【ハム・フェア 2014より】
【今年のハム・フェア】
8月の末はハム・フェアです。 今年も有明ビックサイトで開催されました。 22日が準備で、23・24両日が一般公開日です。 土曜日23日に出掛けました。 例年、この時期は残暑が厳しいのが通例でした。 Getした重たいジャンク品を汗だくで運んだことなど思い出されます。 ことしは雨模様もあって幾分過ごしやすかったです。それでも蒸し暑くて、帰宅したら真っ先にシャワーを浴びずにはいられません。にぎやかな懇親会で時を過ごし、24時前に帰宅しました。
ハム・フェアと言えば無線機メーカーの新製品発表が恒例ですが、HF帯の旗艦機は既に出そろった状況なので、今年はこれぞと言う目玉は無いようでした。 アルインコのデジタル機は大幅なデジタル化とかで興味がありましたが、どうもチープな路線のようでパッとしなかったのは残念です。あとは某社50周年記念の金ピカモデルとか、これもちょっと趣味が合わない感じでした。中身もいじってあるようですが金ぴかにする必要があるのでしょうか。渋い燻し銀にするとか、よほど高級に思うのですが金ぴかは大阪人の趣味でしょうか。hi hi
もう一つ、「ハム・フェアと言えばジャンク市だろう!」と言うお方も多いと思いますがネットオークション全盛の昨今にあってはどうもパッとしません。 リグ系、測定器系、部品系、アンテナ系のいずれも大したものが見つけられませんでした。 記念になりそうな軽量小型でお値打ちの品などないだろうかと思ってぐるぐる回って探したが見つけられませんでした。 遊ぶための素材もだいたいは揃ってるのですから食指が動かないのも無理からぬとも思います。私が欲しくないだけで、一般的に見てそれなりに良さそうなものは結構出ていたように感じました。
結局、私は買うものに困ってZilogのロゴも鮮やかな往年の銘CPU:Z-80の10個入り1レールをお土産にしました。1992年第46週製造の終末期のZ-80ではないでしょうか。(写真) まあ、使うことは99.9%ないと思いますが本家ZilogのZ-80はいずれ希少品になるかも?? i8008じゃあるまいお宝に化けはしないでしょうねえ。(笑)
流石に超ポピュラーだったCPUだけあって、今でも作って楽しんでいるお方もあってネット検索でたくさんヒットします。 面白いなあと思ったのは、AVRマイコンとZ-80のコラボで昔懐かしいCP/Mを動かすプロジェクト。(→リンク)流石にフロッピーディスクの時代じゃないのでソフトはSDカードに移して読ませています。MBASICほか各種の高級言語が豊富に存在していたので何も無いほかのCPUより遥かに遊び甲斐がありそうです。まだ読めるかどうかわかりませんが拙宅にもFortranとかCobolなんかのFDもあったはずです。工夫すればまだまだ楽しめる素材のようですね。本家本元のZ-80でやったら乙かも知れません。
【24MHzの水晶発振器】
もう少し実用的なものもと言うことで、24MHzの水晶発振モジュールを購入しました。 すぐに必要ともしていませんが新品25個入りが500円だったので何かの時にでも・・と思って買っておきました。 たぶん使い切れずに死蔵品になりそうな予感がします。(笑)
ちなみに、DDS:AD9850のクロックに使うと消費電流を大幅に削減可能です。クロックそのものが喰わないのとAD9850の消費もかなり減って、だいたい50mA以上少なくて済みます。 もちろん、実用的な上限周波数はせいぜい8MHzになってしまいます。ごく低い周波数の発生で済むなら十分使えるでしょう。 125MHzクロックで消費電流過多で困ったなら使える手です。 信号のきれいなクロック発振器でした。
☆
ハム・フェアと言えば、やっぱりジャンクでしょ!・・・と言う声も聞くのでお土産をご披露してみました。 しかし、本当のお土産は皆さんとのアイボールです。 クラブの会員さんがたくさんお見えになったので久しぶりのラグチューを楽しむとか、お元気な姿を拝見するだけでも良かったです。 来場者と話し込んでいたらJH1FCZ大久保さんに声をかけて頂いきました。会場に出てくるのもだんだん大変になったと言うお話でしたが、お元気そうで何よりでした。
#写真はロシア製真空管6H7C(米 6N7GT相当):新橋で開催のQRP懇親会場にてJG1SMD 石川さんに頂いたもです。B級pp用の面白い球。TKS ! JG1SMD
冷静に考えてみれば、すでに「モノ」は整理する段階にあるのだからそうそう目ぼしいものが見つかるはずはありません。 出来心から始末に困りそうな大きくて重たいガラクタジャンクを買い込まなくて良かったというオチにもなりそうです。 楽しい思い出なら有って困ることもありません。 de JA9TTT/1
(おわり)
2014年8月15日金曜日
【回路】Sine wave oscillator : Part 1
【低ひずみ正弦波発振:Part 1】
【低ひずみをめざす】
低周波発振器の話です。 去年の9月ころ、ウイーン・ブリッジ発振回路(←リンク)というBlogを書きました。 発振回路にはウイーン・ブリッジ型を使い、発振振幅の自動制御には「まめ電球」の加熱による抵抗変化特性を利用しました。
うまく発振してくれて、そこそこ良い性能が得られたので振幅の安定に「まめ電球」式もなかなかだと思いました。 まあ、教科書通りと言うことかもしれません。 ただし、ひずみ率は0.01〜0.02%程度なので昨今のオーディオアンプの性能評価には物足りません。 真空管式パワーアンプのテスト用信号源ならまあまあ使えるレベルと言った感じでしょうか。
やはりもう一桁くらい低ひずみの発振回路が欲しくなります。 ウイーン・ブリッジ回路と電球による振幅制限では限界があるので、別の方法でやってみました。 この手の低歪低周波発振回路は色々あってそれぞれポピュラーです。ここでは状態変数型:State-Variable型で試しました。(参考:Bi-Quad型のフィルタ回路も類似であり、発振回路を構成できます) バンドパス・フィルタに正帰還を掛ける形式です。 写真はその試作風景です。
【0.0014%くらい】
途中経過ですが、ひずみ率は0.0014%くらいが得られます。(上のブレッドボード) 目標性能なので、まずまずと言ったところでしょうか。 これ以上改善するには全体的な見直しが必要でしょう。
その前に測定環境を改善しないと測るのが難しいレベルに来ています。 AC電源50Hzハムやラジオ電波の飛び込みはカットしていますがLED電球や電球型蛍光灯などのインバータ機器によるノイズほか、電気的なノイズは身の回りにあふれています。 ガラス入りダイオードをレベル検波に使うと照明の明滅周期でノイズが乗るとか・・笑えないことも起こります。(SBDで起き易い傾向あり)
-100dBあたりの歪み率を扱います。 発振振幅は数Vpp程度ですからひずみ成分はマイクロ・ボルトのオーダーです。容易に環境ノイズの影響を受けてしまいます。 このあたりも考えて評価しないと何をやっているんだか・・・の世界なのです。(笑)
☆ ☆ ☆
イントロ編ということでサワリだけになりました。 諸事が重なって、Blogネタに窮したので実験の途中経過をちょっとだけ報告しました。
最終目的は低ひずみ発振回路の製作にありますが、実はその回路に使う振幅制御素子の検討から始めています。 低ひずみを狙って今度は「まめ電球」ではなく、電圧可変抵抗素子を使います。 そのような素子は種々ありますが、FETでやってみようと思い何種類か交換してデータを採取しています。
巷ではレトロな2SK30Aの使用例が多いようです。古い回路の引用だから仕方ないと言う理由もあるでしょう。しかし回路は引用していてももっと良いFETがあるなら交換しているはずです。 いつまでも製造中止のFETに頼るのも如何なものでしょうし・・・。 使い続けるからには、何かノウハウのような理由(ワケ)があるに違いない・・・と思いながら専用測定回路を作って各種FETのデータを採ってみました。 そのあたりのこともさらっとやろうかと思いますが、どうも浮気タネばかり多くて進みそうにありません。(笑) de JA9TTT/1
(つづく)←一応、このつづきのBlogへリンクします。
【低ひずみをめざす】
低周波発振器の話です。 去年の9月ころ、ウイーン・ブリッジ発振回路(←リンク)というBlogを書きました。 発振回路にはウイーン・ブリッジ型を使い、発振振幅の自動制御には「まめ電球」の加熱による抵抗変化特性を利用しました。
うまく発振してくれて、そこそこ良い性能が得られたので振幅の安定に「まめ電球」式もなかなかだと思いました。 まあ、教科書通りと言うことかもしれません。 ただし、ひずみ率は0.01〜0.02%程度なので昨今のオーディオアンプの性能評価には物足りません。 真空管式パワーアンプのテスト用信号源ならまあまあ使えるレベルと言った感じでしょうか。
やはりもう一桁くらい低ひずみの発振回路が欲しくなります。 ウイーン・ブリッジ回路と電球による振幅制限では限界があるので、別の方法でやってみました。 この手の低歪低周波発振回路は色々あってそれぞれポピュラーです。ここでは状態変数型:State-Variable型で試しました。(参考:Bi-Quad型のフィルタ回路も類似であり、発振回路を構成できます) バンドパス・フィルタに正帰還を掛ける形式です。 写真はその試作風景です。
【0.0014%くらい】
途中経過ですが、ひずみ率は0.0014%くらいが得られます。(上のブレッドボード) 目標性能なので、まずまずと言ったところでしょうか。 これ以上改善するには全体的な見直しが必要でしょう。
その前に測定環境を改善しないと測るのが難しいレベルに来ています。 AC電源50Hzハムやラジオ電波の飛び込みはカットしていますがLED電球や電球型蛍光灯などのインバータ機器によるノイズほか、電気的なノイズは身の回りにあふれています。 ガラス入りダイオードをレベル検波に使うと照明の明滅周期でノイズが乗るとか・・笑えないことも起こります。(SBDで起き易い傾向あり)
