2022年5月30日月曜日

Intermediate Frequency Amplifiers (2)

中間周波増幅器・その2

中間周波増幅部の外観
 『私だけの受信機設計』が始まって早くも半年です。回を重ねて第6回になりました。今回は中間周波増幅器の2回目です。 前回のBlog(←リンク)ではデバイスを切り口にして様々な中間周波増幅器を探訪しました。

 真空管と半導体のハイブリッド構成も過渡期には存在しました。特にHAM用トランシーバではハイブリッド構成がしばらく続きましたが、それでも受信部は早いうちに半導体化されます。 トランシーバではなく「通信型受信機」にあってはプロ用の一部高級機を除けばあっと言う間に全半導体化されてしまいました。

 我々が自作する場合も使用デバイスを統一するメリットは大きいです。真空管ならできるだけ真空管回路で実現しようするでしょう。半導体ならあえて真空管を割り込ませるような設計はしないのものです。 双方の利点を活かす組み合わせもあり得るのですが今回は半導体で作るのが順当だと思います。(真空管を主役にして補助回路を半導体という方法はなかなか良いと思ってますけれども)

 半導体には周波数帯による向き不向きがあります。例えば前回見たようなフォワードAGC用トランジスタは455kHzには適当とは言えません。いま作ろうとしている受信機に使うものではないでしょう。面白いデバイスですが2SC1855はまた別の機会にします。

 汎用のBJT(BJTはバイポーラ・ジャンクション・トランジスタの略。要するに普通のトランジスタのこと。PNP型とNPN型がある)や2ゲート型MOS-FET、およびIFアンプ用のICならあまり周波数帯を選びません。 ここではオーソドックスな汎用BJTでIFアンプを作ってみることにしました。 「な〜んだ、ぜんぜんつまらない!」などと仰らずこの先をご覧ください。 たぶん、Something NEW ! があります。

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 例によって自家用の実験メモです。この受信機設計では死蔵気味の手持ち部品を試すのも目標の一つにしています。 できるだけ一般性のある話にしているつもりですが、今回使ったPINダイオードは少し特殊かもしれません。 ただし代用品の検討はしてあります。うるさいことを言わなければ特殊部品なしで行くこともできるでしょう。今回もお暇でしたらお付き合いを。 いつものように「質問・感想」歓迎です。コメント欄にどうぞ。 シャイな貴方は「拍手ボタン」でも押してってください。(笑)

BJTとPIN-Diで構成したIFアンプ
 さっそく回路図から行きます。 455kHz帯の中間周波増幅器です。ごく普通のトランジスタを3つ使った3段増幅になっています。ゲイン約90dB(3万倍)を得ています。もちろん、これはAGC(自動利得調整)が掛かっていない「最大」の状態です。

 想定の中心周波数は455kHzですが、LC同調のIFT(中間周波トランス)ですから広い調整範囲があります。あとで説明のあるCW用ラダー型セラミック・フィルタ(自作品)は約440kHzですが問題なく使えます。BFOをLC発振の周波数可変型にしたのもこの辺に理由がありました。IFフィルタの都合に合わせられます。 安価で手に入るIFフィルタを活かすために455kHzを中心にある程度自由に周波数が変えられる中間周波増幅器を作ります。

増幅部
 増幅器の初段(Q1)はベース接地型で、これはCWフィルタのインピーダンス(約50Ω)に合わせたものです。さらに通信型受信機として十分なゲインを得るのも目的です。ここでフィルタのインピーダンスマッチングと共にIF段のプリアンプとして追加のゲインが得られます。

 続く主となる増幅部(Q2とQ3)は2段のエミッタ接地型増幅器です。見ての通り回路はトランジスタラジオのIFアンプにそっくりです。ごく普通のラジオ用部品で製作でき、しかも安定した動作が望める回路です。リバースAGCの為の配慮は不要なのでゲイン優先の動作点にしてあります。AGCの掛け方はトランジスタラジオとはまったく異なっています。

 ラジオではコレクタ電流を減少させてゲインを減ずる方法でAGCを掛けていました。図の回路ではコレクタ電流は信号の大きさにかかわらずほぼ一定です。AGCはエミッタ抵抗と並列になる「バイパス・コンデンサ」の効き具合を加減することで行なっています。

 エミッタの抵抗器(=2kΩ)をバイパスしないと入力電圧と同相の電圧がエミッタに現れて負帰還の作用が生じます。これは電流負帰還と呼ばれるものです。この負帰還の作用で増幅度が低下する特性をAGCに利用する訳です。

 バイパスの効き具合はコンデンサと直列に入っている「PIN-Diode』(ピン・ダイオード)で加減します。PIN-Diは流す順方向電流によって「等価抵抗」が大きく変化します。その特性を利用しバイパスコンデンサの効果を加減してアンプのゲインを可変します。PIN-Diについては後ほどもう少し説明があります。

AGC回路
 良好なAGC特性を実現するため迷うことなくOP-Amp.を使ったDCアンプを使います。中間周波増幅の出力はダイオード(D6とD7)によって検波・整流されIFアンプ出力に比例するIF電圧(DC電圧)が得られます。得られたIF電圧はそのままでは小さいためOP-Amp:U1cにより約11倍増幅します。最大30倍から幾つかの条件で試してみて、ここはこの程度のゲインが適当でした。

 U1bとU1dの部分は一種の整流回路であると共にIF電圧のピーク値を保持する役目を持っています。C17:4.7μFに充電・保持されます。 ここには重要なAGCの時定数を決める回路が含まれています。放電の時定数を変えてAGCのFast/Slowを切り替えます。充電方向の時定数はAGCの制御ループを安定させるため非常に重要です。AGCの制御系が不安定化せずなるべく早い応答になるように決めます。AGCの効かせ方で受信機の操作フィーリングはかなり変わります。仕上げとして実際のCWを受信しながら微調整を行なったのでまずまず良い感触が得られています。

 U1dの出力はIFアンプへの入力の大きさを反映したDC電圧になっています。Sメータを振らす目的にも使います。Sメータにはややオフセットを履かせた方がそれらしい表示になります。オフセット量はVR2で加減します。またメータの振れ方はR30(=10kΩ)によって加減します。現状では200μAフルスケールのメータでちょうど良い感じです。ダイオード:D9は振れ初め部分の圧縮と逆振れ防止が目的です。なお、感度が異なるメータもR30を加減すれば同じように使えます。1mAくらいのメータでも大丈夫です。

 続いてU1aの部分はIF電圧の変化方向を反転させ、さらにレベルシフトの大きさを加減してDAGC(遅動型AGC)の機能を持たせるための回路です。このようにしてPIN-Diに加えるのに適したAGC電圧に整えられます。このAGC用の電圧はIFアンプが無入力のとき6V(DC)になるようVR3により調整されます。このときPIN-Di(D1〜D4)には数mAが流れ、低い抵抗値になりIFアンプはフルゲインの状態になります。

 IFアンプへの入力が大きくなるとAGC電圧(TP-VD-Outのところ)は小さくなります。その結果、PIN-Diの電流は減少し高抵抗になってIFアンプの増幅度は低下します。このようにIFアンプの入力がある程度以上の大きさになると概ね一定した出力電圧になるように制御される訳です。電流負帰還はIFアンプの歪を改善します。AGCが掛かるほどその効果も大きくなります。

IF部の使用部品
 AGC回路のPIN-Diodeを除けばごく一般的な部品ばかりです。

 アンプ部分のQ1〜Q3は小信号用NPNトランジスタなら大抵のものが使えます。例示に困るほどたくさんの候補があります。 ただし、Q1だけはなるべく近代的なものにします。初めはQ1〜Q3に2SC372Yを使いました。ゲインは十分得られるのですが、無信号時のノイズが目立ちました。普通の受信状態では外来ノイズの影響があるため2SC372Yでもほとんど支障はありません。しかし信号がごく小さくなると目立ってくるのです。外来ノイズの少ないHF帯ハイバンドの受信になると違いが見えて(聞こえて)きます。 そのためQ1だけは最近になって作られた新しいトランジスタに交換しました。ここでは2SC1815Yで好結果が得られています。他のRF用ローノイズトランジスタでも良いでしょう。

