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2018年7月28日土曜日

【回路】Short Wave Radio Design (2)

【回路:短波ラジオの設計・試作・その2】<TA2003P編>

 【TA2003Pで作る短波ラジオ
 しばらくラジオじゃない電子回路が続きましたが、久しぶりにRadioがテーマです。

 このBlogにはトランジスタを主役に使って短波ラジオを製作するページがあります。  トランジスタでスーパー形式の短波ラジオは珍らしいらしく、思ったよりも興味を持って頂けたようです。 ご覧のお方もぼちぼち続いていて最近は海外からのお客さんもあるみたいです。

  短波ラジオはトランジスタで作れるのはもちろんですが、ラジオ用のICを使ったらもっとたやすく製作できるのでしょうか? そうした期待から試みたのがこのBlogです。 ラジオ用ICには既にお馴染み(?)になったTA2003Pを使いました。 これはいま現在でも簡単に手に入ります。

                   ☆

 世の中は完全にデジタル時代になっています。 手っ取り早く短波放送を聴くのが目的でラジオに取り組むのでしたらSDRを使ったキットがお薦めです。 

 ここでは従来型の・・・要するにアナログ式で短波ラジオを作ります。 アナログとは言っても進歩した新世代のラジオ用ICを使います。 もちろん性能が確実なスーパー・ヘテロダイン方式です。 部品が少ないうえ調整箇所もわずかなので製作は容易なのですが性能もあなどれません。 もちろん製作者によって出来ぐあいも異なります。それでも、ぜんぶトランジスタで作るよりも高性能化しやすいと感じました。(写真:ラジオ全景)

 工夫次第でHAM局用の通信機にすることもできますが、やはりラジオ用のICチップなので短波ラジオの範囲で製作するのが良さそうです。 そのあたりも含めて話を進めてみたいと思います。 そろそろ夏休みでお暇なのでしたらICを使った短波ラジオの世界で遊んでみてはいかがでしょうか?

 【TA2003P短波ラジオ回路図
 ラジオ用のIC:TA2003Pを使った短波ラジオです。 TA2003Pについては過去のBlog(←リンク)に説明があります。 ICの中身を詳しく知りたいのでしたらそちらに戻れば確認できます。

 この短波ラジオの基本設計は。トランジスタで作った短波ラジオ(←リンク)と同じにしました。 従って受信周波数は同じく3.4〜10.2MHzになっています。ただし変更も容易です。 HAMバンド専用機ではなくて普通の短波ラジオの設計です。 フェライト・バーアンテナは使っていませんからワイヤーアンテナなどを外付けして受信します。 選択度は簡易なセラミック・フィルタで得ています。 IFT(中間周波トランス)は一つも使っていないので中間周波増幅部は完全無調整です。 もちろんスーパー・ヘテロダイン形式ですから受信範囲を決める局部発振器(Local OSC)と入力同調回路のトラッキング調整は必須です。受信感度に直結しますから、ここだけはきちんと調整する必要があります。

 BFO(唸周波発振器:Beat Frequency Oscillator)は短波帯のラジオには不可欠なように思います。 もちろんHAMバンドの交信を聞くには必須です。 BFOがなければ、無線電信(CW)や単側波帯通信(SSB:Single Side Band)を復調できません。 もっぱら国際放送のようなAM放送波だけを受信対象にするのでしたら不要ですが、ここでは設計に含めておくことにしました。 必要を感じないのでしたらその部分を作らなければ良いわけです。

 Sメータ回路を付けました。できるだけ高感度なメーターが適します。理想を言えば100μAフルスケールくらいのメーターが良いです。250μA FSのラジケータでもまずまず使えます。 振れ具合はR6:4.7kΩで加減できます。 簡易なものですが受信信号の強さがある程度わかります。 また放送局に正しく同調をとるときにも役立ちます。 短波帯の電波は電離層の反射を使って遠方まで伝搬します。 電離層の状態は時々刻々変化していてSメータを見ていると短波の性質がビジュアルに伝わってきます。 メーター指針の動きに短波らしさが感じられますね。

 ラジオの主要な機能はTA2003P一つで実現できます。 出力として音声周波数の信号が得られます。 そこにクリスタル・イヤフォンを繋げばただちに音として聞くことができます。 しかしスピーカを鳴らすには非力ですからさらに増幅が必要です。 そのための増幅器がLM386です。 ここではセカンドソース品(開発メーカー以外が作った同等品)のNJM386BD(新日本無線:NJRC製)を使いました。もちろんオリジナルのLM386N、LM386N-1またはLM386N-3(ナショセミ・TI製)でも良いです。 これでスピーカを鳴らすことができます。