-100dBあたりの歪み率を扱います。 発振振幅は数Vpp程度ですからひずみ成分はマイクロ・ボルトのオーダーです。容易に環境ノイズの影響を受けてしまいます。 このあたりも考えて評価しないと何をやっているんだか・・・の世界なのです。(笑)
☆ ☆ ☆
イントロ編ということでサワリだけになりました。 諸事が重なって、Blogネタに窮したので実験の途中経過をちょっとだけ報告しました。
最終目的は低ひずみ発振回路の製作にありますが、実はその回路に使う振幅制御素子の検討から始めています。 低ひずみを狙って今度は「まめ電球」ではなく、電圧可変抵抗素子を使います。 そのような素子は種々ありますが、FETでやってみようと思い何種類か交換してデータを採取しています。
巷ではレトロな2SK30Aの使用例が多いようです。古い回路の引用だから仕方ないと言う理由もあるでしょう。しかし回路は引用していてももっと良いFETがあるなら交換しているはずです。 いつまでも製造中止のFETに頼るのも如何なものでしょうし・・・。 使い続けるからには、何かノウハウのような理由(ワケ)があるに違いない・・・と思いながら専用測定回路を作って各種FETのデータを採ってみました。 そのあたりのこともさらっとやろうかと思いますが、どうも浮気タネばかり多くて進みそうにありません。(笑) de JA9TTT/1
(つづく)←一応、このつづきのBlogへリンクします。
2014年8月1日金曜日
【測定】TRIO LPF LF-30 : Part 3
【TRIOのLow Pass Filter : LF-30 その3】
【改造検討した回路】
トリオ(現Kenwood社)製・30MHzのローパス・フィルタを75Ωから50Ωに改造して活用しようと言う話の最終回です。この話しもそろそそ片付けることにします。(前回:Part2は→こちら)
オリジナル回路の検討と実測した部品定数でシミュレーションを行ないました。 最近のリグやアンテナは基本的にインピーダンスは50Ωになってますのでマッチするように改造します。 オリジナルのLF-30は昔のHAM局の実情に合わせて75Ωの設計になっていました。なお、昔のHAM局が75Ω系だったのはダイポール系のアンテナが主だったからです。
実測評価していて75Ω用と言う根拠には疑問があることがわかりました。 部品定数など総合的に考えると、このフィルタが最適な動作をするインピーダンスは44.2Ωではないかと考えられました。従って75Ωよりもむしろ50Ωの方に適していると言えます。 しかし設計遮断周波数が少々高めで、30MHz用としてはやや最適ではないようでした。 そこで、実験の意味もあり全般に見直した上で改造します。
改造指針として:(1)遮断周波数は約33MHzくらい。(2)IN/OUTのインピーダンスは50Ωにする。(3)改造はなるべく既存の部品を活かす。(4)最大電力は100W程度あれば良い・・・・とします。 以上の指針で決めたのが上図の上から3番目の回路です。 結局、33pFのコンデンサ(但し耐圧は高いこと)を8個付加するだけの改造で様子を見ます。
【改造したLF-30】
基本的にコイルはそのままにします。 銅の円盤とテフロンシートで作ってあるコンデンサもそのまま使います。
従って既存コンデンサの各部分に33pFのセラミックコンデンサを2つずつ追加しました。
33pFの取付けは極力リード線を短くすべきです。その言う意味で、写真の方法は最適ではありません。 銅円盤のコンデンサのところに極力リード線をつめで最短でハンダつけする方が良いでしょう。 33pFとリード線インダクタンスで共振が現れます。
そのあたり、実際に評価してみて問題がありそうならやり直しましょう。
【特性シミュレーション・1】
改造に先立って特性シミュレーションを行ないました。 これは既出ですが、あらためて掲載します。
赤色のトレースがオリジナルの定数によるもの。実測値に基づいた部品定数になっています。 IN/OUTのインピーダンスは仕様の75Ωです。
グリーンのトレースは、部品定数はオリジナルのままですが、IN/OUTのインピーダンスを44.2Ωにしています。 良く見てもらうとわかりますが、通過域の平坦度がよくなっています。 これは反射による影響がなくなるからで、フィルタ本来の特性と言えます。
青のトレースは仮にC=180pF、IN/OUT=50Ωとして設計したときの特性です。
紫色のトレースはC=186pFの特性です。180pFは標準的な値のコンデンサでは済まないので実際には実測値+33pF+33pFの約186pFでやってみます。 一応、33pFのコンデンサも実測して、偏りが生じないようにしておきます。
【特性シミュレーション・2】
通過帯域の上端付近の特性を拡大表示しています。
オリジナルの状態で最適なIN/OUTになっているグリーンのトレースの通過域が一番平坦な特性になっているのがわかります。
青色と紫色のトレースは思い切って遮断周波数:fcを下げたため、通過域の凹みがやや大きくなっています。 そのためパワーロスが大きく見えるHAMバンドが出現します。 それを嫌ってオリジナルではかなり高めの遮断周波数に作ってあったようでした。 ここでは、少々ロスが増えても良いので検討した図(3)の回路定数で行くことにします。
【実測特性・1】
改造後の実測特性です。 部品定数は回路図(3)の値です。 見たところまずまずの特性になりました。
通過域にやや凹みが見られるのはシミュレーション通りですが、あまり支障無さそうなのでこれで行きましょう。 減衰域の切れ味はたいへん良好です。 このあたりは、オリジナルと同じ段数なので、傾斜に変化は見られません。 シールドも悪くないらしく、十分な減衰量が得られています。
【実測特性・2】
通過域の詳細を見るために、縦軸の1目盛りを10dB→2dBに変更して表示しました。
通過域の凹みが2dB弱あるのでいま一つかもしれませんが、実際の使用ではあまり影響はないだろと思います。 測定器用のフィルタなら不合格かもしれませんが、無線機の外付け高調波抑止用フィルタですから少々の凸凹は問題ではありません。むしろなかなか良好な特性です。(参考:この凸凹は損失の発生と言うよりもインピーダンス変換が行われた結果の電圧変化と捉える方が合理的なようです)
【実測特性・3】
減数域の様子を見るために縦軸の一目盛りを20dBにしています。 また周波数範囲も上限500MHzにアップしました。
33pFのリードインダクタンスとの共振と思われるピークが2箇所見られます。 但し、ピークとは言っても60dB以上減衰しているので支障はなさそうです。 問題があれば33pFの実装方法を再検討しようと思っていましたが、概ね大丈夫そうです。 そもままで行くことにします。
以上、TRIOの古いローパス・フィルタ:LF-30の解析と50Ω化改造の経緯です。 外装が汚くなっているので、塗り直して新しいラベルを貼れば完璧でしょう。 オリジナルの仕様は50Ω用なので何となく気持ち悪かったのですが、改造して特性の確認も済んだので、これで気持ちよく使えるようになりました。
☆ ☆ ☆
【フィルタの特性評価と実際の使われ方】
ここでは改造したフィルタを題材にして、LPFが実際に使われる際の特性について考察してみましょう。
このLF-30の仕様書はPart 1に掲載してあります。他社のLPFも恐らく同じだと思いますが、仕様書に掲載されている周波数特性図は言わば『まやかし』なのです。 ウソではないのですが、測定方法と現実の使われ方の間には大きな違いがあるからです。
カタログの周波数特性は、この図の(A)のような方法で採取しています。 上の写真も同様で、信号源インピ−ダンスが50Ωの発振器と、入力インピーダンスが50Ωのレベル測定系の途中にフィルタを挿入して実測している訳です。 もちろん、測定方法やその測定結果に誤りがある訳ではありません。 問題はLPFが実際に使われる状態とは異なる測定方法なのが原因です。
上図(B)のように、アンテナ系が、如何なる周波数で見ても50Ωである・・・と言うようなことは殆どあり得ません。 もし本当にそうなら、どこで送信しようとVSWR=1です。 良くできたダミーロードならいざ知らず、そんなアンテナなどないでしょう。 アンテナの設計周波数で、尚かつ良く調整されていればそこは50Ωかもしれませんが、それ以外の周波数では50Ωなどと言うことはあり得ないのです。
このように考えると、いくら50Ωの測定系で良い特性が得られたとしても、それを外れるインピーダンスのところでは、思っている周波数特性とはずいぶん違うのではないかと言う疑問が生じてきます。 フィルタが効いたり効かなかったりするのはそれが原因ではないだろうかと・・・。
【高い負荷インピーダンスのケース】
アンテナ系を負荷にした実測もある程度可能ですが、バンド外の電波輻射は旨くないし、個別ケースの話しにしかなりませんから、ここはシミュレーションで行くことにします。負荷を変えて傾向から判断するのが目的です。
ここでは30MHz以下の通過帯域の特性は無視します。高調波の減衰を見るのが目的ですから。 まずはアンテナ系のインピーダンスが50Ωよりも高い時の特性です。 100Ω、1kΩ、10kΩそして100kΩとした場合の減衰特性です。 アンテナ系が数kΩになることは十分考えられますが100kΩ以上になるケースは考えにくいのでインピーダンスが高い方へ外れた場合の特性がこれで予測できる訳です。
もちろん、良くおわかりのお方ならアンテナ系が「純抵抗」になるなど「有りえん!」と怒られるかもしれません。 そう思って容量性(C性)や誘導性(L性)を付加したシミュレーションもやってみました。 たしかに、フィルタ内部の最終部分にあるコイルやコンデンサとの共振が見られるようになって、この図のような奇麗な遮断特性ではなくなります。 しかし、わずかなピークが通過帯域のやや上側に現れる程度であって、その部分を除けば図の特性と大差は無いのです。 従ってこの図で代表させてもらいました。