 AGC用のPINダイオードはTOREXセミコンダクタというメーカーのXB15A204A型を使いました。多くの市販PIN-DiはVHF帯以上で使う部品なのに対してXB15A204Aは455kHzのような低い周波数でも使える性能を持っているからです。ただし生産中止になっているようです。同等以上に使える代替品としては旧hp/Agilent社製のPIN-Diode:1N5767があります。1N5767にはセカンドソースもあって通販業社から入手も容易ですがダイオードとしてはずいぶん高価なものです。ローコストに済ませる代用方法についてはこのあと説明があります。

 そのほかのダイオードはどれも入手容易な汎用品です。D5〜7はゲルマニウムダイオードです。1N34Aのほか1N60や1K60がそのまま置き換えられます。1SS97のような高周波用ショットキ・バリア・ダイオードでも構いません。D8とD9は小信号用のSiダイオードなら何でも良いでしょう。例として、1S2076Aのほか、1S1588、1N914A、1N4148、1SS53、そして最近安価に売られている1SS178が同じように使えます。

 OP-Amp.は手持ちの都合でNECのμPC451C(通信工業用)を使いました。これの代替品には有名なLM324Nがあります。ほぼ完全な同等品ですからそのまま交換可能です。 過去のIF-Amp.ではAGC回路にC-MOS型のOP-Amp.(LMC6484など)を採用してきました。設計の自由度が高いからです。 しかし今回は回路設計を見直したので安価な『324タイプ』で満足できる性能が得られています。『324タイプ』なら汎用品なので入手に困りません。各社から互換品が出ていてどれも一つ数十円で買えます。(OPアンプ4回路分が14ピンのパッケージに入っています)

 使用しているIFT(中間周波トランス)は、トランジスタラジオ用の一般的なものです。黄・白・黒の3本組になった市販品のほか「8石ラジオの製作」(←リンク)で作ったようなIFTを自作しても良いです。ここではリンク先の内容とまったく同じようにaitendoの『IFTきっと』で自作したものを使いました。同調容量は330pFです。なお、写真を見ると段間にも黄色コアを使っています、これはテスト中に段間用(白)を破損したためで、初段用(黄)で応急に代用しました。初段用(黄)と段間用(白)はほぼ同等なので代用して大丈夫です。違わぬ性能が得られます。(注:検波段用の「黒」は2次側の巻線がずっと多いので「黄、白」での代用はできません。逆も不可です)

参考:IFフィルタとして市販のセラミックフィルタ(村田製作所製など)を使う場合は回路図の『注・1』のXの所に入れます。 最近になって秋月電子通商で扱い始めた中国製のセラミックフィルタ(例:LTM455IW等)もこの場所に入れて使えます。市販品のIFフィルタは455kHzあるいは450kHzなので各IFTの同調はその周波数に合わせる必要があります。

本当はPIN-Diが良かったのですが
 左は「トランジスタ活用ハンドブック」(通称:トラ活、CQ出版社:JA1AYO丹羽一夫著:1968年初版)からコピーした1ページです。今回製作したIFアンプとAGC回路を試す切っ掛けを与えてくれた記事・回路です。
 前回のBlog(←リンク)で検討したようにエミッタの電流負帰還を使って利得を制御するAGC形式はなかなか珍しいものです。 動作はすでに回路図のところで説明しました。

 この記事の執筆のために実験をされたのは1960年代中ころでしょう。 ご覧のようにAGC回路のゲイン制御にNPN-Tr(2SC183)のベース・エミッタ間のダイオード特性を利用して好結果を得たとあります。

 ただしNPN-TrのB-E間接合はPN型でありPINダイオード構造ではありませんから、必ずしも理想的ではなかったでしょう。実際に試してみたのですが扱う信号が大きくなると整流作用が起こって歪みが目立ってくるようでした。 また、ダイオードとしてはトランジスタ(2SC183)のB-E間接合だけでなく、例えば1S2076Aの様な高速スイッチング用ダイオードでもNPN-TrのB-E間と同じような性能が得られることを確認しました。もちろんPINダイオードと同等の性能が得られる訳ではありませんが。

 それでもフツーのスイッチング用ダイオードである:1S2076Aまたは1N914Aに替えたIFアンプで7MHz/CW/SSBを受信して比較したところPIN-Di(XB15A204A)を使ったものと大差のない感触が得られています。 おそらくIFアンプが歪むほど強い信号は稀だからでしょう。あまり大きな入力信号を扱わなければそこそこ実用になるのです。従って割り切って安価なスイッチング用ダイオード(1S2076A,etc)で済ませるのも悪くないと思います。それでちゃんとしたPIN-Diが手に入るまでの繋ぎ以上の実用性があるはずです。そして手に入ったPIN-Diに交換したとしても「劇的な変化」などは感じられないでしょう。
 もちろん測定器で比較すればXB15A204Aや1N5767が優れるのは確かです。そもそもこれらのPIN-Diはこうした用途に向けて開発された半導体デバイスですから。

 JA1AYO丹羽OMが執筆された当時でもPIN-Diは存在していたと思われますが、まだまだ特殊な半導体だったでしょう。 入手は困難だったはずです。しかも低い周波数まで使用できる1N5767のようなPIN-Diが製造されていたのかも微妙な時代です。 従って今だからこそPIN-Diが最適だとわかるのであり、1960年代中頃の記事としてはなかなか意欲的な内容だったのは間違いないでしょう。(参考:1970年代始めの高級受信機:Collins 651S-1/Aには1N5767がふんだんに使われています)

 記事の詳細は省きますので「トラ活』をお持ちのお方は改めて参照されてはいかがでしょうか? 図書館でご覧になるのも良いと思います。 なお、実験データなどいくつかの点でAM受信機時代の内容であり少々物足りなさを感じました。これもご執筆の年代からやむを得ないでしょう。

2つダイオードを使う形式で
 回路図でご覧のように各アンプに対してPIN-Diを2つずつ使う形式にしました。 『トラ活』の回路や、次項の回路例のようにPIN-Diを一つで済ませることもできます。

 この形式のAGC回路ではダイオードに数mAの電流を流した状態のときに低抵抗を示す必要があります。 これはトラ活の記事にもありますが、アンプをフルゲインで動作させるために必要なことです。そうでないと十分なゲインが得られなくなってしまうのです。

 ダイオードを2本使い回路図のように使うとダイオードの等価抵抗は1本の時の半分にできます。従ってあまりたくさんの電流を流さずにすみます。 逆に低電流の時の抵抗値も半分になってしまいますが、そもそもエミッタ抵抗は2kΩです。 PIN-Diの等価抵抗が10kΩくらいにできれば支障はありません。RF用のPIN-Diは接合容量:Cjも1〜2pFですから十分高い等価抵抗(等価インピーダンス)が得られます。従って2本使うメリットの方が大きいのです。

 2ダイオード形式にしたのはもうひとつ理由があります。RF阻止用の高周波チョークコイル(RFC)を使いたくないからです。 455kHzあたりで十分なインピーダンスを得るためには数mHのRFCが必要でしょう。それだけのインダクタンスだと、どうしても大型になります。またRFCの自己共振周波数が変な所に現れる可能性もあります。RF電圧のピックアップコイルになって動作不安定の原因になっても困ります。できたらRFCは使わずに済ませたいと考えたのです。

 1N5767は高価なので4本も使いたくないかもしれません。XB15A204Aもあまり安くはなかったように思いますがパーツボックスで眠らせても価値は生まれません。電子部品は死蔵せず積極的に使うに限ります。それにPIN-Diってかなり用途が限られています。 RFの整流特性(検波特性)が悪すぎて安価なダイオードの代用にさえなりませんからね。(笑)

