2012年12月1日土曜日

【HAM】Repair an Antenna Coaxial Switch

【アンテナ同軸スイッチの修理】


<Abstract>
 DAIWA coax antenna switcher: The contact point of CS-401 has become bad.  I decided to try to fix it.   When I checked the inside, the cause was a stain on the contacts.  I cleaned the contacts well with ethanol to begin with.  Once the contacts are clean, apply a small amount of lubricant, such as contact spray.
When disassembling, be careful not to melt the insulation material of the coaxial connectors by heat.  It is important to use a soldering iron with sufficient heat capacity to solder in a short time.   The result of the repair was a very good contact.  (2012.12.01  de JA9TTT/1  Takahiro Kato)

DAIWA CS-401 Coax. Switch
 少ないアンテナでなるべくたくさんのバンドにオンエアできるようにしている。  必然的にマルチバンドアンテナの組み合わせになるから、どのアンテも高性能とは言えない。 それでも自作受信機の実働評価や送信機のテスト・オンエアに各バンドのアンテナは欠かせない。多バンドのアンテナが欲しくなる理由だ。

 アンテナが増えリグも増えたら切換えが必要になる。 いちいち同軸コネクタの接続替えをするようでは面倒であろう。 写真は当局のアンテナ側の切換え器である。 このスイッチで切り替えて、1.9〜50MHzの10バンドを4本のアンテナでカバーする。 なお、144〜1200MHzは別のアンテナがあってこのスイッチは通さない。 結局全5本のアンテナでMF帯〜UHF帯の13バンドをカバーをしていることになる。

 便利に使って来たのだが、暫く前から接触の悪いポジション(接点)が目立つようになって来た。 すり減るほど切り替えてもいないのだが、所詮はアマチュア用なので機械的な強度が不足していて劣化した(=壊れた)のだろうと思っていた。

しかし、意外に安くないのがこの種のアンテナ・スイッチだ。直せるものを捨てては勿体ない。この際メンテナンスを試みることにした。

CS-401の外観
 1入力で4出力の同軸切換器だ。
DC〜500MHzまでがSpecだったと思うが、まあアマチュア用なのでAgilentの同軸スイッチのようにフラットなインピーダンスとは行かないだろう。 但し、耐電力だけはタップリあってkWでも大丈夫なはずだ。

 修理不能を想定しネットで交換用を探していたのだが、すでにこの形式は製造中止らしかった。 しかも国産のHAM用品メーカーは元気が無いようで、殆ど製品を出していなかった。 しっかりしていて良さそうな4wayアンテナ同軸切換器ともなるとMFJあたりの輸入品しかないようだ。

・・・となれば、これを直したいものだ。ダメもとでやってみよう。

CS-401の裏面
 Passedのシールが貼ってあるが、この際無視して開けるしかない。上手に開けたのでシールを切らずに開けられた。(笑)

 底面の4つのネジを外せば良い。 このフタは単なるフタであって、内部にホコリが入らぬようにしているだけの物だ。 このスイッチは防水構造ではないようだから、屋外使用は無理である。

買ってから何年になるのだろう・・・などと思いながら作業を進める。

CS-401の内部
 裏蓋を開けるとこのようになっている。 ガラエポ基板上に接点構造が組み付けてあるらしく、このままでは見ることもできないし、もちろんメンテナンスも不可能である。

 しかし、十分な数のネジでしっかりケースにアースしてあり、端子間のクロストークが少なく、各ラインのインピーダンス不整合が少なくなるような配慮が見られる。

 機械的なガタもなさそうだ。 内部は奇麗であって接点の状態を確認してメンテすれば十分復活するのではないかと思えた。 そのためには、各コネクタへハンダ付けされている銅の接片を外さなくてはならない。 容量の大きなハンダ鏝とハンダ吸取器を使いピンセットで接片を持ち上げるようにしてハンダを外した。 なお、ハンダ吸取器がなければハンダ吸着リボンでも良いと思う。

 同軸コネクタの絶縁物は高周波特性に優れるスチロール樹脂である。但し耐熱性に劣るので、十分な熱容量のあるハンダ鏝で手短に済ませる必要がある。 中途半端な熱容量のコテを長く当てているとコネクタの絶縁物が溶けて変形してしまう。ここだけは要注意だ。

CS-401の接点構造
 写真をクリックすると良くわかるが、接点はこのような構造になっている。 最短距離で接続されるようになっており、うまく考えてあると思った。 接片の矢印部分が押されると該当の接点が閉じるようになっている。

 操作の感触から見て、普通のロータリースイッチではないだろうとは思っていたがこのような構造とは思わなかった。 これなら周波数特性も良好だろう。

 接触が悪くなっていたのは、この各接点が汚れて来たからだ。 銀系の接点らしくやや硫化が見られ色がくすんでいた。 なお、写真は清掃後の状態だ。

 清掃はまず無水アルコールを綿棒に浸して丁寧に汚れを除去する。洗うつもりくらいが良い。綿棒の先がグレーになるくらい汚れていた。

 その後コンタクトスプレー(接点復活剤)をごく少量だけ綿棒に付け、接点の部分にだけ薄く伸ばしておく。 これで接点の摺動が滑らかになり摩耗もしにくい。 なおコンタクトスプレーを直接噴霧してはいけない。 液が滴るほど噴霧する人がいるが多く掛ければ効果が良くなる訳ではない。むしろ逆だ。

