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2009年10月18日日曜日

【部品】STARのIFT(3)

IFTの評価
  STARのIFT(←リンク)その3回目です。 QメータでIFTを評価しています。 

 正しく言うと「IFTのコイル」の評価です。 Qメータは測定器内部のHigh-Qなバリコンと、被測定コイルを直列共振させて測定します。 従って、IFTの内蔵コンデンサは一時的に除去するか、配線を外さなくてはなりません。 黄色い軸で青い握りの棒は「調整用ドライバー」です。 先端に金属小片が付いているものでラジオ調整には必携でしょうか。昔から売っているものです。

最初、うっかりシールド缶を付け忘れて測定してしまいました。 こうしたシールド缶入りのコイルは必ず使用状態にして評価する必要があります。 シールド缶の有無でインダクタンスもQもかなり違ってくるからです。 特に磁性体の缶の場合は影響が強く出ます。(鉄製の缶が使えない訳ではない)

 このシールド缶の場合、缶の有無でQの値は10%ほど変わってきました。裸の場合は120弱のQが、有りでは105くらいになります。僅かですが上段のコイルの方がQは高いようでした。インダクタンスは概略1.22mHくらいです。

無負荷Q:Qu
 無負荷Qは100くらいです:@455kHz

 IFT A4とB4の違いであすが、Qもインダクタンスもまったくと言うほど同じでした。 前回のBlogで構造は寸分も違わぬと書きましたが、電気的な特性もまったく同じでした。

 コイルのインダクタンスは同じでも、IFTの場合は1次側と2次側の巻き線の間隔がAとBとで変えてあれば意味があります。 しかしそれもまったく同じなので違いは外箱(アルミ製シールド缶の押出文字)の違いだけと言うことになります。

 カタログ上はA4とB4は異なるモノのような書き方がしてあります。 結局、その違いは使う際に2次側に付ける負荷が異なるからなのでしょう。 もしA4とB4を入れ替えて使ったとしても結果はまったく同じになると思います。 なお、もとがジャンクのIFTだから入手するまでに他の組のAとBの中身が混じって入れ代わった可能性も否定は出来ませんが・・・(笑)

 インピーダンス表示ではなくゲイン表示なので、増幅管のgmを幾つに想定するかでも数字は変わってきます。 IFアンプ段はgm=2000μ℧の球(例えば、6D6)で規定していたと思いますが、コンバータ段は幾つを想定していたのでしょう? たぶん、当時の標準コンバータ管は6W-C5の筈ですから変換コンダクタンス:gc=450μ℧の想定でしょう。

【雑談:モーと言う単位】
「℧」・・・モー:mhoと書きます。導電度(コンダクタンス)の単位で、オーム:Ωの逆数とした単位・・・即ち1/Ωのことです。℧は既に「いにしえ」の単位であって、ジーメンス:Sと言う単位を使うのが現代電気屋の常識です。コンダクタンスの記号は一般に「g」の文字を使います。添字の「m」は「相互」を意味する「mutual」から来ています。すなわちgmとは「相互コンダクタンス」を意味する記号です。昔のラジオ少年(=ラジオ爺い・笑)にとって真空管の相互コンダクタンス:gmの単位は℧:モーの方がお馴染みだと思います。(笑)

 このIFTですが、典型的なLow-C、High-L型です。 廉価版のためリッツ線を使わなかった関係でQはやや低めです。その関係でゲインに関係する共振インピーダンスを上げるためにインダクタンスを大きくする設計になっています。
 1次と2次の結合状態は「臨界結合」です。従って、真空管に対する負荷インピーダンスはコンバータ段で180kΩくらいになります。IF段では二極管検波のインピーダンスが効いて来て約40kΩくらいのようです。 コイルの実測から求めた計算値とカタログの数字も概ね合っています。 部品ユーザーは完成したラジオの感度でIFTの優劣を評価する可能性があるので十分なゲインがあるように作ってある訳です。 もう一つ重要なこと、実測評価から判断して初期特性から殆ど劣化していないことがわりました。