教科書では良く見かけるが
 現在ではPIN-DiodeもRF回路ではポピュラーな存在になっています。 主要な用途はVHF/UHF帯の高周波スイッチ用でしょう。 HAMにお馴染みのPIN-Diといえば、MI301(三菱)がありました。 VHF帯トランシーバのアンテナ切替に使われます。 ほかにも家電品のTVやビデオレコーダなどのRFスイッチに使われているので既にポピュラーな存在です。

 PINダイオードにはRFスイッチ用とRFの可変抵抗用があります。 RFスイッチ用はON抵抗が小さくできています。 一方、可変抵抗用は電流と等価抵抗の関係が直線的になるようにできています。 これらは同じPINダイオードでも別の種類と考えた方が良いでしょう。 このIFアンプで使ったものは可変抵抗用です。 なお、実験によればスイッチ用のPINダイオードもそこそこ使えますが、VHF帯用の品種が殆どなので455kHzと言った低い周波数で使うのはそもそも難しそうでした。低い周波数で使うと普通のPN接合のダイオードと同じようになって整流作用が現れてしまいます。

 左図はPINダイオードの応用例です。RF関係の解説では良く見かける回路です。 可変利得のアンプには等価抵抗の変化を利用しますからスイッチ用は適当でないでしょう。 こうした利得の可変はPIN構造ではない一般的な(P-N接合の)ダイオードでも可能です。 エミッタに現れるRF電圧が十分小さくてダイオードの順方向電圧:Vfを超えなければまずまず使えます。しかしPIN-Diは意図的に高周波の整流特性が悪くなるように作ってあり、等価的には抵抗性を示すためこの用途に最適な電子部品です。

PINダイオードは可変抵抗器
 左図はXB15A204Aの特性図です。 順方向に流す電流と端子間の等価的な高周波抵抗を示します。 PIN-Diは小型でリードインダクタンスも小さく、並列に入る接合容量:Cjも小さいため、ほぼ純粋な抵抗器のように動作します。

 従って、上手に使うと単なる可変抵抗器だけでなく、定インピーダンスに近い特性を持った電圧(電流)可変型のアッテネータ:ATT回路を構成することもできます。 ただし抵抗ゼロにはならないので、アッテネータOFFの状態でも通過損失ゼロにはできず、必ず何がしかの通過喪失分が残るのが欠点でしょうか。 コンパクトに作ると良好な周波数特性が得られるためステップ式よりも使いやすい連続可変型のATTが作れそうです。

 XB15A204Aは10μAで2kΩくらい、100μAで320Ω、1mAで42Ω、10mAで5.5Ωと順方向電流により等価抵抗は大きく変化します。 100mAも流すと1Ω少々まで低下しますが、流石にここまで流して使うのは適当でないように感じます。10mAあたりまでと考えるのが適当でしょう。 製作したIFアンプに於いては増幅2段目が8mAくらい、3段目は約3mAで動作します。(いずれも無信号でAGCのかかっていない初期状態で) 従って6.5Ωと15Ωあたりで動作していることになります。 ダイオードは各2本ずつなので、抵抗値は半分になります。 従って各アンプのエミッタ抵抗はバイパスコンデンサが十分に効いた状態で動作しています。

 2段目と3段目で差をつけたのは、3段目の利得の方が先に(大きめに)減少するような特性を狙ったものです。 ただし差をつけた意味はあまりなかったようなので、初期電流を変えるのではなく効き始めを変えると言った方法がよかったのかもしれません。とりあえず現状で支障を感じないためそのままにしています。

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アンプの入力部はベース接地型
 以下簡単に回路のポイントを見て行きます。 まずはIFアンプ初段部です。

 2SC1815Yを使ったベース接地型のアンプです。 使用するIFフィルタ(セラミック・ラダー型フィルタを想定)のインピーダンスが50Ωと低いため、それとインターフェースが容易になるようベース接地のアンプを選びました。 ゲインは30dBくらい得られますが、そのままでは過剰です。 負荷側のIFTに47kΩを並列に入れて加減しています。

 フロントエンド(RFアンプ部分)であまりゲインを稼がない設計方針なので、必然的にIFアンプの初段はNF(ノイズフィギャ)が良いことが求められます。 使用した2SC1815Yは汎用トランジスタです。特別に低NFではありませんがRF特性の良いTrと交換しても違いは感じられませんでした。 周波数は低周波に近い455kHzですから、こうした用途に対して2SC1815Yは十分な性能を持っていると考えられます。

 先にも書きましたが、古い2SC372Yは「フリッカ・ノイズとポップコーン・ノイズ」があるらしく不適当でした。測定値に現れるのは勿論ですが、実際に耳で聞いてもわかります。 2SC372Yと2SC1815Yでは、どちらも似たような汎用トランジスタですが、新しいものは使っているシリコン・ウエファーの純度・結晶性が良くなっているのでしょう。昔と今では製造環境のクリーン度も違うはずです。間違いなく最近のトランジスタの方がローノイズです。 90dBも増幅すると古さが見えてしまうのです。 2SC372Yの手持ちはまだ大量にあるのですがもはやハイゲインな増幅器に使う気持ちは失せてしまいました。 半導体の古いものは良くないですね。(笑)

AGC用のIF整流回路とAM検波器
 AGCを掛けるためにはIFアンプの出力を取り出す必要があります。 3段目のIFアンプのコレクタ側から十分に増幅された455kHzの信号を引き出します。 順方向電圧の小さなゲルマニウム・ダイオードで倍電圧検波します。

 検波直後の段階では455kHzの成分をある程度落とす程度の平滑にとどめます。 その様にしないとAGCの立ち上がり時間を短縮できません。 なお、ダイオードはSBDでも大丈夫ですが、順方向電圧の違いでゲルダイよりもIFアンプの出力は大き目になります。  SSB/CW検波ユニット(←リンク)へはVR1で加減すれば良いのでそれでも特に支障はありせん。

 AM検波器はオマケ程度のものです。 そもそもIFフィルタに狭帯域なCW用を使いますのでAM波は通りません。ですから無くても良いものです。 しかし安価なセラミックフィルタを使い9R59/D並みの選択度で作ればAM検波が活きてきます。実際にIFフィルタに中華セラフィルのLTM455IWを使ってみたところ短波放送が快適に受信できました。

 IFアンプの出力を小さ目に抑えている関係でAM検波出力も小さ目です。SSB/CWの復調出力と揃えるためにゲイン20〜30倍程度の低周波アンプを付加する必要があります。この程度のゲインは2SC1815のような汎用トランジスタ1石で十分得られます。なお、AM受信にはAGCをSlowにしておけば良いでしょう。 念のため書きますがAM受信機に推奨するものではありません。そもそもこのIFアンプはSSB/CWを目的に設計しているからです。

3段構成の455kHz IFアンプ部全景
 IFアンプ部分の全景です。 出発点はトランジスタラジオのコンバータ回路+IFアンプですからそっくりのラインナップです。 コンバータ回路の部分をベース接地の初段アンプに転用しただけのものです。(動作電流を増やして大きな入力信号に強くしていますけれど)

 単一の周波数で3段増幅しています。全体にトランジスタラジオのIFアンプよりもコレクタ電流を大きめにしている関係でゲインがアップしました。 そのままでは発振し易くなったので、IFTに抵抗を抱かせてゲインをセーブしています。それでも約90dB(=約3万倍)のゲインを得ていますのでかなりハイゲインです。

 しかしシングルスーパ形式でしかもフロントエンドであまりゲインを稼がぬ設計にはこれくらいのゲインが欲しいです。またAGCを良く効かせるためにも十分なゲインが必要です。 各増幅段ごとにデカップリングを行ないきちんとバイパスコンデンサを挿入して作れば安定に増幅します。3段増幅と言っても心配はありません。 RF回路の基本に法って作ればモトがトランジスタラジオの回路ですから安定した動作が期待できます。

