(IFT:Intermediate Frequency Transformer 中間周波トランス)
スターはTRIOや松下電器産業と共にラジオや通信機の自作用ラジオ部品を供給する部品販売の大手でした。 富士製作所と言って戦前からあった部品メーカーで戦後も逸早く生産を再開しました。ラジオ部品としては特にRFコイルと中間周波トランス:IFTは有名で、五球スーパから高1中2通信型受信機の製作まで幅広く愛用されていました。 IFTはスーパ・ヘテロダイン型ラジオの選択度を決める重要な部品の一つです。
なおTRIO方が早くからアマチュア無線用通信機を発売していた関係でHAM仲間には馴染みがありました。無線雑誌では TRIOのSシーズ・RFコイルやTシリーズ・IFTが幅を利かせていた感じでしたね。
はっきりした記憶はありませんがこのIFTは自作ラジオか受信機に使う目的で40年くらい前に手に入れたと思います。ハンダ付けされていましたが使った記憶はありませんから最初から中古品を頂いた物のようです。 当時は部品を再利用するのはごく当たり前のことでした。使えそうなら有難く頂戴するのが普通だったのです。
既にゲルマ・ラジオ〜五球スーパまで一通りは作ってしまっていたと思います。ですから単なるラジオは目標で無くて本格的な受信機を考えていたのではないでしょうか。 既に選択度をIFTで稼ぐ時代ではなくてメカフィルが登場していましたのでIFTは段間にでも使うつもりだったのだでしょうか。 或はプレート同調型のBFO発振用に改造するつもりだったのかも知れません。
この写真は既に整備が済んだ後のものです。放置されていた中古品なので歳月の経過でくすんで薄汚れたものでした。 内部の点検整備と性能確認のついでに磨いたのでだいぶ奇麗になりました。 汚いままのジャンクでは食指も動きませんが、こうなれば別物でしょうか。性能も確認済みだが売り物ではありません。(笑)
型番はA4・B4型と言うIFTだとわかったので概略の規格も判明しました。 表の赤く囲った所がこのIFTの規格です。 説明によると廉価版のポピュラーな品だったようで、ごく普通の家庭用ラジオに多数使われていたIFTのようです。
ミキサー段の負荷に使うIFT-Aには次段のIFアンプの・・たぶん6D6の・・グリッドへ行くリード線が出ていました。ST管でラジオを作っていた自作全盛期の定番IFTなのでしょう。
規格がわかったお陰で点検整備の助けになりました。 整備の結果が初期性能に近いものなら安心できます。この時代の一般的なIFTは類似特性だと思えば良いでしょう。ジャンクの性能を推測する手助けにもなりそうです。
STARと言っても今のHAMには馴染みはないでしょう。 HAMの関係で言えば1960年代初めはTRIO(現・Kenwood)と共に人気を二分していた無線機メーカでした。 受信機SR-500/550とAM・CW送信機ST-333のコンビは人気がありました。お空のシャック紹介では良く耳にしたコンビでした。 またSR-600型はアマチュア用として国産で初めて1kHz直読を実現した高級受信機でした。 後年登場したSTAR-700 LineはDrake 2B Lineをお手本にし、完成された高級セパレート機として海外(米国、欧州)でも好評を得ていたようでした。
しかし初級無線従事者免許の講習会制度が始まりアマチュア無線ブーム到来の好機に廉価版のSSB機・・特にSSBトランシーバ・・の開発では後手に回ってしまったようでした。 最後の頃の思い出と言えば、SR-200型がコンパクトで安価な受信機として興味を持ちました。 ただトランシーブ可能なペアの送信機がないと言う欠点があったのです。(後になって合併後の八重洲無線が出したST-200はFL-50の箱を換えただけのまやかしでしたね) 結局HAM用機器はジリ貧となり1969年には八重洲無線に事業譲渡されてしまいました。その後の八重洲無線のリグにはSTARの技術が引き継がれているに違いありません。
ところで、IFTの整備をして今やブーム(?)の五球スーパを自作する・・・つもりはぜんぜんないのです。 おいおい何をするのか経緯も明らかになって行きますが、まずはIFTをジャンク箱(御宝箱?)からピックアップしてきたと言うところでおしまいです。 これで三連休も終わってしまいましたねえ・・・。(悲) de JA9TTT/1
9 件のコメント:
こんばんは。
3連休も終わりましたね。
トリオはよく見かけますが、
STARのIFTは見たことがありません。
手元にあるのはSTARのRFチョークだけです。
そう言えばよく行くショップにトリオのT-16 IFTが多量に積んでありました。
あるところにはまだあるんですね。
ところで高級5球スーパーで無いとすると
何が出来るのでしょうか、興味津々です。^^
JE6LVE 高橋さん、こんばんは。
早速のコメント有難うございます。
> STARのIFTは見たことがありません。
自作品のラジオで時々見かけましたが、私も新品を購入した記憶はありません。秋葉原ではTRIOの「緑箱」と並んでSTARの「赤箱」も記憶があります。(笑)
> あるところにはまだあるんですね。
古い部品屋さんの倉庫の奥から発掘されることもあるようです。以前はハムフェアにそうした品が二束三文で並んだのですが・・こんなに値上がりするなんて。(笑)
> 何が出来るのでしょうか、興味津々です。^^
もったいぶる程のものではないんですが・・・。(笑)
加藤先輩、みなさんこんにちは。
連休は天候よく皆さん秋のお休みをたのしまれたのではないかと思います。わたしも似たようなことをしていました。夏の敷物が冷たくなってきたので、絨毯への敷き替え、物置きの掃除、犬のベッドの丸洗いなど、日中はこき使われていました。夜は、近所のお不動さんの骨董市で3千円で買ったGT管五球スーパ(6SA7-6SK7-6SR7-6V6-6X5)をもて遊んでいました。