 洗浄と潤滑は別と考え、揮発性の溶剤で良く洗浄してから、あらためて潤滑剤を使うべきだ。

プッシュ・ロッド
 ツマミの回転で、写真に矢印で示した樹脂製の押し棒(プッシュ・ロッド)が飛び出し、上の写真の接点バネを押し付ける仕組みになっている。 それで接点が閉じる訳だ。

 周波数特性を良くするのが目的のスイッチでは良くある構造だ。 プッシュ・ロッドの動きが良いよう、当たり部分に摺動グリース(モリブデン・グリース)を少しだけ塗っておいた。 ロッドの軸受け部分も軽く潤滑した方が良いかもしれない。

 更にこの先まで分解する必要はなさそうだったのでここで分解は終わりにした。 あとは奇麗にした接点を汚さぬよう、逆の手順で再組み立てを行なう。

 コネクタのハンダ付け前に念のため接触状態をテスターで確認しておいた。 接触状態は接片のところで測れば良い。 各々mΩ(ミリオーム)オーダーの接触抵抗を示し、安定していたので修理は成功である。

 その後、手早くかつ確実にコネクタ部分のハンダ付けを行なって裏蓋を閉めれば作業は完了だ。

参考:この際、ネットアナに掛けて調査したらどうかと言うご意見もあろう。しかし、それでわかるくらいならマズ不合格だ。受信機に繋いで空間ノイズの入感状況で見れば十分だし、それがアマチュア的だと思う。何でも高級なことをするのが良い訳はでない。

前と同じように
 前と同じ場所に戻して終了である。 これで暫くは接触不良に悩まされることもないだろう。

 写真のように各アンテナを接続して切り替えてみた。 リグから発するノイズの状態で安定して切換えできているかどうかわかる。 ガサゴソ言わず「スパッ」と同じ状態に切り替わるなら合格だ。 もちろん各バンドでVSWRの測定も行なってみたが問題はなかった。 スイッチを通す前と変わりはない。

                ☆ ☆ ☆

 只今、全面的なアンテナの整備中である。アンテナは屋外に曝されるだけに年数が経過すれば劣化してくる。ハンダ付け部分も酸性雨によって徐々に溶けて行くらしく、だいぶ痩せていたほどだ。 アンテナの完全リニューアルにはもう少し時間が掛かりそうだ。

 屋内にあったアンテナ切換器も年数の経過で接触不良が我慢できなくなっていた。 電位差ができる関係だろうか、密閉状態でも接点には汚れの付着が見られた。 頻繁に切り替えていれば自然に接触状態が保たれるのかもしれない。切り替えずに置いたのが良くなかったのだろうか。 しかし清掃も済んで接触状態も安定したから暫くは大丈夫だろう。 開けてみて接点に摩耗や傷などはなく奇麗なことが確認できた。 表面の薄い汚れさえ除去すれば支障は無かった訳だ。僅かの手間で捨てずに済んだ。 浮いた費用は他の充実に回そう。hi

 年数が経過しまた接触が不安定だと感じたならオーバーホールしよう。 見てのように、慎重にやれば特に難しい作業ではない。リニューアルしたアンテナの話しはまたいずれ。 de JA9TTT/1

(おわり)

2012年11月12日月曜日

【その他】Android plus 100 yen


アンドロイドに100円プラス

100円プラスで
 タブレットPCは手に持って使うのが基本かも知れない。 しかし、ちょっと置いて使いたいときもある。

 テーブルに直接置いたら上から覗き込むように見なくてはならない。 それも不便だ。

 写真のフォトスタンド(ミニ・イーゼル)は100円均一のお店のものだ。 寸法と良い、ホールド感と言って良い、この7インチandroid Tabletに丁度良い。

 YouTubeとかムービーを見る時にはお薦めだ。 意外にしっかり立っているのでタッチパネルの操作も安定してできる。

               ☆ ☆ ☆

 amazonを覗いてみていた。しっかりしていてホールドの良さそうなタブレットPCスタンドが様々売られていた。 中にはアイディアもののスタンドもあって面白そうだった。 しかしお手軽中華Padにはチープな路線で百均のコレがピッタリだ。 写真では横置きだが、縦置きに使っても安定感は悪くない。 100円にして実用性も十分だ。

 ほか、100均ではmicro SDHCメモリカードと、その変換アダプタを収納する専用ケース(プラ箱)を買ってみた。全部で12枚入るので収納力はマズマズだ。 小さ過ぎてどこかに無くしてしまいそうなメモリなので収納ケースに入れておこう。

                 ☆

 まだ3インチのミニフロッピーが全盛のころの話し。 たしか10枚くらい入るケースで持ち歩いた。 15MB弱のデータ持ち運びだった訳だ。 micro SDHCは32GB品のC/Pが良かったので数枚買っておいた。 そのSDHCのデータ量はフロッピーの2万枚以上だ。  手のひらサイズのプラ箱には12枚も入るから、フロッピーで言えば25万枚以上になる。 なるほど今どきフロッピーなどだれも使わない訳だ。 つくづく今のデーターサイズバブルには驚かされる。(笑) de JA9TTT/1

(おわり)