 電源電圧は+5Vで設計しました。 TA2003Pは3Vくらいでも十分に働きます。 しかし低周波増幅のLM386は少なくとも5Vほど必要です。 乾電池4本直列で約6Vを供給しても良いでしょう。 但し最大でも+7Vまでにします。 7Vを超えるとTA2003Pが壊れる恐れがあります。 もし12Vの電源で使いたいのでしたら、μA7805などの3端子レギュレータを使って5Vまで落とします。(μA7806で6Vに落としても大丈夫です)

 ラジオの主要な機能はTA2003PとLM386の2つのICだけで実現できます。 ただしBFO回路は通信機的な機能のため普通のラジオ用ICには内蔵されていません。 従ってトランジスタを使って外付けすることになります。 この例ではごく簡単な1石の発振回路にしました。ハートレー型のLC発振器です。
  2SC1815で設計しましたが、ごく一般的な小信号用トランジスタ(NPN型)ならなんでも使えます。 たとえば2SC183、2SC372、2SC458、2SC536、2SC538、2SC710、2SC828、2SC838、2SC945、2SC2458、2N2222、2N3904、BC548など幾らでもあります。 2SC1815と形状や足の並びが異なるものもあるので確認してから使ってください。 発振用のBFOコイルについては後ほど説明があります。

 【TA2003P短波ラジオ:RF/IF部
 TA2003Pで構成した高周波部分です。 TA2003Pは外付け部品の少ないラジオ用ICです。  主要な部品は、ICのほかにアンテナ・コイル、局発コイル、バリコン、そして中間周波フィルタ(セラミック・フィルタ)です。 あとは数個のコンデンサのみです。

 これだけの部品だけで感度の高い短波ラジオが作れるのですから、さすがにラジオ専用のICです。 十分な増幅度が得られるほか、自動利得調整(AGC:Automatic Gain Control)もよく効きます。

 使い方のコツは、周囲をGND回路で囲むようにし、TA2003PのGNDピン(2番と9番ピン)を最短距離でGNDに接続します。 また電源ピン(6番ピン)とGND 回路の間には最短距離でバイパス・コンデンサを接続します。 基本的に高周波回路ですから、配線はなるべく短くすると動作が安定します。

 ICを使った回路は、多くの機能が一箇所に集中することになります。 そのためコンパクトに作れる反面、IC周辺への部品配置が難しくなってしまいます。 写真のようにアンテナコイルと局発コイルはICの左右に別れて配置してあります。 2連バリコンで連携して同調されますから、2つのコイルはできれば近くに置きたいところですがICのピン配置を考えると写真のようになりました。

 もちろんブレッドボードではなく、ユニバーサル基板に作ったり、新たに基板設計するのでしたら最適な答えは変わってきます。 ICのピン配置と周辺部品の接続状況をよく見ながら部品の配置を決めます。

 【TA2003P短波ラジオのコイル製作図
 ほとんどの部品は市販品が容易に手に入りますけれど、2つあるコイルだけは売っていません。 製作に必要な材料を手に入れて自分で巻きます。 以前のBlog記事、トランジスタで作った短波ラジオ(←リンク)と同じようなコイルを巻きます。  巻き数は少し違いますが、作り方はまったく同じです。 コイルの材料になる、ボビン(巻き枠)や巻き線など製作の実際は以前の記事を参照してください。

 受信周波数範囲は同じですから、各コイルはほとんど類似の仕様になります。 以前の短波ラジオのBlogの時に製作してあればそのまま試すことも可能です。 ただし、本式にはアンテナコイルをTA2003Pに最適化すべきです。 また局発コイルもリンク側(4番ピンと6番ピンの間)の巻き数は7.5回巻きよりもやや多め(8〜10回巻き)にすべきです。

 色々調べたのですが、合わせて使うバリコンの入手が問題になりそうでした。 aitendoの「443AB」が手に入れば安価で良かったのですが品切れが続いています。 ここでは手持ちから最大容量が275pFの「等容量型の2連ポリバリコン」を使いました。 最大容量が250pFから300pFくらいまでの2連バリコンならそのままの設計でもとりあえず使えます。 なお、必ず「等容量型」の2連バリコンを使います。 中波のラジオ製作でおなじみのトラッキングレス型バリコンは短波ラジオには使えません。 トラッキングレス型も2連バリコンの一種なのですが2つあるセクションの容量値は異なっています。 中波のラジオに使うとトラッキング調整が簡単に済むよう特別に作られている専用の部品ですから短波ラジオにはうまくないのです。 必ず等容量型の2連バリコンを使います。

