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2010年10月30日土曜日

【部品】X-tals to small, too small !

20MHzのクリスタル
 電子部品の小型化は著しい。つい最近まで小型部品と思っていた物がいまではすっかり巨大な部品になっている。

 水晶振動子(Quartz Crystal/X-tal)の世界も例外ではない。写真に大きく写っているHC-18/U型もFT-243型やHC-6/U型よりもずっと小型化された「半導体時代」のクリスタルだと思っていた。

 さらに内部構造は研究改良され、おなじATカット水晶片でも小さな短冊状に作れるようになる。左のHC-49/USにはそうした振動子が使われている。コンピュータを使った振動解析の成果が活かされた結果だという。(HC-18/Uには大きな円板形水晶片が使われている)

 いまではコンピュータ設計と微細加工の技術進歩により一層の小型化が進行しており、写真中央の面実装型ですら最先端ではないのだ。 こうなってしまうと扱いにもピンセットが必要でハンダ付けも容易ではない。もはや手作りでは対処できなくなりつつある。 まさしく" too small "なサイズだ。 ちなみに外形サイズは3.2×2.5×1.0(mm)である。


リール巻き
 表面実装部品になった小型水晶振動子はこのようにテーピングされており、機械で実装するのが常識だ。 この振動子は京セラキンセキ社製だったと思うが、各社共通の形状寸法で供給されている。 特殊な物ではなく移動体通信機器用の共通仕様の部品なのだ。 そして今では秋葉原の秋月電子通商でも扱っているごく普通の電子部品になっている。

 一般に周波数精度は良好であり、バラツキも少なく出来ている。昔の通信機の様に組立て後に周波数調整する製造工程は省略されているので初期精度(バラツキ)が厳しく抑さえられているのだ。いまの携帯電話機には大きなトリマ・コンデンサを載せる余地などまったくありませんからネ。

 従って我々が使う際には有利な筈で無選別でも良い性能の「ラダー型フィルタ」が作れる。 もちろん表面実装用の基板を製作し結合コンデンサにも表面実装型を使う。そのように作れば指先サイズで「高性能クリスタル・フィルタ」が作れそうだ。 表面実装部品を毛嫌いせず、ジャンク屋を覗いたら良く探査しておくと得をする。

 もっとも小型水晶振動子は良いことばかりではない。 大きな信号レベルは不得意だ。発振回路に使う際は過剰な水晶電流が流れぬよう十分な注意が必要だ。 真空管回路などもってのほかだろう。 トランジスタ回路でさえもVcc=12Vは危険かもしれない。最悪、振動子が物理的に破損してしまう。

 同様にフィルタに使う際も信号レベルはデリケートだ。 水晶振動子はあくまでも機械的な振動である。強力な信号では振動子がリニヤな振動範囲を超えてしまい非直線歪みが発生する。 即ち強い多信号がフィルタを通過するだけでIMDが発生してしまうわけだ。 特に物理的に厚みが薄くなる高い周波数の水晶振動子は結晶が「強電界」に曝されてしまう不利がある。そうした意味でも最新のクリスタルは" too small "なのだ。

 Kenwoodの最新トランシーバ:TS-590Sのルーフィング・フィルタが低い周波数に移っているのも、あながちコストの問題だけではなく、その裏に「(安価で)高い性能の実現」があるのかもしれない。(もちろんこれは想像なんだが・笑)
 低い周波数で「ルーフィング・フィルタ」なんて気取ってみても、昔のTS-820やFT-901の時代に帰って、1st-Mixer直後の狭帯域フィルタじゃないの?・・・なんて笑い声も聞こえてくる。まあ、それもそうなんだが1st-Loを複雑なPLLはやめてC/Nの良いDDSで直接得るとか、無線機としての進化を感じさせてくれる。

(おわり)

17 件のコメント:

JG1EAD 仙波 さんのコメント...

加藤さん、こんばんは。
面実装用の小型水晶振動子って、内部に水晶の物理的な振動を可能にするだけの空洞が設けてあるのでしょうか。

JO1LZX 河内 さんのコメント...

JO1LZX 河内です。
加藤さん、こんばんは。

部品が小型になるのは結構ですが超小型になっては扱いに困りますね。
老眼と手先の振るえで作業が出来ませ
ん。
それなりの工夫で冶具を使う、無ければ冶具その物を作る等の根性が必要です。

当方はアクマデモ大型部品しか・・・

TTT/hiro さんのコメント...

