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2018年11月8日木曜日

【回路】NIXIE Tube Clock Design, Part-2

NIXIE管を使った置時計の設計・その2
時計の数字表示器は
 前回(←リンク)はNIXIE管(ニキシー管)時計の機能部分を試作しました。 時計回路としての面白みは時刻を計数する「計時機能」の部分にあるわけですが、表示部がなければ時計にはなりません。

 ここでは旧ソ連製のNIXIE管( NIXIE Tube:米国Burroughs社の登録商品名)を使って作ります。 国産や米国製のNIXIE管も存在したので、手に入れば同じように使えます。 ただし、西側世界(古い言い方ですね・笑)ではNIXIE管は早々に廃れたので今となっては旧ソ連製の方が入手容易なようです。 それも徐々に価格が上昇してきたようなのでNIXIE管はお薦めしにくくなっています。レトロな雰囲気を楽しむには良いのですが・・・。

 もし単にデジタル時計を作ってみたいのなら7セグメントのLED表示器を推奨します。コストや入手性だけでなく性能も優れています。 最近のLEDは発光色にバラエティがあるのでかなり自由な表示色が選べます。 また輝度も高いので明るい環境でも読み取り易いです。 デコーダ・ドライバにSN7447ANやCD4511Bなどを使えばOKです。 +5Vの電源だけで済むLED表示器を使うと製作は容易です。
 また蛍光表示管(VFD)も綺麗ですが、+30Vくらいの中圧電源と数Vのフィラメント電源が必要なので幾らか面倒臭く感じます。

数字表示部の可能性は色々あるわけですが予定通りニキシー管で行くことにします。

# 数字表示部分がないと時計にならないのでさっそく検討を進めましょう。

ニキシー管置時計・表示部回路図
 前回作った時計のメイン・カウンタユニットの出力は2進化10進コード(BCDコード)です。 それを解読して10進表示器に合うようにします。 さらにNIXIE管は高電圧を扱うのでそれに合わせた耐電圧を持った駆動用のIC(ドライバIC)が必要です。

 デバイス史を紐解くと、NIXIE管用として10進解読と高圧駆動の機能を持ったTTL-ICとしては初めにSN7441Nが作られました。 しかしいくつか欠点があったので程なく改良版のSN74141Nが登場します。 SN7441Nも使えなくはないのですが、やはりSN74141Nの方が良いです。 この回路図もSN74141Nを使う設計です。
 表示管にはソ連製のNIXIE管: ИН-12Бを使います。 図面はИН-12Бを使う前提でドライバICと表示管の配線が書かれています。 ほかのNIXIE管も配線を合わせれば同じように使えるはずです。 特に小型のNIXIE管を使う場合は、R1〜R4の値を33kΩよりも大きくして電流が流れすぎないよう加減します。

 10時台の表示にはSN74141Nは必要なく、耐圧の高いNPNトランジスタで直接ドライブして点灯させています。 F335-1868と言う型番のトランジスタはたまたま手持ちがあったものです。番号はどこかのメーカーのハウスナンバーでしょう。 Vcboが250VくらいあるNPNトランジスタなら何でも良いでしょう。新規に求めるなら、MOS-FETの2SK4150が適当そうでした。(2SK4150TZ-Eは秋月電子で10個250円)
 10時台の「0」は表示しません。  また、10分台は0〜5までしか表示されませんから表示管の「6」〜「9」への配線は不要です。
 時の表示と10分の表示の間にネオン管を2つ並べて「秒」で点滅させています。 この部分はLEDでも良いのですが雰囲気的にはネオン管でしょうね。 秒点滅用の信号はRTCモジュールの1秒出力から配線を引き出します。 NANDゲートとインバータで構成した回路は停電時に表示部と切り離すためのものです。

 製作するときはNIXIE管用の+180Vがほかのいかなる配線にも接触しないよう十分注意します。 間違ってたとえ瞬間的にでも触ってしまうと該当部分のICやトランジスタが破損します。 特にデコーダ・ドライバのSN74141Nは貴重品ですから壊れたら泣きです。

ИН-12Б
 表示管のИН-12Бを横から見た写真です。 写真上の面には型番などが書かれています。 キリル文字でИН-12Бとありますが、西側のアルファベットで書くとIN-12Bになります。

 反対の面(写真下)には「CCCP」とあって、旧・ソビエト社会主義共和国連邦で製造されたことを示しています。 ロシア製ではなくて「ソ連製」なんですね。

 規格や使い方の情報は検索ワードを「ИН-12Б」でやるとたくさん得られました。 ただしロシア語なので読めないのが難点ですが・・・。 それでも絵や図から想像してかなりわかります。(笑)

ИН-12Бの規格
 検索で見つけたИН-12Бの規格です。 この表示管にはA型とB型があって、ピンへの引き出しが少し違います。 使用するИН-12Б(IN-12B)には小数点の表示があって12番ピンに引き出されています。 なお、小数点は文字の前方(左側)に表示されるので何となく使いにくいです。

