【超再生式受信機・その1 調査編】
Introduction
In this blog, I will explore the Super-Regenerative Receiver. The Super-Regenerative Receiver was once a popular choice as a simple yet highly sensitive receiver in the VHF band. Although it was highly praised in the past, it has since fallen out of favor due to several drawbacks. However, I’ve decided to cover it because it makes for an interesting topic for electronics experiments. This first post is a research overview of the Super-Regenerative Receiver. Let’s take a look back at past build articles. (2026.09.11 de JA9TTT/1 Takahiro Kato)
【超・再生受信機とは】
2019年の夏ごろ、このBlogで「再生式受信機」(←リンク)を扱ったことがあります。 そのとき超再生式受信機については改めて扱うことにしました。
何となく一緒に扱えそうですが、似ていそうでかなり非なるものです。この先ご覧になると違いは明らかになるでしょう。
とりあえずごく簡単に以下のような違いがあります。
(1)受信する電波のモードは?:
・・・再生式はAM、CW、(SSB、FM)ですが、超再生式はAMとFMが対象です。
(2)受信対象の周波数帯は?:
・・・再生式は主に〜20MHzのHF帯で、超再生式はVHF帯以上で使います。
(3)感度・選択度は?:・・・いずれも高感度だが、
・・・再生拭は選択度も良好。超再生式は選択度が悪い。
(4)超再生には固有の「クエンチング・ノイズ」があって耳ざわりである。
・・・などです。ただしどれも例外はあります。
☆
写真は超再生受信機に使える真空管とトランジスタの一例です。カラーの絵が一つもないと寂しいので初めに置きました。これに限らず様々な電子デバイスが使えます。
今回は超再生式受信機の「調査編」として、過去の書籍など辿ってざっとした検討を試みます。 次回以降でその中から面白そうな幾つかを試作したいと思っています。もし、これは是非という「超再生式」があれば具体的なコメントをお待ちします。
超再生受信機は通信の黎明期に活躍したような古臭い技術です。いまさら興味を持てないようでしたら早々のお帰りがよろしいでしょう。近代的で先進的な話題は・・・たぶん含まれてはいないです。もちろん、例によってSomething NEWはあるはず。(笑)
【超再生受信機との出会い】
1960年代の切り抜きがファイルしてありました。 誠文堂新光社の「初歩のラジオ誌」の記事ですが、正確な号数がわかりません。 JA1HWW:山口OMの執筆です。
まだ何も知らない子供の時分ですから、アマ無線やFMラジオをはじめ、VHF帯を広くカバーする「受信機」が魅力的に思えたのです。 記事には実体配線図もあって、初心者にも作れそうに思えました。
記事を読み返してみると、記事の主旨は初心者の気持ちとは少し違うように感じました。 おそらく、この受信機は既に並三とか5球スーパのような何か真空管式ラジオを製作済みの読者向けではないでしょうか。 手軽に作れる「超再生式受信機」でVHF帯を覗いてみようという企画だったのでしょう。
電源を外からもらってくるのはそのためでしょう。 たった1本の真空管式(単球式)ですから、別のラジオから電源を融通するのは簡単だったのです。あえて電源を作る必要もなし・・・。
当時、作ろうと思って部品を集めはじめました。 まずは真空管を買って・・・手に入れた6R-HH2は先頭の写真の「東芝」製ではなくNEC;日本電気製でした。6R-HH2はNECが一番安かったからです。(笑)
結局、板金工作用の工具に行き詰ってしまい道具揃えが必要なことに気づいたころには興味は他所に行ってしまいました。もう作りませんでした。
たいへん簡単な回路です。部品が揃って板金加工が済めば半日もかからずに完成するでしょう。 超再生式としては完成された受信回路です。 真空管も性能十分でVHF帯に向いていますので成功しやすいです。6R-HH2に限らず、6BQ7Aや12AT7などの双三極管が使えます。検波管のグリッド・プレート間の3MΩは要調整です。むしろ10MΩくらいが良さそうです。
【3A5の超再生式トランシーバ】
超再生式と言えば「3A5の50MHzトランシーバでしょう」と言うあなたは古いHAMです。(笑)
