2011年11月28日月曜日

【部品】AD9851 DDS Control Part 1

DDS モジュールの制御:DDS Module Controller
 突如安価に登場した中国製らしいDDSモジュールはそのままでは何も機能してくれない。信号を得るには基板に搭載されたDDS-ICにしかるべきコマンドを与え、周波数データも送り込まなくてはならない。

 アマチュアのあいだでポピューラーな秋月電子通商のDDSキットは基板上のDIPスイッチからデータを読み込み、スタンドアローンで信号発生できるようになっていた。しかしこちらのモジュール(写真手前)は単独で動作できるようにはできていない。たった一波の発生でさえも必ず何らかのコントローラーが必要だ。

 もちろん、コントローラにはマイコンが普通だろう。しかしマイコンなしでDIPスイッチとシフトレジスタを組み合わせたハードロジックでも不可能ではない。配線が大変なので私はやりたくないけれど・・・。AVRマイコン+BASCOMでやる方がずっとスマートだ。

 写真奥はATmega88を使ったマイコン基板である。もともとは内蔵の10bit A/Dコンバータを実験するために作ったものだった。 ポートもたくさん余っており、実験には良さそうなのでDDSモジュールのコントロール実験に流用することにした。LCDの配線とか、意外に面倒なので既存の基板があれば楽である。この実験後もA/Dコンバータ部分に手は付けない予定なのでプログラムを元に戻せば何時でも前に帰れる。このあたり、Flash memoryマイコンの良い所だ。

 手前の基板には DDSモジュールを載せ、ほかに5Vの安定化電源(3端子Reg.)とDDS出力のアンプなどを置くつもりだ。 DDS-ICの消費電流は大きいので上のマイコン基板からは供給できない。別途+5V電源が必要だ。 実験が済んだら元へ戻すのも良いが、全部を小型の箱に収納してしまい簡単な発振器として使うのも良さそうだ。もちろん周波数はロータリーエンコーダー等で連続可変にすべきだ。ほかにレベル安定のためのALCやAM変調回路も内蔵しておくと簡易な実験用信号源として便利に使えるだろう。できてから考えてみたい。 AD9834用に作ったAVR基板の流用も容易なのだが、テスト継続中なので手をつけずにそのままにしておきたい。

DDS-ICはAD9851
 前のBlogを記憶しているなら「あれっ?」と思うかもしれない。 実はこのモジュールにはAD9850を使うものとAD9851を使う物が売られている。この二つのDDS-ICはピン・コンパチブルなので同一基板に実装できるのだ。さらに制御プログラムの方もほとんど同じで行ける。残念ながら先にAD9850を購入したaitendoにはAD9851モジュールの方は無いようである。(今のところ・笑)

 このAD9851モジュールは中国の通販ショップから購入した。(共同購入に参加させて頂いた。VY-TNX!) そのショップは単品で@$35-であるが、数量割引があって3〜6個の購入で@$30-、7〜20個では@$28-になる。数名で纏め買いしたので@$28-になった。為替レートを$1-=¥80-と仮定すると@¥2,240-になる。なお中国から日本国内への送料は無料であった。(参考:同じショップでAD9850モジュールならさらに安価。単品で$25-、3〜6個で@$20-、7〜20個なら@$18である。高い周波数の必要がなければこちらの方が経済的)

海外通販は注意深く!
 海外通販の安全性、ましてや中国からの安全を保証するものではないが、取りあえず問題はないようである。誰彼かまわずにお薦めできるものではない。各自の責任に於いてチャレンジされたい。ショップの永続性も怪しいものがあって、責任は持てないから購入先へのリンクは省略させてもらおう。(各自検索で。私への問合せはご遠慮を)

 AD9850とAD9851の違いであるが、これからの評価と言うことになる。簡略にテストされたお方によれば、おおまかな評価では差は感じられなかったそうである。 自身が重きを置く性能・機能が十分なのかも確認する必要があるので、このあと自身でも実験してみたい。簡単に言えば評価ポイントは信号の奇麗さの比較になる。

