも飛んでくれます。それだけに混信も激しいのですがいつも誰かがオンジエアしているので交信相手には事欠きません。
波長:λは40mもあります。 1/4・λでも10mもあってモバイル用のアンテナは超短縮型にならざるを得ません。 それだけに輻射効率の良いアンテナは難しくなるのですが上手に作れば十分楽しめるだけのものができます。
写真は手持ちのアンテナ製作用パーツです。 今回は活用する最後のチャンスと考えて長いこと温存していた専用の部材を投入することにしました。 茶色のパイプ状がグラスファイバ・ロッドで、以前HF帯のモバイル運用が流行ったころヘリカル巻き短縮アンテナの製作によく使われた素材です。 その下がそれに適合するコネクタ部でM型になっています。一番下は6段のロッド・アンテナで30m Bandのホイップ・アンテナに使ったものと同じです。完全に伸ばした全長は101.5cmのものです。 各部材の入手・代替などに関する情報は後ほどあります。
☆
再びモバイル用アンテナ製作の話に戻ります。 30m Bandは楽しいHAMバンドですが30mのアンテナだけではオンジエアの幅が狭くなってしまいます。これから40m Band用のモバイル・ホイップ・アンテナを製作します。やはりHF帯のメインストリートに出たいですね。 FBなアンテナができたならドライブの楽しみも広がります。
製作するアンテナの基本構造はすでに前のBlog(←リンク)で扱った30m Band用と同じセンター・ローディング形式です。 実用的な性能が得られた実績を重視し同じ形式にしました。 もう一つの理由はセンター・ローディング形式なら設計手法が確立しているため試行回数が少なく済むからです。
ヘリカル巻きの短縮型も面白そうに思ったのですが製作経験がないので諦めました。 従って既に前のBlogをご覧でしたらアンテナ形式そのものに目新しさはないでしょう。 しかし、もしお暇ならお付き合いください。 Somithing NEWはあるはずです。
【エア・ダックス・コイルと切断治具】
40m Bnadのホイップ・アンテナでも短縮コイルにエア・ダックスを使います。 コイルはボビン(巻枠)に自分で巻いて作れるパーツですが、手持ちを温存する意味もないので積極的に使うことにします。
型番はNo.401016で30m Bnadのホイップ・アンテナに使ったものと同じです。 流石に太めの線を巻いた空芯コイルだけあってQu=300が得られます。自作すればもう少しHigh-Qなコイルも十分可能なのですがQu=300はけして悪い数字ではありません。かなり良い性能と言えます。 活用することにしました。
エア・ダックスの切断に使えそうなプラスチックス切断用の治具(写真手前)があったので使ってみました。 コイルの「巻き」をあまり無駄にせず綺麗に切断可能ですがそもそもエア・ダックスが手に入らないパーツなので・・・道具もあまり意味はないかも。w
【40m用センタ・ローディングANTの設計】
今回は計算してから製作を始めました。 ただし設計アプリを使うためにはアンテナ・エレメントの寸法が明確でないと始まりません。
具体的にはコイルより下側のベースセクションと上側のトップセクションの寸法です。長さと平均径が必要です。 また容量冠の有無と、もし使う場合はその寸法・構造も必要です。
下部・ベースセクションに使うグラスファイバ・ロッド(上記写真で茶色のパイプ)は、長さ:L=140cm、元口径=1.4cm、先端径=0.55cm、肉厚=1mm程度のものです。ただし細い先端部は使いません。 コイルより上部のトップセクションは伸縮可能なロッド・アンテナ(テレスコーピック・アンテナ)を使います。 従ってグラスファイバ・ロッドは適当な寸法で切断しました。
センタ・ローディング・アンテナの輻射効率はRF電流の腹にあたる下部セクションの影響が大です。 全長を一定とすればRF電流が小さくなるコイルより上部を長くするよりもRF電流が大きい下部セクションを長くした方が有利です。ボトムローディング形式は構造的に有利ですが輻射効率では最低と言えます。 だからと言って短絡的な考えでコイルを最頂部に置くのがベストかと言えば、そうではありませんが・・・。
(参考:簡単に言うと先端に行くほど共振に必要なインダクタンスが増えHigh-Qなコイルの製作・保持が難しくなります。接地抵抗を仮定しローディング・コイルのQをパラメータとして計算すれば最適なコイルの位置が求まります)
種々の要素を検討してグラスファイバ・ロッドは元口から82.5cmのところで切断しました。 ただし一部はコネクタ部とコイルのサポートに取られるので電気的に有効な長さは実測67cmになりました。 上部セクションはロッド・アンテナそのものなので長さ101.5cmありますが、使用時にはやや縮めて使うことを想定し96cmとして計算しています。 先端の容量冠は実際は8の字型ですが等価的に直径8cmの円形でスポークは4本として計算しました。 接地抵抗はとりあえず10Ωとしておきますので効率計算は参考値です。
必要なローディング・コイルのインダクタンスは約42μHと計算されます。エア・ダックス・コイル:No.401016はちょうど40回巻きが必要です。 コイルのバラツキおよび計算誤差などを考慮して数回(3回)多めに切断しておきます。
【ローディング・コイルの調整】
おおよそのインダクタンスは計算で求めてあります。
エアダックス・コイルのインダクタンスは付属のチャートから求められますが、かなりラフなものです。 実際にはQメータで測定してインダクタンスを確認しておきました。(どうせタップで加減するので事前の精密な測定は必要ありません)
上部エレメントからクリップ付きリード線を出しコイルの巻き線を摑んで共振する周波数を探ります。
超短縮なアンテナは狭帯域になりがちです。SWRが下がり実用となるのは共振周波数付近の狭い範囲になります。ほぼスポット周波数と言えます。正確に7050kHzあたりで共振するようコイルを調整しました。 実際に使用する際は上部のロッド・アンテナ部分を伸縮させてオンジエアする周波数にぴったり合うようシビアに加減する必要があります。 もし、こうした超短縮型のアンテナがブロードな周波数特性を示すならそのアンテナの輻射効率はかなり低い可能性があります。これはご参考までに。
コイルの調整に際してロッド・アンテナの長さは±に調整できるよう適度に縮めた状態で行ないます。 伸ばし切った状態で決めたら共振周波数を低い方へ調整できません。
【ケースを被せてローディング・コイル完成】
防水・防滴構造ではありませんが多少の天候変化なら大丈夫なようにしておきます。
コイル全体をプラスチックス製のケースに収納してあります。 このケースは200mlのサンプル容器というものです。 蓋の部分を下にして逆さまに使っています。ローディング・コイルは蓋の部分に固定されています。
容器は適当な寸法の手持ちがあったので使いましたが100均で様々なものが手に入るので適当なものを見つければ良いでしょう。なお金属製の容器はインダクタンスやQへの影響が大きいため使うべきではありません。
もし走行しながら使えるアンテナを作りたいなら十分な検討が必要です。 破損がないように構造や部材を吟味しなくてはならないでしょう。
このアンテナは車をどこかに停めて半固定でのオンジエアで使うことを前提に考えています。移動運用地に到着してからアンテナ基台に装着します。 着脱で簡単に壊れないよう相応の機械的な強度は考えていますが停車した状態で使うべきでしょう。 アンテナ基台もそれほど大型ではありませんから車体への固定が十分に強固とは思えません。ある程度可能かもしれませんが大きめのアンテナを付けたままの走行は安全ではないでしょう。
【コイルは発熱する】
コイルのQが無限大でない限り必ずロスが発生します。5Wと言ったQRPなら発熱量はたかが知れていますが移動局の限度いっぱいの50Wも出すと馬鹿にできません。
このアンテナの場合、入力電力の約35%がコイルで熱になる計算です。Qu=300というかなり良いコイルを使っていてもそれだけのロスが発生します。 例えば送信電力:50Wとしてコイルでの損失は18Wくらいになります。これは無視できない発熱量です。
テストの段階で連続的な送信を行なったところ「共振周波数の跳躍」が見られました。 約30kHzほど上昇したのです。温度上昇によって製作時の機械的なストレスが解放されたものと考えられます。 その後は50Wでのオンジエアでも変化を感じないので安定したようです。
【インピーダンス・マッチング】
C-L型のインピーダンスマッチング回路を付けました。
この部分も30m Bandのホイップ・アンテナと同様の構造です。ただし容量値は異なります。
給電点のインピーダンスを想定して計算すると、必要な容量値は約610pFになりす。計算自体がアバウトなものですから680pFのディップド・マイカ・コンデンサで間に合わせました。 マッチング回路のインダクタンスは約0.54μHでローディング・コイルに含めることで省略できます。
写真でアンテナ下部の構造がわかると思います。グラスファイバ・ロッドは同軸ケーブル(10D-2V)を剥いて作った網線で覆われています。
これは下部エレメントを低抵抗に作ってロスを減らし、しかも太くすることで静電容量を大きくする目的があります。 アンテナのキャパシティをできるだけ大きくすることで、なるべく少ないインダクタンスのローディング・コイルで共振させるようにします。
もちろん銅の網線が裸のままでは錆びてくるのでテープを巻いておきます。ビニル・テープなどではなくて自己融着テープが最適です。自己融着テープは高周波的な特性も悪くありません。自己融着テープも最近はホームセンターの電材コーナーに置いてあります。 もし手に入れば太い熱収縮チューブを使うと体裁よく仕上がります。
【マッチング部の防水】
マッチング回路のコンデンサを含めてテーピングしておきます。これでコンデンサが取れてしまうことも防げます。
この部分で意外に厄介なのはコネクタ部とのハンダ付けです。 コネクタ部分はクロームメッキされていて、普通のハンダ付けができないからです。これはコイルより上部のロッド・アンテナ部分も同じです。
ホームセンターへ行くとホワイト・メタル用と言うフラックスが見つかります。是非ともそれを使ってハンダ付けすべきです。
メッキを剥がす方法もありますが材質によっては母材にハンダ付けできないことがあります。 機械的にカシメても良いので確実な接続ができるようにします。高周波回路は接触不良を嫌いますから効率低下が起こらぬようにしたいものです。
(注意:フラックスは酸化性が強いので残存していると錆が出ます。十分な洗浄を!)
