2013年5月18日土曜日

【部品】Failure of a MK10 J-FET

【J-FET :MK10の不良発生
菊水418A型:RC発振器
 手軽な正弦波信号源として写真の発振器を愛用している。シンセサイザ形式のような周波数精度はないが正弦波が得られる発振器は幾つあっても重宝なものだ。

 最近使おうと思ったら、波形の歪みが目で見てわかるほどになっていた。 これは明らかに故障である。 オシロスオコープの管面から正弦波の歪みがわかるようでは、少なくとも数%オーダーの歪率になっている筈だ。 高級品ではないとは言え、このRCオシレータの歪みは0.1%以下の筈だから、オシロスコープではわからないのが正常だ。

 実は,開けるのは3度目だ。 前の2回とも調整で正常に復帰してしまったのである。 最初に異常を感じた時は、経年変化で調整ズレが起こったのだろうと単純に考えた。しかも所定の再調整を実施したら正常(らしく)になってしまった。 それから数年して開けた2回目も同じようだった。 ただ、状態の変動量が大きくなって来たように感じてはいた。まあ年式相応で仕方がない。そろそろコンデンサの劣化でも始まっているのではないかと思った。

 いよいよ3回目の修理開始だ。 低い周波数の歪みが特に酷いようだ。但し状態が安定しない。 なぜ、10Hz〜100Hzのレンジが特に悪いのか?・・・少々疑問であった。 しかし修理しないと使い物にはならない。 中古のRC発振器は安価ではあるが、これを捨てるのも勿体ないから何とかしよう。

回路はディスクリート構成
 おそらく1970年代の設計だ。 未だこうした測定器に使えるほど高性能なOP-Ampは一般的では無かった。 従って、FETやBJTと言ったディスクリート半導体で回路構成されている。

 結論を言ってしまうとつまらないのかも知れないが、図のFETが半不良になっていたのが不具合の原因だった。

 なぜ低い周波数が特におかしいのかと言えばインピーダンスが高くなるからだ。 このRC発振器は430pFの2連バリコン:Cと固定抵抗:Rでウイーンブリッジ発振器(ターマン発振器とも言う)を構成している。 そのため、Cの大きさがバリコンのCmaxで限定されるので、低い周波数では必然的にRの値が非常に大きくなる。

 ちなみに、発振周波数:f=1/(2πCR)である。 C=430pFとして10Hzの時のRを求めると、約37MΩにもなる。 実際には発振の下限に余裕を持たせる意味から38MΩが使われている。 要するに図のFETの先は大変なハイ・インピーダンスになる。 従ってわずかなゲートのリーク電流で回路のDC的動作点は狂ってしまう。 高い周波数が大丈夫だったのはインピーダンスが低くなるからだ。

 わかってしまえば謎でも何でもない。低域で歪んだのはFETのゲート漏れ電流で増幅器の動作点がシフトしたからだ。 わかればもう直ったも同じ。劣化したFETを交換するれば良い。 しかしそれを突き止めるまでには幾つかの試行錯誤もあったのである。(笑)

 【発振器の内部
 こうした発振器も、今ならFET入力の高速・広帯域・低ノイズなOP-Ampを使うだろう。 これはMK10と言う三菱製のFETを使ってハイ・インピーダンスな広帯域・ローノイズアンプをディスクリート部品で構成している。

 ディスクリート構成が必ずしも悪いわけではない。 部品を吟味すればローノイズで広帯域なアンプが作れる。 組立の手数と調整の煩わしさはあっても高性能な回路が実現可能だ。 とくに設計された当時はまだ709や741の時代だから、OP-Ampは性能的にこうした発振器に不十分だっただろう。

 FETのゲート部分は非常にハイ・インピーダンスになる。写真の様にテフロン端子で浮かせて空中配線になっている。 そこまで注意を払った部分にゲート漏れ電流があったのでは、旨くなかったに違いない。(注:写真はFET交換後のもの)

 【劣化していたMK10
  日本の半導体メーカーでFETを最初に開発したのは東芝や日立あたりではなかったかと思う。 しかし初期のころは通信工業用ばかりでどれも高価だった。 だからFETの良さはわかっていても、民生品や安価な機器に使うのは難しかったと思う。