 等容量型の2連ポリバリコンも昔は秋葉原の店頭で手に入ったのですが、いまでは困難です。 ネットで探してみましょう。

参考:窮余の策として真空管用の最大容量が430pFのエアー型2連バリコンも使えるのですが、コイルの再設計を要します。 以下の数字を参照のうえ、同様に製作してください。

真空管回路用としてごく一般的なエアーバリコンは12〜430pFの可変範囲を持ちます。

(1)ANTコイルT1:4.66μH・・・(同調側)
(2)ストレー容量を含んだトリマ・コンデンサC4の容量:40pF
(3)OSCコイルT2:4.07μH・・・(同調側)
(4)ストレー容量を含んだトリマ・コンデンサC3の容量:43pF
(5)パッディング・コンデンサC2は:2984pF(2700pFまたは3000pFで良い)
・・・となります。

なお、小型ホームラジオ用と称した最大容量が300pFの2連エアーバリコンも見かけます。それを使うには上記の図表に示した設計のまま製作して大丈夫です。 エアーバリコンはポリバリコンよりもいくぶん周波数安定度が良くなるので手持ちがあれば活用されてください。

所定のインダクタンスとなるよう、各コイルを巻き、最大容量が30〜50pFくらいのトリマコンデンサと組み合わせて構成します。エアーバリコンは巨大なので配線のストレー容量が大きくなりがちです。ストレー容量を増やさぬよう部品配置をよく考え、最短配線に心がけます。

 【TA2003P短波ラジオ:低周波部
 LM386N / NJM386BDを使った低周波増幅回路です。 ゲイン(増幅度)は約100倍です。 最大出力は8Ωのスピーカを繋いだとき約150mWです。

 こうしたラジオは回路全体として見たとき、非常にハイゲインです。 少なく見積もっても10万倍(100dB)以上のゲインがあって部品配置や配線状態が不適切なら簡単に発振が起こります。 その対策の一つとしてLM386の部分に電源経由で信号の回り込みが起こりにくいようデカップリング回路(減結合回路)を設けています。 R9(10Ω)とC17(470μF)がそれです。効果が不十分ならC17の容量をもっと増やしてみます。

 短波ラジオですからHi-Fiな設計にはしていませんが、国際放送の聴取やHAMの交信を傍受するには十分な音質です。 音の良し悪しはスピーカで決まる部分が大きいので、良い音で聴きたいのでしたらアンプをいじるよりも、大きくて効率の良いスピーカに変えると効果的です。ちっぽけなスピーカではアンプで幾ら頑張っても貧相な音になるのは当然でしょう。

 【TA2003P短波ラジオ:BFO部
 無線電信:CWやSSB通信を復調するためのBFO回路です。 発振周波数は455kHz付近です。 正確な発振周波数は選択度を決める帯域フィルタの特性との兼ね合いで決めるべきです。

  ここで使った帯域フィルタ:CF1(村田製作所:CFU-455H)は通信機用とは違います。 いささか特性が甘いため、BFOはかなり大雑把な発振周波数で支障はありません。 周波数カウンタがあれば455kHz ±2kHzくらいに合わせておけば良いでしょう。 本格的なBFOは発振周波数が可変できるようにします。 しかし、ここでは簡易版ですからその必要を感じません。 製作後にいちどBFOコイルのコアを回して周波数合わせをしておけば十分そうでした。 (参考:選択度が甘いのでダイレクト・コンバージョン受信機のような受信法になるわけです)

 BFOコイルはトランジスタ・ラジオ用として市販されているIFT(中間周波トランス)を流用します。 たいていのIFTは3個組になっていて、調整コアの色は「黄・白・黒」でしょう。 ここでは何色でも使えますが、もし単品で購入できるなら白色か黄色にします。

 ここで使った7mm角のIFTと同じものでない限り発振強度の再調整が必要です。 発振強度調整はBFOコイルの4番ピンと6番ピン(GND)間にオシロスコープをつなぎ、発振波形を見ながら行ないます。 具体的にはR4:3.9kΩを加減します。 発振が起こらないときは小さくし、波形が綺麗なサインウエーブ(正弦波)にならない時は大きくします。 ON/OFFしてみて確実な発振が起こる範囲で、小さめの発振状態が良いと思います。

 もう一つ、BFOの調整ではTA2003Pへの注入量の加減が必須です。 あまり強く注入してしまうと、BFO信号によってTA2003Pに強いAGC(自動利得調整)が働き受信感度が抑圧されてしまいます。 CWやSSBの受信に支障がない範囲で小さな注入量にとどめるべきです。 その調整はコンデンサ・C9:3pFで行ないます。 発振に使用するBFOコイルによって発振の強さに違いがあるほか、回路の配置によってもコンデンサ・C9 の最適値は異なってきます。 場合によっては容量をゼロにしても大きすぎることさえあります。 そのような場合はBFO回路を独立させてシールドで覆うなどの対策を要するでしょう。