2012年11月3日土曜日

Do Androids Dream of Electric Apple? , part 2

アンドロイドは電気林檎の夢を見るのか?
 【タブレットPCをどう使うか?
 何でもそうかも知れないが、「どう使うか?」は重要なテーマだ。 何にどう使うかは各人の好みだろうが、part 2では私の例を交えて紹介してみようと思う。(参考:Part 1は→こちら

 もちろん貴方の自由だからこれに捕われず、ご自由にやれば良い。考えと違うからと言ってクレームはご勘弁を。


 写真は私のandroid Tabletのデスクトップである。

さしあたり、メインのブラウザはOPERA(左端)が良さそうだ。
ネットラジオ(左から二番目)も「ながら」で良く聞く。
ファイル・マネージャ(左から三番目)は絶対必要なアプリだ。
そして標準のブラウザ(左から四番目)である。これは「科学映像館」等のストリーミング・ムービーを見るのに使う。OPERAではダメなことがあるので。
左から五番目は単なる時計のアプリで目覚ましとか。
一番右はWi-Fi analyzerと言うアプリでワイヤレスLANの状態監視に使う。
以上、良く使いそうなアプリをデスクトップに置いたが何を置くかは甚だ流動的だ。

 右上のアプリ・リストアイコンをタップするとアプリ一覧が現れる。 そこで置きたいアイコンを長押しするとショートカットがデスクトップに現れる。それを適宜移動配置すればデスクトップは好きなようにできる。 消したいショートカットは長押しすれデスクトップ中央上部に×印が現れるのでそこまで引き摺って行けば消せる。 もちろんアプリには影響は無い。ショートカットが消えるだけだ。

ブラウザはOPERA
 google chromeでも良いかも知れないが、試してみたらOPERAがいちばんandroid Tabletにマッチしているように感じた。

 画面は拙サイトをブラウズしている状態だ。 ページの任意部分に指先で移動したり、二本指で部分拡大や縮小ができるので画面は小さめだが、なかなか快適だ。

 文中のリンクが指先で押しにくい時にはちょっと拡大してタップすれば確実だろう。サイトの閲覧は普通のパソコン同様にできる。 PC用にできたサイトでも支障は感じなかった。 なお、検索ワードなど窓にインプットしたい時には、窓の部分をタップするとソフトキーボードが自動ポップアップで現れる。 キーも結構大きいので思っていたより扱い易い。


 【ネットラジオの時代か?
 寝ながらラジオを聞いていたら、家内から「AMラジオなんて爺臭い・・」と言われた。(^^;;

 いえいえ、android Tabletを使い「らじるらじる」(→リンク)でネットラジオを聞いているんだよ・・・と言ったら、何となく「格好イイ!」とか。 ラジオの内容は変わらないんだけどね。(爆)

 なお「らじる☆らじる」で聞くと、AMもFMもステレオで聞ける。 もちろん混信やフェーディングなどないし、タブレットの向きで聞こえ方が変わる・・・なんてことはない。バーアンテナじゃないんだから。 無線LANが途絶えるともちろんだめだ。

他に,民放ラジオの「Radico.jp」(→リンク)と言うのもある。(あまり聞かないが)

 バックグラウンドで聞く機能があるので、他のアプリ、例えば本を読みながら聞くと言ったこともできる。

 【ファイル・マネージャ
 ブックリーダ、フォトアルバム、音楽プレーヤ、ムービービューワ・・・etcとして使うには、それぞれのアプリ(どれも標準装備アプリ)を起動してから該当のファイルを選択すれば良い。

 しかし、保存してあるファイル数が多くなればその方法では面倒でダメである。やればわかるが、とっても使いにくいのだ。

 ファイル・マネージャと言うアプリ(無料)はお薦めだ。 本体メモリ或はSDカードにストアされている各種データファイルを階層的に表示してくれる。 写真の様にフォルダが現れるので、それを開いて見たいもの、聞きたい物をタップすれば良い。 ファイルに適したビューワなり、プレーヤなりを自動起動して再生或は表示してくれる。

 途中で閉じた本は閉じた部分から読み始めることができる。 ムービーも閉じた時の途中部分から続きを見ることができる。

 タブレットは数秒で起動する。 従って電車が駅に着いたらささッと仕舞い、乗換が済んだらまた数秒で起動してさっきの続きを読むと言ったこともごく当たり前にできる。 従来の(ノート)パソコンを使っているのとはずいぶん違う便利さである。

ARRL Handbook
 以前、amazonのkindle 2を買ったことがあった。 一つに、寝転んで「分厚く重たいARRLのアマハン」を読みたいものだと思ったからだった。

 しかし、kindle 2の仕様では文字が小さ過ぎて実用にはならなかったのである。 もちろんカラーでもなかったからグラビアのような記事はまったくダメであった。

 このタブレットに限らずカラーのLCDが使ってあれば支障無くグラビア本が読める。写真ではARRL Handbookの表紙だ。 最近のARRL Handbookには本誌の内容をそのままPDF化したオマケのCD-ROMが付いてくる。 そのCD-ROMをSDカードに転送Copyしてやれば、めでたく寝転んでARRL Handbookが読めるようになった。 SDカードへのCopyについてはUSBモードの所で説明する。