 そんなころ、三菱は2SK・・・型番ではなく、MK・・と言う独自型番で安価なJ-FET(Junction Type FET:接合型電界効果トランジスタ)の供給を始めた。未だ2SK19や2SK30と言ったポピュラーなデバイスは登場していないころだ。 Mitsubishiの2SKタイプと言うような意味だろうか? 汎用品であって特別RF向きではないがVHF帯まで使えたのでFMチューナを含め幅広く使われた。 アマチュアにも手が出せたから自作品にも使った。 古い機器だけでなく製作記事でもMK10を良く見かけるが、それはそのころ他にあまり選択肢がなかったからである。

 写真は劣化してしまったMK10である。 回路図にIdssランクの指定はないがMK10-3らしい。文字消えで良くわからないが、Idss=10〜20mAの一番gmの大きなランクだろう。

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 なぜ劣化したのか? 今では原因が良く知られている。 そのころの三菱製トランジスタは足に銀メッキ線を使っていてそれが良くなかったのだ。 銀メッキ線はハンダの乗りは良いものの、大気中に微量に含まれる硫化水素などにより硫化しやすい。写真の様に足が真っ黒くなるのは硫化銀が生成した証拠だ。鉄の黒サビとは違い銀の硫化には進行性があってリード線の奥まで腐食が及ぶことがある。 さらに多少の湿度があるだけで銀のイオン・マイグレーションと言って銀の原子が電流路に沿って移動・堆積する現象も起こる。 そのため内部半導体表面に無用な電流路が形成されてしまうことになる。そこに漏れ電流が流れるのだ。

 劣化したMK10のリードを見るとだいぶ硫化が進んでおり、内部でも銀のイオン・マイグレーションが起こっていたのだろう。 ドレイン・ゲート間に微小な電流路が出来ただけで、もはやハイ・インピーダンス回路の動作は正常さを失う。 回路の動作点変化量の実測結果から見て200〜300pA(ピコ・アンペア)のゲート漏れ電流が存在した模様だ。

 リード線や端子の銀メッキは半導体を劣化させる原因になるので、今の半導体製品では使われない。 数年間なら問題にならなくても10年にもなればトラブルの種になってしまう。

MK10の特性
 MK10の特性を掲載しておいた。 時々MK10の規格を探す人がいる。 昔の回路図を見ての自作か、古い機械の修理でもしているのだろう。

 すでに製造していないし上記の理由から古い在庫品は心配があると思う。 湿気がなく外気にあまり触れない好環境に保管されていたなら大丈夫かも知れないが、その保証もないだろう。 新品でもお薦めできないと思っている。手持ちにも数個のMK10があったが保管状態に疑問があったので使わなかった。

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 このRCオシレータの場合は、ドレイン・ソース間耐圧が必要なので、Vds(max)の大きなFETが必要だ。 そのため2SK192AのようなRF用FETでは耐圧が足りない。 十分なドレイン耐圧のある代替品を見つける必要がある。 周波数上限は1MHzなので普通の小信号用J-FETならどれでも大丈夫だ。

 一方、無線機のRFアンプやVFOのような用途には2SK192A等で代替すべきだ。 その時はIdssランクを合わせればなお良い。 それでもソース抵抗を加減して所定のドレイン電流になるように調整すべきだ。 それさえすれば代替品の候補は沢山あるのでMK10を無理に探す必要は無い。(:RF用定番の2SK241は内部カスコードのMOS構造なのでJ-FETを代替の際は要注意)

2SK34の特性
 交換に使ったFETの特性だ。この2SK34も恐らくディスコン品(廃止品種)だと思う。自身の修理備忘の為に規格を載せている。

 必ずしもこのFETである必要はないが、要件を満たしていて手持ちもたくさんあったので使ってみた。 ただそれだけなのでMK10の代替品として推奨するつもりは毛頭ない。 MK10と同じ三菱製である。(なお、FETメーカーの資料によれば2SK34はMK10の代替品になっているようだ)

 回路電圧が40Vと高いのと、低ノイズなJ-FETが欲しいのでこれを使った。 2SK34はRF用ではなくて低周波用で耐圧の高いJ-FETだ。 低ノイズだけなら2SK117/2SK147/2SK363等の方が良いが、Cissが大き過ぎて不適当だ。 2SK34は規格上のドレイン・ゲート間耐圧:Vgs(max)が50V以上とあるが、実力的には100Vくらいある。ゲート漏れ電流も少ないFETだ。 ゲインにゆとりのある多段アンプなのでgmはある程度以上あれば支障無いはずだ。 使った物は元のFETよりIdssが大きかったが、取りあえず調整用VRによる動作点調整の範囲には収まった。

