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2012年12月1日土曜日

【HAM】Repair an Antenna Coaxial Switch

【アンテナ同軸スイッチの修理】


DAIWA CS-401 Coax. Switch
 少ないアンテナでなるべくたくさんのバンドにオンエアできるようにしている。  必然的にマルチバンドアンテナの組み合わせになるから、どのアンテも高性能とは言えない。 それでも自作受信機の実働評価や送信機のテスト・オンエアに各バンドのアンテナは欠かせない。多バンドのアンテナが欲しくなる理由だ。

 アンテナが増えリグも増えたら切換えが必要になる。 いちいち同軸コネクタの接続替えをするようでは面倒であろう。 写真は当局のアンテナ側の切換え器である。 このスイッチで切り替えて、1.9〜50MHzの10バンドを4本のアンテナでカバーする。 なお、144〜1200MHzは別のアンテナがあってこのスイッチは通さない。 結局全5本のアンテナでMF帯〜UHF帯の13バンドをカバーをしていることになる。

 便利に使って来たのだが、暫く前から接触の悪いポジション(接点)が目立つようになって来た。 すり減るほど切り替えてもいないのだが、所詮はアマチュア用なので機械的な強度が不足していて劣化した(=壊れた)のだろうと思っていた。

しかし、意外に安くないのがこの種のアンテナ・スイッチだ。直せるものを捨てては勿体ない。この際メンテナンスを試みることにした。

CS-401の外観
 1入力で4出力の同軸切換器だ。
DC〜500MHzまでがSpecだったと思うが、まあアマチュア用なのでAgilentの同軸スイッチのようにフラットなインピーダンスとは行かないだろう。 但し、耐電力だけはタップリあってkWでも大丈夫なはずだ。

 修理不能を想定しネットで交換用を探していたのだが、すでにこの形式は製造中止らしかった。 しかも国産のHAM用品メーカーは元気が無いようで、殆ど製品を出していなかった。 しっかりしていて良さそうな4wayアンテナ同軸切換器ともなるとMFJあたりの輸入品しかないようだ。

・・・となれば、これを直したいものだ。ダメもとでやってみよう。

CS-401の裏面
 Passedのシールが貼ってあるが、この際無視して開けるしかない。上手に開けたのでシールを切らずに開けられた。(笑)

 底面の4つのネジを外せば良い。 このフタは単なるフタであって、内部にホコリが入らぬようにしているだけの物だ。 このスイッチは防水構造ではないようだから、屋外使用は無理である。

買ってから何年になるのだろう・・・などと思いながら作業を進める。

CS-401の内部
 裏蓋を開けるとこのようになっている。 ガラエポ基板上に接点構造が組み付けてあるらしく、このままでは見ることもできないし、もちろんメンテナンスも不可能である。

 しかし、十分な数のネジでしっかりケースにアースしてあり、端子間のクロストークが少なく、各ラインのインピーダンス不整合が少なくなるような配慮が見られる。

 機械的なガタもなさそうだ。 内部は奇麗であって接点の状態を確認してメンテすれば十分復活するのではないかと思えた。 そのためには、各コネクタへハンダ付けされている銅の接片を外さなくてはならない。 容量の大きなハンダ鏝とハンダ吸取器を使いピンセットで接片を持ち上げるようにしてハンダを外した。 なお、ハンダ吸取器がなければハンダ吸着リボンでも良いと思う。

 同軸コネクタの絶縁物は高周波特性に優れるスチロール樹脂である。但し耐熱性に劣るので、十分な熱容量のあるハンダ鏝で手短に済ませる必要がある。 中途半端な熱容量のコテを長く当てているとコネクタの絶縁物が溶けて変形してしまう。ここだけは要注意だ。

CS-401の接点構造
 写真をクリックすると良くわかるが、接点はこのような構造になっている。 最短距離で接続されるようになっており、うまく考えてあると思った。 接片の矢印部分が押されると該当の接点が閉じるようになっている。

 操作の感触から見て、普通のロータリースイッチではないだろうとは思っていたがこのような構造とは思わなかった。 これなら周波数特性も良好だろう。

 接触が悪くなっていたのは、この各接点が汚れて来たからだ。 銀系の接点らしくやや硫化が見られ色がくすんでいた。 なお、写真は清掃後の状態だ。

 清掃はまず無水アルコールを綿棒に浸して丁寧に汚れを除去する。洗うつもりくらいが良い。綿棒の先がグレーになるくらい汚れていた。

 その後コンタクトスプレー(接点復活剤)をごく少量だけ綿棒に付け、接点の部分にだけ薄く伸ばしておく。 これで接点の摺動が滑らかになり摩耗もしにくい。 なおコンタクトスプレーを直接噴霧してはいけない。 液が滴るほど噴霧する人がいるが多く掛ければ効果が良くなる訳ではない。むしろ逆だ。