 しかしあまり難しく考えず、受信状態を聞きながら加減すれば十分だと思います。 注入状態いかんですが、BFOをONするとSメーターがある程度振れるのは普通です。 振り切れるようでは注入量過大ですが、Sメーターが振れるのはやむを得ないと思ってください。 このあたりがラジオ用のICで簡易に作った短波ラジオの限界と言えます。 HAM局用には物足りない部分と言えるでしょう。 それでもCWやSSBの交信は聞こえますから楽しいものです。BFOがなければまったくダメなんですから・・・。

 昔々の通信型受信機:9R4J、9R42Jや9R59(Dナシ)はBFOをONするとゲインが抑圧されてしまうため、AGCの働きを止めると言った受信方法でした。それが普通だったのです。 このラジオのほうがまだマシと言えるかもしれませんね。

ここで使ったBFOコイル用のIFT(白)を差し上げます。必要ならメールください。

 【TA2003P短波ラジオ:IFフィルタ部
 この試作では選択度を決めるフィルタとしてセラミック・フィルタを使いました。 村田製作所のCFU-455Hという古い形式のものです。  同じものは入手困難と思われますが、代替品なら何とかなるでしょう。 もし違う型番の手持ちがあるなら使ってみる価値は十分あります。 455kHz前後のセラミック・フィルタなら使えるものはたくさんあります。 型番にあまりとらわれずある物で試してみましょう。450kHzのセラフィルも使えます。

 使ってみてからわかったのですが、このフィルタ一つだけでは不満がありました。 可能なら2個を重ねて使うべきです。 そうすると選択度も向上しますが、それ以上に通過帯域外の減衰特性が改善されるので「おかしな混信」から逃れることができます。

 あまりにも本格的なIFフィルタは簡易な短波ラジオには馴染みませんが、逆に簡易すぎると不満が起こります。CFU-455Hクラスのフィルタならぜひとも2つ使いたいところです。

 【使用したIFフィルタの特性
 CFU-455Hはこのグラフのいちばん内側のカーブのような特性になっています。 -6dBの通過帯域幅はおおよそ6kHzですから短波放送の受信にはちょうど良い選択度です。

 しかし、問題なのは両脇の裾野の部分です。 赤く囲った部分では通過帯域からみてわずかに35dBくらいしか減衰しません。35dB以上の強度差がある信号は短波帯にはざらに存在します。  したがってその盛り上がった部分に強い局の方が掛かれば当然のように混信が発生します。(ラジオ放送の受信で起こりやすい)

 2段に重ねれば通過帯域外は70dBくらいの減衰量になりますから混信はほとんどわからなくなります。 CFU-455は内部素子数の少ない簡易なフィルタ(4エレくらいでしょうか?)なのでやむを得ません。やはり2つ使うべきだと思いました。 同じセラミックフィルタでも通信機用のもっと高級なものなら一つでも大丈夫です。 別のラジオの例ですがこのフィルタを2つ重ねて使ったところ、おおよそ9R59なみの選択度になりました。 本格的な通信機用IFTを3つ使った受信機に近い選択度が得られます。ラジオとしては十分すぎるほどでした。CFU-455クラスの簡易セラフィルは2つ使うのがベストです。

TA2003Pを使った短波ラジオの調整
 この短波ラジオが十分な性能を発揮するためには調整がとても大切です。 ラジオとしての基本的な動作が確認できたら調整を始めましょう。 省部品にできたICですから調整箇所は限られています。 スーパーヘテロダイン式ラジオに付きものの中間周波トランスの調整はありません。 従ってトラッキング調整のみ行なえば終了です。 短波の1バンドだけのラジオですからごく簡単です。もちろんテストオシレータなどの調整用機器は必要です。中波のラジオと違って放送局を使った調整は現実的ではありません。何とかして調整用機材を準備してください。

 トラッキング調整の概要は以下の通りです。 まず、(1)局発回路(Local Oscillator)を調整します。 それによって受信範囲を決めます。 続いて、(2)局発回路で決まる受信周波数と入力の同調回路(アンテナコイル)がうまく連動するように調整します。

 以上ですべてですが、具体的な作業手順はトランジスタを使った短波ラジオ(←リンク)のところに順を追った説明があります。 ここでは省略しますのでそちらを参照してください。  受信範囲も同じですからほとんど同じ手順で調整を進めることができるでしょう。