 まあ、普通はどう考えても2SK30ATMのYかGRあたりが適当だろう。型番は古臭いけれど低周波用の定番だから。(笑)

発振波形:1kHz
 写真は1kHzの発振波形だ。 このように奇麗な正弦波である。 もちろん、10〜100Hzのレンジも同じように奇麗だった。

 目で見て歪みがわかるのはどの程度からだろうか? 歪みの種類にもよるがクリッピング歪みやクロスオーバー歪みのようなものは意外に低歪率から目で見てわかるようだ。

 ただ、0.1%を切るような歪み率になると、歪率計を使うかスペクトラム解析を行なわないとまるでわからない。 オシロスコープで見て奇麗な正弦波でも意外に高調波が含まれているものだ。 だから目で見てわかるようではもう相当に歪んでいる。

歪み率測定
 オーディオ・アナライザで歪み率を調べてみた。
写真の様に、1kHzにおける歪み率は0.036%である。 この種のオシレータとしては標準的な性能だろう。

 このRCオシレータの出荷時の試験成績表によれば、1kHzに於ける歪みは0.04%だった。 従って、発振回路のFET交換修理は十分旨く行ったことがわかる。 これでまた暫く使えることだろう。

 オシロスコープの波形が奇麗なだけでなく、まずまずな低歪みが得られている。 一般にこうしたRCオシレータの正弦波は歪みが少ない。 ファンクション・ジェネレータではなかなか低歪みにならない。 今でもオーディオ系の測定にRCオシレータが使われる所以だ。

 昨今の超低歪みアンプの測定にはもう一桁くらい低歪みな正弦波信号が欲しいところだ。オーディオマニアならもっと良い発振器が欲しくなるだろう。 連続周波数可変式で極低歪みな発振器は難しいが、スポット周波数式なら自作も容易だ。 オーディオ用にはそうした信号源を用意しておきたい。同時に低ノイズな発振器であることも大切だ。

                 ☆ ☆ ☆


2SC710のこと
 MK10の劣化に関連して2SC710のことを書いておこう。 2SC710はRF汎用として非常にたくさん使われていた。

 ラジオやTVなど家電品に留まらず、CB無線機やアマチュア無線機にもたくさん使われていた。 SONYのBCLラジオに多用されていたのは有名な話である。

 しかし、この三菱製のトランジスタは、MK10と同じようにリード線の硫化や銀のイオン・マイグレーションと思われる劣化・・・BJTの場合はリーク電流だけでなく、hFE低下などの劣化症状を呈することも多い・・・が多発している。 中身の半導体チップは違っていてもパッケージ構造とリード線が同じだからだ。

 写真右側の大きめの2つは銀メッキリード線の2SC710だ。比較的良い環境に保管してあったので劣化は見られなかったが問題のブツである。 未使用ゆえ電極間に電圧は掛かっておらず電流も流れていないから銀のイオン・マイグレーションもないのだろう。 今のところ正常そうだ。 しかし積極的に使うつもりはない。 いずれトラブルになる可能性があるし、他にいくらでも代替品があるからだ。 写真左側の小さめの2個は同じ2SC710でも幾らか安心なようだ。 三菱製ではなくて、どこかのセカンドソースなのかも知れない。しかし、リード線は銀メッキではないので、こちらの方が信頼性は高い。 おなじ2SC710に交換するならこちらにすべきだ。

(参考)日立製の2SC460等も同じように銀メッキリードで問題の多い部品である。

 2SC710の代替に2SC1815を使う例もあるようだが、純然たるRF回路には向いていない。 低周波回路やスイッチのような用途なら別だが、RF/IF回路には1mA前後の小電流でもっとRF特性の良いデバイスで代替すべきだと思う。fTが高くCobが小さいトランジスタが良い。

重要:言わずもがなとも思うが、2SC710の足の並び方はこの種のトランジスタとしては変則的である。2SC1815のような他の大半の小信号用トランジスタの足の並び順とは逆になっている。修理の為に別のトランジスタに置き換える際は十分な注意が必要だ。足を下に向けて型番の捺印面を正面に見た時、2SC710は左からBCEの足の並びだが、他の殆どのトランジスタはECBの順である。2SC710を他のTrに置き換えるなら、もう一度よく確認してから作業を!