要するに、この形式のLPFは負荷側のインピーダンスが高い方へ大きく外れても十分良く効く特性を持っていると言うことです。 50Ω系で測定した結果その物と完全に同じではありませんが高調波抑止に十分な効果があることは実証できたと思います。
【低い負荷インピーダンスのケース】
上記と同様に、今度はアンテナ系のインピーダンスが低くなった場合のシミュレーションを行なってみます。
インピーダンスは25Ω、10Ω、1Ω、0.1Ωです。 この場合も通過域の特性は無視します。 0.1Ωと言うのは負荷がほぼショートのような状態になった想定です。 高周波系ですから、完全なショート状態と言うのはまず有り得なくて、むしろ完全なショート状態の実現には技術を要します。 従って、これでおおよむね低い方へミスマッチした状態におけるフィルタ特性の評価になっているでしょう。
もちろん、C性やL性の負荷も想定したシミュレーションも行ないましたが、結果はグラフで示した純抵抗負荷の場合と類似であって、低い方はこのシミュレーションで十分推定は可能でした。
☆
従来、こうしたHAM局のアンテナ系に挿入して使うローパス・フィルタの特性と実際の高調波除去効果には疑問を持ってきました。 アンテナ系があらゆる周波数で50Ω(75Ω)であるなど考えられませんから、下手をすれば入れない方がマシのフィルタにさえなっているのではないかと疑ってきました。 しかし、それは杞憂であって効果的に高調波の抑止に役立つていることがわかったのです。
もちろん、運が悪いこともないとは言えず、高調波がジャスト受信されるインターフェアのケースにあってはハイパワーだとそこでは効果も限定的でしょう。-100dB以上の減衰量が有っても駄目かもしれません。 或は基本波により対象機器の内部で自ら高調波を作り出しているようなケースでは効果はまったく期待できません。 何が原因でインターフェアが起こっているのかを見極めないと効果的でない対策に走る可能性もあるのです。
☆ ☆ ☆
【出力インピーダンスが低く負荷側が高いケース】
以下の考察は、上記以上に様々な議論を呼びそうです。 貴方のお考えをどうこうしようと言うつもりは毛頭ありませんから、予めそのおつもりでご覧ください。
上記のように、アンテナ系のインピーダンスがフィルタの減衰域で必ずしも(否、必然的に!)50Ωではないとしても十分に効果的であることはわかりました。 ところが、それだけではありません。
実のところ無線機の出力インピーダンスは50Ωではないのです。 スペアナやネットアナでは測定系の信号源インピーダンスはすべて50Ωになっています。これは仕様書にも書いてあってウソでありません。その50Ωの精度まで規定しているのが普通です。
では、実際のHAM局ではどうでしょうか? まさかIC-XXXやTS-YYY、さらにFT-ZZZの出力インピーダンスは50Ωではないでしょう。 いや、「50Ωだって書いてあるヨ!」と仰るかもしれません。 たしかに、「Output Impedance : 50〜75Ω」なんて書いてある例も見ます。 しかし、それはそのRigが想定している負荷インピーダンス(アンテアナ)が50Ω系なのであって、トランシーバ(送信機)の内部インピーダンス;Rgは50Ωではないはずです。 もしも本当にそのRigの内部インピーダンスが50Ωだとしたら送信電力をどこかでロスしています。まあ、そんなバカなことはないでしょう。
たぶん、現実には数Ω以下の内部インピーダンスなのです。 特にNFBが掛かった半導体式のパワーアンプなら一段と内部インピーダンスは低いでしょう。 定電圧源に近い特性になっています。 (注:NFBの掛かっていないビーム管ファイナルの送信機の内部インピーダンスは逆に50Ωよりも高くて、誇張的に言えば定電流源に近いです)
そのような想定で、送信機側の内部インピーダンス;Rgを1Ωとし、また負荷側のインピーダンスが高い方へ外れるケースでシミュレーションしてみました。 このようなケースでもLPFは良く効いてくれると言う結論で良いでしょう。(上図)
【出力インピーダンスが低く負荷側も低いケース】
同様に、負荷が低い方へ外れたケースもシミュレーションしてみました。
上の方にも書きましたが、純抵抗負荷ではなくC性やL性の負荷ではどうかと言う検討もしましたが、代表してこのグラフを掲載します。 要するに、そうしたケースでも良く効く特性であることがわかっています。
ごく単純なπ型やT型のローパス・フィルタも十分な段数を重ねた構成を採れば高調波の抑止効果は充分得られることがわかりました。 これは、IN/OUTが50Ωと言った『理想的な』測定系の話しだけではなく、実際のアンテナ系に挿入してもその効果は十分期待できます。長年の疑問も解消したのでこれで安心して眠ることができます。(笑)
☆ ☆ ☆
地デジ化でTV全般がUHF帯に移行してくれたのは非常に有難いことでした。それだけでインターフェアは40dBくらい効果的なはずで、しかもEMC(電磁的な不干渉性)対策がまったく不十分だった古い家電品の駆逐にもたいへんな効果があったのです。
しかし、高感度な機器も多くなった結果、わずかな高調波でも支障の出るケースもあって、LPFの出番がなくなった訳ではありません。 旧型のLPFでも特性を良く吟味し実用になることを確認しておけば有効活用のチャンスもあるでしょう。
アンテナ系の使用周波数外のインピーダンス変化についての認識はあまりされていないように思います。 また理想系で測定した周波数特性で云々しているケースも良く目にしますのでずっと気になっていました。 HAMの用途にあっては測定数値の精度を云々するより、十分効果的であるか否かを見ておく方が意味があるでしょう。 そのような視点で見直してみたのがこのBlogの締くくりです。de JA9TTT/1
(おわり)
【改造検討した回路】
トリオ(現Kenwood社)製・30MHzのローパス・フィルタを75Ωから50Ωに改造して活用しようと言う話の最終回です。この話しもそろそそ片付けることにします。(前回:Part2は→こちら)
オリジナル回路の検討と実測した部品定数でシミュレーションを行ないました。 最近のリグやアンテナは基本的にインピーダンスは50Ωになってますのでマッチするように改造します。 オリジナルのLF-30は昔のHAM局の実情に合わせて75Ωの設計になっていました。なお、昔のHAM局が75Ω系だったのはダイポール系のアンテナが主だったからです。
実測評価していて75Ω用と言う根拠には疑問があることがわかりました。 部品定数など総合的に考えると、このフィルタが最適な動作をするインピーダンスは44.2Ωではないかと考えられました。従って75Ωよりもむしろ50Ωの方に適していると言えます。 しかし設計遮断周波数が少々高めで、30MHz用としてはやや最適ではないようでした。 そこで、実験の意味もあり全般に見直した上で改造します。
改造指針として:(1)遮断周波数は約33MHzくらい。(2)IN/OUTのインピーダンスは50Ωにする。(3)改造はなるべく既存の部品を活かす。(4)最大電力は100W程度あれば良い・・・・とします。 以上の指針で決めたのが上図の上から3番目の回路です。 結局、33pFのコンデンサ(但し耐圧は高いこと)を8個付加するだけの改造で様子を見ます。
【改造したLF-30】
基本的にコイルはそのままにします。 銅の円盤とテフロンシートで作ってあるコンデンサもそのまま使います。
従って既存コンデンサの各部分に33pFのセラミックコンデンサを2つずつ追加しました。
33pFの取付けは極力リード線を短くすべきです。その言う意味で、写真の方法は最適ではありません。 銅円盤のコンデンサのところに極力リード線をつめで最短でハンダつけする方が良いでしょう。 33pFとリード線インダクタンスで共振が現れます。
そのあたり、実際に評価してみて問題がありそうならやり直しましょう。
【特性シミュレーション・1】
改造に先立って特性シミュレーションを行ないました。 これは既出ですが、あらためて掲載します。
赤色のトレースがオリジナルの定数によるもの。実測値に基づいた部品定数になっています。 IN/OUTのインピーダンスは仕様の75Ωです。
グリーンのトレースは、部品定数はオリジナルのままですが、IN/OUTのインピーダンスを44.2Ωにしています。 良く見てもらうとわかりますが、通過域の平坦度がよくなっています。 これは反射による影響がなくなるからで、フィルタ本来の特性と言えます。
青のトレースは仮にC=180pF、IN/OUT=50Ωとして設計したときの特性です。
紫色のトレースはC=186pFの特性です。180pFは標準的な値のコンデンサでは済まないので実際には実測値+33pF+33pFの約186pFでやってみます。 一応、33pFのコンデンサも実測して、偏りが生じないようにしておきます。
【特性シミュレーション・2】
通過帯域の上端付近の特性を拡大表示しています。
オリジナルの状態で最適なIN/OUTになっているグリーンのトレースの通過域が一番平坦な特性になっているのがわかります。
青色と紫色のトレースは思い切って遮断周波数:fcを下げたため、通過域の凹みがやや大きくなっています。 そのためパワーロスが大きく見えるHAMバンドが出現します。 それを嫌ってオリジナルではかなり高めの遮断周波数に作ってあったようでした。 ここでは、少々ロスが増えても良いので検討した図(3)の回路定数で行くことにします。
【実測特性・1】
改造後の実測特性です。 部品定数は回路図(3)の値です。 見たところまずまずの特性になりました。
通過域にやや凹みが見られるのはシミュレーション通りですが、あまり支障無さそうなのでこれで行きましょう。 減衰域の切れ味はたいへん良好です。 このあたりは、オリジナルと同じ段数なので、傾斜に変化は見られません。 シールドも悪くないらしく、十分な減衰量が得られています。
【実測特性・2】
通過域の詳細を見るために、縦軸の1目盛りを10dB→2dBに変更して表示しました。
