【AM/FM Radio Chip : TA2003P】
自作向きAMラジオのチップと言えばLA1600があまりにもポピュラーです。 AMラジオのIC化はかなり早くから進んだので、過去には色々なAMラジオ用のICが登場しました。しかし今はあまり残っていません。LA1600も生産終了したと言います。 そこで、AM/SSB/CWモードと言ったAM系の受信機製作にAM/FMラジオ・チップのAM部を使うのも選択肢の一つになってきました。
TA2003Pはもともと東芝が開発したチップでしょう。既に製造は終了していますが写真のようなセカンドソースが手に入ります。 FM/AMと言うこともあって、AM専門のLA1600よりやや高めですが、それでも100円少々で売られています。ですからFM部を使わなくてもそれほど損とも思わないでしょう。(入手先:aitendoや e-エレなど)
TA2003Pの特徴を言うと省部品と無調整化に徹したラジオ・チップと言うことです。 AMもFMも正規のスーパー・ヘテロダイン形式です。従って、トラッキング調整だけは不可欠ですが、セラミック・フィルタを使えばIFTは要らない設計なのでIF部の調整は一切必要ありません。 FMモードもセラミック・ディスクリを使えばIF部は無調整化できます。 なおAM部は中波帯MWバンドだけでなく、短波帯も行けます。メーカーの参考資料には22MHzまで受信する短波付きラジオの例が記載されていました。
参考:TA2003Pによく似たチップにTA8164Pがあります。ピン配置を含め、内部の回路構成はTA2003PとそっくりですがAM/FMミキサー回路の出力形式が異なります。ミキサー回路の出力にIFT(中間周波トランス)を使う設計です。従って、TA8164Pを使うにはミキサー出力ピンの箇所をIFT付きの回路に変更します。他はTA2003Pと同じ回路で支障ありません。
残念ながら、SSBやCWモードは考慮されていないチップです。 しかし、少し工夫してみたいと思います。 455kHzのIFフィルタもAM用なら一般的なセラフィルが直結できます。 しかしCW/SSB用の『世羅多フィルタ』はインピーダンス・ミスマッチなので変換トランスが要るのは仕方ないでしょう。
FMラジオの機能は50MHzバンド受信機のようなFMモード付きには使えるかもしれません。 但しFM部分にはあまり興味がないのでAMラジオの部分に特化して検討を進めてみたいと思います。 旨くすればコンパクトで高性能な組み込み用の『受信部』を構成できるのではないでしょうか。 メーカーの資料によれば短波帯も意外に高感度です。 共振した外部アンテナを使うのが前提の我々HAM用にはこのチップ単体で十分な感度が得られそうです。もしGain不足でも2SK241etcのRFアンプで補えば良いでしょう。(但し,それはあまりやりたくありません。低電圧、省電流のチップなのでRFアンプを付加すれば多信号特性は劣化します)
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ラジオ初心者にはスーパー・ヘテロダインの理解は未だ難しいのでしょう。せっかくのLA1600をストレートラジオで使う例もあるようです。 このBlogにあるLA1600の記事に「LA1600」と「ストレートラジオ」と言ったキーワード検索で辿り着くお方も多いようです。 もちろん、ここにそうした使い方は存在しないので検索ミス・ヒットです。(笑)
TA2003Pをストレート形式で使うことも可能かもしれませんが、やはりスーパー・ヘテロダインで使うのが本筋に違いないでしょう。 使用する2連バリコンを決めてしまえばトラッキング回路の設計もそれほど難しくありません。 特に中波帯MW専用にはトラッキングレス・バリコンを使うのがお薦めです。使うバリコンが決まればアンテナコイルと局発コイルもほぼ一義的に決まってしまいます。更にTA2003PはIF=455kHzのセラミック・フィルタ直結なので無調整に出来ているのでトラッキング調整も簡単です。 初心者向けの内容は意図していませんが、そのあたりもPart-2では触れるかもしれません。 de JA9TTT/1
