【回路:正弦波発振器の研究・その2】
【低ひずみ・正弦波発振回路】
いつも忘れたころ登場する低ひずみな正弦波発振器の話しです。今回も発振周波数は1000Hzです。
少し前のことになりますが、トラ技読者のお方から質問をいただきました。 「私の部品箱」というコラム記事に掲載された回路図についてでした。 その号のテーマはCdSとLEDを組み合わせた「リニア・フォトカプラ」でした。 その活用例として低ひずみな正弦波発振器を紹介しておいたのです。質問はその発振器についてでした。 簡単に言うと作ってみたいがもう少し詳しい情報が欲しいと言うものです。 回路図だけでほかに写真も何もなかったので情報不足だったのでしょう。 その時は手元の資料をいくつかお送りして対応しておきました。
わずか1ページのコラム記事ですが意外にご興味を持ってお読みいただいているようです。 しかし更に詳しい話は新たな記事のご依頼でもあれば別ですが、いちどコラム記事として登場すればそれで終わりになることが殆どです。要するに使い捨て感覚なのでしょう。 記事にしていただくのは有り難いのですが、いくら頑張っても1ページの紙面では無理があります。 視点を変えた上でBlogでフォローしておくことにしました。
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写真はトランジスタ技術誌:2017年10月号の「私の部品箱」(P206)に登場した正弦波発振器の試作の様子です。 記事ではCdSとLEDを組み合わせたフォト・カプラ(オプト・アイソレータ)がテーマでしたがこのBlogでは発振回路そのものの方にスポットライトを当てたいと思います。 内容は全く独立していますから雑誌記事を参照する必要はありません。
このBlogの趣旨に沿った内容で解説を試みましょう。 こうした発振器のHAMの用途はSSBジェネレータやSSB送信機のテストに使うための2トーン・ジェネレータでしょう。 近頃は高級測定器をお持ちの自作HAMも多いため2トーン・ジェネレータの高性能化が必要になってきました。従来型の性能では2トーンジェネレータ自体の高調波が観測の邪魔になるのです。 昔のようにオシロスコープでの波形観測なら少々のひずみはわかりませんでした。しかし高分解能、広ダイナミックレンジのスペアナだと2トーン・ジェネレータ自体の高調波が見えてしまうのです。 このため高調波ひずみの非常に少ない2トーン・ジェネレータが必要になっているのでしょう。 こうした超低ひずみ発振器はオーディオ・アンプのひずみ率測定に使う信号源がおもな用途だと思っていましたが、近頃は高度なHAMのニーズも生まれているのです。
以下、製作のポイントや測定結果など交えて詳しく紹介しておきます。 この種のオシレータの自作に興味があればお付き合い下さい。 高性能オーディオや高度な無線機の自作に関心はないのでしたら退屈なだけかも知れません。
【低ひずみ発振器の回路図】
低ひずみ発振器の回路図です。 超低ひずみと言えますが回路は意外に簡単です。使っている部品もごく一般的なものです。
発振回路は低ひずみ発振器の定番のようになっている「状態変数型」です。この回路は積分型のLPFを重ねた形式なので高調波が減衰するため有利なのです。発振周波数は図中の計算式で求められます。 ここでは約1,000Hzになるよう設計しています。ただし部品誤差があるのでちょうど1,000Hzに合わせるには調整が必要です。R2およびR3を微調整する方法が良いです。
肝心のひずみ率ですが、0.001%以下の性能が得られます。ひずみ率計の数字は単独の高調波だけで決まるわけではありませんが、ここでは話を単純化すると0.001%と言うのは基本波に対して-100dBになります。一般的なスペアナなら高調波が観測の支障になることはないでしょう。 発振振幅は約7V(rms)得られます。
2トーン・ジェネレータにするならもう1回路製作します。そちらの発振周波数は1575Hzに設計します。回路図中の計算式から抵抗器:Rの値を求めます。例えば C=0.047μFならR=2150Ωになります。Cの方を変えても良いです。
低ひずみな発振器では振幅制御がたいへん重要です。 電圧可変抵抗素子を使ってアンプが飽和しないよう増幅度(ゲイン・利得)を自動調整します。 電圧可変抵抗素子としてはFET(電界効果トランジスタ)がよく使われます。これは過去のBlogでも実験してます。(リンク:その1、その2)
もちろん同じ方法で作っても良いのですが、ここではフォト・カプラ(オプト・アイソレータ)を使いました。 発光側がLEDで受光側がCdS(硫化カドミウムセル)のフォト・カプラです。 LED(発光側)の電流を変えると受光素子のCdSは大幅に抵抗値が変化します。 その特性を使って利得の(=発振振幅の)自動制御を行ないます。 フォト・カプラはFETと違って制御側(LED)と被制御側(CdS)が電気的に切り離されているため使いやすいのです。ただしFETよりも超低ひずみでは不利ではないかと言われることもあります。