                   ☆ ☆

 【TA2003Pで作った短波ラジオの受信ムービー(注:再生すると音が出ます

 

 ムービーはラジオNIKKEI第1プロ:6055kHz(JOZ2)を受信している様子です。アンテナはハーフサイズのG5RVです。 昼間は日経ラジオ(昔は日本短波放送と言った)くらいしか聞こえませんが、日没になると放送バンドにはたくさんの国際放送局がひしめきます。 感度も十分でとてもよく聞こえました。 ダイヤルを3.5MHzや7MHzに合わせBFOをONしたらHAM局の交信も聞こえてきます。ただしメインバリコン一つで同調するのは非常に困難です。 スプレッド・バリコンを追加するなど短波ラジオに向いた装備を充実させたくなります。 毎度書きますが、短波ラジオでは選局しやすいダイヤル機構をどう実現するのか、たいへん重要です。 感度を云々するのも結構ですがダイヤルがイモでは実用性はナシです。 スーパーヘテロダイン式受信機で問題になるイメージ比も十分とは言えませんからプリセレクタを外付けしてやると効果的です。 そこまでやれば立派な短波ラジオになります。

                   ☆

 HAMのこだわりで短波ラジオといえばCWやSSBの受信も・・と欲張りたくなってしまいます。 一般的に出回っているラジオ用のICにその機能はありません。 そうした受信も考慮されていませんからそのまま使ったら不満が残るのは当然でしょう。 幸い本格的な通信型受信機に向いた半導体も入手できますからTA2003Pのような「ラジオ用のIC」に過大な期待を掛けぬ方が良さそうです。 こうしたラジオ用のICは無理して通信型受信機に仕立てるよりも「高性能なラジオ」の方向が正解のようでした。

 TA2003Pはもともと短波受信も可能なICチップです。 「誰でも簡単に」とは言いませんが、ラジオの仕組みをある程度わかっていれば高性能な短波ラジオも実現し易いはずです。 特にAGCの性能などは立派であり、微弱な信号から強力なラジオ局まで破綻なく聞こえるのは流石でした。 このあたりは6石スーパーくらいでは真似できません。 出力側が非同調形式なので完全なものではありませんが、高周波増幅(RFアンプ)が内蔵されているため感度良好な短波ラジオになります。 トランジスタを並べて作った回路のような細部の融通性こそありませんが一定水準の性能は得られ易いです。 ラジオ専用のICを使った短波ラジオはお薦めできそうです。 ではまた。 de JA9TTT/1

(おわり)fm

11 件のコメント:

JG6DFK さんのコメント...

 おはようございます。今朝は涼しくなりましたが、この先台風の行方が心配です。早くも時々バケツをひっくり返したような雨が降ったりしています。

 TA2003はセカンドソースが出ていますね。短波帯のイメージ妨害比が0dB(!)という中華3バンドアナログラジオキットのRF部もこの石でした。

 短波ラジオ関連の記事は人気なようですが、実際に手を出している人はどれくらいいるでしょうね。見た目以上に敷居が高いと思いますので。

 一番の難関はおそらくコイルでしょう。まったく同じボビンが入手できる保証はありませんし、たまたま入手できたボビンでは期待したとおりの結果が得られず、この先どうしていいかわからず万歳してしまったり。

 自分であれこれ試してみようという気のない人は最初から手を出さない方が無難です。うまくいかないからと泣きつかれても、その相手は困るでしょうから(笑)。

 NCEの443ABは中華製の割に優秀でしたが、どうやらメーカーがなくなってしまったようです。もうそういう時代なのでしょう。

 メーカーの回路例もIFTレスですが、おっしゃるようにそれだとセラフィルの帯域外応答が気になるでしょうね。IFTを併用しても改善するでしょうが、いたずらに調整箇所を増やしても敷居を高くするだけでしょうか。

 455KHzのセラフィルはほぼディスコンになりましたから、こういうお遊びができるのは流通在庫が残っている今のうちかもしれませんね。プレミアム価格で買うようなものではないです。

 これもおっしゃるように、短波のアナログ受信機は回路以上に機構部分がネックになると思います。75m~31mまでワンノブで、などと欲張ると、減速機構がないと高い周波数では同調がかなりクリティカルになります。減速機構を設けても、バリコンのガタが気になったり。

 そこがうまくできないのならバンドを分割するとか、いっそ割り切って31mあるいは25m専用とかにした方がいいような気はしますが、それでは納得しない、欲張りな人が多いのでしょうか。そうした方が製作や調整は楽になるのですが。シンセサイザ局発でも持ち出せば話は別です。

 どうしてもアナログにこだわるなら、1st IFが2MHz前後のダブルスーパーにすると、6~10MHz前後の局発を用意するだけで4~8MHz/8~12MHzの2バンドでうまくまとまるのですが、思いきり敷居が高くなりそうなので以下略(笑)。

 次回があるとしたらTA7613あたりでしょうか。これもセカンドソースが出ています。あまり詮索するのも野暮でしょうからこの辺にしておきます(笑)。

TTT/hiro さんのコメント...