通過域の凹みが2dB弱あるのでいま一つかもしれませんが、実際の使用ではあまり影響はないだろと思います。 測定器用のフィルタなら不合格かもしれませんが、無線機の外付け高調波抑止用フィルタですから少々の凸凹は問題ではありません。むしろなかなか良好な特性です。(参考:この凸凹は損失の発生と言うよりもインピーダンス変換が行われた結果の電圧変化と捉える方が合理的なようです)
【実測特性・3】
減数域の様子を見るために縦軸の一目盛りを20dBにしています。 また周波数範囲も上限500MHzにアップしました。
33pFのリードインダクタンスとの共振と思われるピークが2箇所見られます。 但し、ピークとは言っても60dB以上減衰しているので支障はなさそうです。 問題があれば33pFの実装方法を再検討しようと思っていましたが、概ね大丈夫そうです。 そもままで行くことにします。
以上、TRIOの古いローパス・フィルタ:LF-30の解析と50Ω化改造の経緯です。 外装が汚くなっているので、塗り直して新しいラベルを貼れば完璧でしょう。 オリジナルの仕様は50Ω用なので何となく気持ち悪かったのですが、改造して特性の確認も済んだので、これで気持ちよく使えるようになりました。
☆ ☆ ☆
【フィルタの特性評価と実際の使われ方】
ここでは改造したフィルタを題材にして、LPFが実際に使われる際の特性について考察してみましょう。
このLF-30の仕様書はPart 1に掲載してあります。他社のLPFも恐らく同じだと思いますが、仕様書に掲載されている周波数特性図は言わば『まやかし』なのです。 ウソではないのですが、測定方法と現実の使われ方の間には大きな違いがあるからです。
カタログの周波数特性は、この図の(A)のような方法で採取しています。 上の写真も同様で、信号源インピ−ダンスが50Ωの発振器と、入力インピーダンスが50Ωのレベル測定系の途中にフィルタを挿入して実測している訳です。 もちろん、測定方法やその測定結果に誤りがある訳ではありません。 問題はLPFが実際に使われる状態とは異なる測定方法なのが原因です。
上図(B)のように、アンテナ系が、如何なる周波数で見ても50Ωである・・・と言うようなことは殆どあり得ません。 もし本当にそうなら、どこで送信しようとVSWR=1です。 良くできたダミーロードならいざ知らず、そんなアンテナなどないでしょう。 アンテナの設計周波数で、尚かつ良く調整されていればそこは50Ωかもしれませんが、それ以外の周波数では50Ωなどと言うことはあり得ないのです。
このように考えると、いくら50Ωの測定系で良い特性が得られたとしても、それを外れるインピーダンスのところでは、思っている周波数特性とはずいぶん違うのではないかと言う疑問が生じてきます。 フィルタが効いたり効かなかったりするのはそれが原因ではないだろうかと・・・。
【高い負荷インピーダンスのケース】
アンテナ系を負荷にした実測もある程度可能ですが、バンド外の電波輻射は旨くないし、個別ケースの話しにしかなりませんから、ここはシミュレーションで行くことにします。負荷を変えて傾向から判断するのが目的です。
ここでは30MHz以下の通過帯域の特性は無視します。高調波の減衰を見るのが目的ですから。 まずはアンテナ系のインピーダンスが50Ωよりも高い時の特性です。 100Ω、1kΩ、10kΩそして100kΩとした場合の減衰特性です。 アンテナ系が数kΩになることは十分考えられますが100kΩ以上になるケースは考えにくいのでインピーダンスが高い方へ外れた場合の特性がこれで予測できる訳です。
もちろん、良くおわかりのお方ならアンテナ系が「純抵抗」になるなど「有りえん!」と怒られるかもしれません。 そう思って容量性(C性)や誘導性(L性)を付加したシミュレーションもやってみました。 たしかに、フィルタ内部の最終部分にあるコイルやコンデンサとの共振が見られるようになって、この図のような奇麗な遮断特性ではなくなります。 しかし、わずかなピークが通過帯域のやや上側に現れる程度であって、その部分を除けば図の特性と大差は無いのです。 従ってこの図で代表させてもらいました。
要するに、この形式のLPFは負荷側のインピーダンスが高い方へ大きく外れても十分良く効く特性を持っていると言うことです。 50Ω系で測定した結果その物と完全に同じではありませんが高調波抑止に十分な効果があることは実証できたと思います。
【低い負荷インピーダンスのケース】
上記と同様に、今度はアンテナ系のインピーダンスが低くなった場合のシミュレーションを行なってみます。
インピーダンスは25Ω、10Ω、1Ω、0.1Ωです。 この場合も通過域の特性は無視します。 0.1Ωと言うのは負荷がほぼショートのような状態になった想定です。 高周波系ですから、完全なショート状態と言うのはまず有り得なくて、むしろ完全なショート状態の実現には技術を要します。 従って、これでおおよむね低い方へミスマッチした状態におけるフィルタ特性の評価になっているでしょう。
もちろん、C性やL性の負荷も想定したシミュレーションも行ないましたが、結果はグラフで示した純抵抗負荷の場合と類似であって、低い方はこのシミュレーションで十分推定は可能でした。
☆
従来、こうしたHAM局のアンテナ系に挿入して使うローパス・フィルタの特性と実際の高調波除去効果には疑問を持ってきました。 アンテナ系があらゆる周波数で50Ω(75Ω)であるなど考えられませんから、下手をすれば入れない方がマシのフィルタにさえなっているのではないかと疑ってきました。 しかし、それは杞憂であって効果的に高調波の抑止に役立つていることがわかったのです。
もちろん、運が悪いこともないとは言えず、高調波がジャスト受信されるインターフェアのケースにあってはハイパワーだとそこでは効果も限定的でしょう。-100dB以上の減衰量が有っても駄目かもしれません。 或は基本波により対象機器の内部で自ら高調波を作り出しているようなケースでは効果はまったく期待できません。 何が原因でインターフェアが起こっているのかを見極めないと効果的でない対策に走る可能性もあるのです。
☆ ☆ ☆
【出力インピーダンスが低く負荷側が高いケース】
以下の考察は、上記以上に様々な議論を呼びそうです。 貴方のお考えをどうこうしようと言うつもりは毛頭ありませんから、予めそのおつもりでご覧ください。
上記のように、アンテナ系のインピーダンスがフィルタの減衰域で必ずしも(否、必然的に!)50Ωではないとしても十分に効果的であることはわかりました。 ところが、それだけではありません。
実のところ無線機の出力インピーダンスは50Ωではないのです。 スペアナやネットアナでは測定系の信号源インピーダンスはすべて50Ωになっています。これは仕様書にも書いてあってウソでありません。その50Ωの精度まで規定しているのが普通です。
では、実際のHAM局ではどうでしょうか? まさかIC-XXXやTS-YYY、さらにFT-ZZZの出力インピーダンスは50Ωではないでしょう。 いや、「50Ωだって書いてあるヨ!」と仰るかもしれません。 たしかに、「Output Impedance : 50〜75Ω」なんて書いてある例も見ます。 しかし、それはそのRigが想定している負荷インピーダンス(アンテアナ)が50Ω系なのであって、トランシーバ(送信機)の内部インピーダンス;Rgは50Ωではないはずです。 もしも本当にそのRigの内部インピーダンスが50Ωだとしたら送信電力をどこかでロスしています。まあ、そんなバカなことはないでしょう。
たぶん、現実には数Ω以下の内部インピーダンスなのです。 特にNFBが掛かった半導体式のパワーアンプなら一段と内部インピーダンスは低いでしょう。 定電圧源に近い特性になっています。 (注:NFBの掛かっていないビーム管ファイナルの送信機の内部インピーダンスは逆に50Ωよりも高くて、誇張的に言えば定電流源に近いです)
そのような想定で、送信機側の内部インピーダンス;Rgを1Ωとし、また負荷側のインピーダンスが高い方へ外れるケースでシミュレーションしてみました。 このようなケースでもLPFは良く効いてくれると言う結論で良いでしょう。(上図)
【出力インピーダンスが低く負荷側も低いケース】
同様に、負荷が低い方へ外れたケースもシミュレーションしてみました。
上の方にも書きましたが、純抵抗負荷ではなくC性やL性の負荷ではどうかと言う検討もしましたが、代表してこのグラフを掲載します。 要するに、そうしたケースでも良く効く特性であることがわかっています。
ごく単純なπ型やT型のローパス・フィルタも十分な段数を重ねた構成を採れば高調波の抑止効果は充分得られることがわかりました。 これは、IN/OUTが50Ωと言った『理想的な』測定系の話しだけではなく、実際のアンテナ系に挿入してもその効果は十分期待できます。長年の疑問も解消したのでこれで安心して眠ることができます。(笑)
☆ ☆ ☆
地デジ化でTV全般がUHF帯に移行してくれたのは非常に有難いことでした。それだけでインターフェアは40dBくらい効果的なはずで、しかもEMC(電磁的な不干渉性)対策がまったく不十分だった古い家電品の駆逐にもたいへんな効果があったのです。
しかし、高感度な機器も多くなった結果、わずかな高調波でも支障の出るケースもあって、LPFの出番がなくなった訳ではありません。 旧型のLPFでも特性を良く吟味し実用になることを確認しておけば有効活用のチャンスもあるでしょう。
アンテナ系の使用周波数外のインピーダンス変化についての認識はあまりされていないように思います。 また理想系で測定した周波数特性で云々しているケースも良く目にしますのでずっと気になっていました。 HAMの用途にあっては測定数値の精度を云々するより、十分効果的であるか否かを見ておく方が意味があるでしょう。 そのような視点で見直してみたのがこのBlogの締くくりです。de JA9TTT/1
(おわり)
2014年7月10日木曜日
【書籍】And I love the radio !