CdS-LEDのフォト・カプラを使った状態変数型発振器もときたま見かけます。 それらの殆どはフォトカプラのCdS素子を回路図のR4の位置に入れます。 入力側と出力側が電気的に絶縁しているためGNDから浮いた位置に挿入できるからです。 ここではR4の位置ではなく、R8と並列にGND側にCdSが来るようにしてみました。 このようにした方が低ひずみに有利ではないかと考えました。このあたりが私が工夫した部分です。
この位置の方がCdSの両端に加わる電圧が低いのです。 CdSは抵抗値の電圧依存性が少ないのが特徴です。(電圧依存性:両端に印加された電圧により抵抗値が変化する現象。それが大きいとひずみの原因になる) 従ってR4の位置に入れてもかなり低ひずみです。 しかしR8の位置、GNDとの間に入れる方が端子間に加わる電圧はずっと低いためそれだけ有利なはずです。
その代わり発振振幅を制御する方向は逆になります。 電源投入後の発振起動時には必ず低抵抗の状態にならなくてはいけません。 真っ先にフォトカプラのLEDを明るく点灯させねばならない訳です。 まず、整流回路とLEDの極性を逆にします。 さらに発振起動時を考えてCdSが必ず低抵抗の側からスタートするよう、LEDのカソードはGNDではなくマイナス電源に接続します。これで電源投入で確実に発振が起動でき振幅制御が働きます。
#状態変数型発振回路の動作原理は参考書がたくさんあるので文末をご覧ください。
【発振波形】
ひずみ率が0.001%の正弦波などオシロで見ても面白くないと思います。 特にここで使ったようなデジタル・オシロは垂直軸の分解能は8bit程度のものです。 最近の高性能デジタル・オシロでも12bitですから波形を見てひずみを云々することは不可能でしょう。
オシロスコープでは波形の観測ではなく、電源投入時の起動特性などを確認しておきます。 発振が始まり振幅が安定するまでの状態を確認します。 また、発振振幅とひずみ率には関連があります。ひずみが増加しない範囲においてなるべく大きな振幅で発振させた方が有利です。これはOP-Ampの残留ノイズによりひずみ率が悪く見えてしまうことへの対策です。 ここでは画面を見ながら約20Vppの発振振幅に調整しておきました。
【発振周波数と発振レベル】
オーディオ・アナライザを使って発振周波数と振幅を測定しています。 発振振幅は実効値(rms)で表示され、20Vppはおおよそ7. 07V(rms)です。
20Vppはオシロスコープの画面で見て合わせたので、多少小さめだったのでしょう。 この状態で再調整し7.07V(rms)になるようにしても良いと思います。
発振周波数は計算では1,000Hzのはずですが少し高くなりました。 抵抗器は誤差1%のものを使っています。周波数のずれはおもにコンデンサの容量誤差によるものでしょう。 回路図のR2およびR3を少し加減すれば1,000Hzに合わせられます。 周波数カウンタがあれば簡単です。 少々の周波数調整ならR2またはR3のいずれか一方の加減でも大丈夫です。 しかしR2とR3はなるべく同じ抵抗値にすべきです。 大幅な周波数調整が必要ならR2とR3の両方を同じずつ調整するようにします。
【肝心のひずみ率は】
ひずみ率は0.001%前後になりました。 これはこのオーディオ・アナライザ:hp 8903Aの測定限界に近い数字です。
次の項目で高調波スペクトラムの様子をみると、実際はもう少し低ひずみなのではないでしょうか。 基本波が幾分大きめに漏れ残っているようです。 従って、実際にはもう少し良いひずみ率なのでしょう。 半ば想像ではありますが、大まかに0.0005%くらいのように思います。 もちろん0.001%であってもHAM用の2トーン・ジェネレータには十分すぎるくらいなのですが。
ひずみ率の調整は基本的に必要ありません。 怪しげなジャンク部品はいけませんが、普通の部品を使って作れば発振振幅を調整するだけでこの程度のひずみ率になります。 振幅の自動調整に使ったフォト・カプラ:LCR-0203の影響を調べるために何個か交換してみました。 ばらつきのため交換しただけでは発振振幅に多少の違いが見られますが、調整して同じ発振振幅になるように合わせればひずみ率は同じになります。 LCR-0203のばらつきはひずみ率に影響しません。