JG6DFK 児玉さん、こんにちは。 台風の進路が気になって「念のため」アンテナを降ろしてきました。 低地でもなく山間部でもないので雨は大丈夫だと思いますが風は気になりますね。

さっそくコメントありがとうございます。
> TA2003はセカンドソースが出ていますね。
TA2003の名前のセカンドソースのほか、型番は違っていても同等品というチップも出ていますね。しばらく入手に困ることもないでしょう。 LA1600よりも入手性は良くなっています。

> 見た目以上に敷居が高いと思いますので。
ラジオや高周波回路に初めて取り組むお方には難しいでしょう。配線を短くと言われても具体的にどうしたら良いのか・・・何もかも短くする必要はないのですがその判断ができないでしょう。 その辺りは経験にもよりますから。(笑)

> 一番の難関はおそらくコイルでしょう。
コイルの製作が短波ラジオのキモと言える部分です。でも、作り方は過去のBlogでも頻繁に書いていますからあとは試しながら頑張っていただくしかありません。hi hi

> セラフィルの帯域外応答が気になるでしょうね。
CFU-455Hが一つでは少々無理があったようです。 もう少し良いフィルタを使うと解決できます。 あるいは2個使うとか・・・単純に直列に2個使う方法が簡単で良いでしょう。

> 自分であれこれ試してみようという気のない人は・・・
あれこれ試すのはラジオの製作に限らず、電子工作も含めて「物作り」の趣味には共通ですね。その部分を楽しむのが趣味でもあるわけです。

> NCEの443ABは・・・どうやらメーカーがなくなってしまった・・・
SDR式ラジオの方が安く製品が作れますからバリコンのニーズも無いのでしょう。残念ですが仕方ないです。Aliexpressを見ますとポリバリコンそのものはあるようですね。性能はわかりませんが。

> 455KHzのセラフィルはほぼディスコンに・・・
通信機でしたらラダー型クリスタル・フィルタにするのですがラジオの方が厄介です。まだしばらくは流通在庫も残るでしょうから何とかなると思っています。 そんなにラジオばかり作りませんので無くなっても困らないと思っています。

> 75m~31mまでワンノブで、などと欲張ると・・・
昔ながらの短波付きトランジスタ・ラジオの再現という考えでやってます。 狭いバンド幅に専用化するととても有利なのですが、それは「短波ラジオ」とは違うものでしょう。

> 思いきり敷居が高くなりそうなので以下略(笑)。
おそらく、ご覧のお方は既にジェネカバ受信付きのトランシーバや通信型受信機をお持ちでしょう。 受信することが目的ではないのでしょうから、それと似たようなものを作る意味はないと思っています。通信機ではなくラジオの範疇の製作が面白いと思っています。

> 次回があるとしたらTA7613あたりでしょうか。
ラジオはお腹いっぱいなので次回は予定されていません。(爆)

トランジスタで作って、ICでも作ればもう短波ラジオは満足だろうと思っています。

T.Takahashi JE6LVE/JP3AEL さんのコメント...

加藤さん、こんにちは。
地震、大雨、酷暑の次は台風と色々とやってきます^^;

回路図をぱっと見ると結構複雑そうに見えますが、BFO部とAF部を除くとTA2003Pに同調回路と局発、セラフィルが付いただけなんですね。

ラジオ用ICのTA2003P、ちょっと検索しても売ってないなあと思ったのですが、aitendoに互換品が売られていました。
パーツ的にはポリバリコンの入手とコイル巻きがネックになるんでしょうね^^;

Sメーターも付いているので昔の0-V-1風にアルミシャーシとアルミパネル、バーニヤダイヤルを使ってレトロ風に作っても面白そうです。


TTT/hiro さんのコメント...