IFアンプの入・出力特性図
 製作したIFアンプの入出力特性です。

 4種類の測定結果を一つのグラフに纏めたので少々わかり難いかも知れません。 左側のスケールを確認しながら読み取ってください。

 まず、AGCが掛かっていない状態におけるゲイン・・最大ゲインになります・・ですが、0dBμ入力のとき57mVppの出力があります。この57mVppはTP-IF-Out端子の電圧でオシロスコープで読み取っています。 57mVppは20.2mV(rms)です。0dBμ(=1μVrms)はEMFですからIFアンプの入力端では半分になります。 ゲインは20.2x10^-3/0.5x10^-6 = 40310倍ですから、92.1dBとなります。 TP-IF-Out(Vpp)の読み取り精度があまり良くないので最大ゲインは約90dBと考えています。

 図でグラフ下部に示す*1の範囲はAGCが掛かり始めるところです。約30dBμ(=入力端15.8μV)までの範囲ですが、検波出力は入力信号の大きさに比例します。従って弱い信号は小さな音で、強くなれば大きな音で受信されます。 ただし7MHz帯の受信機に使った例では外来ノイズレベルが高いので10dBμ以下で受信できるような信号はありません。(要するに*1の左半分くらいは外来ノイズレベル以下の領域です。IFアンプ自体は十分ローノイズなので聞こえるか聞こえないかは外来ノイズに支配されるわけです)

 *2の部分は十分にAGCが掛かってIFアンプの出力がほぼ一定になる範囲です。30dBμ〜90dBμの60dB(1000倍)の入力範囲です。 この間でIFアンプの出力電圧:IF-Outは約600mVpp〜約950mVppの変化があります。 これは入力が1000倍変化したとき、950/600 = 1.583倍の変化になります。 60dBの変化が約4dBの変化に圧縮されるわけです。 これがAGCの効果であり、AGCの効き具合としてはなかなか良好だと言えます。PIN-Diを使った電流負帰還型のAGCでまずまずの性能が得られました。

 最後に*3の部分です。 これは入力が大きくなりアンプ初段が飽和してきて歪みが発生してくる範囲です。90dBμはアンプの入力端では15.8mV(rms)です。普通の受信状態ではあまり考えられない状態と言えます。

 検討してみましょう。 このIFアンプの前には6〜10dBの損失を持ったIFフィルタ(セラロック・ラダー型フィルタ)が前置されます。 また、MixerにはDi-DBMを想定しているのでここでも6dBほどの損失があります。 従って、Mixerの入力に於いて12〜16dB大きな信号になるでしょう。 もし損失の合計が12dBとすればMixer入力では102dBμとなります。 これは負荷端で約63mV(rms)であり、RFアンプのゲインを考えても普通の状態では殆ど起こらない入力状態です。 実際の受信においてもこの大きさまで届く信号はまず存在しないようでした。従って実用上ほとんど支障はなさそうです。

 この*3の範囲は採用したAGC回路の方式では大きくなった入力信号を絞りきれない状態にあります。 IFアンプの入力側で直ちに絞ると言った対策が必要です。 アンプにAGCを掛ける方法では無理があり、いきなりATTで絞る必要があります。PIN-Diを使ったATTをIFアンプの頭に置くのが適当そうです。しかし上の考察のように実用上の支障はあまりないとも言えるのでATTの採用は思案中です。

 TP-VSM-Outの電圧変化(緑のトレース)を見ると、Sメータの振れ方がわかります。入力5dBμあたりから振れ始め、45dBμくらいで飽和します。 従って、この40dBの範囲しかメーターの振れは変化せず、だいぶ狭いことがわかります。 グラフの縦軸はLog目盛なので要注意です。振れ始めるといきなりフルスケールと言った「ON/OFF的」な振れ方と言っても良いでしょう。 Sメータはオマケ的な装備なのでこの程度で我慢しましょう。それでも振れ始めのポイントとフルスケールをうまく加減するとオマケ以上の意味があります。やはり受信機にSメータは必需です。

 AF-Out(Vrms)のカーブ(ピンクのトレース)はSSB/CW復調ユニットのAF出力電圧です。 これはIF入力が40dBμのとき、AF-Outが500mV(rms)になるようIFアンプ側のVR:1(IF-Out ADJ)を合わせてから測定したものです。BFOの発振周波数を調整して800Hzのビートが聞こえる(出力される)ようにしておきます。(参考:このときSSB/CW復調ユニットの入力電圧は約34.5mV(rms)です)

AGC回路は安価なOP-Ampで構成
 長い間アマチュアが自作する受信機のAGC回路は簡単な回路構成でした。 AMとCWが主体の真空管時代にあっては平均値型AGCで済むこともあり、検波・平滑しただけの電圧が利用されてきました。 真空管式受信機では凝ったAGC回路にすると球数が多くなって実現は大変でした。工夫された例もありますが多くは複雑化を嫌って簡単なAGC回路のままでした。

 半導体の時代になってもAGC回路は相変わらず簡素なままでした。 トランジスタ1〜3石のDCアンプを使うのがせいぜいです。 上手く作ればそれでも必要な機能・性能は得られます。しかしカットアンドトライで追い込むと言った「チューニング」が必要です。 数石のAGCアンプでは性能が十分でないからです。 そのためAGC電圧の大きさ、立ち上がり時間、電圧保持特性と言った諸条件が独立に設定できず、結局カットアンドトライで妥協点を見い出すことになったのです。

 さりとて高度なAGC回路をトランジスタやFETだけで構成すれば部品数ばかり増えてしまいます。しかし現在ではOP-Amp.の性能・特性をうまく活用すると理想に近い設計が可能です。

 OP-Amp.が高価なら実現も難しいでしょうが、この中間周波増幅器ユニットに使ったようなOP-Amp.は僅か数10円のチープなものです。 AGCに必要な機能や性能を独立して設計し盛り込むことができますから積極的にOP-Amp.を使うべきです。 ここでも入力インピーダンスが高く、バイアス電流がとても少ない、出力インピーダンスが小さいと言ったOP-Amp.の特徴を活かしています。

 近頃はHAM関連の機器にも積極的にOP-Amp.を使っています。 Blogのいくつかの製作例では使い易さからC-MOS構造のOP-Amp.を使いました。(例:LMC6484AINなど) それを使うと設計の自由度が増して好ましいのですが電子部品としては幾分割高で入手性も良くありませんでした。(通販なら買えますが地方では売っていない。汎用品の10倍くらいのお値段) 今回は4回路入りOP-Amp.としてポピュラーな『324タイプ』を使いました。 幾らか設計しにくさも感じましたが希望の性能が得られています。 写真のμPC451Cの同等品:LM324Nは汎用品なのでOP-Amp.4回路入り一つが50円以下で買えます。 アマチュアの無線機器にもこうした安価なOP-Amp.を存分に活用したいものです。

簡易フロントエンドを搭載
 これは次回の予告です。

 本格的なフロントエンドは未だに設計検討中ですが、とりあえず半ば実用的にも使えそうなフロントエンドをIFユニットの余白に組み込んでみました。 局発は外部から供給する必要がありますが、簡易フロントエンドの追加で一つの受信機としてテストが可能になります。

 ごく簡易なものなので本格的な受信機としては物足りないのですけれど、意外にも思った以上にFBでした。 せっかくですから簡単に評価してみたので回路とその評価結果などをレポートする予定です。 本格フロントエンド設計の見通しを付けるにも役立ちます。 見ての通り、ごくシンプルなフロントエンドですが・・・。(笑)

選択度は世羅多フィルタで
 写真はセラミック発振子で自作したラダー型CWフィルタです。

 これも次回の予告になりますが、ざっとおさらいしたいと思っています。 当Blog前身のホームページ時代に登場した話題ですが範囲を絞って改めて扱おうと思います。

 上記のOP-Amp.もそうですが安価な素材で実用的な性能を持った受信機の実現を目論んでいます。 写真のCWフィルタは単価数円の中華セラミック発振子を並べて作りました。7MHzのように混んだHAM Bandでも実用になるCWフィルタが作れます。 中華セラロックは今でも安価に手に入りますから自作ファンならぜひ活用したいデバイスです。