あえてひずみの調整を行なうなら、OP-Amp. U2bの7pin(R11との接続点)をオシロスコープで観測しながらR12(1MΩ)を加減します。 オシロスコープはAC結合にして感度を上げ、小さなリプル波形が良く見える状態にしておきます。 そのリプル波形が最も小さくなるようにR12を調整します。ただし完全に無くすることはできません。 もしひずみ率計が使えるなら、ひずみ率が最小になるように調整しても結構です。ただしオシロスコープを使う方法との差はないはずです。 この回路を使う限りここまでの調整を行なえばほぼ完璧です。これで0.001%以下のひずみ率まで持って行けます。
【ひずみの周波数成分分析】
オーディオ・アナライザのモニタ出力(背面)をスペアナで観測するとひずみ成分の分析が可能です。 オーディオ・アナライザのモニタ出力であって、なまの信号を見ているのではないため、この画面から直接ひずみ率を求めることはできません。 しかし、ひずみの成分が分析できます。
この観測によれば、ひずみの原因は第2高調波にあることがわかります。 それ以外の高調波はノイズフロアよりずっと下にあります。 従って、この第2高調波を低減する対策を行なえば一段と低ひずみな発振器になるでしょう。(一般的にいえば、偶数次のひずみは増幅器の非直線性によるもの、奇数次は飽和によるものがまずはじめに考えられます)
実は第2高調波の発生原因はかなりはっきりしています。 発振振幅の自動制御回路に原因があります。 発振により生じた1,000Hzの信号をダイオードによって整流して振幅の制御に使っています。 整流したあと積分器で平滑して直流電圧にしていますが、どうしても微細なリプル電圧が残ります。そのリプルを含む電流がフォト・カプラのLEDに流れ、微細な光量変化となりCdSを介して回路に再注入されるのです。
積分回路の時定数を長くすると効果がありますが少々では効きません。 あまり長くするとこんどは発振の起動特性が劣化します。積分コンデンサのESR(等価直列抵抗)も影響します。 ダイオードによる整流回路を持った振幅安定化回路の限界なのです。 これは振幅の制御にフォト・カプラを使おうがFETを使おうが同じことです。 参考書によれば乗算器を使ったリップルレスな整流回路を使うと良いようです。 しかし現状でも十分な低ひずみですし、なるべく手に入りやすい部品だけで製作できる範囲が好ましいと思っています。乗算器が手に入ったなら比較の意味で試す価値はありそうですけれど・・・。(笑)
【OP-Amp.とコンデンサ】
使用する部品の話しです。 発振回路に使うOP-Amp.は十分に吟味しています。ここではNE5532(TI製)を使いました。単価100円くらいですから高価なものではありませんが、この用途に向いています。
間違いないのはNE5532やLM4562NAのようなAudioに向いたOP-Amp.です。 NJM4580も有力候補でしたが高い周波数の微小発振を伴うようでした。 回路形式による原因のほかに部品レイアウトに何か問題があるのかもしれません。残念ながら諦めした。 いずれにしてもローノイズ、低ひずみなOP-Amp.を選びます。必ずしも高価なものが良いわけではありません。 ごく一般的な4558系であってもかなり良い性能が得られるものです。
抵抗器は金属皮膜抵抗器を使います。誤差は1%のものが売られています。カーボン抵抗はノイズの点で感心しません。ベストは金属箔抵抗器ですが高価すぎます。 バイパスコンデンサを除きすべてフィルム・コンデンサを使いました。 容量が大きめなので振幅制御回路の積分コンデンサ:1μF(C3)はタンタル・コンデンサでも良いです。ただしその場合は極性に注意します。 発振周波数を決めるコンデンサ(C1とC2)は周波数安定度の点ではスチロール・コンデンサが最適です。 いくらか温度安定度は劣りますが写真のように安価なマイラーコンデンサでも良いです。マイラでも0.001%のひずみが得られますので心配ありません。銘柄モノのコンデンサに拘るのも結構ですが差額だけの効果がなくては面白くないでしょう。 もちろん、良質なコンデンサを使うに越したことはありませんが。
#重要部品である振幅安定回路のオプト・アイソレータは次項で説明します。
【CdS-LEDオプト・アイソレータ】
振幅安定回路には発光側がLEDで受光側がCdSになっているフォト・カプラ(オプト・アイソレータ)を使います。
写真のものは秋月電子通商で売られているLCR-0203という型番の製品です。中国製で単価120円でした。 共立エレショップでも扱っています。
この形式のフォト・カプラとしてはモリリカ社のMCD-521がかつての定番部品でした。 しかし既に生産されていません。たとえ売っていたとしてもプレミアム付きで価格高騰しているでしょう。 今でも探している人があるのはアナログ・ミュージック・シンセサイザなど電子楽器の用途があるからです。(そちらもLCR-0203で代替できるはずなのですが・・・)