JE6LVE/JP3AEL 高橋さん、こんにちは。 せっかくの週末なのに台風で台無しですね。 暑さは和らいだのでホッとしていますが、断続的に雨が降っています。 被害がないと良いですね。

いつもコメントありがとうございます。
> TA2003Pに同調回路と局発、セラフィルが付いただけなんですね。
はい、RF部分はICにぜんぶ入っていますので外付け部品は少しです。 試して見たのですが、回路図のようなシンプルな構成で十分な性能でした。これで安定な動作をします。

> aitendoに互換品が売られていました。
たしか他のお店にもあったと思いますが・・・。 ポピュラーなICなので安価で容易に入手できるでしょう。

> ポリバリコンの入手とコイル巻きがネックになるんでしょうね^^;
コイルは製作キットが売られていますので大丈夫だとして、一番はバリコンでしょうかね? セラフィルも欲しいものを手に入れようと思うと苦労がありそうです。 なるべく売っているもので間に合わせる必要がありますね。

> レトロ風に作っても面白そうです。
そんな感じに作ったらとても楽しいと思います。 回路は簡単ですからあとはデザインを考えていただくとFBな短波ラジオになりそうですね。

JA9MCH_tanutanu さんのコメント...

加藤先輩 殿

お暑うございます。台風もヘンテコなルートで日本全体が大騒ぎでした。実は、6月末に名古屋から東京に戻りました。3年間、単身でアパートに住み、通勤も短く、電子工作が好き勝手でき天国のような環境でした。引っ越しの時に、膨れ上がった、部品、ジャンク、などなどの引っ越しが大騒ぎでした。かなりのものを、泣く泣く、廃棄、オークションへの出品など整理が大変でした。この調子だと、真空管、トランス、無線機、受信機などの愛人たちの今後が心配です。やはり、終活もかんがえなければと思いました。

いよいよ、8月には60歳になり、仕事も一区切りですが、やめさせてもらえないみたいです。秋には、また大学祭に行ければ幸いです。転勤でアンテナが軒下に吊り下げぱなしだったので、戻って最初の仕事は、アンテナの上架かな。ご紹介のICラジオも、作って見たいという気になりますが、同じものが増えるというトラウマもあります。悩ましいです。

それでは、ご報告まで。

JR1QJO/矢部 さんのコメント...

加藤さん、最近車のみならず台風も逆走するようで困ったものです。
アンテナの調整を再開するも、暑さで早々に室内に逃避しています。

初心者向けの短波受信機はビギナーハムにとって良いプロジェクト
ですね。50年前の話で恐縮ですが、CQ誌の記事でJA1BHG岩上
OMがニューカマーのYMに真空管式の短波受信機の製作を教示する
のを思い出します。今も昔もコイル巻きが入門者に取って苦手で
あるようです。当時はセンダストコア入りコイルボビンが当たり
前のように売られたのですが、当時もコイル巻きにはバラツキが
あって再現性が問題だったようです。小生もコイル巻きに自信が
なく小遣いを叩いてデリカのGDMを購入しました。

最近はジャンクボビンのコア材が不明な場合が多いのでなおさら
再現性の関門が高くなっていますが、一方で、安価にLCRが測定
できる測定器や、当時の計算尺と違い、表計算ソフトで同調周波数
が簡単に計算出来るので、工夫次第で有り合わせ部品で作れる
世の中になっていますね。

私も某ジャンク野で安価に購入したLA1135という短波受信用IC
でハム用受信機を試作していますが、確かにIC周り分品配置が
悩みの種です。局発、AGC内装はありがたいすが周辺部品が
多く、フィルターを本買う的なセラ多フィルタに換装するため
生基板を立体的に組んだりして、と悪戦苦闘(楽しんで)います。
HI

TTT/hiro さんのコメント...

JA9MCH 和田さん、こんにちは。 逆走のあとは九州の南でループしているようで台風12号は迷走していますね。hi hi また暑い夏が戻ってきました。 先ほど外出したら車外温度計が37℃を示していました。 暑〜いです。

いつもコメントありがとうございます。
> 6月末に名古屋から東京に戻りました。
名古屋のお勤めご苦労様でした。 今度は近いですのでアイボールもできそうですね。 大祭も行けたらと思っています。

> かなりのものを、泣く泣く、廃棄・・・
私も子供の頃から転勤続きだったので泣く泣く廃棄というのはどれだけあったことか・・・・。 ただ、その際に整理ができたのも確かなので良い機会と思うしかないです。(悲)

> ・・・などの愛人たちの今後が心配です。
そうなんですよねえ! 同じように思ってくれて大切にしてもらえるなら良いのですが、それらしい心当たりは皆さん等しくご高齢ですから・・・結局はいずれは終活の運命に。(悲)

> やめさせてもらえないみたいです。
まだまだご活躍できるからご期待されているのでしょう。 急に暇になっても詰まらないでしょうからもう少し頑張られてください。 健康第一ですからご無理をされませんように。 そろそろ部分的にガタが出てくる年齢です。

> 戻って最初の仕事は、アンテナの上架かな。
今どきは暑いので屋外の作業は大変ですね。 なるべく涼しい部屋で前準備しておいて屋外の作業は一気に済ませてください。(なかなか理想通り行かないんですけれどね・笑)

> 同じものが増えるというトラウマもあります。悩ましいです。
その気持ちはわかります。 作っても完成品にはなりませんがブレッドボードでの製作なら、製作を楽しんだ後できれいサッパリ忘れられるので悩みも少ないですよ。

またご連絡致しますのでどうぞ宜しくお願いします。

TTT/hiro さんのコメント...

