【世羅多フィルタの実装方法】
昔のサイトの記事のイメージが強過ぎたのでしょう。同じような実装方法で考えてしまうようです。 ナマ基板に平付けは測定には有利な構造ですが、実装するには便利ではないでしょう。
実際は写真のように実装しても問題はなくて、性能もきちんと出るから大丈夫です。 これならあまりスペースもとらないでしょう。 実用向きの実装方法です。
【実測特性写真】
上の写真の実測特性はこのようになりました。 ナマ基板への実装ではなくてもこのようになります。 この例では、455kHzではなく、472kHzのVCO用と言うセラロックを使っています。 455kHzより少し周波数が高いのでフィルタの中心周波数も455kHzに近付きます。
上の写真の実測特性はこのようになりました。 ナマ基板への実装ではなくてもこのようになります。 この例では、455kHzではなく、472kHzのVCO用と言うセラロックを使っています。 455kHzより少し周波数が高いのでフィルタの中心周波数も455kHzに近付きます。
右側の裾野が持ち上がっているのは、わずかに入・出力間の不要な結合があるためでしょう。この程度なら普通は気にならないし、使っていてまったくわかりません。 評価のための測定器を接続した影響かも知れませんね。
何だかこの写真を見ると、つい最近見た『ラジオ少年』のRB-1/RB-2の周波数特性がダブってしまいました。 でも、横軸を見て見ましょう。 RB-1やRB-2は横軸全体で200kHzだったのですが、この写真はたったの20kHzです。 つまり、1/10なので、選択度で言えば10倍も良い訳です。(帯域外の-100dBまで見ていることにご注目下さい。一般的には-60dBまで見ている例が多い筈です) LCを使ったIFTなど『狹帯域通信機用』と言った所で、所詮勝負にならないのです。(笑)
いつもと違うイメージで実装した世羅多フィルタをご参考にされて下さい。
追記:このBlog記事の前に、通販ショップ「ラジオ少年」のRB-1と新型のRB-2と言う真空管用IFTを詳細に扱ったBlogがあったのでそれを見ている前提で書かれている部分があります。(それらは詳細な内部資料なので一般公開には支障があるためnet上から消去しています。悪しからずご了承下さい)
参考情報(検索来訪者のために:@2009年2月):
世羅多フィルタには回路とのインピーダンス・マッチング用のIFTが必要です。 半導体で作った中間周波(IF)増幅回路のインピーダンスは一般に数〜10kΩくらいですが、世羅多フィルタは50〜数100Ωとかなり低い値です。 もしこの違いを無視して直結してしまうとミス・マッチングによるロス(信号減衰)がたいへん目立ってきます。 そのためフィルタ部でのロスがとても大きいように感じてしまうでしょう。 しかし世羅多フィルタ自身の信号通過に伴うロスはたかだか数dBに過ぎません。 20dB近くもあるようなCollinsや国際電気のCW用メカフィルと比べてごく僅かであり、信号損失の点ではずっと優れています。 使い方のマズさによって起こる信号ロスをフィルタその物のロスだと勘違いしないで下さい。(笑)
インピーダンス・マッチングに既製品のFCZコイルを使うとすれば、10mm角の 10M455が唯一推奨できるものです。(マッチングに関しての考察は上記リンクも参照を) なお、7mm角の7Mタイプ(07M450など)には最適なインピーダンス比のものはありません。もちろん何もせず直結するよりも幾らかマシなので試してみる価値はあるでしょう。 但し10M455を使うよりミス・マッチングによるロスは大きくなるのは仕方ありません。(注:07M450は2次側の巻数が多すぎるため)
以下蛇足になりますが、FCZコイルの説明書によれば、セラミック・フィルタには7M450が適当と書いてあります。 この場合の対象は村田製作所製など既製品のセラミックフィルタル(インピーダンス1〜2kΩのもの)をさしています。 従って、マッチングトランスにFCZコイルを使うなら世羅多フィルタには10M455の方を選ぶべきなのです。 自分でトランスを巻けばより良いものができる可能性もあります。
注:インピーダンスの不整合についてロスの増加と言う側面で記述しました。しかしミス・マッチングは通過帯域の特性(形状)にも影響が及びます。 CW用のように狭帯域フィルタでは顕著に見えませんが、SSB/AM用の様に帯域幅の広いフィルタでは通過帯域内のリプル(凸凹)や傾斜など特性劣化が無視できません。 通過帯域特性の形状に意味があるフィルタは必ず設計インピーダンスにマッチングして使わねばならりません。これは、フィルタ全般に言えることで、特に世羅多フィルタに限ったことではありません。
(おわり)
(2017.03.27:Blogger仕様変更対策済み)
(2017.03.27:Blogger仕様変更対策済み)
8 件のコメント:
こんばんは。
実装例、ありがとうございます。
立てていても特に問題はなさそうですね。^^
3素子で作ればかなり小型化出来そうです。
前後のIFTは10Sタイプの方が7Sタイプよりも良いのでしょうか?