ばらつきが大きいなど、いくらか性能は劣るようですが発振回路の振幅制限には安価なLCR-0203で十分です。 比較のためMCD-521と交換してみましたが、所定の発振振幅に調整してしまうと違いは感じられませんでした。
なお、単体のCdS素子と発光ダイオードの手持ちがあればこの目的に使えるフォト・カプラを手作りできます。 CdSの波長に対する受光感度特性から緑色の発光ダイオードが適当です。ただし赤色の領域にも感度があるので赤色も十分使えます。LCR-0203も赤色LEDを使っているようです。 CdSの受光面とLEDの光軸を突き合わせにし2つの素子の周囲を完全に遮光して完成です。 絶縁フィルムを巻いたのち、アルミフォイルで覆うと見掛けはともかく遮光は良好です。 自作のフォト・カプラも十分使えますが光学的なノイズを拾わぬように良く遮光しておきます。蛍光灯やLED照明器具は強烈な光学的ノイズ源になります。CdSは高感度なので思わぬところから(光の)ノイズを拾います。
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HAM用の2トーン・ジェネレータの場合、1,000Hzと1,575Hzの2波が標準的です。 CRの定数を少し変えるだけで周波数の変更ができます。2つの周波数は近いためほぼ同じような性能が得られます。
オーディオ用の信号源には100Hz、1,000Hz、10kHzの3波を作ります。それぞれ発振起動特性を見ながら振幅制御回路の積分時定数を最適化する必要があります。1,000Hzと10kHzは同じでも大丈夫ですが100Hzでは時定数を長くしなくてはなりません。
オーディオ・アンプ等の評価ではその3つの周波数で出力対ひずみ率特性を調べることがよく行なわれています。 ひずみ率計がないとお話にはならないのですが、スポット周波数のひずみ率計なら思ったよりもずっと容易に製作できます。連続周波数可変型を試みると大変です。スポット周波数のものを作ると高性能が得られやすいです。(経験済み・笑)
まずは1,000Hzで作ってみましょう。100Hzと10kHzは少し難しいので1,000Hzが旨く行ってからが良いでしょう。 高感度な電子電圧計が必須ですから事前に手に入れておきます。電子電圧計の感度によって測定可能な最低ひずみ率が決まります。 かつて垂涎のマトだった超高性能ひずみ率計(国産機)も例のコンデンサ劣化問題で出回っている中古品は殆どが故障品なのだそうです。入手するなら十分気をつけてください。状態いかんですが修理はかなり困難なようです。 ひずみ率計の稼働率は低いので自作で済ませるのが良いでしょう。 それにしても自作オーディオマニアでしたら低ひずみ発振器とひずみ率計のセットは既にマストアイテムでしょう。 さらにオーディオ測定マニアでしたらFFTアナライザもそろそろ必携でしょうか。パソコン・アプリもありますけど道具にハマると趣味もキリがありませんね。(笑)
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目標としていた低ひずみ率の発振器が確実に作れるようになりました。 難しいことなしに、安価で入手容易な部品を使い、ごく簡単な調整だけで満足できる性能が得られます。 製作に必要な情報はBlogにすべて公開してあります。あとはあなたの製作意欲しだいと言ったところでしょうか・・・。 従って、このテーマはこれで一旦おしまいにしたいと思っています。 他にも違った形式の低ひずみ発振器があって回路的な興味は尽きないのですがそれはまた気が向いたらにしましょう。 現状で十分な性能だと思います。 なお今回は単独の発振器を扱いました。いずれ機会があれば2トーン・ジェネレータにまとめるところまでやりたいと思っています。 ではまた。 de JA9TTT/1
参考・1:関連のBlog内記事へリンク(低周波の低ひずみ率発振器関連)
(1)RC Phase Shift Oscillator
(2)FLT-U2 Sine Wave Oscillator
(3)Sine wave oscillator : Part 1
(4)Wien Bridge oscilltor
参考・2:実験や研究の参考になる書籍・資料(2018年6月28日現在)
(1)はじめてのトランジスタ回路設計、1999年5月1日初版、黒田徹、CQ出版社、ISBN4-7898-3280-5、¥2,500−、絶版だがCD-ROM版あり(¥1,903-)
(2)OPアンプ活用100の実践ノウハウ、1999年8月1日第2版、松井邦彦、CQ出版社、ISBN4-7898-3281-3、¥2,100-:絶版だがオンデマンド版あり。¥2,916-
(3)OPアンプによる実用回路設計、2007年2月1日第4版、馬場清太郎、CQ出版社、ISBN978-4-7898-3748-4、(¥2,800-):新版として現在も販売中。¥3,024-