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新時代の受信機設計のお話し
 これは「日経エレクトロニクス誌」に掲載された記事です。(1975年7月28日号:pp135〜143)

 陳腐な回路と安物のデバイスばかり使った「私だけの受信機設計』にはまったく目の毒のような内容かもしれません。 昔々、会社の図書室で見付けたときにコピーを取っておいたものです。(ご希望のお方にはPDF版を差し上げたいと思っています)

 新しい時代の受信機設計として、まさしく時代を反映した斬新な内容だったからです。米国Electronics誌に掲載されたこの記事は大変なインパクトがあったのでしょう。続編とも言えるHAM向きの話がARRLの機関紙「QST誌1994年5〜7月号」に掲載されます。そしてQST誌の全文訳がJAの「HAM Journal誌No.94」にも載りました。ご記憶のお方もあるでしょう。 高級すぎるかも知れませんが受信機が目指すべき方向を示していると思います。部品に対する知見、回路の選び方なども示唆に富む内容です。

 デジタル処理が全盛の時代になり、主としてアナログ処理をメインにした内容はだいぶ色あせてしまったかもしれません。 しかしアナログ処理で最高の性能を目指すならもう一度参照する価値があります。 更に、まったく完全にデジタル処理だけで実現できる受信機はないでしょう。 フロントエンドの設計とか、まだまだデジタル時代の受信機設計にも通ずる内容も多いはずです。 あらためて読み返しているところです。

                   ☆

 次回は「中間周波増幅器・その3」として、今回あまり詳しく扱えなかったPINダイオードの活用法などを交えたいと思います。 また応急対応ではありますが手っ取り早く実用に使うための『暫定版フロントエンド』の回路と特性など探りたいと思います。この結果は本番のフロントエンド設計に十分反映できるはずです。 セラミック振動子を使ったIFフィルタについてもざっとおさらいします。 合わせて『秋月の中華セラフィル』も扱いたいですね。 少々盛りだくさんかも知れませんが発散しない程度に進めてみるつもりです。ではまた。 de JA9TTT/1

つづく)←リンクmn

私だけの受信機設計・バックナンバー】(リンク集)

第1回:(初回)BFO/ビート発振器の回路を検討する→ここ
第2回:BFO/ビート発振器の実際と製作・評価→ここ
第3回:プロダクト検波器の最適デバイスと回路を研究する→ここ
第4回:プロダクト検波器の実際と製作・評価→ここ
第5回:I-F Amp.中間周波増幅器のデバイスと回路の検討→ここ
第6回:エミッタ負帰還型AGCで高性能I-F Amp.を作る→いまここ
第7回:I-F Amp.増強とPIN-Di詳細/(含)簡易フロントエンド・IF-フィルタ→ここ
第8回:DDS-IC・AD9833で周波数安定で便利な局発用発振器を作る→ここ
第9回:高性能フロントエンドで活きる最適デバイスとその活用の実際→ここ
第10回:フロントエンド・Bus-SWとハイレベルDiミキサを比較する→ここ
第11回:古いAM/FMチューナが高性能なプリミクスVFOに大変身→ここ
第12回:音色が良いAF-CWフィルタと低周波アンプを作る(最終回)→ここ

23 件のコメント:

T.Takahashi JE6LVE/JP3AEL さんのコメント...

加藤さん、こんばんは。

最近5月とは思えない暑さですね、その上梅雨が来るかと思うと憂鬱です^^;

最近は老眼に優しい真空管ラジオばかりいじっていて、次は高一ラジオを計画中です(笑

IF回路、1回のBlogで紹介するにはもったいないような内容ですね。
最近ディスクリートIF回路でこのような凝ったAGCを組み合わせた例は珍しい気がします。

またブレッドボードの配線も綺麗で参考になります。

トラ活も引っ張り出してみてみました。今回紹介されなければ多分見ることは無かった記事かと(笑

次回は世羅多フィルタや秋月のフィルターですか、どちらも買い込んであるので楽しみです(買い込むだけで無く使えと言われそうですが^^;)

TTT/hiro さんのコメント...

JE6LVE/JP3AEL 高橋さん、こんばんは。 昼間は晴天で気温も上昇しましたが、夕刻になってずいぶん涼しくなりました。 まだ五月ですものねえ。hi hi

さっそくコメントをいただきどうも有難うございます。
> 次は高一ラジオを計画中です(笑
3Dプリンタで作った自作プラグインコイルで再生式ラジオが完成したようですね。素晴らしいです! 次の高一ラジオも楽しみですね。 頑張ってください。

> 1回のBlogで紹介するにはもったいないような・・・
進みが遅いので何時までたっても受信機にならないと言われそうなので。(笑)
I-Fアンプ+αについてはもう一回やる予定です。

> ディスクリートIF回路でこのような凝ったAGCを・・・
MC1350PのようなICで作っても良かったのですが、そちらは過去に作ったことがあったので普通のTrとPIN-Di式で作ってみました。 思っていたよりも好成績なので良かっです。十分使えそうですよ。

> 今回紹介されなければ多分見ることは無かった記事かと(笑
そうでしょうね。 よそでは見たことも無いような珍しい形式のAGCですからねえ。hi hi それとトラ活の記事もごく短く纏められているような感じです。 記事を参照して作ったお方もたいへん少なかっただろうと思っています。

> どちらも買い込んであるので楽しみです・・・
世羅多フィルタは昔の記事の蒸し返しです。(笑) 秋月のフィルタはすでに使用者がたくさん居られるだろうと思っています。  どちらもスーパー形式でないと使い道はないと思いますので次回の製作はスーパーで計画されてください。

ジメジメした梅雨になると外へ出られませんから部屋でラジオ作りを楽しみましょう。

JK1LSE/本田 さんのコメント...

こんばんは。暑くなったり、戻ったりと変化が激しいですね。そちらは、今日も暑かったようですが。

中々、重厚は記事です。ゆっくりと拝見します。この間、お話した通りフォワードAGCに興味があったころのことですが、AYOさんのIFアンプを作りました。確か、短波帯の受信機だったと思います。一応、音が出たところで終わってしまったとお思います。詳しい評価もしなかったし、そのやり方もわからなかった頃の話です。安価な汎用Trで実現できるのが良いですね。

やはり、ちゃんと動かすにはAGCアンプが複雑になりますね。しかし、部品点数は増えますがOPアンプを使ったほうが簡単に目標とする回路ができますね。
面白そうです。

TTT/hiro さんのコメント...

JK1LSE 本田さん、こんばんは。 昨日は35℃オーバーで明日は20℃くらいだそうですね。 人間の温度サイクル試験のようなもので体調維持も大変です。hi

いつもコメントをいただき有難うございます。
> ゆっくりと拝見します。
見直すと同じことが何回も書いてあったり、字数ばかり多くなってしまいました。内容をもうちょっと整理した方が良かったと反省しています。

> 一応、音が出たところで終わってしまったと・・・
とりあえず音が出ると興味のポテンシャルが下がってしまう事ってありますよね。hi hi

> OPアンプを使ったほうが簡単に目標とする回路ができますね。
OPアンプを使わなくても実現できるかも知れませんが、機能の割には部品が少ないと思っています。 電源系が複雑にならないように単電源型のOPアンプを選ぶのがミソです。最近はたくさんの種類があって助かっています。

JR1KDA/岩崎 さんのコメント...

こんばんは。
最近、ソニーが翻訳して誠文堂新光社から出版されたジェネラル・エレクトリック トランジスタマニュアルを眺めています。
その38ページから補助A.V.C.機構の説明があり、次の39ページにテトロードまたは第2ベース制御という項目があります。ベース電極が2つあり、ベース対ベース間バイアス電圧で高周波利得を変えられ、良好な利得制御ができると書かれています。
最初期のゲルマトランジスタ3N36/37がテトロード・トラジスタとして別ページに説明がありました。
昔はこんなトランジスタもあったんですね。
ググったら、本元のPDFが見つかりました。

TTT/hiro さんのコメント...