JG1EAD 仙波さん、こんばんは。 台風もどうやら過ぎそうで良かったですね。

さっそくのコメント有難うございます。
> 振動を可能にするだけの空洞が設けてある・・・
水晶振動子は片側が固定され空間に浮いていますね。水晶板の周囲を固めてしまっては振動が妨げられ損失になるのでしょう。

小型の水晶では数MHzと言うようなあまり低い周波数はダメなようです。高い方は基本波で200MHzくらいまで作れるそうです。

TTT/hiro さんのコメント...

JO1LZX 河内さん、こんばんは。 そちらの風雨は如何でしたか? 北関東は主に雨でしたね。

コメント有難うございます。
> 老眼と手先の振るえで作業が出来ません。
Blog用の写真もマクロ撮影でかなり拡大しています。 肉眼で現物を見るととてもなサイズで、ハンダ着けは難しい感じですね。hi hi

> 冶具その物を作る等の根性が必要です。
組み立てもそうなのですが、測定するにも治具が必要なサイズで困ってしまいます。 手で触れるくらいの程々の大きさの電子部品が良いですね。

JA1ELQ 高橋 さんのコメント...

加藤さん、こんばんわ。
JA1ELQ 高橋です。

想像以上の勢いでパーツは小さくなりましたね。
ちゃんとしたピンセットを使わないと飛ばしてしまうし、
飛ばしたら見失うし、自作にそのまま使うのは厳しいです。
自作者向けに小さい基板に実装した物を出したら売れるかも、
それとも毛嫌いせずに頑張るべきなのか... などと 手元の携帯電話を
眺めながら思いました。

TTT/hiro さんのコメント...

JA1ELQ 高橋さん、こんばんは。

コメント有難うございます。
> 小さい基板に実装した物を出したら売れるかも・・
たとえばラダー型フィルタなら必要な分を実装済みの形で供給しないと難しいかもしれないですね。小型の機能モジュールが売られると面白そうです。hi

> 手元の携帯電話を眺めながら・・・
機械で実装するプロの世界は装置が対応するのでこれからも部品は小型化されるでしょうね。手ハンダのアマチュアの世界では限界も近いのかも知れません。

JE6LVE/Takahashi さんのコメント...

こんばんは。
夏から一気に冬になりましたね。
そして冬になってから台風が(笑)

私もチップの4MHzセラロックを1リール持ってますがさらに小さいようですが、
チップCとチップXでつくる小型ラダーフィルター魅力的ですね。

でも背面のランドで半田付けするタイプは半田付けが大変そうです。
やはりクリームハンダとオーブントースターリフロー炉でしょうか。

最大の問題は近くがよく見えなくなってきた私の目です。(涙)

TTT/hiro さんのコメント...

JE6LVE 高橋さん、おはようございます。 そろそろ時期遅れの台風でしたが、何もなく通過して行きましたね。良かったです。

いつもコメント有難うございます!
> 4MHzセラロックを1リール持ってますが・・・
たぶん、お裾分けの頂いたアレではないかと思いますが、セラロックも随分小さくなっていますね。

> チップCとチップXでつくる小型ラダーフィルター・・
小さく作りたい人に小型部品はFBだと思います。円筒型でリード付きのX-talくらいの方が扱い易いのかも。hi

> クリームハンダとオーブントースターリフロー炉・・
横倒しや裏返して実装と言う手もありますが、格好が良くないのでリフローで面実装したいですね。自作のお供にオーブントースターですか。これも時代ですかねえ。

> 最大の問題は近くがよく見えなくなってきた・・・
それなら私が先輩です。(爆)

角間 孜 さんのコメント...

おはようございます。JA1AJR角間です。
久しぶりに投稿します。
水晶の小型化の話とは、逆行する昔話です。
大学で実験に水晶で、衝撃荷重を測定する実験をやっていました。戦争前(第2次世界大戦のことです)の理研から引き継いだ由緒ある実験装置だそうですが、水晶は直径約3センチ、厚さが1.5センチ位ありました。虫めがねが無くとも見えます。それを4枚使って荷重を測定します。端面は銀の蒸着膜だろうと思います。
オッシロの話まで書くと長くなりますので省略します。
大学に入る前にアマチュア無線で水晶は使っていました。アマチュアバンドの少し下のものを手に入れ、研磨剤で磨いて周波数を上げていました。今から考えると、どんな研磨剤であったのか判りません。ダイアモンドの研磨剤が手に入るはずもなく、いずれにしろ、使えるレベルの研磨はできませんでした。大学の先輩は、研磨などという原始的なやり方ではなく、フッ酸を使って溶かしていました。
それにしても、こんな昔話を投稿して申し訳ありません。まだ生きているよと言うメッセージです。

TTT/hiro さんのコメント...