 AD9851は内部にクロックを6逓倍する回路が内蔵されている。従ってAD9850のように125MHzと言う高いクロックを直接与えなくて良い。写真のAD9851モジュールでは30MHzのクロック発振器が搭載されていた。従ってDDS内部は180MHzのクロックで動作することになる。このため125MHzのクロックであったAD9850モジュールよりも、もっと高い周波数まで発生可能だ。 検証が必要ではあるが実用上限は60MHzあたりであろう。 従って局発に使えば比較的高い所にIF周波数を採ったシングルスーパーでHF帯全域がカバーできそうだ。 もちろん信号が奇麗であると言う前提は必要なのだが・・・。(BCLラジオくらいには十分イケそうだ。いや、もっと・・・)

                  ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 数日で2011年の11月も終わってしまう。一編もBlogがない月は寂しいものだ。それで急遽用意したテーマなので評価前の予告編になってしまった。(笑) ここではAD9850だけでなくAD9851を使ったDDSモジュールも(安価に)登場していると言う話題を提供できたなら今月の目標は一応達成である。de JA9TTT/1

つづく)←続きへリンク

2011年10月11日火曜日

【部品】Improve the use of TA7358P -Part 1

TA7358Pの使い方を改良する
TA7358Pと言うIC
 いまでも普通に流通していて、手軽に使えるDBM-ICと言えば東芝のTA7358P/TA7358APくらいだろう。 APの方は製造プロセスの改良で、多少性能が良くなっているらしいが本質的にはどちらも同じものである。いずれも1個100円くらいで買える有難いICだ。(注:最近TA7358PG/APGと言う末尾G付きが登場している。これはRoHS対策品で、足ピンのメッキは異なるが性能は同じ)

 SN76514N、SN16913Pと言った使い易いDBM-ICが入手できなくなって、このTA7358P/APが自作ハムに注目されるようになった。 ところが赤のアンダーラインで示した部分がHAMの活用では問題になるのである。 これはこのICを使った人なら実感を持っておわかり頂けるだろう。

TA7358Pのブロック・ダイヤブラム
 シングル・インライン型9ピンのパッケージに、RFアンプ(1〜3ピン)、ダブル・バランスド・ミキサ(DBM)(4〜6ピン)、それに局発回路(7〜9ピン)がコンパクトに内蔵されている。

 少ないピン数で、FMラジオの入力回路部(フロントエンド部)が構成できる。 電源電圧も1.6〜6Vと幅広く、消費電流も少ないのでポータブルなFMラジオを作るのに最適にできている。

 このように、FMラジオ用に良くできており、「ミクサー出力のクランピング・ダイオード」も、FMラジオには有効な機能である。(それ用に作ったICなのだから当たり前だが) 放送局が近く非常に電波が強い時には効果的なのだ。クランプされてもFM波ならあまり支障はない。

TA7358P/APのDBM部分
 図の様に典型的なギルバート・セル形DBMになっている。 MC1496G/P(←関連ページにリンク)の時代から続く標準的な回路で、IC化するとバランスが良いのでキャリヤ・サプレッション(搬送波抑圧比)は良好である。

 特に、TA7358Pでは内部のデバイス特性が良く揃っていて、パターンレイアウトも良いためか、バランス調整なしでもかなり良好な性能が得られるようだ。

 ところが、図の赤で囲ったダイオード(=IC内部にある)が邪魔なのだ。このお陰で、DBMの出力振幅はダイオードの順方向電圧(約0.7V)を越えることができない。 DBM回路そのものは未だ十分リニヤな動作範囲にあるのに、ミキサー入力信号が大きくなるとダイオードのお陰で出力は歪んでしまうのだ。 以下の実測写真でその作用が良く見える。

 MC1496G/Pはもちろんのこと、SN76514NやSN16913Pをはじめ、SA602(=NE602)、SA612(=NE612)ではこのようなクランピング・ダイオードは入っていない。汎用に使うためには邪魔なダイオードである。 取ってしまいたいと誰しも思うが、ICの中にあるものを取る訳にも行かない。 「東芝さん、余計なことをしてくれましたね・・」とつぶやく自作HAMも多いのかもしれない。(笑)