記事は読み易い
 横長画面・・・ランドスケープ・モードと言う・・でページを開けば、この程度に見えるので、文字も十分読むことができる。

 バックライトの輝度は常に下げ気味で使っているのだが、屋内で読む分には、十分なコントラストだ。

 PDFのファイルの為にAcrobat Readerをインストールしておいた。Readerはgoogle play storeに無料で置いてある。 指先でページめくって読んで行く。また、スライドバーで任意ページに飛ぶことができる。

 最近のAcrobat Readerは栞(しおり)を付けられるほか、メモを付ける、フリーハンドでマーカーを引くと言ったようなことまでできる。 要するに本物の本に書込みをしたり、ページの角を折っておくと言ったことが真似られるのだ。

図面もバッチリ
 上の写真のページから回路図を拡大してみた。 このように大きく表示できるから、紙の細かい回路図を見るより遥かに読み易いくらいだ。

 だんだん目が遠くなって来たら虫眼鏡を片手に・・・と言う読書シーンを想像するだろう。 しかしタブレット・PCならそんな心配は無用かも知れない。 こうやって指先で簡単に拡大できるのだから。 回路定数の部分もバッチリわかる。

そして青空文庫も
 kindle 2の時にはたいへんお世話になった青空文庫も支障ない。 kindleのために保存してあったファイルだが、そのままでも支障はないようだ。

 google play booksには無料の書籍として青空文庫から著名な日本文学が置いてあった。初めてタブレットPCを購入したならそれを利用したら良いだろう。

 今のところ、android tabletの欠点と言えば電池寿命だと思っている。 起動状態では連続4時間くらいで電池切れになってしまう。 従って通勤中に毎日使いたいと思えば毎日充電が必要かも知れない。それでも足りないなら、充電に使えるリチウム電池パックが各種売られている。 必要のない限りWi-Fi(無線LAN)はOFFにしておけば電池の節約になる。

 紙の本代わりの純粋なBook readerがお望みならe-Inkを使ったkindle paperwhite←リンク)が一番向いているだろう。本体が安価なだけでなく、1回の充電で数100時間も動くのだから、電池の持ちは格段に違う。買うなら是非とも3Gモデルの方を!

 kindle以外でもamazonの電子ブックを読むためのアプリがあるから心配はいらない。 一般的なandroid Tabletはどれも電子ブック時代に対応している。自炊本だけのものではないのだ。

                 ☆ ☆ ☆

USBモードについて
 本体の脇に付いているmini USBコネクタとパソコンを繋げば、android Tabletは自動的にUSBモードになる。

 要するに、パソコンから見たらandroid Tabletは単なるUSBメモリのように見える訳だ。

 写真はUSBケーブルを使い、パソコン(Mac)に接続したときの様子だ。 もちろん、Windows PCでも同じである。

これは注意だ
 android Tabletは、完全な電源OFFで止まっているのではない。 普通はレジューム(一種の待機)状態で止めてあるのだ。

 だから次に起動した時に途中から続けることができる訳だ。 しかしUSBモードに入ると起動済みのアプリは中断することになる。 従って前に帰れない可能性もある訳で、そうしたことの注意書きである。

 なお、Acrobat Readerは途中状態のファイルを別に持っているらしく、USBモードに入ったからと言って途中経過を忘れる訳ではないようだ。 あまり神経質にならずにUSBモードにしても良いと思う。

Macからはこう見える
 Macのデスクトップには、android Tabletはこのように見える。要するにUSBメモリと同じに見える訳だ。

 PRO3と言う名前のものが、android Tabletの本体メモリである。 NO NAMEと言う方は、後から追加したmicro SDHCメモリの方である。 私は32GBの物を追加してある。 今のところ上限は32GBのSDメモリまでのようだ。

 各メモリをダブルクリックして開き、PDF、mp4なりJPEGなどのファイルをフォルダごとコピーしてやればandroid Tabletで見ることができる。 パソコンから見たらUSBメモリの扱いなのだから、ファイルの移動や管理はとても簡単だ。

終了方法
 USBメモリモードから抜けるには、まずはパソコンの方から終了の操作を行なう必要が有る。

 パソコンから安全な取り外し操作を行なえば良い。 その上で、android側でUSBストレージをOFFすると言う画面の部分をタップして終了する。 あとはUSBケーブルを引き抜けば完了である。

 どうしてもUSBメモリとして認識されないときは(1)パソコンを再起動してみる、(2)android Tabletの電源をオフしてみる、(3)レジュームではなく、完全にオフする。などの操作で改善する模様だ。 一旦認識されればエラーも無くファイルコピーなり自在にできるようになる。 なお本体メモリの方を開くと既存のフォルダが幾つか見える。 android OS或はアプリから使用されるものなので、意味が分からない物には手をつけない方が安心だろう。消去したりリネームすると動作に支障をきたす可能性がある。

参考:この例では、パソコンにandroid tabletを接続して「外付けのメモリ」として扱う場合を示した。 逆に、一般的なUSBメモリをandroid tabletに接続しタブレットから見て「外付けのメモリ」として扱うことも可能だ。 具体的には、OTGケーブル(数100円で買える)と言うインターフェースを介してUSBメモリを接続すれば良い。「ヒモ付き」にはなるが、USBメモリにデータを入れておき、それを活用すると言った使い方も可能である。