JA1AJR 角間さん、おはようございます。 台風は過ぎましたがスッキリ晴れませんね。 青空を期待していたのですが。hi

コメント有難うございます。
> 水晶は直径約3センチ、厚さが1.5センチ位あり・・
水晶の圧電特性を使った衝撃荷重試験機のようですね。大きな荷重に耐えられるように大きな水晶なのでしょうか。

> オッシロの話まで書くと長くなりますので・・・
そちらのお話も面白そうですので機会がございましたらぜひお願いします。hi

> 少し下のものを手に入れ、研磨剤で磨いて周波数を・・
その昔、渋谷の岩本と言う鉱物標本店にはATカットの薄板が置いてあったと言うお話も聞いたことがあります。そうした物を入手されたのでしょうね。米国ではいまでも自作用の薄板を売っているようです。研磨は厄介でしょうね。

> フッ酸を使って溶かしていました。
大きく削るのは研磨で、微調整はフッ酸(フッ化アンモニウムの方がやや安全ですね)を使うようです。

水晶振動子も人工水晶と加工技術が進歩したお陰で非常に発展しましたね。いまだにそれ代わるものは登場していません。

お元気そうで何よりです。 面白いお話ありがとうございました。

JG6DFK さんのコメント...

おはようございます。台風は前倒しで行ってしまいましたね。

リード品はHC-49からHC-49/Uにすっかり世代交代した感じですが、チップ化もかなり進んでいますね。他の部品も含め、小さくするのはいいことばかりではなさそうですが、やはり「恐竜」はいずれ絶滅する運命なのでしょう。Hi.

主流がHC-49からHC-49/Uに移り始めた頃、後者は「周波数が動かないのでVXOには向かない」と言われて「あーあ」と思ったものですが、チップになるとその傾向はさらに強まるのでしょうか。

その辺は作り方にもよると聞きますが、ならば「初期精度を上げる」ということは「周波数が動かない作り方」をしているのかもしれません。もっとも、それが「水晶振動子」のあるべき姿ですし、PLLやDDSがこれだけ身近なご時世にVXOなんてやらなくても。Hi.

高い周波数の水晶振動子が入手しやすくなるのはV/UHF党にとってありがたいことですが、我々にとって都合のいい周波数は形状を問わずあまり出てこないようです。また、正規で買う分にはまだHC-49/Uの方がずっと安そうですね。

ここ最近はおとなしくしていますが、まだどうにか生きてます。Hi Hi.

JG6DFK さんのコメント...

>HC-49からHC-49/U…



HC-49/UからHC-49/US…

です。失礼しました。ここって再編集できませんでしたっけ?

TTT/hiro さんのコメント...

JG6DFK 児玉さん、おはようございます。 台風は行きましたが、なんかスッキリしないお天気ですね。

コメント有難うございます。 コメントの消去は可能なのですが中身の編集は出来ません。書き換えて頂ければ古い方は消去できますよ。意味はわかりますのでそのままでも宜しいのかも。

> 後者は「周波数が動かないのでVXOには向かない」と・・
定量的なテストはしていませんが小さくなったHC-49/USの方は動かしにくい印象がありますね。 大きい方でも個体差が大きいのではっきりしたことはわかりませんけれど。hi hi

> チップになるとその傾向はさらに強まるのでしょうか。
やってみないとわかりませんが、そこそこ動かせるのではないかと思います。これは要実験ですね。

> 「周波数が動かない作り方」をしているのかも・・
上には書きませんでしたが、注文する際には温度係数も指定できるのが普通です。タイトな物は当然高価になりますけれど。ATカットの切断精度を一段とシビアに管理するようです。

> 正規で買う分にはまだHC-49/Uの方がずっと安そう・・
メーカーさんは一番安価な振動子はHC-49/USだと言っていました。安価なものは国産じゃ無いそうです。どんどん面実装型に移行しそうですが暫くは安価な水晶としてHC-49/USは残ると思います。

VXOは簡単で良いのですが、再現性があまり良くないのが欠点です。周波数は同じでも水晶が違うと様子がガラッと変わりますからね。自分が使うだけなら問題はないのですけれど・・・。

JH9JBI/1 やまもと さんのコメント...