昔の方が自作されたものらしく、トラスレスラジオより小さい箱にアルミのシャーシを切断加工したものに、ぎっしり詰め込むで、うーんこれは中々のお方の作では。と思わせるもの(だから買ったんですけど。)
もちろん不動差なので回路図を解析し、リキャップ、低周波側から動作確認、IFTが435kHzと一寸変わったものでした。アンテナコイル、局発も低インピーダンスのもので、いかにもジャンク部品で組んだんだろうなぁ。IFTのコアがめちゃくちゃ回されていたのが原因で、150Pのコンデンサをはさんで、検波管の第一グリッドから435kHzをSGで注入し、上下のコアを調整し、丁度月曜日の11頃に出来上がり。
来週、木箱の方をボンドで補修して、塗装をサンダーではがし、とのこ、ニス仕上げに進もうかなぁ。木工は結構苦手です。
自分のことばかり書いて申し訳ありません。自分のブログを作ればいいのですが。先輩のところで寄生しています。
誤記申し訳ありません
詰め込むで→詰め込んで
不動差→不動作
検波管→周波数変換管
最近、仕事の資料作成も含めて、誤字、脱字、計算間違いが多く、ぼけたのかしら。
たいへんご迷惑でした。
exJA9MCH 和田さん、こんばんは。
コメント有難うございます。
> わたしも似たようなことをしていました。
和田さんはラジオその物を復活させていたのですね。GT管式のラジオは珍しいと思います。 ST管はポピュラーですがGT管式は滅多に見ませんね。
> 中々のお方の作では。と思わせるもの・・・
製作されたお方の思い出話しでも伺いたいものですね。傑作のようですから是非蘇らせたいものです。直ったようで良かったです。(笑)
> 自分のブログを作ればいいのですが。
自分のブログなら写真もイッパイ入れられますので始めてみては如何ですか? もちろん、ここにコメントして頂いてまったく問題ないですけど。和田さんの話題と合うようなテーマを考えておきますね。(笑)
ご訂正頂き有難うございます。修正ができると良いのですが、そう言う仕様ではないようです。自分のコメントは削除はできますから、入れ替えてもらっても結構です。難しく考えずにお気軽にコメントして下さい。近況報告なども大歓迎ですよ。
TTT/加藤さん、こんばんは。
先の3連休は何もせず終わってしまいました(笑)
スターのSR200、なんとなく思い出しましたが、正確に思い出せません。
比較的小型の受信機だったような?!
ネットで探して見ましょう!
IFTは当局もお目にかかったことはありません。
JN3XBY 岩永さん、こんばんは。
コメント有難うございます。
> 3連休は何もせず終わってしまいました・・・
初日はお掃除などで終わりました。 2日目は遠出したので疲れれしまい3日目は寝てました。(爆)
> SR200、なんとなく思い出しましたが・・・
横行ダイヤルの受信機でした。STARらしい設計だと思いましたが単独の受信機として使う想定だったと思います。シンプルな回路なのでややLow-Gainかも知れませんが、S/Nは良さそうでした。 いま使ってみたとき良いか悪いのか興味がありますね。
STARはコイルやIFTを継続して供給していたようですが、1960年代初めころは白黒TVのキットに力を入れていたようです。 TRIOもそうですが、部品の商売では儲けが少ないので電気製品のメーカーに脱皮したかったのでしょうね。いまでも同じで、部品屋さんはどこも大変だと思います。 安価で優秀な部品を供給して頂けるのでとても感謝しています。
加藤さん、皆さんこんばんは。jn3xbyさんのコメントにありましたSR200を大昔使用していたものですから、つい顔をださせていただきました。
加藤さんの仰る通り、横行ダイヤルのHamBand専用機でしたね。
9R59を一回り近く小さくしたようなサイズで回路はシンプルな高1中2です。
話題のIFTを中心とする中間周波部分はクリスタルを1個使って、抵抗によるQダンプ?で選択度を変えるようになっており、オリジナルは比較的ブロードでしたので、私は抵抗値を変えたり、最後は半固定抵抗器で選択度可変にしたり、などなど楽しませてもらった思い出があります。
IF周波数は確か1MHz台の高いところを使った設計で、従ってIFTも455KHzの一般的なものとは違ってましたね。
確かアルミケースで小型のちょっとちゃちな作りのものであったと記憶しています。
特性はどうだったのでしょうか?
手放してしまい、色々特徴のあるRXでしたので、今手元にあれば色々いじれたのに、と貴ブログを拝見しながら懐かしさと共に残念でもあります。
JA8CZX 矢北さん、こんばんは。
コメント有難うございます。
> SR200を大昔使用していたものですから・・・
そうでしたか! 実際にお使いになったのは矢北さんのようなベテランのお方でしょうね。
> 回路はシンプルな高1中2です。
IFを1.6MHzくらいにしてイメージ比を稼ぎ、選択度はクリスタルで・・・と言う考えでしたね。シングルクリスタルのフィルタですから裾野がブロードで・・・。 いまならもっとマトモなフィルタが付けられるのでしょうけれど、精一杯だったのでしょう。hi
> 最後は半固定抵抗器で選択度可変にしたり・・・
CW用なら使えそうだと思って実験したことがあります。それなりですが簡単なのがメリットでしょうね。 今でしたら可変帯域型のラダー型フィルタでしょうか。
> 懐かしさと共に残念でもあります。
思い出のままにしておくのが一番だと思います。 まあ、昨今のリグと比べたら気の毒でしょうから。(笑)
楽しいコメント有難うございました。
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