                    ☆

簡単使い方
 すぐにわかると思うが、デスクトップでの簡単な操作をメモ程度に書いておく。

 画面の右下に現れるボタンの意味は写真の通りだ。 付属の冊子にも書いてある。一番良く使うボタンだと思う。

 どうしようもなくなったら、まずは2のデスクトップに戻るボタンで最初からやれば良い訳である。(笑)

 なお、3番のボタンの意味は以下の写真で。

アプリは起動したまま
 基本的に各アプリは起動したままになっている。 従って、3番のメニユーから選べば前回のところから即再開できる。

 一旦オフしたいときは該当のアプリを長押しすると操作できる。

 この写真では、上から血圧手帳を使い、次にらじる☆らじる、OPERAブラウザ、その後でAcrobat Readerを起動していることがわかる。





                  ☆ ☆ ☆

電気林檎の夢を見たか?
 さて、android TabletはAppleのiPadの夢を見られたのだろうか?

 たぶん、ここに書いたような使い方なら、どちらでも同じようなことができる。 もちろんiPadの操作性や用意されたアプリに洗練さを感じる部分はあるだろう。 特に平均的なアプリのデキはiPadの方がかなり上であり安心感も高い。

 では、致命的なほどの差がついているのかと言えば、いまやそれはNoと言える。 外観デザインやフィーリングはもっぱらお好みの範疇だろう。 またハードウエアの信頼性が欲しければ、googleのNexus 7を買えばまず安心だ。 だいぶ高いように感じるが信頼性重視で日本メーカーのandroid Tablet(例えば→コレとかコレ)も良かろう。 但しチープな中華Padでもできることはほとんど同じだ。 最後は個々人の価値観に帰結しそうである。 お手軽なandroid Tabletではあっても「電気林檎の夢」を見ることができた。

                ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 kindle 2のときは小編に分けたBlogにした。 今回は全2回で片をつけたいと思ったので、長ったらしくなった。 それでも不十分な内容も多いだろう。 しかしタブレットPCも一般化しているから機能や操作を詳しく解説するサイトは無数に存在するようになっている。 不足分はそちらで補ってもらうと良いだろう。キーワードで検索したら良い。

 しかし意外に具体的な使い方を書いたサイトは少ない感じだ。ネットでもゲームでも何でもできます・・と言った話しは良く目にするが、本当の所はどうなのだろう?

 結局のところタブレット・PCは出来上がったデータの閲覧用だ。もっぱらコンテンツの消費用と言う訳だ。 だからネット上のコンテンツの閲覧だけでなく書籍ファイルや写真、音楽、動画などをメモリに取込んだ上で手元に連れて来てパーソナルに使うのが最適用法になる。家中どこへでも付いてきてくれる。

 ベッドサイドにおいて、Netニュースをチェックする、今日のお天気を伺う、届いたメールをチェックする、Blogのコメントを確認する・・・そんな目的にはとても向いている。 ちょっとしたメモを書くとか、少し高めなので血圧手帳をこまめに付けてグラフィカルにトレンドをチェックするとか、もう生活用品の一部として浸透している。 ちょいとONして済んだらすぐにOFFと言った私の使い方なら、週に一回のチャージでも十分なくらいだ。 もしも持ち出す時にはフルチャージして行けば良い。連続4時間くらいは楽しませてくれる。

 何でもかんでも一つで済ませるのではなく、文書を作る、Blogを書くと言ったクリエーティブな目的・用途にはやはりしっかりしたキーボードとマウスの付いたパソコンがやり易い。 だから適材適所で用途ごとにデバイスを分けるのが最も合理的なように思う。de JA9TTT/1

(おわり)

2012年10月28日日曜日

Do Androids Dream of Electric Apple? , part 1

アンドロイドは電気林檎の夢を見るのか?

iPad mini
 7インチが出そろってタブレットPCが賑やかだ。
Book Readerとしてはamazon.comのkindleが数年先行しており、拙Blogでも3年ほど前に扱ったことがあった。(→リンク) ただ、それはあくまでもBook Readerであって、タブレットPCではなかった。

 「つかえる」タブレットPCとしては、AppleのiPadまで待つ必要があったようだ。

 ユーザーインターフェースが洗練され、マルチタッチ式パネルの採用で、指先で簡単に画面のスクロールやズーミングができるなんて、タブレットPCにうってつけの仕組みだ。 それまで誰も本格的に採用していなかったのだからAppleのユーザーインターフェースに対する意気込みを感じる。 そして先日iPad miniが登場し、大き過ぎて高価すぎるタブレットPCもより身近になってきた。 いよいよこれを買おうか?