【10MHzと7MHzのWhip Antenna】
完成した7MHzのアンテナを並べてみました。左が先に作った10MHzで右が7MHzです。 基本的に同じ構造ですので良く似ています。
写真ではわかりませんが後から作った7MHzは改良された箇所がたくさんあります。 やはり2つ目の製作ともなると最初の経験が活きてきます。 部材も残り物の間に合わせから専用品に代わった部分もあって作りやすさにも違いがありました。
ローディング・コイルのサポート構造は特に進歩した部分です。 10MHz用は主要部分をエポキシ系の接着剤(アラルダイト・ラピッド)で固定し、材質的にエポキシ系で無理があった所をセメダイン・スーパーXという万能接着剤で固定していました。全面的に接着剤に頼る方法です。 7MHz用ではエアダックス・コイルの構造に着目し蓋の部分に樹脂のセパレータ(4本)に合わせた穴加工を行なって固定しました。接着剤は要所に必要最低限だけです。機械的な強度はずいぶん向上し、見た感じも良くなっています。
まったく異なるタイプのアンテナを作ったほうが自作としては面白いのですが、同じ構造なら製作経験を活かすことができ改良に繋がります。実用品を作るという趣旨から言えば悪くない選択だったのではないでしょうか。
【車載した様子】
写真は車載した様子です。コイルより下部のベースセクションが長くなったため10MHzにも増して印象的になりました。
全長は約182cmあります。 装着して走行することはないので支障はないと思います。 コネクタ部分が専用品になったのでベース部分の機械的な強度はずいぶん向上したと感じます。 長くはなっても安心感はアップしています。
写真では見えにくいですが頂部に8の字型のキャパシティ・ハット(容量冠)が付いているのも10MHzのホイップANTに同じです。
【磁石アース板】
周波数が低くなったことからボディーとの結合容量の不足が気になりました。 写真のように小型版(強磁力の方)を2枚使って調整していたのですが、A4版の大きい方を追加してみました。
多少の変化は見られますが大きな違いはないことがわかったので現在は写真の状態で実用しています。 もちろん磁石アース板なしでは不安定なうえ調整も狂ってしまいまったくダメです。(笑)
【7MHz Whip Antennaの共振特性】
写真はnanoVNAで観測した7MHzホイップ・アンテナのSWR特性です。7.0MHzを中心に±500kHzの範囲で観測しています。
写真を見ますとSWRが低くくて使用可能な周波数帯域幅はたいへん狭くなっています。 スポット的と言っても良いでしょう。 高い輻射効率を狙ってできるだけロスを減らした短縮アンテナはかなりHigh-Qになります。 そのため実質的に共振周波数付近のごく狭い周波数範囲でしかオンジエアできません。
FT-8やJT-65(廃れましたが・笑)のようにスポット周波数で運用するモードなら運用中の支障はまったくありません。 CWの場合はCWバンドの低端と高端ではかなり離れているため運用周波数に合わせてアンテナ先端の伸縮により微調整する必要があるでしょう。 同様にSSBでも実際に使う周波数に応じた微調整を行なえば良好な輻射効率でオンジエアできます。
全長は約182cmと10MHz版より30cmくらい長くなっていますが、1/4・λに対する短縮率は約83%と(=17%の長さしかない)むしろ「小さなアンテナ」になっています。そのため輻射効率も少し低下しています。これが現実的なサイズなのでやむを得ないと思います。 あとはうまく電波が飛んでくれたら良いのですが・・・
帯域幅が狭く効率も低いのは超短縮アンテナにならざるを得ないHF帯移動運用の宿命と言えます。 こんなことを書くと混乱するかもしれませんが「アンテナのQは低いほどFB」なのです。しかし損失が大きくなるような方法でLow-Qにしたのでは意味がありませんけれど・・・。おわかりでしょうか?(笑)
【テスト・オンジエアの様子:FT-8】
近くの空き地で移動運用のテスト・オンジエアです。 何かあってもシャックにすぐ戻れるごく短距離の移動です。
共振周波数の調整がやや甘かったのですが、まずまず良く飛んでくれました。
CQを出したところ数局に呼んでいただけました。 コンデイションの影響もあるとは思いますが、約83%短縮という超短縮アンテナでも十分な実用性能が得られています。見かけスマートな市販ANTよりも効率はずいぶんマシでしょう。
移動運用には様々なスタイルがあります。ポータブルなQRP機を持ってフィールドに出かけて波を出すのは楽しいものです。私もFT-817なら持ってます。 しかし弱すぎる波では交信相手はだいぶ苦労するでしょう。 私の希みは:たとえ移動運用の貧弱な設備ではあってもできるだけ良い波を出したいのです。 なるべく楽に交信して頂きたいと思っています。 ですからあえてQRPには拘らず事情が許せば法定内で可能なだけのパワーを出しアンテナ系の輻射効率も極力高くありたいのです。 アマ無線は交信できてこそ無線通信です。せっかく出かけた移動運用がボウズじゃ悲しいじゃありませんか。hi
参考:QRPpでkm/Wを競うにはPOTAではなくSOTAが向いています。V/UHFなら標高で飛距離を稼ぐことができるからです。短縮なしフルサイズのアンテナやビームアンテナも使えます。HF帯よりノイズや混信が少ないのも有利です。
【PSKRでも飛びを確認】
トランシーバの受信感度には20dB(電圧で10倍、電力で言えば100倍)以上の余裕があってかなり低効率なアンテナでもよく聞こえるのが当たり前になっています。そうでないとそのトランシーバは耳が悪いって言われてしまいます。w
しかし送信で20dBの余裕は容易ではありません。アンテナのロスを見込んで100倍のパワーに・・・など非現実的です。アンテナの数%の効率の違いに拘るのはそのためです。その数%が飛びには大いに影響します。
そのアンテナを繋いでみたらよく聞こえるからと言って、それはまったくの気休めに過ぎないかも知れません。本当のことは送信した時にわかります。
飛び具合の確認のために7041kHzでオンジエア・テストしてみました。 7041kHz/FT-8は基本的にJA局のみがオンジエアしています。 これはバンド使用区分からやむなくそうなったものと承知しています。
従って受信レポートは海外局からは得られません。 たまたま韓国に1局だけ7041kHzをワッチしていた局がいたようです。 他の日のテストでも国内各局にまんべんなく飛んでくれたのでこのアンテナはかなり旨くいったと言えるでしょう。 もちろん短縮なし・フルサイズの固定局のアンテナと比べちゃいけませんけどね。(笑)
こんどは夜間のDXタイムを選んで7074kHz/FT-8でテストしたいと思います。果たしてどれくらい飛んでくれるでしょうか。(現在は7074kHzで国内局を呼ぶことも可となりましたが、JAどうしの交信は7041kHzがメジャーなようです。DXerには有難いことでしょう)
☆
似たようなアンテナを作るだけですから作るつもりのない人には面白味に欠けたBlogだったでしょう。 寸法図など諸元は省略しましたが、もし参考資料としてご入用でしたら連絡いただけたらと思います。 逆に本当に作ってみたいお方にとってはまだまだ情報不足を感じるはずです。
わからない部分は具体的にお尋ねになってください。私のわかる範囲で返信差し上げます。 製作工程を一からすべて教えろとか、費用を出すから代わりに同じものを作ってくれ等のご要望には応じかねます。 製作例は参考に過ぎないので、あとはみずからも考え、工夫し、手を動かし、完成させてください。 きっと旨く行きます。製作の勘所はすべて書きました。(笑)
調べてみて驚いたのですが、このアンテナ製作で使ったグラスファイバ・ロッドとそれ専用のM型コネクタ部は現在でも入手可能でした。製作に使ったものは25年以上も前に手に入れたものだったからです。
先端部のロッド・アンテナは昔HAMフェアで購入したもので同じものの入手は難しいかも知れません。 6段式で伸ばした全長は101.5cm(ネジ部含む)、収縮時の長さは20.3cmです。元部分の太さは7mmあります。 長さは少々違っても支障ありません。コイルのタップ位置をわずかに動かせば共振できます。 上記の寸法にこだわることなくネット通販など手に入り易いものを使いましょう。3段式で50cm程度の物でも十分です。