JR1QJO 矢部さん、こんにちは。 台風接近でアンテナを降ろしていたのですが涼しいうちに復帰しておきました。 今日のような外気温では汗だくで熱中症になりかねませんね。

いつもコメントありがとうございます。
> ビギナーハムにとって良いプロジェクトですね。
もう少しHAM向きの受信機にした方が良かったのかもしれませんね。 HAMバンドをメインにしたら扱いやすいと思います。 このままでもバンドスプレッドを付けてやればHAMの交信も良く入感します。 選択度をアップしたいとかいろいろ要望は出てくると思いますけれど。(笑)

> 今も昔もコイル巻きが入門者に取って苦手であるようです。
高周波回路ではコイル巻きは避け難いので、手早く作るワザをぜひ習得していただけたら幅が広がると思っています。 ハムバンドの受信に特化すればトロイダルコアでも良くなるので作り易くなりそうですね。 少し考えてみましょう。

> 小遣いを叩いてデリカのGDMを購入しました。
私も同じです。 昔のHAMにとってGDMは万能測定器みたいなものでした。hi hi

> 安価にLCRが測定できる測定器や・・・
HF帯やVHF帯で使うコイルはインダクタンスが少ないので市販のLCRメータで測定するのは厄介です。 簡単な発振回路と組み合わせて周波数を測定し計算からインダクタンスを求める方法が現実的だと思っています。 例外的にAADE社のL/Cメータ2Bは高周波向きにできていますね。

> LA1135という短波受信用ICでハム用受信機を試作しています・・・
LA1135は良いICです。 TA2003Pより周辺の部品は多くなりますが、ずっと工夫の甲斐がありますね。 かなりFBな通信型受信機になるのではないでしょうか!

> ・・・と悪戦苦闘(楽しんで)います。HI
悪戦苦闘の過程も楽しみの一つだと思っています。 単に受信したいだけでしたら既製品をお持ちでしょうから・・。 やはり工夫して製作する過程が楽しいのだろうと思っています。 じっくりご堪能されてください。hi hi

TTT/hiro さんのコメント...

参考です。 上記のコメントで触れたAADE社のL/C Meter 2Bは頒布していたHAMがSKされたのでディスコンだそうです。残念ですね。 お持ちのお方はぜひ大切にされてください。

Kenji Rikitake さんのコメント...

最近短波受信はごぶさたしているのですが、FM放送やエアバンドはRTL-SDR v3というR820T2とTCXOを使ったSDRで楽しんでいます。24MHz以下でダイレクトサンプリングになっているのは確認したのですが、まだアンテナを付けて実験できていません。エイリアシングの問題等出そうなので、昔のLCフィルタかプリセレクタか入れてやるのが良さそうです。ADS-Bの受信機も144MHzで近くで送信すると感度抑圧を起こしてしまうようになったので、1090MHz近辺のBPFを入れてやったら、送信しても感度抑圧はなくなりました。なんというか、同調回路だけは一生ついて回りそうな感じです :)

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Kenji Rikitake, JJ1BDX(/3)

TTT/hiro さんのコメント...

JJ1BDX/3 力武さん、こんにちは。 関西は連日猛暑が続いているようですね。 残暑お見舞い申し上げます。

いつもコメントありがとうございます。
> FM放送やエアバンドは・・・SDRで楽しんでいます。
いまやSDRがごく普通になってきましたね。 アナログ形式のラジオはもうすぐ淘汰されてしまいそうです。いずれ趣味用のアイテムになってしまうのかも。hi hi

> 昔のLCフィルタかプリセレクタか入れてやるのが良さそうです。
デジタル受信とは言っても、頭の部分で余計なものを切ってやる方があとの回路の動作は楽になりますね。 アナログ時代のテクノロジー(?)もわずかに健在ですね。

> なんというか、同調回路だけは一生ついて回りそうな感じです :)
同調回路・共振回路はデジタル時代になっても生き続けるでしょうね。 EMIやEMC対策の世界では意図せず不用意にできてしまった共振回路との戦いになることもあります。(笑)