Nexus 7
  android OSは無償で使える汎用OSとして、googleが開発している。それを採用したタブレットがついにgoogle自身から登場した。本家・本元のandroid Tabletと言う訳だ。

 iPadはAppleのiOSを採用している。しかし、それは自社製のタブレット或は自社のスマホ:iPhone専用である。
 それに対してandroid OSは誰でも使えるので、すでに様々な情報端末に採用されてきた。 そして、今ではタブレットPCに必要な機能が標準的に搭載されている。
満を持して、google自身が作ったのがNexus 7である。 販売はgoogleが行なうが、製造元はASUS TeK Computer Incだという。 なかなか本気そうなスペックである。

まっとうな考えなら、上の iPad miniを買うか、このNexus 7が良いだろう。 他にやっと日本にも登場したamazonのkindle Fire HDも良さそうなのだがBook Reader以外の使い方には制限がありそうだった。 amazon.jpにべったりな使い方なら良さそうなんだが・・汎用タブレットとしてはiPadかNexus 7が良さそうだ。

                ☆ ☆ ☆

中華Pad
 DDSモジュールでもそうだったが、「中華もの」はいま一つ信頼に欠けるところがある。 しかし、非常に安価であって、こうしたタブレットPCの世界でもそれは同じだ。

 OSは無償のandroid OSが採用されている。 少なくともOS費用は不要なのでその分だけ安い筈だ。 それでも、この破格のお値段には興味を感じざるを得ない。

 機能・仕様はNexus 7と比べてほぼ同等かむしろ優れた部分さえもある。 直接比較できるNexus 7の半値以下とあっては「ダメもと」で試して見る価値は大いにありそうだ。 それで、さっそく買ってみた。 他に32GBのmicro SDHCメモリカードも同時購入しておいた。本体に装着して本体8GBにプラス32GBの容量拡張ができる。

momo9
 「中華Pad」と言われるandroid Tabletは非常に沢山の製品が売られている。 比較サイトができている位で素人には選択に困るほどだ。

 その中から、上記のmomo9と言う製品を選んでみた。 情報が多く総合して自身である程度までなら対処可能そうに思えたからだ。 要するにリスクは自身でとる覚悟で安価な「中華もの」に手を出す訳だ。(笑)

 簡単な梱包で届いたのはこんな箱に入ったandroid Tabletだった。 おそらく、7インチタブレット用に標準で売っている箱に詰めているのだろう。 箱にはブランド名も型番も書いてない。

momo9:出してみる
 箱を開ける。
半透明で薄い保護袋に包まれた本体が現れる。 外観形状も他社パクリ品を含めて規格統一なのだろうからハコも標準化できる訳だろう。

 本体には表・裏ともに保護フィルムが貼られた状態で送られてくる。 あまり上等とは言えない保護フィルムだが、取りあえずそのまま使うのに支障はないようだ。 剥がさずに使うことにしよう。 なお安い保護フィルムは貼ったままにすると剥がしたとき糊が移ることがある。

momo9:これで全部
 箱に入っていたもの全部である。

写真で本体下のドキュメントは、簡単な説明書だけが日本語である。 英語の小冊子はandroid Tablet用の汎用品らしい。

ほか、右のケーブル類が入っている。


 
付属の説明書
 小冊子は汎用品らしい。

このバージョン(4.0.3)のアンドロイド・タブレット共通に使える内容になっている。 取りあえず、必要そうなことは書いてあるようだった。

 これの翻訳版はWebに上がっているが、使いながら理解してしまえる程度のざっとした内容だ。

付属品
 付属品はこれだけ付いている。安い割には立派なものだ。

AC100V用5V2Aの充電器・ACアダプタ、USBケーブル、TVに繋ぐHDMIケーブル、OTGケーブル、それにステレオ・イヤフォンである。
 この充電器は軽量なスイッチング.タイプである。PCからUSB経由で充電すると非常に時間が掛かるので実用的でない。

 それぞれビニル袋に入っていたが、出して並べてみた。 OTGケーブルと言うのは、android TabletにUSBメモリを読み込ませるときに利用する。 ケーブルが標準で付いているのは有り難いと思う。 購入したものはUSBマウスが使えるのはもちろん、USBメモリもそのまま読むことができた。

説明書と注意書き
 和文の注意書きは、この商品の性質が説明されている。 簡単に言えば、初期不良には交換に応じるがあとは知らないと言ったところだろうか。

 出荷前に簡単なテストはしているようだが、一般に中華Padの不良率はかなり高いらしい。 本気でマトモなメーカーなみの保証をしていたら商売にはならないだろう。

 ハズレを引いた場合は騒いでもしょうがないので、素直に諦めるのが精神衛生上は宜しいようだ。何せ破格に安いのだからやむを得ない。(笑)

起動させる
 正確に言うと、購入した状態では完全Power OFFの状態になっている。

 本体を横長に持って、右上にあるパワーボタンを長押しすると、起動が始まって暫く起動画面が流れる。 その後、左のような画面が現れる。(最初、時刻は合っていないかも知れない・簡単に直せる)

 これ、重要なことなんだが、こうしたタブレットPCは、使い終わったらレジューム状態(一種の待機状態)にしておくのが普通らしい。 完全にパワーオフしてしまうパソコンとは使い方が違うのだ。 レジューム中の待機電力もわずかで済むようにできている(らしい)。 従って次の起動ではほんの数秒で使用可能な状態に立ち上がる。これはたいへん便利な使い方だ。 OSの起動を待つなんてナンセンスにさえ感じてしまう。

 レジューム状態にするには本体右上のボタンを短く押す。 次の再起動も同じように、右上のボタンを短く押せば良い。

ロック解除
 起動したら、鍵のマークの部分に指先を当てて右にあるロック解除のマークのところまでスライドする。 これでOKだ。

 良く説明を読めば良いものを、最初は何も読まずにやってたらこんなつまらん部分でつまずいた。 ロックが解除できなくて次の画面に進めなかった。(笑)