エア・ダックス・コイルの代用は幾らでも可能です。 塩ビやアクリル樹脂のパイプに巻いて所定のインダクタンスが得られるように作ればOKです。 理想を言えば内径85mmのボビンにφ1.6mmの巻線を巻き幅60mm(ピッチ約2.9mm)で22回巻くとHigh-Qなコイルが作れます。さらに2〜3回余分に巻いて調整の余裕を持たせます。 密着巻きではなく必ずスペース巻きで作ります。 密着巻きでは巻線相互の「近接効果」のためQが上がりません。(重要なノウハウ・笑)
写真は「さきたま古墳公園」(埼玉県行田市:POTA JP-1178/JCC-1306)でオンジエアした際のものです。 自作した7MHzホイップ・アンテナは各地のPOTA運用(←リンク)で存分に活躍してくれています。 たくさんのQSOありがとうございます! ではまたどこかの公園から。 de JA9TTT/1
(つづく)fm
abstract
I have built a 40m Band Whip Antenna. This antenna is designed to enjoy HAM by carrying a radio station in a car and moving it around. This antenna has the same structure as the 30 m band antenna introduced in two previous Blogs. Of course, the resonant frequency is different. The construction was easy as I used some parts specially designed for whip antennas. The finished antenna sounds good and radiates well. (2024.03.25 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【モバイルアンテナの材料】
40m Band:7MHz帯はHF帯(短波帯)のメインストリートでしょう。ライセンスに関係なく初級局からオンジエアでき国内に満遍なく飛ぶうえ夜間ともなれば海外へも飛んでくれます。それだけに混信も激しいのですがいつも誰かがオンジエアしているので交信相手には事欠きません。
波長:λは40mもあります。 1/4・λでも10mもあってモバイル用のアンテナは超短縮型にならざるを得ません。 それだけに輻射効率の良いアンテナは難しくなるのですが上手に作れば十分楽しめるだけのものができます。
写真は手持ちのアンテナ製作用パーツです。 今回は活用する最後のチャンスと考えて長いこと温存していた専用の部材を投入することにしました。 茶色のパイプ状がグラスファイバ・ロッドで、以前HF帯のモバイル運用が流行ったころヘリカル巻き短縮アンテナの製作によく使われた素材です。 その下がそれに適合するコネクタ部でM型になっています。一番下は6段のロッド・アンテナで30m Bandのホイップ・アンテナに使ったものと同じです。完全に伸ばした全長は101.5cmのものです。 各部材の入手・代替などに関する情報は後ほどあります。
☆
再びモバイル用アンテナ製作の話に戻ります。 30m Bandは楽しいHAMバンドですが30mのアンテナだけではオンジエアの幅が狭くなってしまいます。これから40m Band用のモバイル・ホイップ・アンテナを製作します。やはりHF帯のメインストリートに出たいですね。 FBなアンテナができたならドライブの楽しみも広がります。
製作するアンテナの基本構造はすでに前のBlog(←リンク)で扱った30m Band用と同じセンター・ローディング形式です。 実用的な性能が得られた実績を重視し同じ形式にしました。 もう一つの理由はセンター・ローディング形式なら設計手法が確立しているため試行回数が少なく済むからです。
ヘリカル巻きの短縮型も面白そうに思ったのですが製作経験がないので諦めました。 従って既に前のBlogをご覧でしたらアンテナ形式そのものに目新しさはないでしょう。 しかし、もしお暇ならお付き合いください。 Somithing NEWはあるはずです。
【エア・ダックス・コイルと切断治具】
40m Bnadのホイップ・アンテナでも短縮コイルにエア・ダックスを使います。 コイルはボビン(巻枠)に自分で巻いて作れるパーツですが、手持ちを温存する意味もないので積極的に使うことにします。
型番はNo.401016で30m Bnadのホイップ・アンテナに使ったものと同じです。 流石に太めの線を巻いた空芯コイルだけあってQu=300が得られます。自作すればもう少しHigh-Qなコイルも十分可能なのですがQu=300はけして悪い数字ではありません。かなり良い性能と言えます。 活用することにしました。
エア・ダックスの切断に使えそうなプラスチックス切断用の治具(写真手前)があったので使ってみました。 コイルの「巻き」をあまり無駄にせず綺麗に切断可能ですがそもそもエア・ダックスが手に入らないパーツなので・・・道具もあまり意味はないかも。w
【40m用センタ・ローディングANTの設計】
今回は計算してから製作を始めました。 ただし設計アプリを使うためにはアンテナ・エレメントの寸法が明確でないと始まりません。
具体的にはコイルより下側のベースセクションと上側のトップセクションの寸法です。長さと平均径が必要です。 また容量冠の有無と、もし使う場合はその寸法・構造も必要です。
下部・ベースセクションに使うグラスファイバ・ロッド(上記写真で茶色のパイプ)は、長さ:L=140cm、元口径=1.4cm、先端径=0.55cm、肉厚=1mm程度のものです。ただし細い先端部は使いません。 コイルより上部のトップセクションは伸縮可能なロッド・アンテナ(テレスコーピック・アンテナ)を使います。 従ってグラスファイバ・ロッドは適当な寸法で切断しました。
センタ・ローディング・アンテナの輻射効率はRF電流の腹にあたる下部セクションの影響が大です。 全長を一定とすればRF電流が小さくなるコイルより上部を長くするよりもRF電流が大きい下部セクションを長くした方が有利です。ボトムローディング形式は構造的に有利ですが輻射効率では最低と言えます。 だからと言って短絡的な考えでコイルを最頂部に置くのがベストかと言えば、そうではありませんが・・・。
(参考:簡単に言うと先端に行くほど共振に必要なインダクタンスが増えHigh-Qなコイルの製作・保持が難しくなります。接地抵抗を仮定しローディング・コイルのQをパラメータとして計算すれば最適なコイルの位置が求まります)
種々の要素を検討してグラスファイバ・ロッドは元口から82.5cmのところで切断しました。 ただし一部はコネクタ部とコイルのサポートに取られるので電気的に有効な長さは実測67cmになりました。 上部セクションはロッド・アンテナそのものなので長さ101.5cmありますが、使用時にはやや縮めて使うことを想定し96cmとして計算しています。 先端の容量冠は実際は8の字型ですが等価的に直径8cmの円形でスポークは4本として計算しました。 接地抵抗はとりあえず10Ωとしておきますので効率計算は参考値です。
必要なローディング・コイルのインダクタンスは約42μHと計算されます。エア・ダックス・コイル:No.401016はちょうど40回巻きが必要です。 コイルのバラツキおよび計算誤差などを考慮して数回(3回)多めに切断しておきます。
【ローディング・コイルの調整】
おおよそのインダクタンスは計算で求めてあります。
エアダックス・コイルのインダクタンスは付属のチャートから求められますが、かなりラフなものです。 実際にはQメータで測定してインダクタンスを確認しておきました。(どうせタップで加減するので事前の精密な測定は必要ありません)
上部エレメントからクリップ付きリード線を出しコイルの巻き線を摑んで共振する周波数を探ります。
超短縮なアンテナは狭帯域になりがちです。SWRが下がり実用となるのは共振周波数付近の狭い範囲になります。ほぼスポット周波数と言えます。正確に7050kHzあたりで共振するようコイルを調整しました。 実際に使用する際は上部のロッド・アンテナ部分を伸縮させてオンジエアする周波数にぴったり合うようシビアに加減する必要があります。 もし、こうした超短縮型のアンテナがブロードな周波数特性を示すならそのアンテナの輻射効率はかなり低い可能性があります。これはご参考までに。