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 デバイスに関わるトラブル情報をBlogに書くのはどうも「ためらい」がある。 稀にとは言え、ある特定型番のデバイスに問題があることを知るやいなや闇雲に全交換しようとする人がおられるからだ。 無闇に交換して修理できる確率はたいへん低いのにも関わらず・・・。 不具合状況を的確に把握し、そうなる理由を考えるのがまず先決だと思う。

 たとえば今回のMK10の不良にしても、普通の増幅回路なら症状は示さなかっただろう。 わずか200〜300pAのゲート漏れ電流など支障無いのが殆どだからだ。 むしろ正常に動作しているなら交換などしない方が良い。 交換をすれば再調整が必要になるし、性能の確認も不可欠になってしまう。 闇雲に交換したのでは故障なのか調整不足なのかさえも判別不能になる。 そうなるとより高度の故障診断技術を要するようになる。かえって難しくしてしまっている訳だ。 だからデバイスの不具合情報は常にデリケートなテーマなのだ。

 問題のあるデバイスとは言え必ず壊れるものでもない。多少の経年劣化は問題にならないケースも多いものだ。 回路の働きをしっかり理解して狙いを定めた修理を行ないたいものである。 de JA9TTT/1

(おわり)

10 件のコメント:

JH9JBI/1 やまもと さんのコメント...

おはようございます。

リーク電流が原因というのを特定するとは流石ですね。修理と同時に清掃もされたのだと思いますが、基板が非常に綺麗で驚きました。数十MΩの絶縁問題だと基板にたまった湿気が一番ありそうだと思いますので。
また、MHz帯あたりまで周波数が伸びているからだと思いますが100HzあたりのレンジまでpF単位のバリコンを使用しているというのは驚きです。このあたりだと抵抗の方を可変のほうが回路としては楽ができると思いますから。抵抗だとバリコンより劣化が早いという判断もあるのでしょうね。

オーディオ分野の話をみているとJFETのIgは差動回路にしたときに無視できないみたいで、高圧時(Vds>20V)のIgを測定した結果がweb上で検索できますね。それによると同じ2SK30でもツバ付と最近の2SK30ATMではリークが改善されているように書かれていました。時代と共に改良されているからかと思いましたが、nA単位の話だと経年劣化ということもありそうですね。

TTT/hiro さんのコメント...

JH9JBI/1 山本さん、こんにちは。 5月らしい清々し朝ですね。

さっそくのコメント有難うございます。
> 基板が非常に綺麗で驚きました。
もともと隙間の少ない構造に出来ているからでしょう。特別な清掃はしていませんが内部は奇麗でした。

> 基板にたまった湿気が一番ありそうだ・・・
そういう部分を気にして密閉構造になっているのかもしれませんね。 昔の真空管式だった時代も同じ回路なのでその頃は密閉構造にはできなかったでしょうね。部分シールドでもしていたのかもしれません。

> pF単位のバリコンを使用しているというのは驚き・・
お書きのように、バリコンに比べて可変抵抗器は摺動寿命が短くて・・いわゆるガリになり易い・・ので不適当なんです。 いまは可変抵抗器も良い物が出ていますが、昔の測定器に(エヤー)バリコン式が多いのはそのためです。

> リークが改善されているように書かれていました。
それはあると思います。 ジャンクションの漏れ電流は製造工程のクリーン度に左右されます。今の半導体工場は昔と比較にならぬほど奇麗ですからね。hi hi

> nA単位の話だと経年劣化ということも・・・
それもありそうですね。 Vds>20V程度でnAも漏れるのは多過ぎます。 件の劣化MK-10でさえそこまで漏れていませんからね。(笑)

ゲート漏れ電流が少ないと言えば前に扱った3SJ11Aは非常に優秀です。Audio向きじゃないですけど。hi

T.Takahashi JE6LVE/JP3AEL さんのコメント...

加藤さん、こんにちは。

MK-10はリアルで使った経験はないのですが、昔の製作記事では定番FETですね。

発振が停止するとかの故障ならFETを疑うのですが、歪みの増加原因としてFETを疑う自信はありません^^;

僕はケンウッドのAF発振器を使っているのですが、中を見ますと周波数可変にVRじゃなくて
同じくバリコンが使ってあり驚いた記憶があります。
そのときも加藤さんにバリコンがよく使われていると教えていただきました。

>回路の働きをしっかり理解して狙いを定めた修理を行ないたいものである。
耳が痛いご指摘です^^;

2SC710と同じようにトリオの無線機に多用されていた2SC460も同じような劣化するようですね。
半導体は真空管とちがって半永久的に使えるのが当時のうたい文句じゃなかったのでしょうか?
真空管の方が長持ちしてます(笑)

TTT/hiro さんのコメント...