デスクトップ
 パソコンで言うところの、デスクトップ画面だ。 デスクトップの壁紙は幾つかお仕着せのものがあって、それから選択できるほか、自分の写真も使える。 なので、各人で背景の写真は異なるだろう。これはお仕着せで入っていた物から選んだもの。

 また、デスクトップにおくアイコン・・・正確にはwindowsで言うところのショーカットアイコン、Macで言ばエイリアスに相当する物が並べてある。 これはこのあと出てくるアプリの一覧から常用したい物だけをディスクトップに並べておく。(これは好みで) ここに表示されたアイコンをタップするとすぐ起動できるから便利だ。

アプリ一覧を見に行く
 デスクトップ画面の右上に、6つの四角いドットが見える。

 この部分を指でタップすると、アプリの一覧を表示する画面が現れる。(次の写真)



アプリ一覧・1
 このタブレットは元々中国市場向けなので、最初から入っているアプリは中華アプリだったらしい。

 しかし、輸入したお店の方で日本語化した際に、日本のユーザーで一般的と思われるアプリをインストールしておいてくれる。意味不明な中華アプリも削除済みになっている。

 その状態で手元に届く訳だ。 写真には幾つか自分でインストールした物も含まれているが大半は買った時に入っていた物である。 なかなか良さそうなアプリが入っていた。 おまけにroot化してあり、super user化もしてある。 初心者には危険かも知れないが、それらはいずれ必要なことだ。 この画面でアイコンをタップすれば各アプリが起動する。

アプリ一覧・2
 指先でスルスルッと画面を左スクロールすると続きが見られる。前のアプリ一覧写真でわかるが、google playストアやPlayブックから購入できるように「フルマーケット化」されているので日本で使うのに支障ないよう考慮されている。

 なお、google play storeには有料・無料あわせて60万種類以上のアプリがあると言う。 多くはandroid携帯用らしいが、かなりのものがタブレットでも使える。 もっとも、Appleと違って審査はゆるゆるだから玉石混淆であり、個人情報を抜くのが目的のようなアプリもあるので要注意だ。無料ゲームの類いやユーティリティ系が危ないそうだ。良く確認してインストールしたい。

 もしも、中国に行った時、現地で購入すると当然のことながら日本語フォントすら入っていないのでまずは日本語化やフルマーケット化など設定替えをしないと使い物にはならない。相応の知識は必要だ。そう言う意味で日本の業者から買う意味はあると思う。それに例のAliexpressでも調べて見たが、中国直接でもそれほど安くはなかった。

 ほか問題があるとすれば、Wi-FiやBluetoothと言った無線関係が日本の技適を取得していないことだ。 これを大っぴらに使うと電波法違反になる・・・と言う訳で、表向き私は有線LANで使うことにしておく。(爆) 2.4GHz帯の標準的な物なので実害はないとは思うのだが・・。

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 タイトルの『Do Androids Dream of Electric Apple?』と言うのは、Philip・K・Dickの有名なSF小説『Do Androids Dream of Electric Sheep?:邦題・アンドロイドは電気羊の夢を見るのか?』から頂いたものだ。映画「ブレードランナー」の原作と言った方がお馴染みだろうか。 しかし、Blogとストーリーとの関連はまったく無いので悪しからず。 なお、小説ではタイレル社が作った最新アンドロイド(=レプリカント)はNexus 6型である。そしてGoogleが作ったandroid TabletがNexus 7型と言うのは、もちろんそれを意識したネーミングに違いない。

 では、安価なアンドロイド・タブレットはAppleの電気林檎:iPadの夢を見ることができたのだろうか? 続編ではそのあたり、実際に使った感触などを交えたいと思う。

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 数年前に米amazon.comのBook Reader『kindle 2』を購入したことがあった。電子書籍は未だ日本進出前ではあったが、PDF化したドキュメントが読める、起動が素早い、長時間バッテリ動作ができる、コンパクトで軽量である・・などの特徴から使い始めた訳だ。(その顛末は→こちら

 そこには早々に日本のamazon.jpがkindleに対応し、正式に日本語化がなされ日本の書籍も買えるだろうと言う期待もあったのだった。 しかし、何年も待たされ、やっと先日になってアナウンスされた。 しかも年月の経過でハードウエア/プラットホームは大きく様変わりしてしまい、実現した時には古い機種のサポートは切り捨てられてしまった。(大きな被害は無いがちょっと残念)

 当時の情報プラットホームすなわちkindle 2の性能は未だ中途半端な物であった。少なくとも日本で使うには満足できない部分があった。モノクロで反応の遅いe-Inkを使った電子ペーパー・ディスプレーだからネットへのアクセスはほとんど実用性が無かった。 最近になって、仕様を見ていたらandroid Tabletならそれを越えられるように感じた。 もちろんAppleのiPadなら間違いないだろう。 しかしお値段のことは別としても排他的なiPad miniの仕様・仕組みには少なからず気になる部分があった。 そこで目的に対して十分そうなら安価な中華タブレットも良かろう、試す価値は十分ありそうだと踏んだのである。 de JA9TTT/1

つづく)←リンク

2012年10月8日月曜日

【部品】Russian Transistor ГТ905А

 【Russian Transistor ГТ905А
 またまたロシア製のトランジスタГТ905А(GT905A)だ。 
前の、GT329B(=1T329B)と同じように、元々はソ連時代のトランジスタではないかと思う。