 洗浄と潤滑は別と考え、揮発性の溶剤で良く洗浄してから、あらためて潤滑剤を使うべきだ。

プッシュ・ロッド
 ツマミの回転で、写真に矢印で示した樹脂製の押し棒(プッシュ・ロッド)が飛び出し、上の写真の接点バネを押し付ける仕組みになっている。 それで接点が閉じる訳だ。

 周波数特性を良くするのが目的のスイッチでは良くある構造だ。 プッシュ・ロッドの動きが良いよう、当たり部分に摺動グリース(モリブデン・グリース)を少しだけ塗っておいた。 ロッドの軸受け部分も軽く潤滑した方が良いかもしれない。

 更にこの先まで分解する必要はなさそうだったのでここで分解は終わりにした。 あとは奇麗にした接点を汚さぬよう、逆の手順で再組み立てを行なう。

 コネクタのハンダ付け前に念のため接触状態をテスターで確認しておいた。 接触状態は接片のところで測れば良い。 各々mΩ(ミリオーム)オーダーの接触抵抗を示し、安定していたので修理は成功である。

 その後、手早くかつ確実にコネクタ部分のハンダ付けを行なって裏蓋を閉めれば作業は完了だ。

参考:この際、ネットアナに掛けて調査したらどうかと言うご意見もあろう。しかし、それでわかるくらいならマズ不合格だ。受信機に繋いで空間ノイズの入感状況で見れば十分だし、それがアマチュア的だと思う。何でも高級なことをするのが良い訳はでない。

前と同じように
 前と同じ場所に戻して終了である。 これで暫くは接触不良に悩まされることもないだろう。

 写真のように各アンテナを接続して切り替えてみた。 リグから発するノイズの状態で安定して切換えできているかどうかわかる。 ガサゴソ言わず「スパッ」と同じ状態に切り替わるなら合格だ。 もちろん各バンドでVSWRの測定も行なってみたが問題はなかった。 スイッチを通す前と変わりはない。

                ☆ ☆ ☆

 只今、全面的なアンテナの整備中である。アンテナは屋外に曝されるだけに年数が経過すれば劣化してくる。ハンダ付け部分も酸性雨によって徐々に溶けて行くらしく、だいぶ痩せていたほどだ。 アンテナの完全リニューアルにはもう少し時間が掛かりそうだ。

 屋内にあったアンテナ切換器も年数の経過で接触不良が我慢できなくなっていた。 電位差ができる関係だろうか、密閉状態でも接点には汚れの付着が見られた。 頻繁に切り替えていれば自然に接触状態が保たれるのかもしれない。切り替えずに置いたのが良くなかったのだろうか。 しかし清掃も済んで接触状態も安定したから暫くは大丈夫だろう。 開けてみて接点に摩耗や傷などはなく奇麗なことが確認できた。 表面の薄い汚れさえ除去すれば支障は無かった訳だ。僅かの手間で捨てずに済んだ。 浮いた費用は他の充実に回そう。hi

 年数が経過しまた接触が不安定だと感じたならオーバーホールしよう。 見てのように、慎重にやれば特に難しい作業ではない。リニューアルしたアンテナの話しはまたいずれ。 de JA9TTT/1

(おわり)

8 件のコメント:

T.Takahashi JE6LVE/JP3AEL さんのコメント...

加藤さん、こんばんは。
もう12月、今年もあと1ヶ月になってしまいました

4回路のアンテナ切り替え機はロータリースイッチ風になっているのかと思っていました。
回転させてシムでプッシュロッドを押しつける結構凝った仕組みなのですね。

凝ったアンテナ切り替え機と言えば、固定用の突起のないBNCコネクタを使って切り替えるときはつまみを手前に引き、コネクタを抜いてから回転させて希望のコネクタに差し込むというのを見たことがあります。

以前、2回路のアンテナ切り替え機が切り替わらなくなり、開けてみたところ左右にレバーを切り替えるプラの棒が折れてしまっていました。Hi

アンテナ切り替え機の横にあるのはSWRメーターの用ですが渋い外観ですね^^

今年も後一月、よろしくお願いします。

TTT/hiro さんのコメント...