(4)発振回路の完全マスター、昭和63年9月20日第1版、稲葉 保、日本放送出版協会、ISBN4-14-072035-2、¥1,900-:絶版(古書も入手困難)
(5)定本・発振回路の設計と応用;1993年12月25日初版、稲葉 保、CQ出版社、ISBNN-7898-3046-2、¥2,718円:絶版だがオンデマンド版あり。(¥3,672-)
*筆者の稲葉 保さんは知人でした。残念ながら2018年2月4日にご逝去されました。謹んでご冥福をお祈り致します。
絶版がほとんどなので、図書館の利用がお薦めです。 古書が出ることもありますが書籍によってはプレミアムが付いています。 書籍は先人の知恵や経験が凝縮されたものです。持っていて損はありませんが無理をする必要はありません。図書館で借りて必要な部分を参照すれば事足りると思います。節約した分で部品でも買っておおいに実験しましょう。
(おわり)fm
16 件のコメント:
おはようございます。
素晴らしい特性ですね。私の場合、オシロを見て歪みが無さそうなところで終わってしまいますが、キチンと評価された回路があると試して見たくなります。
私の場合過去には、1石のブロッキング発振器で歪みがある音を知り、CR位相型を試してみて意外と発振条件が難しいことを感じ、オペアンプとFETの振幅制限付きの発振器でそこそこの物ができても、周波数を変えた時の応答速度や歪みの調整など課題が一杯。発振器とは難しいと思う独り言でした。
JK1LSE 本田さん、おはようございます。 まだ6月と言うのに毎日暑い日が続きますねえ! お変わりございませんか?
早速のコメントどうもありがとうございます。
> キチンと評価された回路があると試して見たくなります。
とりあえず、私のところではこのあたりまでができる範囲です。 まだ課題もありますが、自身の用途にはまずまずと言うところまで調べておきました。 いつか機会があればお試しになってください。
> CR位相型を試してみて意外と発振条件が難しいこ・・・
ひずみ率云々をあまり問題にしなければ発振もさせやすいのですが、低ひずみをねらうと回路の吟味や調整がだんだん問題になってきて、回路の選び方によっては発振の起動さえも困難になってきますね。 もっとも単純な正弦波の発振がそうそう簡単ではなくて・・・。
> 発振器とは難しいと思う独り言でした。
昔から「発振器を作るとまったく発振せず、アンプを作ると良く発振する」と言いますからねえ。 アンプの場合、発振するのはゲインがある証拠だなどと思って頑張るのですが・・・発振しない発振回路はかえって難しいです。(笑)
実験していて発振するはずの回路がちっとも発振してくれない・・と言うようなことは今でも起こっています。楽屋の裏話ですけれど。hi hi
こんばんは。夜も蒸し暑くなってきました。昼間溜め込まれた熱が放散されるからか、夜になって逆に室温が上がってみたり。
FETよりLDR(CDS)+LEDのアナログフォトカプラで振幅制限をする方が低ひずみにできるでしょうね。経験上からも、FETではどうやっても非直線ひずみが発生します。VP-7721A オーディオアナライザの発振回路にもLDR+LEDのアナログフォトカプラが使用されています。
物理特性の追求はそこそこにしておいた方が幸せになれます。たぶん(笑)。というより、執拗に重箱の隅をつついても意味がないかもしれません。悲しいかな、オーディオアンプではひずみ率を0.001%内外に抑えたとしても、回路を変更したら音質が別物になってしまった、などというケースはザラに経験しています。
ましてや、IMDが-50dB取れていれば上等な通信機器であまり細かいことを気にしても疲れるだけです(笑)。
デジタル表示のオーディオアナライザはいいですね。羨ましいです(笑)。現用機のVP-7721Aは新入社員時代に使っていたものの上位機で、それなりの愛着はありますが、アナログメーターから(場合によっては目盛りの間を感覚的に補完して)数値を読み取るなんて明らかに時代遅れです(爆)。
ところで、その読者さんはその後お礼のひとつも言ってきたのでしょうか。質問をするだけしておいて、答えが得られたらその後は知らんぷり、という無礼者もいるようですから。そのくせ、少しでも気に入らないことがあるとSNSなどで相手を非難してみたり。
JG6DFK/1 児玉さん、こんばんは。 夜になっても気温が下がりませんね。 今朝は雨も残っていたので非常に蒸し暑いです。 エアコン無しではそろそろ寝られません。
いつもコメントありがとうございます。
> アナライザの発振回路にもLDR+LEDのアナログフォトカプラが・・・