コイルの調整に際してロッド・アンテナの長さは±に調整できるよう適度に縮めた状態で行ないます。 伸ばし切った状態で決めたら共振周波数を低い方へ調整できません。
【ケースを被せてローディング・コイル完成】
防水・防滴構造ではありませんが多少の天候変化なら大丈夫なようにしておきます。
コイル全体をプラスチックス製のケースに収納してあります。 このケースは200mlのサンプル容器というものです。 蓋の部分を下にして逆さまに使っています。ローディング・コイルは蓋の部分に固定されています。
容器は適当な寸法の手持ちがあったので使いましたが100均で様々なものが手に入るので適当なものを見つければ良いでしょう。なお金属製の容器はインダクタンスやQへの影響が大きいため使うべきではありません。
もし走行しながら使えるアンテナを作りたいなら十分な検討が必要です。 破損がないように構造や部材を吟味しなくてはならないでしょう。
このアンテナは車をどこかに停めて半固定でのオンジエアで使うことを前提に考えています。移動運用地に到着してからアンテナ基台に装着します。 着脱で簡単に壊れないよう相応の機械的な強度は考えていますが停車した状態で使うべきでしょう。 アンテナ基台もそれほど大型ではありませんから車体への固定が十分に強固とは思えません。ある程度可能かもしれませんが大きめのアンテナを付けたままの走行は安全ではないでしょう。
【コイルは発熱する】
コイルのQが無限大でない限り必ずロスが発生します。5Wと言ったQRPなら発熱量はたかが知れていますが移動局の限度いっぱいの50Wも出すと馬鹿にできません。
このアンテナの場合、入力電力の約35%がコイルで熱になる計算です。Qu=300というかなり良いコイルを使っていてもそれだけのロスが発生します。 例えば送信電力:50Wとしてコイルでの損失は18Wくらいになります。これは無視できない発熱量です。
テストの段階で連続的な送信を行なったところ「共振周波数の跳躍」が見られました。 約30kHzほど上昇したのです。温度上昇によって製作時の機械的なストレスが解放されたものと考えられます。 その後は50Wでのオンジエアでも変化を感じないので安定したようです。
【インピーダンス・マッチング】
C-L型のインピーダンスマッチング回路を付けました。
この部分も30m Bandのホイップ・アンテナと同様の構造です。ただし容量値は異なります。
給電点のインピーダンスを想定して計算すると、必要な容量値は約610pFになりす。計算自体がアバウトなものですから680pFのディップド・マイカ・コンデンサで間に合わせました。 マッチング回路のインダクタンスは約0.54μHでローディング・コイルに含めることで省略できます。
写真でアンテナ下部の構造がわかると思います。グラスファイバ・ロッドは同軸ケーブル(10D-2V)を剥いて作った網線で覆われています。
これは下部エレメントを低抵抗に作ってロスを減らし、しかも太くすることで静電容量を大きくする目的があります。 アンテナのキャパシティをできるだけ大きくすることで、なるべく少ないインダクタンスのローディング・コイルで共振させるようにします。
もちろん銅の網線が裸のままでは錆びてくるのでテープを巻いておきます。ビニル・テープなどではなくて自己融着テープが最適です。自己融着テープは高周波的な特性も悪くありません。自己融着テープも最近はホームセンターの電材コーナーに置いてあります。 もし手に入れば太い熱収縮チューブを使うと体裁よく仕上がります。
【マッチング部の防水】
マッチング回路のコンデンサを含めてテーピングしておきます。これでコンデンサが取れてしまうことも防げます。
この部分で意外に厄介なのはコネクタ部とのハンダ付けです。 コネクタ部分はクロームメッキされていて、普通のハンダ付けができないからです。これはコイルより上部のロッド・アンテナ部分も同じです。
ホームセンターへ行くとホワイト・メタル用と言うフラックスが見つかります。是非ともそれを使ってハンダ付けすべきです。
メッキを剥がす方法もありますが材質によっては母材にハンダ付けできないことがあります。 機械的にカシメても良いので確実な接続ができるようにします。高周波回路は接触不良を嫌いますから効率低下が起こらぬようにしたいものです。
(注意:フラックスは酸化性が強いので残存していると錆が出ます。十分な洗浄を!)
【10MHzと7MHzのWhip Antenna】
完成した7MHzのアンテナを並べてみました。左が先に作った10MHzで右が7MHzです。 基本的に同じ構造ですので良く似ています。
写真ではわかりませんが後から作った7MHzは改良された箇所がたくさんあります。 やはり2つ目の製作ともなると最初の経験が活きてきます。 部材も残り物の間に合わせから専用品に代わった部分もあって作りやすさにも違いがありました。
ローディング・コイルのサポート構造は特に進歩した部分です。 10MHz用は主要部分をエポキシ系の接着剤(アラルダイト・ラピッド)で固定し、材質的にエポキシ系で無理があった所をセメダイン・スーパーXという万能接着剤で固定していました。全面的に接着剤に頼る方法です。 7MHz用ではエアダックス・コイルの構造に着目し蓋の部分に樹脂のセパレータ(4本)に合わせた穴加工を行なって固定しました。接着剤は要所に必要最低限だけです。機械的な強度はずいぶん向上し、見た感じも良くなっています。
まったく異なるタイプのアンテナを作ったほうが自作としては面白いのですが、同じ構造なら製作経験を活かすことができ改良に繋がります。実用品を作るという趣旨から言えば悪くない選択だったのではないでしょうか。
【車載した様子】
写真は車載した様子です。コイルより下部のベースセクションが長くなったため10MHzにも増して印象的になりました。
全長は約182cmあります。 装着して走行することはないので支障はないと思います。 コネクタ部分が専用品になったのでベース部分の機械的な強度はずいぶん向上したと感じます。 長くはなっても安心感はアップしています。
写真では見えにくいですが頂部に8の字型のキャパシティ・ハット(容量冠)が付いているのも10MHzのホイップANTに同じです。
【磁石アース板】
周波数が低くなったことからボディーとの結合容量の不足が気になりました。 写真のように小型版(強磁力の方)を2枚使って調整していたのですが、A4版の大きい方を追加してみました。
多少の変化は見られますが大きな違いはないことがわかったので現在は写真の状態で実用しています。 もちろん磁石アース板なしでは不安定なうえ調整も狂ってしまいまったくダメです。(笑)
【7MHz Whip Antennaの共振特性】
写真はnanoVNAで観測した7MHzホイップ・アンテナのSWR特性です。7.0MHzを中心に±500kHzの範囲で観測しています。
写真を見ますとSWRが低くくて使用可能な周波数帯域幅はたいへん狭くなっています。 スポット的と言っても良いでしょう。 高い輻射効率を狙ってできるだけロスを減らした短縮アンテナはかなりHigh-Qになります。 そのため実質的に共振周波数付近のごく狭い周波数範囲でしかオンジエアできません。
FT-8やJT-65(廃れましたが・笑)のようにスポット周波数で運用するモードなら運用中の支障はまったくありません。 CWの場合はCWバンドの低端と高端ではかなり離れているため運用周波数に合わせてアンテナ先端の伸縮により微調整する必要があるでしょう。 同様にSSBでも実際に使う周波数に応じた微調整を行なえば良好な輻射効率でオンジエアできます。
全長は約182cmと10MHz版より30cmくらい長くなっていますが、1/4・λに対する短縮率は約83%と(=17%の長さしかない)むしろ「小さなアンテナ」になっています。そのため輻射効率も少し低下しています。これが現実的なサイズなのでやむを得ないと思います。 あとはうまく電波が飛んでくれたら良いのですが・・・
帯域幅が狭く効率も低いのは超短縮アンテナにならざるを得ないHF帯移動運用の宿命と言えます。 こんなことを書くと混乱するかもしれませんが「アンテナのQは低いほどFB」なのです。しかし損失が大きくなるような方法でLow-Qにしたのでは意味がありませんけれど・・・。おわかりでしょうか?(笑)