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参考追記:TA2003については2001年頃と、2005年頃に話題になったことがあるようです。(JG1EAD仙波さんの自作プラーザ、他による)これはそのころ売られていたダイソーの300円ラジオに使われていたからです。 ラジオとしての探求もあったようですが、HAM用の活用を見出そうとしたようでした。しかし、その後は立ち消えになった模様です。 素材としてあまり魅力的では無かったのかも知れません。周回遅れの実験になりそうですが、新たな視点でやってみたいと思います。何かブレークスルーが見つかるかもしれません。(2013.3.18)
(つづく)←続きにリンク
8 件のコメント:
おはようございます。そろそろ更新されるかなと思っていましたHi。
簡易化されたICだと検波後出力しか取り出せないのでAGCを殺すことになるのが惜しいですね。実は今月の懇親会でLA1600が話題になっていました。以前からこの手のICが検波しているにしても内部にそう大きなコンデンサを内包しているとは思えないのでB級増幅と見なして検波出力を再度IFTで受ければ多少ロスが大きくてもIF出力が取り出せないかなとLA1600で実験してみましたが、455kHzのような周波数でもほとんどリークしていませんでした。本来の使い方からすれば必然な特性なのですが、皆さん、IF段の前でBFOをかける筈だと納得した次第です。
LA1600もTA2003も短波が使用可となっていますので内部TrのfTはそこそこあるだろうと、この実験の時にLA1600でIF段の入力の周波数をふって検波出力をイヤフォンでモニターしてみましたが、455kHzと5MHzでは結構大きさが違っていました。ブレッドボードでIFTもなく直接入力するという荒っぽい実験なのできちんとした実装だとまた改善されるのかも知れませんがIF段は455kHz程度で使用するのが感度としても良いんでしょうね。ストレートに使うと結構中波でも高域はつらいような気がします。
TA2003はまだ実験していないので判りませんが、これもIF段の特性がそう高域まで延びていないとすると2段スーパーにしてみたいところで、AMとFMの混合部が独立しているので両方が使えるかなと思ったのですが、AM/FMを切り替えると外された回路の電源の供給も途絶えるみたいでこれもまた残念なところです。IC設計としては当然のデザインですが二つあるのにもったいないなぁと思います。
JH9JBI/1 山本さん、おはようございます。 3月も半ばを過ぎてしまったので急遽予告テーマで更新です。(笑)
さっそくのコメント有難うございます。
> LA1600が話題になっていました。
アイテック社のSR-7に使われた関係で、LA1600を使う例は非常に多いので話題に上り易いですね。 TA2003Pはあまり例がないのでこれからと言った感じです。ただ、中華圏のラジオでは大変ポピュラーな存在です。
> IF出力が取り出せないかなとLA1600で実験・・・
面白い実験をされましたね。hi hi 私も同じようなことを考えたことがあります。 工夫すれば出来るかも・・・と言った程度の思いつきですけれど。(汗)
> 結構中波でも高域はつらいような気がします。
小容量だと思いますが、コンデンサが入っていたと思います。IF部があまり高い周波数までゲインを持たないような配慮はしてあるのでしょう。AM-IF部を使うストレートラジオは目的外使用ですから仕方ないですね。
> 2段スーパーにしてみたいところで・・・
面白いアイディアなのですが、AM/FMのそれぞれを独立に動かすことが出来ないのでダメそうですね。 まあ、どちらかに特化した使い方も悪くはないので、何なら2個使ってダブルスーパーと言う手もありますよ。 増々勿体ない使い方ですかね。hi hi
ほか面白いアイディアとか思いつきなど頂ければ合わせて実験したいと思います。宜しくです。
おはようございます
やっと春らしくなってまいりました。^^
ラジオICって色々ありますね。
ご紹介のe-エレのサイトを見ても9種類も載ってます。
ブロック図を見ますとフィルターやコイルをすべてVccに接続するのが珍しいですね。
応用方法や性能はつづくを楽しみにしておりますが、TCA440などのICとの差などどんな物なのか興味津々です。