TA7358Pの出力波形
 単純なDBMとして動作させてみた。 DSB信号なので、ツートーンと同じようなエンベロープになる。従って正弦波状のエンベロープになるはずだ、(キャリヤ周波数:1MHz、AF信号:1kHz、出力部はRFC負荷で非同調)

 しかし、出力部分のダイオードのお陰で物のみごとに1.4Vppでクランプ(クリップ)されている。 我々のアプリケーションのように、振幅に意味がある信号を扱うには注意が必要なのだ。 歪みなく使うためには、このDBM回路から1.4Vpp以上の信号を取り出しては旨くない。(注記:ダイオードの片側は電源電圧に固定さている。電源電圧を起点に+0.7Vと-0.7Vでクランプされるためp-p値では1.4Vとなる。2011.10.13)

 しかし、そうすると応用には制限が生じてしまう。 SSBやAMと言った振幅変調系の信号を扱う受信機では、かなり入力信号を絞って使う設計にしなくてはならない。 それでも突発的に強い信号がミキサーに加われば、感度抑圧現象や相互変調歪みが発生してしまうことになる。 ちょっと気の利いた設計の受信機には使えないICだ。

 SSBジェネレータに使うにも、音声信号の振幅を良く管理しなくてはならない。 そうしないとコンプレッサが掛かったような、「音声ピークが抑えられたSSB信号」になってしまう。  一見トークパワーが上がって良さそうに感じるかもしれないが、単純に音声ピークが抑えられるだけではない。 音声は複合信号なので、信号相互の相互変調歪み成分が音声帯域内にも発生してしまう。 音が濁って発生させたSSBの音質を害してしまうのだ。 そうかと言って、音声信号を抑えて使うと、キャリヤ・サプレッションで損をするし、S/Nも悪くなるのでSSBジェネレータに使うにも不利である。

 結局、このように見て行くとTA7358P/APは、「所詮FMラジオのフロント・エンドなのだ」と割り切って使うことになってしまう。 ずいぶん前に生産中止のSN76514NやSN16913Pをいまだに探す人があったり、外付け部品が多くて少々使いにくいMC1496G/Pを使い続ける人がいるのもうなずける。(JRC製のセカンドソース:NJM1496D/M/Vが生産中)

TA7358P/APの使い方を工夫する
 これが今夜のBlogのテーマ、「使い方の工夫」で実現したときのDSB信号の写真である。 上記と同じ信号を与えている。オシロの目盛は同じになっている。 一目瞭然、約13Vppの信号を取り出しているがオシロで見た範囲では目立った歪みは見えない。(キャリヤ周波数:1MHz、AF信号:1kHz、出力部はRFC負荷で非同調)

 内部回路図にあった、クランピング・ダイオードで制限されないようにTA7358Pを使っている。 もちろん、入力を増やして行けばやがて歪むが、その歪みはクランピング・ダイオードの作用ではない。 他のDBM-ICと同じように有限の電源電圧や回路電流によって起こる飽和現象の為である。

 TA7358Pの内蔵ダイオードを外から焼き切って「無き物」にしてしまった訳ではない。 もちろん、ICは定格電源電圧の範囲内で使っている。 何ら無理な使い方はしていない。 このようにクランピング・ダイオードを気にすること無く他のDBM-ICと同じように使えるようになった。

            ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 最近,オークションで纏めて落札したと言うTA7358Pを安価に分譲して頂く機会があった。 以前から安価に流通していることはわかっていたが、上記の問題があって活用が制限されると感じていた。 これまでは手を出さずにいたが、折角のICを無駄にするのも勿体ない。 何とか改善できないものだろうか。様々考えてみた。

 良さそうなアイディアが纏まって来たところで三連休の最後に試す時間を取ることができた。 実験を始めて、考えそのものは良かったのだがTA7358Pには別のクセがあって、それがワルサをして少々トラブってしまった。 結局、写真ような奇麗な波形が得られてアイディアは有効だとわかった次第。これでもうちょっと有意義な三連休にすることができた。 今日は神社に参拝して来たのが良かったのかも。(爆)