【ラジオが好きなんです!】
【トラ技2014年8月号に】
紹介するのも、いささか手前味噌、我田引水のようで気が引けるのですが、10日発売のトランジスタ技術誌8月号に記事を書かせていただきました。
このブログ・タイトルのように「ラジオが好き!」なお方に楽しんで頂けるなら嬉しいので、紹介しておくことにします。(まあ、誰も紹介なんかしてくれないでしょうから自分でPRでも・・・笑)
メイン特集は「トランジスタ工房」と言う記事でこちらもなかなか面白い内容が詰まっていますから、そちら目的にお求めも損ではないと思います。(私の担当じゃありません)
【ラジオ好きに特集】
←いささか各章のタイトルの付け方がハッタリっぽい気もしなくもありませんが編者お好みで付けている部分もあるので勘弁してやって下さい。m(_ _)m
活字離れ・書籍離れが進んだ昨今では、本は読んでもらってナンボのものなので目次から本文の方へしっかり誘導できなくちゃ駄目なんでしょうね。(笑)
技術誌なんだし中身はタイトルから少々割り引いてもらって丁度良いと思いますが、そんなに外れちゃいないとも言えるので例によって「ウソっぽい」なんて目くじらを立てないようお願いしておきます。
全9章で見開きの2ページで一つのパートになるよう考えたのですが図面や写真を豊富に入れると意味ある内容は無理でした。実際は章立てに変更され、およそ倍くらいのボリュームになっています。ごくサワリだけの紹介記事ではなくて本気の内容を心がけたつもりです。もちろん至らぬところも多々あるとは思いますが・・・。 なお、どの章からつまみ食いしてもわかるようになっています。興味のある部分からお読み下さい。
【中身みほん?】
最初の方の章はラジオのごく基本的なことが書いてあります。但し「ラジオの技術」を詳細に網羅するには幾らページがあっても無理と言うもので、ラジオ理解のためのほんの入り口程度になっています。
本命は第4章のデバイス・ガイド以降であって特に第5章からの製作編です。 写真の第9章はその最終章でDSPラジオICを扱っています。 DSPラジオのモジュールについては過去に幾つか記事も見かけましたが、ICチップレベルで扱うのはあまり無かったと思います。
詳しくは長くなってしまうので、読んでのお楽しみにしますが、実際出来上がったDSPラジオは実用的な性能なので興味本位で作った物が実用品にもなるので、聞く方の「ラジオ好き!」にもお奨めできそうです。
☆
【楽屋裏】
「ラジオ製作の素(もと)」と言うテーマで打診があったのは4月の初めでした。 ラジオの歴史はいささか長いので原理・原則の部分は過去の良書が幾らでも存在します。今さら私ごときが気負ってみところで「ラジオの本質」など簡単に何とかなるような話しではありません。 それに締め切りは僅か2ヶ月後の5月末とあっては、とても手に負えないのは目に見えていました。
そもそも「素(もと)」とは何でしょうか? いろいろ考えて、具体的に「鳴るラジオ」が作れるための「要素」のことだろうと結論付けました。
その「要素」には何があるのだろうか? 部品レベルから集めてラジオを作るには何が必要なのだろうか? 結局、2014年の「いま」手に入るラジオ部品にはどんな物があり、それらをどの様に料理すれば聞こえるラジオが作れるのかと言う「具体的な情報」こそが「ラジオ製作の素」になるのでしょう。
・・・と言う訳で、学問めいたものは無くて実用情報ばかりです。 それではトラ技誌の品位を貶めないか、いささか気にはなりましたが、ここはプラクティカルな内容で纏めることにしました。ですから自前で評価した結果とか、お値段なんかの実用情報も盛込んであります。
☆
そのあたりずっと気になっていたので「トラ技」の意向を伺ってみました。 端的に言えば、いまのトラ技誌にとって「個人読者」が一番大切と言うお話しです。 かつては企業の現場向け情報誌だったこともありました。 いまでもその傾向がない訳ではありませんがそれが決定的に重要とも言えない状況にあるようです。 むしろ個人で電子の世界を楽しむ人たちに有用な情報を提供する雑誌でありたいと言うのが昨今だそうです。 それならばラジオ好きが喜びそうな企画もわるくありません。ちょっとだけホッとすることができました。
読んだらいろいろご批判もあだろうと思いますが、ここはお手やわらかで。もちろん前向きな提案や要望など後々積極的に反映したいと考えています。
昨今のトラ技誌に目をやるとかしこまった記事ばかりではなく、カジュアルな「楽しめる」記事も数多くなっているようです。 頭の痛くなるテーマばかりではありませんから一度ご覧になることをお勧めします。 de JA9TTT/1
(おわり)
【追記:訂正】
トラ技2014年8月号の回路図の一部に修正があります。
P170 図3で、IC1:Si4825-A10の配線にミスがありました。 9番ピンからR1を通る配線は、ピン14番のラインに接続されるのが正しいです。 16番ピンからのラインではありません。
左図の×印の部分をカットし、その下のラインの赤丸の部分に接続します。 なお、間違えて配線してあってもICが破損することはありません。 修正すれば大丈夫です。 入稿した際の図面も確認しましたがトレースで発生したミスを見落としたようです。 修正の上、お詫びいたします。
以上です。(2014.11.4)
【トラ技2014年8月号に】
紹介するのも、いささか手前味噌、我田引水のようで気が引けるのですが、10日発売のトランジスタ技術誌8月号に記事を書かせていただきました。
このブログ・タイトルのように「ラジオが好き!」なお方に楽しんで頂けるなら嬉しいので、紹介しておくことにします。(まあ、誰も紹介なんかしてくれないでしょうから自分でPRでも・・・笑)
メイン特集は「トランジスタ工房」と言う記事でこちらもなかなか面白い内容が詰まっていますから、そちら目的にお求めも損ではないと思います。(私の担当じゃありません)
【ラジオ好きに特集】
←いささか各章のタイトルの付け方がハッタリっぽい気もしなくもありませんが編者お好みで付けている部分もあるので勘弁してやって下さい。m(_ _)m
活字離れ・書籍離れが進んだ昨今では、本は読んでもらってナンボのものなので目次から本文の方へしっかり誘導できなくちゃ駄目なんでしょうね。(笑)
技術誌なんだし中身はタイトルから少々割り引いてもらって丁度良いと思いますが、そんなに外れちゃいないとも言えるので例によって「ウソっぽい」なんて目くじらを立てないようお願いしておきます。
全9章で見開きの2ページで一つのパートになるよう考えたのですが図面や写真を豊富に入れると意味ある内容は無理でした。実際は章立てに変更され、およそ倍くらいのボリュームになっています。ごくサワリだけの紹介記事ではなくて本気の内容を心がけたつもりです。もちろん至らぬところも多々あるとは思いますが・・・。 なお、どの章からつまみ食いしてもわかるようになっています。興味のある部分からお読み下さい。
【中身みほん?】
最初の方の章はラジオのごく基本的なことが書いてあります。但し「ラジオの技術」を詳細に網羅するには幾らページがあっても無理と言うもので、ラジオ理解のためのほんの入り口程度になっています。
本命は第4章のデバイス・ガイド以降であって特に第5章からの製作編です。 写真の第9章はその最終章でDSPラジオICを扱っています。 DSPラジオのモジュールについては過去に幾つか記事も見かけましたが、ICチップレベルで扱うのはあまり無かったと思います。
詳しくは長くなってしまうので、読んでのお楽しみにしますが、実際出来上がったDSPラジオは実用的な性能なので興味本位で作った物が実用品にもなるので、聞く方の「ラジオ好き!」にもお奨めできそうです。
☆
【楽屋裏】
「ラジオ製作の素(もと)」と言うテーマで打診があったのは4月の初めでした。 ラジオの歴史はいささか長いので原理・原則の部分は過去の良書が幾らでも存在します。今さら私ごときが気負ってみところで「ラジオの本質」など簡単に何とかなるような話しではありません。 それに締め切りは僅か2ヶ月後の5月末とあっては、とても手に負えないのは目に見えていました。
そもそも「素(もと)」とは何でしょうか? いろいろ考えて、具体的に「鳴るラジオ」が作れるための「要素」のことだろうと結論付けました。
その「要素」には何があるのだろうか? 部品レベルから集めてラジオを作るには何が必要なのだろうか? 結局、2014年の「いま」手に入るラジオ部品にはどんな物があり、それらをどの様に料理すれば聞こえるラジオが作れるのかと言う「具体的な情報」こそが「ラジオ製作の素」になるのでしょう。
・・・と言う訳で、学問めいたものは無くて実用情報ばかりです。 それではトラ技誌の品位を貶めないか、いささか気にはなりましたが、ここはプラクティカルな内容で纏めることにしました。ですから自前で評価した結果とか、お値段なんかの実用情報も盛込んであります。
☆
そのあたりずっと気になっていたので「トラ技」の意向を伺ってみました。 端的に言えば、いまのトラ技誌にとって「個人読者」が一番大切と言うお話しです。 かつては企業の現場向け情報誌だったこともありました。 いまでもその傾向がない訳ではありませんがそれが決定的に重要とも言えない状況にあるようです。 むしろ個人で電子の世界を楽しむ人たちに有用な情報を提供する雑誌でありたいと言うのが昨今だそうです。 それならばラジオ好きが喜びそうな企画もわるくありません。ちょっとだけホッとすることができました。
読んだらいろいろご批判もあだろうと思いますが、ここはお手やわらかで。もちろん前向きな提案や要望など後々積極的に反映したいと考えています。
昨今のトラ技誌に目をやるとかしこまった記事ばかりではなく、カジュアルな「楽しめる」記事も数多くなっているようです。 頭の痛くなるテーマばかりではありませんから一度ご覧になることをお勧めします。 de JA9TTT/1
(おわり)
【追記:訂正】
トラ技2014年8月号の回路図の一部に修正があります。
P170 図3で、IC1:Si4825-A10の配線にミスがありました。 9番ピンからR1を通る配線は、ピン14番のラインに接続されるのが正しいです。 16番ピンからのラインではありません。