【テスト・オンジエアの様子:FT-8】
近くの空き地で移動運用のテスト・オンジエアです。 何かあってもシャックにすぐ戻れるごく短距離の移動です。
共振周波数の調整がやや甘かったのですが、まずまず良く飛んでくれました。
CQを出したところ数局に呼んでいただけました。 コンデイションの影響もあるとは思いますが、約83%短縮という超短縮アンテナでも十分な実用性能が得られています。見かけスマートな市販ANTよりも効率はずいぶんマシでしょう。
移動運用には様々なスタイルがあります。ポータブルなQRP機を持ってフィールドに出かけて波を出すのは楽しいものです。私もFT-817なら持ってます。 しかし弱すぎる波では交信相手はだいぶ苦労するでしょう。 私の希みは:たとえ移動運用の貧弱な設備ではあってもできるだけ良い波を出したいのです。 なるべく楽に交信して頂きたいと思っています。 ですからあえてQRPには拘らず事情が許せば法定内で可能なだけのパワーを出しアンテナ系の輻射効率も極力高くありたいのです。 アマ無線は交信できてこそ無線通信です。せっかく出かけた移動運用がボウズじゃ悲しいじゃありませんか。hi
参考:QRPpでkm/Wを競うにはPOTAではなくSOTAが向いています。V/UHFなら標高で飛距離を稼ぐことができるからです。短縮なしフルサイズのアンテナやビームアンテナも使えます。HF帯よりノイズや混信が少ないのも有利です。
【PSKRでも飛びを確認】
トランシーバの受信感度には20dB(電圧で10倍、電力で言えば100倍)以上の余裕があってかなり低効率なアンテナでもよく聞こえるのが当たり前になっています。そうでないとそのトランシーバは耳が悪いって言われてしまいます。w
しかし送信で20dBの余裕は容易ではありません。アンテナのロスを見込んで100倍のパワーに・・・など非現実的です。アンテナの数%の効率の違いに拘るのはそのためです。その数%が飛びには大いに影響します。
そのアンテナを繋いでみたらよく聞こえるからと言って、それはまったくの気休めに過ぎないかも知れません。本当のことは送信した時にわかります。
飛び具合の確認のために7041kHzでオンジエア・テストしてみました。 7041kHz/FT-8は基本的にJA局のみがオンジエアしています。 これはバンド使用区分からやむなくそうなったものと承知しています。
従って受信レポートは海外局からは得られません。 たまたま韓国に1局だけ7041kHzをワッチしていた局がいたようです。 他の日のテストでも国内各局にまんべんなく飛んでくれたのでこのアンテナはかなり旨くいったと言えるでしょう。 もちろん短縮なし・フルサイズの固定局のアンテナと比べちゃいけませんけどね。(笑)
こんどは夜間のDXタイムを選んで7074kHz/FT-8でテストしたいと思います。果たしてどれくらい飛んでくれるでしょうか。(現在は7074kHzで国内局を呼ぶことも可となりましたが、JAどうしの交信は7041kHzがメジャーなようです。DXerには有難いことでしょう)
☆
似たようなアンテナを作るだけですから作るつもりのない人には面白味に欠けたBlogだったでしょう。 寸法図など諸元は省略しましたが、もし参考資料としてご入用でしたら連絡いただけたらと思います。 逆に本当に作ってみたいお方にとってはまだまだ情報不足を感じるはずです。
わからない部分は具体的にお尋ねになってください。私のわかる範囲で返信差し上げます。 製作工程を一からすべて教えろとか、費用を出すから代わりに同じものを作ってくれ等のご要望には応じかねます。 製作例は参考に過ぎないので、あとはみずからも考え、工夫し、手を動かし、完成させてください。 きっと旨く行きます。製作の勘所はすべて書きました。(笑)
調べてみて驚いたのですが、このアンテナ製作で使ったグラスファイバ・ロッドとそれ専用のM型コネクタ部は現在でも入手可能でした。製作に使ったものは25年以上も前に手に入れたものだったからです。
先端部のロッド・アンテナは昔HAMフェアで購入したもので同じものの入手は難しいかも知れません。 6段式で伸ばした全長は101.5cm(ネジ部含む)、収縮時の長さは20.3cmです。元部分の太さは7mmあります。 長さは少々違っても支障ありません。コイルのタップ位置をわずかに動かせば共振できます。 上記の寸法にこだわることなくネット通販など手に入り易いものを使いましょう。3段式で50cm程度の物でも十分です。
エア・ダックス・コイルの代用は幾らでも可能です。 塩ビやアクリル樹脂のパイプに巻いて所定のインダクタンスが得られるように作ればOKです。 理想を言えば内径85mmのボビンにφ1.6mmの巻線を巻き幅60mm(ピッチ約2.9mm)で22回巻くとHigh-Qなコイルが作れます。さらに2〜3回余分に巻いて調整の余裕を持たせます。 密着巻きではなく必ずスペース巻きで作ります。 密着巻きでは巻線相互の「近接効果」のためQが上がりません。(重要なノウハウ・笑)
写真は「さきたま古墳公園」(埼玉県行田市:POTA JP-1178/JCC-1306)でオンジエアした際のものです。 自作した7MHzホイップ・アンテナは各地のPOTA運用(←リンク)で存分に活躍してくれています。 たくさんのQSOありがとうございます! ではまたどこかの公園から。 de JA9TTT/1
(つづく)fm
2024年3月10日日曜日
【HAM】Parks on the Air : POTA
【パークス・オンジエア:公園からオンジエア】
abstract
Have you heard of POTA? POTA stands for "Parks on the Air" and is an on-air activity of HAM stations from the parks. It is a US-derived activity derived from Summit on the Air (SOTA). POTA has already become a worldwide activity. You can easily get started. The first step is for you to become a 'Hunter'. Then, once you have registered an account on the POTA website, all you have to do is call a POTA station. No hassle. It's even more fun when you become an 'Activator'. Go out to the park and open a mobile radio station. But there is nothing difficult about it. All you have to do is go to the park and enjoy the HAM Radio. (2024.03.10 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【POTAって?】
最近オンエアしていると"CQ POTA DE JA9・・・"という呼びかけを聞くことが多くなっていました。 コンテスト局のようではないし誰とでも交信しているようです。 たまにはこちらが呼ばれることもあって「ポタって何だろう?」と思っていました。
POTAというのは"Parks on the Air"・・・すなわち『公園でオンジエア』という意味のようです。 そう言えば以前"SOTA"って言うのを聞いたことがありました。 Rigとアンテナを担いで登山して山頂(Summit)からオンジエアし、アワードをねらうと言ったHAMの活動だったはずです。 その公園版がPOTAらしいのです。
軟弱な当局では重たいリグやバッテリ、さらにアンテナに加えテントと言った登山装備一式を担いで山に登るなんてムリムリだと思っています。(笑) しかし公園なら平地にもありますし、徒歩という「縛り」もないので自動車のまま行ける所もあるでしょう。 デキル可能性があります。
☆