こんにちは。

ある程度までの大きさなら素人としても歓迎なのですが、ここまで部品の小型化が進むと整理するときに包装を保存しているんだか部品を保存しているんだかわからなくなるような状態になります。1005のテープ品なんてほとんど紙ですから・・・
使用面では耐圧もつれて低くなるので注意が必要になってきますね。受動部品のリード品は大抵は16V~50V程度はあったので1品でだいたいは間に合ったのですが、最近のは小容量のコンデンサでも気をつけないといけません。一方で精度が良くなったので痛しかゆしです。調整用のトリマがなくなってきた理由は精度面ももちろんですが、マイコンと組み合わせることが多くなってソフト面での微調整で十分になったということが大きいと思います。PLL用の可変容量ですらデジタル制御の時代ですから。

TTT/hiro さんのコメント...

JH9JBI/1 山本さん、こんにちは。 お昼になっても薄暗い感じですね。

コメント有難うございます。
> 包装を保存しているんだか部品を保存しているんだか・・
お書きのようにチップRやCの小型化も著しいので梱包材ばかりが目立ちますね。バラ詰め品もあるのですが、扱えるチップマウンタが限られるのでテープ品も未だに主流です。

> 耐圧もつれて低くなるので注意が必要に・・・
コンデンサだけでなく、抵抗器にも注意が必要です。1005抵抗だと0.1W定格ですから迂闊にプルアップやLEDの直列に使えません。0402抵抗は1/32Wですから5V回路なら1kΩ以下はもう危険範囲です。hi hi

> ソフト面での微調整で十分になったと・・・
そう言うことですね。ソフトで調整なら自動化も容易ですがトリマコンデンサは厄介ですからね。hi hi

高機能で持ち運び易い機器が望まれる限り、これからも部品の小型化は進むでしょうね。素人の自作はやりにくくなります。

匿名 さんのコメント...

JI1TWW/Handa
お忙しかったと見えて久々の更新、待っておりました。
前回の書き込みでお勉強中だったオートダイン、理論よりもまず実践、といいますかCQ誌に出ていた今井さんの記事をみてともかく作ってみました。作っているうちにはるか彼方の過去に夜遅くまで、親に小言を言われながら作った「科学教材社の2球トランシーバ」を思い出していました。

そして時代は流れて部品は小型になって・・これではもう、赤チンを塗っても周波数は下がりそうにありませんね。

ところで話は変わりますがふと気づくと無線局免許状の更新が近いことに気づきまして手続きをとりましたが何と!JARLの「再免許用紙」を買って来まして中身をみると紙切れ1枚!しかも本人自筆ならば印鑑も不要とはオドロキでした。でも、ここまでカンタンにしてくれるのならいっそのこと包括免許にしてほしかったです。

TTT/hiro さんのコメント...

JI1TWW 半田さん、こんばんは。

コメント有難うございます。
> 久々の更新、待っておりました。
どうも有難うございます。 この記事ですら既に先月のもの。 昨今はネタ切れですね。hi

> オートダイン、理論よりもまず実践・・・
真空管式はございませんが、半導体式ならこのBlogでも幾つか扱っていますよ。 良さそうな物をご紹介しているつもりです。ぜひお試しを。

> 赤チンを塗っても周波数は下がりそうに・・・
流石に赤チンではありませんが、表面に付けておいたものをレーザで飛ばして周波数の微調整をするそうです。要するに、表面に乗った質量を加減する訳ですから赤チン塗りと同じような理屈ですね。hi hi

> いっそのこと包括免許にしてほしかったです。
日本の無線局は「局の免許」+「従事者の免許」と言う別々の二本だてが根幹なので包括免許は制度上難しいのでしょうね。 しかし、再免許を含めて手続き全般が非常に簡略化されていますので、「包括免許ではないからアマ無線局が減る」と言う説明は成り立たなくなりつつあるように感じませんか? hi

いまや指定事項に変化をきたさない範囲なら、無線機にどんな変更を行なっても「遅滞なく届ける」だけでよいのです。 相応の理由・・・例えば「実験中で回路が確定しない」とか・・があれば、決まった後で「遅滞なく」届ければ良いのですから実験はし放題なんですね。 少々都合の良い解釈のようでもありますが、それはイケナイとも書いてありませんので。(笑)