左図の×印の部分をカットし、その下のラインの赤丸の部分に接続します。 なお、間違えて配線してあってもICが破損することはありません。 修正すれば大丈夫です。 入稿した際の図面も確認しましたがトレースで発生したミスを見落としたようです。 修正の上、お詫びいたします。
以上です。(2014.11.4)
2014年7月1日火曜日
【電子管】Electron tubes popular in QRPers
【電子管・写真集】QRPerにポピュラーな真空管
【QRP用真空管】
もっぱらQRP用に作られた送信管がある訳ではありません。 巷の受信管を工夫するのもその方法の一つです。 それでも幾つかポピュラーなQRP向き真空管がありました。
但しポピュラーとは言っても1970年代の話しですから、どれほどいまに通用するのかはわかりません。
単に真空管写真を並べただけでは「真空管コレクター」に成り下がりますが、見たことも無い物のリストを掲載しただけではイメージできないでしょう。ここでは紹介の意味を込めて写真集で綴ります。
もちろん、いまどき真空管など実用的なテーマではなくて単に眺めて楽しむもの、あるいは新たなコレクションの切っ掛けくらいかも知れません。 しかし何時かはその波が大空へ飛び立つことを夢見ながら構想(妄想?)するのもまた楽し。 まぁ、いつものようにお暇ならどうぞ。まったくの暇つぶし用ですからネ。(笑)
☆
【国際的なQRP用真空管一覧】
おそらく、QST誌あたりがオリジナルだったかも知れませんが、そんな一覧があったことを思い出します。昔の手書きメモが残っていました。
それに幾つかデータを足して一覧にしました。 それにしても古い球が多いです。 どれほどポピュラーだったのかはわかりませんが確かにQRPな球が並んでいます。 本質的にハイパワーが難しい「電池管」が多いのは必然でしょうか? 以下,手元に有った現物を簡単なコメント付きで紹介します。 もしも興味が湧いてきたら左の写真をクリックして大きな絵でじっくり堪能してください。 登場はこの表の順になっています。
【6J6W / 6101】NEC製
6J6はVHF用の双三極管です。 カソードが共通になっていて少し使いにくい球です。
電子走行時間を短くするためカソードとプレートの距離を縮めています。プレート・グリッド間容量:Cpgを少なくし、しかも放熱してプレート損失を十分確保するために変わった電極構造になっています。
Push-Pull形式の水晶発振器で3W程度のパワーを目指すのに相応しいのですが、JAでは発振管=終段管は認められません。(注:保証認定の場合) 発振段を別に設けてPush-Pullのアンプで使うのが適当でしょう。
6J6W/6101と言うのは6J6と電気的特性は同じで高信頼度・耐振構造のもです。
【955】RCA製
おなじみエーコン管(どんぐり管)です。 小さな電極の三極管が一つ封入されています。(acorn tube←リンク)
955と言えばスーパーリゼと言うくらいVHF帯の黎明期には定番だったそうです。戦前からあった真空管でした。
ごく少ないパワーでも混信が少なく見通し距離の通信で済むVHF帯なら送信にも使えます。 スーパーリゼのバイアスを変えて自励発振させて使うトランシーバ向きと言うことかも知れません。レッヘル線を使った同調回路で144MHz帯以上も可能ですがHAMバンドの広い50MHzあたりが良いのでしょうねえ。
写真後方は955用のソケットですが、すこぶる装着しにくく事故になり易いので十分に注意してください。
【3A5】RCA製
50MHzのポータブル・トランシーバと言えば3A5と言うくらい1960年代に流行った双三極球です。 まだ高周波用トランジスタが高価で庶民には縁遠かったころ、こうした電池管がポータブル無線機の電子デバイスでした。 フィラメントを乾電池で点灯し、プレート電圧:B+には積層電池を使いました。67.5V等の高い電圧の電池が市販されていました。
受信時には超再生検波(スーパーリゼ)を行ない、送信時には自励もしくは水晶発振させます。 残り片側は低周波増幅に使います。受信時にはイヤフォンを鳴らし、送信では変調管にします。マイクにはカーボン型を使いました。 そうした形式のトランシーバはもちろん保証認定など通りませんからごく短距離用の無免許トランシーバでお遊び程度にしか使えません。もしも「大っぴら」にオンエアすれば無線設備基準に抵触するはずです。(周波数不安定もあるが主にスプリアス輻射が問題)
Push-Pullのアンプで使うのが良いです。 プレート・グリッド間容量:Cpgが大きいですからHF帯と言えどもタスキがけ式の中和が必要です。2ステージの送信機の終段にしてきちんと使えばもちろん正式のQRP送信機にもなりえます。
【6HA5】Westinghouse製
VHF帯用の高周波増幅用三極管です。 上のリストにはありませんが、「6F4」の手持ちが無かったのでピンチヒッターとして登場してもらいました。 6F4は955とおなじエーコン管で、6HA5とは形が違います。
V/UHF用の受信管は電極が小さくできていて、外形そのものもミニチュアです。 排気チップまで含めたガラス部の高さは1.5インチしかありません。mt管としても最小サイズでしょう。
6HA5はフレームグリッド構造の高性能管でいま見ても素晴らしい性能です。6m帯クリコンのTopに使ったらLow-Noiseでしょう。 スーパーリゼに使う例は目にしませんが良好だろうと想像されます。 送信用としては出力0.5〜1Wが安全な範囲です。 入力容量が小さく、gmも大きいのでVXO回路にも向いています。
【12AU7】松下電子工業製
Low-μな三極管として代表的な双三極管です。 汎用管であってQRPな送信機にも使えます。
但し、三極管なので中和が必要です。 どうしても中和は面倒ならGG-Ampの手もありますがいま一つパッとしない感じです。 できたらPush-Pull形式でタスキがけ式の中和をとって使いたいものです。
非常にポピュラーな真空管なので、ごくありふれていますがオーディオでも使っている関係で価格はだいぶ高騰しています。 そのかわりお金さえ出せば容易に新品が買えます。欧州系ではECC-82が同等。数字管は5814Aが同等ですがヒーター電流は幾分多くなります。 写真はもちろんタダの中古品です。(笑)
【6C4】United製
写真後方に見える12AU7の片割れです。 従って電気的な特性はまったく同じです。 三極管が一つしか封入されていないのでプレート損失の点では幾分有利なはずですが規格上は同じ値のようです。
オーディオ関係では12AU7の方を使うことが殆どですが、高周波関係では6C4も結構使われています。 これは受信機の保守用に準備してたもので、ミキサー回路に使っていた筈です。 現用品もまず劣化しないので交換するチャンスは無いでしょう。
ブランドのUnitedと言うのはたぶん商社だと思います。製造したメーカーはわかりませんが作りから見て古臭いので東欧製かもしれません。一応、Made in U.S.Aとはなっています。NOSな球を再印刷したのかも知れません。hi
【3A4】Tung-Sol製
ある程度パワーが出る送信機用に作られた電池管です。 五極管であって第二次大戦〜朝鮮戦争あたりの米陸軍用無線機に使われていました。(TVドラマ「コンバット」に良く登場した有名なBC1000トランシーバなど)
もちろん、低周波増幅にも使えますがフィラメント電流が大きいので電池が電源のアンプには向いていません。 また電池管は安易に低周波回路に使うとマイクロフォニックノイズが出るので要注意です。
3A4は周波数上限が低い関係でどちらかと言えばHF帯向きでしょう。 50MHzでも使えないことはありません効率が悪くても仕方ありませんね。 VHF帯にはあとで出て来る3B4の方が良いです。
電池管は直熱なので数秒で起動しますので受信時に送信機はフィラメントOFFでも行けます。意外に省電力と言えるかも知れません。 但し、フィラメントをON/OFFしながらのブレークイン交信は無理なので連続点灯しなくてはなりません。
【3D6 / 1299】メーカー不詳
3D6も電池管です。 ロクタル管の直熱ビーム管です。 ソケットが珍しいので良くわかるように撮影してみました。 ピンは8脚ですが特殊なロックイン・ソケットと言うものを使います。 センターキーの部分でソケットにロックされ抜けにくいのでスパイ用トランシーバには案配が良さそうです。(笑)
ロクタル管はどれも大きさが揃えてあります。 QRPな送信管ですが普通のロクタル管のサイズです。 後ろに並んでいる6AK5と比べて結構大きな球ですがそれほどパワーは出ません。
上の一覧表にあっても現物を見たことはありませんでした。 数年前のHAMフェアで朽ち果てそうなホール紙の箱に入ったコレが売られていて初めて現物を見ました。 特別魅力的な球ではありませんが気になっていました。 確かラジコン送信機に使った回路例を見たことがあったと思います。
銀色に光って格好良いので2本で送信機を作ってみたくなってきます。
【3B4】日立製
非常に有名なPRC-6(←リンク)と言う米軍用6m帯トランシーバのファイナル管です。 PRC-6は(だいぶ大型ですが)一応ハンディタイプのFMトランシーバです。
3B4はVHF帯まで使える直熱のビーム管です。 もちろん、日立が米軍のPRC-6用に供給した訳では無く、戦後国産化された無線機用(自衛隊のJPRC-6とか?)に製造したものでしょう。
HF帯〜VHF帯までQRPな送信機には向いています。 但し、他の電池管と違ってフィラメント電圧が低いので要注意です。
一般的な電池管がEf=1.4Vなのに対して,3B4はEf=1.26Vです。 そのまま1.5Vを掛けてしまうと寿命に影響があるので直列抵抗で幾分ドロップさせて使います。
【6AK6】GE製
6AK6はれっきとした電力増幅用5極管です。だからソレなりのパワーが出ます。 そのため送信機に使う例があっても不思議ではありません。
6BA6や6BD6と同じサイズのmt管なのでコンパクトな送信機が作れます。 しかもヒーターの消費電力の少なさは特筆ものです。 6BA6のような小信号用受信管の僅か半分、6.3Vで150mAしか喰いません。 しかもそこそこのパワーが出るのだから大したものです。 カソードの性能が良いのでしょう。