 TA7358Pのクセの問題も合わせて、改めてBlogできたらと思う。 de JA9TTT/1

(おわり)

2011年10月7日金曜日

【回路】AD9850 DDS Module

AD9850を使ったDDS基板
 AD9850と言うDDS-ICとクロック発振器ほか周辺回路の部品を実装した基板を購入してみた。 基板完成状態で@3,500円であった。 これは安いのだろうかと言う話しになりそうだ。
 3週間ほど前に注文したが品切れで待たされた。 売り切れ=キャンセルではなくて再入荷を待ったようだ。これは単発のジャンク品ではなくて継続した供給が可能なようである。自作機器には重宝なので永続的な供給を期待したいと思う。(参考:aitendoと言うネットショップで購入)

 秋月で売っていたDDSキット(←参考リンク)は6,400円(*注)であった。こちらは基板完成状態なのでお買い得と言えそうだ。 但し、秋月キットは基板単独でも発振器として使い得るのだが、こちらはマイコン(パソコン)の助けが必須である。 初期化してから必ず周波数データを送ってやらねばならない。マイコンが使えないと便利な基板にも手が出せない時代なのである。(*注:5,400円に値下げされたあと、現在は販売終了したもよう。2017.05.14)

参考:現在ではより一段と安価な中国製DDSモジュールが登場している。これから手に入れるなら断然そちらがお薦めだ。クロックの高純度化とあわせて詳細は別のページ(←リンク)で扱っている。このページを読んで概要を良く掴んだ後で合わせてご覧を。(2012.02.26)

AD9850-DDS基板回路図
 これは参考回路図である。 このようにAD9850を中心にクロック発振器と周辺部品が搭載され、必要な端子がコネクタに引き出された基板になっている。コネクタ部は2.54mmピッチなので普通の蛇の目基板に実装できるようになっている。(注:一部回路図と現物が違っている。現物のシルクを見るとわかるがJ5のGNDとD7は入れ違って逆である。回路図が間違っており、正しくはJ5-Pin7がGNDでJ5-Pin6がD7である。TNX! JE6LVE

 出力部には有極形の割とマトモそうな形式のLPFが付いている。fc=70MHzだそうだが、E系列の標準部品で構成しているので実測するかシミュレーションで特性を確認してみたい感じ。60MHzくらいまではフラットに通しそうだ。DDSから上限いっぱいまで取り出すには単純なπ型では厳しいのだろう。内蔵D/Aコンバータ(DAC)とLPF設計の都合で出力インピーダンスは200Ωになっている。50Ωで使うなら外部にインピーダンス変換器が必要だ。レベルも低めなので汎用信号源にするならゲインのあるバッファアンプの付加がお薦めだ。クロック周波数が125MHzなので、電源電圧:+5Vで使うことになる。電源電流はこのボードのみで150mAくらい見込む必要がありそうだ。(記述一部修正:2011.10.9)

 何か、汎用の目的で開発した基板なのだろうか? このDDS基板を元に信号発生器ばかりではなく、受信機、周波数特性測定機・・・様々な機器に活用できるだろう。

 見ての通りAD9850からはデータバスが引き出されている。従ってパラレル、あるいはシリアルのいずれの形式でも周波数データを設定できる。但し秋月DDSのように、単純に「DIPスイッチで」とは行かないから注意を。 いまではワンチップ・マイコンが安価である。高機能は追求せずに周波数設定だけが目的なら制御プログラムもごく簡単だろう。使いこなすまでにはアナログ・デバイセス社の資料を詳細に見る必要がありそうだ。

 HAMの活用だが、たとえばSSB復調器用のBFOのように数波をスイッチで切り替えれたいだけなら周辺回路を含め非常に簡略化できる。 費用もむしろ数個の水晶発振子を特注するより安価であろう。 たいそうな「DDS発振器」ではなく、ごくシンプルな水晶発振器の代用として使っても経済性は悪くない。