これは私的感想に過ぎませんが:HAMのアクティビティも漫然と交信しているだけではいずれ低下してきて当然かも知れません。 QSLカードやアワード集めは楽しいものですが、ある日ふと「単なる紙集めじゃないか!?」って気付いて疑問に感じてしまったなら・・・せっかくの趣味も楽しさが希薄になってしまいそうです。 ローカルさんとのおしゃべりにもマンネリズムを感じてきたら・・・趣味を長く楽しむために何か活性化できることはないでしょうか? その一つがPOTA活なのかも知れません。もちろん、各局さんそれぞれのお考えもあるでしょう。
画面はさっそくPOTAのサイト(←リンク)へ行ってアカウント登録した様子です。
◎ POTA活には2つがある。
一番簡単なのはHunter(ハンター)で、これは公園からオンジエアする移動局を呼ぶだけです。あとは何もしなくてOKです。(カード交換さえも必要ありません)
もちろん電子発行されるアワード(このBlogの最後を参照)を希望するのでしたらアカウント登録だけは必要です。しかしそれ以外はいっさい何も要りません。だからとっても簡単です。 アカウントの登録は気が向いてからでも大丈夫です。過去の交信もちゃんと反映されますので。 あとはPOTA局を見つけたら交信しましょう。休日の午後たくさん出ています。
もう一つは公園からオンジエアするActivator(アクティベータ)です。こちらはRigを持って公園から決められたルールに従ってオンジエアします。 まあこれも特に難しいことはなくて肝心なのは無理せず楽しくオンジエアすることです。 そして移動運用が終わったら一つだけ必須の作業があります。POTAのサイトへADIF形式でLogを提出することです。このLogのおかげでハンターは何もしなくて良い訳なので・・・。 完全な交信が10局以上できるとその公園がアクティベーション(活性化)できたことになります。
もしも興味が湧いてきたらPOTAのサイトや関連のサイトなどを参照されてください。YoutubeでPOTAの動画も見つかります。 以下、POTAに興味を持つ切っ掛けになったら幸いです。 もちろん何の興味も感じないのでしたら早々のお帰りがベストです。
【POTAできる公園は?】
わたしはハンターよりもアクティベータの方に興味を持ちました。 公園から移動運用してみたいと思ったのです。
しかしどこかその辺の公園に行ってオンジエアすれば良いわけではないようなのです。 あらかじめ登録され番号がついている公園からオンジエアしないと有効な交信になりません。 ではどんな公園があるのでしょうか? 調べるサイト(←リンク)があって日本全国の公園を地図上でビジュアルに調べることができます。
画面は付近の公園を調べた結果です。あまり小さな公園は対象ではないようです。また大きな公園でも市町村が管理する公園は登録されていません。 おもに国立や県立の大きめの公園が登録されています。
【参考:公園番号の変更】
従来:JA-1234のように番号がついてましたが2024年3月初めよりJP-1234のように変更されました。JA→JPになっただけで数字部分は変わっていないようです。
残念ながら5分で行けるような公園はありませんでした。 しかし容易に出掛けられそうな公園がたくさん登録されています。 知らなかったような公園もあってオンジエア目的でなくても興味が湧くところもありました。 これらの中から先ずは行き易そうな公園を選んでテスト・オンジエアしましょう。
【雉岡城址からPOTA】
近所の公園に「上武県立自然公園」がありました。この公園は非常に広大なものです。
全国各地に指定されている自然公園の一つで昭和25年に指定されたそうです。国の自然公園制度によって誕生したそうです。(知りませんでした・笑)
埼玉県北西部の広域をカバーする公園です。POTAのルールによればその公園の中ならどこからのオンジエアでも有効です。
さっそく調べたら「雉岡城址」という市内の公園が含まれていました。元々ここは児玉郡児玉町でしたが平成の合併で本庄市になった所です。25分もあれば行けるはずです。
Googleストリートで確認したら駐車してオンジエアできるスペースもありました。 先ずはここから波を出してみましょう!
オンジエアの最低限のルールは、アンテナ、無線機、オペレータのすべてが公園内にあることです。 あとはそれぞれの公園のルールに従う必要があります。 車載だけで完結できれば車外にアンテナを建てる必要もないのでまずトラブルにはなりません。 あとは所定の駐車スペースに停めて楽しくオンジエア開始です。
【移動運用の準備】
普段は無線機を車載していません。必要なつど積み込むようにしています。 移動運用で必要になる道具は結構色々あります。 無線機やアンテナだけでなく電源やパソコンが必需品です。もちろんオペレータ・ライセンスや無線局免許状も。
音声やCW(無線電信)でオンエアなら無線機とアンテナ、あとはメモ帳でもあればPOTAできます。 おもにV/UHF帯のFMやSSBでオンジエアされるPOTA局もあって手軽にお楽しみのようです。 カートランシーバと車載ホイップなら常設しておけますからね。
楽しみ方は人それぞれです。 わたしはちょっと遠方の局とも交信したいと思っています。それでHF帯(短波帯)でオンジエアしたいのです。 このまえ作った10MHzの短縮ホイップ・アンテナを使い無線機もHF帯に出られるIC-7300を使うことにしました。 ほかにも遠くとできそうな見晴らしの良い高台から6m Bandと言うのも面白そう。しかもEスポでも出たら九州や北海道も・・・。Eスポは6月ころ初夏が狙い目です。
運用モード(電波形式)はデジタルモードをメインに考えています。このモードは弱い電波でも交信し易いからです。ノイズにもかなり強いです。 さらに自動でLogに記入できるなど利便性もよく短い時間での移動運用には最適だからです。 ただ、HF帯のPOTAハンターにはCW局もかなり多いのでCWでもオンジエアすべきなのかも知れません。 良い条件の公園が見つかったら改めてCWやSSBでじっくりオンジエアしたいですね。電鍵やマイクを持って出掛けましょう。
【移動局を開局】
始めたばかりなので車載のセッティングや運用方法は試行中の段階です。
デジタルモード(FT-8など)の場合いくつか注意が必要だと思っています。 パソコンを使うことになりますが使うパソコンは時刻同期が必要です。
その方法としてGPSを使う方法があります。 またネット接続が可能ならタイムサーバーを使って同期する方法もあります。
どちらも可能な機材は持ってますがeQSLの即時発行を狙ってネット接続を試しました。iPhoneのディザ機能を使います。よほど田舎でなければ携帯回線が使えます。近隣の公園なら大丈夫そうです。
実験を兼ねた初運用はうまく行ってパソコンの時刻同期もeQSL発行もできました。 ただしeQSLの発行は別途行なう方が良いと言う結論です。
一つにディザは意外に不安定なことがあります。eQSLの発行モレや重複などの問題もあるので交信即発行でない方が安心です。 従って必ずしもインターネット環境は必要なく、パソコンの時刻同期はGPSを使う方法でも良いでしょう。 もちろんオンジエアのアナウンスをPOTAサイト等に流すにはネット環境があった方がFBです。
運用のあと本当に必要なのはPOTAサイトにLogを提出することです。 JCC/JCGのサービスにもなるのでeQSLは発行すべきでしょう。しかしPOTAサイトへのLog提出が優先です。POTAのLogデータを作るときeQSLのデータも簡単に作れるのでQSLカードの発行はその時にやれば良いと言う結論です。 この辺りは各局の好みにあったやり方をすれば良いはずです。
【上武県立自然公園のアクティベーション】
13局と交信できアクティベーション成功です。
10MHzはニッチなバンドなのでオンジエアする国内局が少ないのが心配でしたが、あんがい簡単に規定の交信数に達しました。 複数コールサインをお持ちのお方に何回も呼んでいただいたフシもあるのですが・・・(笑)
Turbo HAM Logの交信データをPOTAサイト用のADIF形式に変換して頂けるJL1NIE:友部さんのサイト(←リンク)があります。 ADIF形式への変換は面倒に感じますがCSV形式で出力したTurbo HAM Logの交信データを用意するだけで良いため難しくはありません。具体的な作成手順はリンク先サイトに詳しいです。私も利用させて頂いております。VY-TNX!