JR1KDA 岩崎さん、おはようございます。 今朝は本格的な(?)雨です。 このまま梅雨入りすることは無さそうですが・・・。 気温も低いです。


いつもコメントをいただき有難うございます。
> ジェネラル・エレクトリック トランジスタマニュアルを眺めています。
トランジスタの黎明期に初版が登場した書籍だと思います。 確か、あとの方のバージョンがDLしてあったと思うのですが・・・HDDの肥やしになっていて詳しく読んでいません。(冷汗)

> テトロードまたは第2ベース制御という項目があります。
GEのテトロードトランジスタと言うのは話題になったと思います。日本の雑誌でも紹介されたことがありました。 どんな効用があったのか記憶にありませんが、名前だけは覚えていますよ。hi hi

> 良好な利得制御ができると書かれています。
初期の民生用トランジスタは「ラジオ用」だったと思います。 AVC/AGCがないと扱いにくいラジオになるので重視されたのでしょうね。 米国のようにあちこちにラジオ局が存在すると必須の機能だったのでしょう。 回路技術以外にデバイス面からのアプローチもあったのですね。

> 3N36/37がテトロード・トラジスタとして・・・
もしも現品を持っていたらかなりのレアものでしょう。 使って試したい気がします。(勿体ないかな・笑)

> ググったら、本元のPDFが見つかりました。
私が見つけた一番古い版は第2版でした。 初版も見てみたいです。 SONYが翻訳したのは何版なのでしょう?? 版によって結構内容に違いがあるようです。 後の方の版ではテトロードトランジスタは出てきません。

期待されて登場したテトロードトランジスタだったようですが、すぐに廃れてしまったのは何か致命的な欠点があったからでしょうね。 デバイスの歴史は面白いです。

TTT/hiro さんのコメント...

↑上記のコメントへの追記です。

GEのトランジスタマニュアルで「テトロードトランジスタ」についての記述が出てくるのは第3版と第4版だけのようでした。第7版まで確認しました。

テトロードトランジスタは、ゲルマニウムの「メルトバック」と言う構造で作られたものです。一時期はRF用として使われた構造のようですね。

ベースの引き出しが2つあって一方をACVに使う発想らしいです。 応用回路が載っていたので見たのですが各ベースバイアスに差をつけて与えています。 どれくらい効果的なのかよくはわからないのですが、ベースが独立しているのでRFパラメータに対するAVCの影響が少ないと言う特徴があるようです。

高周波増幅回路に効果があったのだと思いますが、やがてメルトバック形式でトランジスタを作らなくなったので廃れたのかも知れません。一応、こんな調査結果でした。 de JA9TTT/1

JR1KDA/岩崎 さんのコメント...

おはようございます。

そうなんですね。
ソニーが翻訳したのは、1958年版です。
最初に「本書はアメリカ合衆国ニューヨーク州ジェネラル・エレクトリック社との協約にしたがい,米国で刊行された英語版の「トランジスタ・マニュアル」(ジェネラル・エレクトリック社1958年版権)よりソニー株式会社によって作成された日本語版です.」と日本語と英語で書かれています。

話は変わって、1980年初版の「ハムのトランジスタ活用」では、IFはIC化されていたました。そのICも廃番だと思いますけど。
1976年版のトランジスタ活用ハンドブックには、同じページがありました。

本を集めて眺めているだけで、自作が進みません。作れよと言われそうです。

TTT/hiro さんのコメント...

JR1KDA 岩崎さん、改めてこんにちは。

ソニー翻訳版の詳しい情報有難うございます。 参照したものが1958年版だと英語版の3rd EDになりますので、テトロード・トランジスタの説明記事があるので翻訳版にも存在するのですね。了解です。

JA1AYO丹羽さんの「ハム活」は1980年が初版ですからICも手に入りやすくなって自作品にも積極的に使われるようになった時代ですね。 ICを使うと高機能・高性能が実現できてFBなのですが肝心のICがディスコンになったらお手上げです。 OP-Ampと3端子電源、それに低周波のパワーアンプくらいなら今後も大丈夫だろうと思っています。 ほかのICは廃れてしまう可能性がありますね。

> 本を集めて眺めているだけで、自作が進みません。
書籍記事を眺めて自身の構想を練るのも自作の楽しみの一つだと思います。 なかなかFBではないでしょうか。 それと、資料はいつか役立ちますね。

JR1QJO 矢部 さんのコメント...

加藤さん
もう直ぐ梅雨入り宣言が出そうですね。
内容の濃い読み応えのある記事有難うございます。最近はSDRが主流になりつつありますがアナログ回路の温故知新には何故か強い興味を引きます。
PINダイオードは昔「鈴商」で見かけましたが、使い方が分からず敬遠していました。今思うと買っておけば良かったと後悔しています。回路を拝見するとPINダイオードをMOS FETで代用できないかと妄想しています。アンテナ切り替えに2N7000が使われているので制御電圧に対する抵抗変化の直線性があれば代用になるかもと。まずは実験してみたら?と言われそうです。HIHI

TTT/hiro さんのコメント...

JR1QJO 矢部さん、こんにちは。 一旦雨は上がったようですが青空は戻りませんね。 梅雨入りすると暫く鬱陶しくなりますねえ・・・。

いつもコメントをいただき有難うございます。
> アナログ回路の温故知新には何故か強い興味を引きます。
SDRも良いのですがハードウエア的にいじって遊べる要素が少ないように思います。 受信するだけが目的ならそれも良いのでしょうが、回路をいじって遊ぶには旧式でも十分そうです。手持ちの部材も消費できますし。(笑)

> PINダイオードは昔「鈴商」で見かけましたが・・・
ちょっと前に鈴商の通販サイトを見たときにはまだ1N5767を売っていたと思います。かなり前に同店で購入したものがストックされております。(死蔵とも言う)

> 抵抗変化の直線性があれば代用になるかもと。
目的は違いますが似たようなことを実用にしていたことがあります。 AGCに使う発想ではありませんでしたが。hi hi ぜひお試しになってください。

JA2HVW水島 さんのコメント...

加藤OM ご無沙汰しています。日経にユーリッヒ・ローデ氏記事が載ったのは知りませんでした。是非PDF版を読ませて下さい。
ローデ氏後年の残留SSBノイズに関する論文は当時Jitterとの闘いに明け暮れていたので非常に参考になりました。
よろしくお願いします。

TTT/hiro さんのコメント...

JA2HVW 水島さん、こんばんは。 お久しぶりです。

いつもコメントをいただき有難うございます。
> 日経にユーリッヒ・ローデ氏記事が載ったのは・・・・
多分、提携誌の記事を単に翻訳しただけなのでしょう。 日経エレはRFの専門誌ではない悲しさで、図面などが乱れて少々わかりにくくなっています。(よく見たらわかります・笑)

何分にも1975年の古い記事ですから、近代設計とは言ってもだいぶ古臭いです。 しかしアップコンバージョンとか、オシレータのノイズなどの話はあって昔々興味深く読んだのを思い出します。

それまでの高1中2とかコリンズタイプ云々とは全く一線を画す内容でしたから・・・。昔の真空管式の受信機しか知らない人が読んだら今でも驚きでしょうね。hi hi

先ほどお送りしておきましたのでお楽しみになってください。

セトロ/JE1HBB さんのコメント...