FCZのセラミックフィルタフォロー用07M450が使えると
さらに省スペースに出来るのですが。
私のスペアナでは写真の様に全部を表示出来ません。^^;
JE6LVE 高橋さん、こんばんは。
さっそく、コメント有難うございます。 多少はご参考になりましたでしょうか・・・。 ならば良いのですが。
IFTですが、これは既製品ではなくて自家製です。 東光の7PLAと言うボビンに巻いたものです。 ちょうど良い既製品があれば良いのですが、調べた範囲ではサイト記事のものしか見つかりませんでした。
lveさん,うちの7R3357がちょうど3素子で,FCZ 07M450を使っていますので,ご参考までに;
http://homepage3.nifty.com/jh5esm/homebrew/7r3357_j.html
hiroさんの実装みたいにヒヨコ達が綺麗に並んでいなくても使える,悪い例と思ってください.
裏側のグランドは,メッキ線をアース母線のように引き回しています(^^;
JH5ESM Cosyさん、こんんちは。
有難うございます。 やはりRigに実装した写真は実際に使う際に参考になりますね。
作ろうと思う人はそう言う部分の情報が欲しいものです。
添付していただいたURLですが、長いと末尾が切れてしまうようですね。
http://homepage3.nifty.com/jh5esm/
上記のURLで飛んでhomebrewの所にある、7R3357のページで見られますね。
こんにちは。
Cosyさん、情報ありがとうございます。
回路図や実装写真、大変参考になります。
今回はFCZ 07M450を使ってみます。
ttt/hiroさん
昔の製作記事にはほとんど実体配線図が付いていたので
初心者でも作りやすかったですね。
実体配線図までは必要ないですが、完成した写真が
あるだけでも製作時にかなり助かります。
JE6LVE 高橋さん、皆さん今晩は。
> 今回はFCZ 07M450を使ってみます。
差し上げられる7mm角のボビンはあるのですが、LA1600用のデータがありません。巻線比など再計算+試作しないとならないので、すぐに情報提供できません。 製作をお待たせするのも申し訳ないのでFCZ-Coilで作って下さい。
実態配線図までなくても、部品配置がわかると随分参考になるものですね。 動作している製作例があると心強いです。(笑)
こんばんは。
>申し訳ないのでFCZ-Coilで作って下さい。
性能を突き詰めるわけでもないですから
FCZコイルでも問題ないかな?などと思っています。^^;
>動作している製作例があると心強いです。(笑)
それとそれらを作られた方に質問できる環境ですね(笑)
JE6LVE 高橋さん、こんばんは。
> FCZコイルでも問題ないかな?
既製品のコイルで、ほぼこの用途にピッタリのコイルでした。 性能的には問題ないです。 10mm角なので、すこし大きく感じるかもしれませんが、それだけです。
LA1600の内部定数の解析も行なったのですが、良くわかりませんでした。 メーカーのアプリケーションに載っているコイルも解析してみたのですが、良くマッチングしているとも思えないので、他のIC用を流用しているのではないかと思っています。 実際は、十分にハイゲインなので、途中が少しくらいミスマッチでも支障はないのでしょう。
ただ、世羅多フィルタはずいぶんインピーダンスが低いので、マッチングしないと不整合によるロスが大きいのでコイルを使った変換が不可欠です。 フィルタ自身の損失は大した物ではないのですけれど。
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