そうでしたか! 実際の製品でも使われていたのなら優位性があったのでしょうね。 FETでも品種を選んでやると同じくらいのひずみ率にはなるのですが、扱いはフォトカプラの方が楽なようです。 FETのようにNFBを掛けて使うと言った工夫も不要ですし。
> そこそこにしておいた方が幸せになれます。
ここでは測定用の信号源なので低ひずみが望ましいですね。 測定対象の「アンプ」の方は「低ひずみ=音が良い」とは必ずしも限りませんから。hi hi また、ひずみ率計で測定しているのは静的な特性にすぎませんので、音楽信号のようなダイナミックに変化する信号を扱った際の動作とは違うところがあります。 明らかに回路の状態が良くないと言ったアンプの欠陥を探すには静的な測定でも十分なのでそんな時には役立ちそうです。
> デジタル表示のオーディオアナライザはいいですね。
hpのひずみ率計は高級オーディオ用ではなくて汎用品なので測定限界はそこそこです。 オーディオが華やかなりし時代には国産のアナライザが非常に進歩したのでhpの機械は数字では敵いませんでした。しかし動作が安定していることでは定評があります。
> 数値を読み取るなんて明らかに時代遅れです(爆)。
測定中にひずみ率がふらつく時があって、そんな時にはメーター式の方がわかりやすかったように思います。一短一長でしょうか。hi hi
> その後お礼のひとつも言ってきたのでしょうか。
とても丁寧なお手紙を頂きました。きちんとしているお方もまだまだご健在ですね。
雑誌読者の方がネット民よりも「おとな」な考えのお方が多いように感じています。単なる印象にすぎませんけれど。(笑)
加藤さん、こんばんは。
ここ数日気温も湿度も高いので非常に不快です。Hi
低歪みというと電球を使ったウィーンブリッジが思いつきますが、今回はフォトカプラーを使っているんですね。
LEDとCDSのアイソレーターがあるのは知りませんでしたが、ICOMのIC-760などにはネオンランプとCDSのアイソレーターが使われていてそのパーツの故障が多いそうですw
2トーンジェネレータは加藤さんの以前のBlogで公開されていたTL064を使ったタイプを使ってます。
当時の回路図なども無くしてしまい今は本体だけでですが、開けてみるとLEDが2本使われていました。
フォトカプラーも共立や秋月で入手出来るようですし、中華通販で入手したLM4562NAもあるので製作を検討してみます。Hi
JE6LVE/JP3AEL 高橋さん、こんばんは。 今夜は非常に蒸し暑くて寝苦しそうです。 エアコンのタイマーが切れるとじきに目がさめるので、今夜は入れっぱなしで行きます。w
いつもコメントありがとうございます。
> 今回はフォトカプラーを使っているんですね。
電子ボリウムとして発振振幅の自動調整に使っています。 今の時代ですから電子ボリウム用のICも存在するんですが、それ自身のひずみ率がそこまで良くないためこうした用途には使えないんです。 レトロな部品ですけどLEDとCDSのカプラが活躍します。
> ネオンランプとCDSのアイソレーターが・・・
ネオンランプは使っているうちに放電しにくくなって行く特性があるのでその影響なんでしょうかね。 それとCDSも普通の抵抗器と比べたら信頼性は低いです。 ネオンランプ+CDSだと、どちらかと言うと故障しやすいパーツなのでしょう。
> TL064を使ったタイプを使ってます。
低消費電流に心がけたジェネレータでした。だいたい0.1%台のひずみ率だと思います。 そのくらいのひずみ率ならダイオード(LED)を使った振幅リミッタ形式でも行けます。 まだ十分使えますがスペアナで見ると少し高調波が見えるのは仕方がないですね。 我慢しながら時々使っています。回路図が必要なら言ってください。 そろそろ新作を作って交代させたいですね。hi
> LM4562NAもあるので製作を検討してみます。Hi
NE5532よりずっと新しいLM4562NAはかなり優秀です。ぜひ試してください。 良い性能が得られると思います。中華通販だそうですからチップの中身にちょっと心配がありますけど。(爆)
加藤さん、
CDS・LEDカプラは30年前にやはり当時秋月にあったもので
マイクコンプレッサーを作った経験があります。原理が分かり
やすいのですが、音声の合間にバックグランドノイズを拾う
のであまり評判はよくなかったです。HI
低歪率発信機はLUXキットのオーディオ測定器シリーズで作り
ました。オーディオ測定器が高嶺の花だった約40年前の話
ですが、測定器として精度はともかく歪率計の原理など分かり
結構勉強になりました。低歪率発信機は振幅制限に豆電球を
使うタイプなので電源投入後振幅が弾性運動してしまいます。
CDSの方がは温度時定数がない分、立ち上がりの振幅の安定
が良いと思います。
それにしても歪率計の測定限界まで低い歪率はすごいですね。