 使用するソケットですが、球を上下逆さまにしても装着できてしまうので気を付ける必要がありました。 アノードの1番ピンが上側に来るように装着します。

 何が書いてあるか翻訳エンジンを使って真面目に訳したら面白いのですが、ざっと眺めただけでも使い方はわかったのでこれ以上の探求はしていません。 もしきちんと翻訳されたお方があれば情報提供よろしくお願いします。(笑)

オリジナルはコレか?
 どうやらBurroughs社のB-5991というNIXIE管がオリジナルのようです。 形状やピン接続はほとんど同じです。 外周器がガラスでできたNIXIE管は見ただけでわかりますから、そっくり真似て作ったのでしょうね。

 B-5991はピンが2本多く、上下逆にはソケットに挿入できないようになっています。 また、ИН-12Бでは数字の「5」に「2」の文字を上下逆にして流用していますが、B-5991ではきちんとした専用の「5」の文字になっているようです。

 ソ連時代のИН-12БはB-5991のピン数を減らしたり、構成部品の種類を減らすような「合理化」が行われていますが、あまり感心しない努力のように感じられますね。(笑)

NIXIE管用デコーダ・ドライバ
 Digitalとの付き合いも永いので昔のデバイスが結構眠っています。 NIXIE管用のデコーダ・ドライバなんて他に使い道がないので捨てても良いくらいです。 まさか今頃になって使うとは思いもよりませんでした。(笑)

  手持ちがあるのはNIXIE管を使ったことがあるからです。 デコーダ・ドライバのSN74141Nは故障率が高くて壊れ易いと言われていました。手持ちはもっぱら補修用のパーツでした。 但し壊れたことは一度もありませんでした。 予備として最初から数個準備していましたが、知り合いの会社がもう要らないと言うので引き取ってきたように思います。 そのためか思ったよりも手持ちがありました。
  右手前の2個がSN74141Nです。これらを使います。 中央のК155ИД1(西側表記ではK155ID1)というのはソ連製の74141互換品です。 サンプルとして頂きましたが、最近はNIXIE管のドライバと言えばこちらを使うようですね。

 左方にあるDM7441ANやF9315はSN74141Nではなく、SN7441Nの互換品です。 あえて使う意味はないですし、以前テストした経験ではTI製よりも故障率が高かったです。 NIXIE管のおかげでジャンクのTTL-ICが復活しているようですが、素性をよく確かめてから使うべきでしょう。 ソ連製も少し心配はありますが、使用例をかなり見掛けますからそこそこ使い物になっているのでしょう。

# 写真左端のμPB217Cは同じレールに保管されていたので74141/7441の互換品かと思ったのですが、SN7475N(4ビットラッチ)の互換品のようです。

NIXIE管置時計・電源部回路図
 電源部をまとめておきました。 +180Vを作るDC/DCコンバータとデコーダ・ドライバのTTL-ICを動かすための+5Vを作ります。 また、時計のメイン・カウンタ・ユニットの電源と、バックアップ電源回路をまとめておきました。 バックアップは乾電池をやめて電気2重層コンデンサを使うことにしました。 停電はめったに起こらないので乾電池の必要はなさそうです。また電池と違って交換の手間がありません。

 +180V電源はMC34063Pを使った昇圧型のスイッチング電源、+5Vは3端子レギュレータのμA7806ACを使いました。 それぞれの電源は、+12Vから作ることになっています。 +12Vは1A程度の電流容量を持ったACアダプアで間に合います。 電源トランスと整流器+平滑コンデンサで作っても良いのですが、ACアダプタを流用するのが簡単でしょう。 少々変動しても大丈夫なので十分な容量を持ったACアダプタなら何でも使えるはずです。

 停電が発生したり、アダプタが抜かれるとNIXIE管の時刻表示は休止します。 時計用のカウンタ回路部分は電気2重層コンデンサに蓄えられた電荷でしばらくのあいだ動作します。 数日間は十分動作すると思いますのでバックアップとしては十分でしょう。

                   ☆

 時計は回路を収納する「箱」がとても重要です。 デジタル時計の自作が流行った頃ならデザインの良い「箱」がたくさん売られていました。 いまはもうほとんど見掛けませんから、自作で工夫しなくてはなりません。 海外のサイトなど参照するとアクリル細工や木工加工で素晴らしいデザインの筐体に収納されているのを目にします。 置時計と言えばやはりインテリアですからデザインにも拘りたいものです。
 表示器の回路部分は筐体のデザインや構造と密接な関係があるので製作は未着手です。うまい構造が浮かんできたら製作を始めしましょう。 とりあえず、このテーマはこれで終了します。 あとは工夫して形にまとめましょう。 しかし、案外バラックのような構造のままで完了してしまうんですよね。 ではまた。 de JA9TTT/1

(おわり)nm