上武県立自然公園:JP-1150(JA-1150)の運用データは既にアップロード&承認済みです。貴局のPOTA活成果として反映されていると思います。 お呼びいただき有難うございました。
☆ ☆
【群馬の森:JP-1322(JA-1322)でPOTA】
「群馬の森」は群馬県高崎市にある公園です。 以前行ったことがあってPOTAの運用が可能そうでした。
きちんと管理された公園の場合、運用する時間帯が問題になります。冬季ですとあんがい早い時刻で閉園になるところが多いようです。 運用バンドによっては夜間に掛かる時間帯が有利な場合もあるのですが、公園から出られなくなったら困ります。
・・・と言うことでベストとは言えない時間帯のオンジエアになりました。 それでも沢山のお方と交信できました。 JP-1322(JA-1322)の運用データもアップロード&承認済みです。 PSKRのレポートを見たら海外のハンターにもサービス可能そうなのですが、それにはやはり時間帯を選ぶ必要がありそうです。
【JP-1322(JA-1322)からの飛び方】
日本国内のほか、アジア・オセアニアならまずまず飛びそうな感触です。 粘り強く呼んでみると言った努力が必要かもしれません。
自宅で運用しているWSPRのレポートも総合すると、例えば30m Bandは日没から1時間〜2時間くらいがDXに良く開けるようです。HF帯はそれぞれバンドの性格に合わせた運用時間帯の選び方が肝心です。
移動運用の限定された設備ですから、固定局と同じようには行かないと思いますがこうした時間帯をねらってCQ POTAを出すのも面白そうです。 JAのPOTA局を狙うDX局もいるそうですからいずれやってみましょう。
今のところ短時間のオンジエアばかりなのでゆとりがありません。 ぼちぼち春ですが、もっと暖かくなってきたら時間を気にせずにジックリやろうと思っています。 どうぞお相手をよろしく。
【さっそくアワードが!】
これはPOTAを始めたら誰でもまず始めにもらえそうなアワードです。 ハンターがPOTA局と10交信するともらえます。
条件を満たしたらしく何の申請もせずに自動的に発行されました。 PDFの電子データなので「紙」のアワード派にはちょっと残念かもしれません。 紙派のお方は良質な台紙を用意して高品位印刷すればシャックに飾れるアワードになりますね。
POTAには他にも様々なアワードがあって、例えば「早番」「遅番」と言った面白いものもあります。 まだまだいっぱい有りますが急がず慌てずにゆっくり楽しみましょう。アワードもらえたなら活動の足跡にもなります。まあ競ってまで集めたいとは思いませんが。hi
詳しくはPOTAのサイトで「Awards」をご覧になってください。
高齢者の域にある当局には電子データのアワードは有難いくらいです。 何だか意味のわからない「紙」がいっぱい残ってもいずれ家族の迷惑になってしまうでしょう。 アワードを頂くのは嬉しいものですが電子データもFBですね。(笑)
☆
車載アンテナはPOTAを目的に開発した訳ではありません。 しばらくぶりに移動運用してみたいと言うHAMの活性化が目的でした。 ローカルのJCC/JCGにはHF帯のアクティブティが高くないところもあります。移動運用でサービスできたら・・という思惑もありました。 あと、車載のAC100V電源で無線をやってみたいと言うのも動機の一つでした。
ちょうどその時POTAと言う活動を目にしました。 SOTA(Summit on the Air)は体力的に難しくてもPOTAならできそうだと言うことで興味を持ったのです。 移動地によってはJCC/JCGサービスも兼ねるので皆さんとお会いできるチャンスが増えたらFBです。 どうやら私のPOTA活はHAM活性化にもピッタリみたいです。 かぼそい波かも知れませんがJA9TTTの"CQ POTA"が聞こえたらぜひ呼んでやって下さい。 ではまた。 de JA9TTT/1
(おわり)nm
abstract
Have you heard of POTA? POTA stands for "Parks on the Air" and is an on-air activity of HAM stations from the parks. It is a US-derived activity derived from Summit on the Air (SOTA). POTA has already become a worldwide activity. You can easily get started. The first step is for you to become a 'Hunter'. Then, once you have registered an account on the POTA website, all you have to do is call a POTA station. No hassle. It's even more fun when you become an 'Activator'. Go out to the park and open a mobile radio station. But there is nothing difficult about it. All you have to do is go to the park and enjoy the HAM Radio. (2024.03.10 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【POTAって?】
最近オンエアしていると"CQ POTA DE JA9・・・"という呼びかけを聞くことが多くなっていました。 コンテスト局のようではないし誰とでも交信しているようです。 たまにはこちらが呼ばれることもあって「ポタって何だろう?」と思っていました。
POTAというのは"Parks on the Air"・・・すなわち『公園でオンジエア』という意味のようです。 そう言えば以前"SOTA"って言うのを聞いたことがありました。 Rigとアンテナを担いで登山して山頂(Summit)からオンジエアし、アワードをねらうと言ったHAMの活動だったはずです。 その公園版がPOTAらしいのです。
軟弱な当局では重たいリグやバッテリ、さらにアンテナに加えテントと言った登山装備一式を担いで山に登るなんてムリムリだと思っています。(笑) しかし公園なら平地にもありますし、徒歩という「縛り」もないので自動車のまま行ける所もあるでしょう。 デキル可能性があります。
☆
これは私的感想に過ぎませんが:HAMのアクティビティも漫然と交信しているだけではいずれ低下してきて当然かも知れません。 QSLカードやアワード集めは楽しいものですが、ある日ふと「単なる紙集めじゃないか!?」って気付いて疑問に感じてしまったなら・・・せっかくの趣味も楽しさが希薄になってしまいそうです。 ローカルさんとのおしゃべりにもマンネリズムを感じてきたら・・・趣味を長く楽しむために何か活性化できることはないでしょうか? その一つがPOTA活なのかも知れません。もちろん、各局さんそれぞれのお考えもあるでしょう。
画面はさっそくPOTAのサイト(←リンク)へ行ってアカウント登録した様子です。
◎ POTA活には2つがある。
一番簡単なのはHunter(ハンター)で、これは公園からオンジエアする移動局を呼ぶだけです。あとは何もしなくてOKです。(カード交換さえも必要ありません)
もちろん電子発行されるアワード(このBlogの最後を参照)を希望するのでしたらアカウント登録だけは必要です。しかしそれ以外はいっさい何も要りません。だからとっても簡単です。 アカウントの登録は気が向いてからでも大丈夫です。過去の交信もちゃんと反映されますので。 あとはPOTA局を見つけたら交信しましょう。休日の午後たくさん出ています。
もう一つは公園からオンジエアするActivator(アクティベータ)です。こちらはRigを持って公園から決められたルールに従ってオンジエアします。 まあこれも特に難しいことはなくて肝心なのは無理せず楽しくオンジエアすることです。 そして移動運用が終わったら一つだけ必須の作業があります。POTAのサイトへADIF形式でLogを提出することです。このLogのおかげでハンターは何もしなくて良い訳なので・・・。 完全な交信が10局以上できるとその公園がアクティベーション(活性化)できたことになります。
もしも興味が湧いてきたらPOTAのサイトや関連のサイトなどを参照されてください。YoutubeでPOTAの動画も見つかります。 以下、POTAに興味を持つ切っ掛けになったら幸いです。 もちろん何の興味も感じないのでしたら早々のお帰りがベストです。
【POTAできる公園は?】
わたしはハンターよりもアクティベータの方に興味を持ちました。 公園から移動運用してみたいと思ったのです。
しかしどこかその辺の公園に行ってオンジエアすれば良いわけではないようなのです。 あらかじめ登録され番号がついている公園からオンジエアしないと有効な交信になりません。 ではどんな公園があるのでしょうか? 調べるサイト(←リンク)があって日本全国の公園を地図上でビジュアルに調べることができます。
画面は付近の公園を調べた結果です。あまり小さな公園は対象ではないようです。また大きな公園でも市町村が管理する公園は登録されていません。 おもに国立や県立の大きめの公園が登録されています。
【参考:公園番号の変更】
従来:JA-1234のように番号がついてましたが2024年3月初めよりJP-1234のように変更されました。JA→JPになっただけで数字部分は変わっていないようです。
残念ながら5分で行けるような公園はありませんでした。 しかし容易に出掛けられそうな公園がたくさん登録されています。 知らなかったような公園もあってオンジエア目的でなくても興味が湧くところもありました。 これらの中から先ずは行き易そうな公園を選んでテスト・オンジエアしましょう。
【雉岡城址からPOTA】
近所の公園に「上武県立自然公園」がありました。この公園は非常に広大なものです。
全国各地に指定されている自然公園の一つで昭和25年に指定されたそうです。国の自然公園制度によって誕生したそうです。(知りませんでした・笑)
埼玉県北西部の広域をカバーする公園です。POTAのルールによればその公園の中ならどこからのオンジエアでも有効です。
さっそく調べたら「雉岡城址」という市内の公園が含まれていました。元々ここは児玉郡児玉町でしたが平成の合併で本庄市になった所です。25分もあれば行けるはずです。
Googleストリートで確認したら駐車してオンジエアできるスペースもありました。 先ずはここから波を出してみましょう!