JE6LVE/3 高橋さん、今晩は。

コメント有難うございます。
> 昔の製作記事では定番FETですね。
安く買えて、しかもRFでの使用例が出ていたのはこのFETくらいでしたからみんなが使いました。2SK19など登場初期は¥1K以上でしたので買えません。(笑)

> 歪みの増加原因としてFETを疑う・・・
ディスクリート構成のアンプですから、各部の動作点を当たれます。 どう考えても初段の動作点がおかしいのでFETを疑いました。 電圧や電流を測ってみるのは効果的です。

> ケンウッドのAF発振器を使っているのですが・・・
殆どのRCオシレータがそうなっていると思います。本形式の製品を最初に発売したのはhpだったと思います。戦前ですからもちろん真空管式です。RC発振器の定番回路構成になりました。

> 耳が痛いご指摘です^^;
いえいえ、わたし自身、泥縄式の修理になることも多くて・・・。願望を書いたまでで。(爆)

>2SC460も同じような劣化するようですね。
2SC460は日立製ですが、あれも使ってある銀メッキリード線が良くないのです。 同じ劣化原因ですね。

> 半永久的に使えるのが当時のうたい文句・・・
そう言う意味では、Canパッケージ品の方が信頼性は高いです。 ガラス部分のクラックやフタ溶接時のワレなどがなければ長寿です。 プラパッケージ品でも銀メッキでなければ一般的には2〜30年大丈夫だと思っています。

> 真空管の方が長持ちしてます(笑)
「たま」に使う程度でしたら真空管式の機器もかなり長寿命ですね。 真空管時代の機械は修理しながら長く使う設計だったのも良かったのでしょう。 半導体式は使い捨ての傾向が強いですからね。特に最近は直すことを考えてないものが多いです。

JR2WZQ 河野 さんのコメント...

MK10は高校生だった頃、初めて買ったFETなので懐かしいです。50MHzのプリアンプか何か作るために買ったと思います。その当時、VHFで使える一番安いFETがこれだったと思います。
2SC710や2SC460の不具合はよく話に聞きますが、確かにリード線が真っ黒になったのが、我が家にもあります。当然「ハズシ物」です。我が家にはそれより古い橙色のパッケージの2SC460もあり(当然これも「ハズシ物」です)、これはリード線が金メッキされていて、それは見るからに大丈夫そうです。金メッキだと当然コストが嵩むわけですが、コストダウンのために銀が使われるようになり、予期せぬ不具合が出てきてしまったわけですね。

TTT/hiro さんのコメント...

JR2WZQ 河野さん、こんばんは。

コメント有難うございます。
> 初めて買ったFETなので懐かしいです。
そういうお方が多かったのではないかと思います。 当時としては、安価で入手しやすかったFETでした。

> 金メッキされていて、それは見るからに大丈夫そう・・・
どんな金属もエレクトロマイグレーションは起こるのだそうですが、銀は顕著なようですね。 金メッキの方がずっと安心だと思います。拙宅にもオレンジ色で金メッキ足の2SC458LGがあります。(笑)

> コストダウンのために銀が使われるようになり・・・
組み立て時のワイヤーボンディングの信頼性と、使用時のハンダ付け性改善が目的だったと思います。 高価な貴金属はなるべく使いたくないのですが、当時はそういう時代でした。 その後ハンダメッキになりましたが、今は鉛フリー対応で錫メッキが多いようです。

半導体の不良原因はシリコンやゲルマと言った本質の部分ではなくて、素子表面の汚染を含め内部配線や組み立て工程に関わるものが多いです。 パッケージング技術は侮れませんね。hi hi

JG6DFK さんのコメント...