私も古い方のHAMですが、1960年代末ともなるとさすがに3A5のような電池管の時代は終わっていました。 まだゲルトラ(ゲルマニウム・トランジスタ)が主流でしたが半導体の時代になっていたからです。
上記の6R-HH2を使った超再生式受信機はこのトランシーバの受信状態を固定したものと言って良いものでした。
6R-HH2でこのトランシーバを作ることだって可能なわけです。ポータブルにするには6.3Vのヒータ電源が課題ですが、B+の方は70Vもあれば十分ですし、乾電池でもまかなえます。3A5はなくても実験くらいできます。
周波数安定度はかなり悪いです。 そのため相手方が選択度の良い受信機だとダイヤルから手を離せません。可能なら同じトランシーバを2台作って「無免許で遊ぶ」のがいちばん良いのはないでしょうか。超再生は選択度が悪いので幸いするわけです。
その昔、富士山頂と都内の間で交信できたと言うような伝説(?)もありますが、バンドが混んでいる現在は非現実的です。もちろん保証認定も得られませんから、ごく近距離で「遊ぶ」のにふさわしいです。(笑)
【超再生検波回路:半導体式・1】
真空管の超再生受信機は程々にして、半導体式を検討しましょう。
まじめに超再生検波回路を扱う話は、あまり新しい記事には見当たりません。おのずから古い記事の参照になってしまいます。 左図はCQ Hamradio誌1964年3月号から引用したものです。この頃はまだ超再生式も実用にされていました。
同記事には他にもいくつかの回路がありましたが、本質的には左図の3つに集約されるように思います。
検波された信号の取り出しに「低周波トランス」を使うか、CR結合で取り出すのかが大きな違いです。
また、アンテナとの結合を同調回路にリンクコイルでするのか、エミッタ側にC結合するのかと言った違いです。(B)と(C)はアンテナとの結合の方法が違うだけです。この違いはさしたる差ではなく性能的な優劣もないようです。 回路構成の都合で選択すれば良さそうです。
検波出力の取り出しですが、一般的に言ってトランス結合の方が幾分有利なようです。 ただし超再生受信機はその調整に拠る部分が大きく効いてくるため、結果で言えばCR結合でも十分行けそうです。 トランジスタ回路用の「小型トランス」は高価になっていますから、まずはCR結合で手がけてみるのも悪くないでしょう。
【超再生検波回路:半導体式・2】
上記CQ Hamradio誌の回路例だけでも十分そうに思えたのですが、他誌も参照してみました。
(D)は細かい部品定数やコイルの諸元も詳しく書いてあります。他誌の記事でそっくりそのまま使った回路を見かけました。十分実績のある回路というわけでしょう。
(E)〜(G)は超再生検波回路そのものを例示するものです。 基本的にCQの記事と同じ回路です。 バイアスの掛け方や超再生状態の加減方法が少し異なるのみです。
トランジスタを使った超再生はベース・コモンの回路ばかりで、あんがい定型的なことがわかります。 これは入力インピーダンスが低くて三極管と同じ回路形式は採れなかったからでしょう。 インピーダンスの高いコレクタ側に同調回路を置く形式が有利なのです。
資料の本文は省きますが、それによると(G)の抵抗結合型超再生が成功しやすいとあります。 超再生がスムースにかかることが最重要なテーマですから比較的単純な回路構成が有利のようです。 それでも幾つかの部品は加減してやる必要があります。
【4石の超再生式トランシーバ】
検波回路ばかり見ていても面白くないので活用例を挙げておきましょう。
超再生検波の受信部と一石水晶発振器の組み合わせによる4石トランシーバです。
超再生検波器と水晶発振器を兼用する3石トランシーバを作ったことがありますが、数100mならかろうじて交信可能でした。同じようなものでしょう。(27MHz帯の無免許トランシーバ)
使ってあるトランジスタはSONY製ですべてゲルマニウム型です。半世紀以上も前のトランジスタなのでさすがに入手は難しいでしょうからシリコン・トランジスタに置き換える必要があります。 2SA122の部分は2SC2668Yなどが候補で、2SB49の部分は2SC1815Yで十分でしょう。PNP→NPNなので電源と電解コンデンサの極性反転が必要です。 いずれにしても作りっぱなしではダメなはずです。ますはバイアス抵抗を加減してシリコンTrに合わせます。さらに超再生検波の調整も必須です。場合により部品定数の大幅な変更もありえます。
先に例があった3A5のトランシーバよりも現実味があって実用性もあります。 ただし発振回路にアンテナ直結ですからもちろん「保証認定」は無理でしょう。 保証認定をもらうには送信部を「発振+増幅」の2ステージ形式に改造します。
結局のところこのままでは2台作って近距離で「遊ぶ」くらいが関の山です。水晶発振ですから送信周波数は安定しています。固定のAM局とQSOも可能ですが、無線設備基準を満たしていない無免許トランシーバとの交信ってどうなんでしょうかね?? Log-Bookに記載すべき正式な交信になるんでしょうか?(笑)