 ロシア製ゲルトラ(=ゲルマニウム・トランジスタ)の話しをしていて、ではパワー物はどうか?・・と言うことになって調べていたらコレが見つかった。 高周波にも使えたのはまったくの偶然である。

 だいぶ特殊な形状をしていて色あいと良いロシアの雰囲気は十分だ。 これ、最初は低周波専用かと思ったら必ずしもそうでも無いようだ。 規格を見るとfTは60MHzとなっている。 だからHF帯の低い方なら十分行けそうに思えた。

 【概略の規格;コメント付き
 ネットサーチで見つけたГТ905А(GT905A)の概略規格である。 オレンジ色の文字は、私が実測して確認した内容ほか、その規格に関するコメントだ。 ロシア語の規格は見つかるが、良くは読めないので未知な部分の多いトランジスタなのである。
 
 Vcboは75V、Vceでも60Vくらいある。 またピークコレクタ電流は7Aもある。(連続定格ではIc(max)=3A) 要するに一般的に言えばゲルマのパワトラそのものである。 AFパワーアンプにPush-Pullで使うと10Wくらいは行けそうに思う。

 ただ、fTの項目を見て驚いた。60MHzもあるのだ。これで例の「ゲルマ色の波」がもっとハイパワーで行けそうに思えたのだった。

 【実測評価試験
 手元に届いたので、実測評価することにした。

 いくらパワートランジスタとは言っても、何も放熱しないと測定中に熱暴走してしまう。ゲルマTrは高温が嫌いだ。 大きめのヒートシンクに熱伝導シートを貼付けて、その上に仮固定して測定することにする。(ネジ止めはめんどう・笑)

 ГТ905Аの金属フランジ部分はコレクタになっていて、そこを直接放熱してやるとかなり効率よく冷やせた。 測定中にに大きめの電流を流すこともあったが、安全な範囲の温度上昇にとどめることができた。 実際に使うときも、この程度のヒートシンクは必要そうだ。 なお、ヒートシンクのサイズは80×40×25(mm)である。

ГТ905Аの静特性
 実際に使いそうな範囲のコレクタ電流:Icとコレクタ電圧:Vceで測定してみた。 hFEは50程度のようだ。  Vbe逆耐電圧を測って見ると1Vもない位だった。 ベース拡散に濃度勾配を持たせて加速電界を作っている証拠だろう。 だからfTが高いのだ。 コレクタが底面のフランジに接続と言うこともあり、構造はメサ系ではないだろうか。 hFEのリニヤリティは良好である。

 パワートランジスタではあるが、RF用としては未知数なので、限度いっぱいまで使うのは冒険だろう。 手始めに電源電圧:Vcc=12Vで、コレクタ電流:Ic=300mA程度で使ってみたらどうだろうか? 入力:Pi=3.6Wと言う訳だ。 確かゲルトラのASOはシリコンに比べてだいぶ小さかったと思うので控え目の動作が間違いないところだ。

 そして出力パワー:Po=3W程度を目指すには、コレクタ飽和電圧:Vce(sat)=2V程度見込みIc=500mAくらい流す必要があるだろう。 まだまだ安全な範囲にあると思うので、実用的なQRP送信機にも成り得る。 但し、200pFもあるCoをどうするのか・・・と言う課題はある。 実測してみて220pF(at Vcb=12V)くらいあるのがわかった。 同様にCiもかなり大きいのでドライバ段もだいぶ苦しそうだ。

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 このトランジスタ、高速スイッチングが主な用途なのだろう。 使いにくさから見てRFのパワー用には今一歩かも知れない。 しかし国産の市販ゲルトラでW(ワット)オーダーのRFパワーが出せるものは見なかった。だから使いにくくても貴重な存在と言える。 こうした仕様のトランジスタは西側世界では早々に熱的に有利なシリコン製に移行してしまったからだ。なのでJAのゲルトラでは存在しないジャンルの石なのである。

 すぐに作るアテはなくても、構想を練るのは楽しいものだ。 前よりももっと強力な「ゲルマ色の波」が出せたら楽しい。 オールゲルマに拘ると難易度は数段アップしてしまうかもしれないがそれが面白いのだろう。 ただ、シリコンにしか無いようなデバイスもあるからオールゲルマの設計はかなり苦しいのですよね。 例えば、ツェナーDiやFETなんてゲルマにゃありませんから。

 土曜日(2012年9月6日)の秋葉原QRP懇親会では、このГТ905Аを含めすべてロシア製のゲルトラを使ったトランシーバを拝見する機会があった。JH9JBI/1山本さんの力作だ。 ГТ905Аの特性から苦労されたようだが、たいへんうまく纏められていて感心した。VFO式で自作ギヤダイヤル付きの7MHz CW機である。 周波数は安定でキーイングでもチャープは感じられない。素晴らしい出来映えだった。 さて、私も頑張らなくては。(笑) de JA9TTT/1

(おわり)

参考追記:このГТ906Аの本来の用途・目的だが(白黒)TV用の水平出力トランジスタだったようだ。 そのため、低周波増幅用よりも高速動作できるようになっているのだ。 それでも水平発振周波数(ソ連の方式では15.625kHz)は可聴周波数の上限程度なので入・出力容量が大きくてもあまり支障はなかったのだ。(2012.11.22)