オンジエアの最低限のルールは、アンテナ、無線機、オペレータのすべてが公園内にあることです。 あとはそれぞれの公園のルールに従う必要があります。 車載だけで完結できれば車外にアンテナを建てる必要もないのでまずトラブルにはなりません。 あとは所定の駐車スペースに停めて楽しくオンジエア開始です。
【移動運用の準備】
普段は無線機を車載していません。必要なつど積み込むようにしています。 移動運用で必要になる道具は結構色々あります。 無線機やアンテナだけでなく電源やパソコンが必需品です。もちろんオペレータ・ライセンスや無線局免許状も。
音声やCW(無線電信)でオンエアなら無線機とアンテナ、あとはメモ帳でもあればPOTAできます。 おもにV/UHF帯のFMやSSBでオンジエアされるPOTA局もあって手軽にお楽しみのようです。 カートランシーバと車載ホイップなら常設しておけますからね。
楽しみ方は人それぞれです。 わたしはちょっと遠方の局とも交信したいと思っています。それでHF帯(短波帯)でオンジエアしたいのです。 このまえ作った10MHzの短縮ホイップ・アンテナを使い無線機もHF帯に出られるIC-7300を使うことにしました。 ほかにも遠くとできそうな見晴らしの良い高台から6m Bandと言うのも面白そう。しかもEスポでも出たら九州や北海道も・・・。Eスポは6月ころ初夏が狙い目です。
運用モード(電波形式)はデジタルモードをメインに考えています。このモードは弱い電波でも交信し易いからです。ノイズにもかなり強いです。 さらに自動でLogに記入できるなど利便性もよく短い時間での移動運用には最適だからです。 ただ、HF帯のPOTAハンターにはCW局もかなり多いのでCWでもオンジエアすべきなのかも知れません。 良い条件の公園が見つかったら改めてCWやSSBでじっくりオンジエアしたいですね。電鍵やマイクを持って出掛けましょう。
【移動局を開局】
始めたばかりなので車載のセッティングや運用方法は試行中の段階です。
デジタルモード(FT-8など)の場合いくつか注意が必要だと思っています。 パソコンを使うことになりますが使うパソコンは時刻同期が必要です。
その方法としてGPSを使う方法があります。 またネット接続が可能ならタイムサーバーを使って同期する方法もあります。
どちらも可能な機材は持ってますがeQSLの即時発行を狙ってネット接続を試しました。iPhoneのディザ機能を使います。よほど田舎でなければ携帯回線が使えます。近隣の公園なら大丈夫そうです。
実験を兼ねた初運用はうまく行ってパソコンの時刻同期もeQSL発行もできました。 ただしeQSLの発行は別途行なう方が良いと言う結論です。
一つにディザは意外に不安定なことがあります。eQSLの発行モレや重複などの問題もあるので交信即発行でない方が安心です。 従って必ずしもインターネット環境は必要なく、パソコンの時刻同期はGPSを使う方法でも良いでしょう。 もちろんオンジエアのアナウンスをPOTAサイト等に流すにはネット環境があった方がFBです。
運用のあと本当に必要なのはPOTAサイトにLogを提出することです。 JCC/JCGのサービスにもなるのでeQSLは発行すべきでしょう。しかしPOTAサイトへのLog提出が優先です。POTAのLogデータを作るときeQSLのデータも簡単に作れるのでQSLカードの発行はその時にやれば良いと言う結論です。 この辺りは各局の好みにあったやり方をすれば良いはずです。
【上武県立自然公園のアクティベーション】
13局と交信できアクティベーション成功です。
10MHzはニッチなバンドなのでオンジエアする国内局が少ないのが心配でしたが、あんがい簡単に規定の交信数に達しました。 複数コールサインをお持ちのお方に何回も呼んでいただいたフシもあるのですが・・・(笑)
Turbo HAM Logの交信データをPOTAサイト用のADIF形式に変換して頂けるJL1NIE:友部さんのサイト(←リンク)があります。 ADIF形式への変換は面倒に感じますがCSV形式で出力したTurbo HAM Logの交信データを用意するだけで良いため難しくはありません。具体的な作成手順はリンク先サイトに詳しいです。私も利用させて頂いております。VY-TNX!
上武県立自然公園:JP-1150(JA-1150)の運用データは既にアップロード&承認済みです。貴局のPOTA活成果として反映されていると思います。 お呼びいただき有難うございました。
☆ ☆
【群馬の森:JP-1322(JA-1322)でPOTA】
「群馬の森」は群馬県高崎市にある公園です。 以前行ったことがあってPOTAの運用が可能そうでした。
きちんと管理された公園の場合、運用する時間帯が問題になります。冬季ですとあんがい早い時刻で閉園になるところが多いようです。 運用バンドによっては夜間に掛かる時間帯が有利な場合もあるのですが、公園から出られなくなったら困ります。
・・・と言うことでベストとは言えない時間帯のオンジエアになりました。 それでも沢山のお方と交信できました。 JP-1322(JA-1322)の運用データもアップロード&承認済みです。 PSKRのレポートを見たら海外のハンターにもサービス可能そうなのですが、それにはやはり時間帯を選ぶ必要がありそうです。
【JP-1322(JA-1322)からの飛び方】
日本国内のほか、アジア・オセアニアならまずまず飛びそうな感触です。 粘り強く呼んでみると言った努力が必要かもしれません。
自宅で運用しているWSPRのレポートも総合すると、例えば30m Bandは日没から1時間〜2時間くらいがDXに良く開けるようです。HF帯はそれぞれバンドの性格に合わせた運用時間帯の選び方が肝心です。
移動運用の限定された設備ですから、固定局と同じようには行かないと思いますがこうした時間帯をねらってCQ POTAを出すのも面白そうです。 JAのPOTA局を狙うDX局もいるそうですからいずれやってみましょう。
今のところ短時間のオンジエアばかりなのでゆとりがありません。 ぼちぼち春ですが、もっと暖かくなってきたら時間を気にせずにジックリやろうと思っています。 どうぞお相手をよろしく。
【さっそくアワードが!】
これはPOTAを始めたら誰でもまず始めにもらえそうなアワードです。 ハンターがPOTA局と10交信するともらえます。
条件を満たしたらしく何の申請もせずに自動的に発行されました。 PDFの電子データなので「紙」のアワード派にはちょっと残念かもしれません。 紙派のお方は良質な台紙を用意して高品位印刷すればシャックに飾れるアワードになりますね。
POTAには他にも様々なアワードがあって、例えば「早番」「遅番」と言った面白いものもあります。 まだまだいっぱい有りますが急がず慌てずにゆっくり楽しみましょう。アワードもらえたなら活動の足跡にもなります。まあ競ってまで集めたいとは思いませんが。hi
詳しくはPOTAのサイトで「Awards」をご覧になってください。
高齢者の域にある当局には電子データのアワードは有難いくらいです。 何だか意味のわからない「紙」がいっぱい残ってもいずれ家族の迷惑になってしまうでしょう。 アワードを頂くのは嬉しいものですが電子データもFBですね。(笑)
☆
車載アンテナはPOTAを目的に開発した訳ではありません。 しばらくぶりに移動運用してみたいと言うHAMの活性化が目的でした。 ローカルのJCC/JCGにはHF帯のアクティブティが高くないところもあります。移動運用でサービスできたら・・という思惑もありました。 あと、車載のAC100V電源で無線をやってみたいと言うのも動機の一つでした。
ちょうどその時POTAと言う活動を目にしました。 SOTA(Summit on the Air)は体力的に難しくてもPOTAならできそうだと言うことで興味を持ったのです。 移動地によってはJCC/JCGサービスも兼ねるので皆さんとお会いできるチャンスが増えたらFBです。 どうやら私のPOTA活はHAM活性化にもピッタリみたいです。 かぼそい波かも知れませんがJA9TTTの"CQ POTA"が聞こえたらぜひ呼んでやって下さい。 ではまた。 de JA9TTT/1
(おわり)nm
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