 梅雨が近いらしいです。昨日は涼しかったのですが、暑い日があってもまだ湿気がないので助かりますね。

「~受信機設計」、もう半年も経つんですね。いろいろ手を動かして試しながら拝見してるのであっという間でした(むしろ一回お休みの時の方がキャッチアップには助かったりしてます Hi)。

 オーソドックスとは言いませんが、2SC1815のIFアンプが登場するとは想像してませんでした。私にとってはハンドブック的連載なので大助かりです。初段のベース設置も変化球でおおいに参考になります。

 私の電池管スーパーのAGCは右往左往の末、結局は交流成分を2SK241で増幅後検波してマイナス電圧をIFのバイアスに掛ける(Sメーターも)「普通の」方法に落ち着きました。
 手持ちの測定ツールでは負荷が重く、信号レベルを見ながらあれこれ調べるのに随分苦労しました。 AGCアンプを作ってるのだか、プローブを作ってるのだか、OPアンプのオフセットを勉強してるのだか…。まるでもう一つ受信機を作ってるようになってしまったので適当なところで終わりにしました。
 IF出力とAGC電圧、AGC電圧とゲインの関数2つの平衡点について原理的に説明されている資料って案外ないものだということが大きな収穫(?)でした。

 そんなこんなで、やっとアンテナコイルと同調コイルを巻き終えました(S-A、S-Bバンドに相当)。中波のコイルを巻きながら思ったのですが、昔、短波帯がアマチュアに許されたのもラッキーだったのだなぁと改めて感じました。中波、長波をもらったとしたらコイルも大変。HFの何と扱いやすいことか(デバイスに不自由しない後年の話ですが)。その意味でも新バンドに挑戦されている各局に脱帽です。

TTT/hiro さんのコメント...

JE1HBB 瀬戸口さん、こんにちは。 天候が安定しませんね。 今日は蒸し暑い曇天です。 先日のように清々しい晴天が続くと良いのですが・・・

いつもコメントをいただき有難うございます。
> むしろ一回お休みの時の方が・・・
内容を切って2回に分け、月2回の更新も可能かと思います。 ただ、そうすると更新頻度が高くなりBlogにばかり掛からねばならず・・・とりあえず月1回更新にしています。hi hi

> 2SC1815のIFアンプが登場するとは想像してませんでした。
455kHzのIF-Amp.ですから小信号用のTrなら何でも良いのです。勿体ぶった理由をつけて他の石にしても意味がないので2SC1815で済ませてます。(2SC372Yも使ってますけど)

> 初段のベース設置も変化球でおおいに参考になります。
ベース接地はVHF帯で使うことがありますね。fTが十分高い石がなかった時代にはベース接地も多かったです。 入力インピーダンスが低いのが特徴なので用途によっては有益です。

> 「普通の」方法に落ち着きました。
オーソドックスと言うのはそれなりの理由があるわけですから良い選択と言えるかも知れませんね。私もオーソドックスは好きですよ。

> まるでもう一つ受信機を作ってるようになってしまったので・・・
ご苦労があったのかも知れませんが、それだけお楽しみになれたのだと思います。何もトラブルがなければ新たな発見もないでしょう。hi

> 資料って案外ないものだということが大きな収穫(?)でした。
AGCは自動制御なので理論的な考えはあるのですが実際の回路でやると大変です。例えばAGC電圧と利得の関係がカーブしていて比例的でなかったり・・・数値化が厄介です。大まかな解析ならできそうなのでやってみる価値はあると思っています。でも大変ですね。

> 中波、長波をもらったとしたらコイルも大変。
無線の先人の時代は巻線やボビンの材料にも苦労があったそうです。高周波特性の良い絶縁体も限られていたし・・・。 大きなボビンに巻くのが常識になっていたらしいですが、負荷Qから言うとあまりHigh-Qに作っても活きてこない可能性もあります。

今のデバイスなら小さなボビンに細い巻線で作ったコイルでも支障ないので小型化できてFBです。 それでもコイルを巻く手間がいらないマイクロ帯の方がFBというOMさんも居られますね。hi hi

> 新バンドに挑戦されている各局に脱帽です。
低い方の新バンド挑戦も面白いですが、あそこはコイルとアンテナが大変ですね。 高い方だと測定手段がなくていきなり原始的ツールに戻ってしまいます。 まさかレッヘル線という訳にも行きませんけど・・・。(笑)

Unknown さんのコメント...

蒲田哲也/JF3HFO

 加藤さん、こんにちは。大阪は6月に入って暑いですが、まだカラッとしてます。そして、免許申請がとおって、「元」がとれました。アンテナの整備が終わってなくてまだQRVしていませんけど。

 IFの記事ありがとうございます。しろうと設計だとAGCとかどうしていいやら。がんばって記事を読ませてもらいます。

 アマ無線復活のために制作した受信機に、世羅多フィルターを利用するつもりでしたが(このブログもそれで見つけました)秋月のフィルタで済ませてしまいました。帯域の広いのと狭いのと試したのですが、広いもののほうが良いように思ったので、そちらを採用しました。がサイドの切れはよくなように思います。そのころの私のBFO周波数の理解がイマイチなせいで狭い側のフィルタの性能を生かし切れていないのではと疑っています。

 というわけで、世羅多フィルタと秋月のセラミックフィルタのブログ、楽しみにしたおります。よろしくおねがいします。

 ついでですが、昔の本ブログを参考にダイオードDBMでSSBジェネレータを実験中です。加藤さんと本ブログには本当に感謝です。 では。

Kenji Rikitake さんのコメント...

N1UL Ulrich Rohde博士、FT8に出て来られますね。一度交信して、一度呼ばれました :) すごい人なんだなあということしかわからないですが。

IF AGCですが、SDRでも結構面倒というか、非線形の計算なのでどうやって収束させるかとか、結果として復調した結果を聞きながら試行錯誤する必要があって大変です。こんな論文が最近も出てたりします。

https://hal.univ-lorraine.fr/hal-01397371/document

OPAmp使うのは正解ですね。

73 Kenji Rikitake, JJ1BDX

TTT/hiro さんのコメント...

JF3HFO 蒲田さん、こんばんは。 今日は夕立もなく晴天の爽やかなお天気でした。 明日から崩れるとのこと、入梅もまもないようですね。

いつもコメントをいただき有難うございます。
> 免許申請がとおって、「元」がとれました。
それはおめでとうございます! やはり自分で作った機械でオンエアしてみたいですよね。局免がないと実験すらできません。 これで自作のTX+RXでHAMを楽しめますね。 アンテナも頑張ってください。まずはモノバンドのワイヤーアンテナなどいかがですか?

> がんばって記事を読ませてもらいます。
少々言葉足らずで難解かも知れませんが「楽しみながら」ご覧いただけたらFBです。hi hi

> ・・・性能を生かし切れていないのではと疑っています。
帯域幅はSSB/CW用にはいささか広すぎると思いますが、帯域外はあんがい急峻に落ちているので、BFOの周波数位置を適当にすれば結構使えるのではないでしょうか。次回のBlogでどうぞ。

> ダイオードDBMでSSBジェネレータを実験中です。
リング変調型のDBM回路は確実性が高いと思います。 低周波信号を入れ過ぎなければ、なかなか良い特性が得られると思っています。色々試されてください。

Blogは好き勝手にやってるだけですので感謝には及びませんよ。 時間つぶし程度にお楽しみになっていただければVY-FBだと思っています。

TTT/hiro さんのコメント...

JJ1BDX 力武さん、こんばんは。 少し前になりますが、WSPRでコールサインが見えておりましたね。

いつもコメントをいただき有難うございます。
> すごい人なんだなあということしかわからないですが。
私もです。hi hi オンエアされているんですねえ! お会いしたいものです。

> 非線形の計算なので・・・結果を聞きながら試行錯誤する必要があって・・・
デジタルでも同じ問題があるわけでしょうね。

例えばVCAとしてIF-Ampを2Gate-MOS FETで作るとAGC電圧とゲインの関係がかなりひどい非直線になります。 その結果AGC電圧によってループゲインが変化してしまい、ループフィルタの最適化が難しくなります。 結局、系が発振しないよう安全サイドに決めざるを得ません。そうなると過渡応答などだいぶ犠牲になり良いフィーリングの受信機にはならないものです。

VCAとして優れているのはリモートカットオフ特性の球、フォワードAGCのTr、それとICならAD603くらいしか思い浮かびませんね。 あと残るのはAGCのうまい設計です。

> こんな論文が最近も出てたりします。
ご紹介有難うございます。デジタルではやりませんが後ほどじっくり拝見しましょう ブロック図をちょっと見るとアナログと同じですね。(当たり前ですか・笑)

> OPAmp使うのは正解ですね。
AGC系の増幅にまで非直線な増幅デバイスを持ち込みたくないですから。 OP-Ampを使ったDC-AmpならならAGC回路もだいぶマシにできます。hi hi

JG6DFK さんのコメント...