JR1QJO 矢部さん、こんにちは。 梅雨あけで毎日暑いですねえ! 今日も35℃超えだったような・・・。
いつもコメントありがとうございます。
> マイクコンプレッサーを作った経験があります。
マイクコンプレッサも自動音量調整器ですからCDS-LEDカプラの出番がありますね。
> 音声の合間にバックグランドノイズを拾う・・・
コンプレッサやクリッパの類をつけてオンエアするとどうしても騒がしい感じになりますね。 わたしも試しましたがラグチューには不自然とのことで大不評でした。 DX-QSO向きですよね。w
> LUXキットのオーディオ測定器シリーズで・・・
そういうキットありましたね。 思い出しましたが高価だったのではありませんか? 購入したいと思わなかったので多分そうです。(爆)
> 豆電球を使うタイプなので電源投入後振幅が・・・・
電球は熱的な慣性が働くのでどうしてもそうした傾向がありました。 試した結果によると、なるべく小さな電球が良かったと思います。回路のゲインによっても様子が変わります。
FET式やCDS+LED式でも積分回路の時定数があるので定数の選び方が悪いと振動してしまいますね。hi
> 測定限界まで低い歪率はすごいですね。
評価に使ったひずみ率計の性能があまり良くないからでしょう。hi この分野は国産測定器の方がだいぶ優秀だったと思います。
加藤さん、おはようございます。
那須でも暑くてかないません。
それに今日は別の理由で寝不足です。
8903Aは弊社でも使っています。
しかし相当前に市場から消えていますので、国産のアナライザに切り替わってきました。
これは歪の最低が0.0032%なのですが、使い方としては充分な値です。
しかし、「高精度」の次は「低歪」とすると、後は「低スプリアス」とか「占有周波数帯の存在率」とか・・(妙な表現ですが)
私の方は、ある程度で済ましてしまう「ある程度病」です。
資金はQRPで済みますが、いろいろな意味で100%満足できるものができません。
JE1UCI 冨川さん、お暑うございます! 連日35℃超え・・・今日も37℃まで行きそうです。酷暑ですねえ!! 寝不足の原因は全国的にアレだと思われますが・・・。 残念でしたねえ。
いつもコメントありがとうございます。
> 8903Aは弊社でも使っています。
私の物は通信機関係のメーカーで使っていたらしい中古品です。 オーディオメーカーが使うには不十分なアナライザなんでしょう。hi hi
> 国産のアナライザに切り替わってきました。
いまでも非常に高級な製品を作っている海外メーカーがあるようですが、ひずみ率計の市場は昔ほど無くなっていると思っています。 国産機もあまりなさそうですね。
> 「占有周波数帯の存在率」とか・・
無線機のテストには帯域占有率計というのを使うらしいですがアマチュアには縁はないですよね。 スペアナで2トーン信号を見て高次のIMDがある程度以下なら「良し」とするくらいでしょうか・・・。
> 「ある程度病」です。
白状すると私も同じ病気です。(爆)
どんな趣味でも道具に凝ると大変ですよね。hi hi
こんにちは。朝から暑くて参ります。明日以降、連日の猛暑は一度落ち着くそうですが、どうなることやら。一方、九州・四国地方は台風の影響で風雨が大変なようです。おまけに北海道でも何やらおかしなことになっているようで、明らかに気候が変です。
あの時間、私はしっかり寝てました(笑)。強豪相手に終盤のアディショナルタイムまで競り合ったのですから、それだけでもあっぱれでしょう。
見落としていましたが、稲葉 保さんが亡くなられたようで、謹んでご冥福をお祈りいたします。私自身面識はありませんが、加藤さんのお知り合いとのこと。稲葉さんの著書といえば、「七五調による電子回路技術定石集」が手元にあり、今でもたまに引っ張り出します。
同様に面識はありませんが、私にとって、著書がオーディオアンプ設計のバイブルだと言っても過言ではない黒田 徹さんもほぼ同世代のようです。「ひずみ率は計算で求まる」と断言できるほど理論的に裏付けされた設計手法は素晴らしいと思います。
とはいえ、悲しいかなボンクラの私にはその片鱗すら理解できていないような気がしますから、ましてや真似なんて到底できません。
この手の分野で次世代の筆者がまったく育っていないような気がするのは私だけでしょうか。本当にそうなら、出版業界はこの先どうするつもりなのでしょうか。
「情報=すべてタダ」としか考えていないようなネット民ばかりが目立ってくると、出版業界も次世代への投資はなかなか難しいのかもしれませんが、このままの状態が続けば悪循環に陥るだけのような気がします。もっとも、それで困るのはたぶん私じゃありません。
JG6DFK/1 児玉さん、こんにちは。 暑くて冷房した部屋の外には出られません。 夕方になっても涼しさは期待できないです。 まだ梅雨明けしていないところもあると言うのに・・・。