 ST管当時の標準的なラジオ用真空管のgmは低いのでIFTでゲインを稼ぐ必要があるのはわかります。 それにしてもハイゲイン過ぎる(ハイ・インピーダンス過ぎる)のではないでしょうか? うっかりgm=4,200μ℧の6BA6クラスを使うと発振しそうです。 gm=2,000μ℧の6D6、6K7や6BD6が丁度良いIFTです。IFT-Aには6D6用として上部にグリッド配線が引き出されていましたからそう言う想定なのでしょう。 このあたり、IFTの設計と製作の話題に発展して面白いのですが程々にしておきます。 もしIFTの自作についてご興味があるようでしたらエレキジャック誌・第4号の拙記事「トロイダルコアを使った中間周波トランスの製作」(P103〜107)でも参照されて下さい。たったの5ページなので舌っ足らずな内容だと思いますが五球スーパー用と高一中二用を扱いました。トランジスタ・ラジオのIFT流用より高性能なIFTが作れます。(→参考)もうバックナンバーは買えないと思いますので古書を入手されるか出版社のコピーサービスをご利用下さい。

# シールドを良くし、アースポイントも選んで上手に組み立てると感度の高いラジオが作れると思います。もちろん6BA6で挑戦すべきです。 生半可なウデじゃ6BZ6や6GM6は無謀に過ぎるんでしょうねえ。(笑)de JA9TTT/1

つづく

(Bloggerの新仕様に対応済み。2017.04.16)

4 件のコメント:

JE6LVE/Takahashi さんのコメント...

おはようございます。

IFTなどどれでも一緒と思っていたのですが、
規格のわからないIFTをつかうと
IFが発振しまくる可能性もあるわけですね。
以前5球スーパーを作った際に発振に悩まされたことを思い出しました。

そのあたりのノウハウは最近の球ラジオ製作記事には書かれていないので嵌ると悩まされそうですね。

JG6DFK/1 さんのコメント...

本文中にある「6ZB6」とは「6BZ6」のことでしょうか。もしそうなら、確かに手名付けるのは大変そうです。あと、ウデに自信がある人には6EH7もお勧めしますよ(爆)

TTT/hiro さんのコメント...

JE6LVE 高橋さん、おはようございます。

早速のコメント有難うございます。
> IFが発振しまくる可能性もあるわけですね。
製作者のウデとはあんまり関係なく危ないIFTもあったようです。 同調容量が100pFと言うのも小さ過ぎて良くないと思います。 この容量が小さいとAGCが掛かったときに球の内部容量が変化して同調がずれるのです。

> 最近の球ラジオ製作記事には書かれていないので・・
最近は得体の知れない部品で間に合わせるしかないので結構危ないでしょうね。 適切に教えてくれる人も減っていますし・・。 ただ、ネットがあるので一人で悩まなくても良いのが救いですね。(笑)

高橋さんも発振では悩まされた口ですか。hi

TTT/hiro さんのコメント...

JG6DFK 児玉さん、おはようございます。

コメント有難うございます。
> 「6BZ6」のことでしょうか。
ハイそうでした。(^^) 打ち間違いに気付きませんでした。 ご指摘頂いて良かったです。hi hi

> 自信がある人には6EH7もお勧めしますよ(爆)
これも発振が危なそうですけど、チャレンジャーは頑張って下さい。 カソード抵抗を大きくするとか、Sg電圧を下げる・・・と言う用法は反則ワザです。(爆)

危ないIFTにはQダンプ抵抗をパラに入れたら、発振防止になるし「帯域幅も広くなって良さそう」と思う人もいるようです。発振は止まっても帯域幅は必ずしも広くはなりませんね。場合によってはむしろ狭くなります。 これは復同調回路の特性ですから。 これは本文に書いておいた方が良かったかも知れませんね。hi hi