使い方のTIPS:基板上のJ1〜J4およびJ5(Reset)の意味と処理方法。
 シリアル通信モードで使う場合はJ1をショート(短絡)すること。また、J3は出力DACの電流を加減する端子である。ショートしておくか、何か抵抗を入れて電流を可変するようにしておく。オープン(開放)のままでは出力が出てこない。なお、周波数データ32bitと制御コマンド8bitの計40bitのパルス列はJ5-Pin6のD7にシリアルに与えること。(以上、必須)
 J2は矩形波出力を必要とする時にはショートする。矩形波の出力端子ははJ7のWAVE3とWAVE4(反転)である。通常はJ2オープンで良い。J4はLPFを通らないDAC出力のモニタ端子なのでオープンのままにする。別のLPFを外付けして、例えば低周波専用にするetc.の場合はこのJ4端子を使うと良い。J5のPin3にはMaster Resetが引き出されている。HighでAD9850はResetされる。Reset後はLowに固定しておく。たぶん、Lowのままでも大丈夫だ。(TIPSは私の回路の解析から。引用する場合は参照もと明記のこと)

クロックは125MHz
 搭載されているクロック発振器は125MHzである。AD9850の規格上限クロック周波数になっている。

 125MHzクロックの場合、折り返しと重なる上限の周波数は半分の62.5MHzである。 ただし、製作可能なLPFの特性や、スプリアスのレベルから考えると、そこまでは使えない。クロック周波数の約1/3程度、即ち40MHzあたりまでが実用範囲と考えるのが合理的だろう。前に扱ったAD9834より一段と周波数が高くHF帯がフルにカバーできるのは有利だ。 125MHzクロックの場合、最小周波数ステップは、クロックの周波数が正確であるとして、0.02910383046Hzとなる。 要するに周波数の刻みはクロックを2の32乗で割った周波数になる。

 こうしたクロック発振器には必ず誤差がある。正確な周波数の発生にはプログラムによって「デジタル的な周波数補正」を行なうべきだろう。 周波数が高いことでオシレータ自身の発熱も幾分多そうだから温度ドリフトも多めかもしれない。 安定度も考慮した周波数精度は1〜2ppmの誤差ではないかと思う。それでも十分安定なVFOになるだろう。

 AD9850:DDS-ICの欠点はAD9834と比べて消費電流が大きいことだ。ポータブルな機械には向かないが、AC電源で動作する機器なら支障はない。それに周波数範囲が広いのはかなり大きなメリットだ。

                 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 まず始めにDDS-ICを入手し、さらにクロック発振器も用意したら変換基板に実装して自作すると言うのが従来の工作スタイルだった。 しかし、表面実装のチップを変換基板でピッチ変換し、さらには蛇の目基板で自作するくらいなら、こうした基板モジュールを使ってしまうのも悪くないかもしれない。 部品代の総計から言っても、けして高いものではないと思う。 実は、この基板は中国製らしく、中国直送でさらに安価なショップもあるそうだ。(笑)

#あとはプログラミングでこれを旨く使いこなすだけだ。 de JA9TTT/1

つづく)←リンク

2011年9月29日木曜日

【部品】14.318MHz Crystals

14.318MHzのクリスタル
 写真はHC-49/U形の14.318MHzクリスタルだ。すでにこの形式は旧式であり、高さ方向をつめた後継のHC-49/USでさえ国内の製造は終わったと聞く なんでも表面実装で組立てる時代になって、こうしたリード付き部品は流行らないのである。

 整理していてたくさん出て来たので、どう料理しようか思案中だ。 オーソドックスにラダー型クリスタル・フィルタの用途が一番だろうか。 ハムバンドに入っているので、14MHzのリグには向かないが他のバンドなら良いかもしれない。

 TVがデジタルに移行したので、もはやNTSC方式のアナログ・カラーTVは作られないだろう。 14.318MHzのクリスタルはNTSC方式のカラー副搬送波(=3.579545MHz)を作るために使われていた。 時代を反映したジャンク部品も時とともに消えて行くに違いない。

秋の夜長、クリスタルの選別から始めてSSBジェネレータの製作など如何だろうか?
de JA9TTT/1

(つづく)