この手のICはうまく使うとシンプルな回路で性能が得られる上に安いのでありがたいです。
JE6LVE/3 高橋さん、こんにちは。 春らしくなって来ましたね。hi hi
コメント有難うございます。
> ラジオICって色々ありますね。
色々あるのですがHAM用にはSSB/CWも欲しいので最適なものは限られてしまいます。 TA2003Pが向くとも思えないんですが、何しろ外付けが少ないのと安いが魅力です。(笑)
> Vccに接続するのが珍しいですね。
低い電源電圧のチップにはそう言うのが多いように思いました。TA2003Pも1.8Vまで動きますので。乾電池2本が空々になるまで動くと言う設計ですね。無信号時にわずか5mAしか喰わないのもFBです。hi
> TCA440などのICとの差などどんな物・・・
回路構成を見ただけでも性能ではTCA440の圧勝でしょうね。(爆)
> 安いのでありがたいです。
性能競争ではなく、実用性の勝負ならTA2003Pも健闘すると思います。お値段も魅力的ですからね。中国から直接買う方法もあるようですが・・・元々安いのでメリットは??です。(笑)
高橋さんもぜひ活用方法を考えてみて下さい。
TTT加藤さん、おはようございます。
中華ラジオの6mクリコン+セラロックBFOは完成したのですが、感度が悪くて自局モニター状態です。いかにAM放送の電波が強力なのかを実感しました。
当局はロケーションも悪いので、加藤さんのところでしたら、聞こえるのかもしれません。とはいえ、プリアンプ(2SK439、μPC2746T)を製作して何とかなるのかを実験中です。
ところで、LA1600やμPA2003Cもパーツリストを見たらあったので、参考にさせていただきます。IC-7000は受信だけでも熱くなるので、つけっ放しにできる受信機を作製したいとの想いです。
追伸
本屋で、ドラえもんラジオを衝動買いしました。デジタルラジオですので、同調の感覚がいまいち好きになれませんが、感度はいいですね。
4月の懇親会また色々見せていただき、アドバイスいただけると・・・楽しみにしております。
JG1CCL 内田さん、こんにちは。
コメント有難うございます。
> 感度が悪くて自局モニター状態です。
TA2003Pのアプリケーション・ノートによれば短波帯で、2〜5μV程度の感度(AM)があようです。クリコンで20dBくらいゲインを稼げば良く聞こえる受信機になるでしょう。但し、BFOに工夫は必要ですね。
> プリアンプを製作して何とかなるのかを・・・
頭の方でゲインを稼ぐと感度はアップできますが、多信号特性が気になってきますね。hi
> つけっ放しにできる受信機を・・・
オートスキャンの機能も付けておくとFBそうです。
4月の懇親会には行きたいと思っています。アイボールできたら宜しくです。またFBな自作品を拝見させて下さい。
加藤さん、今晩は!
LA1600とは違った味が出るのでしょうか?
BFOが課題のようですが、宜しくお願いします。
セラタは、使いきれないくらいあります(笑)
4月の懇親会初顔出しできれば良いのですが。。。。
JN3XBY 岩永さん、こんばんは。 今日はお花見に出掛けておりました。 都内と違って埼玉県ではまだ少し早めでした。hi hi
コメント有難うございます。
> LA1600とは違った味が出るのでしょうか?
どちらも内部等価回路がわからないのですが、LA1600と類似の回路構成ですね。 但し、TA2003Pのミキサーは単なる差動アンプでギルバートセルではないようです。 ゲインはやや大きめかも知れません。
> BFOが課題のようですが・・・
トランジスタ検波になっていて途中で分離できないためLA1600と同じくBFOは課題ですね。
> セラタは、使いきれないくらいあります(笑)
SSB/CW受信機にはやはり世羅多フィルタの出番ですね。私もたくさん持ってるので活用せねば。(笑)
> 4月の懇親会初顔出しできれば良いのですが。。。。
今のところ出席できる見込みです。お会いできましたら宜しくです。始まりは16時からですので、その前に定型ルートをざっと散策をしてから会場に向かいます。 どこかのお店でお会いするかも知れませんね。hi hi
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