再度のコメントありがとうございます。
> 稲葉 保さんが亡くなられたようで・・・
すみません。見落としではありません。情報が確認できた時点で追記しました。公開初期には書かれていませんでした。
> 稲葉さんの著書といえば・・・
稲葉さんの執筆はいっぱいありますのでご覧になったお方は多いだろうと思います。 私は発振回路関係の本をよく勉強させていただいています。
> 次世代の筆者がまったく育っていないような気がする・・・
稲葉さんだけでなく他界されている筆者もあるようなので、アナログ本の筆者は減るばかりです。 純粋なアナログはニーズも少ないので徐々に廃れてしまいそうですね。
> このままの状態が続けば悪循環に陥るだけのような・・・
分野にもよりますが、もうそう言う状況に陥っているように感じますね。非常に初歩的なアナログ回路でさえ理解できない電気系のエンジニアが大半になってしまいそうです。
私が死ぬ頃までなら惰性でなんとかなるでしょう。 過去の蓄積もありますし・・・。 その先は知りません。(笑)
稲葉保さん、亡くなられたのですね、合掌。
出版ですが、もうどの会社も瀕死の状況のようです。本当に技術の好きな編集者や著者は自分で会社起こして書籍をクラウドファンディングで出版するという時代になりました。彼等は経済的に回しつつ、かつPDFも無料で配るというモデルでやっています。それでも買う人は買います。
無料だから云々という問題ではなく、もはや本は売れませんし、雑誌はもっと売れない状況です。日本語の書籍市場は本当に縮小しています。英語や中国語が読めないともはや電子工学のエンジニアとしては活躍できないでしょう。
かつて勉強したCQ出版の本が参考文献に上がっていますが、もう2000年から18年が経過してしまっているのですよね。
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Kenji Rikitake, JJ1BDX(/3)
JJ1BDX 力武さん、こんにちは。
いつもコメントありがとうございます。
> 稲葉保さん、亡くなられたのですね、合掌。
はい、つい先日ですがお話を伺い驚きました。 最後にお会いしたのは昨年だったと思います。以前のようなお元気がないように感じ、心配していたのですが・・・。享年69歳だそうです。
> 出版ですが、もうどの会社も瀕死の状況のようです。
いずこもかなり厳しいでしょうね。 わずかに残っている月刊誌も広告は激減ですしどんどん薄くなっているのがわかります。 なにか雑誌と連動するような収益構造も考えないといずれ立ち行かなくなるのかも知れません。
> かつPDFも無料で配るというモデルでやっています。それでも買う人は買います。
紙の書籍で持ちたいと言う読者は一定数あると思っています。 ただし、印刷部数は激減でしょうからオンデマンド印刷との価格差は無くなりそうですね。 最後は紙の書籍だと信じる人もいます。
> 英語や中国語が読めないともはや電子工学のエンジニアとしては活躍できない・・・
最新の情報はほとんどが英語で入ってきます。 中国語の情報もこれから先端の領域では不可欠でしょうね。 読めるだけでなく英語や中国語での情報発信も必要そうです。
> もう2000年から18年が経過してしまっているのですよね。
10年ひと昔と言いますから、もうすぐ「ふた昔」ですよ。生まれた子供も成人です。(笑)
こちらの記事を参考に作成しました。貴重な情報をありがとうございました。
私の実装技術では0.006%までが限界でしたが、オーディオアンプ測定用なのでこれでよしとしました。
コンデンサの値を変更して100Hz、10kHzでも同様の値になることを確認できました。
ブレッドボードでの測定値なので、ちゃんと半田づけしてケースに入れればもう少し下がるかなと期待しつつ、これから作成に取り掛かっていきたいと思います。
高林さん、初めまして。
コメントどうも有難うございます。
> こちらの記事を参考に作成しました。
拙Blog記事が製作のお役に立ったようで良かったです。
> 0.006%までが限界でしたが・・・
お書きのようにシールドされたケースに収納されると改善されるのではないでしょうか。
0.00X %くらいの歪みとなると誘導など外来のノイズも問題になってきますね。
> ちゃんと半田づけしてケースに入れればもう少し下がるかなと・・・
そうなると良いですね。 回路のGND系とシャシ・ケースのアースポイントなども意外に重要なので色々試行されて下さい。
高林さんはオーディオアンプを製作されておられるようなので、この辺りは抜かりないだろうと想像しております。(笑)
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