JE6LVE/3 高橋さん、こんばんは。 いよいよ師走になってしまいましたね。1年は短いです。(笑)

さっそくのコメント有難うございます。
> 結構凝った仕組みなのですね。
私も、もっとチャチな(失礼!笑)構造かと思っていましたよ。それなりに考えてあるようですね。 電力を扱うのでそれなりに作る必要が有るのでしょうね。

> ・・・に差し込むというのを見たことがあります。
面白い構造ですね。 インピーダンス整合は良さそうですから使ってみたいですね。

> ・・・SWRメーターの用ですが渋い外観ですね^^
米陸軍のME-165Gと言うSWRブリッジとパワーメータ、それに600Wのダミーロードが一緒になった測定器です。但しHF帯用ですけれど。GRC-142と言う車載HF無線システムの構成機器らしいですね。

こちらこそ、残りの一ヶ月も宜しくお願いします。

JH9JBI/1 やまもと さんのコメント...

皆さん、おはようございます

 アンテナ整備が進んでいるようですね。この季節、外回りは風が冷たくなってますので中の方に目がいきがちだと思います。

 さて、今回のことで意外に思ったのが切り替え方式です。耐圧と通貨電力のロスの事を考えれば押しつけ式というのは納得なのですが、非選択側の端子は開放になるんですね。この手のものはてっきり選択されないとショートするように出来ていると思っていました。もっと高い方用だと付加装置があることも多いので弊害も多いとは思いますが・・・。

>固定用の突起のないBNCコネクタを使って切り替えるときはつまみを手前に引き
 価格として引き合うかどうかは微妙ですが、自作で切り替えパネルを設置するのであればこういう手法で昔の電話交換台のようにしてみるのも良いかも知れませんね。スイッチやリレーにするよりも特性は良さそうです。

TTT/hiro さんのコメント...

JH9JBI/1 山本さん、こんばんは。こちら、今夜は風が強いです。

コメント有難うございます。
> 中の方に目がいきがちだと思います。
先月末に当面の屋外作業を終えましたが、風もなく晴天で助かりました。 暑い季節よりも良いと言うご意見も有りましたよ。hi hi 1〜2月は季節風が強くて作業できませんので遅くとも年内が勝負です。 何とか区切りまで仕上げておきたいと思っています。

> 非選択側の端子は開放になるんですね。
測定器用などではアイソレーションを重視するのでアースしたり終端するケースもありますが、無線機やアンテナが相手ですのでオープンが安全だと言う判断でしょうかね?

> こういう手法で昔の電話交換台のように・・・
アンテナと無線機が沢山ある米国のHAM局の写真を見た事がありますが、パッチケーブルでそれぞれ接続する形式になっていました。大きめの接続パネルを設置できるスペースがあるなら良さそうな方法ですね。 複数無線機を同時に使うには接続の自由度があってFBだと思います。

望月 さんのコメント...

加藤さん
ご無沙汰です、望月@jh2clvです。
CS-401でネット検索した偶然たどり着きました。
OMもお使いだったんですねこれ。
私は購入当初に接触不良があり対策しましたが、その後四半世紀以上問題なく使ってます。
今はANT/DUMMY側とRig側に2個用意しています。
国産では4回路以上の生産が無くなってしまい寂しい限りですね。
CS-401は頑丈な筐体で好きな切替機だったんですが…。
余談ですが、これにSERVOモータを付けてエキサイタのバンド情報に連動する仕掛けを検討中です。

TTT/hiro さんのコメント...

JH2CLV 望月さん、こんばんは。 ご無沙汰でした。

コメント有難うございます。
> お使いだったんですねこれ。
はい、アマチュア向きの適当な切換器は他にあまり無かったのでこれを買ったように思います。 もう今は無いのですよね。

> モータを付けてエキサイタのバンド情報に連動・・・
見た目も楽しそうですが、リモートでしたら(同軸)リレーが簡単で確実なように思うのですが・・・。(笑)

FBなものを製作されて下さい。

Unknown さんのコメント...

マルチ回路だと同軸リレーだと数が多くなってしまいます。
それでCS-401のようなSWをSERVOで回すのが中々グッドです。
用途はバンドごとにセットしたリニアアンプの入出力切り替えや真空管アンプのプリセットチューン(拙作サイトで試作中)です。

TTT/hiro さんのコメント...

こんばんは。お名前をお書きいただかなかったようで、Unknownさんになってしまいましたが、CLV望月さんでしょうね。hi hi

確かに4系統切替ですと、少なくとも3個のリレーが必要ですね。それ以上だとさらに数が要りますね。hi

メーカー製のリグを見るとわかりますが、HF帯ですと、ごく一般的なリレーで済ませているようです。 それならコンパクトに出来るので良いかと思いました。自分でやるならそうすると思います。あるいはラッチングリレーをマイコン制御するでしょう。

 このBlogテーマの同軸スイッチですが、切替時に接点があまり摺れない構造のためか、かえって接触不安定が出るようにも感じました。

 色々お試しになってFBなものを製作されてください。