国産品は殆ど無かったらしく、昔は秋葉原でも見かけませんでした。米国には大量にあるらしく最近は輸入品を良く見かけます。 フィラメントが細いので切れ易い印象があります。ヒーター断による故障が見られるようです。(受信機で事例有り)
【12AT7WC】Sylvania製
中μの双三極管です。 12AU7よりも電流を流しにくいのでパワーもやや出しにくいです。
歪みが幾らか大きいのと、μの値が中途半端なのでオーディオではあまり人気がありません。 無線用にはまったく支障なくて、低周波だけでなく検波や発振にも使える万能な球です。
コレと言った特徴はありませんが、12AU7や12AX7よりも無線ぽい印象があります。オーバートーン発振とミキサに使うクリコン回路を良く見かけました。
12AT7WCの添字のWCと言うのは耐震構造の高信頼度管でそのCバージョンと言う意味の改良型です。数字管では6201が同等です。もちろん、普通の12AT7と同じように使って支障ありません。欧州系ではECC-81が同等です。
【12BH7A】松下電子製
TV受像機ではポピュラーな双三極管です。 12AU7などの12A○7シリーズの2倍のヒーターパワーです。 従って馬力があるので大きめのパワーが出せます。
その昔はポンコツのTVを分解すれば幾らでも手に入ったものですが、昨今は三極管と言うだけでオーディオの世界でもてはやされてずいぶん価格アップしています。
HAMの応用も可能なので手持ちがあれば使ってみると良いでしょう。 やはり三極管ですからGG-Ampで行くか中和付きのアンプに仕立てることになります。欧州系ではECC-99が同等管ですが見たことはありません。
【6AK5】東芝製
VHF帯用の5極管で、エーコン管の954に替わるものとして広く使われました。 VHFマンだったJA1FC藤室OM(故人)曰くその性能差たるや歴然でまったく6AK5に軍配が上がると仰います。 第二次大戦時中にレーダーの広帯域IFアンプ用として多用されました。 そのほか高周波用の高性能管として幅広く使われました。
オリジナルはWE社製で電話中継機用でしたが製造ノウハウが公開され各社が兵器用に量産しました。 なお東芝など日本メーカーは終戦後に技術導入してやっと製造できるようになりました。数字管では5654が同等です。
コンパクトな五極管の代表で好きな球です。 一番最初の写真の様に発振+終段の2ステージQRP送信機(CO-PA)のファイナルに使って見たいです。 オーディオでは人気がないので、お店にあれば安価だと思います。 プレート耐圧が低く無理をすると壊れ易いのでいたわって使いましょう。頑張っても2Wがやっとでしょう。
パワーの小さな受信管なら、どれもQRP用の真空管になりえます。 まだまだ幾らでもあるのでリストの他にもチャレンジしてみると面白いです。 もちろん、mt管だけでなく、GT管やST管にもQRPに適した球があります。 日本固有の6Z-P1などQRP向きだと思いますが国際性はまったく無いのでもっぱらJA局相手でしょうか。(笑) あまり拘らずに、安価な受信管で楽しめるのがQRP送信機の良い所です。 電源も100V:100Vの絶縁トランスを使い倍電圧整流すると丁度良い電圧が得られます。 電池管なら倍電圧整流しなくても良いでしょう。全般に部品費用も掛からないので手軽に「真空管」を楽しめます。
☆ ☆ ☆
【QRP送信機の構想】
小さめの真空管を並べてやれば良いので、QRP送信機は種々の形式が考えられます。 どんな球を並べても良いので、型番にあまり捕われずにチャレンジされたら良いです。
しかし、交信の際にリグのラインナップを紹介するならファイナル管はなるべくポピュラーなものが良いです。
ここでリストアップした球はかつて真空管式の手作りリグが盛んだったころには誰でも知っていてポピュラーだったのかも知れません、しかしいまではおそらく年配者を除けば知る人も僅かでしょう。 代表的なものと言うことで写真紹介しておきました。 そんな球を使っている局と交信できた時には思い出してもらえたらと思います。
自身も真空管以外に必要なパーツはあらかた揃えてあって、例によってあとは「やる気+根気」でオンエアももうすぐそこにあると思います。 ライセンスの問題も考慮済みです。
特報!:おりしもJL1KRA中島さんの「新QRPプラザ」(←リンク)にて『夏のクリスタル祭り』が開催されています。(2014年7月1日現在) シンプルな真空管式送信機にとってジャストQRP周波数のクリスタル(水晶発振子)はとても嬉しいものです。 だんだん水晶の特注も難しくなって来ました。もし計画をお持ちなら7003kHzとか手に入れておくと構想も一段と現実味をおびてくるに違いありません。 同時にすこし周波数が高めのクリスタルも手に入れておき真空管式VXOにチャレンジするのも興味深いです。 これは一般論ですが、真空管式VXOはFET式ほどたくさん引張れませんから程々に高い周波数でやると成功し易いです。==>注文殺到のため品切れで、残念ながらセール終了だそうです。またのセールが楽しみだなあ。(2014/7/5)
☆
真空管の時代も遠くなってしまい見たことも無い世代が社会の大半になってきました。 ガラス細工は眺めていても楽しいかも知れませんが、実際にそれで作って波が出れば一段と興味深いでしょう。 電信用送信機なら部品もごく僅かで済みます。 配線も簡単ですから一台作っては如何でしょうか? de JA9TTT/1
(おわり)
【QRP用真空管】
もっぱらQRP用に作られた送信管がある訳ではありません。 巷の受信管を工夫するのもその方法の一つです。 それでも幾つかポピュラーなQRP向き真空管がありました。
但しポピュラーとは言っても1970年代の話しですから、どれほどいまに通用するのかはわかりません。
単に真空管写真を並べただけでは「真空管コレクター」に成り下がりますが、見たことも無い物のリストを掲載しただけではイメージできないでしょう。ここでは紹介の意味を込めて写真集で綴ります。
もちろん、いまどき真空管など実用的なテーマではなくて単に眺めて楽しむもの、あるいは新たなコレクションの切っ掛けくらいかも知れません。 しかし何時かはその波が大空へ飛び立つことを夢見ながら構想(妄想?)するのもまた楽し。 まぁ、いつものようにお暇ならどうぞ。まったくの暇つぶし用ですからネ。(笑)
☆
【国際的なQRP用真空管一覧】
おそらく、QST誌あたりがオリジナルだったかも知れませんが、そんな一覧があったことを思い出します。昔の手書きメモが残っていました。
それに幾つかデータを足して一覧にしました。 それにしても古い球が多いです。 どれほどポピュラーだったのかはわかりませんが確かにQRPな球が並んでいます。 本質的にハイパワーが難しい「電池管」が多いのは必然でしょうか? 以下,手元に有った現物を簡単なコメント付きで紹介します。 もしも興味が湧いてきたら左の写真をクリックして大きな絵でじっくり堪能してください。 登場はこの表の順になっています。
【6J6W / 6101】NEC製
6J6はVHF用の双三極管です。 カソードが共通になっていて少し使いにくい球です。
電子走行時間を短くするためカソードとプレートの距離を縮めています。プレート・グリッド間容量:Cpgを少なくし、しかも放熱してプレート損失を十分確保するために変わった電極構造になっています。
Push-Pull形式の水晶発振器で3W程度のパワーを目指すのに相応しいのですが、JAでは発振管=終段管は認められません。(注:保証認定の場合) 発振段を別に設けてPush-Pullのアンプで使うのが適当でしょう。
6J6W/6101と言うのは6J6と電気的特性は同じで高信頼度・耐振構造のもです。
【955】RCA製
おなじみエーコン管(どんぐり管)です。 小さな電極の三極管が一つ封入されています。(acorn tube←リンク)
955と言えばスーパーリゼと言うくらいVHF帯の黎明期には定番だったそうです。戦前からあった真空管でした。
ごく少ないパワーでも混信が少なく見通し距離の通信で済むVHF帯なら送信にも使えます。 スーパーリゼのバイアスを変えて自励発振させて使うトランシーバ向きと言うことかも知れません。レッヘル線を使った同調回路で144MHz帯以上も可能ですがHAMバンドの広い50MHzあたりが良いのでしょうねえ。
写真後方は955用のソケットですが、すこぶる装着しにくく事故になり易いので十分に注意してください。
【3A5】RCA製
50MHzのポータブル・トランシーバと言えば3A5と言うくらい1960年代に流行った双三極球です。 まだ高周波用トランジスタが高価で庶民には縁遠かったころ、こうした電池管がポータブル無線機の電子デバイスでした。 フィラメントを乾電池で点灯し、プレート電圧:B+には積層電池を使いました。67.5V等の高い電圧の電池が市販されていました。
受信時には超再生検波(スーパーリゼ)を行ない、送信時には自励もしくは水晶発振させます。 残り片側は低周波増幅に使います。受信時にはイヤフォンを鳴らし、送信では変調管にします。マイクにはカーボン型を使いました。 そうした形式のトランシーバはもちろん保証認定など通りませんからごく短距離用の無免許トランシーバでお遊び程度にしか使えません。もしも「大っぴら」にオンエアすれば無線設備基準に抵触するはずです。(周波数不安定もあるが主にスプリアス輻射が問題)
Push-Pullのアンプで使うのが良いです。 プレート・グリッド間容量:Cpgが大きいですからHF帯と言えどもタスキがけ式の中和が必要です。2ステージの送信機の終段にしてきちんと使えばもちろん正式のQRP送信機にもなりえます。
【6HA5】Westinghouse製
VHF帯用の高周波増幅用三極管です。 上のリストにはありませんが、「6F4」の手持ちが無かったのでピンチヒッターとして登場してもらいました。 6F4は955とおなじエーコン管で、6HA5とは形が違います。