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以上、真空管やゲルトラと言った古臭いデバイスの回路ばかりでしたが、もう少し近代的な超再生はないものでしょうか? シリコンTrに焼き直した回路ならともかくとして、画期的なものは残念ながらあまり見かけません。以下、見つかった数例を紹介しておきます。 いずれも電界効果トランジスタ:FETを使った形式です。
【FCZ式超再生受信機とは?】
FCZというのは(有)FCZ研究所を主催・開業されていた大久保 忠さん(HAMのコールサインはJH1FCZでした)に由来します。FCZ研究所も廃業されて久しいのでまずは「FCZ」の由来を書いておきました。(注・1)
長年、会報:FCZ誌(有償)を発行されていました。左図は、そのNo.79に掲載されていた回路です。
(ご遺族のご好意で有志が電子化した会報が公開されているのは有難いです。懐かしい紙面が楽しめます)
いずれ製作・調整編のとき説明しますが、超再生検波回路には「クエンチング・ノイズ」というモノがあって無信号のとき耳ざわりなのが欠点とされていました。 超再生とはそう言うものだと割り切って我慢して使うか、強引な(?)解決策としてスケルチを付けると言った方法がありました。 FCZ・大久保OMの改良はそのクエンチング・ノイズを軽減することにあります。
感度や選択度は超再生そのものですから違いはないと思います。 しかし実用上はずいぶん改善されるでしょう。 ワッチしているときの耳ざわりなノイズが「ほぼ無くなる」くらい改善するそうです。試作すべき有力な候補の一つです。
超再生検波回路はこの時代の共通回路である「FETのゲート・コモン型」になっています。 また、不要電波の輻射を防ぐ目的で高周波増幅が設けられています。 シンプルなQRP-AM送信機と組み合わせて100km以上の交信実績もあるそうですから、超再生受信機としては有望な回路と言えるものです。
注・1:「FCZコイル」等はFCZ社の商品名の一つです。学生さんが研究レポートに「FCZコイル」と書いて教官に質問されたそうです。要するに一般名ではないのです。インダクタンス幾つ、無負荷Qが幾つの小型コイルで構造は・・・と書けば良いのですが、単に「FCZコイル」では世間でまず通用しません。 もちろん「FCZ式超再生」も然りでしょう。大久保 忠氏考案による「再検波式・超再生検波器」とでも呼ぶべきなのでしょうか。
【QEX誌にみるモダン超再生式レシーバ】
最後に米誌(QEX誌2000年10月秋号:出版ARRL)からモダンな超再生式受信機を紹介しておきましょう。
検波回路としてはFETをゲート・コモンで使う一般的な形式です。 検波出力の引き出し方も上記のFCZ式同様で一般的な形式でしょう。
詳細は同誌がネット上に公開されていますから直接参照していただくとして簡単に検討しておきます。
超再生状態のスムースな加減には「定インピーダンス型」の可変電源が最適とのことで工夫されています。 またクエンチング周波数が可変でき、波形の切り替えもできるようになっています。スケルチ機能もあってなかなか意欲的です。
ここまでする意味があるのか、疑問もあるのですが、超再生で極めるVHF-FM/AM受信機という位置付けで面白い回路になっています。 はなからアマチュア無線の用途は考えていないようで、FM放送や航空無線などのユーティリティ受信を目的にしているようです。
欠点を克服し確実な回路へと改良を試みるのは一つの方向と思いますが、複雑化させてしまうのはシンプルさが失われてちょっと残念さも感じます。 今は高級化するくらいなら専用のICもゴロゴロしているのですから、それでシンプルにまとめる方がVHF受信機として現実的なように思います。まあ超再生受信機に対する見解の相違かも知れませんが。(笑)
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またいつかと言うことでペンディングにしていたテーマを扱うことにしました。 超再生は2019年ころ扱った再生式受信機より更に実用性が低いように思いますが、今でも回路的な面白さはあると感じます。特にシンプルさは魅力です。
昨今は民放AM放送局がAM放送から撤退しFM放送へ移行しています。 民放がないのではAM用手作りラジオの楽しさも薄れてきたように思います。 それならローカルな代替FMが聞けるFMラジオの手作りの方にニーズが向かいそうです。
次回は超再生受信機の実験・製作編を予定しています。 HAMバンドの受信機だけでなく、ご近所のFM局を聴いてみると言った簡単ラジオについても検討したいと思っています。 ではまた。 de JA9TTT/1
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(つづく)nm