こんばんは。オンラインではご無沙汰です。今日は屋外実験で千葉の東金まで遠征してきました。残念ながら成果は芳しくありませんでした。

MK-10といえばご存じの通り、FDAM-3やIC-502のVFOにも使われていました。IC-502の生産が終了したのはMK-10の生産が終了したからだと聞いたように思います。それはさておき、かのCR発振器はFET差動入力ではなさそうですね。

MK-10も硫化が起きるとは思いませんでしたが、あちこちで不評な2SC460/461は若干のストックがあります。幸い硫化は起きていませんが、時間の問題でしょうか。

Tr.のトラブルといえば、終段が暴走するからと修理を依頼された200W級のオーディオパワーアンプには手を焼きました。プリドライバのリーク電流増加だと気付くまでに、確か半年以上頭を抱えたのではないかと思います。終段と分離しての確認では異常を見つけられなかったからです。

道理で、それ以前に修理を引き受けた人がサジを投げてQSYしてきたわけです(笑)。

オーディオ用J-FETはそう遠くないうちに絶滅しますから、今のうちにたらふく買い占めておくと、あとで高く売れますよ(爆)。

# こういうものは時流に乗った設計ってものがあるんですがねぇ…

TTT/hiro さんのコメント...

JG6DFK 児玉さん、こんばんは。 少々ご無沙汰でした。

コメント有難うございます。
> 残念ながら成果は芳しくありませんでした。
例の「高い周波数」の実験でしょうか。 それは残念でしたね。 次回に期待しましょう。

> MK-10といえばご存じの通り・・・
今のICOM、井上電機製作所はMK-10がお好きでしたね。

IC-71と言う6mのトランシーブ・トランシーバを開発する際にVFOの発振デバイスを各種比較試験したデータが雑誌に掲載されたことがあります。周波数安定度の比較です。

MK-10は3SK22と同等に良好だったと言う結果でしたが、コストも考えて前者に決まったようです。以来、継続して使用したのでしょうね。

もちろん、当時の比較ですからその後登場した中にもっとFBなデバイスもあるでしょう。2SK19あたりまでの比較だったと思います。

> FET差動入力ではなさそうですね。
ハイ・インピーなのはウイーン・ブリッジ側だけなのと、発振器ですからDCを扱う必要は無いので差動でないですよ。 そこまで考えた製品では無いとは思いますが、ノイズの点では差動アンプより有利ですし。hi

ソースにDC帰還して動作点を決め、同じくソースにAC帰還も掛けてゲインを決めています。AC帰還側には熱遮蔽した振幅安定用サーミスタが入ってます。

> 時間の問題でしょうか。
外気に触れぬよう密閉した環境で保管していれば大丈夫でしょう。もちろん使い始めてからはそうも行かないのが問題でしょうか? 少なくとも5年くらいは持つでしょう。(笑)

> プリドライバのリーク電流増加だと・・・
わかってしまえば簡単ですが、それまでは苦労がありますよね。

> そう遠くないうちに絶滅しますから・・・
買いだめされたなら、劣化させないように入念に保管されてください。(笑) 私はとりあえず自家用の分はありますから何とかなるでしょう。hi

> 時流に乗った設計ってものが・・・
そう思いますよ。 既に廃れて久しい古いデバイスを新規製作に使うなどナンセンスでしょう。 手持ちがあるなら別ですが、わざわざ高いお金まで払って使うのは○○と言われそうです。hi hi

T Inaba さんのコメント...

今日は、10年以上前にそれも何年も前の記事のFETプローブ作製についての質問でお世話になった稲葉です。
私も不調のKIKUSUI 418Aを所有し、清掃、DCバランスの調整をするといつの間にか元に復帰していました。今回の猛暑で完全にダウンし、ネット検索したら再びヒットしました。
MK10 は共通回路で高い方のレンジで不調なら疑う事も有りましたが、完全に捜査圏外でした。
2SK34交換で復帰しました。良くなると欲が出て、以前より使用に支障のない範囲でDCバランスが20Vまで行かず15Vまでしか調整できないのも修理したくなりました。回路図をお持ちのようなのでQ2のNSPM 4121とマーキングされたトランジスターの型番を教えてください。

TTT/hiro さんのコメント...

稲葉さん、こんばんは。 ずいぶんご無沙汰のようですが、ずっと測定器にご興味をお持ちになってご活躍のようですね。何よりです。

さっそくお尋ねの件ですが、回路図によると2N4121というPNPトランジスタです。 ナショセミ製のようですね。 規格を調べたらPNPトランジスタとしてはfTが450MHz(min)/Ic=10mAと高いのが特徴のように思います。 耐圧40VでfTが高いPNPというと、国産の該当品を探すのは大変そうです。オリジナルの2N4121あるいはPN4121(同等品)を入手するのが良さそうですね。

旨く修理できますこと、祈っております。