2011年8月7日日曜日

【部品】making replica FCZ Coils

いわゆるFCZコイルの製作
 FCZコイルの模造品を作ってひと儲けしようと言う魂胆じゃない。 商売として模造品の製造が可能なくらいなら、今でもホンモノが継続していただろう。継続に向け関係者が様々な努力をされた結果の製造中止だろう。しかし慈善事業ではないから採算にのらなくなれば致し方あるまい。

 なくなってしまったものは仕方がない。どうしても必要ならオークションで「金力勝負」に出るか、頭と手先を使って「使えるもの」を自分で作るしかない。 自作HAMとして、金力頼みではいささか悲しいから手作りの方をお薦めしたい。 FCZコイルの設計意図はにわかには計り知れぬ所もあるが、電気的に同一、あるいは類似のコイルなら十分に手作り可能だ。こうしたコイルの性質を知っていれば幾つかの情報だけで十分作れる。 もちろん、さしたる道具も必要としない。

 写真は、CQ Hamradio誌2011年9月号に掲載予定の拙記事である。 FCZコイルが生産中止になって既に数ヶ月経過している。 だれかが既に類似記事を投稿しているかと思ったら、そうでもなかったようだ。しばらく前から「FCZコイル」関連のキーワードでこのBlogに来る人が急増していた。それでこのニーズには何とかする必要があると感じていた。

 秘伝でもなんでもないが、アマチュア的で十分使用可能な代替品(模造品?)の作り方(ノウハウ?)を掲載して頂いた。 中身はその実オーソドックスなものである。コイル巻きのベテランなら既に実践中かもしれぬ。しかしFCZコイルは『使うもの』で、『作るもの』ではなかったなら記事は新鮮だろう。勿論どこかの話しの焼き直しではない。 近ごろはみな短いなかで全6ページと奮発して頂いた。FCZコイルに困ったなら役立つかも。 いわゆる10Kとか7Kと言われるコイル形式で作る例を扱っている。

 CQ Hamradio誌9月号は、2011年8月19日発売予定だ。 一部地域や直接購読者はもう少し早く読めるそうだ。 9月号は品切れ必至だから(ホントかなあ?・笑)お早めに近くの書店でどうぞ。もちろんAmazonにもありますとも。(注:9月23日現在、Amazon.co.jpの在庫が復活。ほか古書店からはなぜかこの号だけプレミアム付きで出品されている。Amazonの在庫が切れたらまずはCQ出版に当たってみる方が良い。出版もとでも品切れたら該当ページのコピーサービスを受けるのが得策)

続きも:『FCZコイル+トロイダル』のキーワード検索もかなり頻繁にある。 入稿済みだった『トロイダル・コアで作る続編』がCQ Hamradio誌2012年3月号(←紹介ページにリンク)に掲載された。こちらにも『Something NEW !』をタップリ盛り込まれていると思う。トロイダルコアでFCZコイルを作りたいなら是非ご覧を。(追記:2012.02.20)

注意 !:編者が目を通した雑誌記事とは言え、学術論文のように査読をうけたものではない。記事は、自作を楽しむための「一つの」アイディアを提供するものだ。既にご自身の手法を確立しているならそれを続けるのが一番だろう。自作は良さそうなアイディアを取り込みながら各自各様に工夫しながら楽しむもの。 本記事のベースは私の『アイディア・ノート』である。 de JA9TTT/1

               ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

追記】ご覧いただいたご感想に基づいて、若干の補足を追記する。(2011.8.20)

(1)図2:コイル測定用発振器:
   使用可能なFETとしては、記事中に例示した以外に高周波小信号用FETなら
   多くが使用可能。例えば、2N4416、J310やMPF102など海外製でも良い。

(2)図1:10mm角コイルの巻き数とインダクタンス:
   グラフの作成にあたって・・・・
   中心の「ねじコア」の位置は、可変範囲の中心相当の位置にしておく。
   シールドケースの上面より、概略2.5mmほどねじ込んだ位置になる。

(3)シールドケースの外し方:
   外し方は記事では特に触れていない。少しコツは要るが難しくはない。
   怪我をしないよう注意しながら各自で良く研究を。(物により違うので)

(おわり)