V/UHF用の受信管は電極が小さくできていて、外形そのものもミニチュアです。 排気チップまで含めたガラス部の高さは1.5インチしかありません。mt管としても最小サイズでしょう。
6HA5はフレームグリッド構造の高性能管でいま見ても素晴らしい性能です。6m帯クリコンのTopに使ったらLow-Noiseでしょう。 スーパーリゼに使う例は目にしませんが良好だろうと想像されます。 送信用としては出力0.5〜1Wが安全な範囲です。 入力容量が小さく、gmも大きいのでVXO回路にも向いています。
【12AU7】松下電子工業製
Low-μな三極管として代表的な双三極管です。 汎用管であってQRPな送信機にも使えます。
但し、三極管なので中和が必要です。 どうしても中和は面倒ならGG-Ampの手もありますがいま一つパッとしない感じです。 できたらPush-Pull形式でタスキがけ式の中和をとって使いたいものです。
非常にポピュラーな真空管なので、ごくありふれていますがオーディオでも使っている関係で価格はだいぶ高騰しています。 そのかわりお金さえ出せば容易に新品が買えます。欧州系ではECC-82が同等。数字管は5814Aが同等ですがヒーター電流は幾分多くなります。 写真はもちろんタダの中古品です。(笑)
【6C4】United製
写真後方に見える12AU7の片割れです。 従って電気的な特性はまったく同じです。 三極管が一つしか封入されていないのでプレート損失の点では幾分有利なはずですが規格上は同じ値のようです。
オーディオ関係では12AU7の方を使うことが殆どですが、高周波関係では6C4も結構使われています。 これは受信機の保守用に準備してたもので、ミキサー回路に使っていた筈です。 現用品もまず劣化しないので交換するチャンスは無いでしょう。
ブランドのUnitedと言うのはたぶん商社だと思います。製造したメーカーはわかりませんが作りから見て古臭いので東欧製かもしれません。一応、Made in U.S.Aとはなっています。NOSな球を再印刷したのかも知れません。hi
【3A4】Tung-Sol製
ある程度パワーが出る送信機用に作られた電池管です。 五極管であって第二次大戦〜朝鮮戦争あたりの米陸軍用無線機に使われていました。(TVドラマ「コンバット」に良く登場した有名なBC1000トランシーバなど)
もちろん、低周波増幅にも使えますがフィラメント電流が大きいので電池が電源のアンプには向いていません。 また電池管は安易に低周波回路に使うとマイクロフォニックノイズが出るので要注意です。
3A4は周波数上限が低い関係でどちらかと言えばHF帯向きでしょう。 50MHzでも使えないことはありません効率が悪くても仕方ありませんね。 VHF帯にはあとで出て来る3B4の方が良いです。
電池管は直熱なので数秒で起動しますので受信時に送信機はフィラメントOFFでも行けます。意外に省電力と言えるかも知れません。 但し、フィラメントをON/OFFしながらのブレークイン交信は無理なので連続点灯しなくてはなりません。
【3D6 / 1299】メーカー不詳
3D6も電池管です。 ロクタル管の直熱ビーム管です。 ソケットが珍しいので良くわかるように撮影してみました。 ピンは8脚ですが特殊なロックイン・ソケットと言うものを使います。 センターキーの部分でソケットにロックされ抜けにくいのでスパイ用トランシーバには案配が良さそうです。(笑)
ロクタル管はどれも大きさが揃えてあります。 QRPな送信管ですが普通のロクタル管のサイズです。 後ろに並んでいる6AK5と比べて結構大きな球ですがそれほどパワーは出ません。
上の一覧表にあっても現物を見たことはありませんでした。 数年前のHAMフェアで朽ち果てそうなホール紙の箱に入ったコレが売られていて初めて現物を見ました。 特別魅力的な球ではありませんが気になっていました。 確かラジコン送信機に使った回路例を見たことがあったと思います。
銀色に光って格好良いので2本で送信機を作ってみたくなってきます。
【3B4】日立製
非常に有名なPRC-6(←リンク)と言う米軍用6m帯トランシーバのファイナル管です。 PRC-6は(だいぶ大型ですが)一応ハンディタイプのFMトランシーバです。
3B4はVHF帯まで使える直熱のビーム管です。 もちろん、日立が米軍のPRC-6用に供給した訳では無く、戦後国産化された無線機用(自衛隊のJPRC-6とか?)に製造したものでしょう。
HF帯〜VHF帯までQRPな送信機には向いています。 但し、他の電池管と違ってフィラメント電圧が低いので要注意です。
一般的な電池管がEf=1.4Vなのに対して,3B4はEf=1.26Vです。 そのまま1.5Vを掛けてしまうと寿命に影響があるので直列抵抗で幾分ドロップさせて使います。
【6AK6】GE製
6AK6はれっきとした電力増幅用5極管です。だからソレなりのパワーが出ます。 そのため送信機に使う例があっても不思議ではありません。
6BA6や6BD6と同じサイズのmt管なのでコンパクトな送信機が作れます。 しかもヒーターの消費電力の少なさは特筆ものです。 6BA6のような小信号用受信管の僅か半分、6.3Vで150mAしか喰いません。 しかもそこそこのパワーが出るのだから大したものです。 カソードの性能が良いのでしょう。
国産品は殆ど無かったらしく、昔は秋葉原でも見かけませんでした。米国には大量にあるらしく最近は輸入品を良く見かけます。 フィラメントが細いので切れ易い印象があります。ヒーター断による故障が見られるようです。(受信機で事例有り)
【12AT7WC】Sylvania製
中μの双三極管です。 12AU7よりも電流を流しにくいのでパワーもやや出しにくいです。
歪みが幾らか大きいのと、μの値が中途半端なのでオーディオではあまり人気がありません。 無線用にはまったく支障なくて、低周波だけでなく検波や発振にも使える万能な球です。
コレと言った特徴はありませんが、12AU7や12AX7よりも無線ぽい印象があります。オーバートーン発振とミキサに使うクリコン回路を良く見かけました。
12AT7WCの添字のWCと言うのは耐震構造の高信頼度管でそのCバージョンと言う意味の改良型です。数字管では6201が同等です。もちろん、普通の12AT7と同じように使って支障ありません。欧州系ではECC-81が同等です。
【12BH7A】松下電子製
TV受像機ではポピュラーな双三極管です。 12AU7などの12A○7シリーズの2倍のヒーターパワーです。 従って馬力があるので大きめのパワーが出せます。
その昔はポンコツのTVを分解すれば幾らでも手に入ったものですが、昨今は三極管と言うだけでオーディオの世界でもてはやされてずいぶん価格アップしています。
HAMの応用も可能なので手持ちがあれば使ってみると良いでしょう。 やはり三極管ですからGG-Ampで行くか中和付きのアンプに仕立てることになります。欧州系ではECC-99が同等管ですが見たことはありません。
【6AK5】東芝製
VHF帯用の5極管で、エーコン管の954に替わるものとして広く使われました。 VHFマンだったJA1FC藤室OM(故人)曰くその性能差たるや歴然でまったく6AK5に軍配が上がると仰います。 第二次大戦時中にレーダーの広帯域IFアンプ用として多用されました。 そのほか高周波用の高性能管として幅広く使われました。
オリジナルはWE社製で電話中継機用でしたが製造ノウハウが公開され各社が兵器用に量産しました。 なお東芝など日本メーカーは終戦後に技術導入してやっと製造できるようになりました。数字管では5654が同等です。
コンパクトな五極管の代表で好きな球です。 一番最初の写真の様に発振+終段の2ステージQRP送信機(CO-PA)のファイナルに使って見たいです。 オーディオでは人気がないので、お店にあれば安価だと思います。 プレート耐圧が低く無理をすると壊れ易いのでいたわって使いましょう。頑張っても2Wがやっとでしょう。
パワーの小さな受信管なら、どれもQRP用の真空管になりえます。 まだまだ幾らでもあるのでリストの他にもチャレンジしてみると面白いです。 もちろん、mt管だけでなく、GT管やST管にもQRPに適した球があります。 日本固有の6Z-P1などQRP向きだと思いますが国際性はまったく無いのでもっぱらJA局相手でしょうか。(笑) あまり拘らずに、安価な受信管で楽しめるのがQRP送信機の良い所です。 電源も100V:100Vの絶縁トランスを使い倍電圧整流すると丁度良い電圧が得られます。 電池管なら倍電圧整流しなくても良いでしょう。全般に部品費用も掛からないので手軽に「真空管」を楽しめます。
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【QRP送信機の構想】
小さめの真空管を並べてやれば良いので、QRP送信機は種々の形式が考えられます。 どんな球を並べても良いので、型番にあまり捕われずにチャレンジされたら良いです。
しかし、交信の際にリグのラインナップを紹介するならファイナル管はなるべくポピュラーなものが良いです。
ここでリストアップした球はかつて真空管式の手作りリグが盛んだったころには誰でも知っていてポピュラーだったのかも知れません、しかしいまではおそらく年配者を除けば知る人も僅かでしょう。 代表的なものと言うことで写真紹介しておきました。 そんな球を使っている局と交信できた時には思い出してもらえたらと思います。
自身も真空管以外に必要なパーツはあらかた揃えてあって、例によってあとは「やる気+根気」でオンエアももうすぐそこにあると思います。 ライセンスの問題も考慮済みです。
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真空管の時代も遠くなってしまい見たことも無い世代が社会の大半になってきました。 ガラス細工は眺めていても楽しいかも知れませんが、実際にそれで作って波が出れば一段と興味深いでしょう。 電信用送信機なら部品もごく僅かで済みます。 配線も簡単ですから一台作っては如何でしょうか? de JA9TTT/1
(おわり)
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