こんばんは。外歩きをすると暑かったですが、それでも湿度が低かったのでまだ過ごしやすかったでしょうか。左大腿部に爆弾を抱えてからは経過観察で整形外科へ年一回通うことになり、今日も朝早くから大忙しでした。

こういう話題には食いつきがいいですね(笑)。さて、球と石の混成回路は1980年代前半くらいまでのBCL受信機キットでもあったように思います。フロントエンドが球、という構成が多かったでしょうか。ただ、石で統一した方が楽ではありそうです。熱雑音の点でもその方が圧倒的に有利なはずですし…

球つながりの蛇足ですが、デジットの蔵出しセールに出てきた国産マジックアイは早々に完売したようです。そのうちのどれくらいが転売されたのでしょうね(笑)。まだ二束三文だった頃に買ったEM81やEM84がたくさん残っているので見送りましたが、一生のうちに何本も使うものではないでしょう(笑)。

満足のいく通信型受信機のIFアンプを実現するのは大変そうですね。リバースAGCを最終段にかけると大入力でひずみが激増してえらいことになりますが、電流帰還型AGCならそのようなことがないので、ダイナミックレンジは広く取れそうです。2SC372でもノイズが多いようだと、2SC32は最悪でしょうね(爆)。

2SC32もそうですが、特に新型の2SC372では大きく改善されているかもしれません。たぶん、中身は2SC1815と同じなのだろうと勝手に思っています。確か、2SC1815はもともとAF低雑音増幅用として登場したのではなかったかと思います。

XB15A204Aは昔、共同購入でお世話になったものですね。6m SSB/AM機のRF AGC用に使いましたが、まだまだ手持ちがあるはずです。VHF用にはもったいなかったでしょうか。この周波数なら、一時期多くで回っていたチップ型の1SV128あたりが妥当だったかもしれません。まだそれなりに手持ちがあると思います。

1SS53はPIN構造ではありませんが、リカバリ時間がかなり長いので、VHF/UHF帯QRP機の送受スイッチによく使われたようです。真価を発揮できたのはVHF帯以上でしょうが、そういう用途に向いていたのでしょう。昔はひと山いくらだったのでまとめ買いしましたが、さすがにもう品薄でしょうか。

これも電流帰還つながりの蛇足ですが、1石ツインT発振回路のエミッタと直列にJ-FETを挟み、AGCをかけたことがあります。FBに動作しましたが、J-FETはオン抵抗が大きいので、フルゲインから広範囲に制御するのは難しいかもしれません。

AGC電圧でSメータを振らせる回路だと、制御できるポイントが多いほどダイナミックレンジも大きくできるかもしれませんね。逆に、トランジスタラジオのように1箇所だけだと、オンオフ動作のようになっても仕方がないと思います。そもそも、AGCレンジ自体がそれほど広くありませんが…

そういえば、455kHzのセラロックも共同購入のお世話になりましたが、全然活用できておらず恐縮です。その後、訳あって同じ村田製を大量に仕入れたので、手元には村田製セラロックの山ができています。なので、中華メーカーのセラロックを買う必要は死ぬまでないと思います(爆)。

最後に、もしよろしければ、ご紹介の記事を私に送ってください。よろしくお願いします。

TTT/hiro さんのコメント...

JG6DFK/1 児玉さん、こんばんは。 一昨日の晩はひどい雷雨でした。雹(ひょう)が大量に降ったので家庭菜園の野菜苗が全滅です。 今日は新しい苗を買いに行ったのですが売り場は盛況でしたね。 近所のみなさんヤラレたわけです。 収穫時期は遅れそうですが今夏の収穫がリカバーできたら嬉しいです。

いつもコメントをおただき有難うございます。
> 経過観察で整形外科へ年一回通うことになり・・・
どうぞお大事にされてください。結局のところカラダが元気でないと何もできません。

> フロントエンドが球、という構成が多かった・・・
プロの受信機ではニュービスタ管をRFに使ったものがありました。過渡期の一時期だろうと思います。 全半導体化した後も球のRXの方が良かったと言う通信士のお方も多かったそうです。

> 一生のうちに何本も使うものではないでしょう(笑)。
そもそも球の受信機でないとマジックアイは使いにくいですね。球で「ラジオ」を作ってみたい人はまだ居られるので人気アイテムなのでしょう。 HAM用の通信型受信機にはSメータの方が似つかわしいです。やっぱりマジックアイはラジオ用のアイテムです。hi hi

> 2SC32は最悪でしょうね(爆)。
どなたかがポップコーンノイズが確実に出るデバイスを探したら2SC32に行き着いたそうです。(笑) 少なくともローノイズな回路に使うTrではないでしょうね。 低周波用ゲルトラは意外に悪くないことが多いです。

> 新型の2SC372では大きく改善されているかもしれません。
あれは名ばかりの2SC372のようですからね。 2SC1815でも新しいものの方が好ましいようです。中華モノも悪くありませんでした。ばらつきまではわかりませんけど。

> VHF用にはもったいなかったでしょうか。
VHFに使って勿体ないことはないでしょう。勿体ないのは死蔵だと思います。 電子部品は使ってナンボのものです。hi

> 送受スイッチによく使われたようです。
PINではないダイオードにあって、あれはRF-SWには優秀だったですね。実際に測定してわかります。

> フルゲインから広範囲に制御するのは難しいかもしれません。
最近のスイッチング用MOS-FETならON抵抗は低いのですが、D-S間の静電容量が大きくてRF回路の「可変抵抗」としてはうまくないですね。 あと、D-S間の抵抗は電圧依存性が大きいので歪みが出てしまうのでAF回路でも注意が必要です。可変抵抗に向いたFETは限られるようです。

> 1箇所だけだと、オンオフ動作のようになっても仕方がないと・・・
おっしゃる通りですね。 多段に渡って少しずつ広範囲に掛かるAGCにしないとSメータの直線性との両立は難しいです。

> 村田製セラロックの山ができています。
セラロックって意外に使い道がないんですよね。発振素子としては周波数があまり安定でないし・・・。 世羅多フィルタにしても、そんなにたくさん受信機を作りませんし。 拙宅にもたくさん在庫あります。(笑)

> 中華メーカーのセラロックを買う必要は死ぬまでないと思います(爆)。
最近は村田のセラロックが入手難になたようです。流通在庫が無くなったのでしょうね。 それで中華モノを確かめておいたような訳です。村田をお持ちならそちらをご活用されてください。

蒲田哲也/JF3HFO さんのコメント...

蒲田哲也/JF3HFO

加藤さん、こんにちは。大阪は昨日今日晴れていますが、気温低めでさわやかです。コメントへのレスありがとうございます。

>アンテナも頑張ってください。まずはモノバンドのワイヤーアンテナなどいかがですか?

 実は、延長コイル型のダイポールを屋根にあげたのですが、なぜか9MHzに同調していて、コイル作り直しです。屋根に上がるの怖いし・・。ただ、受信はすごくFBにできているので、ワッチを楽しんでいます。

TTT/hiro さんのコメント...

JF3HFO 蒲田さん、こんばんは。 関西は晴れの日が続いているようですね。 関東は梅雨空で肌寒い日が続いております。

再度のコメント頂きありがとうございます。
> なぜか9MHzに同調していて、コイル作り直しです。
それは残念でしたね。かなりのズレですから参照された資料と何か違うのでしょうか?

構造・展開状態がわかりませんが可能なら両端にワイヤーを足すなどすれば共振を下げられるのではありませんか? 小コイル+ワイヤを足すという方法もありますね。 コイルを作り直すより楽でしょう。 受信はできるようですが、送信もできるように共振させておくとこのあとFBではないでしょうか?

屋外作業は真夏になる前が勝負ですネ。hi hi